JP3340969B2 - 薄肉鋳型およびその造型方法 - Google Patents

薄肉鋳型およびその造型方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自硬性鋳物砂によ
る薄肉鋳型およびその造型方法に関する。
【0002】
【従来技術その課題】従来、鋳物砂の使用量を減らすた
めに、鋳型を殻状にした薄肉鋳型が開発されているが、
この薄肉鋳型は、ハンドリング時に変形したり、注湯時
に溶湯の圧力で変形するため、あまり肉厚を薄くするこ
とができず、薄肉にすることによる効果が小さいなどの
問題があった。
【0003】本発明は上記の事情に鑑みて為されたもの
で、その目的は、ハンドリング時に変形したり、注湯時
に溶湯の圧力で変形することのない薄肉鋳型およびその
造型方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに請求項1における薄肉鋳型は、自硬性鋳物砂を用い
て造型した薄肉鋳型であって、自硬性鋳物砂による薄肉
鋳型本体と、この薄肉鋳型本体の外周の見切面付近に下
面を前記見切面とほぼ同じレベルにして装着され高さが
前記見切面の最大寸法の1/20以上で前記薄肉鋳型本
体の高さの1/2以下である鋳枠と、を備えたこと特徴
とする。
【0005】また、請求項3における薄肉鋳型の造型方
法は、自硬性鋳物砂による薄肉鋳型を造型する方法であ
って、下模型板1上に、高さが薄肉鋳型本体の見切面の
最大寸法の1/20以上で前記薄肉鋳型本体の高さの1
/2以下である鋳枠を載置し、この鋳枠上に上模型板を
載置して前記下模型板と前記鋳枠と前記上模型板との三
者で前記薄肉鋳型本体用の鋳型キャビティを画成し、こ
の鋳型キャビティに自硬性鋳物砂を吸引して充填し、こ
れにより、前記薄肉鋳型本体の外周の見切面付近に、下
面を前記見切面とほぼ同じレベルにして装着され高さが
前記見切面の最大寸法の1/20以上で前記薄肉鋳型本
体の高さの1/2以下である鋳枠を付けた薄肉鋳型を、
得ることを特徴とする。
【0006】
【作用】なお、請求項1の薄肉鋳型において、鋳枠の高
さを薄肉鋳型本体の見切面の最大寸法の1/20より低
くすると、製造時に鋳枠が変形したり、鋳枠をハンドリ
ングした時に鋳枠が鋳型の重みで変形したり、注湯時に
溶融の圧力で鋳型が変形するのを防止することができな
くなる。また、鋳枠の高さを薄肉鋳型本体の高さの1/
2以上にすると、薄肉鋳型としての重量が重くなり、薄
肉にするメリットが半減する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の一実施例について図面に
基づき詳細に説明する。図3に示すように、下模型板1
は、中空室2を有する下箱部材3と、前記中空室2に連
通する凹み4を有する下型本体5と、下型本体5上に取
り付けた下模型部6とで構成してあり、下型本体5の凹
み4と下模型部6とは中空室7を画成し、下模型部6の
周縁付近の上面は、前記下型本体5に透設した複数のベ
ントプラグ付きベントホール8・8を介して前記中空室
7に連通している。そして、前記中空室2・7と前記ベ
ントプラグ付きベントホール8・8は2つの通気機構を
それぞれ構成している。
【0008】また、上模型板9は、枠部材10aに下模
型部10bを内装して成る上型本体10と、上型本体1
0上に固着した中空室11を有する上箱部材12とで構
成してあり、上箱部材12の下面はベントプラグ付きベ
ントホール13・13を介して前記中空室11に連通し
ていて、前記中空室11と前記ベントプラグ付きベント
ホール13・13は通気機構を構成している。また、前
記上箱部材12は中央部に砂供給口14を有しており、
さらに、上箱部材12上の中央部には、前記砂供給口1
4と連通するゲート15付きホッパ16が装着してあ
る。
【0009】また、前記上・下箱部材12・3の中空室
11・2は導管18・17および開閉弁19を介して真
空源20に接続してある。また、鋳枠21は、図1に示
すように、造型すべき薄肉鋳型本体22の見切面におけ
る肉厚に等しい高さを有しており、薄肉鋳型本体22は
外面における強度を補強すべき所要位置にリブ23、2
3を有している(図3参照)。
【0010】なお、前記リブ23、23は、図1に示す
ように、上端面が平坦になっているため、定盤を使用し
て搬送したり、機械的手段によりクランプして注湯する
場合に極めて便利である。
【0011】次に、図3に示す装置を用いて図1および
図に2に示す薄肉鋳型本体22に鋳枠21を付けた薄肉
鋳型Mを造型する順序について説明する。まず、通気機
構を有する下模型板1上に鋳枠21を載置し、続いて、
この鋳枠21上に、通気機構を有する上模型板9を載置
して、下模型板1と鋳枠21と上模型板9との三者で薄
肉鋳型本体22用の鋳型キャビティを画成する。次い
で、開閉弁19を開き、それぞれの通気機構を介して鋳
型キャビティ内を吸引減圧し、続いて、ゲート15を開
く。
【0012】すると、ホッパ16内の自硬性鋳物砂はこ
の鋳型キャビティに吸引されて充填される。鋳型キャビ
ティ内の自硬性鋳物砂が硬化した後、上模型板9を、自
硬性鋳物砂の硬化して成る薄肉鋳型本体22および鋳枠
21から分離し、続いて、薄肉鋳型本体22および鋳枠
21を下模型板1から分離する。これにより、図1に示
すように、薄肉鋳型本体22の見切面位置にこの見切面
おける肉厚に等しい高さを有する鋳枠21を付けた薄肉
鋳型Mを得ることができる。
【0013】なお、上記の実施例では、鋳枠21の高さ
は、造型すべき薄肉鋳型本体22の見切面における肉厚
に等しい高さを有しているが、これに限定されるもので
はなく、要は、鋳枠21の高さは、薄肉鋳型本体22の
見切面の最大寸法の1/20以上で前記薄肉鋳型本体2
2の高さの1/2以下であればよい。
【0014】
【効果】以上の説明から明らかなように本発明は、薄肉
鋳型を、自硬性鋳物砂による薄肉鋳型本体と、この薄肉
鋳型本体の外周の見切面付近に下面を前記見切面とほぼ
同じレベルにして装着され高さが前記見切面の最大寸法
の1/20以上で前記薄肉鋳型本体の高さの1/2以下
である鋳枠と、で構成したから、薄肉鋳型を鋳枠の位置
でハンドリグすることができるため、薄肉鋳型本体は、
ハンドリング時に変形したりすることはなく、しかも、
注湯時に薄肉鋳型本体にかかる溶湯の圧力をも鋳枠で受
けることができるため、溶湯の圧力で変形することもな
いなどの優れた実用的効果を奏する。加えて、鋳枠は、
高さが薄肉鋳型本体の見切面の最大寸法の1/20以上
で薄肉鋳型本体の高さの1/2以下であるため、鋳枠の
種類を鋳型の種類よりも特に高さの点で少なくすること
ができ、鋳枠の保守管理が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄肉鋳型の一実施例を示す一部切り欠
き断面正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】本発明を実施するための装置の概略縦断面図で
ある。
【符号の説明】
1 下模型板 9 上模型板 21 鋳枠 22 薄肉鋳型本体 23 リブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−156486(JP,A) 特開 平8−108247(JP,A) 特開 平10−128498(JP,A) 特開 平8−318347(JP,A) 実開 昭55−38587(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22C 9/00 - 25/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】自硬性鋳物砂を用いて造型した薄肉鋳型で
    あって、自硬性鋳物砂による薄肉鋳型本体22と、この
    薄肉鋳型本体22の外周の見切面付近に下面を前記見切
    面とほぼ同じレベルにして装着され高さが前記見切面の
    最大寸法の1/20以上で前記薄肉鋳型本体22の高さ
    の1/2以下である鋳枠21と、を備えたこと特徴とす
    る薄肉鋳型。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の薄肉鋳型において、前
    記薄肉鋳型本体22がリブ23を有することを特徴とす
    る薄肉鋳型。
  3. 【請求項3】 自硬性鋳物砂を用いて薄肉鋳型を造型す
    る方法であって、下模型板1上に、高さが薄肉鋳型本体
    22の見切面の最大寸法の1/20以上で前記薄肉鋳型
    本体22の高さの1/2以下である鋳枠21を載置し、
    この鋳枠21上に上模型板9を載置して前記下模型板1
    と前記鋳枠21と前記上模型板9との三者で前記薄肉鋳
    型本体用の鋳型キャビティを画成し、この鋳型キャビテ
    ィに自硬性鋳物砂を吸引して充填し、これにより、前記
    薄肉鋳型本体22の外周の見切面付近に、下面を前記見
    切面とほぼ同じレベルにして装着され高さが前記見切面
    の最大寸法の1/20以上で前記薄肉鋳型本体22の高
    さの1/2以下である鋳枠21を付けた薄肉鋳型を、得
    ることを特徴とする薄肉鋳型の造型方法。
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