JP4586699B2 - 熱延コイルの冷却装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ノズルならびに熱延コイルの冷却装置に関する。
例えば、金属板の中で最も多い帯鋼は、熱間圧延後、コイル状に巻き取られる場合が殆どであるが、その熱間圧延後にコイル状に巻き取られた金属板(以下、単に『熱延コイル』という)は、巻き取られた直後には、300〜900℃もの高温の状態にあるため、次の、酸洗、調質圧延(スキンパス)、せん断などの精整工程や、梱包などの出荷工程に供することは、製品の平坦度の悪化や、火災の発生などが懸念されるため、すぐには供することができず、例えば、100℃以下などの、ある程度の温度以下になるまで、一時、コイルヤードと称される熱延コイルの載置場にて待機させ、放冷させている場合が多い。
図10は、コイルヤードにて、熱延コイルを載置するようすの一例を示したものである。90は、コイルヤードを、そして、91は、熱延コイルを示しており、93はスキッドを、95はクレーンを、97は床面を、それぞれ示している。複数ある載置位置のスキッド93上あるいはここには図示しない別の置台などの上までクレーン95にて熱延コイル91を移動して載置し、先述のある程度の温度以下になるまで一時待機させ、放冷させる。
しかしながら、次工程で処理すべき金属板の材質や寸法のロットが、今熱間圧延されたばかりの金属板(熱延コイル)と似通っていて、すぐにその熱間圧延されたばかりの金属板を次工程に搬送して処理した方が操業上都合がよいことがあったり、あるいは、特定の需要家からの要求により、納期が非常に迫っている、などの特段の事情がある場合などもある。
自然空冷(先述の放冷に該当する)の場合は、そのまま載置されているだけであるが、前述の操業上の理由などにより冷却時間を短縮したい場合、例えば、熱延コイルに流体を噴きつけて強制冷却することもある。
そのような際、熱延コイルの強制冷却の方法には、主要なものとして、空冷と水冷があり、このことはすなわち、前述の流体には、空気と水とが主要な例として挙げられる、ということであるが、一方、例えば、冷却の方法の例である「空冷」をとってみれば、熱延コイルが自然に先述のある程度の温度以下になるのを待つ自然空冷と、ファン等により熱延コイルに空気を噴きつける強制空冷とがあることになる、と言えよう。
特許文献1には、熱延コイルの強制空冷に際し、冷却効率を高める観点から、熱延コイルの側面(円筒形面)に空気を噴きつけるべく、ファンにて空気をダクトに供給し、図11に示すように、熱延コイルの側面近傍に3つ設置された矩形スリット状のノズル98より、空気を熱延コイルの側面に噴きつけることが記載されている。
水冷の場合は、強制水冷とは称されないが、全て強制冷却に該当する。特許文献2には、図12に示すように、熱延コイルの側面を水冷することが記載されている。図12(a)のものは床から水を噴き上げるタイプのものであるが、図12(b)のものは熱延コイルの側面に対し、真横から水を噴きつけるようにするとともに、熱延コイルの内巻き部から冷却を開始し、内巻き側と外巻き側の温度差により生じた熱延コイルの間隙(BさらにはD)に冷却水を供給して冷却する処理を次第に内巻き側から外巻き側に向けて拡げていくことを記載している。
また、対象物(熱延コイル)に向けて空気を噴きつけるノズルの先端の形状は、単管状(先述の矩形スリット状のものもこれに該当)の場合が殆どであり、そのノズルの改良を考える場合でも、その形状は、単管状のものを踏襲する場合が一般的であり、その性能改善にあたっては、特許文献3などに記載されているように、例えば、図13(a)に正面図を示すような、単管内部の形状改善による圧力損失(エネルギー損失)の低減などを目的として、円形の中心線上5箇所に等間隔でノズル98を配置したようなものが主であった。なお、図13(b)は、図13(a)のC−C断面図である。
特許第3491127号公報 特開平6-122927号公報 特開2002-11383号公報
しかしながら、発明者らが検討したところによれば、上記各従来技術には、以下のような解決課題があった。
