JP3341487B2 - 反応性小胞体、小胞体修飾剤および製造方法 - Google Patents

反応性小胞体、小胞体修飾剤および製造方法

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JP3341487B2 JP24042494A JP24042494A JP3341487B2 JP 3341487 B2 JP3341487 B2 JP 3341487B2 JP 24042494 A JP24042494 A JP 24042494A JP 24042494 A JP24042494 A JP 24042494A JP 3341487 B2 JP3341487 B2 JP 3341487B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、反応性小胞体、これを
製造するための小胞体修飾剤、および反応性小胞体の製
造方法に関する。さらに詳しくは医薬の運搬体、検査
薬、診断薬、アジュバント、センサー、固定化触媒、バ
イオリアクター、バイオエレクトロニクス素子、マイク
ロカプセル代替品、化粧品原料など、種々の機能性リポ
ソームまたは脂肪乳剤等として有用な反応性小胞体、こ
れを製造するための小胞体修飾剤、および反応性小胞体
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】リポソームはリン脂質の二分子膜からな
る小胞体であり、多分野での応用が試みられている。特
に、医薬運搬体、診断・検出用のセンサーなどへの応用
が注目されているが、リポソーム外水相面(外水相膜)
上または膜中に機能性物質を固定して各種機能をもたせ
ること、およびリポソームの血中濃度を維持することな
どが大きな課題となっている。
【0003】従来、リポソーム外水相膜上または膜中へ
の機能性物質の固定化に関しては、プルラン誘導体で被
覆したリポソームの外水相膜上の多糖上に置換したアミ
ノエチルカルバミルメチル基にγ−マレイミドブチルオ
キシサクシニミジルを介して抗体フラグメントを結合さ
せる方法(Biochem. Biophys. Acta., 898, 323(198
7))、あるいはあらかじめリポソーム膜形成成分中に糖
脂質を加えておき、リポソーム形成後過よう素酸酸化を
行い、生じたアルデヒド基と抗体とを反応させて固定化
する方法(J. Biol. Chem., 255, 10509(1980))などが
ある。
【0004】しかし、これらの従来法では、リポソーム
調製後にリポソーム膜外水相膜上での多段階の化学反応
を行う必要があり、このため目的とする機能性物質の導
入量が低く制限され、また反応による副生成物や不純物
が混入し、リポソーム膜へのダメージが大きいなどの問
題点がある。
【0005】一方、リポソームを生体内へ投与したと
き、その多くは肝臓、脾臓などの網内系器官で捕捉され
るため、十分な効果が得られないことが指摘されている
(Cancer Res., 43, 5328(1983))。そこで、この網内
系器官で捕捉されてしまう問題点や、リポソームに封入
した薬剤のもれ防止、あるいはリポソーム自身の崩壊性
・凝集性など安定性の低さに関する問題点を改善する方
法として、リポソームの外水相膜にポリエチレングリコ
ール鎖(ポリオキシエチレン鎖)を導入することが試み
られている(例えば、特開平1−249717号公報、
FEBS letters, 268, 235(1990))。また、ポリオキシエ
チレンで修飾されたリポソームは、長期間にわたり血液
中濃度を維持できることが明らかになっている(Bioche
m. Biophys. Acta., 1066, 29-36(1991))。しかし、こ
のような方法により得られるポリオキシエチレン鎖の導
入されたリポソームは機能性物質と反応しないので、リ
ポソーム外水相膜上に機能性物質を固定化することはで
きない。
【0006】さらに、特開平4−346918号公報に
は、マレイミド基を有するリポソームにまずチオール基
を付与したタンパク質(チオール化タンパク質)を反応
させ、次いで残存マレイミド基にチオール基を付与した
ポリアルキレングリコール(チオール化ポリアルキレン
グリコール)部分を含む化合物を反応させることによ
り、網内系器官での取込の改善された薬剤含有抗体結合
リポソームが得られることが記載されている。しかし、
このリポソームでは、抗体がポリオキシアルキレン層の
下部に隠蔽され、標的部位の抗原との反応が妨げられる
ため、期待される効果が十分には得られないという問題
点がある。
【0007】さらに、米国特許第4483929号に
は、抗体を化学結合により担持した抗体担持リポソーム
が開示されている。この抗体担持リポソームは、反応活
性基としてオキシカルボニルイミダゾール基を有する糖
脂質を膜形成成分とする反応性リポソームと抗体とを反
応させることにより得られる。
【0008】しかし、この抗体担持リポソームでは、リ
ポソームの内水相膜(内側)にも反応活性を有するオキ
シカルボニルイミダゾール基が存在することになり、こ
のためこのようなリポソームをドラッグデリバリーシス
テム(DDS)用の医薬運搬体などとして用いた場合、
生体内でリポソームが崩壊した際内側に存在していたオ
キシカルボニルイミダゾール基が生体内のタンパク質な
どと反応し、副作用や毒性を起こすなどの危険性があ
る。またリポソームに封入した医薬と内側のオキシカル
ボニルイミダゾール基とが反応し、期待される医薬効果
が得られないなどの問題点もある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題点を解決するため、チオール基と特異的に反応する
反応活性基が(ポリ)オキシアルキレン鎖を介して小胞
体の外水相面(外側)にのみ結合し、内側には反応活性
基が存在しない反応性小胞体であって、機能性物質を一
段階の反応で固定化することができ、しかも固定した機
能性物質の作用を十分に発揮させることができる小胞
体、これを製造するための小胞体修飾剤、および反応性
小胞体の製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は次の反応性小胞
体、小胞体修飾剤、および反応性小胞体の製造方法であ
