JP3329292B2 - 無段変速機におけるプーリのかしめ装置およびかしめ構造ならびにかしめ方法 - Google Patents

無段変速機におけるプーリのかしめ装置およびかしめ構造ならびにかしめ方法

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    • B21KMAKING FORGED OR PRESSED METAL PRODUCTS, e.g. HORSE-SHOES, RIVETS, BOLTS OR WHEELS
    • B21K25/00Uniting components to form integral members, e.g. turbine wheels and shafts, caulks with inserts, with or without shaping of the components

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は無段変速機におけ
るプーリに関し、特にそのシーブとその背面側に取り付
けられ円筒状部材とを結合するためのかしめ装置および
かしめ構造ならびにかしめ方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ベルト式の無段変速機は、駆動側のプー
リと従動側のプーリとの巻き掛け半径を連続的に変化さ
せることにより、変速比を無段階に変更するように構成
されている。したがって各プーリは、軸線方向に移動可
能な可動シーブと軸線方向に対して固定した固定シーブ
とによって構成され、これらのシーブの間に形成される
V溝にベルトを巻き掛けるようになっている。
【0003】この種の無段変速機におけるプライマリー
プーリの一例を説明すると、図8において、ここに示す
プライマリープーリは固定シーブ1と可動シーブ2を備
えており、その固定シーブ1の円錐状ベルト接触面11
と可動シーブ2の円錐状ベルト接触面12との間に形成
されたV字状のベルト溝13に無端ベルト14が巻き掛
けられる。
【0004】トルクが入出力される軸3が固定シーブ1
に一体に形成されており、この軸3に可動シーブ2の軸
4が嵌合されている。これらの軸3,4の間には、両者
の軸線方向への相対移動を可能にし、かつ回転方向には
一体化するボールスプライン17が設けられている。
【0005】可動シーブ2は油圧によって軸線方向に移
動するように構成されており、そのために可動シーブ2
の背面側の外周部に、シリンダ5の円筒状の端部がかし
め結合されている。また、このシリンダ5の円筒状内周
面に固定ピストン6の外周側の端部がシール材7を介し
て液密状態に摺動自在に嵌合し、そのピストン6の内周
側の端部が前記軸3の外周面に液密状態で嵌合固定され
ている。したがって、可動シーブ2の背面と軸4の外周
面とピストン5の内周面と軸3の外周面とによって油室
8が区画形成されている。さらに、可動シーブ2の背面
とピストン6の内面との間にコイルスプリング9が圧縮
状態で配置され、このコイルスプリング9の弾発力によ
って可動シーブ2が固定シーブ1側に押されている。
【0006】前記油室8に対して圧油を給排するための
油路18,19および油路15,16が、軸3および軸
4を貫通して形成されており、これらの油路18,1
9,15,16を介して油室8に油圧を加えることによ
り可動シーブ2が固定シーブ1側に移動してベルト溝1
3の幅が減少してベルト14の巻き掛け半径が増大し、
また反対にこれらの油路18,19,15,16を介し
て油室8から排圧することにより、ベルト14の張力に
よって可動シーブ2が固定シーブ1から離れる方向に押
され、その結果、ベルト溝13の幅が増大してベルト1
4の巻き掛け半径が減少するように構成されている。な
お、油室8に対する油圧の給排は、アクセル開度や走行
状態に基づいた変速信号によって制御される。
【0007】このように可動シーブ2には、その背面側
に油圧を作用させるためにシリンダ5が一体化されてい
る。これら可動シーブ2とシリンダ5との結合構造とし
て、従来、かしめ構造が採用されており、その一例が特
開平9−329208号公報に記載されている。この公
報に記載された構造は、かしめに伴う軸線方向力によっ
てシーブにおけるベルト接触面を正規の形状とするため
