JPH07246328A - (ポリ)オキシアルキレン鎖結合小胞体、小胞体修飾剤および製造方法 - Google Patents

(ポリ)オキシアルキレン鎖結合小胞体、小胞体修飾剤および製造方法

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JPH07246328A
JPH07246328A JP6040078A JP4007894A JPH07246328A JP H07246328 A JPH07246328 A JP H07246328A JP 6040078 A JP6040078 A JP 6040078A JP 4007894 A JP4007894 A JP 4007894A JP H07246328 A JPH07246328 A JP H07246328A
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昭典 杉中
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポリオキシアルキレン鎖がリポソームの外表
面にのみ結合し、内表面には存在しないリポソームを得
る。 【構成】 アミノ基を有するリン脂質を膜形成成分とし
て含むリポソームに、下式で表わされるポリアルキレン
オキシド誘導体を反応させる。 【化1】 (AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは1〜
1000、R1はHまたはメチル基、YはHまたは炭素
数1〜4のアルキル基)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、(ポリ)オキシアルキ
レン鎖結合小胞体、これを製造するための小胞体修飾
剤、および(ポリ)オキシアルキレン鎖結合小胞体の製
造方法に関する。さらに詳しくはリポソームまたは脂肪
乳剤などの形態で医薬の運搬体、マイクロカプセル代替
品などとして利用できる(ポリ)オキシアルキレン鎖結
合小胞体、これを製造するための小胞体修飾剤、および
(ポリ)オキシアルキレン鎖結合小胞体の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】リポソームはリン脂質の二分子膜からな
る小胞体であり、多分野での応用が試みられている。特
に、ドラッグデリバリーシステム(DDS)用の医薬運
搬体などへの応用が注目されているが、リポソームの血
中濃度を維持することなどが大きな課題となっている。
例えば、リポソームを生体内へ投与したとき、その多く
は肝臓、脾臓などの網内系器官で捕捉されるため、十分
な効果が得られないことが指摘されている(Cancer Re
s., 43, 5328(1983))。そこで、この網内系器官で捕捉
されてしまう問題点や、リポソームに封入した薬剤のも
れ防止、あるいはリポソーム自身の崩壊性・凝集性など
安定性の低さに関する問題点を改善する方法として、リ
ポソームの外表面にポリエチレングリコール鎖を導入す
ることが試みられている(例えば、特開平1−2497
17号公報、特開平2−149512号公報、特開平3
−181415号公報、特開平3−218309号公
報、特開平4−5242号公報、FEBS letters, 268, 2
35(1990))。また、ポリエチレングリコールで修飾され
たリポソームは、長期間にわたり血液中濃度を維持でき
ることが明らかになっている(Biochem. Biophys. Act
a., 1066, 29-36(1991))。
【0003】リポソームの外表面にポリエチレングリコ
ール鎖を導入する方法も次のような種々の方法が提案さ
れている。 1)ポリオキシエチレンアルキルエーテルのような疎水
性部が一本鎖のポリオキシエチレンエーテル誘導体を膜
形成成分と混合し、この混合脂質を用いてリポソームを
形成する方法(特開平2−149512号公報)。 2)ホスファチジルエタノールアミンのアミノ基とポリ
エチレングリコールの水酸基とをトリアジン環等を介し
て結合させたポリエチレングリコール結合リン脂質を、
膜形成成分として用いてリポソームを形成する方法(特
開平2−149512号公報、特開平3−218309
号公報、特開平4−5242号公報)。 3)ポリエチレングリコール鎖が結合したトリアジン誘
導体を膜形成成分として用いてリポソームを形成する方
法(特開平1−249717号公報)。 4)リポソームを形成した後、リポソーム懸濁液に上記
2)の方法で用いたポリエチレングリコール結合リン脂
質を添加し、室温下でまたは膜形成成分の相転移温度以
上に加熱することにより、リポソーム膜にポリエチレン
グリコール結合リン脂質を取込ませる方法(特開平3−
181415号公報、特開平3−218309号公
報)。
【0004】しかし上記従来の方法には次のような問題
点がある。上記1)の疎水性部が一本鎖のポリオキシエ
チレンエーテル誘導体を膜形成成分として用いる方法で
は、得られるリポソームの安定性が低く、ポリオキシエ
チレンエーテル誘導体がリポソーム膜から漏出しやすい
という問題点がある。上記2)および3)の方法では、
リポソーム自体としては安定性の高いリポソームが得ら
