JP3557638B2 - (ポリ)オキシアルキレン鎖結合小胞体、小胞体修飾剤および製造方法 - Google Patents

(ポリ)オキシアルキレン鎖結合小胞体、小胞体修飾剤および製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、(ポリ)オキシアルキレン鎖結合小胞体、これを製造するための小胞体修飾剤、および(ポリ)オキシアルキレン鎖結合小胞体の製造方法に関する。さらに詳しくはリポソームまたは脂肪乳剤などの形態で医薬の運搬体、マイクロカプセル代替品などとして利用できる(ポリ)オキシアルキレン鎖結合小胞体、これを製造するための小胞体修飾剤、および(ポリ)オキシアルキレン鎖結合小胞体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
リポソームはリン脂質の二分子膜からなる小胞体であり、多分野での応用が試みられている。特に、ドラッグデリバリーシステム(DDS)用の医薬運搬体などへの応用が注目されているが、リポソームの血中濃度を維持することなどが大きな課題となっている。例えば、リポソームを生体内へ投与したとき、その多くは肝臓、脾臓などの網内系器官で捕捉されるため、十分な効果が得られないことが指摘されている(Cancer Res., 43, 5328(1983))。そこで、この網内系器官で捕捉されてしまう問題点や、リポソームに封入した薬剤のもれ防止、あるいはリポソーム自身の崩壊性・凝集性など安定性の低さに関する問題点を改善する方法として、リポソームの外表面にポリエチレングリコール鎖を導入することが試みられている(例えば、特開平1−249717号公報、特開平2−149512号公報、特開平3−181415号公報、特開平3−218309号公報、特開平4−5242号公報、FEBS letters, 268, 235(1990))。また、ポリエチレングリコールで修飾されたリポソームは、長期間にわたり血液中濃度を維持できることが明らかになっている(Biochem. Biophys. Acta., 1066, 29−36(1991))。
【0003】
リポソームの外表面にポリエチレングリコール鎖を導入する方法も次のような種々の方法が提案されている。
1)ポリオキシエチレンアルキルエーテルのような疎水性部が一本鎖のポリオキシエチレンエーテル誘導体を膜形成成分と混合し、この混合脂質を用いてリポソームを形成する方法(特開平2−149512号公報)。
2)ホスファチジルエタノールアミンのアミノ基とポリエチレングリコールの水酸基とをトリアジン環等を介して結合させたポリエチレングリコール結合リン脂質を、膜形成成分として用いてリポソームを形成する方法(特開平2−149512号公報、特開平3−218309号公報、特開平4−5242号公報)。
3)ポリエチレングリコール鎖が結合したトリアジン誘導体を膜形成成分として用いてリポソームを形成する方法(特開平1−249717号公報)。
4)リポソームを形成した後、リポソーム懸濁液に上記2)の方法で用いたポリエチレングリコール結合リン脂質を添加し、室温下でまたは膜形成成分の相転移温度以上に加熱することにより、リポソーム膜にポリエチレングリコール結合リン脂質を取込ませる方法(特開平3−181415号公報、特開平3−218309号公報)。
【0004】
しかし上記従来の方法には次のような問題点がある。
上記1)の疎水性部が一本鎖のポリオキシエチレンエーテル誘導体を膜形成成分として用いる方法では、得られるリポソームの安定性が低く、ポリオキシエチレンエーテル誘導体がリポソーム膜から漏出しやすいという問題点がある。
上記2)および3)の方法では、リポソーム自体としては安定性の高いリポソームが得られるものの、これらの方法により得られるリポソームではポリエチレングリコール鎖がリポソームの内部または内表面にも存在することになり、このポリエチレングリコール鎖と封入物質、例えばインターフェロンインデューサーとして用いられるポリアクリル酸、ポリメタクリル酸またはマレイン酸共重合体等のポリアニオンとが複合体を形成するため、このような物質を封入したリポソームでは安定性が低下するという問題点がある。さらにこれらの方法はポリエチレングリコールを結合した膜形成成分をリポソーム化することにより製造しているため、ポリエチレングリコール鎖の長さ(重合度)や親水性と疎水性とのバランスを調節する必要が生じた場合は、そのたびごとにリポソームの製造からやり直さなければならず、手間がかかるという問題点もある。
【0005】
上記4)の方法はリポソーム形成後にポリエチレングリコール鎖を導入する方法であるが、室温で導入する場合は導入できるポリエチレングリコール鎖の量が少なく、また多くしようとすると膜形成成分として相転移温度の低いリン脂質を用いる必要があり、この場合はリポソームの安定性が低下するという問題点がある。一方、相転移温度以上に加熱する方法では、加熱により封入物質の活性が低下するという問題点がある。
【0006】