る。 (1)アミノ基を有するリン脂質を小胞体形成成分とし
て含む小胞体において、この小胞体の外水相面にのみ、
一般式〔1〕
【化11】 〔式中、R1は水素原子またはメチル基を表わす。〕で
表わされるピリジンジスルフィド基が(ポリ)オキシア
ルキレン鎖を介して前記アミノ基と化学結合により結合
していることを特徴とする反応性小胞体。 (2)アミノ基を有するリン脂質を小胞体形成成分とし
て含む小胞体と、下記一般式〔2〕で表わされる小胞体
修飾剤との反応生成物からなる上記(1)記載の反応性
小胞体。
【化12】 〔式中、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、n
はオキシアルキレン基の平均付加モル数で、1〜100
0の正数を表わす。nが2以上の場合、オキシアルキレ
ン基は同一でも異なっていてもよく、またランダム状に
付加していても、ブロック状に付加していてもよい。R
1は水素原子またはメチル基、Xは
【化13】 (式中、R2は水素原子またはメチル基、R3は活性化エ
ステル残基、pは2〜4の整数、qは0または1を表わ
す。)、Yは炭素数2〜4のアルキレン基、aは0また
は1、Zは
【化14】 (式中、sおよびtはそれぞれ独立に0または1、uは
1〜3の整数を表わす。)を表わす。〕 (3)前記一般式〔2〕で表わされる(ポリ)オキシア
ルキレン誘導体からなることを特徴とする小胞体修飾
剤。 (4)アミノ基を有するリン脂質を小胞体形成成分とし
て含む小胞体と、前記一般式〔2〕で表わされる小胞体
修飾剤とを、水系溶媒中で反応させることを特徴とする
上記(1)記載の反応性小胞体の製造方法。
【0011】本発明において、「(ポリ)オキシアルキ
レン」はオキシアルキレンまたはポリオキシアルキレン
を意味する。本発明において小胞体とは、小胞体形成成
分の親水基が界面の水相に向って配向した構造を有する
粒子を意味する。本発明においては、小胞体はアミノ基
を有するリン脂質を小胞体形成成分として含有している
ので、反応性小胞体を製造する前の小胞体には、外水相
面にアミノ基が存在している。小胞体の具体的なものと
しては、二分子膜からなる閉鎖小胞であるリポソーム、
植物油およびリン脂質などの混合物が乳化された脂肪乳
剤、またはミセルなどがあげられる。
【0012】本発明の反応性小胞体は、一般式〔1〕で
表わされるピリジンジスルフィド基が、(ポリ)オキシ
アルキレン鎖を介して、小胞体の外水相面にのみ結合し
た反応性小胞体であり、内側または内水相面(以下、両
者をまとめて内側という)には反応活性は存在していな
い。
【0013】一般式〔1〕で表わされるピリジンジスル
フィド基は、下式〔6〕または〔7〕で示されるよう
に、(ポリ)オキシアルキレン鎖を介して、小胞体の外
水相面に存在するアミノ基と化学結合することにより小
胞体の外水相面にのみ結合している。
【化15】 〔式中、−NH−Lipはアミノ基を有するリン脂質を
小胞体形成成分として含む小胞体を表わす。R1、Y、
Z、a、AO、n、pおよびqは前記と同じものを表わ
す。〕
【0014】ピリジンジスルフィド基を小胞体に結合さ
せる際のスペーサーとなる(ポリ)オキシアルキレン鎖
は、一般式〔2〕で表わされる小胞体修飾剤の(ポリ)
オキシアルキレン鎖部分である。一般式〔2〕、〔6〕
または〔7〕においてAOで表わされるオキシアルキレ
ン基は、炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、オ
キシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシトリメチ
レン基、オキシ−1−エチルエチレン基、オキシ−1,
2−ジメチルエチレン基、オキシテトラメチレン基など
があげられる。これらのオキシアルキレン基は、エチレ
ンオキシド、プロピレンオキシド、オキセタン、1−ブ
テンオキシド、2−ブテンオキシド、テトラヒドロフラ
ンなどのアルキレンオキシドを付加重合させた基であ
る。
【0015】一般式〔2〕、〔6〕または〔7〕におい
てnはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表わし、
1〜1000、好ましくは4〜500、さらに好ましく
は10〜230の正数である。nが2以上の場合、オキ
シアルキレン基の種類は同一のものでも、異なるもので
もよい。後者の場合、ランダム状に付加していても、ブ
ロック状に付加していてもよい。
【0016】スペーサーとなる(ポリ)オキシアルキレ
ン鎖は親水性であるのが好ましく、この場合オキシアル
キレン基としてはエチレンオキシドが単独で付加したも
のが、特にnが4以上のものが好ましい。また種類の異
なるアルキレンオキシドが付加している場合、エチレン
オキシドが20モル%以上、好ましくは50モル%以上
付加しているのが望ましい。(ポリ)オキシアルキレン
鎖に親油性を付与する場合はエチレンオキシド以外の付
加モル数を多くする。
【0017】一般式〔1〕で表わされるピリジンジスル
フィド基は、チオール基に対して特異的に高い反応性を
有している反応活性基部分である。このため本発明の反
応性小胞体は、小胞体の外水相面において、(ポリ)オ
キシアルキレン鎖の先端にチオール基を有する機能性物
質を、容易に共有結合により結合させることができる。
【0018】本発明の反応性小胞体は、アミノ基を有す
るリン脂質を小胞体形成成分として含む小胞体に、一般
式〔2〕で表わされる小胞体修飾剤を反応させることに
より製造することができる。アミノ基を有するリン脂質
としては、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファ
チジルセリンまたはホスファチジルスレオニンなどがあ
げられ、一種単独で、または二種以上組合せて使用でき
る。これらのリン脂質としては、2つの脂肪酸エステル
部位に炭素数4〜30、好ましくは8〜18の飽和また
は不飽和の脂肪酸残基を有するものが望ましく、天然ま
たは合成のいずれのものでもよい。具体的には、ジミリ
ストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミト
イルホスファチジルエタノールアミン、ジステアロイル
ホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホス
ファチジルセリン、ジパルミトイルホスファチジルセリ
ン、ジステアロイルホスファチジルセリン、ジミリスト
イルホスファチジルスレオニン、ジパルミトイルホスフ
ァチジルスレオニン、ジステアロイルホスファチジルス
レオニンなどがあげられる。
【0019】小胞体形成成分としては、アミノ基を有す
るリン脂質の他にも小胞体を形成しうる他の化合物も使
用でき、例えば大豆レシチン、卵黄レシチン、その他の
リン脂質類、コレステロール、イントラリピッド(大塚
製薬(株)、商標)、大豆油、サフラワー油など、従来
から小胞体の形成成分として用いられているものが使用
できる。また小胞体としては上記イントラリピッドのよ
うな脂質混合乳化物を使用することもできる。
【0020】全小胞体形成成分中に占めるアミノ基を有
するリン脂質の割合は制限されないが、通常0.01〜
100モル%とするのが好ましく、アミノ基を有するリ
ン脂質の割合を多くするほど、一般式〔1〕で表わされ
るピリジンジスルフィド基の導入量を多くすることがで
きる。これにより小胞体の外水相面に存在するピリジン
ジスルフィド基の導入量を所望の値に調節することがで
きる。
【0021】一般式〔2〕におけるXは、一般式〔3〕
で表わされるオキシカルボニルイミダゾール基またはそ
のメチル置換体、あるいは一般式〔4〕で表わされる活
性化エステル基(R3CO−)または活性化エステル基
を有する基である。一般式〔4〕で表わされる基の具体
的なものとしては、例えば次のものが例示できる。
【0022】
【化16】
【0023】
【化17】
【0024】上記各式において活性化エステル残基部分
は、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N,N′−ジコハ
ク酸イミドカーボネート、1−ヒドロキシベンゾトリア
ゾール、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−
ジカルボキシイミド、N−ヒドロキシフタルイミド、4
−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、メチルサ
ルフェートなどの活性化エステル試薬の残基である。
【0025】一般式〔2〕、〔6〕または〔7〕におい
てYで示される炭素数2〜4のアルキレン基の具体的な
ものとしては、エチレン基、プロピレン基、トリメチレ
ン基、1−エチルエチレン基、1,2−ジメチルエチレ
ン基、テトラメチレン基などがあげられる。一般式
〔5〕で表わされる基の具体的なものとしては、例えば
次のものが例示できる。
【化18】
【0026】一般式〔2〕で表わされる小胞体修飾剤
は、1種単独で使用することもできるし、2種以上を組
合せて使用することもできる。小胞体修飾剤は水溶性で
あることが好ましく、一般式〔2〕において(AO)n
で示されるアルキレンオキシドの付加部分は、すでに説
明したように、エチレンオキシドが単独で付加したも
の、特にエチレンオキシドが4以上付加したものが好ま
しい。またこれ以外にも、エチレンオキシドとテトラヒ
ドロフランおよび/またはプロピレンオキシドとがラン
ダムまたはブロック状に付加したものなどであってもよ
い。この場合オキシアルキレン基の平均付加モル数
(n)は好ましくは4〜500、さらに好ましくは10
〜230である。また種類の異なるアルキレンオキシド
が付加している場合、総付加アルキレンオキシド中に占
めるエチレンオキシドの割合は20モル%以上、好まし
くは50モル%以上であるのが望ましい。
【0027】小胞体と一般式〔2〕で表わされる小胞体
修飾剤との反応は、水系溶媒、例えば蒸留水;生理的食
塩水;リン酸緩衝液、炭酸緩衝液、トリス緩衝液、酢酸
緩衝液など種々の緩衝液中で、pH1〜12、好ましく
はpH3〜10、反応温度0〜100℃、好ましくは0
〜60℃で、反応時間30分間〜200時間、好ましく
は1時間〜24時間の条件で行うことができる。このよ
うにして反応させることにより、小胞体外水相面のアミ
ノ基と小胞体修飾剤中のオキシカルボニルイミダゾール
基部分または活性化エステル基部分とが容易に反応して
ウレタン結合またはCONH結合を形成し、一般式
〔1〕で表わされるピリジンジスルフィド基が(ポリ)
オキシアルキレン鎖を介して小胞体外水相面に導入さ
れ、反応性小胞体が得られる。
【0028】アミノ基を有するリン脂質としてホスファ
チジルエタノールアミンを用いた場合のリポソームと、
一般式〔2〕においてXがオキシカルボニルイミダゾー
ル基の小胞体修飾剤とから反応性リポソームを製造する
反応式は下式〔8〕で示される。式中、Lipはホスフ
ァチジルエタノールアミンを含むリポソームを示す。R
1、R2、AO、n、Y、Zおよびaは前記と同じものを
示す。
【化19】
【0029】このようにして得られた本発明の反応性小
胞体は、ゲルろ過、透析、限外ろ過などにより容易に単
離・精製することができる。なお条件によっては、小胞
体同士が架橋された架橋小胞体が生じる場合もあるが、
この場合には必要に応じて、ゲルろ過、または適当なポ
アサイズを有するメンブランフィルターなどを使用する
ことにより、容易に分別することができる。
【0030】このように本発明の製造方法では、調製済
みの小胞体に、後からピリジンジスルフィド基を導入し
ているので、小胞体の外水相面にのみ反応活性を有する
ピリジンジスルフィド基が存在し、内側には存在しない
反応性小胞体が得られる。
【0031】本発明の小胞体修飾剤において、一方の末
端がピリジンジスルフィド基、他方の末端がオキシカル
ボニルイミダゾール基の小胞体修飾剤は、例えばα−
(メルカプト置換アルキル)−ω−ヒドロキシ(ポリ)
オキシアルキレンとジエチルアゾジカルボキシレートと
を反応させた後、さらにメルカプトピリジンを反応さ
せ、さらにN,N′−カルボニルジイミダゾールを反応
させる方法などにより容易に製造することができる。
【0032】上記反応は、いずれのステップも無溶媒ま
たはジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、クロロホルム、塩化メチレン、ジメチルスルホキシ
