JP3328473B2 - スナップ部材の外し力測定装置 - Google Patents

スナップ部材の外し力測定装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は衣服の生地に取りつ
けたスナップファスナーのスナップ部材の外し力を測定
する装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】衣服にはソケット部材と称する雌スナッ
プ部材及びスタッド部材と称する雄スナップ部材（以下
総称してスナップ部材という）よりなるスナップファス
ナーが大量に使用されているが、米国におけるＰＬ法並
びに小型部品に対する規制により、衣料品メーカーはス
ナップ部材の外し力を保証することが要求されることに
なった。スナップファスナーは雌雄スナップ部材を弾発
的に脱着させる構造を有し、これらのスナップ部材は衣
服の生地の重畳する合わせ面に対向して取りつけられ
る。その際に、各スナップ部材は、プロング部材と称す
るフランジ状または環状の基部から数本の細い突起又は
柱状体を起立した取付部材を使用して各生地に取りつけ
られる。衣服の生地に取付けられたスナップ部材が生地
から簡単に外れると、幼児がスナップ部材や取付部材を
飲み込んだりする恐れがあるので、あるスナップ部材の
外し力は一定以上の値が保証されなければならない。こ
のため縫製工場において外し力の検査が必要となった。
我が国でもＰＬ法が施行されたのでやがてこの種の検査
が必要となる可能性がある。この規制には測定方法に対
する規定がないため各社独自に行っており、ばらつきが
多く、適正な判断ができない問題点がある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】上に述べたように、ス
ナップ部材の外し力を測定する従来の方法には今のとこ
ろ確実な方法がなく、ばらつきが多く、適正な判断がで
きない問題点がある。本発明は、スナップ部材の外し力
を正確且つ迅速に測定できる装置を提供することを目的
とする。
【０００４】
【課題を解決するための手段】本発明者はスナップ部材
の外し力をばらつきが少なく、適正に評価できる測定方
法を鋭意研究したところ、次の方法が最も適正で再現性
の良い（ばらつきの少ない）測定が可能となることが分
かった。（１）スナップファスナーのスナップ部材（ソ
ケット部材またはスタッド部材）をプロング等の取付部
材により取りつけた衣服の生地を、スナップ部材の周囲
で押え、（２）またそれと前後してスナップ部材をその
側面と直角な方向に力を掛けて拘束し、次いで（３）ス
ナップ部材を生地への取り付け面に対して直角な方向に
引っ張る。本発明はこれらの工程を実現するための、ス
ナップ部材の外し力の測定装置であり、衣服の生地をス
ナップ部材の周辺で押える手段と、ソケット部材の側面
を拘束する手段と、スタッド部材を取付け面に対して直
角に引張る引張手段と、この引張手段の引張力を測定す
る手段とよりなる。なお、外し力の測定は破壊試験であ
るので、スナップ部材を取りつけた個々の衣料品の外し
力を直接に示すものではないが同じ部材と工程で取りつ
けられたスナップ部材の外し力を保証する。これを非破
壊試験として所定の引張力でスナップ部材が外れなけれ
ばそれ以下の力に対しては具体的な保証となる。従っ
て、本発明の測定装置はこの両者の試験を実施できるこ
とは明らかであり、本発明による外し力測定とはこれら
の両者を含むことと理解されたい。
【０００５】より詳しく説明すると、スナップ部材を取
りつけた生地を載せ台（ステージ）に載せ、生地を押さ
えるためのほぼ水平に伸びる腕を水平軸の周りに回転し
て、腕の好ましくは環状の先端でスナップ部材の周辺を
押える。この腕を枢動させる手段としては、腕の後端に
結合された一端を有するリンクと、このリンクの他端を
枢着したリンクホルダーと、リンクホルダーを摺動自在
に支持する腕調整ダイアルと、腕調整ダイアルの中心ネ
ジ孔にネジ込んだ固定ネジ軸とよりなるものを使用する
ことができる。このようにして、容易且つ安定に生地を
押えることができる。この腕調整ダイアルは、手動で回
転させても良いし、あるいは電動機により回転させても
良い。
【０００６】また、スナップ部材の側面を拘束する手段
としては、拘束したスナップ部材が引張中にこの拘束手
段から外れることが無いようにする必要がある。このた
めには、この拘束手段をスナップ部材の側面に水平方向
から係合自在の先端部を有する複数のジョーと、ジョー
の各々を支持する水平軸と、ジョーの後端に作用して前
記水平軸の周りに枢動させる手段とから構成し、特に好
ましくはジョーのスナップ部材の側面に水平方向から係
合自在の先端部は、スナップ部材との係合面がほぼ垂直
であるようにすると外れにくいことが分かった。また、
ジョーの後端に作用して前記水平軸の周りに枢動させる
手段は、ジョーの後端内面に作用するテーパ面を有する
ジョー調整ダイアルと、前記ジョー調整ダイアルの中心
ネジ孔にネジ込んだ固定垂直ネジ軸とよりなる。ここで
もジョー調整ダイアルは手動でも電動でも良い。
【０００７】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して本発明の実
施例を詳しく説明するが、例示であって限定と解しては
ならない。図１〜２は本発明の好ましい実施例による外
し力測定装置の全体図を示し、図１は正面図、図２は右
側面図である。基礎フレーム４の上に直立フレーム３が
ブラケット５、５により固定され、直立フレームの上部
にはブラケット６、６により支持フレーム２が固定され
ている。支持フレームの前面には垂直なありほぞ溝が形
成され、その中にありほぞ溝と相補形断面を有する摺動
部材７が受けられている。摺動部材７はゲージ保持板１
を支持している。以上の部材は例えばアルミニウム等の
金属で製作される。引張力測定ゲージ２０がこのゲージ
保持板１に支持されている。ゲージ保持板１の上端には
頂板８が固着されており、頂板８に形成された垂直孔に
は、支持フレーム２に垂直に切られた雌ネジにネジ込ま
れた垂直なネジ付ボルト９の頂部が嵌合されている。ネ
ジ付ボルト軸９はプラスチックワッシャー１２、１２を
介して頂板８の上下面に接する大径部を有することによ
り、ネジ付ボルト９の上下動に頂板８が追従するように
なっている。ネジ付ボルト９の上端にはプラスチック製
のホイール１０が取りつけられ、手動又は電動により回
転されるようになっている。この構造により、ホイール
１０を回転させると、ネジ付ボルト９が回転するので、
リード軸は上下動し、それにつれてゲージ保持板１も上
下動し、引張力測定ゲージ２０が上下動する。
【０００８】ゲージ２０は市販の引張りゲージが使用で
きる。引張りゲージ２０の下端からは樹脂製チューブ１
８を被せたチェーン１７が延び出しており、その下端の
ジョイント１６に終端している。ジョイント１６の下面
側には垂直なネジ孔が切られ、このネジ孔へは垂直なネ
ジ付きボルト１５の上端がネジ込まれている。ネジ付き
ボルト１５の下端には、以下で詳細に説明する引張手段
を構成するジョー２４及びジョー調整ダイアル２１が支
持されている。
【０００９】基礎フレーム４の上面には更に支持マウン
ト１４が固定され、支持マウント１４とからは支持ボル
ト１３が直立している。支持ボルト１３の上端は支持ブ
ロック２９のネジ孔にネジ込まれている。この支持ブロ
ック２９は次の詳細に述べる試験台の生地支持ステージ
及び生地を押える手段を支持している。
【００１０】試験台と引張手段の詳細を次の図３〜５に
関連して詳細に説明する。図３は図１の正面部分拡大図
であり一部を断面で示した。図４は図１のＩＶ−ＩＶ平
面図であり、図５は図４のＶ−Ｖ断面図である。支持ブ
ロック２９には垂直円筒部材２８が止めネジで固定さ
れ、垂直円筒部材２８及び垂直孔には生地及びスナップ
部材を支持する平坦な頂面を有するダイ２７の円筒状の
脚１９がポリウレタンゴムのような可撓性リング３７を
介在して嵌合されている。これにより、生地押え手段か
ら加わる力が過大になることを避けることができる。
【００１１】ダイ２７の頂面には生地を釦のスナップ部
材の周辺で押えるために環状の先端を有する押え腕３０
が延びており、この腕３０は、支持ブロック２９にボル
トで一体に固定された腕支持ブロック３５に取りつけら
れた水平軸３８に支承されている。押え腕３０の後端に
はピン３４によりリンク３３の前端が取りつけられてお
り、リンク３３の後端はピン４０によりほぼ円板状のリ
