JP3324444B2 - 曲げ加工性に優れたアルミニウム押出し形材の製造方法 - Google Patents

曲げ加工性に優れたアルミニウム押出し形材の製造方法

Info

Publication number
JP3324444B2
JP3324444B2 JP12359897A JP12359897A JP3324444B2 JP 3324444 B2 JP3324444 B2 JP 3324444B2 JP 12359897 A JP12359897 A JP 12359897A JP 12359897 A JP12359897 A JP 12359897A JP 3324444 B2 JP3324444 B2 JP 3324444B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
extrusion
cooling
extruded
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP12359897A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10317113A (ja
Inventor
政仁 谷津倉
茂 岡庭
孝之 土田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Light Metal Co Ltd
Original Assignee
Nippon Light Metal Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Light Metal Co Ltd filed Critical Nippon Light Metal Co Ltd
Priority to JP12359897A priority Critical patent/JP3324444B2/ja
Publication of JPH10317113A publication Critical patent/JPH10317113A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3324444B2 publication Critical patent/JP3324444B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Extrusion Of Metal (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種構造材に使用さ
れ、曲げ加工性に優れたアルミニウム押出し形材を製造
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】6000系のアルミニウム合金は、70
00系に比較して押出し性が良いものの、強度に劣り、
曲げ加工等の際に割れが発生し易い。割れの発生は、特
に強度の高い6000系の押出し形材では押出し後に再
結晶しやすいことに原因がある。耐割れ性に悪影響を及
ぼす押出し後の再結晶を抑制するため、従来から種々の
方法が提案されている。たとえば、特開平6−2123
36号公報では、Fe,Mn,Cr,Tiの添加によっ
て押出し形材の結晶粒を微細化すると共に、Si−Mg
系化合物によって押出し形材を硬質化している。また、
特開昭59−215453号公報では、均質化処理後に
微細な金属間化合物が均一に分散した組織が形成される
ように、Fe,Mn,Cr,Zr等を添加し、押出し加
工時の再結晶化を抑制している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】押出し形材の組織を再
結晶の無い繊維状組織にすることにより、加工時の割れ
を防止し、曲げ加工性が改善される。しかし、単なる成
分調整だけでは、実際に製造した際に表層部に再結晶組
織が発生することが避けられない。表層部に生成した再
結晶組織は曲げ加工時に割れ発生の起点を生じ易く、結
果として良好な曲げ加工性をもつ押出し形材を高歩留り
で製造することが困難であった。本発明は、このような
問題を解消すべく案出されたものであり、特定された成
分設計と熱処理条件との組み合わせにより、強度のある
6000系合金で押出し形材全体にわたって再結晶を防
止し、時効処理後に300N/mm2 以上の引張強さ及
び280N/mm2 以上の0.2%耐力を示し、安定し
て優れた曲げ加工性を呈する押出し形材を提供すること
を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の製造方法は、そ
の目的を達成するため、Si:0.7〜1.2重量%,
Mg:0.6〜1.0重量%,Cu:0.1〜0.8重
