JP3336159B2 - 多孔性フェノール樹脂繊維の製造方法 - Google Patents
多孔性フェノール樹脂繊維の製造方法Info
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Description
【産業上の利用分野】本発明は、各種防災安全用品、断
熱材、パッキン、シール材、摩擦材などに使用される柔
軟性を有し、優れた耐熱性、断熱性を併せ持つ多孔性フ
ェノール樹脂繊維の製造方法に関する。
熱材、パッキン、シール材、摩擦材などに使用される柔
軟性を有し、優れた耐熱性、断熱性を併せ持つ多孔性フ
ェノール樹脂繊維の製造方法に関する。
【従来の技術】従来、フェノール樹脂繊維の製造方法と
しては、特公昭48−11284号に開示されるよう
に、フェノール類とホルムアルデヒドを代表とするアル
デヒド類とを酸性触媒の存在下縮合して得たフェノール
ノボラックと称される熱可塑性の樹脂を溶融紡糸し、こ
れを酸性触媒下または塩基性触媒下、あるいは酸性触媒
下の後更に塩基性触媒下など各種の可能な反応条件の
元、アルデヒド類による架橋反応を行わせて製造する方
法が知られている。この方法により得られるフェノール
樹脂繊維は、その分子構造に由来する優れた耐熱性、断
熱性のため、各種防災安全用品、断熱材、パッキン、シ
ール材、摩擦材等に使用されている。しかしながら、フ
ェノール樹脂繊維はあくまで有機繊維であり、例えばセ
ラミック繊維のような無機系の繊維に比較すると、その
耐熱性は低い。そこで、フェノール樹脂繊維の耐熱性を
向上させるため、例えば特開昭53−94626号では
「耐炎繊維または耐炎繊維構造物の製造法」としてフェ
ノール樹脂繊維を非酸化性雰囲気中、無緊張下にて28
0〜400℃の温度で熱処理し、炭素繊維化を進行させ
て耐熱性に優れた不溶不融の耐炎繊維を安価に製造する
方法が提案されている。しかしながら、この方法により
得られる繊維は耐熱性は向上するが、炭素繊維化の進行
が原因と推定される断熱性の低下という欠点を有する。
また、繊維の柔軟性が失われ、使用中に肌がチクチクす
るなど、皮膚への攻撃性が高まる欠点も有する。断熱性
を向上させるために例えば特公昭50−34125号で
は「熱不融、不燃性の中空繊維並びにその製造法」とし
て未硬化フェノール樹脂繊維を外周部から中心部に向か
って横断面面積の20〜90%の深さまで架橋化し、そ
の後未架橋部分を溶媒抽出して、断熱性に優れた中空状
のフェノール樹脂繊維の製造法をあげている。しかしな
がら、この方法によるフェノール樹脂繊維は断熱性には
優れるが耐熱性が不十分である欠点を有する。
しては、特公昭48−11284号に開示されるよう
に、フェノール類とホルムアルデヒドを代表とするアル
デヒド類とを酸性触媒の存在下縮合して得たフェノール
ノボラックと称される熱可塑性の樹脂を溶融紡糸し、こ
れを酸性触媒下または塩基性触媒下、あるいは酸性触媒
下の後更に塩基性触媒下など各種の可能な反応条件の
元、アルデヒド類による架橋反応を行わせて製造する方
法が知られている。この方法により得られるフェノール
樹脂繊維は、その分子構造に由来する優れた耐熱性、断
熱性のため、各種防災安全用品、断熱材、パッキン、シ
ール材、摩擦材等に使用されている。しかしながら、フ
ェノール樹脂繊維はあくまで有機繊維であり、例えばセ
ラミック繊維のような無機系の繊維に比較すると、その
耐熱性は低い。そこで、フェノール樹脂繊維の耐熱性を
向上させるため、例えば特開昭53−94626号では
「耐炎繊維または耐炎繊維構造物の製造法」としてフェ
ノール樹脂繊維を非酸化性雰囲気中、無緊張下にて28
0〜400℃の温度で熱処理し、炭素繊維化を進行させ
て耐熱性に優れた不溶不融の耐炎繊維を安価に製造する
方法が提案されている。しかしながら、この方法により
得られる繊維は耐熱性は向上するが、炭素繊維化の進行
が原因と推定される断熱性の低下という欠点を有する。
また、繊維の柔軟性が失われ、使用中に肌がチクチクす
るなど、皮膚への攻撃性が高まる欠点も有する。断熱性
を向上させるために例えば特公昭50−34125号で
は「熱不融、不燃性の中空繊維並びにその製造法」とし