ド、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセト
ニトリルなどの有機溶媒中で、反応温度−100〜+1
60℃、好ましくは−10〜+60℃で、反応時間10
分間〜200時間、好ましくは30分間〜12時間の条
件で容易に行うことができる。
【0033】α−(メルカプト置換アルキル)−ω−ヒ
ドロキシ(ポリ)オキシアルキレンとしてα−(2−メ
ルカプトエチル)−ω−ヒドロキシ(ポリ)オキシエチ
レンを用いた場合の反応式を次式
〔9〕に示す。式中、
n、R1およびR2は前記と同じものを示す。またDAD
はジエチルアゾジカルボキシレート、MPは2−メルカ
プトピリジンまたはその誘導体、CDIはN,N′−カ
ルボキシジイミダゾールまたはその誘導体を示す。
【化20】
【0034】また一方の末端がピリジンジスルフィド
基、他方の末端が活性化エステル基の小胞体修飾剤は、
例えばα−(メルカプト置換アルキル)−ω−ヒドロキ
シ(ポリ)オキシアルキレンに前記の方法でピリジンジ
スルフィド基を導入した後、さらに無水コハク酸などの
2価のカルボン酸無水物を反応させ、さらにジシクロヘ
キシカルボジイミドなどの脱水縮合剤を用いるなどし
て、前述の活性化エステル試薬残基を導入することによ
り製造することができる。あるいはα−(メルカプト置
換アルキル)−ω−カルボキシル置換アルキル(ポリ)
オキシアルキレンに前記と同様にしてピリジンジスルフ
ィド基を導入した後、脱水縮合剤を用いて活性化エステ
ル試薬残基を導入することにより製造することができ
る。
【0035】上記の活性化エステル試薬残基を導入する
反応は、ベンゼン、トルエン、酢酸エチル、アセトニト
リル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセタミドなど
の有機溶媒中、−100〜150℃、好ましくは0〜6
0℃で、30分間〜200時間、好ましくは1〜48時
間の条件で容易に行うことができる。得られた反応混合
物は、精製することなくそのままで、あるいは再沈殿、
カラム、ゲルろ過、限外ろ過、透析、イオン交換処理な
どの方法により単離・精製した後、小胞体修飾剤として
使用される。
【0036】次にそれぞれの反応性小胞体について詳し
く説明する。まず代表的な反応性小胞体である反応性リ
ポソームについて説明する。本発明に係る反応性リポソ
ームは外水相面(膜)、すなわち膜を構成するいちばん
外側の膜の外表面にのみ一般式〔1〕で表わされる反応
活性を有するピリジンジスルフィド基が存在し、それ以
外には存在しない反応性リポソームである。
【0037】反応性リポソームを構成する膜形成成分
(小胞体形成成分)としては、前記アミノ基を有するリ
ン脂質の他に、従来からリポソームの膜形成成分として
用いられているものが制限なく使用できる。具体的に
は、ジホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、
ホスファチジルイノシトール、大豆レシチン、卵黄レシ
チン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロ
ール等のリン脂質および脂肪酸部に不飽和基を有する重
合性リン脂質;スルホキシリボシルジグリセリド、ジガ
ラクトシルジグリセリド、ラクトシルジグリセリド等の
糖脂質類;コレステロール等の非極性脂質;その他に
は、非イオン性界面活性剤、ホスファチジルポリエチレ
ングリコール、「Biochem. Biophys. Acta., 1066, 29-
36(1990)」に記載されているホスファチジルエタノール
アミンとポリエチレングリコールとの反応物、およびこ
れらの混合物などがあげられる。
【0038】全膜形成成分中に占めるアミノ基を有する
リン脂質の割合は、通常0.01〜100モル%、好ま
しくは0.1〜50モル%とするのが望ましい。0.0
1モル%未満の場合、リポソーム外水相面に存在する一
般式〔1〕で表わされるピリジンジスルフィド基の導入
量が少なくなり、このためリポソーム外水相膜に共有結
合させる機能性物質の量が少なくなるので好ましくな
い。
【0039】小胞体修飾剤と反応させる前のリポソーム
は、膜形成成分を有機溶媒等の適当な溶媒に溶解し、エ
クスツルージョン法、ボルテックスミキサー法、超音波
法、界面活性剤除去法、逆層蒸発法、エタノール注入
法、プレベシクル法、フレンチプレス法、W/O/Wエ
マルジョン法、アニーリング法、凍結融解法など、種々
の公知の方法によりリポソーム化することにより製造す
ることができる。また、これらの製造法を選択すること
により、多重層リポソーム、小さな一枚膜リポソーム、
大きな一枚膜リポソームなど、種々の大きさや形態を有
するリポソームを製造することができる。このような方
法により、リポソームの外水相膜および内側にアミノ基
が存在するリポソームが得られる。
【0040】リポソームの内部には、一般のリポソーム
と同様に種々の物質を公知の方法により封入することが
可能である。被封入物質としては、例えば色素、染料、
放射線ラベル化合物、蛍光化合物、化学発光化合物等の
標識物質;光応答性化合物、pH応答性化合物、熱応答
性化合物、電極感応性化合物等の外部刺激応答性化合
物;酵素、抗体、その他のタンパク質、糖、脂質、糖タ
ンパク質、糖脂質、ホルモン等の生理活性物質;医薬;
ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチ
レングリコール、ヒアルロン酸等の水溶性高分子類;ホ
スファチジルセリン等のリン脂質;これらの混合物など
があげられる。
【0041】上記のようなリポソームと一般式〔2〕で
表わされる小胞体修飾剤とを前記のようにして反応させ
ることにより、反応性リポソームが得られる。この場
合、全反応溶液中のリポソームの膜構成成分濃度は、
0.001〜1000mg/ml、好ましくは0.1〜
100mg/mlとするのが望ましく、また小胞体修飾
剤の濃度は特に限定されないが、0.001〜1000
mg/ml、好ましくは0.01〜500mg/mlと
するのが望ましい。小胞体修飾剤の使用量が上記下限値
より少ない場合、得られた反応性リポソームは外水相膜
に共有結合させる機能性物質の量が少なくなるので好ま