量%,Fe:0.1〜0.2重量%,Mn:0.2〜
0.5重量%,Cr:0.1〜0.3重量%,Ti:
0.005〜0.05重量%,B:0.001〜0.0
1重量%,必要に応じてZr:0.1〜0.2重量%,
残部が実質的にAlの組成をもつ鋳塊をDC鋳造法で製
造し、50〜100℃/時の昇温速度で加熱して500
〜540℃に2〜8時間保持し、100〜600℃/時
の冷却速度で冷却する均質化処理を鋳塊に施し、均質化
処理された鋳塊を押出し直前に470〜540℃に加熱
し、押出し直後の形材表面温度が550〜510℃とな
るように、押出し速度3〜8m/分で押し出し、得られ
た押出し形材を550〜510℃の温度域に10〜60
秒保持し、空冷又は水冷により450℃まで冷却し、次
いで450〜280℃の温度域を100〜2000℃/
秒の冷却速度で通過させる冷却により、実質的に再結晶
部分がなく押出し加工で生成した繊維状組織が形材全域
にわたって維持された押出し形材に調整し、次いで、1
60〜200℃に2〜15時間加熱保持する時効処理を
施すことを特徴とする。
【0005】
【作用】本発明者等は、押出し後に室温まで冷却された
形材においても、押出し加工によって形成された繊維状
組織が維持されるように、アルミニウム合金材の成分に
加え均質化熱処理及び冷却条件の影響を調査した。その
結果、成分が特定された6000系の合金を鋳造した
後、均質化処理,押出し加工を経て室温まで冷却する過
程での熱履歴が再結晶の抑制に影響を及ぼしていること
を解明した。そして、均質化処理,押出し加工,冷却等
の条件を規制することにより、曲げ加工性が安定して良
好な押出し形材が得られることを見い出した。
【0006】以下、本発明で使用するアルミニウム合
金,各種処理条件等を説明する。 [アルミニウム合金の成分・組成] Si:0.7〜1.2重量% Mgとの複合添加でアルミニウム合金を析出強化し、材
料強度を向上させる。Siの添加効果は、0.7重量%
以上で顕著になる。しかし、1.2重量%を超える多量
のSiを添加すると、アルミニウム合金の溶融開始温度
が低下するため、テアリングが発生し易くなり、押出し
性が阻害される。 Mg:0.6〜1.0重量% Siと複合してアルミニウム合金を析出強化し、材料強
度を向上させる。Mgの添加効果は、0.6重量%以上
で顕著になる。しかし、1.0重量%を超える多量のM
gが含まれると、熱間変形抵抗が上昇して押出し圧力が
高くなり、押出し性が阻害される。
【0007】Cu:0.1〜0.8重量% Mg,Siと同様に、材料強度を向上させる合金成分で
あり、十分な強度を得るためには0.1重量%以上のC
u添加が必要とされる。しかし、0.8重量%を超える
多量のCuを添加すると、耐食性が低下する。 Fe:0.1〜0.2重量% Al−Fe−Si系の金属間化合物を生成して鋳造時に
晶出すると共に、少量がマトリックスに固溶する。晶出
したAl−Fe−Si相は、押出し加工によって分断さ
れ、マトリックス中に微細に分散し、押出し直後の再結
晶化を抑制する。固溶したFeは、Al,Si,Mn,
Cr等と共に均質化処理時に不溶性の析出相を形成し、
押出し直後の再結晶化を抑制する。Fe含有量が0.1
重量%に満たないと、形成される化合物の量が少なく、
十分な再結晶抑制作用が得られない。逆に0.2重量%
を超える多量のFeが含まれると、晶出物のサイズが大
きくなり、押出し形材に表面欠陥が発生し易くなり、押
出し性が阻害される。
【0008】Mn:0.2〜0.5重量% 均質化処理時にAl,Fe,Si等と不溶性の析出相を
形成し、押出し直後の再結晶化を抑制する作用を呈す
る。0.2重量%に満たないMn含有量では析出物量が
少なく、再結晶抑制の作用が十分で無い。しかし、0.
5重量%を超える多量のMnが含まれると、鋳造時に粗
大な晶出物が生成し、押出し加工時に表面欠陥が発生し
易くなり、押出し性が阻害される。 Cr:0.1〜0.3重量% Mnと同様に、押出し直後の再結晶化を抑制する作用を
呈する。Cr含有量が0.1重量%未満では、その効果
が十分に得られ難い。しかし、0.3重量%を超える多
量のCrを添加すると、鋳造時に粗大な晶出物が生成
し、押出し加工時に表面欠陥が発生し易くなり、押出し
性が阻害される。Crは、任意成分として添加されるZ
rと同様に包晶系であり、粒内に濃度偏析する。他方、
共晶系であるMnは、粒界近傍に濃度偏析する。そこ
で、Mn,Cr又はMn,Cr,Zrを複合添加する
と、不均一な析出組織が解消され、組織全体にわたって
析出物が均一に分散し、再結晶化が効果的に抑制され
る。
【0009】Ti:0.005〜0.05重量% 鋳塊の結晶粒を微細化し、鋳造割れを防止する作用を呈
する合金成分であり、Bとの複合添加で更にその作用が
向上する。Tiの添加効果は0.005重量%以上で顕
