JPH0747779B2 - 連続焼鈍法による深絞り用冷延鋼板の製造方法 - Google Patents

連続焼鈍法による深絞り用冷延鋼板の製造方法

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JPH0747779B2
JPH0747779B2 JP1277973A JP27797389A JPH0747779B2 JP H0747779 B2 JPH0747779 B2 JP H0747779B2 JP 1277973 A JP1277973 A JP 1277973A JP 27797389 A JP27797389 A JP 27797389A JP H0747779 B2 JPH0747779 B2 JP H0747779B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、連続焼鈍法による深絞り用冷延鋼板を低コス
トで製造する方法に関するものである。
(従来の技術) 連続焼鈍法による冷延鋼板の製造方法は、過去多くの発
明がなされ、Tiを添加し深絞り用冷延鋼板を製造する方
法に関するものとしては、例えば、特公昭44-18066号公
報がある。又、Tiを添加せず、低炭素Alキルド鋼を用い
る方法も多数発明されており、例えば、特開昭51-66219
号公報がある。
Tiを添加する特公昭44-18066号公報は、優れた材質が得
られるが、高価なTiを添加したり、鋼のC含有量を極度
に低下せねばならないため、製鋼での脱炭処理コストが
多大となる等、製造コストが多大となり過ぎるという問
題がある。
一方、低炭素Alキルド鋼を用いる方法は、連続焼鈍法で
製造されたコイルのTop部、Bottom部の材質劣化が多
く、深絞り用冷延鋼板としての要求材質を満足しないた
め歩留まり落ちという製造コスト並びに生産性が大きく
劣化するという問題がある。
この原因は、低炭素Alキルド鋼を用いる方法では良好な
材質を得るためには、熱間圧延に際し高温捲き取りを行
わねばならないが、通常行われる高温捲き取りの方法で
は、捲き取った後のコイルの内周は捲き取り機のリール
に接し急速に冷却され、外周は大気で早く冷却される。
そのため、高温捲き取りを行ってもT,B部は実質的には
低温捲き取り相当となり、コイルの内外周はAlNの析出
やセメンタイト凝集粗大化が不十分となり、材質の劣化
が生じるのである。
このAlキルド鋼のT,B部の問題点を解決する従来法の代
表的なものとして、特開昭51-66219号公報がある。しか
し、この方法は、同公報第3図に示されているように低
炭素Alキルドに適用した場合は値が1.3〜1.4と低く、
本発明の方法が目的とするような深絞り用冷延鋼板には
適用できない材質しか得られない。
以上の如く、連続焼鈍法による深絞り用冷延鋼板を低コ
ストで製造する方法はない。
(発明が解決しようとする課題) 本発明が解決しようとする課題は、低コストな素材であ
る低炭素Alキルド鋼を用い、コイルのT,B部の材質劣化
がない連続焼鈍法による深絞り用冷延鋼板の製造方法を
提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明者等は、低コストな低炭素Alキルド鋼を用い、コ
イルのT,B部の材質劣化がない連続焼鈍法による深絞り
用冷延鋼板の製造方法について種々検討し、連続焼鈍法
による深絞り用冷延鋼板の製造方法を初めて見いだした
ものである。
本発明の要旨はC:0.008〜0.035%、Si:0.003〜0.10%、
Mn:0.05〜0.35%、P:0.001〜0.10%、S:0.001〜0.030
%、sol.Al:0.020〜0.10%、N:0.0005〜0.0060%、残部
の不可否的不純物及び鉄よりなる溶鋼を連続鋳造又は、
インゴット法にてスラブとなし、熱間圧延、酸洗、冷
延、過時効処理を有する連続焼鈍の工程を経る深絞り用
冷延鋼板の製造方法において、スラブの加熱温度(以下
SRTという)を1000℃〜1170℃とし、890〜960℃で仕上
げ圧延を終了し、熱延鋼帯の長手方向の最Topより18m以
上且つ最Bottomより15m以上はランナウトテーブル(以
下ROTという)上に注水冷却を行い、熱延鋼帯の最Topり
18m未満を850℃、最Topより18m以上50m未満を18mの位置
の温度を760℃、50mの位置の温度を740℃とし、その間
をその二点の温度を直線で結んで求められる温度、最To
pより50m以上且つ最Bottomより30m以上を740℃、最Bott
omより30m未満15m以上を30mの位置の温度を740℃、15m
の位置の温度を760℃とし、その間をその二点の温度を
直線で結んで求められる温度、最Bottomより15m未満を8
20℃、を上限の捲き取り温度(以下CTという)とし、且
つ、熱延鋼帯の最Topから5m未満を760℃、最Topより5m
以上30m未満を5mの位置の温度を710℃、30mの位置の温
度を680℃とし、その間をその二点の温度を直線で結ん
で求められる温度、最Topより30m以上且つ最Bottomより
15m以上を660℃、最Bottomより15m未満5m以上を15mの位
置の温度を680℃、5mの位置の温度を700℃とし、その間
をその二点の温度を直線で結んで求められる温度、最Bo
ttomより5m未満を720℃、を下限の捲き取り温度とし、
ランナウトテーブル上で制御冷却して捲き取ることを特
徴とする連続焼鈍法による深絞り用冷延鋼板の製造方法
である。
以下に本発明の方法について詳細に述べる。
本発明者等は、低炭素Alキルド鋼を用い連続焼鈍法によ
る深絞り用冷延鋼板の製造方法について種々検討した。
最初に従来法の特開昭51-66219号公報に記載されている
C含有量が0.05%と高いAlキルド鋼を用いて、軟質冷延
鋼板では無く、値の高い深絞り用冷延鋼板の製造方法
を検討した。その結果、熱延時のスラブ加熱温度が1250
℃と高い場合には、CTを730℃としても同公報にあるよ
うに値が1.4前後と深絞り用冷延鋼板の必要材質を満
たすことができなかった。
次に、本発明者等は、C含有量が0.05%と高いAlキルド
鋼を用いて、値を向上させる方法について種々検討
し、熱延圧延を行うに際し、スラブの加熱温度を1050℃
のような低温加熱とする方法を、更に、熱延鋼板のT,B
部の材質劣化の防止と、高温捲き取りでの熱延鋼帯の粗
大結晶粒(冷延鋼板をプレス加工時に異常に大きなオレ
ンジピールの発生となる=「肌荒れ」と記す)の防止の
ために、特開昭51-66219号公報の方法のROT上熱延コイ
ルのT,B部各20m〜200mに渡り冷却水を噴出すること無く
捲き取る方法とを併用する方法を検討した。
その結果、値を向上させるのに対し改善効果が認めら
れたが、3つの大きな問題点があることがわかった。
一点目は、熱延コイルの最内外周部に当たるT,B部各3
〜7mを除くROT上で冷却水を噴射すること無く捲き取っ
たT,B部位(20m〜200m)及びその内側の若干の部位の熱
延板結晶粒が粗大結晶粒となってしまうこと、二点目
は、M部の材質と熱延板結晶粒の粗大化の回避とが両立
できる温度範囲がないこと、三点目は、熱延コイルの最
内外周部に当たるT,B部各20m,10mの値が低く歩留まり
劣化が大きいことである。
深絞り用冷延鋼板の製造方法は、低温スラブ加熱に特開
昭51-66219号公報を併用する方法では連続焼鈍法での深
絞り用冷延鋼板の製造ができないことがわかった。
そこで、本発明者等は、低温スラブ加熱法で熱間圧延す
る方法において、特開昭51-66219号公報の方法で捲き取
ったときに、同公報に記載されているように熱延板結晶
粒の粗大化なしに熱延コイルとすることがなぜできなか
ったかについて検討した結果、同公報の場合はスラブ加
熱段階(同公報の記載内容、値レベル、本発明者等の
研究結果等から1200℃以上と推定)ではAl,Nが固溶して
おり、熱間圧延途中から捲き取り後の初期にかけて、Al
Nが熱延板の結晶粒界に多数析出する。その析出物が、
捲き取り後の高い温度域での熱延板の結晶粒の異常粒成
長(粗大化)を阻止したものと思われる。
しかし、本発明者等の低温スラブ加熱の上記実験の場合
は、低温スラブ加熱段階においてAl,Nの多くはAlNとし
て既に析出しており、その結果、粗大結晶粒を抑制する
熱間圧延途中から捲き取り後の初期にかけて熱延板結晶
粒界に析出するAlNが少なくなってしまい結晶粒の粗大
化が容易に起きてしまったものと考えられる。
又、この結晶粒界に析出するAlNは連続焼鈍時にも、再
結晶粒の粒成長も抑制し、特開昭51-66219号公報のよう
に低い値の冷延鋼板しか製造できなくしてしまうこと
がわかった。
以上の予備実験の結果、Alキルド鋼を素材とした連続焼
鈍法による深絞り用冷延鋼板の製造方法を実現させるに
は、特開昭51-66219号公報の結晶粒界に析出するAlN
とは別のメカニズムで、熱延板結晶粒の粗大化を阻止で
き、且つ、値も低下させないメカニズムの方法を見
いだすことが不可欠であることがわかった。
そこで更に、本発明者等は、先ず基礎実験として、この
とを両立させる方法について種々の実験を行い、熱
延板結晶粒の粗大化阻止の工業化可能な新しい方法とし
て、Alキルド鋼のC含有量を0.035%以下に規制する方
法が優れていることを見いだした。
C含有量を0.035%以下に規制する方法が熱延板結晶粒
の粗大化を抑制する効果が大きいのは、C含有量を0.03
5%以下にすることによって熱間圧延後変態し生じるα
粒の結晶粒径が大きくなる、その結果、その大きなα粒
は安定で異常粒成長が生じがたく、捲き取り後の高い温
度域での熱延板の結晶粒の異常粒成長(粗大化)を阻止
し得たものと考えられる。
即ち、AlNではなく、熱間圧延後変態し生じる大きなα
の結晶粒によっても異常粒成長の阻止が可能であるとい
う新しいメカニズムと、それを工業化可能な方法として
C含有量を0.035%以下に規制する方法を見いだすこと
に成功した。又、この方法はAlNを利用していないし、
しかも低C化の方法であるので、の値は向上する方
法である。
尚、C含有量を0.035%以下に規制することで、熱間圧
延後変態を生じるα粒の結晶粒径が大きくなる理由は、
低C化によって変態温度が高くなることによる効果と、
C含有量の低下による変態時のα粒径UPとによってα粒
が大きく且つ安定となったものと考えられる。更に、大
きなαの結晶粒によっても異常粒成長の阻止が可能とな
るのは、大きな結晶粒程隣接する他の結晶粒を食って異
常粒成長するのに要する熱エネルギが大きくなるためと
考えられる。
以上の基礎実験で得たC含有量を0.035%以下に規制す
ることによる熱延板の結晶粒の異常粒成長の阻止効果を
ベースに、連続焼鈍法による深絞り用冷延鋼板の製造方
法について種々の実験を行い、C:0.008〜0.035%と
し、スラブの加熱温度を1000℃〜1170℃とし、熱延
鋼帯の長手方向の最Topより18m以上且つ最Bottomより15
m以上はROT上で注入冷却を行い、熱延鋼帯の最Topから1
8m未満を850℃、最Topより18m以上50m未満を18mの位置
の温度を760℃、50mの位置の温度を740℃とし、その間
をその二点の温度を直線で結んで求められる温度、最To
pより50m以上且つ最Bottomより30m以上を740℃、最Bott
omより30m未満15m以上を30mの位置の温度を740℃、15m
の位置の温度を760℃とし、その間をその二点の温度を
直線で結んで求められる温度、最Bottomより15m未満を8
20℃を上限の捲き取り温度とし、且つ、熱延鋼帯の最To
pから5m未満を760℃、最Topより5m以上30m未満を5mの位
置の温度を710℃、30mの位置の温度を680℃とし、その
間をその二点の温度を直線で結んで求められる温度、最
Topより30m以上且つ最Bottomより15m以上を660℃、最Bo
ttomより15m未満5m以上を15mの位置の温度を680℃、5m
の位置の温度を700℃とし、その間をその二点の温度を
直線で結んで求められる温度、最Bottomより5m未満を72
0℃を、下限の捲き取り温度とし、ROT上で制御冷却して
捲き取ることの3点を主たる特徴とする連続焼鈍法によ
る深絞り用冷延鋼板の製造方法を見いだすことに成功し
た。
C含有量は、上記にも述べたように重要なポイントで、
0.008%未満になると過時効処理中の析出速度が遅くな
り時効特性が劣化するようになるので、下限を0.008%
以上とした。又、C含有量が0.035%超になると、熱延
板結晶粒の粗大化が発生し易くなるとともに値が低下
するようになるので上限を0.035%とした。
Siは、0.003%未満とすることは困難であり、又、0.1%
超含まれると塗装時の塗膜密着生が劣化するようになる
ので、Si含有量の範囲は0.003%〜0.035%とした。
Mnは、通常の製鋼法では0.05%未満とするとは困難であ
り、又、0.35%超含まれると値の低下が大きくなるの
で、Mn含有量の範囲は0.05%〜0.35%とした。
Pは、通常の製鋼法では0.001%未満とすることは困難
であり、又、0.10%超含まれると二次加工生の低下が大
きくなるので、P含有量の範囲は0.001%〜0.10%とし
た。
Sは、通常の製鋼法では0.001%未満とすることは困難
であり、又、0.030%超含まれると値の低下が大きく
なるので、S含有量の範囲は0.001%〜0.030%とした。
sol.Alは、熱延時の低温スラブ加熱段階でAlNとして析
出のまま存在させるために必要な元素で、0.020%未満
になると低温スラブ加熱でもAlNが再固溶し、捲き取り
時あるいは連続焼鈍法時に微細なAlNが析出し値の低
下が生じる。又、0.10%超含まれると固溶体強化が目立
ち始め値等の低下が大きくなるので、sol.Al含有量の
範囲は0.020%〜0.10%とした。
Nは、通常の製鋼法では0.0005%未満とすることは困難
であり、又、0.0060%超含まれると値の低下が大きく
なるので、sol.Al含有量の範囲は0.0005%〜0.0060%と
した。
スラブの鋳造条件は、特別に規制する必要が無く、連続
鋳造法でも良く、インゴット法でも良い。熱延条件は、
先に述べたように重要な要素である。スラブの加熱に至
るまでの熱履歴は特に規制する必要がなく、スラブを一
旦冷片と成したのち加熱炉に挿入しても、熱片の状態で
加熱炉に挿入しても良い。
スラブ加熱温度は、Al,NをAlNとして析出させ連続焼鈍
後の製品の値を高くするのに重要な役割を有してお
り、より低い加熱温度にすることが望ましく、1170℃超
では固溶のAl,Nが多くなり、深絞り用鋼板に必要な値
が得られなくなる。又、1000℃未満となると深絞り用冷
延鋼板の製造に必要な熱延仕上げ温度が確保できなくな
るので、スラブ加熱温度の範囲を1000℃〜1170℃とし
た。
熱延仕上げ温度は、Ar3点以上の温度の確保は勿論であ
るが、本発明の方法の熱延板結晶粒の粗大化防止法の変
態後のα粒の粗大化のためにはより高温であることが望
ましいが、工業的には低温スラブ加熱の場合は960℃が
限度である。又、本発明の場合の粗大粒が発生しない限
界の仕上げ温度は、種々の実験の結果890℃であったの
で、仕上げ温度の範囲は890℃〜960℃とした。
ROT冷却条件は、種々の実験の結果、捲き取り時に、熱
延鋼帯の少なくとも最Topより18m以上且つ最Bottomより
15m以上をROT上で注入冷却を行い、制御冷却し、本発明
の方法の捲き取り条件範囲に確実に入れるよう冷却する
ことである。少なくとも最Topから18m以上且つ最Bottom
より15m以上をROT上で注入冷却を行うのは、低温スラブ
加熱でFTを890℃以上確保するため高速で熱間圧延を行
う必要があり、且つ890℃以上の高いFTから限られたROT
長さで本発明の方法の捲き取り温度の範囲に冷却するに
は注入冷却が必要であるためである。
次に望ましくは仕上げ温度から830℃までの温度範囲を4
0℃/sec以下で冷却することが粗大粒の発生をより確実
に行う上で好ましい。
捲き取り温度は極めて詳細に規制することが重要で、本
発明者等の数多くの実験の結果、素材成分、熱延条件を
厳しく限定し、更に、熱延鋼帯の長手方向の最Topより1
8m以上且つ最Bottomより15m以上はROT上で注入冷却を行
い、熱延鋼帯の最Topから18m未満を850℃、最Topより18
m以上50m未満を18mの位置の温度を760℃、50mの位置の
温度を740℃とし、その間をその二点の温度を直線で結
んで求められる温度、最Topより50m以上且つ最Bottomよ
り30m以上を740℃、最Bottomより30m未満15m以上を30m
の位置の温度を740℃、15mの位置の温度を760℃とし、
その間をその二点の温度を直線で結んで求められる温
度、最Bottomより15m未満を820℃、を上限の捲き取り温
度とし、且つ、熱延鋼帯の最Topから5m未満を760℃、最
Topより5m以上30m未満を5mの位置の温度を710℃、30mの
位置の温度を680℃とし、その間をその二点の温度を直
線で結んで求められる温度、最Topより30m以上且つ最Bo
ttomより15m以上を660℃、最Bottomより15m未満5m以上
を15mの位置の温度を680℃、5mの位置の温度を700℃と
し、その間をその二点の温度を直線で結んで求められる
温度、最Bottomより5m未満を720℃を、下限の捲き取り
温度とし、ROT上で制御冷却して捲き取ることで初め
て、熱延板結晶粒の粗大化もなく、深絞り性に優れた冷
延鋼板の製造が可能となったのである。
熱延鋼帯長手方向の各位置の捲き取り温度が、本発明の
方法の温度の上限を超えると熱延板結晶粒が粗大化が生
じ、熱延鋼帯長手方向の各位置の捲き取り温度が、本発
明の方法の温度の下限を下回ると、値が低下し深絞り
用冷延鋼板が得られなくなるので上記のように規制し
た。
冷間圧延は、通常冷延鋼板に行われているような冷延率
で冷延すればよく、特に限定する必要はないが、より高
い値を得るためには冷間圧延率を70%以上とするのが
好ましい。
連続焼鈍は、通常行われているように、再結晶焼鈍後時
効性を向上させるための過時効処理のある冷延鋼板用の
連続焼鈍法でよいが、より高い値を得るためには焼鈍
温度を750℃以上とするのが好ましい。
(実施例) 第1表に示す製造条件で4.0mmの熱延コイルを製造し、
0.80mmに冷間圧延を行い、第1表の連続焼鈍条件で製造
した冷延鋼板の値と肌荒れを調査し、その結果を第2
表に示す。
冷延鋼板の値と肌荒れの調査は調質圧延後の冷延鋼帯
の長手方向5ケ所を調査し、熱間圧延時の熱延鋼帯の最
Topより5mの位置に相当する冷延鋼帯の位置をT1部、最T
opより30mの位置に相当する位置をT2部、中央部の位置
に相当する位置をM部、最Bottomより30mの位置に相当
する位置をB2部、最Bottomより5mの位置に相当する位置
をB1部と表示した。
鋼1,鋼2,鋼3は、何れも本発明の実施例で、値はコイ
ルの全長に渡り良好な値を示し、且つ、肌荒れも全く無
く、優れた深絞り用冷延鋼板が得られた。
鋼4は、C含有量が0.055%と高い比較例である。値
は低く特にT,B部の劣化が大きい。又、M部に軽度では
あるが、肌荒れが710℃のCTにも関わらず発生してお
り、本発明の方法の低C化の効果が大きいことがわか
る。
鋼5は、Pを0.075%添加した抗張力が35キロクラスの
深絞り用抗張力鋼に適用した本発明の実施例で、値は
コイルの全長に渡り良好な値を示し、且つ、肌荒れも全
く無く、優れた深絞り用抗張力冷延鋼板が得られた。
鋼6は、スラブ加熱温度が1250℃の比較例である。M部
の値は良好な値となったが、T1,B1部の劣化が激し
い。
鋼7は、捲き取り温度が630℃の低温均一捲き取りの比
較例で値が全く低い。鋼8は、捲き取り温度が710℃
の均一捲き取り温度の比較例で、M部の値は良好な値
となったが、T1,B1部の劣化が激しい。
鋼9は捲き取り温度が760℃の均一捲き取り温度の比較
例で、M部の値は非常に良好な値となったが、T2部、
M部、B2部の肌荒れが激しく全く製品にならなかった。
鋼10は、低温スラブ加熱の方法に、特開昭51-66219号公
報の捲き取り方法を適用し、M部を710℃で捲き取った
比較例(T,B部の無注水捲き取りの長さは35mとした。)
である。値は良好な値が得られるが、T2部、B2部に於
いて肌荒れが発生し製品にならなかった。これは無注水
部分が35mと長すぎた影響が大きく本願の低C化効果や
M部の捲き取り温度規制のみでは肌荒れの発生を完全に
抑制することができなかったためである。
*1:710−Uにおいて、710はM部の捲き取り温度を示
し、Uは巻き取り温度パターンを示す(詳細は下記に示
す)。
Uパターン:本発明の方法のCTパターンの実施例で、最
Topの位置から最Topより15mの間を無注水で800℃、最To
pより15m超の位置から注水冷却により、最Topより15m超
の位置のCTを750℃に制御し、漸次直線的にCTを下げて
いき最Topより30mの位置のCTを710℃、最Topより30mの
位置から最Bottomより20mの位置までのM部を710℃、最
Bottomより20mの位置より漸次直線的にCTを上げていき
最Topより8mの位置のCTを740℃にし、残りの最Bottomま
での間を760℃、で捲き取った。
Fパターン:全長が均一な捲き取り温度 Mパターン:低温スラブ加熱の方法に特開昭51-66219号
公報の捲き取り方法を適用した方法で、T,B部を各々35m
の長さを無注水で捲き取った。無注水冷却部のCTはTop
部が805℃、Bottom部が800℃であった。
(発明の効果) 以上に本発明の効果について詳細に説明したが、本発明
によれば、連続焼鈍法による深絞り用冷延鋼板を低コス
トなAlキルド鋼を用いて製造することが可能となり、そ
の工業的価値は大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤井 浩二 兵庫県姫路市広畑区富士町1 新日本製鐵 株式会社広畑製鐵所内 (72)発明者 西本 勇三 兵庫県姫路市広畑区富士町1 新日本製鐵 株式会社広畑製鐵所内 (72)発明者 濃野 通博 兵庫県姫路市広畑区富士町1 新日本製鐵 株式会社広畑製鐵所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で C :0.008〜0.035%、 Si:0.003〜0.10%、 Mn:0.05〜0.35%、 P :0.001〜0.10%、 S :0.001〜0.030%、 sol.Al:0.020〜0.10%、 N :0.0005〜0.0060%、 残部の不可否的不純物及び鉄よりなる溶鋼を連続鋳造又
    は、インゴット法にてスラブとなし、熱間圧延、酸洗、
    冷延、過時効処理を有する連続焼鈍の工程を経る深絞り
    用冷延鋼板の製造方法において、スラブの加熱温度を10
    00℃〜1170℃とし、890〜960℃で仕上げ圧延を終了し、
    熱延鋼帯の長手方向の最Topより18m以上且つ最Bottomよ
    り15m以上はランナウトテーブル上に注水冷却を行い、
    熱延鋼帯の最Topから18m未満を850℃、最Topより18m以
    上50m未満を18mの位置の温度を760℃、50mの位置の温度
    を740℃とし、その間をその二点の温度を直線で結んで
    求められる温度、最Topより50m以上且つ最Bottomより30
    m以上を740℃、最Bottomより30m未満15m以上を30mの位
    置の温度を740℃、15mの位置の温度を760℃とし、その
    間をその二点の温度を直線で結んで求められる温度、最
    Bottomより15m未満を820℃、を上限の捲き取り温度と
    し、且つ、熱延鋼帯の最Topから5m未満を760℃、最Top
    より5m以上30m未満を5mの位置の温度を710℃、30mの位
    置の温度を680℃とし、その間をその二点の温度を直線
    で結んで求められる温度、最Topより30m以上且つ最Bott
    omより15m以上を660℃、最Bottomより15m未満5m以上を1
    5mの位置の温度を680℃、5mの位置の温度を700℃とし、
    その間をその二点の温度を直線で結んで求められる温
    度、最Bottomより5m未満を720℃、を下限の捲き取り温
    度とし、ランナウトテーブル上で制御冷却して捲き取る
    ことを特徴とする連続焼鈍法による深絞り用冷延鋼板の
    製造方法。
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