JP3341398B2 - ポジ型感放射線性樹脂組成物 - Google Patents

ポジ型感放射線性樹脂組成物

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JP3341398B2
JP3341398B2 JP26187393A JP26187393A JP3341398B2 JP 3341398 B2 JP3341398 B2 JP 3341398B2 JP 26187393 A JP26187393 A JP 26187393A JP 26187393 A JP26187393 A JP 26187393A JP 3341398 B2 JP3341398 B2 JP 3341398B2
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英一 小林
利幸 大田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、感放射線性樹脂組成物
に関する。さらに詳しくは、特に紫外線、遠紫外線、X
線又は荷電粒子線の如き放射線を用いる超微細加工に好
適なレジストである感放射線性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】集積回路の製造に代表される微細加工の
分野においては、集積回路のより高い集積度を得るため
に、リソグラフィーにおける加工サイズの微細化が進ん
でおり、近年では、0.5μm以下の微細加工を安定的
に行うことのできる技術が必要とされている。そのた
め、用いられるレジストにおいても、0.5μm以下の
パターンを精度良く形成することが必要である。それ
故、より波長の短い放射線を利用したリソグラフィー技
術が検討されている。このような放射線としては、i線
(365nm)に代表される紫外線、KrFエキシマレ
ーザー(248nm)に代表される遠紫外線、シンクロ
トロン放射線に代表されるX線、電子線に代表される荷
電粒子線等を挙げることができる。近年、これらの放射
線に対応するレジストが種々提案されている。それらの
うち特に注目されているのが、放射線の照射によって生
成する酸の触媒作用により、現像液に対する溶解性を変
化させる反応を起こさせるレジストであり、この種のレ
ジストは、通常、「化学増幅型レジスト」と称されてい
る。
【0003】レジストを実際に集積回路の製造プロセス
に使用する場合、通常、感放射線性成分、被膜形成性樹
脂成分等の「レジスト」を構成する感放射線性成分を溶
媒に溶解したレジスト溶液を調製し、加工に供される基
板上に回転塗布やロールコーターによる塗布を行い、レ
ジスト被膜を形成させる。そのため、レジスト溶液の塗
布性や保存安定性といった性能は、高度な微細加工を安
定的に行う上で、必要不可欠な性能である。また当該レ
ジスト被膜は、放射線を照射することにより、微細加工
に適したパターンを形成するが、この際のパターンの形
状が微細加工の精度に重要な影響を与え、矩形の形状が
好ましいとされている。
【0004】従来のリソグラフィーに用いられているノ
ボラック樹脂とナフトキノンジアジド系感光剤を使用し
たレジストにおいては、レジスト溶液を調製する際の溶
媒として、エチレングリコールモノエチルエーテルアセ
テート等を用いることが知られている。しかし、「化学
増幅型レジスト」については、レジスト溶液を調製する
際の溶媒として、エチレングリコールモノエチルエーテ
ルアセテートを用いると、保存安定性の面で問題があ
る。すなわち、エチレングリコールモノエチルエーテル
アセテートを溶媒として用いると、レジスト溶液調製後
の時間経過によってレジスト被膜の感度及び形成される
パターン形状がバラツクという問題がある。また、近年
の集積回路の高集積度化に伴い、集積回路製造時の歩留
まりや効率を向上させるため、基板(シリコンウェハ
ー)の口径が、例えば4インチから6インチ、8インチ
と大きくなってきており、従来からの化学増幅型レジス
トの溶剤として一般的な、エチレングリコールモノエチ
ルエーテルアセテートを用いる化学増幅型レジストでは
大口径化された基板に対するスピンコート法による塗布
性が必ずしも充分なものとは言えなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、新規
な感放射線性樹脂組成物を提供することにあり、感度、
解像度等に優れた、特に大口径化された基板へのスピン
コート法による塗布性に優れた化学増幅型レジストとし
て好適な感放射線性樹脂組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、微細加工を安定的に行うことがで
き、保存安定性に優れ、良好なパターン形状を与えるレ
ジスト被膜を形成する感放射線性樹脂組成物を提供する
ことにある。本発明のさらに他の目的は、レジスト溶液
の調製後長時間経過した後においても、良好な感度を有
し、優れたパターン形状を再現性良く形成する、保存安
定性の優れた感放射線性樹脂組成物を提供することにあ
る。本発明のさらに他の目的及び利点は以下の説明から
明らかとなろう。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば本発明の
