JPH0941044A - 成形性に優れた熱延鋼板の製造方法 - Google Patents
成形性に優れた熱延鋼板の製造方法Info
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Abstract
加工性の改善を念頭においた成形性に優れた熱延鋼板の
製造方法を提供する。 【解決手段】 Ti、Nbを少なくともC,N当量含ん
だ極低炭素鋼のスラブを熱延する際に、Ar3 変態点未
満、700℃以上の温度で合計圧下率が50%以上の圧
延を、必要に応じ摩擦係数を制御して行ない、700℃
以上の温度で一度巻き取り、10秒以上、10分以下の
時間保持した後、巻き戻し、再び600℃以下の温度で
巻き取ることを特徴とする成形性に優れた熱延鋼板の製
造方法。
Description
ような深絞り加工に供せられる成形性に優れた熱延鋼板
の製造方法に関するものである。なお、ここでの熱延鋼
板には表面処理原板も含む。
に記する。本発明は極低炭素鋼を対象にしているので、
その製造工程を中心に説明する。高炉から得られる銑鉄
は4%程度のCを含むが、純酸素を吹き込むことによ
り、転炉精錬段階で0.05%程度まで低減される。極
低炭素鋼を製造するにはその後、真空脱ガス装置での脱
炭が行なわれ、最近では10ppm 程度までCを下げるこ
とが可能になってきた。現在、日本ではほとんどの深絞
り用鋼板が連続鋳造により製造されている。
トで熱間圧延へ供される。1つはCC−DR(Continuo
us Casting and Direct Rolling )と称され、再加熱す
ることなしに直接熱延される場合で、熱エネルギー的に
は最も効率的なルートである。この場合、鋳片の温度が
大きく下がらないように、設備的な対策が必要なこと
と、鋳片の手入れができないため、表面品質の劣化を招
く可能性があるなどの欠点もある。深絞り用鋼板は外板
に使用されることが多いため、表面品質は特に厳しいの
で、現在のところCC−DRはほとんど適用されていな
い。
の後加熱炉で再加熱して熱間圧延に供するルートであ
る。3つ目は、1つ目と2つ目の中間に相当するスラブ
を完全に冷やす前に加熱炉に入れる方式で、HCR(Ho
t Chrge )と称されている。
加熱される場合をAルート、一度γ/α変態点以下にな
る場合をBルートと名付けられている。深絞り用極低炭
素鋼は、通常2つ目あるいは3つ目のBルートで製造さ
れている。再加熱の温度は、1150℃〜1250℃が
一般的に採用されている。
た後、5〜7スタンドの連続熱間圧延機でAr3 変態点
以上の仕上温度で行い、板厚2〜4mmの熱延板を製造す
る。巻取温度は、極低炭素鋼の場合は、700℃以上の
高温の方が炭窒化物が粗大に析出するため材質の観点か
らは好ましいが、酸洗性の劣化や材質のバラツキが起き
やすい欠点もあるため、600℃以下の低温巻取でも高
温巻取に匹敵する材質が得られる技術の開発が要望され
ている。
により熱延組織を微細にできるため、ROT(Run-Out
Table )の前段で急冷する方式がよく用いられる。熱延
コイルは、放冷後酸洗され、冷間圧延により0.8mm前
後の板厚に仕上げられる。冷延コイルは、電解清浄によ
り表面に付着した油などを取り除いてから焼鈍に供され
る。
よって行なわれる。しかし、連続焼鈍炉の通板には幅や
厚さの制限があるため、一般に箱焼鈍も併用されてい
る。深絞り用鋼板は、表面処理を施されて製品となるこ
とが多い。主な表面処理は、溶融亜鉛めっきと各種の電
気めっきである。
錫合金の溶融めっきであるターンめっきが施される。電
気めっき用鋼板とターンめっき用鋼板の場合は上記の焼
鈍を完了した冷延鋼板を原板として用いるが、溶融めっ
きの鋼板の場合は、焼鈍前の冷延鋼板を原板として用
い、連続焼鈍と溶融めっきを炉中で行なうことができる
連続溶融めっきラインで、焼鈍と表面処理を同時に行な
う。焼鈍されたコイルは、形状矯正とプレスの際に生じ
るストレッチャーストレインの発生を防止するために、
1%程度の調質圧延に供される。
IF鋼で熱間圧延を一部Ar3 変態点以下で積極的に行
ない、冷延を省略して深絞り用鋼板を製造する技術が開
発されている(例えば、特開昭59−59827号公
報、特開昭59−226149号公報など)。しかしこ
の場合、熱延板を再結晶させることが必要となるため、
再結晶温度以上の高温巻取が必要になる。
それを除去する酸洗時間が長くなることや、Pの粒界偏
析が顕著になり2次加工性の劣化を招くなどの欠点が生
じる。一方、低温で巻き取ったのでは優れた特性を得る
ことは難しい。そこで、これらの問題点を解決する方策
として低温巻取した熱延板を連続焼鈍により再結晶処理
することが考えられるが、この場合は製造コストが高く
なる経済的欠点がある。
造で大きな障害になる問題点は、1)熱延板が再結晶し
ていないと加工性が確保できない。2)鋼板が薄くなり
表面積が増えるので酸洗コストが増す。3)冷延鋼板の
ように短時間熱処理で再結晶をするのと異なり、高温の
熱延巻取処理ではPの粒界偏析が顕著になり、2次加工
性が劣化する。本発明は、これらの問題点を解決して、
高温巻取相当の材質を達成し、酸洗性および2次加工性
の劣化を回避する深絞り用熱延鋼板を製造する方法を提
供するものである。
ろは、重量比で、C:0.01%以下、N:0.01%
以下、Al:0.005%以上、1.0%以下、必要に
応じBを0.0002%以上、0.005%以下含み、
TiおよびNbのいずれか一方または双方をC/12+
N/14<Ti/48+Nb/93+0.0001なる
条件を満足するように含有する鋼のスラブを熱延する際
に、Ar3 変態点未満、700℃以上の温度で合計圧下
率が50%以上の圧延を、必要に応じ摩擦係数を0.2
以下として行ない、700℃以上の温度で一度巻き取
り、10秒以上、10分以下の時間保持した後、巻き戻
し、再び600℃以下の温度で巻き取ることを特徴とす
る成形性に優れた熱延鋼板の製造方法にある。
おいて、CおよびN量を0.01%以下としたのは、こ
れ以上の添加は加工性の劣化を招くためである。C,
N,Ti,Nbの添加量の間に、C/12+N/14<
Ti/48+Nb/93+0.0001の関係式を満足
するように限定したのは、この条件を満足することによ
り、鋼中のC,Nを大部分TiあるいはNbの炭窒化物
として析出させることができ、熱延時ならびに再結晶時
の集合組織形成がr値に好ましい結果になるためであ
る。
のは、脱酸を十分に行なうためである。上限は加工性の
観点で1.0%以下に限定した。Bは、2次加工性の向
上に寄与するので、用途によってはその効果が明瞭に現
れる0.0002%以上の添加が必要である。また、過
剰の添加は加工性を劣化するので、上限を0.005%
とした。
度を強め、加工性を著しく悪くしない範囲であるMn<
1%、Si<1%、P<0.1%の添加は、本発明の趣
旨を何ら損ずるものではない。
00℃以上の温度で合計圧下率が50%以上の圧延を行
なうこととしたのは、Ar3 変態点未満で熱延された材
料を、Ar3 変態点以上で仕上圧延された材料と同等あ
るいはそれ以上の材質とするために、深絞り用鋼板とし
て好ましい再結晶集合組織の形成に50%以上の合計圧
下率が必要なためである。温度範囲の下限を700℃と
したのは、これ以下の温度が仕上圧延温度になると、若
干の加工発熱を利用しても700℃以上の温度で巻き取
ることが困難になるためである。
滑を施し摩擦係数を0.2以下にして行なうとしたの
は、これにより成品板のr値が顕著に上昇するためであ
る。この理由は表層のせん断変形によって形成される深
絞り性に好ましくない集合組織が摩擦係数を小さくする
ことにより、深絞り性に好ましい集合組織に変化するた
めである。
の通板性を著しく劣化させないためには、摩擦係数を
0.05以上に保つことが好ましい。なお、摩擦係数の
積極的な低減策を講じないと、摩擦係数は通常0.2以
上になるが、この場合でもγ域熱延材のものより優れた
深絞り性が得られる。
る。700℃以上の温度で一度巻き取るのは、再結晶を
促進し、優れた材質を達成するためである。このときの
巻取温度の下限を700℃としたのは、これ未満の温度
では再結晶が十分に進行しないためである。巻取保持時
間の下限を10秒としたのは、これ未満の保持時間では
再結晶が十分に進行しないためである。
る時間、コイルを高温に保つと酸洗性や2次加工性の劣
化が顕在化するためである。ここで、巻取保持時間とは
巻取が完了してから、巻き解きを始めるまでの時間を意
味する。
としたのは、これを超える温度で巻き取ると、酸洗性や
2次加工性の劣化を回避することができないためであ
る。なお、この巻き取り−巻き解き−巻き取りの工程
は、鋼板上のスケールの破砕を助長するため、単にスケ
ール厚を薄くするだけでなく、この破砕の効果によって
も酸洗性を向上させる可能性がある。このような巻取条
件は、仕上圧延機に比較的近接したコイラーで巻き取
り、それからROT(Run-out Table )へ巻き戻し、再
び従来のコイラーで巻き取ることで実現する。
鋼を用いた。鋼種A〜Eは本発明鋼、F,Gは比較鋼で
ある。熱延・巻取条件と成品板のr値、デスケーリング
時間、2次加工割れ延性−脆性遷移温度を表2に示す。
デスケーリング時間とは、希塩酸に熱延板を浸し、スケ
ールがとれるまでの時間とした。2次加工割れ延性−脆
性遷移温度は、絞り比1.7で円筒に絞った円柱を頂角
30度の円錐ポンチで押し込んだ時に、円柱壁面が破壊
する形態が延性的から脆性的に遷移する温度とした。
仕上温度で圧延した比較材のスラブ加熱温度は、仕上温
度確保の観点から1200℃とした。本発明材の場合
は、仕上温度が低くてよいため、加熱温度は1000℃
から1100℃とした。熱延板の板厚は1.4mmとし
た。スキンパス圧下率は1%であった。摩擦係数は、先
進率、圧延荷重、トルクなどのデータより、圧延理論に
基づいて計算によって求めた。
3、6、10、13、14、16、18、20の材料
は、高いr値を示すだけでなく、酸洗時間も短く、耐2
次加工性も優れている。一方、従来法で製造された実験
番号4、5、15、17、19、21の材料は、r値が
低く、高温巻取では酸洗性、耐2次加工性が悪い。
での合計圧下率が40%と低い実験番号7の材料は、適
正な集合組織が発達しなかったためか、r値が低い。1
回目の巻取温度が低い実験番号8と、1回目の巻取の保
持時間が短い実験番号9の材料は、熱延板の組織が十分
再結晶しなかったためr値が低く、成品板でリジングも
発生した。
と、2回目の巻取温度が高い実験番号12の材料は、共
に酸洗性、耐2次加工性が悪かった。また、本発明鋼の
成分範囲を逸脱した鋼を用いた実験番号22、23で
は、高いr値が得られなかった。
にあたって、スラブ加熱温度の低温化、冷延・焼鈍過程
の省略などにより、大幅なエネルギー消費量の低減が可
能になり、工業的に高い価値がある。
Claims (3)
- 【請求項1】 重量比で、 C :0.01%以下、 N :0.01%以下、 Al:0.005%以上、1.0%以下を含み、 Ti、Nbのいずれか一方または双方を C/12+N/14<Ti/48+Nb/93+0.0001 なる条件を満足するように含有する鋼のスラブを熱延す
る際に、Ar3 変態点未満、700℃以上の温度で合計
圧下率が50%以上の圧延を行ない、700℃以上の温
度で一度巻き取り、10秒以上、10分以下の時間保持
した後、巻き戻し、再び600℃以下の温度で巻き取る
ことを特徴とする成形性に優れた熱延鋼板の製造方法。 - 【請求項2】 Ar3 変態点未満、700℃以上の温度
で合計圧下率が50%以上の圧延を、潤滑を施し摩擦係
数を0.2以下として行なうことを特徴とする請求項1
記載の成形性に優れた熱延鋼板の製造方法。 - 【請求項3】 鋼のスラブが、さらに、重量比で、B:
0.0002%以上、0.005%以下含有することを
特徴とする請求項1または請求項2記載の成形性に優れ
た熱延鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP19482195A JP3735142B2 (ja) | 1995-07-31 | 1995-07-31 | 成形性に優れた熱延鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH0941044A true JPH0941044A (ja) | 1997-02-10 |
JP3735142B2 JP3735142B2 (ja) | 2006-01-18 |
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JP (1) | JP3735142B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1998000573A1 (fr) * | 1996-07-01 | 1998-01-08 | Nippon Steel Corporation | Tole d'acier au carbone antirouille pour reservoir a carburant presentant une bonne etancheite aux gaz lors du soudage et de bonnes proprietes anticorrosion apres formage |
JP2008111166A (ja) * | 2006-10-31 | 2008-05-15 | Jfe Steel Kk | 脆性亀裂伝播停止特性に優れた構造用高強度厚鋼板およびその製造方法 |
JP2008111165A (ja) * | 2006-10-31 | 2008-05-15 | Jfe Steel Kk | 脆性亀裂伝播停止特性に優れた構造用高強度厚鋼板およびその製造方法 |
-
1995
- 1995-07-31 JP JP19482195A patent/JP3735142B2/ja not_active Expired - Fee Related
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WO1998000573A1 (fr) * | 1996-07-01 | 1998-01-08 | Nippon Steel Corporation | Tole d'acier au carbone antirouille pour reservoir a carburant presentant une bonne etancheite aux gaz lors du soudage et de bonnes proprietes anticorrosion apres formage |
US6673472B2 (en) | 1996-07-01 | 2004-01-06 | Nippon Steel Corporation | Rust preventive carbon steel sheet for fuel tank having good welding gastightness and anticorrosion after forming |
JP2008111166A (ja) * | 2006-10-31 | 2008-05-15 | Jfe Steel Kk | 脆性亀裂伝播停止特性に優れた構造用高強度厚鋼板およびその製造方法 |
JP2008111165A (ja) * | 2006-10-31 | 2008-05-15 | Jfe Steel Kk | 脆性亀裂伝播停止特性に優れた構造用高強度厚鋼板およびその製造方法 |
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