ところで、特開平3−218309号公報の実施例5では、両末端カルボキシルPEG(ポリエチレングリコール)を1,1′−カルボニルジイミダゾール(CDI)で活性化して、両末端にカルボニルイミダゾール基が結合した活性化PEGを得、これとホスファチジルエタノールアミンとを反応させ、アミド結合を介してPEG両末端にリン脂質が結合したPEG結合リン脂質を製造している。この場合、ホスファチジルエタノールアミンを膜形成成分として含むリポソームに活性化PEGを反応させてリポソームを修飾する方法も考えられるが、カルボニルイミダゾール基(オキシカルボニルイミダゾール基ではない)部分は水中で容易に分解するため、上記活性化PEGをリポソームの修飾剤として使用することはできない。またここで得られているリポソームはアミド結合(ウレタン結合ではない)により結合したポリエチレングリコール鎖が外表面にループ状に伸びたものであり、ポリエチレングリコール鎖導入の効果は小さいという問題点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点を解決するため、(ポリ)オキシアルキレン鎖が小胞体の外表面(外側)にのみ存在し、内側には(ポリ)オキシアルキレン鎖が存在せず、しかも(ポリ)オキシアルキレン鎖の量を多くすることができるとともに、内包物質の活性を高く維持できる(ポリ)オキシアルキレン鎖結合小胞体、これを製造するための小胞体修飾剤、および(ポリ)オキシアルキレン鎖結合小胞体の製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は次の(ポリ)オキシアルキレン鎖結合小胞体、小胞体修飾剤、および(ポリ)オキシアルキレン鎖結合小胞体の製造方法である。
(1)アミノ基を有するリン脂質を小胞体形成成分として含む小胞体において、小胞体の外表面に存在する前記アミノ基とのウレタン結合により、一般式〔1〕
【化4】
Figure 0003557638
〔式中、Yは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、
AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、
nはオキシアルキレン基の平均付加モル数で、1〜1000の正数を表わす。nが2以上の場合、オキシアルキレン基は同一でも異なっていてもよく、またランダム状に付加していても、ブロック状に付加していてもよい。〕
で表わされる(ポリ)オキシアルキレン鎖が、小胞体の外表面にのみ結合した小胞体であって、一般式〔2〕
【化5】
Figure 0003557638
〔式中、Y、AOおよびnは前記一般式〔1〕と同じである。
Lip−NH−はアミノ基を有するリン脂質を小胞体形成成分として含む小胞体を示す。〕
で表わされる構造を有することを特徴とする(ポリ)オキシアルキレン鎖結合小胞体。
(2)アミノ基を有するリン脂質を小胞体形成成分として含む小胞体と反応させて、小胞体の外表面に存在するアミノ基とのウレタン結合により(ポリ)オキシアルキレン鎖が小胞体の外表面にのみ結合した上記(1)記載の小胞体を製造するための小胞体修飾剤であって、
一般式〔3〕
【化6】
Figure 0003557638
〔式中、R1は水素原子またはメチル基を表わす。
Y、AOおよびnは前記一般式〔1〕と同じである。〕
で表わされる(ポリ)アルキレンオキシド誘導体からなることを特徴とする上記(1)記載の小胞体製造用の小胞体修飾剤。
(3)アミノ基を有するリン脂質を小胞体形成成分として含む小胞体に、上記(2)記載の小胞体修飾剤を反応させることを特徴とする上記(1)記載の小胞体の製造方法。
【0009】
本発明において、「(ポリ)オキシアルキレン」はnが1のオキシアルキレンまたはnが2以上のポリオキシアルキレンを意味する。また「(ポリ)アルキレン」も上記と同様にアルキレンまたはポリアルキレンを意味する。
【0010】
本発明において小胞体とは、小胞体形成成分の親水基が界面の水相に向って配向した構造を有する粒子を意味する。本発明においては、小胞体はアミノ基を有するリン脂質を小胞体形成成分として含有しているので、(ポリ)オキシアルキレン鎖結合小胞体を製造する前の小胞体には、外表面にアミノ基が存在している。小胞体の具体的なものとしては、二分子膜からなる閉鎖小胞であるリポソーム、植物油およびリン脂質などの混合物が乳化された脂肪乳剤、またはミセルなどがあげられる。
【0011】
本発明の(ポリ)オキシアルキレン鎖結合小胞体は、一般式〔1〕で表わされる(ポリ)オキシアルキレン鎖が、小胞体の外表面にのみ結合した小胞体であり、内側または内表面(以下、両者をまとめて内側という)には(ポリ)オキシアルキレン鎖は結合していない。(ポリ)オキシアルキレン鎖は、一般式〔2〕に示されているように、ウレタン結合(−NHC(=O)O−)により小胞体の外表面にのみ結合している。
【0012】
一般式〔1〕〜〔3〕のYで示される炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などがあげられる。
【0013】