れるものの、これらの方法により得られるリポソームで
はポリエチレングリコール鎖がリポソームの内部または
内表面にも存在することになり、このポリエチレングリ
コール鎖と封入物質、例えばインターフェロンインデュ
ーサーとして用いられるポリアクリル酸、ポリメタクリ
ル酸またはマレイン酸共重合体等のポリアニオンとが複
合体を形成するため、このような物質を封入したリポソ
ームでは安定性が低下するという問題点がある。さらに
これらの方法はポリエチレングリコールを結合した膜形
成成分をリポソーム化することにより製造しているた
め、ポリエチレングリコール鎖の長さ(重合度)や親水
性と疎水性とのバランスを調節する必要が生じた場合
は、そのたびごとにリポソームの製造からやり直さなけ
ればならず、手間がかかるという問題点もある。
【0005】上記4)の方法はリポソーム形成後にポリ
エチレングリコール鎖を導入する方法であるが、室温で
導入する場合は導入できるポリエチレングリコール鎖の
量が少なく、また多くしようとすると膜形成成分として
相転移温度の低いリン脂質を用いる必要があり、この場
合はリポソームの安定性が低下するという問題点があ
る。一方、相転移温度以上に加熱する方法では、加熱に
より封入物質の活性が低下するという問題点がある。
【0006】ところで、特開平3−218309号公報
の実施例5では、両末端カルボキシルPEG(ポリエチ
レングリコール)を1,1′−カルボニルジイミダゾー
ル(CDI)で活性化して、両末端にカルボニルイミダ
ゾール基が結合した活性化PEGを得、これとホスファ
チジルエタノールアミンとを反応させ、アミド結合を介
してPEG両末端にリン脂質が結合したPEG結合リン
脂質を製造している。この場合、ホスファチジルエタノ
ールアミンを膜形成成分として含むリポソームに活性化
PEGを反応させてリポソームを修飾する方法も考えら
れるが、カルボニルイミダゾール基(オキシカルボニル
イミダゾール基ではない)部分は水中で容易に分解する
ため、上記活性化PEGをリポソームの修飾剤として使
用することはできない。またここで得られているリポソ
ームはアミド結合(ウレタン結合ではない)により結合
したポリエチレングリコール鎖が外表面にループ状に伸
びたものであり、ポリエチレングリコール鎖導入の効果
は小さいという問題点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題点を解決するため、(ポリ)オキシアルキレン鎖が
小胞体の外表面(外側)にのみ存在し、内側には(ポ
リ)オキシアルキレン鎖が存在せず、しかも(ポリ)オ
キシアルキレン鎖の量を多くすることができるととも
に、内包物質の活性を高く維持できる(ポリ)オキシア
ルキレン鎖結合小胞体、これを製造するための小胞体修
飾剤、および(ポリ)オキシアルキレン鎖結合小胞体の
製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は次の(ポリ)オ
キシアルキレン鎖結合小胞体、小胞体修飾剤、および
(ポリ)オキシアルキレン鎖結合小胞体の製造方法であ
る。 (1)アミノ基を有するリン脂質を小胞体形成成分とし
て含む小胞体において、小胞体の外表面に存在する前記
アミノ基とのウレタン結合により、一般式〔1〕
【化4】 〔式中、Yは水素原子または炭素数1〜4のアルキル
基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nはオ
キシアルキレン基の平均付加モル数で、1〜1000の
正数を表わす。nが2以上の場合、オキシアルキレン基
は同一でも異なっていてもよく、またランダム状に付加
していても、ブロック状に付加していてもよい。〕で表
わされる(ポリ)オキシアルキレン鎖が、小胞体の外表
面にのみ結合した小胞体であって、一般式〔2〕
【化5】 〔式中、Y、AOおよびnは前記一般式〔1〕と同じで
ある。Lip−NH−はアミノ基を有するリン脂質を小
胞体形成成分として含む小胞体を示す。〕で表わされる
構造を有することを特徴とする(ポリ)オキシアルキレ
ン鎖結合小胞体。 (2)一般式〔3〕
【化6】 〔式中、R1は水素原子またはメチル基を表わす。Y、
AOおよびnは前記一般式〔1〕と同じである。〕で表
わされる(ポリ)アルキレンオキシド誘導体からなるこ
とを特徴とする上記(1)記載の小胞体製造用の小胞体
修飾剤。 (3)アミノ基を有するリン脂質を小胞体形成成分とし
て含む小胞体に、上記(2)記載の小胞体修飾剤を反応
させることを特徴とする上記(1)記載の小胞体の製造
方法。
【0009】本発明において、「(ポリ)オキシアルキ
レン」はnが1のオキシアルキレンまたはnが2以上の
ポリオキシアルキレンを意味する。また「(ポリ)アル
キレン」も上記と同様にアルキレンまたはポリアルキレ
ンを意味する。
【0010】本発明において小胞体とは、小胞体形成成
分の親水基が界面の水相に向って配向した構造を有する
粒子を意味する。本発明においては、小胞体はアミノ基
を有するリン脂質を小胞体形成成分として含有している
ので、(ポリ)オキシアルキレン鎖結合小胞体を製造す
る前の小胞体には、外表面にアミノ基が存在している。
小胞体の具体的なものとしては、二分子膜からなる閉鎖
小胞であるリポソーム、植物油およびリン脂質などの混
