JP4366237B2 - 取着部材の外し力測定装置 - Google Patents
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Description
雄スナップ部材940と雌スナップ部材930とは弾性的に係脱可能な構造であって、衣服900の打合せ部910の一方生地951と他方生地952とにそれぞれ対向して取着される。例えば、図11に示されるように、雌スナップ部材930および雄スナップ部材940は、各生地951、952の対向する面において、それとは反対側からプロング部材931、941により取着される。
ちなみに、各国の縫製会社では、ヨーロッパ規格「BS EN71-1 : Safety of Toy, Mechanical and Physical properties」が準用され、スナップ部材921の外し力は「90N 10秒」以上と定められている。
図12はスナップ部材の外し力測定装置の側面図であり、図13はスナップ部材の外し力測定装置を正面からみた際の部分拡大図である。
外し力測定装置800は、生地953に取着されたスナップ部材921を載せるステージ400と、ステージ400に載置されたスナップ部材921の周囲で生地953を押さえる生地押さえ手段500と、スナップ部材921の側面を拘束する拘束手段600と、スナップ部材921を拘束した拘束手段600を生地押さえ手段500から離隔する方向へ向けて引っ張るとともにこの引張力を測定する引張力測定部700と、を備える。
生地押さえ手段500は、サポート部材520の上端において略中間部が揺動支持され、スナップ部材921の周囲の生地953を押さえるリング部512を先端に有する生地押さえアーム510を備える。
拘束手段600は、先端にスナップ部材921の側面に係合可能な先端係合部611を有するとともに先端係合部611がスナップ部材921の周囲を囲むように環状に配設されたジョー610、610と、ジョー610の先端係合部611同士が互いに近接あるいは離間するようにジョー610の中間部を揺動支持するジョー支持部材620と、ジョー610の先端係合部611が互いに離間する方向へ各ジョー610を付勢するバネ630と、各ジョー610の基端部612に当接して各ジョー610の先端係合部611が互いに近接する方向に各ジョー610を回動させるカム部640と、備える。
引張力測定部700は、詳しく説明しないが、拘束手段600のジョー支持部材620から上方へ延設されたボルト641を引き上げることにより、スナップ部材921を拘束した状態の拘束手段600を引き上げつつ、このときの引張力を測定する。
生地953が十分に押さえられていないと、スナップ部材921を引き上げたときに一緒に生地953も上がってしまうのでスナップ部材921が生地953から外れにくくなり、外し力の正しい測定ができないという問題が生じる。
一般に、衣服900の打合せ部910の開きを極力少なくする為に、スナップ部材921はできる限り衣服900の端に取り付けられるので、スナップ部材921の外し力測定において厚みの異なる段差の付近に取着されたスナップ部材921の外し力測定は避けられない問題である。
ここで、取着部材の外し力が正確に測定されるには、取着部材が引っ張られても生地が動かないように挟持手段で生地を挟持する必要がある。ところが、例えば、厚みが左右で異なる生地を挟持手段で挟持する場合がある。このような場合、ダイ部と生地押さえ手段とにて生地の厚い部分を強く挟持できても生地が薄い部分では生地押さえ手段と生地との間に隙間が生じるおそれがあるところ、厚みの違いに応じて粘弾性部が変形することにより、厚い部分も薄い部分もダイ部と生地押さえ手段とにより確実に挟持できる。
また、生地に当接する面はある程度の硬度をもっていないと生地を強く挟持して固定できない一方、ある程度の変形が許容されないと生地の厚みの違いに応じた変形をして異なる厚みを有する生地を適切に挟むことができない。
この点、生地に当接する面が硬質の弾性部であるので生地を強く挟持できる。そして、粘弾性部は、弾性的性質と粘性的性質とを有するところ、粘性流体的な挙動により生地の厚みの違いに応じた変形をすることができる。よって、異なる厚みを有する生地であったとしても挟持手段により厚い部分も薄い部分も適切に挟持して生地を固定することができる。その結果、生地が確実に固定されるので、取着部材の外し力が正確に測定される。
硬質の弾性部は、粘弾性部よりも硬質であり、例えば、硬質のゴム、プラスチック、熱硬化性エラストマ、熱可塑性エラストマ、あるいは、金属の薄板で形成された板ばねであってもよい。
この構成によれば、拘束手段で取着部材を拘束しながら引張力測定手段で取着部材を引き上げたときに、挟持力が弱い部分の生地が取着部材と一緒に持ち上がってしまうという事態を防止することができる。すなわち、取着部材を引き上げた際に取着部材が生地から均等に外れることとなり、その結果、取着部材の外し力を正確に測定することができる。
このような構成によれば、生地に当接する面が弾性部材になるので、弾性押さえ部材とダイ部(弾性部)とで生地を挟持したときの摩擦力が大きくなり、生地をより強固に固定することができる。
このような構成によれば、生地押さえ手段とダイ部とで生地を挟持したときに、凸部と凹部とで生地が噛み込まれて、より強固に生地が固定される。
(第1実施形態)
本発明の取着部材の外し力測定装置に係る第1実施形態について説明する。
図1は外し力測定装置の正面図であり、図2は外し力測定装置の側面図である。
外し力測定装置100は、ベース部200と、ベース部200に立設されるとともにスナップ部材(取着部材)921が取着された生地953を挟持する挟持手段300と、スナップ部材921をその側面から挟んで拘束する拘束手段600と、スナップ部材921を拘束した状態の拘束手段600を引き上げるとともに引き上げ時の引張力を測定する引張力測定部(引張力測定手段)700と、を備える。
挟持手段300は、生地953が載置される載置台となるステージ部400と、ステージ部400に載置された生地953をステージ部400の反対側からステージ部400に押さえつけて生地953をステージ部400とにて挟持する生地押さえ手段500と、を備える。
支持部410は、ベース部200の上面に固定された支持台411と、支持台411に支持ボルト412を介して支持された支持ブロック413と、支持ブロック413上に固定された台座414と、台座414上において交互に逆向きに積層された皿ばねにより構成されたバネ部415と、を備える。
保持枠部430は、略筒状であって収納部434の内側の直径Rは、スナップ部材921の直径rの略2倍程度である(図6参照)。保持枠部430は、バネ部415を介して台座414に支持されているところ、基軸部435がバネ部415を貫通して台座414に嵌装されている(図1、図2参照)。
粘弾性部440は、粘性と弾性を兼ね備えた性質を有し、応力が加えられたときにその応力のもとでのひずみがその平衡値に徐々に近づく(クリープ)ことで、応力を緩和するような性質を有する。このような粘弾性部440は、例えば、粘弾性ポリウレタン(特公昭62−26330、特公平6−92478)や粘弾性エラストマなどで形成されることが例として挙げられ、さらに、ソルボ(登録商標)で形成されることが例として挙げられる。そして、粘弾性部440の硬度はshore00scaleにおいてshore30-shore70とされ、粘弾性部440の損失係数(tanδ)は常温(20℃)において略0.5〜1.5とされることが例として挙げられる。
硬弾性部450は、粘弾性部440に比べて硬質の弾性部材で形成され、力が加えられたときの弾性変形が粘弾性部440に比べて少ない。このような硬弾性部450としては、例えば、熱可塑性エラストマで形成されることが例として挙げられる。
硬弾性部450は、保持枠部430の収納部434に挿入された状態において、硬弾性部450の上面が周壁部433の開口端縁433Aよりも僅かに上方へ突出している。そして、硬弾性部450の上面においてやや外縁寄りには、中央孔451と同心円の環状の溝条(凹部)452が刻設されている。
載置台部460の上面において外縁部が僅かに立ち上がることで凹部が形成され、スナップ部材921およびプロング部材931(941)が載置される載置凹部461となっている。
載置台部460の下面から一体連続的に軸状の挿嵌軸部462が延設され、この挿嵌軸部が保持枠部430の基軸部435に固定的に嵌装されることで載置台部460が保持枠部430の収納部434内において固定されている。
生地押さえアーム510の折曲点510Cがサポート部材520の上端において支持軸511により揺動可能に軸支され、作用軸部510Aが略水平状態を基準状態として起伏可能となっている。そして、生地押さえアーム510の揺動により、作用軸部510Aの先端がダイ部420の上面に対して接離する方向で移動する。
作用軸部510Aの先端には、孔516が穿設されることにより環状のリング部512が形成されている。リング部512の孔516は、上方に向けて径大するテーパ513を有する形状に形成されている。
リング部512の下面には、孔516を環囲する環状の弾性リング部材(弾性押さえ部材)514が設けられ、弾性リング部材514は、孔516を環囲するリング状に突起形成された凸条(凸部)515を有する。弾性リング部514は、熱可塑性エラストマで形成されることが一例としてあげられる。
凸条515は、硬弾性部450の上面に設けられた溝条452に対応する位置に形成されており、リング部512がダイ部420の上面に当接するときには凸条515が溝条452に嵌合する。
リング部512の孔516の径は、載置台部460の径よりも僅かに大きく、載置台部460の載置凹部461にスナップ部材921が載置された状態において生地押さえアーム510の揺動により作用軸部510Aの先端がダイ部420に向けて移動されると、リング部512の孔516の内側にスナップ部材921が位置するととともに、リング部512(の下面)と硬弾性部450(の上面)とにて生地953が挟持される。
操作レバー533を回動させて倒すことによりカム532がベアリング517を介して操作軸部510Bの端部を押す。すると、生地押さえアーム510が支持軸511を支点とする「てこ」の原理で揺動され、作用軸部510Aの先端がダイ部420に接近する方向へ回動し、リング部512がダイ部420の上面を下方へ向けて強く押すこととなる。
特に、衣服900の打合せ部910の端部960にスナップファスナ920(スナップ部材921、プロング部材931、941)が設けられており、スナップファスナ920を間にして両側の生地953の厚みが異なっている場合について説明する。
まず、生地953に取着されたスナップファスナ920(スナップ部材921およびプロング部材931、941)を載置台部460の載置凹部461に載置する。操作レバー533を回動操作して生地押さえアーム510を倒す。すると、カム532によって操作軸部510Bが押されて生地押さえアーム510が揺動される。すると、作用軸部510Aがダイ部420に向けて倒れ、作用軸部510Aの先端により生地953がダイ部420の上面に押さえつけられる。この状態で、弾性リング部514とダイ部420の上面とで生地953が挟持される。
図6中において、生地953の左側は、4枚が積層されているので厚みがあり、生地953の右側は薄い。
このように、両側の厚みが異なる生地953を弾性リング部514によりダイ部420の上面(硬弾性部450の上面)に押し付けると、両側のそれぞれの厚みに応じて硬弾性部450および粘弾性部440が変形して、両側それぞれの生地953が弾性リング部514とダイ部420の上面とにて適切に挟持される。
このとき、粘弾性部440の粘性的(流動的)性質により、応力のもとでのひずみが平衡値に徐々に近づく(クリープ)結果として、応力が時間とともに減少していき(応力緩和)、一定時間後(例えば数秒後)には粘弾性部440から硬弾性部450に作用する反発力(弾性復元力)はどこも等しくなる。これにより、生地953の厚い部分も薄い部分も弾性リング部514と硬弾性部450の上面とにより略等しい力で挟持されることとなる。
そして、スナップ部材921を拘束した状態の拘束手段600を引張力測定部700により引き上げる。すると、生地953は弾性リング部514とダイ部420とにて挟持されて固定されているところ、スナップ部材921だけが持ち上げられる。このときの引張力が引張力測定部700により測定される。プロング部材(931、941)からスナップ部材921が外れて、生地953からスナップ部材921が外れたとき、スナップ部材921の外し力が測定される。
(1)厚みが異なる部分を有する生地953であっても挟持手段300で確実に挟持して固定することができるので、スナップ部材921の外し力を正確に測定することができる。
(2)厚みが異なる部分を有する生地953を挟持手段300で挟持する場合、ダイ部420と生地押さえ手段500とにて生地953の厚い部分を強く挟持できても、生地953が薄い部分では生地押さえアーム510と生地953との間に隙間が生じるおそれがあるところ、厚みの違いに応じて粘弾性部440が変形することにより、厚い部分も薄い部分もダイ部420と生地押さえアーム510とにより確実に挟持することができる。
(6)弾性リング部514には凸条515が設けられ、硬弾性部450には溝条452が設けられているので、弾性リング部514と硬弾性部450とで生地953を挟持したときに、凸条515と溝条452とで生地953を噛みこんで、より強固に生地953を固定することができる。