しくない。一方、上限値を超えると反応溶液の粘度が高
くなり、リポソームの安定性が低下するため好ましくな
い。
【0042】なお、リポソーム外水相膜のアミノ基の全
量を小胞体修飾剤と反応させる必要がない場合には、ア
ミノ基ブロック化剤、例えば一方の末端には反応性基を
持たず、他方の末端にのみアミノ基に対する反応性基を
有する(ポリ)オキシアルキレンオキシド誘導体、具体
的にはα−メチルカルボニル(N−オキシコハク酸イミ
ド)−ω−メトキシ ポリオキシエチレン、α−N−カ
ルボニルイミダゾール−ω−メトキシ ポリオキシエチ
レンなどを、リポソーム外水相膜のアミノ基と反応させ
て、アミノ基をブロックすることができる。このような
アミノ基のブロック化は、反応性リポソームを製造する
際の反応溶液中にアミノ基ブロック化剤を添加して行う
こともできるし、小胞体修飾剤と反応させる前に行うこ
ともできるし、または小胞体修飾剤と反応させた後に行
うこともできる。このようにリポソーム外水相膜のアミ
ノ基をブロックすることにより、リポソーム外水相膜に
導入される一般式〔1〕で表わされるピリジンジスルフ
ィド基の量を所望の値に調節することができる。
【0043】このようにして得られた反応性リポソーム
は、リポソームの外水相膜に(ポリ)オキシアルキレン
鎖からなるスペーサーを介してピリジンジスルフィド基
が結合しているので、チオール基を有する機能性物質を
効率よくかつ簡単に、リポソームの二分子膜の外水相膜
上に(ポリ)オキシアルキレン鎖からなるスペーサーを
介して、ジスルフィド結合により化学的に固定化するこ
とができる。
【0044】反応性リポソームに固定化できる機能性物
質としては、チオール基を有する物質であれば特に限定
されず、例えば色素、染料、放射線ラベル化合物、蛍光
化合物、化学発光化合物、電極感応性化合物等の標識物
質;光応答性化合物、pH応答性化合物、熱応答性化合
物等の外部刺激応答性化合物;酵素、抗体、その他のタ
ンパク質、糖、脂質、糖タンパク質、糖脂質、ホルモン
等の生理活性物質;医薬;ホスファチジルセリン等のリ
ン脂質;これらの混合物などがあげられる。
【0045】反応性リポソーム外水相膜への機能性物質
の固定化反応は、水系溶媒、例えば蒸留水;生理的食塩
水;リン酸緩衝液、炭酸緩衝液、トリス緩衝液、酢酸緩
衝液などの種々の緩衝液;これらの水系溶媒とアセト
ン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,4−ジ
オキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセタミ
ド、ジメチルスルホキシド、ピロリドン等の有機溶媒と
の混合溶媒中で、反応性リポソームと機能性物質とをp
H1〜12、好ましくはpH6〜10、反応温度−12
0〜140℃、好ましくは0〜60℃で、反応時間30
秒間〜168時間、好ましくは30分間〜24時間の条
件で、攪拌下に反応させる方法などにより、一段階で容
易に行うことができる。この場合、反応条件は温和であ
り、しかも一段階で行うことができるので、得られる反
応性リポソームの安定性は高い。なお上記の条件外で
は、リポソームの安定性が悪くなるため好ましくない。
固定化反応の終了後は、必要によりゲル濾過、限外濾
過、透析、遠心分離、静置沈降分離等の方法により精製
を行うことができる。
【0046】リポソーム外水相膜上でのチオール基を有
する機能性物質の固定化反応を模式的に示すと次式〔1
0〕のようになる。式中、波線は(ポリ)オキシアルキ
レン鎖、Fは機能性物質を示す。
【化21】
【0047】機能性物質を固定化したリポソームは、
(ポリ)オキシアルキレン鎖の先端に機能性物質が固定
されているので(ポリ)オキシアルキレン鎖の長さを調
節することにより機能性物質の作用を十分に発揮させる
ことができる。また、(ポリ)オキシアルキレン鎖が導
入されているので、従来からの(ポリ)オキシアルキレ
ン鎖導入の効果、例えば長期間にわたる血液中濃度の維
持、非免疫原生、リポソーム内部に封入した物質の漏れ
防止などの効果も期待できる。さらにリポソームの内側
(内表面)には反応活性の高い基は存在しないので、D
DS用の医薬運搬体、診断薬、アジュバントなど、生体
内に投与する機能性リポソームとして用いても生体内の
官能基とは反応せず、副作用や毒性を示す危険性がない
ほか、封入した機能性物質とも反応しない。このほか、
不必要なピリジンジスルフィド基が残存したとしても、
チオグリコール酸、チオプロピオン酸、システインな
ど、チオール基を有する化合物を作用させてキャッピン
グを行う方法などにより、その全てを容易に失活させる
ことができる。
【0048】このため反応性リポソームは、医薬の運搬
体、検査薬、診断薬、アジュバント、センサー、固定化
触媒、バイオリアクター、バイオエレクトロニクス素
子、マイクロカプセル代替品、化粧品原料など、種々の
機能性リポソームとして利用できる。これらの中でも、
医薬の運搬体、診断薬、アジュバントなどの生体内に投
与する機能性リポソームとして好適に利用できる。
【0049】なお、リポソームを製造する際、膜形成成
分として重合性リン脂質を配合することにより、重合性
の反応性リポソームとすることができる。重合性のリン
脂質としては、公知の重合性リン脂質を使用することが
できるが、例えば1,2−ジ(2,4−オクタデカジエ
ノイル)−3−ホスファチジルコリンの他、野島庄七、
砂本順三、井上圭三編集、1988年南雲堂発行の「リ
ポソーム」p313〜315に記載のものなどがあげら
れる。これらの中では、1,2−ジ(2,4−オクタデ
カジエノイル)−3−ホスファチジルコリンが好まし
い。
【0050】重合性リポソームは、リポソーム調製後
に、光重合開始剤の存在下または非存在下でUV、γ
線、電子線などの光照射を行うことにより、あるいはレ
ドックス開始剤系により、あるいはアゾ系開始剤または
有機過酸化物などの存在下で加熱を行うことにより、容
易に重合を行うことができる。このようにして得られた
重合後のリポソームは、優れた安定性を有しているの
で、水溶液に分散させたままで、あるいは凍結乾燥等に
より粉末状に調製し、安定して使用することができる。
【0051】他の反応性小胞体としての反応性脂肪乳剤