ンクホルダー３２に取りつけられている。リンクホルダ
ー３２はリンク３３の後端と嵌合する溝を有するので回
転はしないように拘束されるが、中心軸線に沿って移動
できる。リンクホルダー３２は、腕支持ブロック３５に
固定された水平ネジ軸３６の雄ネジに螺合した腕調整ダ
イアル３１のスリーブの周りにベアリング４２を介して
支持されている。図の４５はリンクホルダー３２のため
の保持ワッシャーであり、４３はダイアル３１のための
スラストベアリングであり、４４、４４は保持ワッシャ
ーである。ダイアル３１を時計方向に回すとダイアル３
１は図４〜５で左に移動するので、これにつれてリンク
ホルダー３２も左に移動し、リンク３３を左に押す。こ
れにより生地押え腕３０は水平軸３８の周りに反時計方
向に枢動して、環状の先端の空所にスナップ部材を配置
した状態で生地を押えることができる。なお、ダイアル
は手動または自動操作し得る。
【００１２】次に、スナップ部材の側面を押える手段を
説明する。図３〜５において、張力測定ゲージ２０から
下方に延びる鎖の下端に結合されたジョイント１６に
は、ネジ付きボルト１５が結合されることを述べた。ネ
ジ付きボルト１５の下端の拡大部には水平なジョー支持
板２６が支持されている。ジョー支持板２６には水平な
枢着ピン３９により図では３個のジョー２４が取りつけ
てある。図７に示すように、ジョー２４の下端は先細と
なり、且つ内面４６がほぼ垂直になっている。この内面
４６は厳密に垂直になる必要はないが、これらの内面が
垂直軸線に対して傾斜しすぎると、スナップ部材の保持
が確実とならず、測定に誤差を生じる。ジョー２４の上
端の外周には円周溝が形成され、そこに環状にしたコイ
ルスプリング４１が挿入されて常時ジョー２４を下端が
開放する方向に偏位させておく。ジョー２４の上部で、
ネジ付きボルト１５には、ジョー調整ダイアル２１のネ
ジ孔が螺合して、またジョー調整ダイアル２１の下方に
突出する円錐台部がジョー２４の上部内側面を押すこと
ができるようになっている。ここでもジョー調整ダイア
ル２１の回転は手動でも良いし自動でも良い。この構造
であるから、ジョー調整ダイアル２１を垂直軸線の周り
に時計方向に回転させると、ジョー２４は水平枢着ピン
３９の周りに枢動して、スナップ部材の側面を握持す
る。
【００１３】
【作用】上の説明でほぼ明らかではあるが、次に上記の
スナップ部材の外し力測定装置の動作を説明する。図６
は試験すべきスナップ部材の各種の例を示す。図中ａ、
ｄは同一の構造の取付部材であり、取り付け用のプロン
グを有する。ｂは雄スナップ部材であり、拡大フランジ
を有する。ｃは雌スナップ部材であり、同様に拡大フラ
ンジを有する。試験に際しては図７のようにこれらのフ
ランジの部分を側方からジョー２４の先端内面で挟んで
保持する。図７に示すように、生地ｅに例えば雌スナッ
プ部材ｃを取付部材ｄにより取付けたものを、雌スナッ
プ部材ｃがネジ付きボルト１５の軸線上に整列するよう
にダイ２７の表面に載せ、ジョー調整ダイアル２１を回
転させてスナップ部材の側面を握持して拘束する。ま
た、押え腕調整ダイアル３１を回転させて押さえ腕３０
の環状の先端で生地を押える。次いで、ホイール１０を
回転させて引張力ゲージ２０をゆっくりと引き上げ、ゲ
ージの値を読み取る。所定値を超えても引き外しが起き
なければ所定の引き外し力が保証されたことになり、ま
た引き外し点まで引っ張ると引き外し力が実測される。
【００１４】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、従来の
スナップ部材の外し力を測定する従来の方法には今のと
ころ確実な方法がなく、ばらつきが多く、適正な判断が
できない問題点があったが、本発明の測定装置による
と、スナップ部材の外し力を正確且つ迅速に測定でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の引き外し力測定装置の正面図である。
【図２】本発明の引き外し力測定装置の右側面図であ
る。
【図３】本発明の引き外し力測定装置の一部を拡大した
部分断面図で示した正面図である。
【図４】図１のＩＶ−ＩＶより見た平面図である。
【図５】図４のＶ−Ｖ断面図である。