て未硬化フェノール樹脂繊維を外周部から中心部に向か
って横断面面積の20〜90%の深さまで架橋化し、そ
の後未架橋部分を溶媒抽出して、断熱性に優れた中空状
のフェノール樹脂繊維の製造法をあげている。しかしな
がら、この方法によるフェノール樹脂繊維は断熱性には
優れるが耐熱性が不十分である欠点を有する。
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
鑑みてなされたものであり、その目的とするところは従
来のフェノール樹脂繊維の柔軟性を損なうことなく優れ
た耐熱性と断熱性を併せ持つ多孔性フェノール樹脂繊維
の製造方法を提供することにある。
鑑みてなされたものであり、その目的とするところは従
来のフェノール樹脂繊維の柔軟性を損なうことなく優れ
た耐熱性と断熱性を併せ持つ多孔性フェノール樹脂繊維
の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】本発明者らは、未硬化ノ
ボラック樹脂100重量部に対しポリビニルブチラール
を10〜400重量部含有させ、溶融紡糸後硬化させた
ノボラック樹脂繊維を280〜360℃で熱処理するこ
とにより得られる多孔性フェノール樹脂繊維が、柔軟性
を有し、優れた耐熱性と断熱性を併せ持つことを見出し
本発明に到達した。本発明により多孔性で耐熱性と断熱
性とを併せ持ち柔軟性を損なわないフェノール樹脂繊維
が得られる理由は、ポリビニルブチラールと未硬化ノボ
ラック樹脂との相溶性が極めて良好であり、微細で均一
な相互分散が可能であることによると考えられる。すな
わち、ポリビニルブチラールは本発明における熱処理温
度範囲において揮散分解する部分が多いことが判明して
おり、対照的に硬化ノボラック樹脂は本発明における熱
処理温度範囲ではほとんど揮散分解しないことが判明し
ている。したがって、微細で均一に相互分散しているポ
リビニルブチラール含有硬化ノボラック樹脂繊維を該温
度範囲で熱処理したものはポリビニルブチラールの揮散
に由来する微細孔が均一に生成したものになっていると
推定又は推認される。この均一な微細孔により本発明の
断熱性が発揮され、微細孔であるがために繊維の柔軟性
が損なわれることがなく、また熱処理工程を経るという
ことが耐熱性向上につながったものと推定又は推認でき
る。以下本発明を詳細に説明する。本発明に用いられる
未硬化ノボラック樹脂とは、例えばフェノールの他にア
ルキルフェノール類や他の置換フェノール類、多価フェ
ノール類とホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド等
のアルデヒド類を原料とし、一般に知られている常法に
より酸性触媒下において反応させて得られるものであ
る。また本発明に用いられるポリビニルブチラールは、
ポリビニルアルコールとブチルアルデヒドを酸性触媒下
で反応して得られるポリマーでブチラール樹脂とも呼ば
れ、工業製品は酢酸ビニール、ビニルアルコール、ビニ
ルブチラールの共重合体であり、各種の重合度、ブチル
化度のものが使用できる。未硬化ノボラック樹脂にポリ
ビニルブチラールを含有させる方法としては、例えば未
硬化ノボラック樹脂の製造工程において反応終了時点、
すなわち樹脂温度が高く、まだ溶融状態である時点でポ
リビニルブチラールを添加し、混合攪拌して含有させる
ことができる。また未硬化ノボラック樹脂とポリビニル
ブチラールを加熱し、溶融混合させることもできる。あ
るいは溶剤等に溶解してから混合し、その後溶剤を取り
除くなどの方法を用いても良く、その含有方法は限定さ
れるものではない。本発明における未硬化ノボラック樹
脂100重量部に対するポリビニルブチラールの含有量
は10〜400重量部である。10重量部未満だとその
効果が小さく、十分な多孔性を有したフェノール樹脂繊
維が得られにくく、従って断熱性が不十分になる。また
400重量部を越えると溶融紡糸後の硬化反応が進みに
くく、ポリビニルブチラール含有硬化ノボラック樹脂繊
維が得られにくくなるので好ましくない。以上のように
して得られたポリビニルブチラールを含有させた未硬化
