JP3334970B2 - 生産進捗管理支援方法及び装置 - Google Patents

生産進捗管理支援方法及び装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は生産スケジューリング問
題に係わり、特に、実績に応じた生産計画を漸次立案し
ていくのに適した生産進捗管理支援装置に関するもので
ある。
【０００２】
【従来の技術】（１）従来の生産進捗管理支援装置で
は、実績データを読み込み、実績に沿って計画データを
変更し、データの変更されたロットを計画時と同様のア
ルゴリズムで割り付けて行くものであった。
【０００３】（２）特開昭６３−２４４４３号公報に示
す従来技術は、事象（本発明のロットに相当）の開始時
刻と終了時刻を関係式を用いてネットワークで表現し、
各事象と関係のある他の事象の開始時刻または終了時刻
を次々に求めて行くものであった。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】生産進捗管理は一般
に、一度立てた計画に置くロットの定性的な位置関係を
できる限り変更せずに、一度置いたロットをずらすだけ
で、進捗の遅れを吸収することができるかどうかを判断
することが重要である。また、一つのロット生産に複数
の生産資源を使用する場合には、一つに生産資源におか
れたロットの進捗が遅れると、対応するその他の生産資
源のロットも遅れるという波及効果が発生した場合で
も、それぞれの生産資源においてロットの時間的な矛盾
が発生しないように管理する必要がある。そのために
は、すべての生産資源において一度置いたロット間の時
間間隔（空き時間）が進捗の遅れによりどれくらい短く
なるか、また他の生産資源にあるロットが遅れることに
より、それに対応する別の生産資源のロット間の時間間
隔を管理する必要がある。また、進捗の遅れによってロ
ット間の時間が０以下になった時の後続のロット時刻を
変更する機能も必要である。しかしながら上記の従来の
技術ではそれぞれ次の様な問題点があった。 (1) に示す従来技術では、それぞれのロットの時間デー
タが数値で表現されており、データ間の関係が明示され
ていないため、ロットの順序及び各ロットで使用するロ
ットで使用する生産設備を実績加味前後で変わらないよ
うにするには多数のロットの時間データを変更する必要
があるので、効率が悪いという問題点を有していた。 (2) の特開昭63−24443号公報に示す従来技術では、開
始時刻と終了時刻を関係式を用いてネットワークで表現
しているが、実際の長期にわたる生産スケジュールでは
ネットワークで表現できる部分が複数存在し、個々のネ
ットワークには適応できても進捗の遅れによって一つの
ネットワークが後続の複数のネットワークと接触した場
合にはその矛盾を解消する手段が欠けているので対応で
きない。また、一つのロットが一つの生産資源を使用す
る場合には良いが、一つのロットが複数の生産資源を使
用する場合には一つのロットの進捗の遅れが複数の生産
資源のロットに影響するので、すべての生産資源のすべ
てのロットについて、一つのロットの遅延を矛盾なく伝
播させる手段が必要であり、そのためにはすべての生産
資源の各ロット間の空き時間を矛盾なく管理する手段
と、空き時間が０以下になったときに後続のロット時刻
を変更する手段が欠けているので対処できないという問
題があった。
【０００５】本発明は、上記従来の問題点を解決するも
ので、実績加味前後でロットの順序と使用設備が変わら
ない再計画を効率よく求めることを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、生産対象物とその生産に関する時間データ
とにより特定される生産単位であるロットに関する処理
を行うための生産スケジューリングを管理する装置であ
って、あるロットの生産対象物の製造に複数の設備を必
要とする場合には、前記複数の設備は全て、前記ロット
を同じスケジュールで実行することを維持するものであ
り、ロットの時間データには、生産開始時刻と生産時間
と生産終了時刻とがあり、時間データが異なる複数のロ
ットを処理する設備である同一設備に割り当てられたロ
ットの空き時間情報として、先行するロットの生産終了
時刻と後続するロットの生産開始時刻との対と、前記終
了時刻と前記開始時刻との時間差（０以上）と、を前記
複数の設備全てに関して記憶する空き時間テーブル記憶
手段と、時間データの変更が生じた場合、前記時間デー
タの変更に基づく同一設備に割り当てられたロットの重
複を前記空き時間テーブルに基づき検索し、ロットをス
ライドさせる処理を前記複数の設備全ての空き時間情報
の時間差が０以上となるように空き時間テーブルを維持
する影響伝播手段とを備えた構成となっている。
【０００７】
【作用】上記構成により、時間データの変更が生じた場
合、空き時間テーブルを検索することにより同一設備に
割り当てられたロットの重複を検出し、ロットをスライ
ドさせる処理を前記複数の設備全ての空き時間情報の時
間差が０以上となるように空き時間テーブルを維持する
ことにより効率よく生産計画データの更新を可能とし、
以前の計画と設備変動のない再計画を実現することが出
来る。
【０００８】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を用い
