JP3339805B2 - 工作機械の熱変位量算出装置及び記憶媒体 - Google Patents

工作機械の熱変位量算出装置及び記憶媒体

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JP3339805B2 JP21192297A JP21192297A JP3339805B2 JP 3339805 B2 JP3339805 B2 JP 3339805B2 JP 21192297 A JP21192297 A JP 21192297A JP 21192297 A JP21192297 A JP 21192297A JP 3339805 B2 JP3339805 B2 JP 3339805B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工作機械に装備さ
れ、その工作機械で発生する熱変位量を算出する工作機
械の熱変位量算出装置及びその装置を実現するための記
憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えばワークに切削や穴開け等を
施したり基板に部品を組み付けるための加工手段と、こ
の加工手段とワークや基板等の被加工物との相対位置を
変動させる駆動手段とを有する工作機械がある。一般
に、切削等の加工を行う工作機械では、例えばドリルや
タップ等の工具を保持するための保持機構、これに保持
された工具を回転駆動するための主軸駆動機構、工具の
X軸方向の送りのためのX軸送り機構、工具のY軸方向
の送りのためのY軸送り機構、工具のZ軸方向の送りの
ためのZ軸送り機構、これらの送り機構を制御するため
の制御装置等を備えている。
【0003】一例をあげると、図12及び図13に示さ
れる工作機械10がある。図12に示すように、この工
作機械10は、切削屑の飛散を防止するためのスプラッ
シュガード12の内側にワーク(図示しない)を載置す
るためのテーブル14、例えばドリルやタップ等の工具
交換のためのATCマガジン16、工作機械本体(以下
単に本体ともいう)20等が配置されている。またスプ
ラッシュガード12には、操作パネル22、ワークの入
出やメンテナンスのためのワーク交換口24、主にメン
テナンス用の点検ハッチ26等が設けられている。
【0004】図13に示すように、本体20は、ドリル
やタップ等の工具を保持するための主軸28、主軸28
を回転駆動するための主軸モータ30、多数の鋼球を内
蔵して主軸側に固着されているナット部32とナット部
32に内挿されるボールネジ34とからなるボールネジ
機構36、ボールネジ34を回転駆動するためのZ軸モ
ータ38、ボールネジ34と平行に配されているガイド
レール40、ガイドレール40と主軸28側とを連結す
るスライド42等を備えている。
【0005】この本体20においては、ボールネジ機構
36とZ軸モータ38とでZ軸方向の送りのためのZ軸
送り機構が構成され、Z軸モータ38によりボールネジ
34を回転させることで主軸28のZ軸方向の移動が行
われる。また図12に示されるテーブル14をX軸及び
Y軸方向に移動させることができ、主軸28のZ軸方向
の移動と併せて、ワークと工具のX、Y、Z軸方向の相
対位置を変化させることができる。
【0006】このような工作機械では、例えばボールネ
ジ機構36の駆動に伴って摩擦熱が発生してボールネジ
34が延びることがある。また、他の機構においても発
熱がある。そうした発熱によって工作機械に熱変位が発
現する。この熱変位が例えばZ軸方向に発現すると、ワ
ークに施される溝の深さや段差の高さ等に誤差が生じ
る。公差が熱変位量よりも十分に大きい場合にはこのよ
うな熱変位による加工誤差はあまり問題とはならない
が、そうでない場合には熱変位に対する補正が必要とな
る。そこで、工作機械の熱変位量を算出する熱変位量算
出装置を設け、予め定められている加工プログラムに従
って駆動手段を制御するに当たって、その熱変位量に応
じた補正を行いながら駆動手段を制御することが提案さ
れている(例えば特開昭62−88548号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
工作機械の熱変位量算出装置においては、工作機械の駆
動中を通して熱変位量を算出する形態であったので、そ
の処理を実行するためのシステムを常時動かしておく必
要があった。このため、その算出処理に関わる負担が大
きかった。そこで、本願出願人は、工作機械の駆動を続
けることによって温度が上昇すると、やがて発熱量と放
熱量とが均衡する状態になることに着目し、次のように
熱変位量を算出することを提案した。すなわち、工作機
械の駆動中は、飽和熱変位量と工作機械の駆動時間とに
基づいて熱変位量を算出し、その熱変位量が飽和熱変位
量にほぼ等しくなると、それ以降は熱変位量として飽和
熱変位量の値を代用するのである(特願平8−2988
66号)。この場合、正確な飽和熱変位量が与えられれ
ば、各時点における熱変位量を正確に算出でき、しかも
その算出処理に関わる負担を小さくすることができる。
【0008】ところが、従来より飽和熱変位量は、実測
やシュミレーションによって算出しなければならないと
考えられていた。このため、加工プログラムの変更等が
なされると、熱変位量の算出がきわめて困難になってい
た。特に、工作機械を高速で駆動すると、空冷効果等の
種々の要因が熱変位量に影響を及ぼす。このため、加工
プログラムの変更に対応した飽和熱変位量の変化を推定
することは難しく、加工プログラムの変更の度に飽和熱