著になるが、0.05重量%を超える多量のTiが含ま
れるとTi系の粗大な粒子が生成し、押出し加工時に表
面欠陥が発生し易くなり、押出し性が阻害される。 B:0.001〜0.01重量% Tiとの複合添加で鋳塊の結晶粒を微細化する作用を呈
し、0.001重量%以上でその作用が顕著になる。し
かし、0.01重量%を超える多量のBが含まれると、
Ti−B系の粗大な粒子が生成し、押出し加工時に表面
欠陥が発生し易くなり、押出し性が阻害される。 Zr:0.1〜0.2重量% 必要に応じて添加される合金成分であり、均質化処理時
にAlと不溶性の析出相を生成し、押出し直後の再結晶
化を抑制する作用を呈する。このような作用は、0.1
重量%以上のZr含有で顕著になる。しかし、0.2重
量%を超える多量のZrが含まれると、鋳造時に粗大な
晶出物が制止し、押出し性が阻害される。
【0010】[鋳造]通常の溶製及び溶湯処理を施した
後、DC鋳造によって直径100〜400mmのビレッ
トに鋳造される。
【0011】[均質化処理]均質化処理では、鋳造時に
生じたMg,Si等の溶質元素の濃度偏析を解消し、押
出し及び時効処理後に得られる析出強化によって材料強
度を向上させる。また、Mn,Cr,Zrを含む化合物
を析出させ、押出し加工時の再結晶化を抑制し、組織強
化によって材料強度を高め且つ曲げ加工性を改善する。
優れた曲げ加工性は、押出し形材を全面繊維状組織にす
ることにより改善されるが、そのためには析出物のサイ
ズを0.01〜0.5μmの範囲に調整する必要があ
る。析出物のサイズコントロールには、50〜100℃
/時の昇温速度で加熱して、500〜540℃に2〜8
時間保持することが有効である。均質化処理時の昇温速
度が100℃/時を超えると、Mn,Cr,Zrを含む
析出物のサイズが適正範囲を超えて大きくなり、再結晶
抑制作用が低下し、押出し形材の表面に再結晶組織が生
成する。しかし、50℃/時に達しない昇温速度では、
加熱に長時間を要することから実用的でない。
【0012】析出物は、均熱処理時の均熱保持温度が低
いほど微細に析出分散する。均熱保持温度480℃まで
は析出物が適正サイズになり、全面繊維状組織をもつ押
出し形材が得られる。しかし、500℃未満の保持温度
では溶質元素の濃度偏析を十分に解消できず、十分な強
度が得られない。この点で500℃以上の保持温度が必
要である。しかし、540℃を超える高温に均熱保持す
ると、析出物のサイズが適性範囲を超えて大きくなり、
再結晶抑制作用が低下し、押出し形材の表面に再結晶組
織が生成し易くなる。また、2時間に満たない保持時間
ではMn,Si等の溶質元素の濃度偏析が十分に解消さ
れず、必要な強度をもつ材料が得られない。逆に8時間
を超える保持温度では、Mn,Cr,Zr系の析出物が
粗大化し、押出し形材の表面に再結晶組織が生成する。
均質化処理後の冷却速度を100℃/時以上とすること
により、冷却中に析出するMg−Si系化合物のサイズ
が約5μm以下に微細化され、後の押出し加工時で再固
溶可能になり、時効処理後に高い強度が得られる。冷却
速度が100℃/時未満では、Mg−Si系化合物が粗
大化し、押出し工程時の510〜550℃×10〜60
秒の間に十分に固溶せず、十分な強度が得られない。逆
に600℃/時を超えて冷却速度を早くしても、最終的
な強度には効果がない。また、600℃/時を超える大
きな冷却速度を得るためには、通常水冷が必要とされる
が、水冷では冷却が不均一になり易く、ビレットに曲が
りを発生させる原因となる。この点、本発明においては
ファンによる空気冷却が最適であり、このことからも冷
却速度の上限が600℃/時に設定される。
【0013】[押出し時の条件]均質化処理されたアル
ミニウム合金の鋳塊は、押出し直後の形材表面温度が5
50〜510℃となるように押出し直前に加熱される。
押出し直後の形材表面温度を550〜510℃の温度範
囲に調整することによって、再結晶が抑制された全面繊
維状組織となる。また、析出しているMg−Si系化合
物が固溶する。時効処理後での析出強化によって十分な
強度を得るためには、押出し中にMg,Si等の溶質元
素を完全に固溶させる必要があり、この点から形材出口
温度を510℃以上に設定する。しかし、形材出口温度
が550℃を超えるようになると、析出物による再結晶
抑制作用が低下し、押出し形材の表面に再結晶組織が生
成する。このような理由から、高強度及び全面繊維状組
織で優れた曲げ性を呈する押出し形材を得るため、押出
し直後の形材温度を550〜510℃の温度範囲に調整
することが必要である。
【0014】全面繊維状組織を得るためには、押出し直
後の形材温度と共に押出し加工時に導入される歪み量も
制御する必要がある。歪み量は、押出し直前の鋳塊温度
及び押出し速度によって制御される。470℃を下回る