上記目的及び利点は、下記感放射線性樹脂組成物により
達成される。
【0007】(イ)() 酸分解性基で保護されたア
ルカリ不溶性又はアルカリ難溶性の樹脂で、該酸分解性
基が分解したときにアルカリ可溶性となる樹脂(以下、
「酸分解性基含有樹脂」という。)、(b) 放射線の
照射によって酸を発生する化合物(以下、「感放射線性
酸発生剤」という。)、及び(酢酸ブチルあるい
は蟻酸アミルからなるエステル(以下、「エステル系溶
剤」という。)と、プロピレングリコールアルキルエー
テル(以下、「プロピレングリコールエーテル系溶剤」
という。)及び/又はプロピレングリコールアルキルエ
ーテルアセテート(以下、「プロピレングリコールアセ
テート系溶剤」という。)とを含有してなり、その合計
量100重量部中のエステル系溶剤の割合が20〜95
重量部である混合溶剤を含有することを特徴とするポジ
型感放射線性樹脂組成物(以下、「レジスト組成物
(イ)」という。)、
【0008】
【0009】
【0010】以下、レジスト組成物(イ)について説明
する。感放射線性酸発生剤 本発明で用いられる感放射線性酸発生剤、すなわち放射
線に感応して酸を発生する化合物としては、例えばオニ
ウム塩化合物、ハロゲン含有化合物、スルホン化合物及
びスルホネート化合物等を挙げることができる。より具
体的には以下の化合物を挙げることができる。
【0011】ア)オニウム塩化合物 ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジ
アゾニウム塩、ピリジニウム塩等を挙げることができ
る。好ましくは、ジフェニルヨードニウムトリフレー
ト、ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフ
ェニルヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、ト
リフェニルスルホニウムトリフレート、トリフェニルス
ルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニ
ルスルホニウムナフタレンスルホネート、(ヒドロキシ
フェニル)ベンジルメチルスルホニウムトルエンスルホ
ネート等である。
【0012】イ)ハロゲン含有化合物 ハロアルキル基含有ヘテロ環状化合物、ハロアルキル基
含有炭化水素化合物等を挙げることができる。好ましく
は、フェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリア
ジン、メトキシフェニル−ビス(トリクロロメチル)−
s−トリアジン、ナフチル−ビス−(トリクロロメチ
ル)−s−トリアジン等の(トリクロロメチル)−s−
トリアジン誘導体や1,1−ビス(4−クロロフェニ
ル)−2,2,2−トリクロロエタンである。
【0013】ウ)スルホン化合物 β−ケトスルホン、β−スルホニルスルホン及びそれら
のα−ジアゾ化合物等を挙げることができる。好ましく
は、フェナシルフェニルスルホン、メシチルフェナシル
スルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン、ビス
(フェニルスルホニル)ジアゾメタン等である。
【0014】エ)スルホネート化合物 アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸
エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホ
ネート等を挙げることができる。好ましくは、ベンゾイ
ントシレート、ピロガロールのトリストリフレート、ニ
トロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2
−スルホネート等である。
【0015】これらの感放射線性酸発生剤は、単独で又
は2種以上を混合して使用することができる。
【0016】酸分解性基含有樹脂 レジスト組成物(イ)における酸分解性基含有樹脂は、
例えば後述するアルカリ可溶性樹脂中のフェノール性水
酸基、カルボキシル基等の酸性官能基を、酸の存在下で
分解しアルカリ可溶性を発現しうる1種以上の置換基
(以下、「酸分解性基」という。)で置換することによ
って得られるアルカリ不溶性樹脂又はアルカリ難溶性樹
脂である。ここで言う「アルカリ不溶性」又は「アルカ
リ難溶性」とは、レジスト組成物(イ)を用いて形成さ
れるレジスト被膜からレジストパターンを形成する際に
採用されるアルカリ現像条件下で、レジスト組成物
(イ)の代わりに酸分解性基含有樹脂のみを用いて形成
した被膜を現像した場合に、当該被膜の初期膜厚の50
%以上が現像後に残存する性質を意味する。
【0017】前記酸分解性基は、フェノール性水酸基、
カルボキシル基等の酸性官能基を、酸の存在下で分解し
うる1種以上の酸分解性基で置換したものであり、酸の
存在下に分解し、アルカリ可溶性を示す官能基を形成す
る基である限り特に限定されるものではないが、例えば
置換メチル基、1−置換エチル基、1−分岐アルキル
基、シリル基、ゲルミル基、アルコキシカルボニル基、
アシル基または環式酸分解性基を挙げることができる。
【0018】前記置換メチル基としては、例えばメトキ