変位量の実測等が必要であった。
【0009】そこで、本発明は、加工プログラムの変更
に柔軟に対応でき、しかも、正確に熱変位量を算出する
ことのできる工作機械の熱変位量算出装置及びその装置
を実現するための記憶媒体を提供することを目的として
なされた。
【0010】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】上記目的
を達するためになされた請求項1記載の発明は、被加工
物に加工を施すための加工手段と、該加工手段と被加工
物との相対位置を変動させる駆動手段とを有する工作機
械に装備され、該工作機械の熱変位量を算出する工作機
械の熱変位量算出装置であって、上記工作機械の駆動状
態を検出する駆動状態検出手段と、該駆動状態検出手段
の検出結果に基づき、上記駆動手段が上記加工手段また
は上記被加工物を単位時間当たりに移動させた移動距離
を算出する移動距離算出手段と、同様の駆動状態を続け
た場合における上記工作機械の熱変位の最大値としての
飽和熱変位量を、上記算出された移動距離に基づき、上
記移動距離と上記飽和熱変位量との対応関係を表すマッ
プを参照して算出する飽和熱変位量算出手段と、該算出
された飽和熱変位量と上記工作機械の駆動時間とに基づ
き、上記工作機械の熱変位量を算出する変位量算出手段
と、を備え、上記飽和熱変位量算出手段が参照するマッ
プが、上記移動距離が大きくなるに従って、上記移動距
離の増加に対する上記飽和熱変位量の増加の度合いが
さくなるように設定されたことを特徴とする。
【0011】このように構成された本発明では、駆動状
態検出手段は工作機械の駆動状態を検出し、その検出結
果に基づき、移動距離算出手段は、駆動手段が加工手段
または被加工物を単位時間当たりに移動させた移動距離
を算出する。なお、工作機械の駆動状態として上記移動
距離を直接検出できる場合は、上記駆動状態検出手段及
び移動距離算出手段は一つの構成要素によって実現する
ことができる。
【0012】次に、飽和熱変位量算出手段は、同様の駆
動状態を続けた場合における工作機械の熱変位の最大値
としての飽和熱変位量を、上記算出された移動距離に基
づき、移動距離と飽和熱変位量との対応関係を表すマッ
プを参照して算出する。本願出願人は、上記移動距離と
飽和熱変位量との間には、比較的再現性のよい対応関係
があることを発見した。飽和熱変位量算出手段は、その
対応関係を表すマップ(2次元的なグラフや、数式、デ
ータテーブル等であってもよい)を参照して、上記算出
された移動距離に対応する飽和熱変位量を算出するので
ある。
【0013】すると、変位量算出手段が、該算出された
飽和熱変位量と工作機械の駆動時間とに基づき、工作機
械の熱変位量を算出する。工作機械の熱変位量は駆動時
間に応じて増加し、その変化は上記飽和熱変位量に対す
る漸近線を描く。例えば、飽和熱変位量をL、駆動時間
をtとした場合、熱変位量lの変化を、 l=L・{1−exp(−γt)} 但し、γは工作機械固有の定数 なる式で表すことも提案されている。そこで、変位量算
出手段は、上記駆動時間と飽和熱変位量とに基づいて各
時点における工作機械の熱変位量を算出するのである。
もちろん、変位量算出手段は上記以外の式を用いて熱変
位量を算出してもよい。このように、本発明では、加工
手段または被加工物の単位時間当たりの移動距離に基づ
いて飽和熱変位量を算出し、その飽和熱変位量に基づい
て工作機械の熱変位量を算出している。このため、加工
プログラムが変更されたか否かに関わらず、同様に熱変
位量を算出することができる。しかも、本発明では、飽
和熱変位量算出手段が飽和熱変位量の算出に当たって参
照するマップが、移動距離が大きくなるに従って、上記
移動距離の増加に対する上記飽和熱変位量の増加の度合
いが小さくなるように設定されている。このため、飽和
熱変位量を次のように正確に算出することができ、延い
ては工作機械の熱変位量も正確に算出することができ
る。
【0014】
【0015】すなわち、工作機械に作用する空冷効果
は、上記移動距離が大きく(すなわち高速に)なるに従
って大きくなり、移動距離と飽和熱変位量との対応関係
を一本の直線で近似すると、高速域において飽和熱変位
量を大きく見積もり過ぎてしまう場合がある。そこで、
本発明では、上記マップを、上記移動距離が大きくなる
に従って、移動距離の増加に対する飽和熱変位量の増加
の度合いが小さくなるように設定している。このため、
本発明の工作機械の熱変位量算出装置では、加工プログ
ラムの変更に柔軟に対応でき、しかも、空冷効果の影響
を考慮して正確な熱変位量を算出することができるとい
った効果が生じる。
【0016】請求項記載の発明は、請求項1記載の構
成に加え、上記飽和熱変位量算出手段及び上記変位量算
出手段が所定時間毎に上記算出を行うと共に、上記変位
量算出手段が以前に熱変位量を算出しているとき、その
熱変位量の影響を上記変位量算出手段が新たに算出した
熱変位量に加算して、現在の上記工作機械の熱変位量と
する変位量加算手段を、更に備えたことを特徴とする。
【0017】加工プログラムには、工作機械を高速で駆
動するステップと低速で駆動するステップとを含むもの
がある。この場合、上記飽和熱変位量を単位時間当たり
の平均的な移動距離に応じて算出すると、熱変位量が工
作機械を高速で駆動するステップでは熱変位量が小さめ
に、低速で駆動するステップでは大きめに算出されてし
まう。そこで、本発明では、飽和熱変位量算出手段及び
変位量算出手段が、所定時間毎に、その時点で算出され
ている移動距離に基づいて上記計算を行っている。この
ため、工作機械の各時点における駆動状態に応じて、正
確な熱変位量を算出することができる。なお、各時点で
算出された熱変位量は、その後徐々に減少しながらも影
響を及ぼす。例えば、熱変位量が飽和熱変位量Lに達す
るまで工作機械を駆動した後、駆動を停止してから時間
t経過したときの熱変位量lを、 l=L・exp(−γt) 但し、γは工作機械固有の定数 なる式で表すことも提案されている。そこで、本発明で
は、変位量算出手段が以前に熱変位量を算出していると
き、変位量加算手段によりその熱変位量の影響を変位量
算出手段が新たに算出した熱変位量に加算して、現在の
上記工作機械の熱変位量としている。もちろん、変位量
加算手段は、上記以外の式を用いて加算を行ってもよ
い。
【0018】従って、本発明では、請求項1記載の発明
効果に加えて、工作機械の各時点における駆動状態に応
じて、一層正確な熱変位量を算出することができるとい
った効果が生じる。請求項記載の発明は、請求項
載の構成に加え、上記工作機械の熱変位量の影響が残存
する保持時間を記憶する保持時間記憶手段を、更に備
え、上記変位量加算手段が、上記変位量算出手段が算出
してから上記保持時間以上経過した熱変位量は無視して
現在の上記熱変位量を算出することを特徴とする。
【0019】工作機械の熱変位量はある期間の間はその
影響が残存するが、その後は影響がなくなる。なお、こ
こで影響がなくなるとは、数学的な意味でなくなること
をいうわけではなく、熱変位量の影響が、工作機械の仕
様やワークに要求される公差等を考慮して設定される誤
差の範囲に収まることをいう。そこで、本発明では、保
持時間記憶手段により工作機械の熱変位量の影響が残存
する保持時間を記憶しておき、変位量加算手段が、変位
量算出手段が算出してから上記保持時間以上経過した熱
変位量は無視して現在の熱変位量を算出する。このた
め、変位量加算手段は、上記保持時間内に変位量算出手
段が算出した熱変位量のみを考慮して上記加算を行えば
よく、その算出処理に関わる負担を小さくすることがで
きる。
【0020】従って、本発明では、請求項記載の発明
の効果に加えて、算出処理に関わる負荷を小さくして、
その処理に関わるソフト構成等を簡略化すると共に処理
速度を向上させることができるといった効果が生じる。
請求項記載の発明は、請求項1〜のいずれかに記載
の構成に加え、上記熱変位量に影響を及ぼす条件に対応
して定められた調整値を、上記変位量算出手段または上
記変位量加算手段によって算出された熱変位量に加算ま
たは減算して上記工作機械の熱変位量とする変位量調整
手段を、更に備えたことを特徴とする。
【0021】工作機械の熱変位量には、上記移動距離や
駆動時間の他、種々の条件が影響を及ぼす。例えば朝等
の気温が比較的低いとき等では工作機械の温度上昇が緩
やかになり、算出された熱変位量と実際の熱変位量との
誤差が無視できない程度になることもある。そこで、本
発明では、変位量調整手段により、熱変位量に影響を及
ぼす条件に対応して定められた調整値を、変位量算出手
段または上記変位量加算手段によって算出された熱変位
量に加算または減算して上記工作機械の熱変位量として
いる。このため、本発明では、請求項1〜のいずれか
に記載の発明の効果に加えて、工作機械の熱変位量を一
層正確に算出することができるといった効果が生じる。
なお、上記調整値は、例えばオペレータが、操作パネル
等の調整入力手段によって入力してもよく、熱変位量算
出装置側で、予め設定されている手順で決められる調整
値を求めてもよい。
【0022】請求項記載の発明は、請求項記載の構
成に加え、上記調整値は時刻に対応して定められてい
て、上記変位量調整手段は時刻に基づいて上記調整値を
選択して使用することを特徴とする。この構成とすれ
ば、例えば1日の時間帯(朝、昼、夜等)に応じて、算
出された熱変位量と実際の熱変位量との誤差を自動的に
解消することができる。従って、本発明では、請求項
記載の発明の効果に加えて、時刻に関わらず常に正確な
熱変位量を算出することができるといった効果が生じ
る。
【0023】請求項記載の発明は、請求項記載の構
成に加え、上記調整値は上記工作機械の環境温度に対応
して定められていて、上記変位量調整手段は該環境温度
に基づいて上記調整値を選択して使用することを特徴と
する。この構成とすれば、工作機械が設置されている場
所の気温すなわち環境温度に応じて、算出された熱変位
量と実際の熱変位量との誤差を自動的に解消することが
できる。従って、本発明では、請求項記載の発明の効
果に加えて、環境温度に関わらず常に正確な熱変位量を
算出することができるといった効果が生じる。
【0024】請求項記載の発明は、被加工物に加工を
施すための加工手段と、該加工手段と被加工物との相対
位置を変動させる駆動手段とを有する工作機械に対して
使用され、該工作機械の熱変位量を算出するためのコン
ピュータプログラムを記憶した記憶媒体であって、工作
機械の駆動状態を検出する駆動状態検出処理と、該駆動
状態検出処理の検出結果に基づき、上記駆動手段が上記
加工手段または上記被加工物を単位時間当たりに移動さ
せた移動距離を算出する移動距離算出処理と、同様の駆
動状態を続けた場合における上記工作機械の熱変位の最
大値としての飽和熱変位量を、上記算出された移動距離
に基づき、上記移動距離と上記飽和熱変位量との対応関
係を表すマップを参照して算出する飽和熱変位量算出処
理と、該算出された飽和熱変位量と上記工作機械の駆動
時間とに基づき、上記工作機械の熱変位量を算出する変
位量算出処理と、を実行させるコンピュータプログラム
及び上記マップを記憶し、かつ、上記マップが、上記移
動距離が大きくなるに従って、上記移動距離の増加に対
する上記飽和熱変位量の増加の度合いが小さくなるよう
に設定されたことを特徴とする。
【0025】本発明の記憶媒体はこのように構成されて
いるので、工作機械に接続されたコンピュータ等の制御
手段に本発明に記憶されたコンピュータプログラムを実
行させれば、請求項1記載の駆動状態検出手段、移動距
離算出手段、飽和熱変位量算出手段、及び変位量算出手
段に相当する駆動状態検出処理、移動距離算出処理、飽
和熱変位量算出処理、及び変位量算出処理を実行させる
ことができる。従って、本発明に記憶されたコンピュー
タプログラムを上記制御手段に実行させれば、請求項1
記載の発明と同様の効果が生じる。また、本発明に記憶
された各処理のプログラムまたはマップに、請求項2,
3,4,5,または記載の発明に限定した要件を付加
すれば、それを実行させたとき、対応する請求項2,
3,4,5,または記載の発明と同様の効果が生じ
る。
【0026】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施例を図面を参
照して説明することにより、発明の実施の形態を具体的
に説明する。
【0027】
【実施例】本実施例の工作機械のメカニカルな構成は従
来例として図12及び図13に示したものと同じである
ので、これらを使用して工作機械10のメカニカルな構
成の説明は省略する。
【0028】図1は、第1実施例としての工作機械10
の制御系の構成を表すブロック図である。図1に示すよ
うに、この制御系は、主軸28の回転を制御するための
主軸制御系50、主軸28のZ軸位置を制御するための
Z軸制御系60、この制御系の中枢となる本発明の工作
機械の熱変位量算出装置としてのマイコン部70、操作
パネル22及びテーブル14のX軸位置を制御するため
のX軸制御系(図示略)やテーブル14のY軸位置を制
御するためのY軸制御系(図示略)等から構成されてい
る。
【0029】主軸制御系50は、主軸モータ30、主軸
モータ30に電力を供給するための主軸サーボアンプ5
2、及び主軸サーボアンプ52の供給電力を制御するた
めの軸制御回路54からなり、軸制御回路54はマイコ
ン部70のCPU72からの指示に従って主軸サーボア
ンプ52の動作を制御する構成である。Z軸制御系60
は、Z軸モータ38、Z軸モータ38に電力を供給する
ためのZ軸サーボアンプ62及びZ軸サーボアンプ62
の供給電力を制御するための軸制御回路64からなり、
軸制御回路64はマイコン部70のCPU72からの指
示に従ってZ軸サーボアンプ62の動作を制御する構成
である。また、図示を省略したX軸制御系及びY軸制御
系も、これら主軸制御系50並びにZ軸制御系60とほ
ぼ同様の構成である。
【0030】マイコン部70は、制御プログラム等を格
納しているROMや入出力ポート等を内蔵するワンチッ
プ型のCPU72、RAM74及び時計76等からな
り、周知のマイクロコンピュータとして構成されてい
る。このマイコン部70(厳密にはCPU72)は、制
御プログラムに従って主軸制御系50、Z軸制御系60
等を制御して、ワークに所定の加工を施させるのであ
る。また、マイコン部70は操作パネル22に接続され
ており、マイコン部70は、操作パネル22からの入力
信号を取得したり、操作パネル22に信号を送って操作
パネル22の液晶ディスプレイの画像や文字の表示を制
御することやLEDの点滅を制御すること等ができる。
【0031】RAM74は、周知のようにCPU72の
ワークエリアとなるが、本実施例では、このRAM74
上に図2に示される構成のピッチ誤差補正テーブルが設
けられている。このピッチ誤差補正テーブルは、例えば
ボールネジ機構36の駆動誤差を補正するためのテーブ
ルである。
【0032】Z軸移動を受け持つボールネジ機構36
は、製造公差等によりボールネジ34の回転量とナット
部32の移動量(すなわち主軸28のZ軸方向移動量)
との誤差が避けられないので、それを補正する必要があ
る。そこで適当な数の補正ポイントを設定し(ボールネ
ジ34の長さが500mmで20mm毎に補正するとす
れば、補正ポイントは25箇所となる。)、その補正ポ
イント毎にボールネジ34の回転による移動量の計算値
と実測値との誤差を求め、その誤差に相当するボールネ
ジ34の回転量(ピッチ)をピッチ誤差補正テーブルに
書き込んでおき、各補正ポイント毎にそのピッチ分だけ
ボールネジ34を正あるいは逆回転させることによって
主軸28のZ軸位置を正確ならしめている。X軸及びY
軸についても同様である。
【0033】時計76は、いわゆる電子時計であって、
年月日時刻を算出してそのデータをCPU72に送るこ
とができる。なおCPU72は、一定の周期例えば1/
1000秒毎にカウント値をインクリメントするカウン
タを内蔵していて、そのカウンタを使用することによ
り、例えばある加工の開始から終了までの所要時間のよ
うな、経過時間を計測することもできる。
【0034】さて、この工作機械10を駆動すると、例
えばそのZ軸方向に、ボールネジ34の膨張等によって
熱変位が発生する。そこで、CPU72は、その熱変位
を補正しつつ加工プログラムを実行するため、図3の熱
変位量算出処理を実行している。なお、CPU72は、
電源投入後この熱変位量算出処理を所定タイミングで割
り込み処理として実行し、加工プログラムの実行等によ
って発生する熱変位量を算出している。
【0035】図3に示すように、CPU72は処理を開
始すると、先ず、S1(Sはステップを表す:以下同
様)にて、電源OFFの間の移動距離を0と見なす処理
を行う。後述のように、過去に熱変位量が算出されてそ
の影響が現在も残存している場合、その影響を考慮して
工作機械10の熱変位量を算出する必要がある。また、
このような熱変位量は、工場の休憩時間等に工作機械1
0の電源がOFFされた後にも残存している場合があ
る。そこで、このS1では、電源がOFFされていた間
における主軸28のZ軸方向の移動距離を0とするので
ある。
【0036】続くS2では、時計76の出力に基づき、
所定のサンプリングタイム(a分間隔とする)となった
か否かを判断する。そして、サンプリングタイムでなけ
れば(S2:NO)そのまま待機し、サンプリングタイ
ムであれば(S2:YES)S3へ移行する。S3で
は、加工プログラムの実行状態等から工作機械10の駆
動状態を検出し、それに基づいてサンプリングタイム間
における主軸28のZ軸方向の移動距離を算出する。そ
の後、S4へ移行し、飽和熱変位量としての最大変位量
Lを次のように算出する。
【0037】工作機械10の駆動を続けることによって
温度が上昇すると、やがて発熱量と放熱量とが均衡す
る。このときの熱変位量が最大変位量Lである。工作機
械10を一定の状態で駆動し続けた場合、最大変位量L
は、主軸28の単位時間当たりの平均移動距離に対して
図4に示す対応関係を有する。図4に示すように、平均
移動距離が増加するに従って最大変位量Lも増加する。
また、この対応関係は、平均移動距離が所定値以上とな
ると傾きがなだらかになる折れ線グラフによって表され
る。これは、主軸28が高速で移動すると、空冷効果に
よって放熱量が増加し、熱変位が抑制されるためであ
る。S4では、S3にて算出した移動距離を単位時間当
たりの平均移動距離(ここではmm/min)に換算し、図4
のマップを参照して対応する最大変位量Lを算出するの
である。なお、図4のマップは、数式やデータテーブル
の形態でCPU72に格納されてもよい。
【0038】続くS5では、次のようにしてサンプリン
グタイム間の熱変位量lを算出する。図5に例示するよ
うに、最大変位量がL1aであった場合、工作機械10駆
動中の熱変位量lは、直線l=L1aに対する漸近線10
2を描く。また、熱変位量lが最大変位量L1aに達した
後(図5ではt=8hourの時点)、工作機械10を
停止すると、熱変位量lは直線l=0に対する漸近線1
04を描く。ここで、漸近線102は、 l=L1a・{1−exp(−γt)} ……(1) で、漸近線104は、 l=L1a・exp(−γt) ……(2) で、それぞれ表される。但し、γは工作機械10固有の
定数であり、t及びlの単位はそれぞれhour,μm
である。従って、この式より、工作機械10の駆動開始
後a分後の熱変位量l1aは、 l1a=L1a・{1−exp(−γ・a/60)} となる。また、工作機械10停止後a分後の熱変位量l
-1a は、 l-1a =L1a・exp(−γ・a/60) となる。S5では、主に式(1)を用いてサンプリング
タイム間の熱変位量lを算出する。更に、続くS6で
は、後述の保持時間以内の熱変位量lを加算して、次の
ように総熱変位量を算出した後、S2へ移行して次のサ
ンプリングタイムまで待機する。
【0039】本実施例では、サンプリングタイム間の移
動距離に基づいて熱変位量lを算出した場合(S3〜S
5)、熱変位量lはその後式(2)に従って減少するも
のと考える。すなわち、図6(A)に曲線201で例示
するように、時刻0から時刻1aまでの間の移動距離に
基づいて算出された熱変位量l1aの時刻1aにおける値
1a-1は、前述のように、 l1a-1=L1a・{1−exp(−γ・a/60)} となる。但し、L1aは時刻1aのサンプリングタイムに
て算出された最大変位量である。そして、時刻2aにお
ける熱変位量l1aの値l1a-2は、式(2)より、 l1a-2=l1a-1・exp(−γ・a/60) 以下同様に、時刻3a,時刻4aにおける熱変位量l1a
の値l1a-3,l1a-4は、 l1a-3=l1a-1・exp(−γ・2a/60) l1a-4=l1a-1・exp(−γ・3a/60) となる。同様に、時刻1aから時刻2aまでの間の移動
距離に基づいて最大変位量L2aが算出されたとすると、
それに対応する熱変位量l2aは図6(B)に曲線202
で例示するように変化し、その時刻2a,3a,4aに
おける値l2a-1,l2a-2,l2a-3は、それぞれ、 l2a-1=L2a・{1−exp(−γ・a/60)} l2a-2=l2a-1・exp(−γ・a/60) l2a-3=l2a-1・exp(−γ・2a/60) となる。S6では、このようにして算出された熱変位量
1a,l2a,……のその時刻における値を加算して総熱
変位量を算出するのである。例えば、時刻1a,2a,
3a,4a,5a,……のサンプリングタイム間の移動
距離に基づいて、図6(C)に曲線201,202,2
03,204,205,……で例示する熱変位量lが算
出されたとすると、S6で算出される総熱変位量は、図
6(C)に曲線200で例示するように変化する。
【0040】また、各時刻で算出された熱変位量lは、
前述のように時間の経過に伴って減少するので、S5に
て算出してから所定の時間(例えば120分)を経過し
た熱変位量lが総熱変位量に及ぼす影響は無視すること
が可能となる。そこで、CPU72は、上記所定の時間
を保持時間としてROMに記憶しており、保持時間以内
に算出された熱変位量lについてのみ上記加算を行って
総熱変位量を算出している。このため、S6の処理で加
算しなければならない熱変位量lの個数は、120/a
+1以下の自然数に押さえられ、その算出処理に関わる
負担を小さくすることができる。従って、その処理に関
わるソフト構成等を簡略化すると共に処理速度を向上さ
せることができる。
【0041】また、CPU72は、各時刻で算出された
熱変位量lを、それを算出した時刻と対応づけてRAM
74のテーブルに記憶しており、その記憶内容を電源O
FFの間にも、図示しないバックアップ電源により保持
している。このため、電源が一旦OFFされて再びON
されたときには、S1にて電源OFFの間の移動距離を
0(従って熱変位量lも0)と見なすと共に、S6へ移
行して、前回の電源ONの期間中に算出された熱変位量
lの内、算出されてから保持時間を経過していないもの
の影響を加算して総熱変位量を算出することができる。
【0042】以上説明したように、本実施例のマイコン
部70では、サンプリングタイム間の移動距離に基づい
て最大変位量Lを算出し、その最大変位量Lに基づいて
工作機械10の熱変位量lを算出している。このため、
加工プログラムが変更された否かに関わらず、同様に熱
変位量lを算出することができる。また、最大変位量L
を算出する際に参照した図4のマップは、移動距離(す
なわち移動速度)が大きい領域では傾きがなだらかにな
る折れ線形状を呈している。このため、空冷効果の影響
を考慮して、最大変位量Lをきわめて正確に算出するこ
とができる。従って、本実施例のマイコン部70では、
加工プログラムの変更に柔軟に対応でき、しかも、きわ
めて正確に総熱変位量を算出することができる。
【0043】更に、マイコン部70では、サンプリング
タイム毎に定期的に移動距離を算出し、その時点で算出
された移動距離に基づいて最大変位量L及び熱変位量l
を算出し、更に算出後の熱変位量lに過去に算出された
熱変位量lの影響を加算している。このため、加工プロ
グラムに工作機械10を高速で駆動するステップと低速
で駆動するステップとが含まれていても、各時刻におけ
る総熱変位量をきわめて正確に算出することができる。
【0044】なお、上記実施例において、主軸28が加
工手段に、ボールネジ機構36及びZ軸モータ38が駆
動手段に、CPU72内のROMが保持時間記憶手段
に、CPU72が駆動状態検出手段,移動距離算出手
段,飽和熱変位量算出手段,変位量算出手段,及び変位
量加算手段に相当し、CPU72の処理の内、S3が駆
動状態検出手段及び移動距離算出手段に、S4が飽和熱
変位量算出手段に、S5が変位量算出手段に、S6が変
位量加算手段に、それぞれ相当する処理である。
【0045】次に、本発明の第2実施例を説明する。図
7は、第2実施例としての工作機械10の制御系の構成
を表すブロック図である。なお、本実施例の工作機械1
0もメカニカルな構成は第1実施例及び従来例と同じで
あり、制御系の構成は次の点で異なる。
【0046】すなわち、図7に示すように、マイコン部
70は前述の構成に加えてインタフェース(I/F)7
8を備えており、このインタフェース78を介してパソ
コン80に接続されている。パソコン80は、制御プロ
グラム等を格納しているROMや入出力ポート等を内蔵
するワンチップ型のCPU82、RAM84、時計8
6、及びマイコン部70と接続されるインタフェース
(I/F)88等からなり、周知のマイクロコンピュー
タとして構成されている。また、パソコン80には、キ
ーボード91及びCRT92も接続されている。この制
御系では、加工プログラムに基づいて、マイコン部70
が工作機械10を制御しており、マイコン部70からパ
ソコン80へは主軸28の移動距離等、総熱変位量の算
出に必要なデータが送信される。また、パソコン80は
後述する熱変位量算出処理を行い、算出した総熱変位量
をマイコン部70へ送信する。すると、マイコン部70
は、送信された総熱変位量に基づき、補正を行いつつ上
記加工プログラムを実行する。
【0047】図8は、パソコン80(厳密にはCPU8
2)が実行する熱変位量算出処理を表すフローチャート
である。なお、CPU82は、工作機械10の電源の状
態を監視しており、その電源がONされると図8の処理
を所定タイミングで繰り返し実行する。図8に示すよう
に、この熱変位量算出処理は、図3に示した熱変位量算
出処理と殆ど同じであるので、異なる部分についてのみ
説明する。
【0048】S3に代えて実行されるS3aでは、移動
距離をCPU82が自ら算出するのではなく、マイコン
部70から送信される移動距離を読み込む。また、S6
に代えて実行されるS6aでは、総熱変位量をS6と同
様に算出した後、その総熱変位量をマイコン部70に送
信する。その他の処理は第1実施例と同様であるので、
図3で使用した符号をそのまま使用して詳細な説明を省
略する。
【0049】このように構成された本実施例でも、第1
実施例とほぼ同様の作用・効果が生じる。なお、本実施
例でもCPU82は、各時刻で算出された熱変位量l
を、それを算出した時刻と対応づけてRAM84のテー
ブルに記憶するが、この記憶内容は必ずしもバックアッ
プしなくてもよい。これは、工作機械10の電源をOF
Fしてもパソコン80の電源をONに保持しておけば、
記憶内容は消失しないからである。また、本実施例で
は、インタフェース88を介して接続される工作機械1
0を変更すれば、一つのパソコン80によって複数の工
作機械10に対する総熱変位量の算出を行うことができ
る。
【0050】以上、実施例を挙げて本発明を説明した
が、本発明は上記実施例になんら限定されるものではな
く、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施
することができる。例えば、上記実施では、主軸28
のZ軸方向の移動距離から工作機械10のZ軸方向の熱
変位量を算出しているが、主軸28が回転すると主軸2
8自身に熱変位が発生する。そこで、主軸モータ30の
回転量を移動距離として算出して、その移動距離からZ
軸方向の熱変位量を算出してもよい。また、図3または
図8の処理によって算出された前述の総熱変位量に、主
軸28の回転量から算出した熱変位量を加算して、工作
機械10全体としてのZ軸方向の熱変位量を算出しても
よい。この場合、Z軸方向の熱変位量を一層正確に算出
することができる。更に、本発明はワークを移動させる
機構に適用してもよい。また、最大変位量Lを求めるた
めのマップは図4のものに限定されるものではなく、図
9(A)に例示するように3種類以上の傾きを有する折
れ線で形成してもよく、図9(B)に例示するように曲
線で形成してもよく、多数段の曲線でマップを構成して
もよい。また更に、これらのマップも前述のように、数
式やデータテーブルで構成してもよい。
【0051】また、過去に算出された熱変位量lの影響
を加算する形態も種々考えられ、例えば、図10に例示
する形態を採用してもよい。図10では、時刻1aで算
出された熱変位量l1 を起点として、時刻2aにおける
熱変位量l2 を算出するための曲線を描き、こうして算
出された熱変位量l2 を起点として、時刻3aにおける
熱変位量l3 を算出するための曲線を描いている。
【0052】ここで、時刻1a,2a,3aで算出され
る最大変位量は、L1 ,L2 ,L3と変化している。熱
変位量l1 は前述の方法と同様に算出できるが、時刻2
a以降における熱変位量lは次のように算出することが
できる。例えば、時刻2aにおける熱変位量l2 を算出
するには、最大変位量L2 に対応した前述の式(1) l=L2 ・{1−exp(−γt)} よりl=l1 となるtの値tl1を求め、時刻2aはその
a分後の時刻と外挿して l2 =L2 ・[1−exp{−γ(tl1+a/60)}] とするのである。このような算出方法を採用しても、前
述の算出方法(図6)と同様の作用・効果が生じる。但
し、前述の算出方法では、一時的に誤ったデータが入力
されても、少なくとも120分後にはその影響が排除さ
れるといった効果が生じる。また、本発明の実施の形態
としては、このような加算処理を行わず、最大変位量L
を一度算出したらその後ずっとそのLの値を用いて式
(1)により熱変位量lを算出するものも含まれること
はいうまでもない。
【0053】更に、工作機械10の熱変位量には、主軸
28の移動距離や駆動時間の他、種々の条件が影響を及
ぼす。例えば朝等の気温が比較的低いとき等では工作機
械10の温度上昇が緩やかになり、算出された総熱変位
量と実際の熱変位量との誤差が無視できない程度になる
こともある。そこで、例えば図3のS6を図11のよう
に変更し、各種調整を行えるようにしてもよい。
【0054】すなわち、S61では、S6と同様に総熱
変位量を算出する。続くS62では、CPU72は、S
61で算出した総熱変位量に対する調整の要否を判断す
る。この要否判断は、(1)操作パネル22を介して調
整値が入力されている、(2)時刻に対応して設定され
た調整値がある、(3)環境温度に対応して調整値を使
用する必要がある、等の条件が成立しているか否かによ
ってなされる。条件が成立していれば、調整要(S6
2:YES)であり、S63にて総熱変位量に調整値を
加算あるいは減算して調整する。一方、調整不要(S6
2:NO)であれば、S61にて算出された総熱変位量
をそのまま保持してS2(図3)の処理へ移行する。
【0055】この場合、例えば、調整値を時刻に対応し
て定めれば、1日の時間帯(朝、昼、夜等)に応じて、
算出された総熱変位量と実際の熱変位量との誤差を自動
的に解消することができる。従って、時刻に関わらず常
に正確な総熱変位量を算出することができる。また、調
整値を工作機械10の環境温度に対応して定めれば、工
作機械10が設置されている場所の気温すなわち環境温
度に応じて、算出された総熱変位量と実際の熱変位量と
の誤差を自動的に解消することができる。従って、環境
温度に関わらず常に正確な総熱変位量を算出できる。な
お、図3のS5,図8のS5またはS6aをこのように
変更しても同様の効果が生じる。
【0056】また更に、上記実施の形態では、図3,図
8,または図11の処理を実行するためのプログラム
や、図4または図9のマップをCPU72または82の
ROMに記憶しているが、これらのプログラムやマップ
はフロッピディスクやCD−ROM等の記憶媒体に記憶
しておいてもよいことはいうまでもない。この場合、一
般のコンピュータ等、任意の制御手段に上記処理を実行
させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例の工作機械の制御系の構成を表す
ブロック図である。
【図2】 その工作機械のピッチ誤差補正テーブルの構
成を表す説明図である。
【図3】 その工作機械のCPUが実行する熱変位量算
出処理を表すフローチャートである。
【図4】 最大変位量の算出に使用するマップの構成を
表す説明図である。
【図5】 最大変位量に対応した熱変位量の経時変化を
例示する説明図である。
【図6】 熱変位量から総熱変位量を算出する処理を例
示する説明図である。
【図7】 第2実施例の工作機械の制御系の構成を表す
ブロック図である。
【図8】 その工作機械に接続されたパソコンが実行す
る熱変位量算出処理を表すフローチャートである。
【図9】 最大変位量の算出に使用する他のマップの構
成を表す説明図である。
【図10】 熱変位量から総熱変位量を算出する他の処
理を表す説明図である。
【図11】 熱変位量算出処理の更に他の形態を表すフ
ローチャートである。
【図12】 実施例および従来例の工作機械の構成を表
す説明図である。
【図13】 実施例および従来例の工作機械の構成を表
す説明図である。
【符号の説明】
10…工作機械 14…テーブル 16…ATCマ
ガジン 20…本体 28…主軸 30…主軸モータ 36…ボール
ネジ機構 38…Z軸モータ 70…マイコン部 72,
82…CPU 74,84…RAM 76,86…時計 80
…パソコン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23Q 15/00 - 15/28 G05B 19/18 - 19/46

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被加工物に加工を施すための加工手段
    と、該加工手段と被加工物との相対位置を変動させる駆
    動手段とを有する工作機械に装備され、該工作機械の熱
    変位量を算出する工作機械の熱変位量算出装置であっ
    て、 上記工作機械の駆動状態を検出する駆動状態検出手段
    と、 該駆動状態検出手段の検出結果に基づき、上記駆動手段
    が上記加工手段または上記被加工物を単位時間当たりに
    移動させた移動距離を算出する移動距離算出手段と、 同様の駆動状態を続けた場合における上記工作機械の熱
    変位の最大値としての飽和熱変位量を、上記算出された
    移動距離に基づき、上記移動距離と上記飽和熱変位量と
    の対応関係を表すマップを参照して算出する飽和熱変位
    量算出手段と、 該算出された飽和熱変位量と上記工作機械の駆動時間と
    に基づき、上記工作機械の熱変位量を算出する変位量算
    出手段と、 を備え、上記飽和熱変位量算出手段が参照するマップ
    が、上記移動距離が大きくなるに従って、上記移動距離
    の増加に対する上記飽和熱変位量の増加の度合いが小さ
    なるように設定されたことを特徴とする工作機械の熱
    変位量算出装置。
  2. 【請求項2】 上記飽和熱変位量算出手段及び上記変位
    量算出手段が所定時間毎に上記算出を行うと共に、 上記変位量算出手段が以前に熱変位量を算出していると
    き、その熱変位量の影響を上記変位量算出手段が新たに
    算出した熱変位量に加算して、現在の上記工作機械の熱
    変位量とする変位量加算手段を、 更に備えたことを特徴とする請求項1記載の工作機械の
    熱変位量算出装置。
  3. 【請求項3】 上記工作機械の熱変位量の影響が残存す
    る保持時間を記憶する保持時間記憶手段を、更に備え、 上記変位量加算手段が、上記変位量算出手段が算出して
    から上記保持時間以上経過した熱変位量は無視して現在
    の上記熱変位量を算出することを特徴とする請求項
    載の工作機械の熱変位量算出装置。
  4. 【請求項4】 上記熱変位量に影響を及ぼす条件に対応
    して定められた調整値を、上記変位量算出手段または上
    記変位量加算手段によって算出された熱変位量に加算ま
    たは減算して上記工作機械の熱変位量とする変位量調整
    手段を、 更に備えたことを特徴とする請求項1〜のいずれかに
    記載の工作機械の熱変位量算出装置。
  5. 【請求項5】 上記調整値は時刻に対応して定められて
    いて、上記変位量調整手段は時刻に基づいて上記調整値
    を選択して使用することを特徴とする請求項記載の工
    作機械の熱変位量算出装置。
  6. 【請求項6】 上記調整値は上記工作機械の環境温度に
    対応して定められていて、上記変位量調整手段は該環境
    温度に基づいて上記調整値を選択して使用することを特
    徴とする請求項記載の工作機械の熱変位量算出装置。
  7. 【請求項7】 被加工物に加工を施すための加工手段
    と、該加工手段と被加工物との相対位置を変動させる駆
    動手段とを有する工作機械に対して使用され、該工作機
    械の熱変位量を算出するためのコンピュータプログラム
    を記憶した記憶媒体であって、 工作機械の駆動状態を検出する駆動状態検出処理と、 該駆動状態検出処理の検出結果に基づき、上記駆動手段
    が上記加工手段または上記被加工物を単位時間当たりに
    移動させた移動距離を算出する移動距離算出処理と、 同様の駆動状態を続けた場合における上記工作機械の熱
    変位の最大値としての飽和熱変位量を、上記算出された
    移動距離に基づき、上記移動距離と上記飽和熱変位量と
    の対応関係を表すマップを参照して算出する飽和熱変位
    量算出処理と、 該算出された飽和熱変位量と上記工作機械の駆動時間と
    に基づき、上記工作機械の熱変位量を算出する変位量算
    出処理と、 を実行させるコンピュータプログラム及び上記マップを
    記憶し、かつ、上記マップが、上記移動距離が大きくな
    るに従って、上記移動距離の増加に対する上記飽和熱変
    位量の増加の度合いが小さくなるように設定されたこと
    を特徴とする記憶媒体。
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