鋳塊温度或いは8m/分を超える押出し速度では、過剰
量の歪みが導入され、押出し形材の表面に再結晶組織が
生成し易くなる。他方、540℃を超える鋳塊温度で
は、Mn,Cr,Zrを含む析出物が適正サイズを超え
る成長するため、再結晶抑制作用が低下し、押出し形材
の表面に再結晶組織が生成し易くなる。また、押出し速
度が3m/分未満になると、押出し時の発熱量が少なく
なるため、押出し材の表面温度を510℃以上に維持で
きなくなる。
【0015】[押出し後の保持]押出し形材は、押出し
直後の表面温度が550〜510℃となるように押し出
されるが、押出し中に溶体化処理を進行させ、時効処理
後に十分な強度を得るためには、押出し後の形材を少な
くとも510℃以上の温度に10秒以上保持することが
必要である。このときの保持時間が10秒に達しない
と、Mg,Si,Cu等の溶質元素の固溶量が不足し、
十分な強度が得られない。しかし、歪みの回復を伴う現
象である再結晶は、熱活性化過程を経て生じるものであ
り、温度が高いほど再結晶化の進行が早くなる。そのた
め、60秒を超える保持時間を設定すると、再結晶の進
行が抑制できず、押出し形材の表面に再結晶組織が生成
し易くなる。
【0016】[押出し後の冷却]押出し形材を550〜
510℃の温度域に60秒を超えて保持すると、前述し
たように再結晶組織が生成される。そのため、押出し形
材を速やかに冷却する必要がある。このとき、450〜
280℃の温度域を急速に冷却すると、Mg,Si等の
溶質元素がマトリックスに固溶し、その後の時効処理時
に強度改善に有効なMg−Si系化合物の析出量を増加
させ、析出強化による強度の向上を顕著にする。Mg−
Si系化合物の析出速度は、温度依存性があり、280
℃未満では非常に遅い。すなわち、強制空冷,水冷等に
よって280℃以下の温度に急速冷却すると、Mg,S
i等の溶質元素を固溶状態に維持できる。本発明で規定
した合金系においては、450〜280℃の温度域を平
均冷却速度100℃/秒以上で冷却することにより、M
g,Si等の溶質元素を十分に固溶させている。この冷
却速度は、主として水冷により得られる。冷却速度が1
00℃/秒に達しないと、冷却中に粗大な析出物が生成
し、十分な強度が得られない。冷却水を用いた水冷で
は、100〜2000℃/秒の冷却速度が得られる。た
だし、2000℃/秒を超える冷却速度で冷却しても強
度の更なる上昇がみられず、また過度に大きな冷却速度
も必要とされない。
【0017】[時効処理]Si,Mg等の溶質元素は、
押出し後の急冷により固溶状態で維持されている。時効
処理では、固溶している溶質元素を析出させることによ
り材料強度を上昇させる。しかし、時効処理温度が16
0℃を下回ると、析出速度が遅いことから要求強度を得
るために非常に長い処理時間が必要とされ、生産性が阻
害される。生産性を考慮したとき、時効処理は15時間
以内で完了させることが好ましい。逆に200℃を超え
る時効処理温度では、Mg−Si系析出物が粗大化し、
時効処理後に得られる最高強度が低下し、要求強度が得
られない虞れがある。なお、2時間に達しない時効処理
では、Mg−Si系析出物が十分なサイズに生成・成長
せず、要求強度が得られない。
【0018】
【実施例】表1に示した組成をもつ合金No.1,2の溶
湯を調製し、直径278mmのビレットをDC鋳造し
た。
【0019】各ビレットに、表2に示す3種類の均質化
処理を施した。
【0020】次いで、表3の押出し条件で図1の断面形
状に押出した後、180℃×4時間の時効処理を施し、
押出し形材の表面に再結晶組織が生成しているか否かを
調査した。なお、表3の試験番号9及び10における保
持時間(15)及び(40)は、それぞれ565〜51
0℃及び570〜510℃の温度域を15秒及び40秒
かけて冷却したことを示す。図2は、全面繊維状組織を
もつ押出し材をホウフッ酸水溶液中で皮膜処理し、光学
顕微鏡の偏光装置で観察した組織を示す。図2におい
て、断面方向が押出し方向(左右)であり、上下が板厚
方向に当る。
【0021】
【0022】時効処理された各試験材について、再結晶
の生成・成長の如何を光学顕微鏡で調査した。また、J
IS Z2248に準拠して押曲げ法の180度試験を
行い、時効処理後された試験材表面の割れの有無を調査
した。曲げ試験では、先端形状が3mmRのポンチを使
用し、押出し長手方向の歪みを試験片に発生させた。更
に、時効処理後の試験片から押出し方向を引っ張り方向
とする試験片を採取し、機械的性質を調査した。表4の
調査結果にみられるように、押出し形材の表面及び内部
に再結晶が発生していない本発明に従った試験材は、曲
げ加工性が良好で、機械的性質も満足できる値を示し、
生産性も7000系に比較して良好であった。これに対
