JP3525516B2 - 反応性小胞体、小胞体修飾剤および製造方法 - Google Patents

反応性小胞体、小胞体修飾剤および製造方法

Info

Publication number
JP3525516B2
JP3525516B2 JP26422194A JP26422194A JP3525516B2 JP 3525516 B2 JP3525516 B2 JP 3525516B2 JP 26422194 A JP26422194 A JP 26422194A JP 26422194 A JP26422194 A JP 26422194A JP 3525516 B2 JP3525516 B2 JP 3525516B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
endoplasmic reticulum
reactive
group
oxyalkylene
liposome
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP26422194A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08117586A (ja
Inventor
剛 宮崎
昭典 杉中
義仁 門磨
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NOF Corp
Original Assignee
NOF Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NOF Corp filed Critical NOF Corp
Priority to JP26422194A priority Critical patent/JP3525516B2/ja
Publication of JPH08117586A publication Critical patent/JPH08117586A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3525516B2 publication Critical patent/JP3525516B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Manufacturing Of Micro-Capsules (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、反応性小胞体、これを
製造するための小胞体修飾剤、および反応性小胞体の製
造方法に関する。さらに詳しくは医薬の運搬体、検査
薬、診断薬、アジュバント、センサー、固定化触媒、バ
イオリアクター、バイオエレクトロニクス素子、化粧
品、マイクロカプセル代替品など、種々の機能性リポソ
ームまたは脂肪乳剤等として有用な反応性小胞体、これ
を製造するための小胞体修飾剤、および反応性小胞体の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】リポソームはリン脂質の二分子膜からな
る小胞体であり、多分野での応用が試みられている。特
に、医薬運搬体、診断・検出用のセンサーなどへの応用
が注目されているが、リポソーム外表面上または膜中に
機能性物質を固定して各種機能をもたせること、および
リポソームの血中濃度を維持することなどが大きな課題
となっている。
【0003】従来、リポソーム外表面上または膜中への
機能性物質の固定化に関しては、プルラン誘導体で被覆
したリポソームの外表面上の多糖上に置換したアミノエ
チルカルバミルメチル基にγ−マレイミドブチルオキシ
サクシニミジルを介して抗体フラグメントを結合させる
方法(Biochem. Biophys. Acta., 898, 323(1987))、
あるいはあらかじめリポソーム膜形成成分中に糖脂質を
加えておき、リポソーム形成後過よう素酸酸化を行い、
生じたアルデヒド基と抗体とを反応させて固定化する方
法(J. Biol. Chem., 255, 10509(1980))などがある。
【0004】しかし、これらの従来法では、リポソーム
調製後にリポソーム膜外表面上での多段階の化学反応を
行う必要があり、このため目的とする機能性物質の導入
量が低く制限され、また反応による副生成物や不純物が
混入し、リポソーム膜へのダメージが大きいなどの問題
点がある。
【0005】一方、リポソームを生体内へ投与したと
き、その多くは肝臓、脾臓などの網内系器官で捕捉され
るため、十分な効果が得られないことが指摘されている
(Cancer Res., 43, 5328(1983))。そこで、この網内
系器官で捕捉されてしまう問題点や、リポソームに封入
した薬剤のもれ防止、あるいはリポソーム自身の崩壊性
・凝集性など安定性の低さに関する問題点を改善する方
法として、リポソームの外表面にポリエチレングリコー
ル鎖を導入することが試みられている(例えば、特開平
1−249717号公報、FEBS letters, 268, 235(199
0))。また、ポリエチレングリコールで修飾されたリポ
ソームは、長期間にわたり血液中濃度を維持できること
が明らかになっている(Biochem. Biophys. Acta., 106
6, 29-36(1991))。しかし、このような方法により得ら
れるポリエチレングリコール鎖の導入されたリポソーム
は機能性物質と反応しないので、リポソーム外表面上に
機能性物質を固定化することはできない。
【0006】さらに、米国特許第4483929号に
は、抗体を化学結合により担持した抗体担持リポソーム
が開示されている。この抗体担持リポソームは、反応活
性基としてオキシカルボニルイミダゾール基を有する糖
脂質を膜形成成分とする反応性リポソームと抗体とを反
応させることにより得られる。
【0007】しかし、この抗体担持リポソームでは、リ
ポソームの内表面(内側)にも反応活性を有するオキシ
カルボニルイミダゾール基が存在することになり、この
ためこのようなリポソームをドラッグデリバリーシステ
ム(DDS)用の医薬運搬体などとして用いた場合、生
体内でリポソームが崩壊した際内側に存在していたオキ
シカルボニルイミダゾール基が生体内のタンパク質など
と反応し、副作用や毒性を起こすなどの危険性がある。
またリポソームに封入した医薬と内側のオキシカルボニ