合物が乳化された脂肪乳剤、またはミセルなどがあげら
れる。
【0011】本発明の(ポリ)オキシアルキレン鎖結合
小胞体は、一般式〔1〕で表わされる(ポリ)オキシア
ルキレン鎖が、小胞体の外表面にのみ結合した小胞体で
あり、内側または内表面(以下、両者をまとめて内側と
いう)には(ポリ)オキシアルキレン鎖は結合していな
い。(ポリ)オキシアルキレン鎖は、一般式〔2〕に示
されているように、ウレタン結合(−NHC(=O)O
−)により小胞体の外表面にのみ結合している。
【0012】一般式〔1〕〜〔3〕のYで示される炭素
数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、
n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソ
ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基など
があげられる。
【0013】一般式〔1〕〜〔3〕のAOで表わされる
オキシアルキレン基は、炭素数2〜4のオキシアルキレ
ン基であり、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、
オキシトリメチレン基、オキシ−1−エチルエチレン
基、オキシ−1,2−ジメチルエチレン基、オキシテト
ラメチレン基などがあげられる。これらのオキシアルキ
レン基は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、オ
キセタン、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、
テトラヒドロフランなどのアルキレンオキシドを付加重
合させた基である。一般式〔1〕〜〔3〕のnはオキシ
アルキレン基の平均付加モル数であり、1〜1000、
好ましくは10〜300、さらに好ましくは20〜12
0の正数である。
【0014】nが2以上の場合、オキシアルキレン基の
種類は同一のものでも、異なるものでもよい。後者の場
合、ランダム状に付加していても、ブロック状に付加し
ていてもよい。親水性を付与する場合、AOとしてはエ
チレンオキシドが単独で付加したものが好ましく、この
場合、nが10以上のものが好ましい。また種類の異な
るアルキレンオキシドが付加している場合、エチレンオ
キシドが20モル%以上、好ましくは50モル%以上付
加しているのが望ましい。(ポリ)オキシアルキレン鎖
に親油性を付与する場合はエチレンオキシド以外の付加
モル数を多くする。
【0015】一般式〔3〕において、オキシカルボニル
イミダゾール基部分はアミノ基、特に第1級アミノ基に
対して高い反応性を有している反応活性基部分である。
このオキシカルボニルイミダゾール基はカルボニルイミ
ダゾール基のように水中でも分解しない。このためアミ
ノ基を有するリン脂質を小胞体形成成分として含む小胞
体に、一般式〔3〕で表わされる小胞体修飾剤を水系媒
体中で反応させることにより、一般式〔1〕で表わされ
る(ポリ)オキシアルキレン基がウレタン結合により外
表面に結合した本発明の小胞体を容易に製造することが
できる。
【0016】アミノ基を有するリン脂質としては、ホス
ファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリンま
たはホスファチジルスレオニンなどがあげられ、一種単
独で、または二種以上組合せて使用できる。これらのリ
ン脂質としては、2つの脂肪酸エステル部位に炭素数4
〜30、好ましくは8〜18の飽和または不飽和の脂肪
酸を有するものが望ましく、天然または合成のいずれの
ものでもよい。具体的には、ジミリストイルホスファチ
ジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジル
エタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルエタ
ノールアミン、ジミリストイルホスファチジルセリン、
ジパルミトイルホスファチジルセリン、ジステアロイル
ホスファチジルセリン、ジミリストイルホスファチジル
スレオニン、ジパルミトイルホスファチジルスレオニ
ン、ジステアロイルホスファチジルスレオニンなどがあ
げられる。
【0017】小胞体形成成分としては、アミノ基を有す
るリン脂質の他にも小胞体を形成しうる他の化合物も使
用でき、例えば大豆レシチン、卵黄レシチン、その他の
リン脂質類、コレステロール、イントラリピッド(大塚
製薬(株)、商標)、大豆油、サフラワー油など、従来
から小胞体の形成成分として用いられているものが使用
できる。また小胞体としては、上記イントラリピッドの
ような脂質混合乳化物を使用することもできる。
【0018】全小胞体形成成分中に占めるアミノ基を有
するリン脂質の割合は、通常0.01〜100モル%と
するのが好ましく、アミノ基を有するリン脂質の割合を
多くするほど、一般式〔1〕で表わされる(ポリ)オキ
シアルキレン鎖の量を多くすることができる。このよう
にアミノ基を有するリン脂質の割合を調節するだけで、
導入できる(ポリ)オキシアルキレン鎖の量を簡単に調
節できる。