し、押出し形材に再結晶が発生した比較例では、組成的
には同じ材料であっても曲げ試験で割れが発生し、引張
強さ,0.2%耐力が不足するものが一部にみられた。
【0023】
【0024】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、特定された合金設計のアルミニウム合金の均熱処理
条件,押出し条件,押出し後の保持,冷却条件を調製す
ることにより、断面全域にわたって再結晶の生成・成長
が抑制され、実質的に押出し加工で生成した繊維状組織
のみからなる形材としている。そのため、時効処理され
た形材は、機械的性質に加えて優れた曲げ加工性を呈
し、輸送機器,建築部材,産業機器等の広範な分野にお
いて構造材として使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で製造した押出し形材の断面形状
【図2】 繊維状組織のみからなる押出し形材断面の金
属組織(100倍)を示す顕微鏡写真
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C22F 1/00 630 C22F 1/00 630Z 683 683 691 691A 691B 691C 692 692A 692B 693 693A 693B 694 694B 694Z (72)発明者 土田 孝之 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1丁目34番1号 日本軽金属株式会社 グループ技術セ ンター内 (56)参考文献 特開 平5−171328(JP,A) 特開 平6−279960(JP,A) 特開 平7−3409(JP,A) 特開 平6−158243(JP,A) 特開 平10−46279(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22F 1/04 - 1/057 C22C 21/00 - 21/18 B21C 29/00 B21C 35/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si:0.7〜1.2重量%,Mg:
    0.6〜1.0重量%,Cu:0.1〜0.8重量%,
    Fe:0.1〜0.2重量%,Mn:0.2〜0.5重
    量%,Cr:0.1〜0.3重量%,Ti:0.005
    〜0.05重量%,B:0.001〜0.01重量%,
    残部が実質的にAlの組成をもつ鋳塊をDC鋳造法で製
    造し、 50〜100℃/時の昇温速度で加熱して500〜54
    0℃に2〜8時間保持し、100〜600℃/時の冷却
    速度で冷却する均質化処理を鋳塊に施し、 均質化処理された鋳塊を押出し直前に470〜540℃
    に加熱し、 押出し直後の形材表面温度が550〜510℃となるよ
    うに、押出し速度3〜8m/分で押し出し、 得られた押出し形材を550〜510℃の温度域で10
    〜60秒保持し、空冷又は水冷で450℃まで冷却し、 次いで450〜280℃の温度域を100〜2000℃
    /秒の冷却速度で通過させる冷却により、実質的に再結
    晶部分がなく押出し加工で生成した繊維状組織が形材全
    域にわたって維持された押出し形材に調整し、 次いで、160〜200℃に2〜15時間加熱保持する
    時効処理を施すことを特徴とする曲げ加工性に優れたア
    ルミニウム押出し形材の製造方法。
  2. 【請求項2】 更にZr:0.1〜0.2重量%を含む
    鋳塊を使用する請求項1記載の曲げ加工性に優れたアル
    ミニウム押出し形材の製造方法。
JP12359897A 1997-05-14 1997-05-14 曲げ加工性に優れたアルミニウム押出し形材の製造方法 Expired - Fee Related JP3324444B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12359897A JP3324444B2 (ja) 1997-05-14 1997-05-14 曲げ加工性に優れたアルミニウム押出し形材の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12359897A JP3324444B2 (ja) 1997-05-14 1997-05-14 曲げ加工性に優れたアルミニウム押出し形材の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10317113A JPH10317113A (ja) 1998-12-02
JP3324444B2 true JP3324444B2 (ja) 2002-09-17