一般式〔1〕〜〔3〕のAOで表わされるオキシアルキレン基は、炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシトリメチレン基、オキシ−1−エチルエチレン基、オキシ−1,2−ジメチルエチレン基、オキシテトラメチレン基などがあげられる。これらのオキシアルキレン基は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、オキセタン、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、テトラヒドロフランなどのアルキレンオキシドを付加重合させた基である。
一般式〔1〕〜〔3〕のnはオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、1〜1000、好ましくは10〜300、さらに好ましくは20〜120の正数である。
【0014】
nが2以上の場合、オキシアルキレン基の種類は同一のものでも、異なるものでもよい。後者の場合、ランダム状に付加していても、ブロック状に付加していてもよい。
親水性を付与する場合、AOとしてはエチレンオキシドが単独で付加したものが好ましく、この場合、nが10以上のものが好ましい。また種類の異なるアルキレンオキシドが付加している場合、エチレンオキシドが20モル%以上、好ましくは50モル%以上付加しているのが望ましい。(ポリ)オキシアルキレン鎖に親油性を付与する場合はエチレンオキシド以外の付加モル数を多くする。
【0015】
一般式〔3〕において、オキシカルボニルイミダゾール基部分はアミノ基、特に第1級アミノ基に対して高い反応性を有している反応活性基部分である。このオキシカルボニルイミダゾール基はカルボニルイミダゾール基のように水中でも分解しない。このためアミノ基を有するリン脂質を小胞体形成成分として含む小胞体に、一般式〔3〕で表わされる小胞体修飾剤を水系媒体中で反応させることにより、一般式〔1〕で表わされる(ポリ)オキシアルキレン基がウレタン結合により外表面に結合した本発明の小胞体を容易に製造することができる。
【0016】
アミノ基を有するリン脂質としては、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリンまたはホスファチジルスレオニンなどがあげられ、一種単独で、または二種以上組合せて使用できる。これらのリン脂質としては、2つの脂肪酸エステル部位に炭素数4〜30、好ましくは8〜18の飽和または不飽和の脂肪酸を有するものが望ましく、天然または合成のいずれのものでもよい。具体的には、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルセリン、ジパルミトイルホスファチジルセリン、ジステアロイルホスファチジルセリン、ジミリストイルホスファチジルスレオニン、ジパルミトイルホスファチジルスレオニン、ジステアロイルホスファチジルスレオニンなどがあげられる。
【0017】
小胞体形成成分としては、アミノ基を有するリン脂質の他にも小胞体を形成しうる他の化合物も使用でき、例えば大豆レシチン、卵黄レシチン、その他のリン脂質類、コレステロール、イントラリピッド(大塚製薬(株)、商標)、大豆油、サフラワー油など、従来から小胞体の形成成分として用いられているものが使用できる。また小胞体としては、上記イントラリピッドのような脂質混合乳化物を使用することもできる。
【0018】
全小胞体形成成分中に占めるアミノ基を有するリン脂質の割合は、通常0.01〜100モル%とするのが好ましく、アミノ基を有するリン脂質の割合を多くするほど、一般式〔1〕で表わされる(ポリ)オキシアルキレン鎖の量を多くすることができる。このようにアミノ基を有するリン脂質の割合を調節するだけで、導入できる(ポリ)オキシアルキレン鎖の量を簡単に調節できる。
【0019】
小胞体と一般式〔3〕で表わされる小胞体修飾剤との反応は、水系溶媒、例えば蒸留水、生理的食塩水のほかリン酸緩衝液、炭酸緩衝液、トリス緩衝液、酢酸緩衝液など種々の緩衝液中で、pH1〜12、好ましくはpH3〜10、反応温度0〜100℃、好ましくは0〜40℃で、反応時間30分間〜168時間、好ましくは1時間〜24時間の条件で行うことができる。
【0020】
このようにして反応させることにより、小胞体外表面のアミノ基と小胞体修飾剤のオキシカルボニル基部分とが反応してウレタン結合を形成し、一般式〔1〕で表わされる(ポリ)オキシアルキレン鎖が小胞体外表面に導入され、一般式〔2〕で表わされる構造を有する本発明の小胞体が得られる。この場合、小胞体に内包させている物質の活性が低下しない温度を任意に選択できるので、内包物質の活性を高く維持したまま(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入できる。
【0021】
アミノ基を有するリン脂質としてホスファチジルエタノールアミンを用いた場合のリポソームと小胞体修飾剤とから反応性リポソームを製造する反応式は次の〔4〕式で示される。式中、Lipはホスファチジルエタノールアミンを含むリポソームを示す。R、Y、AO、nは前記と同じものを示す。