【0019】小胞体と一般式〔3〕で表わされる小胞体
修飾剤との反応は、水系溶媒、例えば蒸留水、生理的食
塩水のほかリン酸緩衝液、炭酸緩衝液、トリス緩衝液、
酢酸緩衝液など種々の緩衝液中で、pH1〜12、好ま
しくはpH3〜10、反応温度0〜100℃、好ましく
は0〜40℃で、反応時間30分間〜168時間、好ま
しくは1時間〜24時間の条件で行うことができる。
【0020】このようにして反応させることにより、小
胞体外表面のアミノ基と小胞体修飾剤のオキシカルボニ
ル基部分とが反応してウレタン結合を形成し、一般式
〔1〕で表わされる(ポリ)オキシアルキレン鎖が小胞
体外表面に導入され、一般式〔2〕で表わされる構造を
有する本発明の小胞体が得られる。この場合、小胞体に
内包させている物質の活性が低下しない温度を任意に選
択できるので、内包物質の活性を高く維持したまま(ポ
リ)オキシアルキレン鎖を導入できる。
【0021】アミノ基を有するリン脂質としてホスファ
チジルエタノールアミンを用いた場合のリポソームと小
胞体修飾剤とから反応性リポソームを製造する反応式は
次の〔4〕式で示される。式中、Lipはホスファチジ
ルエタノールアミンを含むリポソームを示す。R1
Y、AO、nは前記と同じものを示す。
【化7】 このようにして得られた本発明の小胞体は、ゲルろ過、
透析、限外ろ過などにより容易に単離・精製することが
できる。
【0022】このように本発明の製造方法では、調製済
みの小胞体に、後から(ポリ)オキシアルキレン鎖を導
入しているので、小胞体の外表面にのみ(ポリ)オキシ
アルキレン鎖が存在し、内側には存在しない小胞体が得
られる。
【0023】本発明の小胞体修飾剤は、例えば両末端に
水酸基を有する(ポリ)アルキレングリコールまたは片
末端に水酸基、もう一方の末端にアルコキシ基を有する
(ポリ)アルキレングリコールと、N,N′−カルボニ
ルジイミダゾール(以下、CDIと略す)またはN,
N′−カルボニルジ(2−メチルイミダゾール)とを反
応させることにより製造することができる。(ポリ)ア
ルキレングリコールとCDIとの仕込モル比は、1:
0.1〜1:10、好ましくは1:0.5〜1:5とす
るのが望ましい。
【0024】反応は無溶媒または1,4−ジオキサン、
テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ベンゼンなどの
有機溶媒中で、反応温度−100〜+100℃、好まし
くは0〜40℃で、反応時間10分間〜168時間、好
ましくは30分間〜12時間の条件で容易に行うことが
できる。得られた反応混合物は、精製することなくその
ままで、あるいは再沈殿、カラム、ゲルろ過、限外ろ
過、透析などの方法により単離・精製した後、小胞体修
飾剤として使用される。
【0025】次にそれぞれの小胞体について詳しく説明
する。まず代表的な小胞体であるリポソームについて説
明する。本発明に係るリポソームは膜を構成するいちば
ん外側の膜の外表面にのみ一般式〔1〕で表わされる
(ポリ)オキシアルキレン鎖が存在し、それ以外には存
在しないリポソームである。
【0026】リポソームを構成する膜形成成分(小胞体
形成成分)としては、前記アミノ基を有するリン脂質の
他に、従来からリポソームの膜形成成分として用いられ
ているものが制限なく使用できる。具体的には、ジホス
ファチジルグリセロール、カルジオリピン、ホスファチ
ジルイノシトール、大豆レシチン、卵黄レシチン、ホス
ファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール等のリ
ン脂質および脂肪酸部に不飽和基を有する重合性リン脂
質;スルホキシリボシルジグリセリド、ジガラクトシル
ジグリセリド、ラクトシルジグリセリド等の糖脂質類;
コレステロール等の非極性脂質;その他には、非イオン
性界面活性剤、ホスファチジルポリエチレングリコー
ル、「Biochem. Biophys. Acta., 1066, 29-36(1990)」
に記載されているホスファチジルエタノールアミンとポ
リエチレングリコールとの反応物、およびこれらの混合
物などがあげられる。
【0027】全膜形成成分中に占めるアミノ基を有する
リン脂質の割合は、通常前記範囲で用いられるが、0.
1〜50モル%とするのが好ましい。0.01モル%未
満の場合、リポソーム外表面に存在する一般式〔1〕で
表わされる(ポリ)オキシアルキレン鎖の導入量が少な
くなるので好ましくない。
【0028】小胞体修飾剤と反応させる前のリポソーム
は、膜形成成分を有機溶媒等の適当な溶媒に溶解し、エ
クスツルージョン法、ボルテックスミキサー法、超音波
法、界面活性剤除去法、逆層蒸発法、エタノール注入
法、プレベシクル法、フレンチプレス法、W/O/Wエ
マルジョン法、アニーリング法、凍結融解法など、種々
の公知の方法によりリポソーム化することにより製造す
ることができる。また、これらの製造法を選択すること
により、多重層リポソーム、小さな一枚膜リポソーム、
大きな一枚膜リポソームなど、種々の大きさや形態を有
するリポソームを製造することができる。このような方
法により、リポソームの外表面および内側にアミノ基が
存在するリポソームが得られる。
【0029】リポソームの内部には、一般のリポソーム