シメチル基、メチルチオメチル基、エトキシメチル基、
エチルチオメチル基、メトキシエトキシメチル基、ベン
ジルオキシメチル基、ベンジルチオメチル基、フェナシ
ル基、ブロモフェナシル基、メトキシフェナシル基、
(メチルチオ)フェナシル基、シクロプロピルメチル
基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメ
チル基、ブロモベンジル基、ニトロベンジル基、メトキ
シベンジル基、メチルチオベンジル基、エトキシベンジ
ル基、エチルチオベンジル基、ピペロニル基等を挙げる
ことができる。
【0019】前記1−置換エチル基としては、例えば1
−メトキシエチル基、1−メチルチオエチル基、1,1
−ジメトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−エ
チルチオエチル基、1,1−ジエトキシエチル基、1−
フェノキシエチル基、1−フェニルチオエチル基、1,
1−ジフェノキシエチル基、1−ベンジルオキシエチル
基、1−ベンジルチオエチル基、1−シクロプロピルエ
チル基、1−フェニルエチル基、1,1−ジフェニルエ
チル基、αーメチルフェナシル基等を挙げることができ
る。
【0020】前記1−分岐アルキル基としては、例えば
イソプロピル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、
1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、
1,1−ジメチルブチル基等を挙げることができる。
【0021】前記シリル基としては、例えばトリメチル
シリル基、エチルジメチルシリル基、ジエチルメチルシ
リル基、トリエチルシリル基、ジメチルイソプロピルシ
リル基、メチルジイソプロピルシリル基、トリイソプロ
ピルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ジ−t−
ブチルメチルシリル基、トリ−t−ブチルシリル基、ジ
メチルフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、
トリフェニルシリル基等を挙げることができる。
【0022】前記ゲルミル基としては、例えばトリメチ
ルゲルミル基、エチルジメチルゲルミル基、ジエチルメ
チルゲルミル基、トリエチルゲルミル基、ジメチルイソ
プロピルゲルミル基、メチルジイソプロピルゲルミル
基、トリイソプロピルゲルミル基、t−ブチルジメチル
ゲルミル基、ジ−t−ブチルメチルゲルミル基、トリ−
t−ブチルゲルミル基、ジメチルフェニルゲルミル基、
メチルジフェニルゲルミル基、トリフェニルゲルミル基
等を挙げることができる。
【0023】前記アルコキシカルボニル基としては、例
えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イ
ソプロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル
基、t−ペンチルオキシカルボニル基等を挙げることが
できる。
【0024】前記アシル基としては、例えばアセチル
基、プロピオニル基、ブチリル基、ヘプタノイル基、ヘ
キサノイル基、バレリル基、ピバロイル基、イソバレリ
ル基、ラウリロイル基、ミリストイル基、パルミトイル
基、ステアロイル基、オキサリル基、マロニル基、スク
シニル基、グルタリル基、アジポイル基、ピペロイル
基、スベロイル基、アゼラオイル基、セバコイル基、ア
クリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、
クロトノイル基、オレオイル基、マレオイル基、フマロ
イル基、メサコノイル基、カンホロイル基、ベンゾイル
基、フタロイル基、イソフタロイル基、テレフタロイル
基、ナフトイル基、トルオイル基、ヒドロアトロポイル
基、アトロポイル基、シンナモイル基、フロイル基、テ
ノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、トル
エンスルホニル基、メシル基等を挙げることができる。
【0025】前記環式酸分解性基としては、例えばシク
ロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、
シクロヘキセニル基、オキソシクロヘキセニル基、4−
メトキシシクロヘキシル基、テトラヒドロピラニル基、
テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル
基、テトラヒドロチオフラニル基、3−ブロモテトラヒ
ドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル
基、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル基、S,S
−ジオキシド基、2−1,3−ジオキソラニル基、2−
1,3−ジチオラニル基、ベンゾ−2−1,3−ジオキ
ソラニル基、ベンゾ−2−1,3−ジチオラニル基等を
挙げることができる。
【0026】これらの酸分解性基のうち、t−ブチル
基、ベンジル基、t−ブトキシカルボニル基、テトラヒ
ドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒド
ロチオピラニル基及びテトラヒドロチオフラニル基等が
好ましい。
【0027】酸分解性基含有樹脂中における酸分解性基
の導入率(酸分解性基含有樹脂中の酸性官能基と酸分解
性基との合計数に対する酸分解性基の数の割合)は、好
ましくは15〜100%、さらに好ましくは20〜10
0%、特に好ましくは20〜80%である。
【0028】また、酸分解性基含有樹脂のゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換
算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、好ま
しくは1,000〜150,000、さらに好ましくは
3,000〜100,000である。
【0029】酸分解性基含有樹脂は、例えば予め製造し
た1種以上のアルカリ可溶性樹脂に1種以上の酸分解性
基を導入することによって、また、1種以上の酸分解性
基を有する単量体の重合又は共重合あるいは1種以上の
酸分解性基を有する重縮合成分の重縮合又は共重縮合に
よって製造することができる。
【0030】
【0031】これらの酸分解性基含有樹脂は、単独で又
は2種以上を混合して使用することができる。
【0032】レジスト組成物(イ)における酸分解性基
含有樹脂と感放射線性酸発生剤との配合割合は、酸分解
性基含有樹脂100重量部当たり、感放射線性酸発生剤
が、好ましくは0.05〜20重量部、さらに好ましく
は0.1〜15重量部、特に好ましくは0.5〜10重
量部である。感放射線性酸発生剤の配合量が0.05重
量部未満では、放射線の照射により発生した酸の触媒作
用による化学変化を有効に起こすことが困難となる場合
があり、また20重量部を超えると、レジスト組成物
(イ)を塗布する際に塗布むらが生じたり、現像時にス
カムが発生するおそれがある。
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】レジスト組成物(イ)には、溶解制御剤を
添加することもできる。
【0045】前記溶解制御剤としては、例えばフェノー
ル性水酸基、カルボキシル基等の酸性官能基を、前述の
酸分解性基で置換した化合物等を挙げることができる。
【0046】溶解制御剤は、低分子化合物でも高分子化
合物でもよいが、好ましい溶解制御剤としては、ビスフ
ェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等の
多価フェノール性化合物、ヒドロキシフェニル酢酸等の
カルボン酸化合物に前記酸分解性基を導入した化合物等
を挙げることができる。
【0047】具体的には、以下の化学式(a)又は
(b)で示される化合物を挙げることができる。
【0048】
【化1】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】レジスト組成物(イ)における溶解制御剤
の添加量は、酸分解性基含有樹脂100重量部に対し
て、50重量部以下が好ましい。
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】溶剤 レジスト組成物(イ)に使用される溶剤は、エステル系
溶剤とプロピレングリコールエーテル系溶剤及び/又は
プロピレングリコールアセテート系溶剤とを含有してな
る混合溶剤である。
【0073】かかる溶剤はレジスト組成物(イ)に優れ
た保存安定性を付与し、レジスト組成物(イ)の調製
後、長時間を経過した後においても、良好な感度及びレ
ジストパターン形状を再現性良く与えることを可能とす
る。
【0074】
【0075】本発明に用いられるプロピレングリコール
エーテル系溶剤は、プロピレングリコールアルキルエー
テルであり、さらにプロピレングリコールアルキルエー
テルとは、プロピレングリコールモノアルキルエーテル
及び/又はプロピレングリコールジアルキルエーテルを
意味する。
【0076】プロピレングリコールエーテル系溶剤にお
けるプロピレングリコールには、1,2−ジヒドロキシ
体と1,3−ジヒドロキシ体の2種類の異性体が存在
し、更に1,2−ジヒドロキシ体ではそのモノアルキル
エーテルの構造にも2種類の異性体が存在するため、一
つのプロピレングリコールモノアルキルエーテルには合
計3種類の異性体が存在する。また、ジアルキルエーテ
ルの場合にも同様に最大3種類の異性体が存在するが、
2つのアルキル基が同一の場合、異性体は2種類であ
る。
【0077】プロピレングリコールのアルキルエーテル
基としては、炭素数1〜6の低級アルキルエーテルを好
適に用いることができ、アルキルエーテルとして好まし
いものは、メチルエーテル、エチルエーテル、プロピル
エーテル、ブチルエーテル等であり、特に好ましいもの
はメチルエーテル、エチルエーテル等である。本発明に
おいて、プロピレングリコールモノアルキルエーテル又
はプロピレングリコールジアルキルエーテルは、アルキ
ルエーテル部分の種類や異性体の種類に関して、単一で
も、あるいは何種類かを混合しても、同様に好適に用い
ることができる。また、モノエーテル体とジエーテル体
を混合しても好適に用いることができる。
【0078】このような溶剤として、具体的には、プロ
ピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリ
コールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ
プロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエ
ーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロ
ピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコ
ールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチ
ルエーテル等を挙げることができ、好ましくは、プロピ
レングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコ
ールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチ
ルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテルを
挙げることができる。プロピレングリコールエーテル系
溶剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することが
できる。
【0079】また本発明に用いられるプロピレングリコ
ールアセテート系溶剤は、プロピレングリコールアルキ
ルエーテルアセテートを意味する。プロピレングリコー
ルエーテル系溶剤と同様に、プロピレングリコールアセ
テート系溶剤におけるプロピレングリコールにも、1,
2−ジヒドロキシ体と1,3−ジヒドロキシ体の2種類
の異性体が存在し、更に1,2−ジヒドロキシ体ではそ
のモノアルキルエーテルアセテートの構造にも2種類の
異性体が存在するため、一つのプロピレングリコールモ
ノアルキルエーテルアセテートには合計3種類の異性体
が存在する。本発明において、プロピレングリコールア
ルキルエーテルアセテートは、アルキルエーテル部分の
種類や異性体の種類に関して、単一でも、あるいは何種
類かを混合しても、同様に好適に用いることができる。
【0080】プロピレングリコールのアルキルエーテル
基としては、プロピレングリコールエーテル系溶剤の例
示に挙げた炭素数1〜6の低級アルキルエーテルを好適
に用いることができ、アルキルエーテルとして好ましい
ものは、メチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエ
ーテル、ブチルエーテル等であり、特に好ましいものは
メチルエーテル、エチルエーテル等である。
【0081】このようなプロピレングリコールアセテー
ト系溶剤としては、例えばプロピレングリコールモノメ
チルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエ
チルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブ
チルエーテルアセテート等のプロピレングリコールの炭
素数1〜6の低級アルキルエーテルのアセテートを好適
に用いることができる。特に好ましくはプロピレングリ
コールモノメチルエーテルアセテートを挙げることがで
きる。プロピレングリコールアセテート系溶剤は、単独
で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0082】これらのエステル系溶剤とプロピレングリ
コールエーテル系溶剤及び/又はプロピレングリコール
アセテート系溶剤との混合割合は、前記混合溶剤合計量
100重量部中のエステル系溶剤の割合が20〜95重
量部であることが好ましい。
【0083】本発明において、エステル系溶剤とプロピ
レングリコールエーテル系溶剤及び/又はプロピレング
リコールアセテート系溶剤との混合溶剤に他の溶剤を、
全溶剤量100重量部中の、例えば70重量部未満、好
ましくは50重量部未満、特に好ましくは30重量部未
満の範囲で混合することができる。
【0084】ここで他の溶剤としては、例えばエチレン
グリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモ
ノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエ
ーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエ
チレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレング
リコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリ
コールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリ
コールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレン
グリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジ
エチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエー
テル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のジエ
チレングリコールジアルキルエーテル類;トルエン、キ
シレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、2
−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シク
ロヘキサノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン
酸メチル(乳酸メチル)、2−ヒドロキシプロピオン酸
エチル(乳酸エチル)、2−ヒドロキシプロピオン酸ブ
チル(乳酸ブチル)、2−ヒドロキシ−2−メチルプロ
ピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸
エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、3−
メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン
酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メト
キシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチ
ルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピ
オネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレー
ト、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸
メチル、ピルビン酸エチル等のエステル類;N−メチル
ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチ
ルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のア
ミド系溶剤等が挙げられる。
【0085】これらの溶剤は、単独で又は2種以上を混
合して使用することができる。
【0086】また、全溶剤の配合量は酸分解性基含有樹
脂100重量部に対して、通常、20〜3000重量
部、好ましくは50〜3000重量部、さらに好ましく
は100〜2000重量部である。
【0087】レジスト組成物(イ)には必要に応じて、
界面活性剤、増感剤等の各種添加剤を配合することがで
きる。
【0088】前記界面活性剤は、感放射線性樹脂組成物
の塗布性やストリエーション、レジストの現像性等を改
良する作用を示す。このような界面活性剤としては、例
えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシ
エチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレ
イルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエ
ーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、
ポリオキシエチレングリコールジラウレート、ポリオキ
シエチレングリコールジステアレートのほか、商品名
で、KP341(信越化学工業製)、ポリフローNo.
75,No95(共栄社油脂化学工業製)、エフトップ
EF301,EF303,EF352(トーケムプロダ
クツ)、メガファックF171,F172,F173
(大日本インキ化学工業製)、フロラードFC430,
FC431(住友スリーエム製)、アサヒガードAG7
10,サーフロンS−382,SC−101,SC−1
02,SC−103,SC−104,SC−105,S
C−106(旭硝子製)等が挙げられる。
【0089】界面活性剤の配合量は、感放射線性樹脂組
成物中の全樹脂成分100重量部当たり、通常、2重量
部以下である。
【0090】前記増感剤は、放射線のエネルギーを吸収
して、そのエネルギーを感放射線性酸発生剤に伝達し、
それにより酸の生成量を増加させる作用を示すもので、
本発明の組成物を用いて得られるレジストの感度を向上
させる効果を有する。増感剤の好ましい具体例を挙げる
と、アセトン、ベンゼン、アセトフェノン類、ベンゾフ
ェノン類、ナフタレン類、ビアセチル、エオシン、ロー
ズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジ
ン類等がある。
【0091】増感剤の配合量は、感放射線性樹脂組成物
中の全樹脂成分100重量部当たり、通常50重量部以
下、好ましくは30重量部以下である。
【0092】また、染料あるいは顔料を配合することに
より、放射線の照射時のハレーションの影響を緩和で
き、また接着助剤を配合することにより、基板との接着
性を改善することができる。
【0093】さらに、他の添加剤としては、アゾ化合
物、アミン化合物等のハレーション防止剤、保存安定
剤、消泡剤、形状改良剤等が挙げられる。
【0094】レジスト組成物(イ)は、例えば固形分濃
度5〜50重量%の溶液を、例えば孔径0.2μm程度
のフィルターで濾過することによって調製される。
【0095】レジスト組成物(イ)からレジストパター
ンを形成する際には、該組成物を、回転塗布、流延塗
布、ロール塗布等の手段によって、例えばシリコンウエ
ハー、アルミニウムで被覆されたウエハー等の基板上に
塗布することにより、レジスト被膜を形成し、所望のパ
ターンを形成するように該レジスト被膜に放射線を照射
する。その際に使用する放射線は、使用する感放射線性
酸発生剤の種類に応じて、i線等の紫外線;エキシマレ
ーザー等の遠紫外線;シンクロトロン放射線等のX線;
電子線等の荷電粒子線を適宜選択して使用する。また、
放射線量等の放射線照射条件は、組成物の配合組成、添
加剤の種類等に応じて、適宜選定される。
【0096】また、レジスト組成物(イ)を用いてレジ
ストパターンを形成する際には、作業雰囲気中に含まれ
る塩基性不純物等の影響を防止するため、レジスト被膜
上に保護膜を設けることもできる。
【0097】また本発明においては、レジスト被膜のみ
かけの感度を向上させるために、放射線の照射後に焼成
を行うことが好ましい。その加熱条件は、組成物の配合
組成、添加剤の種類等により変わるが、通常、30〜2
00℃、好ましくは50〜150℃である。
【0098】次いで、アルカリ現像液で現像することに
より、所定のレジストパターンを形成させる。前記アル
カリ現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸
ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピ
ルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、
トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエ
タノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチル
アンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウム
ヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8
−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセン、
1,5−ジアザビシクロ−[4,3,0]−5−ノネン
等のアルカリ性化合物を、通常、1〜10重量%、好ま
しくは2〜5重量%の濃度となるように溶解したアルカ
リ性水溶液が使用される。
【0099】また、前記現像液には、例えばメタノー
ル、エタノール等の水溶性有機溶剤及び界面活性剤を適
量添加することもできる。なお、このようにアルカリ性
水溶液からなる現像液を使用する場合には、一般に、現
像後、水で洗浄する。
【0100】
【実施例】以下実施例及び比較例を挙げて、本発明をさ
らに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えな
い限り、これらの実施例に何ら制約されるものではな
い。実施例中、各種の特性は、次のようにして評価し
た。
【0101】Mw 東ソー(株)製GPCカラム(G2000HXL 2本、
G3000HXL 1本、G4000XL 1本)を用い、
流量1.0ml/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カ
ラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標
準とするゲルパーミエーションクロマトグラフ法により
測定した。塗布性 感放射線性樹脂組成物を、6インチのシリコンウェハー
上にスピンコートし、90℃で2分間のベーキングをし
た後に、形成されたレジスト被膜を観察した。塗布む
ら、曇り及び異物がなく、表面平滑性が高い場合を良好
とした。感度 0.5μmのラインアンドスペースパターンが設計通り
にパターン形成できる放射線照射量を感度とした。単位
J/m 2 で示した。膜減り量 テンコール社製α−ステップにて現像前後のレジスト被
膜の膜厚を測定して算出した。
【0102】合成例1 ポリヒドロキシスチレン30gをテトラヒドロフランに
溶解して、t−ブトキシカリウム10gを添加し、攪拌
下、0℃において、ジ−t−ブチルジカルボネート60
gを滴下し、4時間反応させた。反応終了後、この溶液
を水中に滴下し、析出した樹脂を真空乾燥器にて50℃
で一晩乾燥した。得られた樹脂は、Mwが15,000
で、NMR測定の結果からフェノール性水酸基の水素原
子の29%がt−ブトキシカルボニル基で置換された構
造であった。この樹脂を樹脂(I)とする。
【0103】
【0104】合成例 ビスフェノールA15gをテトラヒドロフランに溶解
し、その全水酸基のモル数に対して2倍量のジ−t−ブ
チルジカーボネートと0.3倍量のトリエチルアミンを
添加し、還流下6時間反応させた。その後、反応溶液を
水中に滴下し、生じた沈澱を真空乾燥器にて50℃で一
晩乾燥させた。このようにして前記化学式(a)で示さ
れる化合物を得た。
【0105】合成例 合成例において、ビスフェノールAに代えて、前記化
学式(b)で示される化合物のt−ブトキシカルボニル
基が水素原子である化合物を用い、合成例と同様の操
作を行うことにより、前記化学式(b)で示される化合
物を得た。
【0106】実施例1〜及び比較例1 表1に示される溶剤に、表1に示される他の成分を混合
し、0.2μmのフィルターで精密濾過することにより
異物を除去して、感放射線性樹脂組成物を得た。得られ
た感放射線性樹脂組成物を、6インチのシリコンウェハ
ー上に回転塗布した後に、100℃で2分間ベーキング
を行い、形成された膜厚1μmのレジスト被膜にマスク
を介して放射線照射した。ここで、放射線照射にはアド
モンサイエンス社製のKrFエキシマレーザー照射装置
(MBK−400TL−N)を用いた。その後110℃
で2分間ベーキングを行い、テトラメチルアンモニウム
ヒドロキシド2.38重量%水溶液で60秒間、23℃
にて現像し、次いで水で30秒間リンスすることによ
り、レジストパターンを形成した。なお、感放射線性樹
脂組成物を用いたレジストパターンの形成は、同一組成
物について調製直後と調製30日後のものについて行っ
た。得られた結果を表1に示した。
【0107】各実施例および比較例における各成分と溶
剤の混合比(重量比)は次のとおりである。 実施例1及び比較例1:樹脂100、感放射線性酸発生
剤3、溶剤420 実施例2〜:樹脂100、感放射線性酸発生剤3、溶
解制御剤35、溶剤400 また、表1中の感放射線性酸発生剤、溶解制御剤及び溶
剤は次のとおりである。 感放射線性酸発生剤 トリフェニルスルホニウムトリフレート メトキシフェニル−ビストリクロロメチル−s−トリ
アジン 溶解制御剤
【0108】前記化学式(a)で示される化合物 前記化学式(b)で示される化合物
【0109】
【0110】
【0111】溶剤 PGDME:プロピレングリコールジメチルエーテル PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテル
アセテート BA :酢酸ブチル AF :蟻酸アミル ECA :エチレングリコールモノエチルエーテルア
セテート
【0112】
【表1】
【0113】
【発明の効果】本発明のレジスト組成物(イ)は、感
度、解像度等に優れ、特に大口径化された基板へのスピ
ンコート法による塗布性に優れており、また微細加工を
安定的に行うことができ、保存安定性に優れ、良好なパ
ターン形状を与えるレジスト被膜を形成する化学増幅型
レジスト組成物として好適である。また、本発明のレジ
スト組成物(イ)はi線等の紫外線、エキシマレーザー
等の遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線
等の荷電粒子線といった放射線のいずれにも対応でき、
今後さらに微細化が進行すると予想される半導体デバイ
ス製造用の感放射線性樹脂組成物として有利に使用でき
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−192173(JP,A) 特開 平5−216234(JP,A) 特開 平5−188594(JP,A) 特開 平5−216244(JP,A) 特開 平5−152717(JP,A) 特開 平5−173332(JP,A) 特開 平2−118645(JP,A) 特開 平3−107163(JP,A) 特開 平2−84648(JP,A) 特開 平3−100551(JP,A) 特開 平4−212960(JP,A) 特開 平5−262874(JP,A) 特開 平6−266109(JP,A) 特開 平6−130665(JP,A) 特開 平7−92676(JP,A) 特開 平6−51514(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03F 7/004 501 G03F 7/039 601

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 () 酸分解性基で保護されたアルカ
    リ不溶性又はアルカリ難溶性の樹脂で、該酸分解性基が
    分解したときにアルカリ可溶性となる樹脂、(b) 放
    射線の照射によって酸を発生する化合物、及び(
    酢酸ブチルあるいは蟻酸アミルからなるエステルと、プ
    ロピレングリコールアルキルエーテル及び/又はプロピ
    レングリコールアルキルエーテルアセテートとを含有し
    てなり、その合計量100重量部中の前記エステルの割
    合が20〜95重量部である混合溶剤を含有することを
    特徴とするポジ型感放射線性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ()成分の樹脂中における酸分解性基
    が置換メチル基、1−置換エチル基、1−分岐アルキル
    基、シリル基、ゲルミル基、アルコキシカルボニル基、
    アシル基または環式酸分解性基から選ばれる少なくとも
    1種である請求項1に記載のポジ型感放射線性樹脂組成
    物。
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