ノボラック樹脂は溶融紡糸される。溶融紡糸の方法は特
に限定されるものではなく、例えば口金より吐出した溶
融樹脂をロールにより引き取る公知の、いわゆる狭義の
溶融紡糸法、溶融樹脂をディスクに導き遠心紡糸する方
法、口金より吐出した溶融樹脂を加熱空気流の牽引力に
より紡糸する、いわゆるメルトブローン法などがあげら
れる。溶融紡糸して得られた未硬化繊維は、塩酸とホル
ムアルデヒドを主成分とする硬化水溶液に浸漬され、徐
々に昇温され90℃以上の温度で数時間保持されること
により、硬化ノボラック樹脂繊維となる。次に、上記硬
化ノボラック樹脂繊維を280〜360℃で熱処理す
る。熱処理温度が280℃未満だと十分な多孔性の繊維
が得られにくく断熱性が低いものになる。また360℃
以上だと得られる繊維の柔軟性が失われ好ましくない。
熱処理時間は特に限定されないが10〜150分程度で
目的の繊維が得られる。本発明に係る製造方法により得
られた多孔性フェノール樹脂繊維は、従来のフェノール
樹脂繊維に比べ、繊維内部及び表面に発達していると推
定又は推認される微細孔による断熱性の向上、また熱処
理による耐熱性の向上が見られ、しかも微細孔であるが
ためと推定又は推認される従来の繊維としての柔軟性を
損なうことがないため、各種防災安全用品、断熱材、パ
ッキン、シール材、摩擦材等の分野でより厳しい条件の
もとでの使用が可能になる。
ボラック樹脂100重量部に対しポリビニルブチラール
を10〜400重量部含有させ、溶融紡糸後硬化させた
ノボラック樹脂繊維を280〜360℃で熱処理するこ
とにより得られる多孔性フェノール樹脂繊維が、柔軟性
を有し、優れた耐熱性と断熱性を併せ持つことを見出し
本発明に到達した。本発明により多孔性で耐熱性と断熱
性とを併せ持ち柔軟性を損なわないフェノール樹脂繊維
が得られる理由は、ポリビニルブチラールと未硬化ノボ
ラック樹脂との相溶性が極めて良好であり、微細で均一
な相互分散が可能であることによると考えられる。すな
わち、ポリビニルブチラールは本発明における熱処理温
度範囲において揮散分解する部分が多いことが判明して
おり、対照的に硬化ノボラック樹脂は本発明における熱
処理温度範囲ではほとんど揮散分解しないことが判明し
ている。したがって、微細で均一に相互分散しているポ
リビニルブチラール含有硬化ノボラック樹脂繊維を該温
度範囲で熱処理したものはポリビニルブチラールの揮散
に由来する微細孔が均一に生成したものになっていると
推定又は推認される。この均一な微細孔により本発明の
断熱性が発揮され、微細孔であるがために繊維の柔軟性
が損なわれることがなく、また熱処理工程を経るという
ことが耐熱性向上につながったものと推定又は推認でき
る。以下本発明を詳細に説明する。本発明に用いられる
未硬化ノボラック樹脂とは、例えばフェノールの他にア
ルキルフェノール類や他の置換フェノール類、多価フェ
ノール類とホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド等
のアルデヒド類を原料とし、一般に知られている常法に
より酸性触媒下において反応させて得られるものであ
る。また本発明に用いられるポリビニルブチラールは、
ポリビニルアルコールとブチルアルデヒドを酸性触媒下
で反応して得られるポリマーでブチラール樹脂とも呼ば
れ、工業製品は酢酸ビニール、ビニルアルコール、ビニ
ルブチラールの共重合体であり、各種の重合度、ブチル
化度のものが使用できる。未硬化ノボラック樹脂にポリ
ビニルブチラールを含有させる方法としては、例えば未
硬化ノボラック樹脂の製造工程において反応終了時点、
すなわち樹脂温度が高く、まだ溶融状態である時点でポ
リビニルブチラールを添加し、混合攪拌して含有させる
ことができる。また未硬化ノボラック樹脂とポリビニル
ブチラールを加熱し、溶融混合させることもできる。あ
るいは溶剤等に溶解してから混合し、その後溶剤を取り
除くなどの方法を用いても良く、その含有方法は限定さ
れるものではない。本発明における未硬化ノボラック樹
脂100重量部に対するポリビニルブチラールの含有量
は10〜400重量部である。10重量部未満だとその