ルイミダゾール基とが反応し、期待される医薬効果が得
られないなどの問題点もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題点を解決するため、チオール基と特異的に反応する
反応活性基を先端に有する(ポリ)オキシアルキレン鎖
が小胞体の外表面(外側)にのみ存在し、内側には反応
活性基が存在しない反応性小胞体であって、機能性物質
を一段階の反応で固定化することができ、しかも固定し
た機能性物質の作用を十分に発揮させることができる反
応性小胞体、これを製造するための小胞体修飾剤、およ
び反応性小胞体の製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は次の反応性小胞
体、小胞体修飾剤、および反応性小胞体の製造方法であ
る。 (1)アミノ基を有するリン脂質を小胞体形成成分とし
て含む小胞体において、小胞体の外表面に存在する前記
アミノ基に対するウレタン結合またはアミド結合によ
り、一般式〔1〕
【化4】 〔式中、OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、n
はオキシアルキレン基の平均付加モル数で、1〜100
0の正数を表わす。nが2以上の場合、オキシアルキレ
ン基は同一でも異なっていてもよく、またランダム状に
付加していても、ブロック状に付加していてもよい。X
は2価の有機残基、pは1〜6の整数、qは0または1
を表わす。〕で表わされる反応活性基を有する(ポリ)
オキシアルキレン鎖が、小胞体の外表面にのみ結合した
反応性小胞体であって、一般式〔2〕
【化5】 〔式中、OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、n
はオキシアルキレン基の平均付加モル数で、1〜100
0の正数を表わす。nが2以上の場合、オキシアルキレ
ン基は同一でも異なっていてもよく、またランダム状に
付加していても、ブロック状に付加していてもよい。X
は2価の有機残基、pは1〜6の整数、qは0または
1、Lip−NH−はアミノ基を有するリン脂質を小胞
体形成成分として含む小胞体を表わす。〕で表わされる
構造を有することを特徴とする反応性小胞体。 (2)一般式〔3〕
【化6】 〔式中、OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、n
はオキシアルキレン基の平均付加モル数で、1〜100
0の正数を表わす。nが2以上の場合、オキシアルキレ
ン基は同一でも異なっていてもよく、またランダム状に
付加していても、ブロック状に付加していてもよい。X
は2価の有機残基、pは1〜6の整数、qは0または
1、Bはアミノ基に対する反応活性基を表わす。〕で表
わされる(ポリ)オキシアルキレン誘導体からなること
を特徴とする上記(1)記載の反応性小胞体製造用の小
胞体修飾剤。(3)アミノ基を有するリン脂質を小胞体
形成成分として含む小胞体に、上記(2)記載の小胞体
修飾剤を水系媒中で反応させることを特徴とする上記
(1)記載の反応性小胞体の製造方法。
【0010】本発明において、「(ポリ)オキシアルキ
レン」はオキシアルキレンまたはポリオキシアルキレン
を意味する。本発明において小胞体とは、小胞体形成成
分の親水基が界面の水相に向って配向した構造を有する
粒子を意味する。本発明においては、小胞体はアミノ基
を有するリン脂質を小胞体形成成分として含有している
ので、反応性小胞体を製造する前の小胞体には、外表面
にアミノ基が存在している。小胞体の具体的なものとし
ては、二分子膜からなる閉鎖小胞であるリポソーム、植
物油およびリン脂質などの混合物が乳化された脂肪乳
剤、またはミセルなどがあげられる。
【0011】本発明の反応性小胞体は、一般式〔1〕で
表わされる反応活性基を有する(ポリ)オキシアルキレ
ン鎖が、小胞体の外表面にのみ結合した小胞体であり、
内側または内表面(以下、両者をまとめて内側という)
には反応活性基を有する鎖は結合していない。反応活性
基を有する(ポリ)オキシアルキレン鎖は、一般式
〔2〕に示されているように、ウレタン結合(−OC
(=O)NH−)またはアミド結合(−C(=O)NH
−)により小胞体の外表面にのみ結合している。
【0012】一般式〔1〕〜〔3〕のOAで表わされる
オキシアルキレン基は、炭素数2〜4のオキシアルキレ
ン基であり、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、
オキシトリメチレン基、オキシ−1−エチルエチレン
基、オキシ−1,2−ジメチルエチレン基、オキシテト
ラメチレン基などがあげられる。これらのオキシアルキ
レン基は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、オ
キセタン、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、
テトラヒドロフランなどのアルキレンオキシドを付加重
合させた基である。
【0013】一般式〔1〕〜〔3〕のnはオキシアルキ
レン基の平均付加モル数を表わし、1〜1000、好ま
しくは4〜500、さらに好ましくは10〜230の正
数である。nが2以上の場合、オキシアルキレン基の種
類は同一のものでも、異なるものでもよい。後者の場
合、ランダム状に付加していても、ブロック状に付加し
ていてもよい。
【0014】(ポリ)オキシアルキレン鎖は親水性であ
るのが好ましく、この場合OAとしてはエチレンオキシ
ドが単独で付加したもの、エチレンオキシドとテトラヒ
ドロフランおよび/またはプロピレンオキシドとがラン
ダム状またはブロック状に付加したものなどが好まし
く、特にエチレンオキシドが単独で4以上付加したもの
が好ましい。種類の異なるアルキレンオキシドが付加し
ている場合、エチレンオキシドが20モル%以上、好ま
しくは50モル%以上付加しているのが望ましい。(ポ
リ)オキシアルキレン鎖に親油性を付与する場合はエチ
レンオキシド以外の付加モル数を多くする。
【0015】一般式〔1〕〜〔3〕においてXで表わさ
れる2価の有機残基としては、例えば一般式〔4〕
【化7】 〔式中、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、Yは酸素原
子、イオウ原子または第2級アミノ基、rは1〜10の
整数、s、tおよびuは0または1を表わす。ただし、