【図６】各種スナップ部材と取付部材の略図である。
【図７】スナップ部材を台の表面に取りつけた状態を示
す図である。
【符号の説明】
１：ゲージ保持板 ２：支持フレーム ３：直立フレーム ４：基礎フレーム ７：摺動部材 ８：頂板 ９：ネジ付きボルト １０：ホイール １３：支持ボルト １４：支持マウント １５：ネジ付きボルト １６：ジョイント １７：チェーン ２０：ゲージ ２１：ジョー調整ダイアル ２４：ジョー ２６：水平なジョー支持板 ２７：ダイ ２８：垂直円筒部材 ２９：支持ブロック ３０：生地押え腕 ３１：腕調整ダイアル ３２：リンクホルダー ３３：リンク ３５：腕支持ブロック ３６：水平ネジ軸 ３７：可撓性リング ３８：水平軸 ３９：枢着ピン ４１：スプリング ４２、４３：ベアリング ４４：ワッシャー ４６：ジョー先端の内面
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) A44B 1/00 A44B 1/34 G01L 5/00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 衣服の生地に取りつけられたスナップ部
    材の周囲で生地を押える手段と、スナップ部材の側面を
    拘束する手段と、スナップ部材を取付け面に対して直角
    に引っ張る引張手段と、前記引張手段の張力を測定する
    手段とよりなり、前記生地を押える手段は、生地を押さ
    える腕と、前記腕を支持する水平軸と、前記腕の後端に
    作用して前記水平軸の周りに枢動させる手段とよりな
    る、スナップ部材の外し力測定装置。
  2. 【請求項２】 前記腕の後端に作用して前記水平軸の周
    りに枢動させる手段は、前記腕の後端に結合された一端
    を有するリンクと、前記リンクの他端を枢着したリンク
    ホルダーと、前記リンクホルダーを摺動自在に支持する
    腕調整ダイアルと、前記腕調整ダイアルの中心ネジ孔に
    ネジ込んだ固定ネジ軸とよりなる請求項１の測定装置。
  3. 【請求項３】 前記スナップ部材の側面を拘束する手段
    は、スナップ部材の側面に水平方向から係合自在の先端
    部を有する複数のジョーと、前記ジョーの各々を支持す
    る水平軸と、前記ジョーの後端に作用して前記水平軸の
    周りに枢動させる手段とよりなる請求項１又は２の測定
    装置。
  4. 【請求項４】 前記ジョーのスナップ部材の側面に水平
    方向から係合自在の先端部は、スナップ部材との係合面
    がほぼ垂直である請求項３の測定装置。
  5. 【請求項５】 前記ジョーの後端に作用して前記水平軸
    の周りに枢動させる手段は、前記ジョーの後端内面に作
    用するテーパ面を有するジョー調整ダイアルと、前記ジ
    ョー調整ダイアルの中心ネジ孔にネジ込んだ固定垂直ネ
    ジ軸とよりなる請求項３又は４の測定装置。
  6. 【請求項６】 衣服の生地に取りつけられたスナップ部
    材の周囲で生地を押える手段と、スナップ部材の側面を
    拘束する手段と、スナップ部材を取付け面に対して直角
    に引っ張る引張手段と、前記引張手段の張力を測定する
    手段とよりなり、前記スナップ部材の側面を拘束する手
    段は、スナップ部材の側面に水平方向から係合自在の先
    端部を有する複数のジョーと、前記ジョーの各々を支持
    する水平軸と、前記ジョーの後端に作用して前記水平軸
    の周りに枢動させる手段とよりなるスナップ部材の外し
    力測定装置。
  7. 【請求項７】 前記ジョーのスナップ部材の側面に水平
    方向から係合自在の先端部は、スナップ部材との係合面
    がほぼ垂直である請求項６の測定装置。
  8. 【請求項８】 前記ジョーの後端に作用して前記水平軸
    の周りに枢動させる手段は、前記ジョーの後端内面に作
    用するテーパ面を有するジョー調整ダイアルと、前記ジ
    ョー調整ダイアルの中心ネジ孔にネジ込んだ固定垂直ネ
    ジ軸とよりなる請求項６又は７の測定装置。
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