の構造であり、具体的には、図9に示すように、可動シ
ーブ2の背面25に突設された円筒状嵌合部20の外周
面21の基部に凹溝22を形成し、可動シーブ2の背面
25にシリンダ5の軸に直角で平坦な先端面23を当接
させた状態でこの円筒状先端部の外周面をかしめローラ
30の円筒状押圧面により半径方向で内側に押圧して凹
溝22内にかしめることによって結合する。そして、シ
リンダ5の先端部を凹溝22にかしめて圧入する際に、
シリンダ5および可動シーブ2に軸線方向に荷重が作用
し、その軸線方向力によって可動シーブ2をベルト接触
面側に変形させ、所期の形状とする。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のシリンダをシー
ブに結合するためのかしめ加工をおこなう場合、シリン
ダの先端部の全周を凹溝内にかしめる必要があるので、
かしめローラを回転させつつシリンダの先端部外周面に
押し付けてかしめ加工をおこなうのが一般的である。従
来では、そのかしめローラとして、凹溝の開口幅よりわ
ずか幅の狭いフランジを外周部に突設した構造のローラ
を使用し、そのフランジによってシリンダの先端部外周
面を押圧している。
【0009】したがってシリンダの先端部には、かしめ
ローラのフランジおよび凹溝によって剪断作用および曲
げ作用が生じる。その曲げは、凹溝と円筒状嵌合部との
境界をなすコーナ部(エッジ部)を支点として生じる
が、かしめローラによる加工荷重がシリンダの外周面に
垂直に作用するうえに、シリンダの剛性や弾性あるいは
材料流動に対する抵抗などよる抵抗力が生じるので、凹
溝の開口端側のエッジ部およびこれに続く内壁面に密着
した曲げあるいは材料流動を生じさせることが困難であ
る。
【0010】また、凹溝内にかしめる寸法を大きくする
ために、シリンダの先端部をシーブの背面に密着させた
状態でかしめ加工をおこなうから、シリンダ先端面とシ
ーブの背面との摺動抵抗が大きくなり、しかもシリンダ
の先端部の曲げ加工は縮みフランジ加工になるなど余肉
が生じる加工であり、それに伴ってシーブの背面をシリ
ンダの先端部が強く押圧するので、この点でも摺動抵抗
が大きくなる。その結果、シリンダの先端部を凹溝内に
充分にかしめることが困難である。
【0011】このように従来では、シリンダの先端部を
凹溝内に充分に入り込ませることができないために、シ
リンダ先端部の凹溝に対する係合寸法(シール長)が短
くなってしまい、しかもかしめた部分の凹溝の内壁に対
する密着力が不充分となる。結局、従来では、シーブと
シリンダとのかしめ加工による結合強度が充分に高くは
なく、その結果、シリンダによって形成されている油室
に高い油圧が作用した場合に、かしめ部分に緩みが生じ
たり、油漏れが生じたりする可能性があった。
【0012】この発明は、上記の事情を背景としてなさ
れたものであり、シーブと円筒状部材とのかしめ加工に
よる結合強度を高くすることのできるかしめ装置および
かしめ構造ならびにかしめ方法を提供することを目的と
するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目
的を達成するために、請求項1の発明は、ベルトが巻き
掛けられるシーブの背面に軸線方向に突設された円筒状
嵌合部における外周面の基部に凹溝を形成し、その円筒
状嵌合部に嵌合させた円筒状部材の先端部を前記シーブ
の背面に当接させた状態でこの円筒状部材の先端部を前
記凹溝にかしめることによってシーブと円筒状部材とを
結合する無段変速機のプーリのかしめ装置において、前
記シーブの背面に接近して配置されかつシーブの軸線と
平行な軸線を中心に回転するとともに前記円筒状部材の
先端部を半径方向の外周側から求心方向に押圧して前記
凹溝内にかしめるかしめローラを備え、そのかしめロー
ラにおける前記円筒状部材の先端外周面を押圧する外周
押圧面が、前記背面に近い部分が外径が大きく、前記背
面に遠い部分の外径が小さく設定された傾斜形状に形成
されていることを特徴とする装置である。
【0014】したがって請求項1の発明においては、シ
ーブに対して円筒状部材を係合するための加工を、円筒
状部材の先端部を凹溝内にかしめることによっておこな
い、そのためのかしめローラの外周押圧面が、シーブの
背面に近い部分の外径が大きく、かつこれとは反対側の
部分すなわちシーブの背面から遠い部分の外径が小さく
設定された形状である。このかしめローラを円筒状部材
の先端部外周面に半径方向での外側から求心方向すなわ
ち回転中心に向かう方向に押し付けると、ローラの外周
押圧面が上記のように傾斜形状とされているので、円筒
状部材の先端部には、その曲げの支点となるエッジ部に
連続する凹溝の内壁面に向けた斜め方向の加工荷重が作
用する。その結果、円筒状部材の先端部が、その曲げの
支点となるエッジ部およびこれに連続する凹溝の内壁面
に強固に密着させられる。また、その斜め方向の加工荷
重は、シーブの背面から離隔する方向に円筒状部材の先
端部を押圧する荷重であるから、円筒状部材のかしめ加
工に伴うシーブ背面との間の摺動抵抗が小さくなり、そ
の結果、凹溝の内部の深くにまで円筒状部材の先端部が
入り込んで係合した状態となる。
【0015】また、請求項2の発明は、ベルトが巻き掛
けられるシーブの背面に軸線方向に突設された円筒状嵌
合部における外周面の基部に凹溝を形成し、その円筒状
嵌合部に嵌合させた円筒状部材の先端部を前記シーブの
背面に当接させた状態でこの円筒状部材の先端部を前記
凹溝にかしめることによってシーブと円筒状部材とを結
合してなる無段変速機のプーリのかしめ構造において、
前記円筒状部材の先端部のかしめ前の形状が、外周面の
外径が、前記背面に当接する先端側で次第に減少するテ
ーパ形状であることを特徴とする構造である。
【0016】したがって請求項2の発明においては、か
しめ荷重を受ける円筒状部材の先端部の外周面が上述し
たテーパ形状をなしているから、かしめ加工の荷重は、
円筒状部材の先端部の曲げの支点となるエッジ部に連続
する凹溝の内壁面に向けた斜め方向の荷重として作用す
る。その結果、円筒状部材の先端部が、その曲げの支点
となるエッジ部およびこれに連続する凹溝の内壁面に強
固に密着させられる。また、その斜め方向の加工荷重
は、シーブの背面から離隔する方向に円筒状部材の先端
部を押圧する荷重であり、しかも円筒状部材の先端部が
テーパ状であることによりシーブの背面に対する接触面
積が小さくなるので、円筒状部材のかしめ加工に伴うシ
ーブ背面との間の摺動抵抗が小さくなり、その結果、凹
溝の内部の深くにまで円筒状部材の先端部が入り込んで
係合した状態となる。
【0017】さらに、請求項3の発明は、ベルトが巻き
掛けられるシーブの背面に軸線方向に突設された円筒状
嵌合部における外周面の基部に凹溝を形成し、その円筒
状嵌合部に嵌合させた円筒状部材の先端部を前記シーブ
の背面に当接させた状態でこの円筒状部材の先端部を半
径方向で外周側から求心方向に押圧して前記凹溝に向け
て塑性変形を生じさせる無段変速機のプーリのかしめ方
法において、前記凹溝の外周側に位置する円筒状部材の
先端部を、前記凹溝の開口幅より小さい幅で凹溝内に向
けて押圧することにより第1の塑性変形を生じさせ、そ
の後、前記第1の塑性変形を生じさせる押圧幅より広く
かつ前記凹溝の開口幅より小さい幅で、前記第1の塑性
変形を生じた箇所を含む前記先端部を、凹溝内に向けて
加圧して第2の塑性変形を生じさせることを特徴とする
方法である。
【0018】したがって請求項3の発明においては、第
1の塑性変形を生じさせる際に、円筒状部材の先端部の
肉が、凹溝の内部に押し込められると同時に、凹溝の幅
方向に押し広げられ、その結果、かしめ部分には、凹溝
の左右の内壁面に押し付けられる方向の残留応力が生じ
る。この状態で、第1の塑性変形の部分に更にかしめ加
工が付与されて第2の塑性変形を生じさせるので、かし
め加工を受けた円筒状部材の先端部は、凹溝の左右の内
壁面に押し付けられたまま、更に凹溝の内部に圧入され
る。その結果、円筒状部材のかしめ部分の凹溝の内壁面
に対する密着力が強くなり、この部分でのシール性が確
実なものとなる。
【0019】
【発明の実施の形態】つぎにこの発明を図に示す具体例
を参照して説明する。先ず、この発明に係るかしめ装置
について説明すると、図1にその一例が示されている。
ここに示す装置は、図8に示すシーブ2と円筒状部材で
あるシリンダ5とをかしめ結合するための装置であり、
可動シーブ2の背面25に軸線方向に突出させて形成し
た円筒状嵌合部20に嵌合させたシリンダ5の先端部を
かしめるかしめローラ40を備えている。そのかしめロ
ーラ40は、可動シーブ2およびシリンダ5の回転中心
軸線と平行な軸線を中心に回転するように配置され、可
動シーブ2の背面25に沿ってシリンダ5の先端部の半
径方向で外側から求心方向すなわち中心軸線に向けて相
対的に移動させることにより、シリンダ5の先端部を凹
溝22内にかしめるように構成されている。したがって
そのかしめローラ40の外周面が押圧面41であり、こ
の押圧面41はテーパ面として形成されている。
【0020】その押圧面41の形状を具体的に説明する
と、かしめ加工時に可動シーブ2の背面25に沿わせる
側面がわでの外径D1 が大きく、これとは反対の側面が
わすなわち可動シーブ2の背面25から遠い方の側面が
わでの外径D2 が小さくなる傾斜面となっている。そし
てそのテーパ角θは、 (H−Ytan θ) tan θ≦T となるように設定することが好ましい。ここで、図2に
示すように、Hは凹溝22の幅、Yはかしめ深さ、Tは
シリンダ5の先端部の板厚である。また、テーパ角θを
上記の式で示される値に設定する理由は、かしめローラ
40による押圧力が確実に凹溝22内の内壁面27に作
用する条件で、エッジ部Dに常に押圧力を与え続けるよ
うにかしめなければ前記内壁面27のシール長さを確保
することができないためである。
【0021】なお、図1および図2において、既に説明
した図8および図9に示す部分と同一の部分には、図に
同一の符号を付してその説明を省略する。
【0022】上記のかしめローラ40によるかしめ加工
は、従来と同様に、可動シーブ2の円筒状嵌合部20に
シリンダ5を嵌合させるとともに、その先端面を可動シ
ーブ2の背面25に当接させ、その状態でかしめローラ
40を可動シーブ2の背面25に沿わせて可動シーブ2
の求心方向に相対移動させておこなう。その場合、かし
めローラ40の外周押圧面41がテーパ面となっていて
可動シーブ2の背面25に接近している部分の外径D1
が大きいので、この外径D1 の大きい部分が最初にシリ
ンダ5の先端部外周に接触し、その部分を凹溝22の内
部に向けて押圧する。加工が進行するのに伴ってかしめ
ローラ40がシリンダ5の先端部を次第に深く押圧し、
シリンダ5の先端部に対する押圧面41の接触面積が次
第に増大する。
【0023】このような加工過程において、シリンダ5
の先端部で曲げおよび材料流動が生じるが、曲げは凹溝
22の開口端におけるエッジ部(コーナ部)Dを中心に
生じ、また材料流動は、かしめローラ40によって押圧
される方向すなわち押圧面41の法線方向に生じる。結
局、シリンダ5の肉は、凹溝22に押し込まれつつ、押
圧面41の法線方向すなわち凹溝22の開口端のエッジ
部Dに連続する内壁面27に向けて押圧される。
【0024】したがってかしめ加工に伴って流動する肉
を可動シーブ2の背面25に対して押し付ける作用が低
下するので、凹溝22に入り込むシリンダ5の肉の量が
多くなり、また凹溝22内に入った肉が前記内壁面27
に積極的に押し付けられるので、シリンダ5の肉がその
内壁面27に密着する長さ(半径方向での長さ)すなわ
ちシール長Lが長くなる。その結果、従来の装置による
よりも可動シーブ2とシリンダ5とのかしめ結合部のか
しめ強度を高くし、かつそのシール性を向上させること
ができる。また、シリンダ5の肉を押圧する方向は、可
動シーブ2の背面25から離れる方向であるから、かし
め加工に伴って可動シーブ2を軸線方向に押圧する荷重
を低減でき、そのため、可動シーブ2の円錐状ベルト接
触面12側(図1での左側)への湾曲を防止もしくは抑
制することができる。
【0025】なお、この発明に係るかしめ装置における
かしめローラ40は、その押圧面41が上述した作用を
なすものであればよいのでおり、したがって押圧面41
はテーパ面に限定されない。例えば、図3に示すよう
に、押圧面41を求心方向に向かって凹状となる円弧面
とすることができ、この場合には押圧面41とシリンダ
5の外周面との接点Cにおける円弧面の法線Xが凹溝2
2の内壁面27の上端エッジ部Dより外方に位置するよ
うに選定するのが望ましい。その理由は、内壁面27に
肉をはりつかせるように、エッジ部Dに押圧力を与える
ようにかしめるためである。
【0026】また、押圧面41の形状の例を示すと、図
4(A)に示すように、半径方向で内側に向かって凹の
円弧面とすることができるのみならず、図4(B)に示
すように、図4(A)とは反対に凸の円弧面とすること
ができ、さらに、図4(C)に示すように、押圧面41
の大径側を半径方向で外側に向かって凸の円弧面とする
とともに小径側を半径方向で内側に向かって凹の円弧面
とすることかできる。またさらに、図4(D)に示すよ
うに、押圧面41の大径側を半径方向で内側に向かって
凹の円弧面とするとともに小径側を半径方向で外側に向
かって凸の円弧面とすることができる。
【0027】つぎにこの発明のかしめ構造について図5
および図6に示す例を参照して説明する。ここに示す例
は、前述した可動シーブ2の背面25側にシリンダ5を
かしめ加工によって結合する場合にこの発明を適用した
例を示している。すなわちここに示す状態はかしめ前の
状態であって、可動シーブ2の背面25側に突設した円
筒状嵌合部20にシリンダ5が嵌合されており、その先
端面が可動シーブ2の背面25に当接されている。この
シリンダ5の先端面は、外径が先端側で次第に小さくな
るテーパ面51となっている。
【0028】そのテーパ面51のテーパ角θ5 は、図6
に示すように、外周押圧面が単純な円筒面をなすかしめ
ローラ30おける可動シーブ2側の側面と可動シーブ2
の背面25との隙間δ、シリンダ5の板厚T、かしめロ
ーラ30の外周押圧面の幅Wによって決まり、かしめロ
ーラ30の円筒状の外周押圧面がシリンダ5の先端部の
円筒状の外周面と平行に当たる面を確保できる範囲内で
選定することが好ましい。他の構成は図8および図9に
示す従来のものと同様であるから、対応する部材には同
じ符号を付してその説明を省略する。
【0029】図5および図6に示す構成においても、か
しめローラ30の外周押圧面によってシリンダ5の先端
部を凹溝22の内部に押圧してかしめ加工をおこなう。
その場合、シリンダ5の先端部には半径方向での内側へ
の変形が生じると同時に、軸線方向への材料流動が生じ
るが、シリンダ5の先端面をテーパ面51としているこ
とにより、可動シーブ2の背面25との接触面積が小さ
く、その結果、半径方向での内側の変形あるいは材料流
動に対する摺動抵抗が小さくなる。そのため、凹溝22
の内部に対するシリンダ5の肉の流入量を多くすること
ができ、それに伴い凹溝22に対するシリンダ5のシー
ル長を長くすることができる。また、かしめ加工の進行
に伴ってテーパ面51側への肉の移動が生じて可動シー
ブ2の背面25に対するシリンダ5の肉の接触面積が増
大し、その結果、シリンダ5の肉が凹溝22の左右の壁
面に密に接触し、かしめ強度が高くなると同時にシール
性が良好になる。
【0030】また、上記の構造では、シリンダ5の肉が
背面25および凹溝22の内壁面26から受ける抵抗力
を低減できるので、シリンダ5の軸方向長さ、円筒度、
真円度に悪影響を及ぼすことを回避できるとともに、か
しめローラ30の軸受に作用する横力を低減できるの
で、その寿命を延長できる。
【0031】さらに、この発明のかしめ加工方法につい
て図7を参照して説明する。この図7に示す方法で対象
とするかしめ部分は、可動シーブ2に対するシリンダ5
のかしめ結合部であり、したがって図7には、図8およ
び図9に示す部分と同一の部分に同一の符号を付してあ
る。
【0032】図7に示すように、可動シーブ2の背面2
5側に軸線方向に突設した円筒状嵌合部20には、先端
部を単純な円筒状に形成したシリンダ5が嵌合されてい
る。そのシリンダ5の先端部を円筒状嵌合部20の凹溝
22にかしめる場合、この発明の方法では、先ず、外周
押圧面の幅が凹溝22の幅より小さい第1のかしめロー
ラ60によって、シリンダ5の先端部を凹溝22に向け
てかしめる。その場合、第1のかしめローラ60の外周
押圧面は、凹溝22の幅方向での中央部に位置させるこ
とが好ましい。
【0033】この第1のかしめローラ60によってシリ
ンダ5の先端部を半径方向で内側に押圧すると、その外
周押圧面の形状に従った第1の塑性変形がシリンダ5の
先端部に生じる。すなわち、凹溝22の内部にシリンダ
5の先端部の一部が没入され、同時に凹溝22の壁面2
6,27に向けて広がるように材料(肉)の流動が生じ
る。すなわちシリンダ5の肉を凹溝22の左右の壁面2
6,27の間に強く押し込んだ状態となる。
【0034】このようにして第1のかしめローラ60に
よって第1の塑性変形を生じさせた後、その第1のかし
めローラ60よりも外周押圧面の幅の広い第2のかしめ
ローラ61によって、第1の塑性変形の生じている箇所
を再度、かしめ加工する。すなわち半径方向で外側から
押圧する。その状態を図7の(C)および(D)に示し
てある。
【0035】この第2のかしめローラ61の外周押圧面
の幅は、第1の塑性変形によって生じたかしめ溝52す
なわち第1のかしめローラ60によってシリンダ5の先
端外周面に形成されたかしめ溝52の開口幅より小さい
幅であることが好ましい。したがって第2のかしめロー
ラ61によってかしめ加工をおこなうことになり、従前
のかしめ溝52に第2のかしめローラ61の外周押圧面
が圧入されて左右に押し広げるように作用する。すなわ
ちシリンダ5の先端部に生じた変形部分が更に強く凹溝
22の壁面26,27に押し付けられ、大きい残留応力
が付与される。
【0036】このようにこの発明の方法では、外周押圧
面の幅が順次大きくなるかしめローラによって複数回か
しめ加工をおこなうので、かしめ溝、すなわちシリンダ
5をかしめることによってその先端部外周面に形成され
る溝52が段階的に押し拡げられる。そのため、このか
しめ溝52の両側の肉が凹溝22の内壁26,27に押
し付けられ、これらの壁面26、27との間に強い圧縮
の残留応力を付与できるので、かしめ強度が増大すると
ともにシール性が向上する。また、シリンダ5は複数回
に分けて変形するので、1回のかしめ時に流動する肉の
量は少なくなり、したがって、シリンダ5の軸方向長
さ、円筒度および真円度に対する悪影響を軽減できると
ともに各かしめローラ60,61の負荷を軽減すること
ができる。
【0037】なお、上述した例では、ベルト式無段変速
機におけるプライマリープーリを例に採って説明した
が、この発明はセカンダリープーリにも適用でき、要
は、シーブの背面側にシリンダなどの円筒状部材を軸線
方向に延ばして連結した構造のプーリ、特にその円筒状
部材の内部の圧力を高くする構成のプーリに適用するこ
とができる。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように請求項1の発明によ
れば、かしめローラの外周押圧面が、シーブの背面に近
い部分の外径が大きく、かつこれとは反対側の部分すな
わちシーブの背面から遠い部分の外径が小さく設定され
た傾斜形状であるから、円筒状部材の肉がシーブの背面
から離隔する方向でかつ凹溝の内壁面に押し付けられる
方向に押圧され、そのため凹溝に入り込む肉の量が多く
なるとともに、凹溝の内壁面に強く密着させられるの
で、かしめ部分でのシール長が長くなって結合強度が向
上すると同時に、シール性を向上させることができる。
【0039】また、請求項2の発明によれば、かしめ荷
重を受ける円筒状部材の先端部の外周面がいわゆる先細
りのテーパ形状をなしているから、かしめ加工時に円筒
状部材の材料流動がシーブの背面から離隔しかつ凹溝の
内壁面に押し付けられる方向に押圧されるので、シーブ
の背面との間の摺動抵抗が小さくなるとともに、軸線方
向への肉の流動が抑制され、その結果、凹溝に入る肉の
量が多くなってシール長が長くなり、円筒状部材をシー
ブに対して確実かつ強固に結合させ、またそのシール性
を向上させることができる。さらに、円筒状部材の軸線
方向での長さや、円筒度あるいは真円度に対する悪影響
を防止もしくは低減することができる。
【0040】さらに、請求項3の発明によれば、円筒状
部材の肉を凹溝の左右の壁面に次第に強く押し付けつつ
段階的にかしめ加工をおこなうので、凹溝の左右の側壁
との間に強い圧縮の残留応力を付与することができ、そ
の結果、かしめ強度およびシール性を向上させることが
できる。また同時に、1回ごとのかしめ時に流動する肉
の量が少なくなるので、円筒状部材の軸線方向の長さや
円筒度あるいは真円度に対する悪影響を防止もしくは抑
制できるとともに、各かしめローラに対する負荷が軽減
されてその耐用寿命を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係るかしめ装置におけるかしめロ
ーラの形状の一例を示すための断面図である。
【図2】 そのかしめローラによるかしめ加工時の各部
の寸法を説明するための説明図である。
【図3】 この発明に係るかしめ装置におけるかしめロ
ーラの押圧面の形状の他の例およびその各部の寸法を説
明するための説明図である。
【図4】 (A),(B),(C),(D)はそれぞれ
この発明に係るかしめ装置におけるかしめローラの押圧
面の他の形状を示す部分的断面図である。
【図5】 この発明に係るかしめ構造の一例を示すため
の図であってかしめ加工前の形状を示す断面図である。
【図6】 そのかしめ構造における各部の寸法を説明す
るための説明図である。
【図7】 この発明の方法によるかしめ加工過程を示す
部分断面図であり、(A)〜(D)はそれぞれ異なる工
程を示す部分断面図である。
【図8】 従来の無段変速機におけるプーリを示す断面
図である。
【図9】 従来のプーリの部分拡大断面図である。
【符号の説明】
3…可動シーブ、 25…背面、 20…円筒状嵌合
部、 22…凹溝、 5…シリンダ、 40,60,6
1…かしめローラ、 41…押圧面、 51…テーパ
面。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−210454(JP,A) 特開 平9−217802(JP,A) 実開 平3−114657(JP,U) 実開 昭62−56839(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 9/00 - 9/26 B21D 39/00 - 39/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベルトが巻き掛けられるシーブの背面に
    軸線方向に突設された円筒状嵌合部における外周面の基
    部に凹溝を形成し、その円筒状嵌合部に嵌合させた円筒
    状部材の先端部を前記シーブの背面に当接させた状態で
    この円筒状部材の先端部を前記凹溝にかしめることによ
    ってシーブと円筒状部材とを結合する無段変速機のプー
    リのかしめ装置において、 前記シーブの背面に接近して配置されかつシーブの軸線
    と平行な軸線を中心に回転するとともに前記円筒状部材
    の先端部を半径方向の外周側から求心方向に押圧して前
    記凹溝内にかしめるかしめローラを備え、そのかしめロ
    ーラにおける前記円筒状部材の先端外周面を押圧する外
    周押圧面が、前記背面に近い部分が外径が大きく、前記
    背面に遠い部分の外径が小さく設定された傾斜形状に形
    成されていることを特徴とする無段変速機のプーリのか
    しめ装置。
  2. 【請求項2】 ベルトが巻き掛けられるシーブの背面に
    軸線方向に突設された円筒状嵌合部における外周面の基
    部に凹溝を形成し、その円筒状嵌合部に嵌合させた円筒
    状部材の先端部を前記シーブの背面に当接させた状態で
    この円筒状部材の先端部を前記凹溝にかしめることによ
    ってシーブと円筒状部材とを結合してなる無段変速機の
    プーリのかしめ構造において、 前記円筒状部材の先端部のかしめ前の形状が、外周面の
    外径が、前記背面に当接する先端側で次第に減少するテ
    ーパ形状であることを特徴とする無段変速機のプーリの
    かしめ構造。
  3. 【請求項3】 ベルトが巻き掛けられるシーブの背面に
    軸線方向に突設された円筒状嵌合部における外周面の基
    部に凹溝を形成し、その円筒状嵌合部に嵌合させた円筒
    状部材の先端部を前記シーブの背面に当接させた状態で
    この円筒状部材の先端部を半径方向で外周側から求心方
    向に押圧して前記凹溝に向けて塑性変形を生じさせる無
    段変速機のプーリのかしめ方法において、 前記凹溝の外周側に位置する円筒状部材の先端部を、前
    記凹溝の開口幅より小さい幅で凹溝内に向けて押圧する
    ことにより第1の塑性変形を生じさせ、その後、前記第
    1の塑性変形を生じさせる押圧幅より広くかつ前記凹溝
    の開口幅より小さい幅で、前記第1の塑性変形を生じた
    箇所を含む前記先端部を、凹溝内に向けて加圧して第2
    の塑性変形を生じさせることを特徴とする無段変速機の
    プーリのかしめ方法。
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