上記実施形態において、挟持手段300がスナップ部材921(取着部材)の周囲の生地を全周にわたって挟持する例を示したが、スナップ部材921の全周で生地953を挟持する場合のみならず、スナップ部材921の周囲の複数点で生地953を挟持してもよい。例えば、スナップ部材921を間にしてスナップ部材921の周囲において対向する2点で生地953を挟持してもよく、あるいは、スナップ部材921の周囲において60°間隔の3点や、90°間隔の4点などで生地953を挟持してもよい。
上記実施形態では、リング部512の下面に弾性リング部514が設けられていたが、例えば、図7に示されるように、弾性リング部514は設けられていなくてもよい。なお、弾性リング部514は、硬弾性部450と同じ材質で形成されることが一例として挙げられる。
また、生地押さえアーム510と硬弾性部450との対向面にそれぞれ凸条515と溝条452とが設けられている例を説明したが、このような凸条515および溝条452は設けられていなくてもよい。
上記実施形態においては、粘弾性部440および硬弾性部450は、保持枠部430の収納部434内に略隙間なく押し込められているとしたが、ある程度の隙間が生じていてもよいことはもちろんである。このように隙間を確保しておくことによって、粘弾性部440および硬弾性部450の変形が容易に許容される。
粘弾性部440および硬弾性部450は、ドーナツ状の一連のリングであったが、複数の部分に分割されていてもよい。
上記実施形態では、保持枠部430の収納部434に粘弾性部440と硬弾性部450とが積層されていたが、例えば、図8に示されるように、硬弾性部450だけが一層で設けられていてもよい。
上記実施形態では、取着部材としてスナップ部材921を例に説明したが、取着部材はこれに限らず、たとえば、図9(A)(B)(C)に示されるように、ボタン部970であってもよく、あるいは、スナップ部材921やボタン部970を生地953に取着するキャップ部材990、リベット980あるいはプロング部材931、941であってもよい。
バネ部415は、複数の皿バネの他、ゴム、ウレタン等の弾性材であってもよい。
引張力測定手段は、拘束手段を引っ張り上げるとして説明したが、引張力測定手段は挟持手段を引っ張ってもよく、さらには、拘束手段と挟持手段との両者を互いが離間する方向へ向けてそれぞれ引っ張ってもよい。
Claims (3)
- 生地953に取着された取着部材の外し力を測定する外し力測定装置100において、
前記取着部材の周囲の前記生地953を挟んで押さえる挟持手段300と、
前記取着部材を拘束する拘束手段600と、
前記取着部材を拘束した拘束手段600と前記挟持手段300とが離れる方向へ前記拘束手段600および前記挟持手段300の少なくとも一方を引っ張るとともに引張力を測定する引張力測定手段700と、を備え、
前記挟持手段300は、
前記取着部材が取着された前記生地953が載置されるダイ部420と、
前記ダイ部420に載置された前記生地953を前記ダイ部420に向けて押さえつけて前記生地953を前記ダイ部420とにて挟持する生地押さえ手段500と、を備え、
前記ダイ部420は、
前記生地押さえ手段500に対向する面が開口し内側に収納部434を有する保持枠部430と、
前記収容部434内に取着部材921を載置する載置台部460と、
前記収納部434内で、前記載置台部460の周囲に配設された粘弾性部440と、
前記収納部434内で、前記載置台部460の周囲に配設され、前記粘弾性部440に積層されて前記生地押さえ手段500の側に配設されるとともに、前記粘弾性部440よりも硬質の弾性部材で形成された弾性部450と、を備える
ことを特徴とする取着部材の外し力測定装置100。 - 請求項1に記載の外し力測定装置100において、
前記生地押さえ手段500において前記生地953に当接する面には弾性部材にて形成された弾性押さえ部材514が配設されている
ことを特徴とする取着部材の外し力測定装置100。 - 請求項1または請求項2に記載の外し力測定装置100において、
前記生地押さえ手段500と前記弾性部450とのそれぞれの対向面には、互いに噛み合う凸部515および凹部452がそれぞれ設けられている
ことを特徴とする取着部材の外し力測定装置100。
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