tとuとが同時に0になることはない。〕で表わされる
基などがあげられる。
【0016】一般式〔4〕で表わされるXの具体的なも
のとしては、例えば次のものがあげられる。
【化8】
【0017】一般式〔3〕においてBで表わされる基は
アミノ基に対して反応活性を有する反応活性基であり、
例えばイミダゾール基およびその置換体、あるいは活性
化エステル残基などがあげられる。具体的なものとして
は、次の基などがあげられる。
【化9】
【0018】一般式〔1〕〜〔3〕において、マレイミ
ド基部分はチオール基に対して特異的に高い反応性を有
している反応活性基部分である。このため本発明の反応
性小胞体は、小胞体の外表面において、(ポリ)オキシ
アルキレン鎖の先端にチオール基を有する機能性物質
を、容易に共有結合により結合させることができる。
【0019】本発明の反応性小胞体は、アミノ基を有す
るリン脂質を小胞体形成成分として含む小胞体に、一般
式〔3〕で表わされる小胞体修飾剤を反応させることに
より製造することができる。アミノ基を有するリン脂質
としては、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファ
チジルセリンまたはホスファチジルスレオニンなどがあ
げられ、一種単独で、または二種以上組合せて使用でき
る。これらのリン脂質としては、2つの脂肪酸エステル
部位に炭素数4〜30、好ましくは8〜18の飽和また
は不飽和の脂肪酸を有するものが望ましく、天然または
合成のいずれのものでもよい。具体的には、ジミリスト
イルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイル
ホスファチジルエタノールアミン、ジステアロイルホス
ファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファ
チジルセリン、ジパルミトイルホスファチジルセリン、
ジステアロイルホスファチジルセリン、ジミリストイル
ホスファチジルスレオニン、ジパルミトイルホスファチ
ジルスレオニン、ジステアロイルホスファチジルスレオ
ニンなどがあげられる。
【0020】小胞体形成成分としては、アミノ基を有す
るリン脂質の他にも小胞体を形成しうる他の化合物も使
用でき、例えば大豆レシチン、卵黄レシチン、その他の
リン脂質類、コレステロール、イントラリピッド(大塚
製薬(株)、商標)、大豆油、サフラワー油など、従来
から小胞体の形成成分として用いられているものが使用
できる。また小胞体としては上記イントラリピッドのよ
うな脂質混合乳化物を使用することもできる。
【0021】全小胞体形成成分中に占めるアミノ基を有
するリン脂質の割合は、通常0.01〜100モル%と
するのが好ましく、アミノ基を有するリン脂質の割合を
多くするほど、一般式〔1〕で表わされる反応活性基を
有する鎖の量を多くすることができる。これにより小胞
体の外表面に存在する反応活性基を有する(ポリ)オキ
シアルキレン鎖の量を所望の値に調節することができ
る。
【0022】小胞体と一般式〔3〕で表わされる小胞体
修飾剤との反応は、水系溶媒、例えば蒸留水;生理的食
塩水;リン酸緩衝液、炭酸緩衝液、トリス緩衝液、酢酸
緩衝液等の種々の緩衝液;これらの水系溶媒と、エタノ
ール、メタノール、1,4−ジオキサン等の有機溶媒と
の混合溶媒中で、pH1〜12、好ましくはpH7〜1
0、反応温度0〜100℃、好ましくは0〜60℃で、
反応時間30分間〜200時間、好ましくは1時間〜2
4時間の条件で行うことができる。このようにして反応
させることにより、小胞体外表面のアミノ基と小胞体修
飾剤のアミノ基に対する活性基部分とが反応してウレタ
ン結合またはアミド結合を形成し、一般式〔1〕で表わ
される反応活性基を有する鎖が小胞体外表面に導入さ
れ、一般式〔2〕で表わされる構造を有する反応性小胞
体が得られる。
【0023】アミノ基を有するリン脂質を小胞体形成成
分(膜形成成分)として含むリポソームと小胞体修飾剤
とから反応性リポソームを製造する反応式は次の〔5〕
式で示される。
【化10】
【0024】このようにして得られた本発明の反応性小
胞体は、ゲルろ過、透析、限外ろ過、遠心分離などの方
法により容易に単離・精製することができる。このよう
に本発明の製造方法では、調製済みの小胞体に、後から
反応活性基を有する鎖を導入しているので、小胞体の外
表面にのみ反応活性基を有する鎖が存在し、内側には存
在しない反応性小胞体が得られる。
【0025】本発明の小胞体修飾剤は、水溶性であるこ
とが好ましい。従って、一般式〔3〕中のOAとして
は、前記のようにエチレンオキシドが単独で付加したも
の、あるいはエチレンオキシドとテトラヒドロフランお
よび/またはプロピレンオキシドとがランダム状または
ブロック状に付加したものなどが好ましく、特にエチレ
ンオキシドが単独で4以上付加したものが好ましい。
【0026】本発明の小胞体修飾剤は、例えば下記反応
式〔6〕に示すように、α−プロピルアミン−ω−ヒド
ロキシ−ポリオキシエチレンとN−(6−マレイミドブ
チリルオキシ)コハク酸イミドとを反応させた後、さら
にN,N′−カルボニルジイミダゾールを反応させるな
どの方法により容易に製造することができる。これらの
反応は、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ア
セトニトリル、ベンゼン、クロロホルム、塩化メチレン
などの有機溶媒中、−100〜+100℃、好ましくは
0〜+60℃、10分間〜200時間、好ましくは30
分間〜12時間反応させることにより行うことができ
る。
【0027】
【化11】
【0028】得られた反応混合物は、精製することなく
そのままで、あるいは再沈殿、カラム、ゲルろ過、限外
ろ過、透析などの方法により単離・精製した後、小胞体
修飾剤として使用される。
【0029】次にそれぞれの反応性小胞体について詳し
く説明する。まず代表的な反応性小胞体である反応性リ
ポソームについて説明する。本発明に係る反応性リポソ
ームは膜を構成するいちばん外側の膜の外表面にのみ一
般式〔1〕で表わされる反応活性基を有する鎖が存在
し、それ以外には存在しない反応性リポソームである。
【0030】反応性リポソームを構成する膜形成成分
(小胞体形成成分)としては、前記アミノ基を有するリ
ン脂質の他に、従来からリポソームの膜形成成分として