【化7】
Figure 0003557638
このようにして得られた本発明の小胞体は、ゲルろ過、透析、限外ろ過などにより容易に単離・精製することができる。
【0022】
このように本発明の製造方法では、調製済みの小胞体に、後から(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入しているので、小胞体の外表面にのみ(ポリ)オキシアルキレン鎖が存在し、内側には存在しない小胞体が得られる。
【0023】
本発明の小胞体修飾剤は、例えば両末端に水酸基を有する(ポリ)アルキレングリコールまたは片末端に水酸基、もう一方の末端にアルコキシ基を有する(ポリ)アルキレングリコールと、N,N′−カルボニルジイミダゾール(以下、CDIと略す)またはN,N′−カルボニルジ(2−メチルイミダゾール)とを反応させることにより製造することができる。(ポリ)アルキレングリコールとCDIとの仕込モル比は、1:0.1〜1:10、好ましくは1:0.5〜1:5とするのが望ましい。
【0024】
反応は無溶媒または1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ベンゼンなどの有機溶媒中で、反応温度−100〜+100℃、好ましくは0〜40℃で、反応時間10分間〜168時間、好ましくは30分間〜12時間の条件で容易に行うことができる。
得られた反応混合物は、精製することなくそのままで、あるいは再沈殿、カラム、ゲルろ過、限外ろ過、透析などの方法により単離・精製した後、小胞体修飾剤として使用される。
【0025】
次にそれぞれの小胞体について詳しく説明する。
まず代表的な小胞体であるリポソームについて説明する。
本発明に係るリポソームは膜を構成するいちばん外側の膜の外表面にのみ一般式〔1〕で表わされる(ポリ)オキシアルキレン鎖が存在し、それ以外には存在しないリポソームである。
【0026】
リポソームを構成する膜形成成分(小胞体形成成分)としては、前記アミノ基を有するリン脂質の他に、従来からリポソームの膜形成成分として用いられているものが制限なく使用できる。具体的には、ジホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、ホスファチジルイノシトール、大豆レシチン、卵黄レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール等のリン脂質および脂肪酸部に不飽和基を有する重合性リン脂質;スルホキシリボシルジグリセリド、ジガラクトシルジグリセリド、ラクトシルジグリセリド等の糖脂質類;コレステロール等の非極性脂質;その他には、非イオン性界面活性剤、ホスファチジルポリエチレングリコール、「Biochem. Biophys. Acta., 1066, 29−36(1990)」に記載されているホスファチジルエタノールアミンとポリエチレングリコールとの反応物、およびこれらの混合物などがあげられる。
【0027】
全膜形成成分中に占めるアミノ基を有するリン脂質の割合は、通常前記範囲で用いられるが、0.1〜50モル%とするのが好ましい。0.01モル%未満の場合、リポソーム外表面に存在する一般式〔1〕で表わされる(ポリ)オキシアルキレン鎖の導入量が少なくなるので好ましくない。
【0028】
小胞体修飾剤と反応させる前のリポソームは、膜形成成分を有機溶媒等の適当な溶媒に溶解し、エクスツルージョン法、ボルテックスミキサー法、超音波法、界面活性剤除去法、逆層蒸発法、エタノール注入法、プレベシクル法、フレンチプレス法、W/O/Wエマルジョン法、アニーリング法、凍結融解法など、種々の公知の方法によりリポソーム化することにより製造することができる。また、これらの製造法を選択することにより、多重層リポソーム、小さな一枚膜リポソーム、大きな一枚膜リポソームなど、種々の大きさや形態を有するリポソームを製造することができる。
このような方法により、リポソームの外表面および内側にアミノ基が存在するリポソームが得られる。
【0029】
リポソームの内部には、一般のリポソームと同様に種々の物質を公知の方法により封入することが可能である。被封入物質としては、例えば色素、染料、放射線ラベル化合物、蛍光化合物、化学発光化合物等の標識物質;光応答性化合物、pH応答性化合物、熱応答性化合物、電極反応性化合物等の外部刺激反応性化合物;酵素、抗体、その他のタンパク質、糖、脂質、糖タンパク質、糖脂質、ホルモン等の生理活性物質;医薬;ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸等の水溶性高分子類;ホスファチジルセリン等のリン脂質;これらの混合物などがあげられる。
【0030】
