JP3336163B2 - フェノール樹脂繊維及びその製造方法 - Google Patents

フェノール樹脂繊維及びその製造方法

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JP3336163B2 JP20287095A JP20287095A JP3336163B2 JP 3336163 B2 JP3336163 B2 JP 3336163B2 JP 20287095 A JP20287095 A JP 20287095A JP 20287095 A JP20287095 A JP 20287095A JP 3336163 B2 JP3336163 B2 JP 3336163B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明はフェノール樹脂繊維及び
その製造方法に関し、詳しくは耐熱性、難燃性、耐薬品
性に優れ航空宇宙分野から一般産業資材分野まで幅広く
利用されるレゾール型フェノール樹脂を原料とする新規
なフェノール樹脂繊維及びその製造方法に関する。
【従来の技術】レゾール型フェノール樹脂繊維の製造方
法については従来いくつか知られている。例えば特公昭
48−43570号及び特開昭50−29817号に
は、一定の粘度に調製された液状レゾール型フェノール
樹脂を、加熱された流動するポリプロピレングリコール
などの特定の媒体中に投入して攪拌を続行し繊維化する
方法が開示されている。しかしながら、上記製造方法で
は、繊維化するために媒体の温度を狭い範囲に正確に制
御する必要があると同時に流動を層流に保持しなければ
ならず、工程上の煩雑さが避けられない欠点を有する。
また、原料のレゾール型フェノール樹脂に対し、使用す
る媒体が大量に必要であることに加え、不溶、不融で耐
熱性、難燃性、耐薬品性の優れたフェノール樹脂繊維が
本来保有する性能を得るためには長時間媒体中に保持し
硬化反応を継続することが不可欠であり、生産性が悪い
欠点を有する。また、実質的にバッチ運転にせざるを得
ないため、これも生産性を悪くする要因となっている。
更にまた、媒体中へのレゾール型フェノール樹脂の溶出
が避けられず、フェノール樹脂繊維の収率が低くなりコ
スト高の要因となると共に、媒体の廃棄、更新を頻繁に
行う必要が生じる。この不要の媒体を廃棄すれば環境問
題に発展する危険性があり、これを避けるために処理設
備あるいは再生設備等を設置すれば、これも結果として
コストの高い繊維となる欠点を有する。更に、得られる
フェノール樹脂繊維中に相当量の媒体が含有されるた
め、耐熱性、難燃性、耐薬品性の性能低下が避けられな
い欠点も有する。また、知られている従来の技術に、一
定粘度に調製された液状レゾール型フェノール樹脂に塩
酸や硫酸のような硬化速度を速める酸を混合し、これを
特定の加熱された流動する媒体中に投入して繊維化し、
硬化反応の短縮、収率の向上を図った製造方法が特開昭
55−163212号に開示されている。しかしなが
ら、上記製造方法においても、加熱された流動する媒体
を使用することによる工程上の煩雑さ、生産性の低さ、
コスト高、得られる繊維の性能低下の欠点を本質的に有
している。更にまた、得られる繊維中に酸が残留し、製
品利用時に周囲の設備を腐食させる等の危険性が増加す
る欠点も有する。また、知られている従来の技術に、上
述した従来技術のような媒体を使用しないで、フェノー
ル樹脂繊維を製造する方法が提案されている。例えば特
開昭49−47613号には、3官能性フェノールと2
官能性フェノールの混合物を原料として一定の粘度のレ
ゾール型フェノール樹脂を製造し、これをいわゆる湿式
法で、例えばアセトンのような溶剤と水の混合凝固液に
紡出して巻き取った後、乾燥、熱処理により不溶、不融
化を行いレゾール型フェノール樹脂繊維を得る方法が開
示されている。しかしながら、上記製造方法は、凝固液
に紡出された糸の強度が弱いこと及び糸の融着が避けら
れないことから、巻き取り速度を速くすることができな
いことに加え、2官能性フェノールを使用するため硬化
速度の低下が避けられず、不溶、不融化のために長時間
の硬化反応時間を要し、生産性が低い欠点を有してい
る。また、同じく特開昭49−47613号には、3官
能性フェノールと2官能性フェノールの混合物を原料と
して一定の粘度のレゾール型フェノール樹脂を製造し、
これを例えばアセトンのような溶剤に溶解し、これを紡
糸原液として、いわゆる乾式法により紡糸する方法も開
示されている。しかしながら、上記製造方法においては
使用した溶剤の揮散がおこり人体への毒性の問題や火災
の危険性が増す欠点を有する。これを避けるために回収
装置を設置すると、多大の費用がかかり、結果的にコス
ト高となる欠点を有する。また、2官能性フェノール樹
脂を使用するため不溶、不融化が不十分になりやすく、
耐熱性、難燃性、耐薬品性に劣るフェノール樹脂繊維に
なってしまう欠点も有する。更にまた、前述した従来技
術のような媒体を使用しない方法として、特公平5−9
525号には、一定の粘度に調製された常温で液状のレ
ゾール型フェノール樹脂に硬化触媒として酸を混合し、
酸による硬化反応を進めつつ紡糸部のディスク上に導
き、このディスクの回転による遠心力を利用した、いわ
ゆる遠心紡糸により高温エアー雰囲気中に紡出して繊維
化し、必要に応じて熱硬化を継続させレゾール型フェノ
ール樹脂繊維を得る方法が開示されている。しかしなが
ら、上記製造方法は、紡糸部に混合樹脂が至る間に硬化
が進むため、混合樹脂の粘性の変化が大きく、安定した
繊維形状のものを得ることが困難であり、ときには粒状
の樹脂が混入する。このような繊維は、例えば織物やフ
ェルトに加工することができず繊維としての機能、性能
低下が避けられない。また、混合樹脂の通過部や紡糸
部、ディスクに残留した混合樹脂は短時間でゲル化し、
更に硬化するため、長時間の連続運転ができず、頻繁に
部品の交換、洗浄が必要となり工程が煩雑で作業性が悪
い欠点を有する。更にまた、大量生産する場合にはディ
スクの直径を大きくする必要があるが、直径の増大には
材質に起因する物理的な制限があり、生産性にも限度が
あるという欠点を有する。
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の如く
従来の実情に鑑み開発されたものであり、その目的とす
るところは高度な耐熱性、難燃性、耐薬品性を有し、優
れて良好な紡績性を具有することから織物、フェルトな
どへの機能性付与のための加工が可能な高性能のフェノ
ール樹脂繊維を提供するとともに、人体への毒性の悪影
響や火災の危険性、環境汚染の問題がなく、工程上の煩
雑さもない良好な作業性を有し、しかも、低コストで生
産性良く製造できる上記高性能のフェノール樹脂繊維の
製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】本発明は、従来知られて
いる液状のレゾール型フェノール樹脂を原料とするもの
ではなく、本来架橋反応の遅い常温で固形状のレゾール
型フェノール樹脂を原料として、これを熱溶融させ、紡
糸ノズルより、加熱空気流の牽引力により繊維化を行う
ものである。この紡糸方法はいわゆるメルトブローン法
と呼ばれる方法であり、従来熱可塑性樹脂の紡糸方法と
しては既に公知のものである。しかしながら、本発明の
如く熱硬化性樹脂をメルトブローン法により長時間にわ
たって紡糸する方法は知られていない。本発明者らは、
熱硬化性である常温で固形状のレゾール型フェノール樹
脂をメルトブローン法により紡糸すべく鋭意検討した結
果、塩基性触媒の存在下にフェノール類とアルデヒド類
とを反応させて得られる常温で固形状のレゾール型フェ
ノール樹脂を熱溶融させ紡糸ノズルより加熱空気流の牽
引力により繊維化した後、加熱して不溶不融化する方法
が、人体への毒性の悪影響や火災の危険性、環境汚染の
問題がなく、工程上の煩雑さもない良好な作業性を有
し、長時間安定して紡糸でき、更に得られる繊維が高度
な耐熱性、難燃性、耐薬品性を有し、織物、フェルトな
どへの機能性付与のための加工が容易な高性能のフェノ
ール樹脂繊維となることを見出し本発明に到達した。即
ち、本発明は、塩基性触媒の存在下にフェノール類とア
ルデヒド類とを反応させて得られる常温で固形状のレゾ
ール型フェノール樹脂を熱溶融させ紡糸ノズルより加熱
空気流の牽引力により繊維化した後、加熱し不溶不融化
して得られたものであることを特徴とする新規なフェノ
ール樹脂繊維及びその製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記固形状のレゾール型フェノール樹
脂のJIS K−6910.4.6に規定される方法に
よる融点が35℃乃至80℃であり、且つJIS K−
6910.4.8に規定される方法による150℃にお
けるゲル化時間が30秒以上であることを特徴とし、更
にまた不溶不融化のための加熱が該固形状のレゾール型
フェノール樹脂のJIS K−6910.4.6に規定
される方法による融点より10℃高い温度以下で開始さ
れることを特徴とするものであり、高度な耐熱性、難燃
性、耐薬品性を有し、織物、フェルトなどへの機能性付
与のための加工が容易な高性能のフェノール樹脂繊維及
びその製造方法を提供するものである。以下、本発明を
更に詳細に説明する。本発明の常温で固形状のレゾール
型フェノール樹脂を得るために使用されるフェノール類
としては、例えばフェノール、o−クレゾール、m−ク
レゾール、p−クレゾール、ビスフェノールA、2,3
−キシレノール、3,5−キシレノール、p−ターシャ
リブチルフェノール、p−フェニルフェノール、p−オ
クチルフェノール、レゾルシノールなどがあるが、アル
デヒド類と塩基性触媒下で反応させて熱硬化性の樹脂が
得られるフェノール類であれば単独でも混合物でも良
く、特に限定されない。また、アルデヒド類としては、
例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、クロ
トンアルデヒド、トリオキサン、フルフラール及びこれ
らの混合物などが挙げられる。また、本発明の固形状レ
ゾール型フェノール樹脂を得るために使用される塩基性
触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムの
ようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物や
水酸化アンモニウム、ジエチルアミン、トリエチルアミ
ン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサ
メチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミンのような
アミン類などが挙げられる。ホルマリンを代表とする前
記アルデヒド類(F)とフェノール類(P)とのモル比
(以下F/Pと略記する)は1.1:1乃至2.8:1
が望ましい。F/Pが1.1:1未満だと、得られる固
形状のレゾール型フェノール樹脂の硬化速度が著しく遅
くなり、紡糸後の不溶不融化に時間を要し生産性の低下
を招き、F/Pが2.8:1を越えると、得られる樹脂
のゲル化時間が短くなり、紡糸の連続運転が不可能とな
り、これも生産性を低下させる。前記塩基性触媒の使用
量、反応温度、反応時間は、特に制限はなく、得られる
固形状のレゾール型フェノール樹脂のJIS K−69
10.4.6に規定される方法による融点が35℃乃至
80℃で、且つ、JIS K−6910.4.8に規定
される方法による150℃におけるゲル化時間が30秒
以上に調製できれば良い。融点が35℃未満だと、紡糸
ノズルから加熱空気流の牽引力により繊維化した後、加
熱して不溶不融化する工程において融着が生じ、繊維形
状が保持できなくなり、織物、フェルトなどへの加工が
困難になる。また、融点が80℃を越えると、完全溶融
させるのに時間がかかり、従って熱溶融させて紡糸ノズ
ルに導く間の時間も長時間を要し、紡糸原料の熱変化が
さけられなくなる。これにより、連続紡糸が困難になり
好ましくない。また、前記ゲル化時間が30秒未満だ
と、熱溶融させて紡糸ノズルに導く間に硬化反応が進行
し、紡糸の連続運転が困難になる。次に、以上のように
して調製された紡糸原料を、例えば単軸または2軸押し
出し機により搬送、溶融させギアポンプで計量した後、
直径0.15乃至0.5mmの口金から吐出させ、口金
の周囲に設けたスリットからの加熱された空気流により
牽引して繊維化する。当該口金の直径は、得られる繊維
の直径に影響するため、繊維用途を考慮して選択され
る。また、吐出量も、繊維直径に影響するが、0.05
g/min・Hole乃至2.0g/min・Hole
の範囲が良い。0.05g/min・Hole未満だ
と、生産性が低下し、2.0g/min・Holeを越
えると、繊維の直径が太くなりすぎて織物やフェルトへ
の加工ができなくなる。口金の断面形状は円形以外のも
のを用いてもさしつかえない。また、加熱空気流の流量
は2Nリットル/min・Hole乃至50Nリットル
/min・Holeが好ましい。2Nリットル/min
・Hole未満だと、繊維直径が太くなりすぎ前記した
と同様に、織物やフェルト加工が困難になり、50Nリ
ットル/min・Holeを越えると、膨大な量の加熱
空気が必要になり、結果としてコスト高の繊維となる。
口金の周囲に設けるスリットの形状やスリットの幅は特
に限定されるものではなく、空気流の流速と流量を適宜
調整できれば良い。加熱空気の流量は最も繊維直径に影
響する因子であるので、この制御は重要である。以上の
ようにして得られた繊維は不溶不融化のための加熱処理
が行われる。処理条件は紡糸原料である常温で固形状の
レゾール型フェノール樹脂の融点より10℃高い温度以
下に設定した加熱炉で開始される。加熱処理は一定温度
で行っても良いが、不溶不融化の速度を考慮して段階的
或いは指数関数的に温度を上昇させても良い。加熱処理
温度が高いほど不溶不融化の速度は速くなるが繊維の軟
化による繊維同士の融着も同時に進行する。不溶不融化
反応が進行するに従い融点が上昇するが、この上昇する
融点の前後の温度に加熱処理温度を制御することにより
効率の良い短時間の不溶不融化が可能になり、エネルギ
ーが少なくて済み、低コストの繊維が得られる。加熱処
理の開始温度を紡糸原料である常温で固形状のレゾール
型フェノール樹脂の融点より10℃高い温度を越えて高
く設定すると、得られる繊維に融着が生じやすく織物や
フェルト等への機能性付与のための加工が困難な繊維と
なってしまう。本発明の製造方法によれば、以上の工程
が連続的に長時間運転でき、且つ、媒体や溶剤なども使
用しないため、人体への毒性の悪影響や火災の危険性、
環境汚染の問題がなく、工程上の煩雑さもない良好な作
業性を有し、しかも、低コストで生産性良く新規なフェ
ノール樹脂繊維を製造することができる。そして、この
ような本発明の製造方法により得られた新規なフェノー
ル樹脂繊維は、高度な耐熱性、難燃性、耐薬品性を有
し、織物、フェルト等への機能性付与のための加工が容
易な高性能のフェノール樹脂繊維である。
【実施例】以下に本発明の実施態様を実施例により説明
する。なお、以下、特に断りのない場合、%は重量によ
り、融点はJIS K−6910.4.6に規定される
方法により、150℃におけるゲル化時間はJIS K
−6910.4.8に規定される方法による。 [実施例1]フェノール40kg、50%ホルマリン4
4kgを反応容器に仕込み、25%アンモニア水7.4
kgを加えて60℃にて3時間反応させた後、80mm
Hgの減圧下にて反応混合物内温が80℃に上昇するま
で脱水濃縮反応を行い、更にそのまま80℃、80mm
Hg下に保持して融点58℃、150℃におけるゲル化
時間が120秒の常温で固形状のレゾール型フェノール
樹脂を得た。これを粗粉砕した紡糸原料を単軸押し出し
機により搬送、溶融させギアポンプで計量した後、0.
2mmφ、ホール数100の口金から吐出量0.4g/
min・Holeで吐出させ、110℃の加熱空気流を
30Nリットル/min・Hole の流量で幅0.3
mmのスリットより流して繊維化した。3時間連続して
紡糸した後も安定した一定形状の繊維が得られた。この
繊維を紡糸装置に連続した加熱炉に導き加熱開始温度を
60℃とし、最初の1時間で65℃まで上昇させ、次の
1時間で75℃とし、更に1時間かけて95℃まで上昇
させ、その後の1時間で150℃まで連続処理して平均
繊維径18μmの不溶不融のフェノール樹脂繊維を得
た。 [実施例2]フェノール60kg、50%ホルマリン5
8kg、ヘキサメチレンテトラミン5kg、25%アン
モニア水3kg、水酸化カルシウム0.5kgを反応容
器に仕込み60℃にて2時間半反応させた後、10mm
Hgの減圧下にて反応混合物内温が90℃に上昇するま
で脱水濃縮反応を行い融点62℃、150℃におけるゲ
ル化時間が90秒の常温で固形状のレゾール型フェノー
ル樹脂を得た。これを粗粉砕し、2軸押し出し機により
搬送、溶融させ、0.2 mmφ、ホール数100の口
金から吐出量0.5g/min・Holeで吐出させ、
120℃の加熱空気流を30Nリットル/min・Ho
leの流量で幅0.3mmのスリットより流して繊維化
した。3時間連続して紡糸した後も安定した一定形状の
繊維が得られた。この繊維を紡糸装置に連続した加熱炉
に導き加熱開始温度を70℃とし最初の1時間で74℃
まで、次の1時間で82℃まで、更に1時間かけて15
0℃まで連続処理して平均繊維径20μmの不溶不融の
フェノール樹脂繊維を得た。 [実施例3]p−ターシャリブチルフェノール10k
g、フェノール50kg、50%ホルマリン36kg、
ヘキサメチレンテトラミン5kg、25%アンモニア水
3kg、水酸化カルシウム0.5kgを反応容器に仕込
み60℃にて3時間反応させた後、10mmHgの減圧
下にて反応混合物内温が80℃に上昇するまで脱水濃縮
反応を行った。更にそのまま80℃、10mmHgの減
圧下に保持して融点70℃、150℃におけるゲル化時
間が110秒の常温で固形状のレゾール型フェノール樹
脂を得た。これを粗粉砕し、単軸押し出し機により搬
送、溶融させギアポンプで計量した後、0.2mmφ、
ホール数100の口金から吐出量0.4g/min・H
oleで吐出させ、120℃の加熱空気流を30Nリッ
トル/min・Holeの流量で幅0.3mmのスリッ
トより流して繊維化した。3時間連続して紡糸した後も
安定した一定形状の繊維が得られた。この繊維を紡糸装
置に連続した加熱炉に導き加熱開始温度を68℃とし最
初の2時間で73℃まで、次の2時間で85℃まで、更
に1時間で150℃まで連続処理して平均繊維径20μ
mの不溶不融のフェノール樹脂繊維を得た。 [実施例4]フェノール40kg、50%ホルマリン4
4kg、25%アンモニア水7.4kgを反応容器に仕
込み、60℃にて3時間反応させた後、80mmHgの
減圧下にて反応混合物内温が80℃になるまで脱水濃縮
を行い、更にそのまま80℃、80mmHgの減圧下に
保持して融点42℃、150℃におけるゲル化時間が1
62秒の常温で固形状のレゾール型フェノール樹脂を得
た。これを粗粉砕し、単軸押し出し機により搬送、溶融
させ、ギアポンプで計量した後、0.2 mmφ、ホー
ル数100の口金から吐出量0.5g/min・Hol
eで吐出させ、110℃の加熱空気流を30Nリットル
/min・Holeの流量で幅0.3mmのスリットよ
り流して繊維化した。3時間連続して紡糸した後も安定
した一定形状の繊維が得られた。この繊維を加熱炉に入
れ、室温より加熱を開始して、42℃から50℃まで3
時間、50℃から70℃まで4時間、70℃から150
℃まで4時間かけて処理し平均繊維径23μmの不溶不
融のフェノール樹脂繊維を得た。 [比較例1]フェノール40kg、50%ホルマリン4
4kgを反応容器に仕込み、25%アンモニア水7.4
kgを加えて60℃にて3時間反応させた後、80mm
Hgの減圧下にて反応混合物内温が80℃に上昇するま
で脱水濃縮反応を行い、更にそのまま80℃、80mm
Hg下に保持して融点33℃、150℃におけるゲル化
時間が170秒の常温で固形状のレゾール型フェノール
樹脂を得た。この紡糸原料を単軸押し出し機により搬
送、溶融させギアポンプで計量した後、0.2mmφ、
ホール数100の口金から吐出量0.4g/min・H
oleで吐出させ、110℃の加熱空気流を30Nリッ
トル/min・Holeの流量で幅0.3mmのスリッ
トより流して繊維化した。3時間連続して紡糸したが紡
出された繊維は融着部分の多いものであった。これを加
熱炉に入れ最初の1時間で35℃まで、次の2時間で3
8℃、更に2時間で45℃、更に10時間かけて150
℃まで、長時間かけて徐々に昇温したが融着し、繊維形
状が保持できなかった。 [比較例2]フェノール60kg、50%ホルマリン5
8kg、ヘキサメチレンテトラミン5kg、25%アン
モニア水3kg、水酸化カルシウム0.5kgを反応容
器に仕込み60℃にて2時間半反応させた後、10mm
Hgの減圧下にて反応混合物内温が80℃に上昇するま
で脱水濃縮反応を行い融点56℃、150℃におけるゲ
ル化時間が15秒の常温で固形状のレゾール型フェノー
ル樹脂を得た。これを粗粉砕し、2軸押し出し機により
搬送、溶融させ、0.2 mmφ、ホール数100の口
金から 0.5g/min・Holeで吐出させ、12
0℃の加熱空気流を30Nリットル/min・Hole
の流量で幅0.3mmのスリットより流して繊維化し
た。3時間連続して紡糸した後も安定した一定形状の繊
維が得られたが、この繊維を紡糸装置に連続した加熱炉
に導き加熱開始温度を67℃とし最初の1時間で72
℃、次の1時間で82℃、更に2時間かけて150℃ま
で処理したところ融着し繊維形状が保持できず、紡績が
不可能なことから、織物、フェルト等への加工のできな
いものになった。 [比較例3]フェノール60kg、50%ホルマリン5
8kg、ヘキサメチレンテトラミン5kg、25%アン
モニア水3kg、水酸化カルシウム0.5kgを反応容
器に仕込み60℃にて2時間半反応させた後、10mm
Hgの減圧下にて反応混合物内温を90℃に上昇させる
脱水濃縮反応を行うところまでは前述した実施例2に示
したと同じ反応を行い、その後90℃、10mmHg下
に保持して融点82℃、150℃におけるゲル化時間が
27秒の常温で固形状のレゾール型フェノール樹脂を得
た。これを粗粉砕し、2軸押し出し機により搬送、溶融
させ、0.2mmφ、ホール数100の口金から吐出さ
せ、繊維化を試みたが安定した紡糸はできなかった。下
記表1に、本発明の前記実施例1乃至4により得られた
フェノール樹脂繊維の耐熱性、難燃性、耐薬品性、紡績
性の結果を、前記比較例1乃至3と併示した。なお、耐
熱性は、空気中において1分間に20℃の速度で昇温し
た時の熱減量開始温度(℃)、難燃性は限界酸素指数
(LOI)、耐薬品性は25℃、18%塩酸中に24時
間つけた後の強度保持率(%)、紡績性はテストカード
機による外観で評価した。紡績性が良好なものは、織
物、フェルト等への加工が容易となる。表1から明らか
なように、本発明の前記実施例1乃至4により得られた
フェノール樹脂繊維は、各比較例のものと対比するに、
高度な耐熱性を有し、特に優れた難燃性及び耐薬品性を
有するとともに、優れて良好な紡績性を具有することか
ら、織物、フェルト等への機能性付与のための加工が容
易であることがわかる。
【表1】 表1中※は不適当で測定することができないものを示
し、紡績性における※は繊維形状が保持されていない
か、或いは不適当で測定することができないものを示
す。更に、表1中の紡績性における○は紡績性が良好で
あるもの、△は融着し繊維形状が保持できず紡績が不可
能なもの、×は紡出された繊維の融着部分が多く繊維形
状が保持できないものを示す。
【発明の効果】以上詳述した本発明によれば、高度な耐
熱性、難燃性、耐薬品性を有し、優れて良好な紡績性を
具有することから織物、フェルト等への機能性付与のた
めの加工が容易な高性能のフェノール樹脂繊維を提供す
ることができるとともに、人体への毒性や火災の危険
性、環境汚染の問題がなく、工程上の煩雑さもない良好
な作業性を有し、低コストで生産性の良い上記高性能の
フェノール樹脂繊維の製造方法を提供することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿久澤 歌織 群馬県高崎市宿大類町700番地 群栄化 学工業株式会社内 (72)発明者 飯塚 登志 群馬県高崎市宿大類町700番地 群栄化 学工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−186909(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 6/76

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩基性触媒の存在下にフェノール類とアル
    デヒド類とを反応させて得られる常温で固形状のレゾー
    ル型フェノール樹脂を熱溶融させ紡糸ノズルより加熱空
    気流の牽引力により繊維化した後、加熱して不溶不融化
    することを特徴とするフェノール樹脂繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】前記固形状のレゾール型フェノール樹脂の
    JIS K−6910.4.6に規定される方法による
    融点が35℃乃至80℃で、且つJIS K−691
    0.4.8に規定される方法による150℃におけるゲ
    ル化時間が30秒以上であることを特徴とする請求項1
    に記載のフェノール樹脂繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】前記不溶不融化のための加熱が前記固形状
    のレゾール型フェノール樹脂のJIS K−6910.
    4.6に規定される方法による融点より10℃高い温度
    以下で開始されることを特徴とする請求項1又は2のい
    ずれか1項記載のフェノール樹脂繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】塩基性触媒の存在下にフェノール類とアル
    デヒド類とを反応させて得られる常温で固形状のレゾー
    ル型フェノール樹脂を熱溶融させ紡糸ノズルより加熱空
    気流の牽引力により繊維化した後、加熱し不溶不融化し
    て得られることを特徴とするフェノール樹脂繊維。
  5. 【請求項5】前記固形状のレゾール型フェノール樹脂の
    JIS K−6910.4.6に規定される方法による
    融点が35℃乃至80℃で、且つJIS K−691
    0.4.8に規定される方法による150℃におけるゲ
    ル化時間が30秒以上であることを特徴とする請求項4
    に記載のフェノール樹脂繊維。
  6. 【請求項6】前記不溶不融化のための加熱が前記固形状
    のレゾール型フェノール樹脂のJIS K−6910.
    4.6に規定される方法による融点より10℃高い温度
    以下で開始されることを特徴とする請求項4又は5のい
    ずれか1項記載のフェノール樹脂繊維。
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