用いられているものが制限なく使用できる。具体的に
は、ジホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、
ホスファチジルイノシトール、大豆レシチン、卵黄レシ
チン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロ
ール等のリン脂質および脂肪酸部に不飽和基を有する重
合性リン脂質;スルホキシリボシルジグリセリド、ジガ
ラクトシルジグリセリド、ラクトシルジグリセリド等の
糖脂質類;コレステロール等の非極性脂質;その他に
は、非イオン性界面活性剤、ホスファチジルポリエチレ
ングリコール、「Biochem. Biophys. Acta., 1066, 29-
36(1990)」に記載されているホスファチジルエタノール
アミンとポリエチレングリコールとの反応物、およびこ
れらの混合物などがあげられる。
【0031】全膜形成成分中に占めるアミノ基を有する
リン脂質の割合は、通常0.01〜100モル%、好ま
しくは0.1〜50モル%とするのが望ましい。0.0
1モル%未満の場合、リポソーム外表面に存在する一般
式〔1〕で表わされる反応活性基を有する鎖の導入量が
少なくなり、このためリポソーム外表面に共有結合させ
る機能性物質の量が少なくなるので好ましくない。
【0032】小胞体修飾剤と反応させる前のリポソーム
は、エクスツルージョン法、ボルテックスミキサー法、
超音波法、界面活性剤除去法、逆層蒸発法、エタノール
注入法、プレベシクル法、フレンチプレス法、W/O/
Wエマルジョン法、アニーリング法、凍結融解法など、
種々の公知の方法により製造することができる。また、
これらの製造法を選択することにより、多重層リポソー
ム、小さな一枚膜リポソーム、大きな一枚膜リポソーム
など、種々の大きさや形態を有するリポソームを製造す
ることができる。このような方法により、リポソームの
外表面および内側にアミノ基が存在するリポソームが得
られる。
【0033】リポソームの内部には、一般のリポソーム
と同様に種々の物質を公知の方法により封入することが
可能である。被封入物質としては、例えば色素、染料、
放射線ラベル化合物、蛍光化合物、化学発光化合物等の
標識物質;光応答性化合物、pH応答性化合物、熱応答
性化合物、電極感応性化合物等の外部刺激応答性化合
物;酵素、抗体、その他のタンパク質、糖、脂質、糖タ
ンパク質、糖脂質、ホルモン等の生理活性物質;医薬;
ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチ
レングリコール、ヒアルロン酸等の水溶性高分子類;ホ
スファチジルセリン等のリン脂質;これらの混合物など
があげられる。
【0034】上記のようなリポソームと一般式〔3〕で
表わされる小胞体修飾剤とを前記のようにして反応させ
ることにより、反応性リポソームが得られる。この場
合、全反応溶液中のリポソームの膜構成成分濃度は、
0.001〜1000mg/ml、好ましくは0.1〜
100mg/mlとするのが望ましく、また小胞体修飾
剤の濃度は特に限定されないが、0.001〜1000
mg/ml、好ましくは0.01〜500mg/mlと
するのが望ましい。小胞体修飾剤の使用量が上記下限値
より少ない場合、得られた反応性リポソームは外表面に
共有結合させる機能性物質の量が少なくなるので好まし
くない。一方、上限値を超えると反応溶液の粘度が高く
なり、リポソームの安定性が低下するため好ましくな
い。
【0035】なお、リポソーム外表面のアミノ基の全量
を小胞体修飾剤と反応させる必要がない場合、またはリ
ポソームに導入される(ポリ)オキシアルキレン鎖の先
端の全てが反応活性基である必要がない場合には、アミ
ノ基ブロック化剤、例えば片末端には反応性基を持た
ず、もう片末端にのみアミノ基に対する反応性基を有す
る(ポリ)オキシアルキレン誘導体、具体的にはα−メ
チルカルボニル(N−オキシコハク酸イミド)−ω−メ
トキシポリオキシエチレン、α−N−カルボニルイミダ
ゾール−ω−メトキシポリオキシエチレン、または小胞
体修飾剤を製造した際に副生した片末端にのみアミノ基
に対する反応活性基が導入された(ポリ)オキシアルキ
レン誘導体などを、リポソーム外表面のアミノ基と反応
させて、アミノ基をブロックすることができる。このよ
うなアミノ基のブロック化は、反応性リポソームを製造
する際の反応溶液中にアミノ基ブロック化剤を添加して
行うこともできるし、小胞体修飾剤と反応させる前に行
うこともできるし、または小胞体修飾剤と反応させた後
に行うこともできる。このようにリポソーム外表面のア
ミノ基をブロックすることにより、リポソーム外表面に
導入される一般式〔1〕で表わされる反応活性基を有す
る鎖の量を所望の値に調節することができる。
【0036】このようにして得られた反応性リポソーム
は、リポソーム膜の外表面に(ポリ)オキシアルキレン
からなるスペーサーを介してマレイミド基が結合してい
るので、チオール基を有する機能性物質を効率よくかつ
簡単に、リポソームの二分子膜の外表面上に(ポリ)オ
キシアルキレンからなるスペーサーを介して、化学的に
固定化することができる。
【0037】反応性リポソームに固定化できる機能性物
質としては、チオール基を有するまたはチオール基を導
入した物質であれば特に限定されず、例えば色素、染
料、放射線ラベル化合物、蛍光化合物、化学発光化合
物、電極感応性化合物等の標識物質;光応答性化合物、
pH応答性化合物、熱応答性化合物等の外部刺激応答性
化合物;酵素、抗体、その他のタンパク質、糖、脂質、
糖タンパク質、糖脂質、ホルモン等の生理活性物質;医
薬;ホスファチジルセリン等のリン脂質;これらの混合
物などがあげられる。特に抗体を用いる場合には、抗
体、例えばIgGをパパインまたはペプシンなどの酵素
で消化した後、メルカプトエタノールなどで還元して得
られるフラグメントを用いることができる。
【0038】反応性リポソーム外表面への機能性物質の
固定化反応は、水系溶媒、例えば蒸留水;生理的食塩
水;リン酸緩衝液、炭酸緩衝液、トリス緩衝液、酢酸緩
衝液等の種々の緩衝液;これらの水系溶媒とアセトン、
アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキ
サン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセタミド、ジ