て説明する。図１は本発明の一実施例における生産進捗
管理支援装置の構成を示す概念図である。図１におい
て、１４は計画データを格納する記憶領域１、１５は記
憶領域１に格納された計画データに対する実績データを
格納する記憶領域２、１６は同一設備に割り当てられた
ロット間の空き時間情報である空き時間テーブルを格納
する記憶領域３、１３は計画データと実績データとを照
合することにより時間データの変更を伝播し計画データ
の更新を行う影響伝播処理装置、１２は計画データ等を
表示する表示画面、１１はユーザが命令を入力するコマ
ンド画面である。
【０００９】以上のように構成された生産進捗管理支援
装置について、図２に示す計画を例としてその動作を説
明する。図２は各ロットの生産にＡとＢの２種類の設備
がそれぞれ一つずつ同時に必要となる生産計画を示すも
のである。またこれは図１における表示画面１２に表示
される画面の一例でもある。
【００１０】設備Ａ１ではＬｏｔ２とＬｏｔ３とＬｏｔ
４の生産が計画されており、設備Ａ２ではＬｏｔ５とＬ
ｏｔ６の生産が各々のロット順で計画されている。また
設備Ｂ１ではＬｏｔ５とＬｏｔ２とＬｏｔ４が、設備Ｂ
２ではＬｏｔ６とＬｏｔ３が各々のロット順で計画され
ている。
【００１１】図３は、記憶領域１に格納された図２に対
応する計画データを示したものである。図３において３
０１は、Ｌｏｔ２の計画データであり、第１行目は設備
Ａ１とＢ１を同時に使用することを示している。また、
第２行目は生産開始予定時刻であり、ここではポインタ
Lot2-Plan-startに数値”１２：３０”が割り当てられ
た形で指定されている。
【００１２】第３行目は終了予定時刻であり、"+start
seisan-jikan "とは、生産が実際に開始された時間に第
４行目で示す生産時間を加えた値を示すポインタであ
り、予定終了時刻はポインタLot2-Plan-endの値にポイ
ンタ"+start seisan-jikan "を割り当てた形で指定され
ている。第４行目は生産に必要な時間であり、ポインタ
seisan-jikanに数値”０：３０”が与えられている。
【００１３】Ｌｏｔ３の生産開始予定時間”Lot2ーPlan-
end”とは、Ｌｏｔ２の予定終了時刻を指すポインタで
あり、Ｌｏｔ３はＬｏｔ２の終了と同時に生産が開始さ
れることを示している。
【００１４】このように、ポインタを用いることによ
り、Ｌｏｔ間の連接関係を記述することができ、連接関
係にあるＬｏｔの時間データの変更はポインタを介して
連接するすべてのＬｏｔに伝播されるので、計画データ
の修正を容易に行うことができる。
【００１５】図４は図２、図３の生産計画に対応する空
き時間テーブルであり、図１の記憶領域３に格納され
る。各レコードは機械の空き時間を示すロット対で構成
される。図４（ａ）は、図２に示す空き時間ｔ１，ｔ
２，ｔ３と設備、各空き時間の開始と終了の関係をポイ
ンタで示したものであり、図４（ｂ）は、各ポインタに
予定時刻を代入した時の空き時間関係を示したものであ
る。空き時間テーブルのレコードの順序は任意に並べ替
えてもかまわない。
【００１６】ここで、Ｌｏｔ５の生産が４５分間遅れた
場合について、図１の影響伝播処理装置１３の動作、及
び変更データの伝播について説明する。図５、図６は影
響伝播処理装置１３の動作を示すフローチャートであ
る。
【００１７】まず、影響伝播処理装置１３は実績データ
を記憶領域３に読み込む、そして記憶領域１に格納され
た図３に示す計画データと照合し、計画データの計画値
を実績値で置き換える。即ち、計画値が数値であれば数
値を実績値に変更し、ポインタであればポインタの値を
実績値に変更する（ステップ５１）。
【００１８】この処理により、記憶領域２に格納された
空き時間テーブルにも変更データは伝播される。即ち、
図３に示すＬｏｔ５の開始予定時刻”Lot5-Plan-start
（"11:00”)が、 ”Lot5-Plan-start（"11:45”)に変
わることにより、Lot5の終了時刻、および、Lot５の終
了時刻を生産開始予定時刻としていたLot６の計画が変
更され、図４（ｂ）の空き時間テーブルは図７（ａ）の
ように変更される。図７（ａ）は設備Ｂ１と設備Ｂ２に
割り当てられたロットに重複が生じたことを示してい
る。
【００１９】次に、影響伝播処理装置１３は記憶領域２
に格納されているこの図７（ａ）に示す空き時間テーブ
ルのデータを変更することにより、同一設備に割り当て
られたロットの重複解消処理を行う（ステップ５２）。
図６は重複解消処理のフローチャートである。
【００２０】まず、空き時間テーブルの最初のレコード
を処理対象としデータ修正の有無を示すための判定フラ
グを正にする（ステップ６１）。次に第２項の開始時刻
から第１項の終了時刻を引算し、結果の正負を判定する
（ステップ６２）。正の場合はステップ６４に移り、負
の場合、即ち、重複する場合は第２項の開始時刻に重複
時間を加算し、データ修正の有無を示す判定フラグを負
にする。この重複時間の加算は、図５ステップ５１で説
明した同様の原理により、関連するＬｏｔのデータに伝
播される。判定フラグは、この伝播により変更したレコ
ード以外のレコードが変更される可能性のあることを示
すものである。
【００２１】この処理を全てのレコードに対しておこな
う（ステップ６４、６５）。そして、一通り終わった段
階で、データの修正があったどうかを判定フラグにより
判定し（ステップ６６）、データの修正があった場合、
他のレコードが書き換えられているおそれがあるので、
ステップ６１から処理を繰り返す。
【００２２】図７（ｂ）（ｃ）（ｄ）は、この処理経過
における空き時間テーブルの状態遷移を示したものであ
る。
【００２３】最終的に計画データは図８のように更新さ
れる。また、表示画面１２には図８に対応した図９が表
示される。結果として４５分の遅れに対し、トータルで
２０分の遅れで同じ設備で同じ順序での計画変更がおこ
なわれたことになる。
【００２４】以上のように、本実施例によればポインタ
を介してデータの修正を伝播するため、効率のよい生産
計画の更新が可能である。
【００２５】
【発明の効果】以上のように本発明は、空き時間テーブ
ルを用いて一度置いたロット間の時間間隔（空き時間）
が進捗の遅れによってどれくらい短くなるかを管理する
ことができ、進捗の遅れによってロット間の時間が０以
下になったとき後続のロット時刻をスライドさせること
ができる。これにより、ロットが複数の生産資源を用い
ている場合に、一つのロットで発生する進捗の遅れが複
数の生産資源のスケジュールに影響を与える場合でも、
また時間間隔で表現されたロットのネットワークが進捗
の遅れにより、後続する複数のネットワークと衝突した
場合でも、矛盾なくすべての生産資源に置かれたロット
をスライドさせることができる。実績加味前後ですべて
の生産資源においてロット順序とロット使用設備を同じ
とする再計画を効率よく求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施例における生産進捗管理支援装
置の構成を示した概念図
【図２】本発明の一実施例における初期計画データ表示
図
【図３】本発明の一実施例における初期計画データ図
【図４】本発明の一実施例における初期計画データの空
き時間を示した概念図
【図５】本発明の一実施例における影響伝播処理装置の
全体処理を示すフローチャート
【図６】本発明の一実施例における影響伝播処理装置の
重複解消処理を示すフローチャート
【図７】本発明の一実施例における空き時間データの遷
移図
【図８】本発明の一実施例における更新計画データ図
【図９】本発明の一実施例における更新計画データ表示
図
【符号の説明】
１１ コマンド画面 １２ 表示画面 １３ 影響伝播処理装置 １４ 記憶領域１ １５ 記憶領域２ １６ 記憶領域３

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】生産対象物とその生産に関する時間データ
    とにより特定される生産単位であるロットに関する処理
    を行うための生産スケジューリングを管理する方法であ
    って、 あるロットの生産対象物の製造に複数の設備を必要とす
    る場合には、前記複数の設備は全て、前記ロットを同じ
    スケジュールで実行することを維持するものであり、 ロットの時間データには、生産開始時刻と生産時間と生
    産終了時刻とがあり、 時間データが異なる複数のロットを処理する設備である
    同一設備に割り当てられたロットの空き時間情報とし
    て、先行するロットの生産終了時刻と後続するロットの
    生産開始時刻との対と、前記終了時刻と前記開始時刻と
    の時間差（０以上）と、を前記複数の設備全てに関して
    保持する空き時間テーブルを備え、時間データの変更が生じた場合、 前記時間データの変更に基づく同一設備に割り当てられ
    たロットの重複を前記空き時間テーブルに基づき検索
    し、ロットをスライドさせる処理を前記複数の設備全て
    の空き時間情報の時間差が０以上になるまで繰り返すこ
    とを特徴とする生産進捗管理支援方法。
  2. 【請求項２】生産対象物とその生産に関する時間データ
    とにより特定される生産単位であるロットに関する処理
    を行うための生産スケジューリングを管理する装置であ
    って、 あるロットの生産対象物の製造に複数の設備を必要とす
    る場合には、前記複数の設備は全て、前記ロットを同じ
    スケジュールで実行することを維持するものであり、 ロットの時間データには、生産開始時刻と生産時間と生
    産終了時刻とがあり、 時間データが異なる複数のロットを処理する設備である
    同一設備に割り当てられたロットの空き時間情報とし
    て、先行するロットの生産終了時刻と後続するロットの
    生産開始時刻との対と、前記終了時刻と前記開始時刻と
    の時間差（０以上 ）と、を前記複数の設備全てに関して
    記憶する空き時間テーブル記憶手段と、 時間データの変更が生じた場合、前記時間データの変更
    に基づく 同一設備に割り当てられたロットの重複を前記
    空き時間テーブルに基づき検索し、ロットをスライドさ
    せる処理を前記複数の設備全ての空き時間情報の時間差
    が０以上となるように空き時間テーブルを維持する影響
    伝播手段と、を備えた生産進捗管理支援装置。
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