JP3339786B2 - 環状通信路におけるタイマー同期化装置および初期化方法 - Google Patents

環状通信路におけるタイマー同期化装置および初期化方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】この発明は、環状通信路にお
いて、通信路内の各子局に接続されたタイマーを高精度
に時間同期させる通信系のタイマー同期化装置および初
期化方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】従来の環状通信路において、特定の通信
フレームを用いてタイマーを同期させている一つの例と
して、ＳＥＲＣＯＳ規格に従った場合について説明す
る。図６において、親局６４は、タイマーを同期させる
ためにＳＹＮＣ−ＴＥＬＥＧＲＡＭと呼ばれる特定の通
信フレームを送信する。まず、子局６１が特定の通信フ
レームを受信し、タイマー６６を補正すると同時にフレ
ームを中継処理する。次に、子局６２が子局６１により
中継されたフレームを受信し、タイマー６７を補正す
る。このように順次受信した時点においてタイマーの補
正が行なわれ、接続順で最後の子局６３がフレームを受
信しタイマー６８が補正された時点で、環状通信路６５
におけるタイマーの同期シーケンスは終了となる。ここ
で、各子局で受信する時間は中継処理が入ることでずれ
が生じるが、環状通信路内の１つの子局による通信遅れ
時間を０．５〜１．５クロックの範囲内と規定すること
で中継処理による通信遅れ時間を最小にとどめ、タイマ
ー間のずれを補正する処理を行なわない。
【０００３】次に、通信路の転送効率を上げるため通信
フレームを乗せ換える通信方式で同期処理を行なう例に
ついて図５で説明する。ここで、通信フレームの乗せ換
えとは、各子局が通信路５を流れている自局宛ての通信
フレームのデータ部の一部または全部を、送信データ５
５と入れ換える操作を行うことである。子局の受信動作
について説明する。送信先判別回路５３は通信フレーム
を先頭ビットより順次受信してゆき、フレーム内の送信
先アドレスを読み込んだ時点で、自局アドレス格納部５
４の通信用アドレスと比較する。この時点で初めて、自
局宛ての通信フレームかどうかを判別し、自局宛て以外
は中継回路５１を、自局宛ての場合は通信フレーム乗せ
換え回路５２へ切り換えを行い、送信が開始される。つ
まり、通信フレームの送信先に関係なく子局での判別処
理に起因する遅れ時間（以降中継処理時間と呼ぶ）が必
ず生じてしまう。この処理は、時間同期用のフレームに
も例外なく適用される。この中継処理時間は、中継処理
を行なう子局毎に積算されていくことになる。また、こ
の中継処理時間は、１子局あたりμｓのオーダーである
ため、この通信方法でモータを制御するシステム、例え
ば工作機械、を構成した場合にはモータ間で基準とする
時間がずれるため、軌跡の精度ずれが問題となる。例え
ば、中継処理時間を６μｓ、モータの送り速度を２０ｍ
／ｍｉｎとすれば、時間遅れだけによる影響は２μｍに
相当することになる。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】前述のような従来技術
では、通信遅れ時間によってタイマーが正確に同期しな
いため、環状通信路内の各子局で時間の正確な同期をと
ることができない。親局と各子局とが従来技術で同期化
されたタイマーに基づいて微妙なタイミング規定でフレ
ームの受け渡し手順を決めていると、親局と各子局との
間の送受信の内容は不正確な状態になってしまう。ま
た、環状通信路内での子局の数が増えれば接続順が後ろ
になると通信遅れ時間は大きくなっていくことになる。
すなわち、環状通信路内での時間の正確さが要求される
場合には、従来技術での通信遅れ時間について考慮せず
に処理することは問題となる。
【０００５】この発明は、上記問題点を解決するために
なされたものであり、前述のフレームの乗せ換えを行な
わないＳＥＲＣＯＳ規格等の例よりも通信遅れ時間が増
加する、通信フレームの乗せ換えを行なうシステムにお
いて、通信遅れ時間に影響されることなく、環状通信路
内で親局と子局とのタイマーを同期化させることができ
る通信系のタイマー同期化装置および初期化方法を提供
することを目的としている。
【０００６】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、特定の
通信フレームにより環状通信路内の各子局に接続されて
いるタイマーを同期化させる装置において、親局が前記
環状通信路内に存在する子局の数と接続順とを認識する
手段と、前記親局が前記子局に対して前記接続順に応じ
た通信遅れ時間を通知する手段と、前記子局は前記親局
から通知された通信遅れ時間に自身の遅延時間を加算し
前記親局に通信遅れ時間として通知する手段と、前記子
局が前記親局とのタイマーの同期ずれを校正する手段と
を備えたことを特徴とする。また、本発明によれば、特
定の通信フレームにより、環状通信路内の各子局に接続
されているタイマーを同期化し、通信アドレスを初期化
させる方法において、親局が前記環状通信路内に存在す
る子局の数と、接続順を認識するステップと、前記親局
が前記子局に対して前記接続順に応じた通信遅れ時間を
通知するステップと、前記子局は前記親局から通知され
た通信遅れ時間に自身の遅延時間を加算し前記親局に通
信遅れ時間として通知するステップと、前記子局が前記
親局とのタイマーの同期ずれを前記通信遅れ時間によっ
て校正するステップと、を備えたことを特徴とする。更
に、本発明によれば、前記親局が通知する通信遅れ時間
を各子局が初期化時に送信する個別の通信遅れ時間の積
算値より算出するステップを含むことを特徴とする。
【０００７】
【作用】この発明によるタイマー同期化装置および初期
化方法では、親局と子局との通信に通信フレームの乗せ
換えを使用しても、通信遅れ時間が各子局ごとに設定さ
れるため、各子局が各子局に接続されているタイマーを
同期させる特定の通信フレームを受信することで、環状
通信路内において高精度に時間同期することができる。
【０００８】
【発明の実施の形態】図１は本発明のタイマー同期化装
置および初期化方法における実施形態を示す図であり、
図２は本発明にかかる初期化方法を示すフローチャート
である。また、図３、４はそれぞれ親局と子局での処理
内容を示すフローチャートである。図１、２において、
親局４は子局の通信制御部１４〜１６をリセットするた
めに通信リセット命令を送信する（ステップＳ１）。た
だし、この命令は親局４と子局１、２、３とのタイマー
を時間同期させるものではない。リセット命令受信後、
環状通信路５の全子局１、２、３の通信制御部１４〜１
６の自局アドレス格納部にある通信用アドレスは初期値
となり、すべて同じ値となる。
【０００９】まず親局４は子局接続番号を設定し（ステ
ップＳ２）、子局の初期化を行なう（ステップＳ３）の
であるが、初期化時の親局と子局との通信のやりとりに
ついては、図３、４の参照符号を用いて説明する。親局
４は送信先アドレスを初期値に設定して、タイマー補正
時間を含む通信フレームの送信を行なう（ステップＳ１
１）。この通信は環状通信路５の先頭に接続している子
局１が受信し（ステップＳ１２）、受信フレームの内容
から、各子局に接続されているタイマーを同期させる特
定の通信フレームを受信した時に、子局１に接続されて
いるタイマー６を補正するためにタイマー補正部１０の
設定を行ない（ステップＳ１３）、この補正時間と通信
フレームを中継する時に生じる遅れ時間とを加算した通
信遅れ時間を含む通信フレームを親局４に対して送信す
る（ステップＳ１４）。子局１からの通信を受信した親
局４は（ステップＳ１５）、通信フレーム内の通信遅れ
時間を初期化データ部１３に記憶し（ステップＳ１
６）、次に子局１の通信用アドレスを含む通信フレーム
の送信を行なう（ステップＳ１７）。この際に、設定す
る通信用アドレスは初期値と異なる値である。この通信
を受信した子局１は（ステップＳ１８）、受信フレーム
の内容から通信用アドレスを自局アドレス格納部５４に
設定し（ステップＳ１９）、送信元アドレスを設定され
た通信用アドレスにして送信をする（ステップＳ２
０）。そして、親局４がこの通信を受信後（ステップＳ
２１）、通信用アドレスのチェックをして（ステップＳ
２２）、子局１の初期化は終了となり（ステップＳ２
４）、今後子局１はこの通信用アドレスを使用して通信
をすることとなる。ここで、親局４は初期化データ部１
３の内容から子局１の子局接続番号に対応する接続順と
通信用アドレスとを認識する。また、通信用アドレスに
異常がある時には、親局はエラー表示用データをセット
する（ステップＳ２３）。
【００１０】次に、親局４は上述と同じ方法で次の子局
２の初期化を行なう。この際に、親局４は子局２のタイ
マー補正時間として子局１から送信されてきた通信遅れ
時間を初期化データ部１３から読み込んで設定する。ま
た、この時点で初期化を終了している子局１では、通信
用アドレスが設定されているために、親局４からの送信
を受信することなく、中継処理のみを行なう。子局２の
初期化が終了した時に、子局２から親局４に送信されて
くる通信遅れ時間は、子局１が親局４に送信してきた通
信遅れ時間に子局２での通信フレームを中継する時の遅
れ時間を加算した通信遅れ時間となっている。図１で示
されるように、同じ手順で親局４は子局を接続順に初期
化していき、環状通信路５の全子局の初期化が終了した
かどうかは（ステップＳ５）、タイマー補正時間を含む
通信フレームが子局に受信されることなく親局自身が受
信することでわかる。初期化終了時（ステップＳ７）、
親局４は環状通信路の子局の数と接続順および通信用ア
ドレスを初期化データ部１３の内容から認識することと
なる。また、子局の初期化時にエラーが発生した場合に
は、初期化処理は続行し、初期化がすべて終了した時点
でエラー発生を通知することにする（ステップＳ８）。
そして、各子局のタイマーを同期させる特定の通信フレ
ームを環状通信路内の全子局が受信することにより、初
期化時にタイマー補正部１０〜１２に設定されたタイマ
ー補正時間を用いて、各タイマー６〜８のずれを校正
し、時間同期することができる。
【００１１】
【発明の効果】以上説明したように、この発明のタイマ
ー同期化装置および初期化方法によれば、通信遅れ時間
が生じる場合でも環状通信路内の時間を同期させること
ができ、通信フレームの乗せ換えによる通信を行なって
も正確なタイマーの同期を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明のタイマー同期化装置及び初期化方法
の実施形態を示す図である。
【図２】 本発明の初期化方法を示すフローチャートで
ある。
【図３】 本発明の初期化方法による親局の処理内容を
示すフローチャートである。
【図４】 本発明の初期化方法による子局の処理内容を
示すフローチャートである。
【図５】 子局の通信制御部を示す図である。
【図６】 従来技術による環状通信路の一例を示す図で
ある。
【符号の説明】
１〜３ 子局、４ 親局、５ 環状通信路、６〜９ タ
イマー、１０〜１２タイマー補正部、１３ 初期化デー
タ部、１４〜１７ 通信制御部、５１ 中継回路、５２
通信フレーム乗せ換え回路、５３ 送信先判別回路、
５４ 自局アドレス格納部、５５ 送信データ、５６
受信データ。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平１−278144（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−107372（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−161181（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−6953（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) H04L 12/42

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 特定の通信フレームにより環状通信路内
    の各子局に接続されているタイマーを同期化させる装置
    において、親局が前記環状通信路内に存在する子局の数
    と接続順とを認識する手段と、前記親局が前記子局に対
    して前記接続順に応じた通信遅れ時間を通知する手段
    と、前記子局は前記親局から通知された通信遅れ時間に
    自身の遅延時間を加算し前記親局に通信遅れ時間として
    通知する手段と、前記子局が前記親局とのタイマーの同
    期ずれを校正する手段とを備えた環状通信路におけるタ
    イマー同期化装置。
  2. 【請求項２】 特定の通信フレームにより、環状通信路
    内の各子局に接続されているタイマーを同期化し、通信
    アドレスを初期化させる方法において、親局が前記環状
    通信路内に存在する子局の数と、接続順を認識するステ
    ップと、 前記親局が前記子局に対して前記接続順に応じた通信遅
    れ時間を通知するステップと、前記子局は前記親局から通知された通信遅れ時間に自身
    の遅延時間を加算し前記親局に通信遅れ時間として通知
    するステップと、 前記子局が前記親局とのタイマーの同期ずれを前記通信
    遅れ時間によって校正するステップと、を備えた環状通
    信路における初期化方法。
  3. 【請求項３】 請求項２に記載の同期初期化方法であっ
    て、前記親局が通知する通信遅れ時間を各子局が初期化
    時に送信する個別の通信遅れ時間の積算値より算出する
    ステップを含む環状通信路における初期化方法。
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