と同様に種々の物質を公知の方法により封入することが
可能である。被封入物質としては、例えば色素、染料、
放射線ラベル化合物、蛍光化合物、化学発光化合物等の
標識物質;光応答性化合物、pH応答性化合物、熱応答
性化合物、電極反応性化合物等の外部刺激反応性化合
物;酵素、抗体、その他のタンパク質、糖、脂質、糖タ
ンパク質、糖脂質、ホルモン等の生理活性物質;医薬;
ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチ
レングリコール、ヒアルロン酸等の水溶性高分子類;ホ
スファチジルセリン等のリン脂質;これらの混合物など
があげられる。
【0030】上記のようなリポソームと一般式〔3〕で
表わされる小胞体修飾剤とを前記のようにして反応させ
ることにより、外表面に(ポリ)オキシアルキレン鎖が
結合したリポソームが得られる。この場合、全反応溶液
中のリポソームの濃度は、固形分量として0.001〜
1000mg/ml、好ましくは0.1〜100mg/
mlとするのが望ましく、また小胞体修飾剤の濃度は特
に限定されないが、0.001〜1000mg/ml、
好ましくは0.01〜500mg/mlとするのが望ま
しい。小胞体修飾剤の使用量が上記下限値より少ない場
合、得られたリポソームは外表面に共有結合した(ポ
リ)オキシアルキレン鎖の量が少なくなるので好ましく
ない。一方、上限値を超えると反応溶液の粘度が高くな
り、リポソームの安定性が低下するため好ましくない。
【0031】本発明の製造方法では、調製済みのリポソ
ームに後から(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入してい
るので、(ポリ)オキシアルキレン鎖の長さを調節する
必要が生じた場合にも、リポソームから製造し直す必要
はなく、必要な長さを有する小胞体修飾剤と反応させる
だけで容易に目的とするリポソームが得られる。また親
水性と疎水性とのバランスを調節する必要が生じた場合
にも、導入したい(ポリ)オキシアルキレン鎖を有する
小胞体修飾剤と反応させるだけで、目的とするリポソー
ムが得られる。さらに(ポリ)オキシアルキレン鎖を導
入する反応は室温でも容易に進行するため、封入物質の
活性を低下させることはない。
【0032】このようにして得られたリポソームは、外
表面にのみ(ポリ)オキシアルキレン鎖が存在し、内側
には存在していないので、(ポリ)オキシアルキレン鎖
の特性をリポソームに付与することができ、これにより
リポソームの安定性や他の物質への親和性などを高める
ことができる。例えばポリオキシエチレン鎖、またはポ
リオキシエチレン−他のポリオキシアルキレン鎖がリポ
ソームに結合している場合は、長期間にわたる血液中濃
度の維持、非免疫原生、リポソーム内部に封入した物質
の漏れ防止などの効果が期待できる。さらにリポソーム
の内側には(ポリ)オキシアルキレン鎖が存在しないた
め、封入物質との相互作用や複合体の形成は起らず、こ
のためリポソームの安定性は低下しない。このため本発
明に係るリポソームは、医薬の運搬体、マイクロカプセ
ル代替品などとして利用できる。
【0033】なお、リポソームを製造する際、膜形成成
分として重合性リン脂質を配合することにより、重合性
のリポソームとすることができる。重合性のリン脂質と
しては、公知の重合性リン脂質を使用することができる
が、例えば1,2−ジ(2,4−オクタデカジエノイ
ル)−3−ホスファチジルコリンの他、野島庄七、砂本
順三、井上圭三編集、1988年南雲堂発行の「リポソ
ーム」p313〜315に記載のものなどがあげられ
る。これらの中では、1,2−ジ(2,4−オクタデカ
ジエノイル)−3−ホスファチジルコリンが好ましい。
【0034】重合性リポソームは、リポソーム調製後
に、光重合開始剤の存在下または非存在下でUV、γ
線、電子線などの光照射を行うことにより、あるいはレ
ドックス開始剤系により、あるいはアゾ系開始剤または
有機過酸化物などの存在下で加熱を行うことにより、容
易に重合を行うことができる。このようにして得られた
重合後のリポソームは、優れた安定性を有しているの
で、水溶液に分散させたままで、あるいは凍結乾燥等に
より粉末状に調製し、安定して使用することができる。
【0035】他の小胞体としての脂肪乳剤は、アミノ基
を有するリン脂質と、大豆油、サフラワー油等の植物油
と、必要により添加される他の添加剤、例えば大豆レシ
チン、卵黄レシチン等のリン脂質、イントラリピッド
(大塚製薬(株)製、商標)、乳化補助剤、安定化剤、
等張化剤、脂溶性医薬、脂溶性生理活性物質などを含む
油脂混合物が、外表面にのみ一般式〔1〕で表わされる
(ポリ)オキシアルキレン鎖が存在する状態で乳化され
たものである。
【0036】小胞体修飾剤との反応前の脂肪乳剤は、公
知の方法により製造することができる。例えば、アミノ
基を有するリン脂質、植物油、および必要により配合す
る添加剤を混合、加熱し、水を加えてホモミキサー等で
粗乳化し、次にマントン−ガウリン型の加圧噴射式ホモ
ジナイザー等で均質化する方法などにより製造すること
できる。また脂肪乳剤としては、上記イントラリピッド
のような脂質混合乳化物を使用することもできる。
【0037】このようにして得られた小胞体修飾剤との
反応前の脂肪乳剤と一般式〔3〕で表わされる小胞体修
飾剤とを、リポソームの場合と同様にして反応させるこ
とにより、本発明に係る脂肪乳剤が得られる。このため
本発明に係る脂肪乳剤は、医薬の運搬体、マイクロカプ
セル代替品などとして利用できる。
【0038】上記以外の小胞体であるミセルは、アミノ
基を有するリン脂質が単独で、または他の成分、例えば
ホスファチジルコリン、その他のリン脂質類、コレステ
ロールなどが、外表面にのみ一般式〔1〕で表わされる
(ポリ)オキシアルキレン鎖が存在する状態でミセル化
したものであり、脂肪乳剤と同様の用途に利用できる。
【0039】
【発明の効果】本発明の小胞体は、(ポリ)オキシアル
キレン鎖が小胞体の外表面にのみ存在し、内側には存在
していないので、小胞体に(ポリ)オキシアルキレン鎖
の特性を付与することができ、また内包させる物質等と
(ポリ)オキシアルキレン鎖との相互作用や複合体の形
成が起こらないのでリポソームの安定性は低下せず、こ
のような内包物質の漏れも防止することができる。さら
に(ポリ)オキシアルキレン鎖の導入量を多くすること
ができるとともに、内包物質の活性を高く維持できる。
【0040】本発明の小胞体修飾剤は、上記のような小
胞体を製造するための原料として用いることにより、簡
単な操作で、外表面のみに(ポリ)オキシアルキレン鎖
を結合させることができる。
【0041】本発明の小胞体の製造方法は、アミノ基を
有するリン脂質を小胞体形成成分として含む小胞体に、
上記小胞体修飾剤を反応させるようにしたので、簡単に
効率よく前記のような小胞体を製造することができ、こ
のため(ポリ)オキシアルキレン鎖の長さや親水性と疎
水性とのバランスを、リポソーム調製後に簡単に調節す
ることができる。また小胞体と小胞体修飾剤との反応は
室温でも容易に進行するため、内包物質の活性を低下さ
せることはない。
【0042】
【実施例】以下実施例によりさらに詳細な説明を行う
が、本発明はこれらに限定されるものではない。 合成例1 乾燥アセトニトリル50ml中に、片末端に水酸基、も
う片末端にメトキシ基を有するポリエチレングリコール
(平均付加モル数約65、分子量約3000)1g
(0.33mmol)およびN,N′−カルボニルジイ
ミダゾール 162mg(1mmol)を加え、室温で
4時間攪拌した。反応終了後、減圧下濃縮し、残渣に蒸
留水を加え、限外ろ過(分画分子量1000)により精
製を行い、さらに凍結乾燥して白色粉末状のα−メチル
−ω−オキシカルボニルイミダゾール−ポリ(オキシエ
チレン)からなる小胞体修飾剤を得た(収率92%)。
生成物の確認は、IRにおいて、ポリエチレングリコー
ル末端の水酸基(OH伸縮、3430cm-1)の消失、
およびオキシカルボニルイミダゾール結合(C=O伸
縮、1760cm-1)の生成により確認した。
【0043】合成例2 乾燥アセトニトリル50ml中に、片末端に水酸基、も
う片末端にメトキシ基を有するポリエチレングリコール
(平均付加モル数約34、分子量約1500)1g
(0.66mmol)およびN,N′−カルボニルジイ
ミダゾール 162mg(1mmol)を加え、室温で
4時間攪拌した。反応終了後、減圧下濃縮し、残渣に蒸
留水を加え、限外ろ過(分画分子量1000)により精
製を行い、さらに凍結乾燥して白色粉末状のα−メチル
−ω−オキシカルボニルイミダゾール−ポリ(オキシエ
チレン)からなる小胞体修飾剤を得た(収率78%)。
生成物の確認は、IRにおいて、ポリエチレングリコー
ル末端の水酸基(OH伸縮、3430cm-1)の消失、
およびオキシカルボニルイミダゾール結合(C=O伸
縮、1760cm-1)の生成により確認した。
【0044】合成例3 乾燥アセトニトリル50ml中に、片末端に水酸基、も
う片末端にメトキシ基を有するポリエチレングリコール
(平均付加モル数約227、分子量約10000)1g
(0.1mmol)およびN,N′−カルボニルジイミ
ダゾール 16.2mg(0.1mmol)を加え、室
温で4時間攪拌した。反応終了後、減圧下濃縮し、残渣
に蒸留水を加え、限外ろ過(分画分子量1000)によ
り精製を行い、さらに凍結乾燥して白色粉末状のα−メ
チル−ω−オキシカルボニルイミダゾール−ポリ(オキ
シエチレン)からなる小胞体修飾剤を得た(収率92
%)。生成物の確認は、IRにおいて、ポリエチレング
リコール末端の水酸基(OH伸縮、3430cm-1)の
消失、およびオキシカルボニルイミダゾール結合(C=
O伸縮、1760cm-1)の生成により確認した。
【0045】合成例4 乾燥アセトニトリル50ml中に、片末端に水酸基、も
う片末端にn−プロポキシ基を有するポリエチレングリ
コール(平均付加モル数約65、分子量約3000)1
g(0.33mmol)およびN,N′−カルボニルジ
イミダゾール65mg(0.40mmol)を加え、室
温で4時間攪拌した。反応終了後、減圧下濃縮し、残渣
に蒸留水を加え、限外ろ過(分画分子量1000)によ
り精製を行い、凍結乾燥して白色粉末状のα−プロピル
−ω−オキシカルボニルイミダゾール−ポリ(オキシエ
チレン)からなる小胞体修飾剤を得た(収率87%)。
生成物の確認は、IRにおいて、ポリエチレングリコー
ル末端の水酸基(OH伸縮、3430cm-1)の消失、
およびオキシカルボニルイミダゾール結合(C=O伸
縮、1760cm-1)の生成により確認した。
【0046】合成例5 乾燥アセトニトリル50ml中に、片末端に水酸基を有
するポリエチレングリコール(分子量約3000)1g
(0.33mmol)およびN,N′−カルボニルジイ
ミダゾール 24mg(0.15mmol)を加え、室
温で4時間攪拌した。反応終了後、減圧下濃縮し、残渣
に蒸留水を加え、限外ろ過(分画分子量1000)によ
り精製を行い、凍結乾燥して白色粉末状のα−ヒドロ−
ω−オキシカルボニルイミダゾール−ポリ(オキシエチ
レン)約55mol%とポリエチレングリコール約45
mol%との混合物を得た(収率86%)。生成物の確
認は、IRにおいて、ポリエチレングリコール末端の水
酸基(OH伸縮、3430cm-1)の減少、およびオキ
シカルボニルイミダゾール結合(C=O伸縮、1760
cm-1)の生成により確認した。
【0047】合成例6 乾燥アセトニトリル50ml中に、片末端に水酸基、も
う片末端にメトキシ基を有する、プロピレンオキシド約
5molとエチレンオキシド約60molのランダム共
重合体(分子量約3000)1g(0.33mmol)
およびN,N′−カルボニルジイミダゾール 81mg
(0.50mmol)を加え、室温で4時間攪拌した。
反応終了後、減圧下濃縮し、残渣に蒸留水を加え、限外
ろ過(分画分子量1000)により精製を行い、凍結乾
燥して白色粉末状のα−メチル−ω−オキシカルボニル
イミダゾール−コポリ(エチレンオキシド/プロピレン
オキシド)からなる小胞体修飾剤を得た(収率88
%)。生成物の確認は、IRにおいて、ランダム共重合
体末端の水酸基(OH伸縮、3430cm-1)の減少、
およびオキシカルボニルイミダゾール結合(C=O伸
縮、1760cm-1)の生成により確認した。
【0048】合成例7 乾燥アセトニトリル50ml中に、片末端に水酸基、も
う片末端にメトキシ基を有するテトラヒドロフラン約5
molとエチレンオキシド約60molのランダム共重
合体(分子量約3000)1g(0.33mmol)お
よびN,N′−カルボニルジイミダゾール 81mg
(0.50mmol)を加え、室温で4時間攪拌した。
反応終了後、減圧下濃縮し、残渣に蒸留水を加え、限外
ろ過(分画分子量1000)により精製を行い、凍結乾
燥して白色粉末状のα−メチル−ω−オキシカルボニル
イミダゾール−コポリ(エチレンオキシド/テトラヒド
ロフラン)からなる小胞体修飾剤を得た(収率87
%)。生成物の確認は、IRにおいて、ランダム共重合
体末端の水酸基(OH伸縮、3430cm-1)の減少、
およびオキシカルボニルイミダゾール結合(C=O伸
縮、1760cm-1)の生成により確認した。
【0049】実施例1−1 卵黄ホスファチジルコリン 20mg(26μmo
l)、コレステロール 3.9(10μmol)および
ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン2.8
mg(4μmol)を茄子型フラスコに入れ、2mlの
ベンゼンで溶解させた後、凍結乾燥を行った。これに生
理的食塩水1mlを加え、バス型超音波照射およびボル
テックスミキサーにより、多重層リポソームを得た。さ
らにエクスツルーダーにより3.0→1.0→0.2μ
mのポリカーボネートメンブランを順次通過させること
により、大きな単層リポソームを得た。
【0050】次に、得られたリポソーム分散液の500
μlに、合成例1で得たα−メチル−ω−オキシカルボ
ニルイミダゾール−ポリ(オキシエチレン)を10重量
%の濃度で含む生理的食塩水 1mlを加え、室温で6
時間反応させ、外表面に一般式〔1〕で表わされるポリ
オキシエチレン鎖を結合させた。反応終了後、Seph
adex G−50を用いてゲル濾過を行い、含リポソ
ーム分画を分取し、外表面にのみ一般式〔1〕で表わさ
れるポリオキシアルキレン鎖が結合したリポソーム(以
下、PAO修飾リポソームという)を得た。得られたP
AO修飾リポソームの粒径をレーザー散乱粒度分布計
(NICOMP社製、NICOMP370HPL)を用
いて測定したところ、平均粒径234nm(CV値11
%)であった。
【0051】実施例1−2 実施例1−1と同様にして、ただし合成例2で得たα−
メチル−ω−オキシカルボニルイミダゾール−ポリ(オ
キシエチレン)を10重量%の濃度で含む生理的食塩水
1mlを用いることにより、PAO修飾リポソームを
得た(平均粒径236nm、CV値13%)。
【0052】実施例1−3 実施例1−1と同様にして、ただし合成例3で得たα−
メチル−ω−オキシカルボニルイミダゾール−ポリ(オ
キシエチレン)を10重量%の濃度で含む生理的食塩水
1mlを用いることにより、PAO修飾リポソームを
得た(平均粒径239nm、CV値14%)。
【0053】実施例1−4 実施例1−1と同様にして、ただし合成例4で得たα−
プロピル−ω−オキシカルボニルイミダゾール−ポリ
(オキシエチレン)を1重量%の濃度で含む生理的食塩
水 1mlを用いることにより、PAO修飾リポソーム
を得た(平均粒径241nm、CV値18%)。