は、アミノ基を有するリン脂質と、大豆油、サフラワー
油等の植物油と、必要により添加される他の添加剤、例
えば大豆レシチン、卵黄レシチン等のリン脂質、イント
ラリピッド(大塚製薬(株)製、商標)、乳化補助剤、
安定化剤、等張化剤、脂溶性医薬、脂溶性生理活性物質
などを含む油脂混合物が、外水相面にのみ一般式〔1〕
で表わされるピリジンジスルフィド基が(ポリ)オキシ
アルキレン鎖を介して存在するものである。
【0052】小胞体修飾剤との反応前の脂肪乳剤は、公
知の方法により製造することができる。例えば、アミノ
基を有するリン脂質、植物油、および必要により配合す
る添加剤を混合、加熱し、水を加えてホモミキサー等で
粗乳化し、次にマントン−ガウリン型の加圧噴射式ホモ
ジナイザー等で均質化する方法などにより製造すること
できる。また脂肪乳剤としては、上記イントラリピッド
のような脂質乳化混合物を使用することもできる。
【0053】このようにして得られた小胞体修飾剤との
反応前の脂肪乳剤と一般式〔2〕で表わされる小胞体修
飾剤とを、反応性リポソームの場合と同様にして反応さ
せることにより、本発明に係る反応性脂肪乳剤が得られ
る。反応性乳剤は反応性リポソームと同様にして、同様
の機能性物質を容易に固定化することができる。このた
め反応性脂肪乳剤は、医薬の運搬体、検査薬、診断薬、
センサー、固定化触媒、化粧品原料などとして利用でき
る。
【0054】上記以外の反応性小胞体である反応性ミセ
ルは、アミノ基を有するリン脂質が単独で、または他の
成分、例えばホスファチジルコリン、その他のリン脂質
類、コレステロールなどが、外水相面にのみ一般式
〔1〕で表わされるピリジンジスルフィド基が(ポリ)
オキシアルキレン鎖を介して存在する状態でミセル化し
たものである。反応性ミセルも反応性脂肪乳剤と同様に
して機能性物質を固定化することができ、また同様の用
途に利用できる。
【0055】
【発明の効果】本発明の反応性小胞体は、反応活性基で
あるピリジンジスルフィド基が小胞体の外水相面にのみ
存在し、内側には存在していないので、機能性物質を固
定化した小胞体中には反応活性基が残存せず、このため
生体内に投与しても生体内の官能基とは反応が起らず、
副作用や毒性を起す危険性がない。また機能性物質の固
定化は簡単にかつ効率よく行うことができ、しかも小胞
体の安定性を低下させることはない。さらに(ポリ)オ
キシアルキレン鎖の長さを調節することにより、固定化
した機能性物質の作用を十分に発揮させることができ
る。
【0056】本発明の小胞体修飾剤は、上記のような反
応性小胞体を製造するための原料として用いることによ
り、簡単な操作で、小胞体の外水相面にのみ一般式
〔1〕で表わされるピリジンジスルフィド基を(ポリ)
オキシアルキレン鎖を介して結合させることができる。
【0057】本発明の反応性小胞体の製造方法では、ア
ミノ基を有するリン脂質を小胞体形成成分として含む小
胞体に、上記小胞体修飾剤を反応させるだけで、簡単に
効率よく、しかも小胞体の安定性を低下させることなく
前記のような反応性小胞体を製造することができる。
【0058】
【実施例】以下実施例によりさらに詳細な説明を行う
が、本発明はこれらに限定されるものではない。 合成例1 α−(2−メルカプトエチル)−ω−ヒドロキシポリオ
キシエチレン(分子量:3000)をベンゼン10ml
に溶解させ、これにジエチルアゾジカルボキシレート5
8mg(0.33mmol)を加え、室温で4時間攪拌
した。さらに2−メルカプトピリジン38.5mg
(0.34mmol)を加え、2時間攪拌した後、析出
物を濾過により除去した。得られた濾液にさらにN,
N′−カルボニルジイミダゾール54mg(0.34m
mol)を加え、1時間攪拌した。溶媒を減圧濃縮した
後、残渣を蒸留水に溶解させ、限外濾過(分画分子量1
000)により精製し、最後に凍結乾燥により白色粉末
状の下式〔11〕で表わされる反応性ポリオキシアルキ
レン誘導体からなる小胞体修飾剤を得た(収率88
%)。
【化22】
【0059】化合物の分析結果は次の通りである。1 H−NMR(270MHz、δ:ppm、CDCl3
J=Hz) 8.46(g;s,1H) 8.13(c;s,1H) 7.67(i,j;m,2H) 7.42(b;s,1H) 7.11(h;s,1H) 7.08(a;s,1H) 4.62(d;t,2H,J=6.3) 3.64(e;m,約260H) 3.08(f;t,2H,J=6.4) IR(KBr:cm-1) 1720(C=O伸縮)、1600、1580、152
5(芳香環)
【0060】実施例1−1 卵黄ホスファチジルコリン20mg(26μmol)、
コレステロール3.9mg(10μmol)およびジパ
ルミトイルホスファチジルエタノールアミン2.8mg
(4μmol)をナス型フラスコに入れ、2mlのベン
ゼンで溶解させた後、凍結乾燥を行った。これに生理的
食塩水1mlを加え、バス型超音波照射およびボルテッ
クスミキサーにより、多重層リポソームを得た。さらに
エクスツルーダーにより3.0→1.0→0.2μmの
ポリカーボネートメンブランを順次通過させることによ
り、大きな一枚膜リポソームを得た。
【0061】次に、得られたリポソーム懸濁液の500
μlに、合成例1で得られた反応性ポリオキシアルキレ
ン誘導体の10wt%を含む生理的食塩水1mlを加
え、室温で6時間反応させた。反応終了後、Sepha
dex G−50を用いてゲル濾過を行い、含リポソー
ム分画を分取し、反応性リポソームを得た。得られた反
応性リポソームの粒径をレーザー散乱粒度分布計(NI
COMP社製、NICOMP370HPL、商標)を用
い測定したところ、平均粒径172nm(CV値16
%)であった。また、5℃で3週間保存した後の平均粒
径は180nm(CV値17%)であり、安定性に優れ
ていた。
【0062】実施例1−2 実施例1−1と同様にして、ただし反応性ポリオキシア
ルキレン誘導体の10wt%を含む生理的食塩水に代え
て、下式〔12〕で表わされる反応性ポリオキシアルキ
レン誘導体5wt%およびα−メチルカルボニル(N−
オキシコハク酸イミド)−ω−メトキシ ポリオキシエ
チレン(分子量3000)10wt%を含む生理的食塩
水1mlを用いることにより、ピリジンジスルフィド基