メチルスルホキシド、ピロリドン等の有機溶媒との混合
溶媒中で、反応性リポソームと機能性物質とをpH1〜
12、好ましくはpH5〜10、反応温度0〜100
℃、好ましくは0〜60℃で、反応時間30分間〜20
0時間、好ましくは1分間〜24時間の条件で、攪拌下
に反応させる方法などにより、一段階で容易に行うこと
ができる。この場合、反応条件は温和であり、しかも一
段階で行うことができるので、得られるリポソームの安
定性は高い。なお上記の条件外では、リポソームの安定
性が悪くなるため好ましくない。固定化反応の終了後
は、必要によりゲル濾過、限外濾過、透析、遠心分離、
静置沈降分離等の方法により精製を行うことができる。
【0039】リポソーム外表面上でのチオール基を有す
る機能性物質の固定化反応を模式的に示すと下式〔7〕
のようになる。式中、波線は(ポリ)オキシアルキレン
鎖、Fは機能性物質を示す。
【化12】
【0040】機能性物質を固定化したリポソームは、
(ポリ)オキシアルキレン鎖の先端に機能性物質が固定
されているので(ポリ)オキシアルキレン鎖の長さを調
節することにより機能性物質の作用を十分に発揮させる
ことができる。また、(ポリ)オキシアルキレン鎖が導
入されているので、従来からの(ポリ)オキシアルキレ
ン鎖導入の効果、例えば長期間にわたる血液中濃度の維
持、非免疫原生、リポソーム内部に封入した物質の漏れ
防止などの効果も期待できる。さらにリポソームの内側
(内表面)には反応活性の高い基は存在しないので、D
DS用の医薬運搬体、診断薬、アジュバントなど、生体
内に投与する機能性リポソームとして用いても生体内の
官能基とは反応せず、副作用や毒性を示す危険性がない
ほか、封入した機能性物質とも反応しない。このほか、
不必要なマレイミド基が残存したとしても、チオグリコ
ール酸、メルカプトプロピオン酸、システインなどのチ
オール基を有する化合物を反応させてキャッピングを行
う方法などにより、その全てを容易に失活させることが
できる。
【0041】このため反応性リポソームは、医薬の運搬
体、検査薬、診断薬、アジュバント、センサー、固定化
触媒、バイオリアクター、バイオエレクトロニクス素
子、化粧品、マイクロカプセル代替品など、種々の機能
性リポソームとして利用できる。これらの中でも、医薬
の運搬体、診断薬、アジュバントなどの生体内に投与す
る機能性リポソームとして好適に利用できる。
【0042】なお、リポソームを製造する際、膜形成成
分として重合性リン脂質を配合することにより、重合性
の反応性リポソームとすることができる。重合性のリン
脂質としては、公知の重合性リン脂質を使用することが
できるが、例えば1,2−ジ(2,4−オクタデカジエ
ノイル)−3−ホスファチジルコリンの他、野島庄七、
砂本順三、井上圭三編集、1988年南雲堂発行の「リ
ポソーム」p313〜315に記載のものなどがあげら
れる。これらの中では、1,2−ジ(2,4−オクタデ
カジエノイル)−3−ホスファチジルコリンが好まし
い。
【0043】重合性リポソームは、リポソーム調製後
に、光重合開始剤の存在下または非存在下でUV、γ
線、電子線などの光照射を行うことにより、あるいはレ
ドックス開始剤系により、あるいはアゾ系開始剤または
有機過酸化物などの存在下で加熱を行うことにより、容
易に重合を行うことができる。このようにして得られた
重合後のリポソームは、優れた安定性を有しているの
で、水溶液に分散させたままで、あるいは凍結乾燥等に
より粉末状に調製し、安定して使用することができる。
【0044】他の反応性小胞体としての反応性脂肪乳剤
は、アミノ基を有するリン脂質と、大豆油、サフラワー
油等の植物油と、必要により添加される他の添加剤、例
えば大豆レシチン、卵黄レシチン等のリン脂質、イント
ラリピッド(大塚製薬(株)製、商標)、乳化補助剤、
安定化剤、等張化剤、脂溶性医薬、脂溶性生理活性物質
などを含む油脂混合物が外表面にのみ一般式〔1〕で表
わされる反応活性基を有する鎖が存在するものである。
【0045】小胞体修飾剤との反応前の脂肪乳剤は、公
知の方法により製造することができる。例えば、アミノ
基を有するリン脂質、植物油、および必要により配合す
る添加剤を混合、加熱し、水を加えてホモミキサー等で
粗乳化し、次にマントン−ガウリン型の加圧噴射式ホモ
ジナイザー等で均質化する方法などにより製造すること
できる。また脂肪乳剤としては、上記イントラリピッド
のような脂質混合乳化物を使用することもできる。
【0046】このようにして得られた小胞体修飾剤との
反応前の脂肪乳剤と一般式〔3〕で表わされる小胞体修
飾剤とを、反応性リポソームの場合と同様にして反応さ
せることにより、本発明に係る反応性脂肪乳剤が得られ
る。反応性脂肪乳剤は反応性リポソームと同様にして、
同様の機能性物質を容易に固定化することができる。こ
のため反応性脂肪乳剤は、医薬の運搬体、検査薬、診断
薬、センサー、化粧品、固定化触媒などとして利用でき
る。
【0047】上記以外の反応性小胞体である反応性ミセ
ルは、アミノ基を有するリン脂質が単独で、または他の
成分、例えばホスファチジルコリン、その他のリン脂質
類、コレステロールなどがミセル化し、外表面にのみ一
般式〔1〕で表わされる反応活性基を有する鎖が存在す
る状態でミセル化したものである。反応性ミセルも反応
性脂肪乳剤と同様にして機能性物質を固定化することが
でき、また同様の用途に利用できる。
【0048】
【発明の効果】本発明の反応性小胞体は、反応活性基が
小胞体の外表面にのみ存在し、内側には存在していない
ので、機能性物質を固定化した小胞体中には反応活性基
が残存せず、このため生体内に投与しても生体内の官能
基とは反応が起らず、副作用や毒性を起す危険性がな
い。また機能性物質の固定化は簡単にかつ効率よく行う
ことができ、しかも小胞体の安定性を低下させることは
ない。さらに(ポリ)オキシアルキレン鎖の長さを調節
することにより、固定化した機能性物質の作用を十分に
発揮させることができる。
【0049】本発明の小胞体修飾剤は、上記のような反
応性小胞体を製造するための原料として用いることによ
り、簡単な操作で、小胞体の外表面にのみ一般式〔1〕
で表わされる反応活性基を有する(ポリ)オキシアルキ
レン鎖を結合させることができる。
【0050】本発明の反応性小胞体の製造方法では、ア
ミノ基を有するリン脂質を小胞体形成成分として含む小
胞体に、上記小胞体修飾剤を反応させるだけで、簡単に