Family

ID=14864586

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12359897A Expired - Fee Related JP3324444B2 (ja) 1997-05-14 1997-05-14 曲げ加工性に優れたアルミニウム押出し形材の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3324444B2 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4101614B2 (ja) * 2002-11-01 2008-06-18 住友軽金属工業株式会社 耐食性および耐応力腐食割れ性に優れた高強度アルミニウム合金押出材の製造方法
JP5010196B2 (ja) * 2006-07-18 2012-08-29 株式会社神戸製鋼所 耐熱アルミ合金製の形材の製造方法、耐熱アルミ合金製の形材及び耐熱アルミ合金製の形材の成形装置
JP5180496B2 (ja) 2007-03-14 2013-04-10 株式会社神戸製鋼所 アルミニウム合金鍛造材およびその製造方法
JP6015536B2 (ja) * 2013-04-16 2016-10-26 日本軽金属株式会社 冷間塑性加工用熱処理型アルミニウム合金及びその製造方法
JP6587533B2 (ja) * 2015-12-14 2019-10-09 日本軽金属株式会社 疲労強度特性に優れた切削加工用アルミニウム合金押出材及びその製造方法
CN107541689A (zh) * 2017-08-30 2018-01-05 安徽省含山县兴建铸造厂 一种铝‑铬合金铸造工艺
MX2020007414A (es) 2018-01-12 2020-11-24 Accuride Corp Aleaciones de aluminio para aplicaciones tales como ruedas y metodos de fabricacion.
WO2019171818A1 (ja) * 2018-03-05 2019-09-12 昭和電工株式会社 Al-Mg-Si系アルミニウム合金中空押出材およびその製造方法
JP7182425B2 (ja) * 2018-10-22 2022-12-02 昭和電工株式会社 Al-Mg-Si系アルミニウム合金押出材およびその製造方法
JP7215870B2 (ja) * 2018-10-22 2023-01-31 昭和電工株式会社 Al-Mg-Si系アルミニウム合金塑性加工材およびAl-Mg-Si系アルミニウム合金押出材の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH10317113A (ja) 1998-12-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3194742B2 (ja) 改良リチウムアルミニウム合金系
JP4577218B2 (ja) ベークハード性およびヘム加工性に優れたAl−Mg−Si合金板の製造方法
US4021271A (en) Ultrafine grain Al-Mg alloy product
KR20060135849A (ko) 고온 성형성과 고속 성형성이 우수한 Al-Mg 합금 박판및 그 제조 방법
JPH07145441A (ja) 超塑性アルミニウム合金およびその製造方法
JPH09310141A (ja) 押出し性に優れた構造材料用高強度Al−Zn−Mg系合金押出し形材及びその製造方法
CN114875286A (zh) 不含稀土低合金高强韧铝合金及其制备方法
JP3324444B2 (ja) 曲げ加工性に優れたアルミニウム押出し形材の製造方法
JPH10219381A (ja) 耐粒界腐食性に優れた高強度アルミニウム合金およびその製造方法
JP3670706B2 (ja) 曲げ加工性に優れた高強度アルミニウム合金押出型材の製造方法
JPH108172A (ja) 押出し性に優れた構造材料用高強度Al−Mg−Si系合金及び押出し形材の製造方法
JPH10317114A (ja) 空気焼入れ性が良好な中強度Al−Mg−Si系合金押出し形材の製造方法
JP2931538B2 (ja) 曲げ加工性に優れたバンパー用高強度アルミニウム合金材およびその製造方法
JPH086161B2 (ja) 高強度A1‐Mg‐Si系合金部材の製造法
JP3145904B2 (ja) 高速超塑性成形に優れたアルミニウム合金板およびその成形方法
JPH0756067B2 (ja) アルミニウム箔地の製造方法
JP3703919B2 (ja) Al−Mg−Si系合金の直接鋳造圧延板の製造方法
JP3550944B2 (ja) 寸法精度に優れた高強度6000系アルミ合金押出し材の製造方法
JPH08232053A (ja) 高強度アルミニウム合金押出材の製造方法
JPH11350058A (ja) 成形性及び焼き付け硬化性に優れるアルミニウム合金板及びその製造方法
JPH0978168A (ja) アルミニウム合金板
JP2000104149A (ja) 微細な再結晶粒組織を有するAl−Mn系合金圧延材の製造方法
JP3201783B2 (ja) 強度と成形性に優れたアルミニウム合金硬質板の製造方法
JPS6123852B2 (ja)
JP3006446B2 (ja) 熱処理型薄肉アルミニウム押出し形材及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080705

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090705

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090705

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100705

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110705

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110705

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120705

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120705

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130705

Year of fee payment: 11

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees