JP3329251B2 - 熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

熱延鋼板の製造方法

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JP3329251B2
JP3329251B2 JP00634998A JP634998A JP3329251B2 JP 3329251 B2 JP3329251 B2 JP 3329251B2 JP 00634998 A JP00634998 A JP 00634998A JP 634998 A JP634998 A JP 634998A JP 3329251 B2 JP3329251 B2 JP 3329251B2
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広義 坂井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車部材、建材
あるいは冷延鋼板素材等に用いられる熱延鋼板、特に酸
洗性に優れた熱延鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車部材、建材あるいは冷延鋼板素材
等に用いられる熱延鋼板は、熱間圧延後コイルに巻取
り、コンベアでコイルヤードに搬送し、冷却後、酸洗脱
スケール工程に送られ、表面のスケールが除去される。
熱延鋼板の製造コストを低減するには、酸洗脱スケール
工程において、生産効率を高めかつ歩留低下につながる
表面欠陥の発生を最低限に抑える必要がある。
【0003】従来より、高温巻取りコイルの酸洗脱スケ
ール工程の高速化は、生産効率向上の鍵を握る重要な技
術であり、酸洗性を向上するための種々の方法が検討さ
れてきた。
【0004】例えば、特開平4-71722号公報には、熱延
コイルを巻取った後、1時間以内は酸素濃度4%以下の雰
囲気にて徐冷し、その後400℃以下まで水冷することに
よって、高温巻取りコイルであっても、スケール生成を
抑制して酸洗性を向上させることが提案されている(先
行技術1)。
【0005】特開昭55-10355号公報には、650〜750℃の
範囲で巻取った熱延コイルの端面をスプレー水冷して端
面のスケール生成を抑制して、高温巻取りした熱延コイ
ルの脱スケール性を改善することが提案されている(先
行技術2)。
【0006】特開平8-1229号公報には、560℃以上で巻
取った熱延コイルを保熱装置内で保熱し、次いで560℃
以上の高温から200℃以下まで水冷することにより、ス
ケール組成を酸洗性の優れるFeOに制御することが提案
されている(先行技術3)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】近年、冷延鋼板を製造
するための各工程が連続化・複合化され、また歩留を向
上するため、コイル先端および後端での切り捨て量が大
幅に減少したことによって、熱延コイルの先端および後
端が限界まで製品に使用されるようになってきている。
したがって、酸洗脱スケール工程では、熱延コイルの先
端、後端も、酸洗性に優れ、高速酸洗できることが必用
である。
【0008】しかし、コイル先端および後端での切り捨
て量が大幅に減少したことによって、熱延コイル後端で
の酸洗性の低下が著しく、特に、巻取温度が640℃以上
の高温巻取りコイルにおいて顕著であり、酸洗脱スケー
ル工程のライン速度の低下を余儀なくされている。した
がって、酸洗脱スケール工程の生産効率を高める上で、
熱延コイル後端の酸洗性の向上が不可欠である。
【0009】先行技術1、先行技術2では、熱延コイル
後端の酸洗性が考慮されておらず、コイル後端の酸洗性
を改善できない。先行技術3では、コイルを巻取り後直
ちに保熱カバー内に保管し、コイル全体の温度を560℃
以上に保つので、保熱装置内が酸化雰囲気の場合、保熱
中にコイル後端のスケールが成長し、酸洗性が低下す
る。
【0010】すなわち、先行技術1〜3では、熱延コイ
ル後端の酸洗性を向上できない。本発明は、熱延コイル
のテール重なり部の酸洗性を向上し、酸洗性に優れた熱
延鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、熱延コイ
ル後端で酸洗性が低下する理由について調査した。その
結果、熱延コイル最外周のテール(フィッシュテール状
またはタング状テール等の熱延コイルのテール部、以
下、テールと称する)重なり部近傍は、コイル定常部に
比べてスケールが極めて厚く成長し、かつスケール層全
体が酸洗性に劣るFe3O4に変態しているために、熱延コ
イル後端の酸洗性が低下することをつきとめた。また、
テール重なり部を優先してスプレー水冷することによっ
て、熱延コイル後端で酸洗性が低下するという問題点を
解決できることを見出した。
【0012】本発明は、この知見に基くものであり、そ
の特徴とする構成は以下のとおりである。第1発明は、
鋼を熱間圧延して巻取り、巻取った熱延コイルを冷却す
るにあたり、コイルヤードへ搬送するコンベア上または
/およびコイルヤードで、熱延コイル最外周のテール重
なり部の鋼板表面を優先してスプレー水冷した後、コイ
ル全体を水冷することを特徴とする熱延鋼板の製造方法
である。
【0013】第2発明は、鋼を熱間圧延して640℃以上
で巻取り、巻取った熱延コイルを冷却するにあたり、コ
イルヤードへ搬送するコンベア上または/およびコイル
ヤードで、熱延コイルの最外周のテール重なり部の鋼板
表面を優先してスプレー水冷した後、コイル全体を水冷
することを特徴とする熱延鋼板の製造方法である。
【0014】第3発明は、鋼を熱間圧延して640℃以上
で巻取り、巻取った熱延コイルを冷却するにあたり、コ
イルヤードへ搬送するコンベア上または/およびコイル
ヤードで、熱延コイル最外周のテール重なり部の鋼板表
面温度が450℃以上の温度から、熱延コイル最外周のテ
ール重なり部の鋼板表面を優先してスプレー水冷した
後、コイル全体を水冷して250℃以下まで冷却すること
を特徴とする熱延鋼板の製造方法である。
【0015】第4発明は、鋼を熱間圧延して640℃以上
で巻取り、巻取った熱延コイルを冷却するにあたり、コ
イルヤードへ搬送するコンベア上または/およびコイル
ヤードで、熱延コイル最外周のテール重なり部の鋼板表
面温度が450℃以上の温度から、熱延コイル最外周のテ
ール重なり部の鋼板表面を優先してスプレー水冷し、ま
たコイル全体を水冷開始するまでの空冷時間t(min)が下
式(3)を満足するように空冷を行った後、コイル全体を
水冷して250℃以下まで冷却することを特徴とする熱延
鋼板の製造方法である。 t≧18.1exp((148-W)/0.176CT) …(3) 但し、CT:巻取温度(℃)、W:コイル重量(ton)
【0016】第5発明は、鋼を熱間圧延して640℃以上
で巻取り、巻取った熱延コイルを冷却するにあたり、コ
イルヤードへ搬送するコンベア上または/およびコイル
ヤードで、熱延コイル最外周のテール重なり部の鋼板表
面温度が450℃以上の温度から、熱延コイル最外周のテ
ール重なり部の鋼板表面を優先してスプレー水冷し、ま
たコイル全体を水冷開始するまでの空冷時間t(min)が下
式(4)を満足するように空冷を行った後、コイル全体を
水冷して250℃以下まで冷却することを特徴とする熱延
鋼板の製造方法である。 t≦8.313W+24.152 …(4) 但し、W:コイル重量(ton)
【0017】以下、本発明についてさらに説明する。重
量%で、C:0.030%、Si:0.01%、Mn:0.20%、P:0.010%、S:
0.009%、sol.Al:0.050%、N:0.0032%、残部Feおよび不可
避不純物からなるアルミキルド鋼鋼片を仕上温度(FT)87
0℃で熱間圧延を終了し、巻取温度(CT)を640℃または68
0℃で巻取り、室温まで空冷を行った熱延コイル各部の
スケール厚さを調査した。コイル重量は16tonである。
【0018】スケール厚さの測定箇所は図1に示す位置
であり、先端はコイル内周部41、後端はコイル外周部
42、テール重なり部はコイルテール部が重なったコイ
ル外周側2巻目開始部のハッチング部分43に相当する
位置である。スケール厚さは、鋼板断面のスケール組織
の顕微鏡観察により測定した。調査結果を図2に示す。
【0019】テール重なり部は、熱延コイルの中央部、
先端、後端と比較して約2〜3倍のスケール厚さになっ
ている。これは、テール重なり部においては、保温性が
高いと同時に酸素が十分供給されるため、巻取り後の空
冷中にスケールが著しく成長するためである。さらに、
テール重なり部では、空冷中にスケール表面から変態が
進行し、難溶解性のFe3O4になっている。そのため、テ
ール重なり部の酸洗脱スケール性が著しく低下する。こ
の様な現象は巻取温度が640℃以上の高温巻取りコイル
において特に顕著であることを確認した。
【0020】本発明では、コイル最外周のテール重なり
部を優先してスプレー水冷することによって、テール重
なり部で、スケールの著しい成長が抑制され、またスケ
ールのFeOからFe3O4への変態が防止されて、テール重な
り部の酸洗性が向上し、熱延コイル後端の酸洗性の低下
を防止できる。この効果は、巻取温度が640℃以上の高
温巻取りコイルにおいて特に大きい。
【0021】第3発明では、コイル最外周のテール重な
り部の鋼板温度が450℃以上ある状態から、コイル最外
周のテール重なり部を優先してスプレー水冷することに
よって、テール重なり部の鋼板表面におけるスケールの
著しい成長が抑制され、またテール重なり部の鋼板表面
に生成したスケール層のスケール/地鉄界面にFeOをよ
り多く残留させることができる。そのため、高温巻取り
した熱延コイル最外周のテール重なり部の酸洗性をより
向上でき、熱延コイル後端の酸洗速度の低下を防止する
という効果を著しく向上できる。
【0022】また遅れてコイル全体を水冷して250℃以
下に冷却することによって、テール重なり部を除くコイ
ルのスケールがFeOからFe3O4に変態することを防止でき
る。そのため、コイル全体が酸洗性に優れる。
【0023】Ti、Nb、B、Al等を含む極低炭素鋼あるい
は低炭素アルミキルド鋼等を用いた軟質の熱延鋼板は、
固溶C、Nを固定して材質を良好にするために、熱間圧延
後高温巻取される場合が多い。高温巻取りした熱延鋼板
は、巻取り後の空冷中にAlN、BNあるいはTiC、NbC等の
窒化物、炭化物を析出させ、安定した材質を確保する必
要がある。
【0024】空冷時間が短いと析出が十分になされず、
良好な材質にできない。巻取温度が高いものほど窒化
物、炭化物の析出が促進されるため、コイルの空冷時間
は短時間になる。また、コイル重量の大きいものほど冷
却速度が小さく高温で保たれるため、窒化物、炭化物の
析出が十分に生じ、コイルの空冷時間は短時間になる。
すなわち、コイルの空冷時間は、コイル重量(W:ton)
および巻取温度(CT:℃)に大きく依存し、空冷時間t
(min)が下式(5)を満足するように空冷した後、コイル全
体を水冷すると、炭化物または窒化物の析出が十分にな
り、材質の劣化を生じない。 t≧18.1exp((148-W)/0.176CT) …(5)
【0025】一方、コイル全体を水冷開始するまでの空
冷時間tが長くなると、材質の問題がなくなるが、スケ
ールの組成が酸洗性に劣るFe3O4に変態して、コイル全
体の酸洗性が低下するおそれがある。空冷時間t(min)
が、下式(6)を満足するように空冷した後、遅れてコイ
ル全体を水冷して250℃以下に冷却することによって、
テール重なり部を除くコイルのスケールがFeOからFe3O4
に変態することが防止され、FeOをより多く残留できる
ので、コイル全体の酸洗性をより向上できる。また、コ
イル全体を2℃/min以上の冷却速度で水冷することが前
記効果を発揮する上でより好ましい。 t≦8.313W+24.152 …(6)
【0026】熱延鋼板は、用途によっては、コイル全体
の材質をより良好にすることが有用な場合があり、また
材質よりも表面性状(酸洗性)がより優先される場合も
ある。したがって、酸洗脱スケール工程では、必要に応
じて適宜前記の要請に対応できることが有利である。
【0027】第4発明では、酸洗性を損なわないで材質
をより良好にすることができ、また第5発明では、材質
を損なわないでコイル全体の酸洗性をさらに向上するこ
とができる。
【0028】巻取温度が640℃以上になると、スケール
生成量の増大にともない酸洗性が著しく劣化し、酸洗脱
スケール工程において能率が大幅に低下する。本発明
は、640℃以上の温度で巻取られた酸洗性に劣る熱延コ
イルにおいて、酸洗性を向上する効果が特に大きいの
で、第2発明〜第5発明では、640℃以上の温度で巻取
った熱延コイルを対象とした。
【0029】なお、巻取温度が750℃を超えるとスケー
ル生成量が極めて著しくなるので、酸洗性の改善効果は
相対的に小さくなる。したがって、本発明では、巻取温
度が750℃以下の場合に、酸洗性の向上効果がより優れ
る。
【0030】また、本発明は、酸洗性の向上に際して、
従来技術1、3のように熱延コイルを収納する設備を必
要としないので、低コストで生産性が高い。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図を用いて説明する。
【0032】図3は、熱間圧延設備、コイルヤード、酸
洗設備のレイアウトを示す図である。図3において、1
は熱間圧延設備、2は熱間圧延した鋼板を巻取るコイラ
ー、8はコイルヤード、14は酸洗設備、15は冷却し
た熱延コイルを酸洗設備内に払い出すペイオフリール、
3a、3b、5、7a、7b、9a、9b、11、13
はコイルを搬送するコンベアで、各コンベアには熱延コ
イル30を載置する複数のコイル受け台が等間隔で配設
されている。また4、6、10、12はコンベア間でコ
イルの移動を行う移載装置である。コンベア5、コイル
ヤード8には、それぞれコイルを冷却する水冷スプレー
装置が配設されている。
【0033】コイラー2で巻取られ、熱間圧延設備1か
ら払い出された熱延コイル30は、コイル最外周のテー
ル部が搬送中にコイル外周からめくれないように、図示
されていないクレードルロール上で、図1に示すよう
に、コイル最外周のテール部がコイル中心を通る水平面
の上部近傍にくるように位置調整され、コンベア3aに
移載される。
【0034】次いで、熱延コイル30は、速やかに移載
装置4を経て、コンベア5に移載される。コイル移載
後、コンベア5は、距離Lだけ走行した後停止する。図
4、図5に示すように、コンベア5には、複数のコイル
受け台20が等間隔(L)で配設され、また各コイル受
け台20の停止位置にコイル最外周のテール重なり部を
優先して水冷するスプレー装置21a、コイル全体を水
冷するスプレー装置21b〜21eが配設されている。
【0035】コンベア5のコイル受け台20上に移載さ
れた熱延コイル30のテール重なり部はほぼ一定の位置
にあるので、スプレー装置21aによって、テール重な
り部を確実に優先して水冷できる。また必要に応じてス
プレー装置21b〜21eによって、コイル全体を水冷
できる。図4、図5では、スプレー装置21aによっ
て、コイル最外周のテール重なり部を優先して冷却して
いる状態を示している。
【0036】次いで、熱延コイル30は、コンベア5か
ら移載装置6を経て、コンベア7aまたは7bに移載さ
れ、図示されていないクレーンで、コイルヤード8内の
番地管理された所定のコイル置き場に搬送される。コイ
ルヤード8の各コイル置き場には、図6、図7に示すよ
うに、各コイル受け台22の周りにコイル最外周のテー
ル重なり部を優先して水冷するスプレー装置23a、コ
イル全体を水冷するスプレー装置23b〜23eが配設
されている。コイルヤード8のコイル受け台22上に移
載された熱延コイル30のテール重なり部はほぼ一定の
位置にあるので、スプレー装置23aによって、テール
重なり部を確実に優先して水冷できる。また、スプレー
装置23b〜23eによって、コイル全体を水冷する。
図6、図7では、スプレー装置23b〜23eによっ
て、コイル全体を水冷している状態を示している。
【0037】コンベア5上またはコイルヤード8で、熱
延コイルの最外周のテール重なり部の鋼板表面を優先し
てスプレー水冷することによって、熱延コイル後端の酸
洗性を向上できる。
【0038】640℃以上で巻取った熱延コイルを、コイ
ルヤードにコイルを搬送するコンベア上またはコイルヤ
ードで、熱延コイル最外周のテール重なり部の鋼板表面
温度が450℃以上の温度から、熱延コイルの最外周のテ
ール重なり部の鋼板表面を優先してスプレー水冷した
後、遅れてコイル全体を水冷して250℃以下に冷却する
ことによって、テール重なり部の酸洗性を良好にでき
る。
【0039】この場合、コイル全体を水冷開始するまで
の空冷時間t(min)が下式(7)を満足するようにする
と、酸洗性を損なわないで材質を良好にすることがで
き、また、コイル全体を水冷開始するまでの空冷時間t
(min)が下式(8)を満足するようにすると、材質を損な
わないでコイル全体の酸洗性が優れるようにすることが
できる。 t≧18.1exp((148-W)/0.176CT) …(7) t≦8.313W+24.152 …(8) 但し、CT:巻取温度(℃)、W:コイル重量(ton)
【0040】コイル最外周のテール重なり部を優先的に
水冷開始する時期、コイル全体を水冷する時期は、必用
な材質や酸洗性を考慮し、予めコイル重量、巻取り温
度、巻取り後の空冷時間とコイル最外周のテール重なり
部の鋼板温度との関係を求めておき、この関係に基き、
あるいは空冷中に実測した鋼板温度に基き、また前記し
て適宜設定でき、また熱延設備から払い出したコイル位
置をトラッキングして、コンベア5、コイルヤード8の
所定のスプレー装置を使用して、所要の冷却を行うこと
ができる。
【0041】また、前記式(7)または式(8)を満足させな
がら、コイル全体の水冷開始時期を遅らせることによっ
て、酸洗性を損なわないでより良好な材質にすることが
でき、または水冷開始時期を早めることによって、材質
を損なわないで酸洗性をさらに向上することができる。
【0042】熱延コイル最外周のテール重なり部を優先
して水冷することによる熱延コイル端部の酸洗性を向上
する効果は、640℃以上で巻取った熱延コイルで特に大
きいが、640℃未満で巻取った熱延コイルでも前記効果
がある。
【0043】640℃未満で巻取った熱延コイルについて
も、水冷開始時の最外周のテール重なり部の鋼板表面温
度が450℃以上あることが望ましいが、450℃未満であっ
ても、熱延コイル端部の酸洗性を向上する効果がある。
この場合、水冷開始時の鋼板温度はできるだけ高いほう
が望ましいので、コンベア5上で早期にコイル最外周の
テール重なり部を優先して水冷することがより望まし
い。
【0044】コイルヤード8で冷却された熱延コイル3
0は、酸洗脱スケール工程の装入指示に従って、クレー
ンで、コイルヤード8から搬出され、コンベア9aまた
は9bに移載され、移載装置10、コンベア11、移載
装置12、コンベア13を経て、酸洗設備14入側のペ
イオフリール15から送り出されて、酸洗脱スケールさ
れる。
【0045】なお、本発明の効果は上記以外の製造条件
の影響を受けない。例えば、連続鋳造後の鋼片は、常温
まで冷却後再加熱、または常温まで冷却することなしに
再加熱、あるいはそのまま直送して熱間圧延のいずれを
行っても本発明の効果が得られる。
【0046】本発明の熱延鋼板の酸洗脱スケールに際し
て、酸洗脱スケール前の鋼板に通常行われている塑性伸
びを付与することができる。塑性伸びの付与は、曲げ、
ストレッチあるいはスキンパス等による単独の歪または
これらの歪を組み合わせたものであってもよい。
【0047】本発明により製造された熱延鋼板の酸洗脱
スケールの際に使用する酸洗液は特に限定されず、各種
の酸洗液において優れた酸洗性を示す。
【0048】
【実施例】表1に示す成分組成と残部Feおよび不可避不
純物からなる重量の異なる鋼片を熱間圧延し、巻取温度
を変えて巻取った後、テール重なり部を優先してスプレ
ー水冷するまでの空冷時間、空冷後冷却開始温度(テー
ル重なり部鋼板表面温度)、遅れてコイル全体を水冷開
始するまでの空冷時間を変化させて250℃以下の温度ま
で水冷(冷却速度は2℃/min以上)後、さらに室温まで空
冷して得た熱延鋼板について、酸洗性と機械的性質を調
査した。調査結果を表2に示す。
【0049】なお、酸洗性は、塩酸酸洗ラインにおいて
脱スケール試験を行い、スケール残りが発生しない限界
ライン速度(最大速度300mpm)により評価した。塩酸酸洗
ラインの酸洗液は9%HClで、液温85℃とした。また、ス
ケールブレーカー(ローラレベラー)における伸び率(塑
性伸び率)はゼロとした。
【0050】機械的性質は、塩酸酸洗ラインに通板前の
熱延鋼板から採取した試験片について、引張試験を行
い、伸び率により評価した。
【0051】テール重なり部鋼板表面温度は、放射温度
計と接触温度計を用いて測定した。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】コイル最外周のテール重なり部を優先して
水冷した本発明例の鋼板No.1、No.2は、それぞ
れコイル重量、巻取温度等の条件が同じで、コイル最外
周のテール重なり部を優先して水冷してない比較例の鋼
板No.5、No.6に比べて、いずれもコイル端部の
脱スケール性に優れている。
【0055】第4発明の構成要件を満足する本発明例
1、本発明例3の鋼板は材質が良好であり、第5発明の
構成要件を満足する本発明例1、本発明例2の鋼板はコ
イル全体の酸洗性に優れる。
【0056】また、第4発明、第5発明の構成要件を満
足する本発明例1の鋼板において、コイル全体を水冷す
るまでの空冷時間の長い鋼板は、空冷時間の短い鋼板に
比較して材質がより優れている。
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、熱延コイル最外周のテ
ール重なり部の鋼板表面を優先してスプレー水冷するこ
とによって、コイル端部の酸洗性が向上し、酸洗脱スケ
ール工程を従来より高速化できる。また、熱延コイルを
収納する設備を必要としないので、低コストで生産性が
高い。
【0058】また、第4発明では、酸洗性を損なわない
で材質をより良好にすることができ、また第5発明で
は、材質を損なわないでコイル全体の酸洗性をさらに向
上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱延コイルのスケール厚さの測定箇所を示す
図。
【図2】熱延コイル各部のスケール厚さを示す図。
【図3】熱間圧延設備、コイルヤード、酸洗設備のレイ
アウトを示す図。
【図4】コンベア5において、コイル最外周のテール重
なり部を優先してスプレー水冷する状態を示す斜視図。
【図5】コンベア5のスプレー装置の配置を示す図で、
(a)は上面図、(b)は側面図。
【図6】コイルヤードのスプレー装置の配置を示す図。
【図7】コイルヤードにおいて、コイルをスプレー冷却
する状態を示す図で、(a)は上面図、(b)は側面
図。
【符号の説明】
1 熱間圧延設備 5 コンベア 8 コイルヤード 14 酸洗設備 21a〜21e、23a〜23e スプレー装置 30 熱延コイル 41 コイル内周部 42 コイル外周部 43 テール重なり部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−43810(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21C 47/26 B21B 45/00 B21B 45/02 B21C 47/24 C21D 9/52

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼を熱間圧延して巻取り、巻取った熱延
    コイルを冷却するにあたり、コイルヤードへ搬送するコ
    ンベア上または/およびコイルヤードで、熱延コイル最
    外周のテール重なり部の鋼板表面を優先してスプレー水
    冷した後、コイル全体を水冷することを特徴とする熱延
    鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 鋼を熱間圧延して640℃以上で巻取り、
    巻取った熱延コイルを冷却するにあたり、コイルヤード
    へ搬送するコンベア上または/およびコイルヤードで、
    熱延コイルの最外周のテール重なり部の鋼板表面を優先
    してスプレー水冷した後、コイル全体を水冷することを
    特徴とする熱延鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 鋼を熱間圧延して640℃以上で巻取り、
    巻取った熱延コイルを冷却するにあたり、コイルヤード
    へ搬送するコンベア上または/およびコイルヤードで、
    熱延コイル最外周のテール重なり部の鋼板表面温度が45
    0℃以上の温度から、熱延コイル最外周のテール重なり
    部の鋼板表面を優先してスプレー水冷した後、コイル全
    体を水冷して250℃以下まで冷却することを特徴とする
    熱延鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 鋼を熱間圧延して640℃以上で巻取り、
    巻取った熱延コイルを冷却するにあたり、コイルヤード
    へ搬送するコンベア上または/およびコイルヤードで、
    熱延コイル最外周のテール重なり部の鋼板表面温度が45
    0℃以上の温度から、熱延コイル最外周のテール重なり
    部の鋼板表面を優先してスプレー水冷し、またコイル全
    体を水冷開始するまでの空冷時間t(min)が下式(1)を満
    足するように空冷を行った後、コイル全体を水冷して25
    0℃以下まで冷却することを特徴とする熱延鋼板の製造
    方法。 t≧18.1exp((148-W)/0.176CT) …(1) 但し、CT:巻取温度(℃)、W:コイル重量(ton)
  5. 【請求項5】 鋼を熱間圧延して640℃以上で巻取り、
    巻取った熱延コイルを冷却するにあたり、コイルヤード
    へ搬送するコンベア上または/およびコイルヤードで、
    熱延コイル最外周のテール重なり部の鋼板表面温度が45
    0℃以上の温度から、熱延コイル最外周のテール重なり
    部の鋼板表面を優先してスプレー水冷し、またコイル全
    体を水冷開始するまでの空冷時間t(min)が下式(2)を満
    足するように空冷を行った後、コイル全体を水冷して25
    0℃以下まで冷却することを特徴とする熱延鋼板の製造
    方法。 t≦8.313W+24.152 …(2) 但し、W:コイル重量(ton)
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