効率よく、しかも小胞体の安定性を低下させることなく
前記のような反応性小胞体を製造することができる。
【0051】
【実施例】以下実施例によりさらに詳細な説明を行う
が、本発明はこれらに限定されるものではない。 合成例1 1,4−ジオキサン10ml中に、α−ヒドロキシ−ω
−プロピルアミン−ポリエチレングリコール(分子量約
3000)1g(333μmol)およびN−(6−マ
レイミドブチリルオキシ)コハク酸イミド140mg
(500μmol)を加え、4℃で6時間攪拌した。さ
らに、N,N′−カルボニルジイミダゾール81mg
(500μmol)を加え、4℃で12時間攪拌した。
反応終了後、濾過し、得られた濾液に蒸留水50mlを
加え、さらに限外濾過(分画分子量3000)により精
製した。これを凍結乾燥し、下式〔8〕で表わされる白
色粉末状の目的の反応性ポリオキシアルキレン誘導体を
得た(収率78%)。
【化13】
【0052】実施例1−1 卵黄ホスファチジルコリン20mg(26μmol)、
コレステロール3.9mg(10μmol)およびジパ
ルミトイルホスファチジルエタノールアミン2.8mg
(4μmol)をナス型フラスコに入れ、2mlのベン
ゼンで溶解させた後、凍結乾燥を行った。これに生理的
食塩水1mlを加え、バス型超音波照射およびボルテッ
クスミキサーにより、多重層リポソームを得た。さらに
エクスツルーダーにより3.0→1.0→0.2μmの
ポリカーボネートメンブランを順次通過させることによ
り、大きな一枚膜リポソームを得た。
【0053】次に、得られたリポソーム懸濁液の500
μlに、合成例1で得られた反応性ポリオキシアルキレ
ン誘導体を10wt%の濃度で含む生理的食塩水1ml
を加え、pH7.4において室温で6時間反応させ、マ
レイミド基を有するポリオキシエチレン鎖がウレタン結
合により外表面に導入された反応性リポソームを得た。
反応終了後、Sephadex G−50を用いてゲル
濾過を行い、含リポソーム分画を分取し、反応性リポソ
ームを得た。得られた反応性リポソームの粒径をレーザ
ー散乱粒度分布計(NICOMP社製、NICOMP3
70HPL、商標)を用いて測定したところ、平均粒径
は184nm(CV値17%)であった。さらに、5℃
で3週間保存した後粒径を測定した結果、平均粒径は1
88nm(CV値18%)であった。このことから、上
記反応性リポソームは安定性に優れていることがわか
る。
【0054】実施例1−2 実施例1−1と同様にして、ただし反応性ポリオキシア
ルキレン誘導体の10wt%を含む生理的食塩水に代え
て、同様の反応性ポリオキシアルキレン誘導体5wt%
を含む生理的食塩水を用いて、マレイミド基を有するポ
リオキシエチレン鎖がウレタン結合により外表面に導入
された反応性リポソームを得た(平均粒径189nm、
CV値18%)。また、5℃で3週間保存した後の平均
粒径は192nm(CV値20%)であり、安定性に優
れていた。
【0055】実施例1−3 実施例1−1と同様にして、ただし下式
〔9〕で表わさ
れる反応性ポリオキシアルキレン誘導体5wt%および
α−メチルカルボニル(N−オキシコハク酸イミド)−
ω−メトキシポリオキシエチレン(分子量約3000)
10wt%を含む生理的食塩水1mlを用いて、マレイ
ミド基を有するポリオキシエチレン鎖がウレタン結合に
より外表面に導入された反応性リポソームを得た(平均
粒径193nm、CV値18%)。また、5℃で3週間
保存した後の平均粒径は196nm(CV値20%)で
あり、安定性に優れていた。
【化14】
【0056】実施例1−4 実施例1−1と同様にして、ただし下式〔10〕で表わ
される反応性ポリオキシアルキレン誘導体(ランダム共
重合体;分子量約2100)5wt%およびα−メチル
カルボニル(N−オキシコハク酸イミド)−ω−メトキ
シポリオキシエチレン(分子量約3000)10wt%
を含む生理的食塩水1mlを用いて、マレイミド基を有
するポリオキシアルキレン鎖がウレタン結合により外表
面に導入された反応性リポソームを得た(平均粒径19
1nm、CV値19%)。また、5℃で3週間保存した
後の平均粒径は197nm(CV値20%)であり、安
定性に優れていた。
【化15】
【0057】実施例1−5 実施例1−1と同様にして、ただし下式〔11〕で表わ
される反応性ポリオキシアルキレン誘導体5wt%およ
びα−メチルカルボニル(N−オキシコハク酸イミド)
−ω−メトキシポリオキシエチレン(分子量約300
0)10wt%を含む生理的食塩水1mlを用いて、マ
レイミド基を有するポリオキシアルキレン鎖がウレタン
結合により外表面に導入された反応性リポソームを得た
(平均粒径187nm、CV値17%)。また、5℃で
3週間保存した後の平均粒径は190nm(CV値19
%)であり、安定性に優れていた。
【化16】
【0058】実施例1−6 実施例1−1と同様にして、ただし下式〔12〕で表わ
される反応性ポリオキシアルキレン誘導体5wt%およ
びα−メチルカルボニル(N−オキシコハク酸イミド)
−ω−メトキシポリオキシエチレン(分子量約300
0)10wt%を含む生理的食塩水1mlを用いて、マ
レイミド基を有するポリオキシエチレン鎖がウレタン結
合により外表面に導入された反応性リポソームを得た
(平均粒径188nm、CV値16%)。また、5℃で
3週間保存した後の平均粒径は190nm(CV値18
%)であり、安定性に優れていた。
【化17】
【0059】実施例1−7 実施例1−1と同様にして、ただし下式〔13〕で表わ
されるポリオキシアルキレン誘導体5wt%およびα−
メチルカルボニル(N−オキシコハク酸イミド)−ω−
メトキシポリオキシエチレン(分子量約3000)10
wt%を含む生理的食塩水1mlを用いて、マレイミド
基を有するポリオキシエチレン鎖がアミド結合により外
表面に導入された反応性リポソームを得た(平均粒径1
81nm、CV値18%)。また、5℃で3週間保存し
た後の平均粒径は189nm(CV値19%)であり、
安定性に優れていた。
【化18】
【0060】実施例1−8 実施例1−1と同様にして、ただし下式〔14〕で表わ
されるポリオキシアルキレン誘導体5wt%およびα−
メチルカルボニル(N−オキシコハク酸イミド)−ω−
メトキシポリオキシエチレン(分子量約3000)10
wt%を含む生理的食塩水1mlを用いて、マレイミド
基を有するポリオキシエチレン鎖がアミド結合により外