【0054】実施例1−5 実施例1−1と同様にして、ただし合成例5で得たα−
ヒドロ−ω−オキシカルボニルイミダゾール−ポリ(オ
キシエチレン)約55mol%とポリエチレングリコー
ル約45mol%との混合物を20重量%の濃度で含む
生理的食塩水1mlを用いることにより、PAO修飾リ
ポソームを得た(平均粒径223nm、CV値11
%)。
【0055】実施例1−6 実施例1−1と同様にして、ただし合成例6で得たα−
メチル−ω−オキシカルボニルイミダゾール−コポリ
(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)を1重量%
の濃度で含む生理的食塩水 1mlを用いることによ
り、PAO修飾リポソームを得た(平均粒径232n
m、CV値21%)。
【0056】実施例1−7 実施例1−1と同様にして、ただし合成例7で得たα−
メチル−ω−オキシカルボニルイミダゾール−コポリ
(エチレンオキシド/テトラヒドロフラン)を1重量%
の濃度で含む生理的食塩水 1mlを用いることによ
り、PAO修飾リポソームを得た(平均粒径242n
m、CV値23%)。
【0057】実施例2 実施例1−1〜1−7で得られた本発明のリポソーム
は、5℃で1か月間静置後も、いずれも平均粒径±5n
m程度、CV値±5%程度と、優れた安定性を有してい
た。
【0058】比較例1 卵黄ホスファチジルコリン 20mg(26μmo
l)、コレステロール 3.9(10μmol)および
α−ステアリル−ω−ヒドロキシ−ポリ(オキシエチレ
ン)(平均付加モル数約10)の前記二者に対して10
wt%(2.39mg、3.4μmol)を茄子型フラ
スコに入れ、2mlのベンゼンで溶解させた後、凍結乾
燥を行った。これに生理的食塩水1mlを加え、バス型
超音波照射およびボルテックスミキサーにより、外表面
および内側にポリオキシエチレン鎖を有する多重層リポ
ソームを得た。さらにエクスツルーダーにより3.0→
1.0→0.2μmのポリカーボネートメンブランを順
次通過させることにより、大きな単層リポソームを得
た。
【0059】得られたリポソームの粒径をレーザー散乱
粒度分布計(NICOMP社製、NICOMP370H
PL)を用いて測定したところ、平均粒径196nm
(CV値11%)であった。さらに、5℃で一週間静置
後、再度、粒径を測定したところ、平均粒径288nm
(CV値65%)と、平均粒径、CV値ともに大きくな
っており、リポソームは安定に保存できなかった。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミノ基を有するリン脂質を小胞体形成
    成分として含む小胞体において、小胞体の外表面に存在
    する前記アミノ基とのウレタン結合により、一般式
    〔1〕 【化1】 〔式中、Yは水素原子または炭素数1〜4のアルキル
    基、 AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、 nはオキシアルキレン基の平均付加モル数で、1〜10
    00の正数を表わす。nが2以上の場合、オキシアルキ
    レン基は同一でも異なっていてもよく、またランダム状
    に付加していても、ブロック状に付加していてもよ
    い。〕で表わされる(ポリ)オキシアルキレン鎖が、小
    胞体の外表面にのみ結合した小胞体であって、一般式
    〔2〕 【化2】 〔式中、Yは水素原子または炭素数1〜4のアルキル
    基、 AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、 nはオキシアルキレン基の平均付加モル数で、1〜10
    00の正数を表わす。nが2以上の場合、オキシアルキ
    レン基は同一でも異なっていてもよく、またランダム状
    に付加していても、ブロック状に付加していてもよい。
    Lip−NH−はアミノ基を有するリン脂質を小胞体形
    成成分として含む小胞体を示す。〕で表わされる構造を
    有することを特徴とする(ポリ)オキシアルキレン鎖結
    合小胞体。
  2. 【請求項2】 一般式〔3〕 【化3】 〔式中、R1は水素原子またはメチル基、 Yは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、 AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、 nはオキシアルキレン基の平均付加モル数で、1〜10
    00の正数を表わす。nが2以上の場合、オキシアルキ
    レン基は同一でも異なっていてもよく、またランダム状
    に付加していても、ブロック状に付加していてもよ
    い。〕で表わされる(ポリ)アルキレンオキシド誘導体
    からなることを特徴とする請求項1記載の小胞体製造用
    の小胞体修飾剤。
  3. 【請求項3】 アミノ基を有するリン脂質を小胞体形成
    成分として含む小胞体に、請求項2記載の小胞体修飾剤
    を反応させることを特徴とする請求項1記載の小胞体の
    製造方法。
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