すなわち、上記特許文献1に記載の熱延コイルの冷却装置においては、熱延コイルの側面に大量の空気を噴きつけるべく大容量のファンが必要となり、ファンの建設費ならびにファンの運転費(電気代)もそれだけかかる。また、大量の空気をダクトにて供給するため、その過程での圧力損失を低減すべく、ダクトの寸法(断面積)も大きなものとなり、その結果、ダクトの建設費もかかる。また、ダクト自体が熱延コイル近傍の自然上昇流(ドラフト効果)を阻害し、冷却の妨げとなってしまう可能性もある。
また、上記熱延コイルの冷却装置におけるノズルの改良を考える場合、噴きつけるべき流体が、対象物に冷却の作用をより効果的に及ぼすためには、その運動量が大きいことが望ましいことから、流量あるいは速度を大きくすることが重要になる。
ここで、一般に、流量を大きくするには、例えば、空気を噴きつけるノズルであれば、ノズル周囲の流体(空気)が巻き込まれる作用(速度の速いところは分子が疎になり、周囲から分子が流入しようとする作用:ベルヌーイの法則)を利用することにより、ファンから供給すべき流体(空気)の流量を、巻き込まれる流体(空気)の流量の分だけ低減できることが、また、速度を大きくするには、ノズルから流体を噴射する際の速度の減衰をより小さくすることが、それぞれ手立てとして考えられる。しかし、
1.例えば、上記特許文献1に記載のもののように、ノズルの先端、すなわち、噴射口の断面の形状が、単純な形状、例えば、図14(a)に示すように、円形である、単管ノズルのような場合、噴射する流体11と周囲の流体12との接触面積が小さいため、周囲の流体が巻き込まれる効果は小さい。
2.1の問題を解決しようと、ノズルの先端、すなわち、噴射口の断面の形状を、例えば、先述の特許文献1に記載の図14(b)のもののように矩形スリット状とすれば、同一の断面積であっても、噴射する流体11と周囲の流体12との接触面積を大きくすることができるため、周囲の流体が巻き込まれる量と、その効果を大きくすることができる。しかし、一方、ノズルから流体を噴射する際の速度の減衰は大きくなり、また、噴射口の断面の形状を、矩形スリット状とすると、ノズルの横寸法が大きくなるため、図14(b)に示すように、同図14(a)に比較してもわかる通り、その設置にはより大きな空間が必要となる。
特許文献2に記載のような水冷によるものでも、以上述べたような事情は大体同じである。水の場合も空気を巻き込む。さらに、水冷の場合、特に、図12(b)に示したように、熱延コイルの側面に対し、真横から水を噴きつけるようにすると、熱延コイルが急激に冷却され過ぎて、製品金属板が歪んで形状平坦度が悪化したり、冷却の際に残留応力が金属板中に蓄積され、製品金属板をさらに例えばせん断加工する際などに、金属板が反ったり曲がったりする不具合が生じる可能性が出てくる、などの副作用がある、という問題もある。
特許文献3に記載のように、単管内部の形状改善により、圧力損失(エネルギー損失)の低減を図ろうとすれば、ノズル形状が複雑化し、加工に手間と時間とコストがかかる。図13(b)に示したように、それを複数使えば、その数に応じてコストがかかることは言うまでもない。
本発明は、上記のような種々の課題を解決し、ノズルの形状を、噴射する流体により巻き込まれる流体の量を大きくでき、ノズルから流体を噴射する際の速度の減衰も小さくできるとともに、構造簡単、加工も容易とし、建設費、運転費ともに大幅に低減できる熱延コイルの冷却装置を提供することを目的とする。
発明者らは、前記のような種々の課題を解決するために、様々な検討を行った結果、本発明に想到した。
すなわち、本発明の熱延コイルの冷却装置は、熱延コイルの表面または側面に流体を噴きつける熱延コイルの冷却装置であって、環状のスリット式のノズルから前記流体を噴きつけるものとし、前記環状のスリット式のノズルは、内側と外側の2重円管にて前記スリットを形成するのが好ましく、前記環状のスリット式のノズルの、流体を噴射する側と反対側の、スリットの間隙部分を、全体にわたり塞ぐようにし、前記内側の円管の内側は開くようにするのが好ましい。
上記のような熱延コイルの冷却装置において、さらにその冷却効果を高めるためには、かさ上げして載置された熱延コイルに向け流体を噴きつけるように配置され、前記環状のスリット式のノズルの先端を設置する高さは、前記熱延コイルの中心より低くするのが好ましい。
また、本発明の熱延コイルの冷却装置は、集合配管から、流体供給管経由で、複数の前記環状のスリット式のノズルに向け、流体を供給するようにしてもよく、その場合、流体の供給源から遠ざかるに従って、各環状のスリット式のノズルに通ずる前記流体供給管を通過するにつれ、漸次、集合配管の径を細くなるようにするのが好ましい。