効果が小さく、十分な多孔性を有したフェノール樹脂繊
維が得られにくく、従って断熱性が不十分になる。また
400重量部を越えると溶融紡糸後の硬化反応が進みに
くく、ポリビニルブチラール含有硬化ノボラック樹脂繊
維が得られにくくなるので好ましくない。以上のように
して得られたポリビニルブチラールを含有させた未硬化
ノボラック樹脂は溶融紡糸される。溶融紡糸の方法は特
に限定されるものではなく、例えば口金より吐出した溶
融樹脂をロールにより引き取る公知の、いわゆる狭義の
溶融紡糸法、溶融樹脂をディスクに導き遠心紡糸する方
法、口金より吐出した溶融樹脂を加熱空気流の牽引力に
より紡糸する、いわゆるメルトブローン法などがあげら
れる。溶融紡糸して得られた未硬化繊維は、塩酸とホル
ムアルデヒドを主成分とする硬化水溶液に浸漬され、徐
々に昇温され90℃以上の温度で数時間保持されること
により、硬化ノボラック樹脂繊維となる。次に、上記硬
化ノボラック樹脂繊維を280〜360℃で熱処理す
る。熱処理温度が280℃未満だと十分な多孔性の繊維
が得られにくく断熱性が低いものになる。また360℃
以上だと得られる繊維の柔軟性が失われ好ましくない。
熱処理時間は特に限定されないが10〜150分程度で
目的の繊維が得られる。本発明に係る製造方法により得
られた多孔性フェノール樹脂繊維は、従来のフェノール
樹脂繊維に比べ、繊維内部及び表面に発達していると推
定又は推認される微細孔による断熱性の向上、また熱処
理による耐熱性の向上が見られ、しかも微細孔であるが
ためと推定又は推認される従来の繊維としての柔軟性を
損なうことがないため、各種防災安全用品、断熱材、パ
ッキン、シール材、摩擦材等の分野でより厳しい条件の
もとでの使用が可能になる。
【実施例】以下に本発明の具体的な実施態様を実施例に
示す。 [実施例1]フェノール1.2kg、50%ホルマリン
0.6kg、蓚酸3.5gを3リットルのフラスコに仕
込み、還流温度で4時間反応させた後、さらに加熱下で
真空脱水濃縮を行い、軟化点110℃の未硬化ノボラッ
ク樹脂1kgを得た。この樹脂200gとポリビニルブ
チラール300(和光純薬工業株式会社製)200gと
をメタノール1kgに溶解し混合攪拌した後、ロータリ
ーエバポレーター、続いて減圧加熱乾燥機でメタノール
を除去した。得られたポリビニルブチラール含有未硬化
ノボラック樹脂を孔数20、孔径0.2mmφの紡糸口
金を用いて520m/minの速度で溶融紡糸を行い、
ポリビニルブチラール含有未硬化ノボラック樹脂繊維を
得た。このノボラック樹脂繊維をホルムアルデヒドと塩
酸を主成分とした硬化水溶液中に浸漬し、0.5℃/m
inの速度で95℃まで昇温した後、8時間保持してポ
リビニルブチラール含有硬化ノボラック樹脂繊維を得
た。この繊維を290℃で30分間熱処理を行い、柔軟
性のある、多孔性フェノール樹脂繊維を得た。 [実施例2]フェノール1.2kg、50%ホルマリン
0.6kg、蓚酸3.5gを3リットルのフラスコに仕
込み、還流温度で4時間反応させた。その後加熱下で反
応物内部温度が200℃に上昇するまで真空脱水濃縮を
行なった後、フラスコ内にポリビニルブチラール300
(和光純薬工業株式会社製)110gを加え、溶融混合
攪拌してポリビニルブチラール含有未硬化ノボラック樹
脂を得た。なおポリビニルブチラールを混合する前のフ
ラスコ内の未硬化ノボラック樹脂重量は1kgであっ
た。得られたポリビニルブチラール含有未硬化ノボラッ
ク樹脂を孔数20、孔径0.2mmφの口金から吐出量
0.4g/min・Holeで吐出させ、110℃の加
熱空気流を30Nリットル/min・Holeの流速で
幅0.3mmのスリットより流し、いわゆるメルトブロ
ーン法により紡糸した。該未硬化ノボラック樹脂繊維を
ホルムアルデヒドと塩酸を主成分とした硬化水溶液中に
浸漬し、0.5℃/minの速度で95℃まで昇温後、
8時間保持してポリビニルブチラール含有硬化ノボラッ
ク樹脂繊維を得た。この繊維を320℃で15分間熱処
理を行い、柔軟性のある多孔性フェノール樹脂繊維を得
た。 [比較例1]ポリビニルブチラールを含有させない以外
は、すべて実施例1と同様にして得た硬化フェノール樹
脂繊維を290℃で30分間熱処理をしてフェノール樹
脂繊維を得た。 [比較例2]ポリビニルブチラールを含有させないこと
と、熱処理を行わないこと以外はすべて実施例1と同様
の方法、すなわち従来と同じ方法(特公昭48−112
84号)によりフェノール樹脂繊維を得た。 表1に実施例1、2及び比較例1、2で得られた繊維の
減量開始温度、断熱度、比表面積を示した。減量開始温
度とは繊維を1分間に20℃の速度で昇温した時の重量
減少が始まる温度であり、耐熱性の指標となる。断熱性
の指標としての断熱度は繊維5gを直径5cmの球と
し、これを100℃の雰囲気内に投入して繊維球中心温
度が100℃に達するまでの時間を測定して求めた。比
表面積は窒素吸着によるBET比表面積であり、多孔性
の指標となる。
示す。 [実施例1]フェノール1.2kg、50%ホルマリン
0.6kg、蓚酸3.5gを3リットルのフラスコに仕
込み、還流温度で4時間反応させた後、さらに加熱下で
真空脱水濃縮を行い、軟化点110℃の未硬化ノボラッ
ク樹脂1kgを得た。この樹脂200gとポリビニルブ
チラール300(和光純薬工業株式会社製)200gと
をメタノール1kgに溶解し混合攪拌した後、ロータリ
ーエバポレーター、続いて減圧加熱乾燥機でメタノール
を除去した。得られたポリビニルブチラール含有未硬化
ノボラック樹脂を孔数20、孔径0.2mmφの紡糸口
金を用いて520m/minの速度で溶融紡糸を行い、
ポリビニルブチラール含有未硬化ノボラック樹脂繊維を
得た。このノボラック樹脂繊維をホルムアルデヒドと塩
酸を主成分とした硬化水溶液中に浸漬し、0.5℃/m
inの速度で95℃まで昇温した後、8時間保持してポ
リビニルブチラール含有硬化ノボラック樹脂繊維を得
た。この繊維を290℃で30分間熱処理を行い、柔軟
性のある、多孔性フェノール樹脂繊維を得た。 [実施例2]フェノール1.2kg、50%ホルマリン
0.6kg、蓚酸3.5gを3リットルのフラスコに仕
込み、還流温度で4時間反応させた。その後加熱下で反
応物内部温度が200℃に上昇するまで真空脱水濃縮を
行なった後、フラスコ内にポリビニルブチラール300
(和光純薬工業株式会社製)110gを加え、溶融混合
攪拌してポリビニルブチラール含有未硬化ノボラック樹
脂を得た。なおポリビニルブチラールを混合する前のフ
ラスコ内の未硬化ノボラック樹脂重量は1kgであっ
た。得られたポリビニルブチラール含有未硬化ノボラッ
ク樹脂を孔数20、孔径0.2mmφの口金から吐出量
0.4g/min・Holeで吐出させ、110℃の加
熱空気流を30Nリットル/min・Holeの流速で
幅0.3mmのスリットより流し、いわゆるメルトブロ
ーン法により紡糸した。該未硬化ノボラック樹脂繊維を
ホルムアルデヒドと塩酸を主成分とした硬化水溶液中に
浸漬し、0.5℃/minの速度で95℃まで昇温後、
8時間保持してポリビニルブチラール含有硬化ノボラッ
ク樹脂繊維を得た。この繊維を320℃で15分間熱処
理を行い、柔軟性のある多孔性フェノール樹脂繊維を得
た。 [比較例1]ポリビニルブチラールを含有させない以外
は、すべて実施例1と同様にして得た硬化フェノール樹
脂繊維を290℃で30分間熱処理をしてフェノール樹
脂繊維を得た。 [比較例2]ポリビニルブチラールを含有させないこと
と、熱処理を行わないこと以外はすべて実施例1と同様
の方法、すなわち従来と同じ方法(特公昭48−112
84号)によりフェノール樹脂繊維を得た。 表1に実施例1、2及び比較例1、2で得られた繊維の
減量開始温度、断熱度、比表面積を示した。減量開始温
度とは繊維を1分間に20℃の速度で昇温した時の重量
減少が始まる温度であり、耐熱性の指標となる。断熱性
の指標としての断熱度は繊維5gを直径5cmの球と
し、これを100℃の雰囲気内に投入して繊維球中心温
度が100℃に達するまでの時間を測定して求めた。比
表面積は窒素吸着によるBET比表面積であり、多孔性
の指標となる。
【表1】 表1に示すように、本実施例1、2の製造方法により得
られた多孔性フェノール樹脂繊維は、比較例1、2の従
来のフェノール樹脂繊維に比べ、はるかに多孔性を有
し、且つ、耐熱性、断熱性の向上が見られる。
られた多孔性フェノール樹脂繊維は、比較例1、2の従
来のフェノール樹脂繊維に比べ、はるかに多孔性を有
し、且つ、耐熱性、断熱性の向上が見られる。
【発明の効果】以上詳述した本発明の製造方法によれ
ば、柔軟性を損なうことなく、優れた耐熱性、断熱性を
併せ持ち、各種防災安全用品、断熱材、パッキン、シー
ル材、摩擦材等の分野で従来より厳しい条件のもとでの
使用が可能になる多孔性フェノール樹脂繊維が得られ
る。
ば、柔軟性を損なうことなく、優れた耐熱性、断熱性を
併せ持ち、各種防災安全用品、断熱材、パッキン、シー
ル材、摩擦材等の分野で従来より厳しい条件のもとでの
使用が可能になる多孔性フェノール樹脂繊維が得られ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯塚 登志 群馬県高崎市宿大類町700番地 群栄化 学工業株式会社内 (72)発明者 吉田 覚 群馬県高崎市宿大類町700番地 群栄化 学工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭48−11425(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 6/76
Claims (1)
- 【請求項1】未硬化ノボラック樹脂100重量部に対し
ポリビニルブチラールを10〜400重量部含有させ、
溶融紡糸後硬化させて得た硬化ノボラック樹脂繊維を2
80〜360℃で熱処理することを特徴とする多孔性フ
ェノール樹脂繊維の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18091995A JP3336159B2 (ja) | 1995-06-23 | 1995-06-23 | 多孔性フェノール樹脂繊維の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18091995A JP3336159B2 (ja) | 1995-06-23 | 1995-06-23 | 多孔性フェノール樹脂繊維の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0913223A JPH0913223A (ja) | 1997-01-14 |
JP3336159B2 true JP3336159B2 (ja) | 2002-10-21 |
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ID=16091582
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18091995A Expired - Fee Related JP3336159B2 (ja) | 1995-06-23 | 1995-06-23 | 多孔性フェノール樹脂繊維の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3336159B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010174382A (ja) * | 2007-05-15 | 2010-08-12 | Toray Ind Inc | ブレンド物と溶媒から成る溶液およびブレンド物から成る繊維とその繊維を含むシート状物ならびにそれら繊維およびシート状物の製造方法 |
CN103320902B (zh) * | 2013-05-29 | 2016-06-08 | 金骄特种新材料(集团)有限公司 | 一种生物基活性碳纤维过滤材料及其制备方法 |
-
1995
- 1995-06-23 JP JP18091995A patent/JP3336159B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
JPH0913223A (ja) | 1997-01-14 |
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