表面に導入された反応性リポソームを得た(平均粒径1
87nm、CV値16%)。また、5℃で3週間保存し
た後の平均粒径は191nm(CV値18%)であり、
安定性に優れていた。
【化19】
【0061】実施例1−9 実施例1−1と同様にして、ただし下式〔15〕で表わ
されるポリオキシアルキレン誘導体1wt%およびα−
メチルカルボニル(N−オキシコハク酸イミド)−ω−
メトキシポリオキシエチレン(分子量約3000)5w
t%を含む生理的食塩水1mlを用いて、マレイミド基
を有するポリオキシエチレン鎖がアミド結合により外表
面に導入された反応性リポソームを得た(平均粒径18
8nm、CV値18%)。また、5℃で3週間保存した
後の平均粒径は191nm(CV値20%)であり、安
定性に優れていた。
【化20】
【0062】実施例2 西洋わさびペルオキシダーゼに3−(2−ピリジルチ
オ)プロピオン酸−N−ヒドロキシコハク酸イミドエス
テルを反応させ、さらにメルカプトエタノールによりジ
チオピリジル基を還元させて、チオール基を導入した西
洋わさびペルオキシダーゼ(以下、チオール化HRPと
略す)を得た。次に、実施例1−1で得られた反応性リ
ポソームの懸濁液500μlに、チオール化HRPを1
mg溶解させた0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)1
mlを加え、4℃で24時間攪拌し、HRPをリポソー
ムの外表面に固定化した。反応終了後、Sephade
x G−50を用いてゲル濾過し、含リポソーム画分を
分取した。これに、HRPの基質である1,2−フェニ
レンジアミン溶液(10mmol/l)0.1mlを加
え、30℃で10分間インキュベートし、さらに0.1
N硫酸10μlを加えたところ、褐色の呈色が見られ
た。この結果から、実施例1−1の反応性リポソーム
は、チオール化HRPと攪拌するだけで容易にHRPを
固定化できることが確認できた。
【0063】比較例1 卵黄ホスファチジルコリン20mg(26μmol)、
コレステロール3.9mg(10μmol)およびジパ
ルミトイルホスファチジルエタノールアミン2.8mg
(4μmol)のみを用いて、実施例1−1と同様の操
作により、固形分量約0.25%の大きな一枚膜リポソ
ームを得た。このリポソームに実施例2と同様にしてチ
オール化HRPを接触させ、ゲル濾過により精製した。
次に1,2−フェニレンジアミン溶液(10mmol/
l)0.1mlを加え、30℃で10分間インキュベー
トし、さらに0.1N硫酸10μlを加えたが、発色は
見られなかった。この結果から、マレイミド基を持たな
いリポソームではチオール化HRPを固定できないこと
がわかる。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミノ基を有するリン脂質を小胞体形成
    成分として含む小胞体において、小胞体の外表面に存在
    する前記アミノ基に対するウレタン結合またはアミド結
    合により、一般式〔1〕 【化1】 〔式中、OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、 nはオキシアルキレン基の平均付加モル数で、1〜10
    00の正数を表わす。nが2以上の場合、オキシアルキ
    レン基は同一でも異なっていてもよく、またランダム状
    に付加していても、ブロック状に付加していてもよい。
    Xは2価の有機残基、 pは1〜6の整数、 qは0または1を表わす。〕で表わされる反応活性基を
    有する(ポリ)オキシアルキレン鎖が、小胞体の外表面
    にのみ結合した反応性小胞体であって、一般式〔2〕 【化2】 〔式中、OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、 nはオキシアルキレン基の平均付加モル数で、1〜10
    00の正数を表わす。nが2以上の場合、オキシアルキ
    レン基は同一でも異なっていてもよく、またランダム状
    に付加していても、ブロック状に付加していてもよい。
    Xは2価の有機残基、 pは1〜6の整数、 qは0または1、 Lip−NH−はアミノ基を有するリン脂質を小胞体形
    成成分として含む小胞体を表わす。〕で表わされる構造
    を有することを特徴とする反応性小胞体。
  2. 【請求項2】 一般式〔3〕 【化3】 〔式中、OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、 nはオキシアルキレン基の平均付加モル数で、1〜10
    00の正数を表わす。nが2以上の場合、オキシアルキ
    レン基は同一でも異なっていてもよく、またランダム状
    に付加していても、ブロック状に付加していてもよい。
    Xは2価の有機残基、 pは1〜6の整数、 qは0または1、 Bはアミノ基に対する反応活性基を表わす。〕で表わさ
    れる(ポリ)オキシアルキレン誘導体からなることを特
    徴とする請求項1記載の反応性小胞体製造用の小胞体修
    飾剤。
  3. 【請求項3】 アミノ基を有するリン脂質を小胞体形成
    成分として含む小胞体に、請求項2記載の小胞体修飾剤
    を水系溶媒中で反応させることを特徴とする請求項1記
    載の反応性小胞体の製造方法。
JP26422194A 1994-10-27 1994-10-27 反応性小胞体、小胞体修飾剤および製造方法 Expired - Fee Related JP3525516B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26422194A JP3525516B2 (ja) 1994-10-27 1994-10-27 反応性小胞体、小胞体修飾剤および製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26422194A JP3525516B2 (ja) 1994-10-27 1994-10-27 反応性小胞体、小胞体修飾剤および製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08117586A JPH08117586A (ja) 1996-05-14
JP3525516B2 true JP3525516B2 (ja) 2004-05-10