本発明によれば、ノズルの形状を、噴射する流体により巻き込まれる流体の量を大きくでき、ノズルから流体を噴射する際の速度の減衰も小さくでき、しかもそれを加工も容易な簡単な構造で実現できるので、従来と比較して建設費、運転費ともに低減が可能な、熱延コイルの冷却装置を提供できる。
あるいはさらに、本発明の熱延コイルの冷却装置を使用するに際しては、熱延コイルを床面よりかさ上げして載置すれば、ドラフト効果をより促進することが可能であり、かつ、本発明の熱延コイルの冷却装置はコンパクトであるため、ドラフト効果が阻害されてしまうこともない。
その結果、本発明によれば、可及的に少ないエネルギーにて、熱延コイルの効果的な冷却が可能になるとともに、操業上の好都合につながったり、あるいは、納期上の事情に対応する自由度が増す、などの効果がある。
以下、本発明の一つの実施の形態について説明する。
図1は、本発明の環状のスリット式のノズルの一つの実施の形態について、ノズルの先端部分を抜出して、その作用がわかるよう、模式的に示したものである。図1中、10は、環状のスリット式のノズル全体を示し、11は、噴射する流体、12は、周囲の流体を示す。14は、内側の管(以下、内管)を、15は、外側の管(以下、外管)を示す。内管14と外管15の間隙部分が、環状のスリット式のノズル10を形成している。
上記のような環状のスリット式のノズル10によれば、内管14と外管15の間隙部分から空気などの流体を噴射することにより、周囲の流体12を巻き込む量の効果的な増加および速度減衰の抑制、ノズルの寸法のコンパクト化が可能となる。加工も特許文献3に記載の図13のようなものに比べ、はるかに容易である。それらの理由を、作用とともに、もう少し詳しく説明すると、以下のようになる。
1.環状のスリット式のノズル10を内管14と外管15の間隙部分により形成し、当該環状のスリット式のノズル10から空気などの流体を噴射することにより、矩形スリット状のノズルから噴射する場合と同等量の周囲の流体12を巻き込むことができ、同時に速度減衰も抑制することが可能である。その環状のスリット式のノズル10における環状のスリットの断面形状は、圧力分布および速度分布の周方向均一化の観点から、特に、円環状とするのが好ましい。また、矩形スリット状のノズルの断面を円環状に変更すれば、もしも、巻き込む周囲の流体12の量が同じとしても、ノズルの寸法のコンパクト化も可能である。
2.また、内管14と外管15により円環状のスリット式のノズル10が形成されるのであるが、本発明の環状のスリット式のノズルは、例えば、図2(a)に示すように、流体を噴射する側と反対側のスリットの間隙部分を塞がないで、ゴムホースや鉄管製の流体供給管16を、スリットの間隙部分に挿入することで、簡単に加工して製作することができる。このほか、図2(b)に示すように、その流体を噴射する側と反対側のスリットの間隙部分を塞ぐようにし、内管14の内側は開くようにすることにより、塞いだ側の後方の流体13を吸込み、反対側から噴射させることが可能となり、巻き込む周囲の流体12とあわせ、さらなる流量増加が期待できる。
ここで、さらに、図2(c)に示すように、流体供給管16を、外管15を貫通するかたちでその側面に接続することにより、内管14の内側を通過する流体の流れを妨げずに済み、加工して製作するのも容易である、等の効果が期待でき、これら効果を最大限発揮するためには、内管14と外管15の間隙部分の形状は、噴射する流体の周方向の圧力分布および流速分布の均一化の観点から、円環状とし、その間隙部分の面積、および内管14と外管15の間隔
(外管15の内径−内管14の外径)/2
は、冷却しようとする熱延コイルの冷却が十分にできる限度において、できるだけ小さくする方が、供給すべき流体の流量を少なくでき、供給装置をコンパクト化できるので、好ましい。前記内管と外管の間隔の好適範囲として、例えば1〜5mmが挙げられる。なお、図2中、17は、留め金である。
以上1、2を具現化するには、例えば、JIS配管を用いて本発明の環状のスリット式のノズルを製作する場合、円環状の間隙部分を形成できる最も径の近い2つの管を利用すればよく、40A−50A、65A−80A、80A−90A、90A−100Aの組み合わせなどが加工が簡単である。
流体供給管16を接続する場合、外管15の接線方向に接続する場合の接続角αを0°、外管15の法線方向に接続する場合の接続角αを90°とすれば、αは、0〜90°内のいかなる角度で接続してもよく、また、流体供給管16の径は、先述のように、冷却しようとする熱延コイルの冷却が十分にできる限度において、できるだけ小さくするのが好ましい。径を小さくすれば、噴射する流体の周方向の圧力分布および流速分布がより均一化し、外管15の外側の周囲の流体12の流れへの影響も軽微ですむからである。前記接続角αの好適範囲として、例えば45〜90°が挙げられる。前記流体供給管の径の好適範囲として、例えば20〜50mmが挙げられる。
噴射する流体の圧力は、例えば、空気を噴射する場合であれば、ノズルの根元で100mmH2O以上で効果が現れる。上限は特に定める必要性はないが、圧力供給装置仕様の現実性から、10000mmH2O以下とするのが好ましい。流体が水などの液体の場合も同様である。圧力供給装置の仕様としては、0.01〜1.0MPaとするのが好ましい。
以上の検討の末、図3に示すような、環状のスリット式のノズル10を、JIS配管80Aと90Aの組み合わせで構成し、流体供給管16として32Aのものを90A配管側面に接続角α=90°で(外管15の法線方向に)接続し、流体を噴射する側と反対側のスリットの間隙部分は、全体にわたり塞いだものを製作した。なお、図3(a)は全体斜視図、図3(b)は寸法入断面図である。
図4に、本発明を実際に熱間圧延ラインに付設のコイルヤードにおける、熱延コイルの冷却装置に適用した場合の例を示す。
その際の環状のスリット式のノズル10と熱延コイル91の相対的な位置関係は、円環状のスリット式のノズル10の中心線と熱延コイル91の中心線とのなす角θ=45°、ノズル10の先端から熱延コイル91の端面までの距離:L1=250mm、ノズル10の先端から熱延コイル91の外周までの距離:L2=200mmを満足するように設置すれば、熱延コイル91の幅が500mm以下の範囲内すなわちL1=250〜500mmの範囲内で変動しても、熱延コイル91の端面上の空気の流速分布は大きく変わらない。強制空冷の冷却効率は熱延コイル91の端面上の風速分布すなわち熱延コイル91の端面に沿って流れる空気の流量に依存するため、L1=250〜500mmの範囲内で変動しても、ほぼ同等の冷却性能を得ることができる。
本発明にいう環状のスリット式のノズル10は、1個の熱延コイル91あたり少なくとも1つ使用すればよいが、熱延コイル91の側面は2つあるから、熱延コイル91の側面あたり1つ以上使用する、というようにしてもよい。冷却効率の観点からは、空気は、熱延コイル91の側面(円形面)に噴きつけた方がよいが、表面(円周面)に噴きつけても無論冷却効果はあるから、本発明は、何らこれを妨げない。
図4に戻るが、環状のスリット式のノズル10は、熱延コイル91の略中心の方向、しかも、熱延コイル91の側面下側の方向を向くように設置されている。このように設置することにより、環状のスリット式のノズル10から噴射された空気は、熱延コイル91の側面下側に衝突した後、側面全体に拡散しながら、側面に沿って上昇することになる。
ここで、熱延コイル91の周辺には、熱せられた空気の上昇流ができ、それにより、さらに熱延コイル91が冷却される作用があるので(ドラフト効果)、本発明においては、環状のスリット式のノズル10から噴射される空気の流れにて、この上昇流ができる限り妨げられないようにすることが好ましく、逆に、環状のスリット式のノズル10から噴射される空気の流れと、熱延コイル91によって熱せられた空気の上昇流と、の相乗効果を利用した方がよい。
よって、環状のスリット式のノズル10から噴射される空気の流れが、熱延コイル91の側面に沿って、できるだけ鉛直上方に向かって流れるようにするべく、環状のスリット式のノズル10の設置位置は、理想的には、熱延コイル91の中心線を通る鉛直断面内であって、熱延コイル91の中心より下側でかつ熱延コイル91の側方に設置するのがよいが、実際には、その理想的な位置には、置台やスキッド等、何らかの周辺構造物があって設置できない場合もあるので、そういう場合は、可能な限り先述の理想的な位置に近づけて設置する。