がポリオキシアルキレン鎖を介してリポソームの外水相
膜にのみ結合した反応リポソームを得た(平均粒径18
8nm、CV値17%)。また、5℃で3週間保存した
後の平均粒径は190nm(CV値18%)であり、安
定性に優れていた。
【化23】
【0063】実施例1−3 実施例1−1と同様にして、ただし反応性ポリオキシア
ルキレン誘導体の10wt%を含む生理的食塩水に代え
て、下式〔13〕で表わされる反応性ポリオキシアルキ
レン誘導体5wt%およびα−メチルカルボニル(N−
オキシコハク酸イミド)−ω−メトキシ ポリオキシエ
チレン(分子量3000)10wt%を含む生理的食塩
水1mlを用いることにより、ピリジンジスルフィド基
がポリオキシアルキレン鎖を介してリポソームの外水相
膜にのみ結合した反応性リポソームを得た(平均粒径1
89nm、CV値18%)。また、5℃で3週間保存し
た後の平均粒径は197nm(CV値20%)であり、
安定性に優れていた。
【化24】
【0064】実施例1−4 実施例1−1と同様にして、ただし反応性ポリオキシア
ルキレン誘導体の10wt%を含む生理的食塩水に代え
て、下式〔14〕で表わされる反応性ポリオキシアルキ
レン誘導体(ランダム共重合体)5wt%およびα−メ
チルカルボニル(N−オキシコハク酸イミド)−ω−メ
トキシ ポリオキシエチレン(分子量3000)10w
t%を含む生理的食塩水1mlを用いることにより、ピ
リジンジスルフィド基がポリオキシアルキレン鎖を介し
てリポソームの外水相膜にのみ結合した反応性リポソー
ムを得た(平均粒径192nm、CV値19%)。ま
た、5℃で3週間保存した後の平均粒径は208nm
(CV値24%)であり、安定性に優れていた。
【化25】
【0065】実施例1−5 実施例1−1と同様にして、ただし反応性ポリオキシア
ルキレン誘導体の10wt%を含む生理的食塩水に代え
て、下式〔15〕で表わされる反応性ポリオキシアルキ
レン誘導体(ブロック共重合体)5wt%およびα−メ
チルカルボニル(N−オキシコハク酸イミド)−ω−メ
トキシ ポリオキシエチレン(分子量3000)10w
t%を含む生理的食塩水1mlを用いることにより、ピ
リジンジスルフィド基がポリオキシアルキレン鎖を介し
てリポソームの外水相膜にのみ結合した反応性リポソー
ムを得た(平均粒径222nm、CV値22%)。ま
た、5℃で3週間保存した後の平均粒径は250nm
(CV値25%)であり、安定性に優れていた。
【化26】
【0066】実施例1−6 実施例1−1と同様にして、ただし反応性ポリオキシア
ルキレン誘導体の10wt%を含む生理的食塩水に代え
て、下式〔16〕で表わされる反応性ポリオキシアルキ
レン誘導体5wt%およびα−メチルカルボニル(N−
オキシコハク酸イミド)−ω−メトキシ ポリオキシエ
チレン(分子量3000)10wt%を含む生理的食塩
水1mlを用いることにより、ピリジンジスルフィド基
がポリオキシアルキレン鎖を介してリポソームの外水相
膜にのみ結合した反応性リポソームを得た(平均粒径1
87nm、CV値18%)。また、5℃で3週間保存し
た後の平均粒径は193nm(CV値21%)であり、
安定性に優れていた。
【化27】
【0067】実施例1−7 実施例1−1と同様にして、ただし反応性ポリオキシア
ルキレン誘導体の10wt%を含む生理的食塩水に代え
て、下式〔17〕で表わされる反応性ポリオキシアルキ
レン誘導体5wt%およびα−メチルカルボニル(N−
オキシコハク酸イミド)−ω−メトキシ ポリオキシエ
チレン(分子量3000)10wt%を含む生理的食塩
水1mlを用いることにより、ピリジンジスルフィド基
がポリオキシアルキレン鎖を介してリポソームの外水相
膜にのみ結合した反応性リポソームを得た(平均粒径1
99nm、CV値19%)。また、5℃で3週間保存し
た後の平均粒径は211nm(CV値24%)であり、
安定性に優れていた。
【化28】
【0068】実施例1−8 実施例1−1と同様にして、ただし反応性ポリオキシア
ルキレン誘導体の10wt%を含む生理的食塩水に代え
て、下式〔18〕で表わされる反応性ポリオキシアルキ
レン誘導体1wt%およびα−メチルカルボニル(N−
オキシコハク酸イミド)−ω−メトキシ ポリオキシエ
チレン(分子量3000)10wt%を含む生理的食塩
水1mlを用いることにより、ピリジンジスルフィド基
がポリオキシアルキレン鎖を介してリポソームの外水相
膜にのみ結合した反応性リポソームを得た(平均粒径1
87nm、CV値17%)。また、5℃で3週間保存し
た後の平均粒径は191nm(CV値21%)であり、
安定性に優れていた。
【化29】
【0069】実施例1−9 実施例1−1と同様にして、ただし反応性ポリオキシア
ルキレン誘導体の10wt%を含む生理的食塩水に代え
て、下式〔19〕で表わされる反応性ポリオキシアルキ
レン誘導体1wt%およびα−メチルカルボニル(N−
オキシコハク酸イミド)−ω−メトキシ ポリオキシエ
チレン(分子量3000)5wt%を含む生理的食塩水
1mlを用いることにより、ピリジンジスルフィド基が
ポリオキシアルキレン鎖を介してリポソームの外水相膜
にのみ結合した反応性リポソームを得た(平均粒径18
3nm、CV値17%)。また、5℃で3週間保存した
後の平均粒径は192nm(CV値18%)であり、安
定性に優れていた。
【化30】
【0070】実施例2 西洋わさびペルオキシダーゼに3−(2−ピリジルチ
オ)プロピオン酸−N−ヒドロキシコハク酸イミドエス
テルを反応させ、さらにメルカプトエタノールによりジ
チオピリジル基を還元させて、チオール基を導入した西
洋わさびペルオキシダーゼ(以下、チオール化HRPと
略す)を得た。次に、実施例1−1で得られた反応性リ
ポソームの懸濁液500μlに、チオール化HRPを1
mg溶解させた0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)1
mlを加え、4℃で24時間攪拌し、HRPをリポソー
ムの外水相膜に固定化した。反応終了後、Sephad
ex G−50を用いてゲル濾過し、含リポソーム画分
を分取した。これに、HRPの基質である1,2−フェ
ニレンジアミン溶液(10mmol/l)0.1mlを
加え、30℃で10分間インキュベートし、さらに0.
1N硫酸10μlを加えたところ、褐色の呈色が見られ
た。この結果から、実施例1−1の反応性リポソーム
は、チオール化HRPと攪拌するだけで容易にHRPを
固定化できることが確認できた。
【0071】比較例1 卵黄ホスファチジルコリン20mg(26μmol)、
コレステロール3.9mg(10μmol)およびジパ
ルミトイルホスファチジルエタノールアミン2.8mg
(4μmol)のみを用いて、実施例1−1と同様の操
作により、固形分量約0.25%の大きな一枚膜リポソ
ームを得た。このリポソームに実施例2と同様にしてチ
オール化HRPを反応させ、ゲル濾過により精製した。
次に1,2−フェニレンジアミン溶液(10mmol/
l)0.1mlを加え、30℃で10分間インキュベー
トし、さらに0.1N硫酸10μlを加えたが、発色は
見られなかった。この結果から、ピリジンジスルフィド
基を持たないリポソームではチオール化HRPを固定で
きないことがわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C07D 213:70 C07D 233:56 233:56) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 47/22 A61K 9/127 C07D 213/70 C07D 401/12 C07D 233/56 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミノ基を有するリン脂質を小胞体形成
    成分として含む小胞体において、この小胞体の外水相面
    にのみ、一般式〔1〕 【化1】 〔式中、R1は水素原子またはメチル基を表わす。〕で
    表わされるピリジンジスルフィド基が(ポリ)オキシア
    ルキレン鎖を介して前記アミノ基と化学結合により結合
    していることを特徴とする反応性小胞体。
  2. 【請求項2】 アミノ基を有するリン脂質を小胞体形成
    成分として含む小胞体と、下記一般式〔2〕で表わされ
    る小胞体修飾剤との反応生成物からなる請求項1記載の
    反応性小胞体。 【化2】 〔式中、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、 nはオキシアルキレン基の平均付加モル数で、1〜10
    00の正数を表わす。nが2以上の場合、オキシアルキ
    レン基は同一でも異なっていてもよく、またランダム状
    に付加していても、ブロック状に付加していてもよい。
    1は水素原子またはメチル基、 Xは 【化3】 (式中、R2は水素原子またはメチル基、R3は活性化エ
    ステル残基、pは2〜4の整数、qは0または1を表わ
    す。)、 Yは炭素数2〜4のアルキレン基、 aは0または1、Zは 【化4】 (式中、sおよびtはそれぞれ独立に0または1、uは
    1〜3の整数を表わす。)を表わす。〕
  3. 【請求項3】 下記一般式〔2〕で表わされる(ポリ)
    オキシアルキレン誘導体からなることを特徴とする小胞
    体修飾剤。 【化5】 〔式中、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、 nはオキシアルキレン基の平均付加モル数で、1〜10
    00の正数を表わす。nが2以上の場合、オキシアルキ
    レン基は同一でも異なっていてもよく、またランダム状
    に付加していても、ブロック状に付加していてもよい。
    1は水素原子またはメチル基、 Xは 【化6】 (式中、R2は水素原子またはメチル基、R3は活性化エ
    ステル残基、pは2〜4の整数、qは0または1を表わ
    す。)、 Yは炭素数2〜4のアルキレン基、 aは0または1、Zは 【化7】 (式中、sおよびtはそれぞれ独立に0または1、uは
    1〜3の整数を表わす。)を表わす。〕
  4. 【請求項4】 アミノ基を有するリン脂質を小胞体形成
    成分として含む小胞体と、下記一般式〔2〕で表わされ
    る小胞体修飾剤とを、水系溶媒中で反応させることを特
    徴とする請求項1記載の反応性小胞体の製造方法。 【化8】 〔式中、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、 nはオキシアルキレン基の平均付加モル数で、1〜10
    00の正数を表わす。nが2以上の場合、オキシアルキ
    レン基は同一でも異なっていてもよく、またランダム状
    に付加していても、ブロック状に付加していてもよい。
    1は水素原子またはメチル基、 Xは 【化9】 (式中、R2は水素原子またはメチル基、R3は活性化エ
    ステル残基、pは2〜4の整数、qは0または1を表わ
    す。)、 Yは炭素数2〜4のアルキレン基、 aは0または1、Zは 【化10】 (式中、sおよびtはそれぞれ独立に0または1、uは
    1〜3の整数を表わす。)を表わす。〕
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