上記のようなリポソームと一般式〔3〕で表わされる小胞体修飾剤とを前記のようにして反応させることにより、外表面に(ポリ)オキシアルキレン鎖が結合したリポソームが得られる。この場合、全反応溶液中のリポソームの濃度は、固形分量として0.001〜1000mg/ml、好ましくは0.1〜100mg/mlとするのが望ましく、また小胞体修飾剤の濃度は特に限定されないが、0.001〜1000mg/ml、好ましくは0.01〜500mg/mlとするのが望ましい。小胞体修飾剤の使用量が上記下限値より少ない場合、得られたリポソームは外表面に共有結合した(ポリ)オキシアルキレン鎖の量が少なくなるので好ましくない。一方、上限値を超えると反応溶液の粘度が高くなり、リポソームの安定性が低下するため好ましくない。
【0031】
本発明の製造方法では、調製済みのリポソームに後から(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入しているので、(ポリ)オキシアルキレン鎖の長さを調節する必要が生じた場合にも、リポソームから製造し直す必要はなく、必要な長さを有する小胞体修飾剤と反応させるだけで容易に目的とするリポソームが得られる。また親水性と疎水性とのバランスを調節する必要が生じた場合にも、導入したい(ポリ)オキシアルキレン鎖を有する小胞体修飾剤と反応させるだけで、目的とするリポソームが得られる。さらに(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入する反応は室温でも容易に進行するため、封入物質の活性を低下させることはない。
【0032】
このようにして得られたリポソームは、外表面にのみ(ポリ)オキシアルキレン鎖が存在し、内側には存在していないので、(ポリ)オキシアルキレン鎖の特性をリポソームに付与することができ、これによりリポソームの安定性や他の物質への親和性などを高めることができる。例えばポリオキシエチレン鎖、またはポリオキシエチレン−他のポリオキシアルキレン鎖がリポソームに結合している場合は、長期間にわたる血液中濃度の維持、非免疫原生、リポソーム内部に封入した物質の漏れ防止などの効果が期待できる。さらにリポソームの内側には(ポリ)オキシアルキレン鎖が存在しないため、封入物質との相互作用や複合体の形成は起らず、このためリポソームの安定性は低下しない。
このため本発明に係るリポソームは、医薬の運搬体、マイクロカプセル代替品などとして利用できる。
【0033】
なお、リポソームを製造する際、膜形成成分として重合性リン脂質を配合することにより、重合性のリポソームとすることができる。重合性のリン脂質としては、公知の重合性リン脂質を使用することができるが、例えば1,2−ジ(2,4−オクタデカジエノイル)−3−ホスファチジルコリンの他、野島庄七、砂本順三、井上圭三編集、1988年南雲堂発行の「リポソーム」p313〜315に記載のものなどがあげられる。これらの中では、1,2−ジ(2,4−オクタデカジエノイル)−3−ホスファチジルコリンが好ましい。
【0034】
重合性リポソームは、リポソーム調製後に、光重合開始剤の存在下または非存在下でUV、γ線、電子線などの光照射を行うことにより、あるいはレドックス開始剤系により、あるいはアゾ系開始剤または有機過酸化物などの存在下で加熱を行うことにより、容易に重合を行うことができる。
このようにして得られた重合後のリポソームは、優れた安定性を有しているので、水溶液に分散させたままで、あるいは凍結乾燥等により粉末状に調製し、安定して使用することができる。
【0035】
他の小胞体としての脂肪乳剤は、アミノ基を有するリン脂質と、大豆油、サフラワー油等の植物油と、必要により添加される他の添加剤、例えば大豆レシチン、卵黄レシチン等のリン脂質、イントラリピッド(大塚製薬(株)製、商標)、乳化補助剤、安定化剤、等張化剤、脂溶性医薬、脂溶性生理活性物質などを含む油脂混合物が、外表面にのみ一般式〔1〕で表わされる(ポリ)オキシアルキレン鎖が存在する状態で乳化されたものである。
【0036】
小胞体修飾剤との反応前の脂肪乳剤は、公知の方法により製造することができる。例えば、アミノ基を有するリン脂質、植物油、および必要により配合する添加剤を混合、加熱し、水を加えてホモミキサー等で粗乳化し、次にマントン−ガウリン型の加圧噴射式ホモジナイザー等で均質化する方法などにより製造することできる。また脂肪乳剤としては、上記イントラリピッドのような脂質混合乳化物を使用することもできる。
【0037】
このようにして得られた小胞体修飾剤との反応前の脂肪乳剤と一般式〔3〕で表わされる小胞体修飾剤とを、リポソームの場合と同様にして反応させることにより、本発明に係る脂肪乳剤が得られる。
このため本発明に係る脂肪乳剤は、医薬の運搬体、マイクロカプセル代替品などとして利用できる。
【0038】
上記以外の小胞体であるミセルは、アミノ基を有するリン脂質が単独で、または他の成分、例えばホスファチジルコリン、その他のリン脂質類、コレステロールなどが、外表面にのみ一般式〔1〕で表わされる(ポリ)オキシアルキレン鎖が存在する状態でミセル化したものであり、脂肪乳剤と同様の用途に利用できる。
【0039】
【発明の効果】
本発明の小胞体は、アミノ基を有するリン脂質を小胞体形成成分として含む小胞体の外表面に存在する前記アミノ基とのウレタン結合により、(ポリ)オキシアルキレン鎖が小胞体の外表面にのみ結合し、内側には存在していないので、小胞体に(ポリ)オキシアルキレン鎖の特性を付与することができ、また内包させる物質等と(ポリ)オキシアルキレン鎖との相互作用や複合体の形成が起こらないのでリポソームの安定性は低下せず、このような内包物質の漏れも防止することができる。さらに(ポリ)オキシアルキレン鎖の導入量を多くすることができるとともに、内包物質の活性を高く維持できる。
【0040】
本発明の小胞体修飾剤は、アミノ基を有するリン脂質を小胞体形成成分として含む小胞体と反応させて、小胞体の外表面に存在するアミノ基とのウレタン結合により(ポリ)オキシアルキレン鎖が小胞体の外表面にのみ結合した上記のような小胞体を製造するための原料として用いることにより、簡単な操作で、外表面のみに(ポリ)オキシアルキレン鎖を結合させることができる。
【0041】
本発明の小胞体の製造方法は、アミノ基を有するリン脂質を小胞体形成成分として含む小胞体に、上記小胞体修飾剤を反応させるようにしたので、簡単に効率よく前記のような小胞体を製造することができ、このため(ポリ)オキシアルキレン鎖の長さや親水性と疎水性とのバランスを、リポソーム調製後に簡単に調節することができる。また小胞体と小胞体修飾剤との反応は室温でも容易に進行するため、内包物質の活性を低下させることはない。
【0042】
【実施例】
以下実施例によりさらに詳細な説明を行うが、本発明はこれらに限定されるものではない。
合成例1
乾燥アセトニトリル50ml中に、片末端に水酸基、もう片末端にメトキシ基を有するポリエチレングリコール(平均付加モル数約65、分子量約3000)1g(0.33mmol)およびN,N′−カルボニルジイミダゾール 162mg(1mmol)を加え、室温で4時間攪拌した。反応終了後、減圧下濃縮し、残渣に蒸留水を加え、限外ろ過(分画分子量1000)により精製を行い、さらに凍結乾燥して白色粉末状のα−メチル−ω−オキシカルボニルイミダゾール−ポリ(オキシエチレン)からなる小胞体修飾剤を得た(収率92%)。生成物の確認は、IRにおいて、ポリエチレングリコール末端の水酸基(OH伸縮、3430cm−1)の消失、およびオキシカルボニルイミダゾール結合(C=O伸縮、1760cm−1)の生成により確認した。
【0043】
合成例2
乾燥アセトニトリル50ml中に、片末端に水酸基、もう片末端にメトキシ基を有するポリエチレングリコール(平均付加モル数約34、分子量約1500)1g(0.66mmol)およびN,N′−カルボニルジイミダゾール 162mg(1mmol)を加え、室温で4時間攪拌した。反応終了後、減圧下濃縮し、残渣に蒸留水を加え、限外ろ過(分画分子量1000)により精製を行い、さらに凍結乾燥して白色粉末状のα−メチル−ω−オキシカルボニルイミダゾール−ポリ(オキシエチレン)からなる小胞体修飾剤を得た(収率78%)。生成物の確認は、IRにおいて、ポリエチレングリコール末端の水酸基(OH伸縮、3430cm−1)の消失、およびオキシカルボニルイミダゾール結合(C=O伸縮、1760cm−1)の生成により確認した。
【0044】
合成例3
乾燥アセトニトリル50ml中に、片末端に水酸基、もう片末端にメトキシ基を有するポリエチレングリコール(平均付加モル数約227、分子量約10000)1g(0.1mmol)およびN,N′−カルボニルジイミダゾール 16.2mg(0.1mmol)を加え、室温で4時間攪拌した。反応終了後、減圧下濃縮し、残渣に蒸留水を加え、限外ろ過(分画分子量1000)により精製を行い、さらに凍結乾燥して白色粉末状のα−メチル−ω−オキシカルボニルイミダゾール−ポリ(オキシエチレン)からなる小胞体修飾剤を得た(収率92%)。生成物の確認は、IRにおいて、ポリエチレングリコール末端の水酸基(OH伸縮、3430cm−1)の消失、およびオキシカルボニルイミダゾール結合(C=O伸縮、1760cm−1)の生成により確認した。
【0045】
合成例4
乾燥アセトニトリル50ml中に、片末端に水酸基、もう片末端にn−プロポキシ基を有するポリエチレングリコール(平均付加モル数約65、分子量約3000)1g(0.33mmol)およびN,N′−カルボニルジイミダゾール 65mg(0.40mmol)を加え、室温で4時間攪拌した。反応終了後、減圧下濃縮し、残渣に蒸留水を加え、限外ろ過(分画分子量1000)により精製を行い、凍結乾燥して白色粉末状のα−プロピル−ω−オキシカルボニルイミダゾール−ポリ(オキシエチレン)からなる小胞体修飾剤を得た(収率87%)。生成物の確認は、IRにおいて、ポリエチレングリコール末端の水酸基(OH伸縮、3430cm−1)の消失、およびオキシカルボニルイミダゾール結合(C=O伸縮、1760cm−1)の生成により確認した。
【0046】
合成例5
乾燥アセトニトリル50ml中に、片末端に水酸基を有するポリエチレングリコール(分子量約3000)1g(0.33mmol)およびN,N′−カルボニルジイミダゾール 24mg(0.15mmol)を加え、室温で4時間攪拌した。反応終了後、減圧下濃縮し、残渣に蒸留水を加え、限外ろ過(分画分子量1000)により精製を行い、凍結乾燥して白色粉末状のα−ヒドロ−ω−オキシカルボニルイミダゾール−ポリ(オキシエチレン)約55mol%とポリエチレングリコール約45mol%との混合物を得た(収率86%)。生成物の確認は、IRにおいて、ポリエチレングリコール末端の水酸基(OH伸縮、3430cm−1)の減少、およびオキシカルボニルイミダゾール結合(C=O伸縮、1760cm−1)の生成により確認した。
【0047】
合成例6
乾燥アセトニトリル50ml中に、片末端に水酸基、もう片末端にメトキシ基を有する、プロピレンオキシド約5molとエチレンオキシド約60molのランダム共重合体(分子量約3000)1g(0.33mmol)およびN,N′−カルボニルジイミダゾール 81mg(0.50mmol)を加え、室温で4時間攪拌した。反応終了後、減圧下濃縮し、残渣に蒸留水を加え、限外ろ過(分画分子量1000)により精製を行い、凍結乾燥して白色粉末状のα−メチル−ω−オキシカルボニルイミダゾール−コポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)からなる小胞体修飾剤を得た(収率88%)。生成物の確認は、IRにおいて、ランダム共重合体末端の水酸基(OH伸縮、3430cm−1)の減少、およびオキシカルボニルイミダゾール結合(C=O伸縮、1760cm−1)の生成により確認した。
【0048】
合成例7
乾燥アセトニトリル50ml中に、片末端に水酸基、もう片末端にメトキシ基を有するテトラヒドロフラン約5molとエチレンオキシド約60molのランダム共重合体(分子量約3000)1g(0.33mmol)およびN,N′−カルボニルジイミダゾール 81mg(0.50mmol)を加え、室温で4時間攪拌した。反応終了後、減圧下濃縮し、残渣に蒸留水を加え、限外ろ過(分画分子量1000)により精製を行い、凍結乾燥して白色粉末状のα−メチル−ω−オキシカルボニルイミダゾール−コポリ(エチレンオキシド/テトラヒドロフラン)からなる小胞体修飾剤を得た(収率87%)。生成物の確認は、IRにおいて、ランダム共重合体末端の水酸基(OH伸縮、3430cm−1)の減少、およびオキシカルボニルイミダゾール結合(C=O伸縮、1760cm−1)の生成により確認した。
【0049】
実施例1−1
卵黄ホスファチジルコリン 20mg(26μmol)、コレステロール 3.9(10μmol)およびジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン 2.8mg(4μmol)を茄子型フラスコに入れ、2mlのベンゼンで溶解させた後、凍結乾燥を行った。これに生理的食塩水1mlを加え、バス型超音波照射およびボルテックスミキサーにより、多重層リポソームを得た。さらにエクスツルーダーにより3.0→1.0→0.2μmのポリカーボネートメンブランを順次通過させることにより、大きな単層リポソームを得た。
【0050】
次に、得られたリポソーム分散液の500μlに、合成例1で得たα−メチル−ω−オキシカルボニルイミダゾール−ポリ(オキシエチレン)を10重量%の濃度で含む生理的食塩水 1mlを加え、室温で6時間反応させ、外表面に一般式〔1〕で表わされるポリオキシエチレン鎖を結合させた。反応終了後、Sephadex G−50を用いてゲル濾過を行い、含リポソーム分画を分取し、外表面にのみ一般式〔1〕で表わされるポリオキシアルキレン鎖が結合したリポソーム(以下、PAO修飾リポソームという)を得た。得られたPAO修飾リポソームの粒径をレーザー散乱粒度分布計(NICOMP社製、NICOMP370HPL)を用いて測定したところ、平均粒径234nm(CV値11%)であった。
【0051】
実施例1−2
実施例1−1と同様にして、ただし合成例2で得たα−メチル−ω−オキシカルボニルイミダゾール−ポリ(オキシエチレン)を10重量%の濃度で含む生理的食塩水 1mlを用いることにより、PAO修飾リポソームを得た(平均粒径236nm、CV値13%)。
【0052】
実施例1−3
実施例1−1と同様にして、ただし合成例3で得たα−メチル−ω−オキシカルボニルイミダゾール−ポリ(オキシエチレン)を10重量%の濃度で含む生理的食塩水 1mlを用いることにより、PAO修飾リポソームを得た(平均粒径239nm、CV値14%)。
【0053】
実施例1−4
実施例1−1と同様にして、ただし合成例4で得たα−プロピル−ω−オキシカルボニルイミダゾール−ポリ(オキシエチレン)を1重量%の濃度で含む生理的食塩水 1mlを用いることにより、PAO修飾リポソームを得た(平均粒径241nm、CV値18%)。
【0054】
実施例1−5
実施例1−1と同様にして、ただし合成例5で得たα−ヒドロ−ω−オキシカルボニルイミダゾール−ポリ(オキシエチレン)約55mol%とポリエチレングリコール約45mol%との混合物を20重量%の濃度で含む生理的食塩水 1mlを用いることにより、PAO修飾リポソームを得た(平均粒径223nm、CV値11%)。
【0055】
実施例1−6
実施例1−1と同様にして、ただし合成例6で得たα−メチル−ω−オキシカルボニルイミダゾール−コポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)を1重量%の濃度で含む生理的食塩水 1mlを用いることにより、PAO修飾リポソームを得た(平均粒径232nm、CV値21%)。
【0056】
実施例1−7
実施例1−1と同様にして、ただし合成例7で得たα−メチル−ω−オキシカルボニルイミダゾール−コポリ(エチレンオキシド/テトラヒドロフラン)を1重量%の濃度で含む生理的食塩水 1mlを用いることにより、PAO修飾リポソームを得た(平均粒径242nm、CV値23%)。
【0057】
実施例2
実施例1−1〜1−7で得られた本発明のリポソームは、5℃で1か月間静置後も、いずれも平均粒径±5nm程度、CV値±5%程度と、優れた安定性を有していた。
【0058】
比較例1
卵黄ホスファチジルコリン 20mg(26μmol)、コレステロール 3.9(10μmol)およびα−ステアリル−ω−ヒドロキシ−ポリ(オキシエチレン)(平均付加モル数約10)の前記二者に対して10wt%(2.39mg、3.4μmol)を茄子型フラスコに入れ、2mlのベンゼンで溶解させた後、凍結乾燥を行った。これに生理的食塩水1mlを加え、バス型超音波照射およびボルテックスミキサーにより、外表面および内側にポリオキシエチレン鎖を有する多重層リポソームを得た。さらにエクスツルーダーにより3.0→1.0→0.2μmのポリカーボネートメンブランを順次通過させることにより、大きな単層リポソームを得た。
【0059】
得られたリポソームの粒径をレーザー散乱粒度分布計(NICOMP社製、NICOMP370HPL)を用いて測定したところ、平均粒径196nm(CV値11%)であった。さらに、5℃で一週間静置後、再度、粒径を測定したところ、平均粒径288nm(CV値65%)と、平均粒径、CV値ともに大きくなっており、リポソームは安定に保存できなかった。

Claims (3)

  1. アミノ基を有するリン脂質を小胞体形成成分として含む小胞体において、小胞体の外表面に存在する前記アミノ基とのウレタン結合により、一般式〔1〕
    Figure 0003557638
    〔式中、Yは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、
    AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、
    nはオキシアルキレン基の平均付加モル数で、1〜1000の正数を表わす。nが2以上の場合、オキシアルキレン基は同一でも異なっていてもよく、またランダム状に付加していても、ブロック状に付加していてもよい。〕
    で表わされる(ポリ)オキシアルキレン鎖が、小胞体の外表面にのみ結合した小胞体であって、一般式〔2〕
    Figure 0003557638
    〔式中、Yは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、
    AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、
    nはオキシアルキレン基の平均付加モル数で、1〜1000の正数を表わす。nが2以上の場合、オキシアルキレン基は同一でも異なっていてもよく、またランダム状に付加していても、ブロック状に付加していてもよい。
    Lip−NH−はアミノ基を有するリン脂質を小胞体形成成分として含む小胞体を示す。〕
    で表わされる構造を有することを特徴とする(ポリ)オキシアルキレン鎖結合小胞体。
  2. アミノ基を有するリン脂質を小胞体形成成分として含む小胞体と反応させて、小胞体の外表面に存在するアミノ基とのウレタン結合により(ポリ)オキシアルキレン鎖が小胞体の外表面にのみ結合した請求項1記載の小胞体を製造するための小胞体修飾剤であって、
    一般式〔3〕
    Figure 0003557638
    〔式中、R1は水素原子またはメチル基、
    Yは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、
    AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、
    nはオキシアルキレン基の平均付加モル数で、1〜1000の正数を表わす。nが2以上の場合、オキシアルキレン基は同一でも異なっていてもよく、またランダム状に付加していても、ブロック状に付加していてもよい。〕
    で表わされる(ポリ)アルキレンオキシド誘導体からなることを特徴とする請求項1記載の小胞体製造用の小胞体修飾剤。
  3. アミノ基を有するリン脂質を小胞体形成成分として含む小胞体に、請求項2記載の小胞体修飾剤を反応させることを特徴とする請求項1記載の小胞体の製造方法。
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