このようなことから、図5の例では、熱延コイル91の中心線を通る鉛直断面内ではなく、集合配管18とスキッド93間に円環状のスリット式のノズル10を設置するようにしている。図5中では、2個の熱延コイル91に対し、集合配管18から、2本の流体供給管16経由で、2個の円環状のスリット式のノズル10に向け、空気を供給するようにしているが、本発明の熱延コイルの冷却装置は、このような実施の形態のものでも当然よい。なお、この図5のような実施の形態の場合、同図中でも示しているように、2個の円環状のスリット式のノズル10から空気を噴射し、2個の熱延コイル91に向け、空気を噴きつける方向は、各種、熱延コイル91の外径が変動したとしても、ほぼ、熱延コイル91の中心を向く方向になるように、2個の円環状のスリット式のノズル10とも、床面97に対して傾けて設置するようにするのが好ましい。
図5の例では、さらに、熱延コイル91に向け、空気を噴きつける方向が、各種、熱延コイル91の外径が変動したとしても、ほぼ、熱延コイル91の中心を向く方向になるように、熱延コイル91は、床面97よりかさ上げして載置されるよう、スキッド93あるいは、ここには図示しない置台などの高さを調整して、環状のスリット式のノズル10の先端を設置する高さが、熱延コイル91の中心より低くなるようにしている。なお、100は、熱延コイルの冷却装置全体を指す。
図6の例では、図5のような、2個の円環状のスリット式のノズル10から空気を噴射する実施の形態について、図5の紙面方向に、いくつも並べる形態で、本発明を実施する場合について示している。図6(a)は、集合配管18のようすを示す斜視図である。図6(b)は、配管端に接続され、空気を供給するためのポンプ(ターボファン)19を示す。図6(c)は、配管全長を模式的に示したもので、ポンプ(ターボファン)19から遠ざかるに従って、環状のスリット式のノズル10から空気が次々と噴射されて、供給される空気の圧力が低下してしまうので、これを防止するため、流体の供給源であるポンプ(ターボファン)19から遠ざかるに従って、環状のスリット式のノズル10に通ずる流体供給管16を通過するにつれ、漸次、集合配管18の径が細くなるようにしている。なお、100は、熱延コイルの冷却装置全体を指す。
なお、図6のものは、あくまで一例であり、円環状のスリット式のノズル10の列設数は、これに限るものではない。
図7(a)は、図3に示した円環状のスリット式のノズルを用いて、ノズルの根元での圧力を500mmH2Oとして、空気(30℃)を供給したときの、ノズルの先端における、スリットの間隙部分および内管の中心における速度分布を示したものである。
図7(b)は、図3に示した円環状のスリット式のノズルを用いて上記と同様にした場合の、空気の供給源側からの空気の供給量と、円環状のスリット式のノズル後方側での空気の吸込み量の関係を示したものである。
図7(a)より、流体供給管16と外管15の接続部に近い位置では、ノズルから流体を噴射する際の速度の低下があるものの、円環状のスリット式のノズルを形成する、内側と外側の円管の円周方向には、ほぼ均一な速度分布を形成できていることが分かる。
図7(b)より、本発明にいう環状のスリット式のノズルの一例である、図3に示した円環状のスリット式のノズルによれば、空気の供給源側からの空気の供給量の約2倍にあたる後方の空気を、吸込んで噴射できることが分かる。
図7(c)は、図3に示した円環状のスリット式のノズルを用いて上記と同様にした場合の、数値シミュレーションから分かった結果であるが、ノズル出側における周囲の空気の巻き込み量は、さらに大きく、空気の供給源側からの空気の供給量の10倍以上あると想定される。よって、上記条件において、空気の供給源側からの空気の流量1に対して12倍以上の流量増加効果が見込まれることになる。
図8は、図3に示した円環状のスリット式のノズルを用いて、実際に熱間圧延ラインに付設のコイルヤードにて実機実験を行い、その強制空冷の効果を検証した結果である。図3に示した円環状のスリット式のノズルを熱延コイルの片側の側面にだけ1つ設置し、ノズルの根元での圧力:300mmH2O、供給源側からの空気の流量:60(Nm3/Hr)にて実験を行った結果、夏場(8月1日〜8月4日)、コイル内部最高温度が40℃となるまでに、自然空冷にて4日間(96hr)必要であった冷却時間を、3日間(72hr)以内に短縮できることがわかった。これは、熱延コイル側面の熱伝達係数に換算して、自然空冷と比較し、+10(kcal/m2・h・℃)以上の冷却促進効果があることを意味する。
夏場、冷却時間を3日以内にするという同様の目的をもった先述の特許文献1の強制空冷のための装置と比較した場合、供給源側からの空気の流量を、1/20程度に削減でき、その結果、運転費(電気代)を1/3程度に抑制することができた。また、建設費も、もともとコンパクトであることに加え、配管系統を全てJIS規格品にて構成することにより大幅な削減が可能となった。
以上の通りであるが、本発明は、上記の各実施の形態に限られるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。例えば、上記の実施の形態では、全て、空気を熱延コイルに向け噴きつけるものとして説明したが、本発明は、これに限るものではなく、空気以外の気体を噴きつけるものであってもよいし、気体に替え、水その他の液体を噴きつけたとしても、同様に冷却効果を得られる。また、上記の各実施の形態は、組み合わせて実施することも可能であり、その場合には、組み合わせによる効果が得られる。さらに、本発明には、上記の各実施の形態よりも上位、下位の概念に相当する発明も含まれるものとし、また、当然ながら、それら同士も、適宜な組み合わせにより、種々の実施の形態があり得る。このほか、例えば、図9に示すごとく、環状のスリット式のノズルの断面形状が、楕円や四角であるなど、本発明の構成要件のうち幾つかが別な形態のものに置換されたとしても、本発明の作用効果が期待される場合には、それも本発明の範囲に入るものとし、あるいは、本発明の構成要件に加え、周知慣用技術を適宜組み合わせたものも、本発明の範囲に入るものとする。
本発明の一つの実施の形態について、模式的に説明するための図 本発明の別の実施の形態について、模式的に説明するための図 本発明にいう環状のスリット式のノズルの一例について説明するための図 本発明の一つの実施の形態について、模式的に説明するための図 本発明の別の実施の形態について、模式的に説明するための図 本発明のまた別の実施の形態について、模式的に説明するための図 本発明の作用効果を検証した結果を示す図 本発明の効果を検証した結果を示す図 本発明のさらに別の実施の形態について、模式的に説明するための図 従来からあるコイルヤードの一例のようすを示す図 従来の熱延コイルの強制空冷のようすを示す図 従来の熱延コイルの水冷のようすを示す図 従来のノズルの単管内部の形状を工夫した例を示す図 従来のノズルの問題点について説明するための図
符号の説明
10 環状のスリット式のノズル
11 噴射する流体
12 周囲の流体
13 後方の流体
14 内管
15 外管
16 流体供給管
17 留め金
18 集合配管
19 ポンプ(ターボファン)
90 コイルヤード
91 熱延コイル
93 スキッド
95 クレーン
97 床面
98 ノズル(従来)
100 熱延コイルの冷却装置

Claims (4)

  1. 熱延コイルの表面または側面に流体を噴きつける熱延コイルの冷却装置であって、環状のスリット式のノズルから前記流体を吹きつけるものとし、該環状のスリット式のノズルは内側と外側の2重円管にて前記スリットを形成したものであり、且つ、該環状のスリット式のノズルの、流体を噴射する側と反対側の、スリットの間隙部分を、全体にわたり塞ぐようにし、前記内側の円管の内側は開くようにしたものであることを特徴とする熱延コイルの冷却装置。
  2. かさ上げして載置された熱延コイルに向け流体を噴きつけるように配置され、前記環状のスリット式のノズルの先端を設置する高さは、前記熱延コイルの中心より低いことを特徴とする請求項に記載の熱延コイルの冷却装置。
  3. 集合配管から、流体供給管経由で、複数の前記環状のスリット式のノズルに向け、流体を供給することを特徴とする請求項1または2に記載の熱延コイルの冷却装置。
  4. 流体の供給源から遠ざかるに従って、各環状のスリット式のノズルに通ずる前記流体供給管を通過するにつれ、漸次、集合配管の径を細くなるようにしたことを特徴とする請求項に記載の熱延コイルの冷却装置。
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