Family

ID=17400185

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26422194A Expired - Fee Related JP3525516B2 (ja) 1994-10-27 1994-10-27 反応性小胞体、小胞体修飾剤および製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3525516B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4922824B2 (ja) * 2000-04-03 2012-04-25 参天製薬株式会社 送達性物質およびそれを利用した薬物デリバリーシステム
CA2404737C (en) * 2000-04-03 2010-06-29 Santen Pharmaceutical Co., Ltd. Drug delivering substance containing polyalkylene glycol and phospholipid covalently bonded to drug
KR101025143B1 (ko) 2002-12-31 2011-04-01 넥타르 테라퓨틱스 가수분해상으로 안정한 말레이미드-종결 중합체
US7432331B2 (en) 2002-12-31 2008-10-07 Nektar Therapeutics Al, Corporation Hydrolytically stable maleimide-terminated polymers

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08117586A (ja) 1996-05-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5540935A (en) Reactive vesicle and functional substance-fixed vesicle
EP0689428B1 (en) Enhanced circulation effector composition and method
JP3351476B2 (ja) リン脂質誘導体及びそれを含有するリポソーム
US20010043929A1 (en) Enhanced circulation effector composition and method
JPH02149512A (ja) リポソームおよびその製法
JP3525516B2 (ja) 反応性小胞体、小胞体修飾剤および製造方法
JP2008195757A (ja) マンノース6−リン酸−ポリエチレングリコール結合体
JP3620059B2 (ja) 反応性小胞体、形成剤および機能性物質固定化小胞体
JP3759759B2 (ja) リポソームおよび薬物運搬体
WO2006098415A1 (ja) 薬物運搬体
JP3341487B2 (ja) 反応性小胞体、小胞体修飾剤および製造方法
JP3427458B2 (ja) 反応性小胞体、小胞体修飾剤および製造方法
JPH07165770A (ja) リン脂質誘導体
JP3610602B2 (ja) 反応性小胞体および製造方法
JPH03218309A (ja) リポソーム表面への蛋白質吸着抑制剤
JP3391151B2 (ja) コレステロール誘導体
JP3572724B2 (ja) 反応性小胞体形成剤および反応性小胞体
JP3575037B2 (ja) 反応性小胞体および形成剤
JP3590983B2 (ja) リン脂質誘導体
JP3557638B2 (ja) (ポリ)オキシアルキレン鎖結合小胞体、小胞体修飾剤および製造方法
JP3303481B2 (ja) 反応性小胞体および形成剤
JP3428044B2 (ja) 反応性リポソームおよび形成剤
JP3498336B2 (ja) リン脂質誘導体
JP3509142B2 (ja) 反応性リポソームおよび形成剤
JP4928689B2 (ja) 脂質ベシクルおよび脂質ベシクルの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040127

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040209

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080227

Year of fee payment: 4

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080227

Year of fee payment: 4

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090227

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100227

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100227

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 7

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110227

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110227

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120227

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 9

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130227

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 9

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130227

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees