JP3324093B2 - 自動車部材向け鍛造加工用アルミニウム合金材及び鍛造加工自動車部材 - Google Patents
自動車部材向け鍛造加工用アルミニウム合金材及び鍛造加工自動車部材Info
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Description
動車部品を好適に製造しうるアルミニウム合金に関する
ものであり、さらに詳しくは本発明は、原料として自動
車回収アルミ鋳物屑、アルミ缶回収屑、アルミサッシ回
収屑等の回収アルミニウム材を用いて低価格で製造しう
る自動車部材向け鍛造加工用アルミニウム合金とそれを
鍛造加工して製造した自動車部材に関する。
は、燃費の改善、走行性能の向上につながるため、従来
の鋼材料を軽合金に材料置換して軽量化をはかることが
進められている。特に、昨今は全世界的な環境意識の向
上とそれに伴う燃費規制強化の動きが明確化するなか
で、自動車車体の軽量化の要求はますます強まる傾向を
示している。車体の軽量化をはかるに際して材料置換し
うる部分としては、車両の外板部分をはじめとして多数
の対象部品が想定でき、鍛造成形を製造プロセスとする
一連の部品もその対象となっている。具体的には主なも
のはサスペンションアームを中心とする足回り部品であ
り、足回り部品以外でもエアバックホルダー、ブレーキ
キャリパーなど、多数の部品があげられる。
ニウム合金としては、JIS 6061合金(以下、A
6061合金という)に代表されるAl−Mg−Si系
合金が広く知られている。この合金によれば、例えば、
足回り部品とする場合にも、要求される強度、靭性等の
諸強度特性並びに耐食性を満足することが可能で、所望
の性能を期待しうる。また、鍛造素材となる押出材を得
る場合の押出性、並びに鍛造加工性を十分に具備してお
り、好適な材料である。
用が検討されているこのようなアルミニウム合金は、そ
の成形加工性、強度等の材料性能は満足しうるものの、
鋼製材料と比較して材料コストが高い点が問題となって
いる。特にコスト志向の強い自動車分野にあっては、一
部の高級車種を除けば、コストの低い鋼製材料をアルミ
ニウム合金材に置換することは、軽量化要求が強まって
いるといっても材料置換に抵抗がある。特にA6061
合金はSi含有量を少量(0.40〜0.8wt%)に
規制する必要などがあり、そのためリサイクル原料の使
用が制限され材料コストが高くなるのは避け難いという
問題があった。
ム合金材のコスト低減をはかるべく、アルミニウム原料
に新地金を投入することなく、市中に流通するアルミニ
ウム屑を原料として、所望の鍛造部材に適した合金を得
ることが一部で検討されているが、回収アルミ屑を好適
に再生しつつ前述した所定の性能を維持した合金材を得
るには至っていない。さらに従来の鍛造用アルミニウム
合金組成においては、鍛造加工時が組織調整が不安定で
あるという問題を抱えている。すなわち、代表的な鍛造
用アルミニウム合金であるA6061合金にあっては鍛
造成形後の熱処理時に粗大再結晶組織を呈する場合がし
ばしばあり、そのことによる強度性能の低下が問題とな
っている。
金による鍛造加工品にて代替する際には、走行時の石等
の跳ねに対する耐損傷性、いわゆる耐外傷性の確保が重
要となる。走行時に足回り部品に外傷を生じ、その外傷
の度合いが著しく大きくなった場合、この部品の疲労強
度低下を引き起こし危険である。従来よく用いられてい
るA6061合金では耐外傷性が不十分な場合があり、
より耐外傷性に優れた自動車部材向け鍛造加工用アルミ
ニウム合金の開発が望まれていた。したがって本発明
は、回収アルミニウム材を用いて低価格で得られる自動
車部材向け鍛造加工用アルミニウム合金材を提供するこ
とを目的とする。さらに本発明は各種の所望性能をバラ
ンス良く維持するとともに耐外傷性が優れ、自動車の車
体の軽量化に好適な、鍛造加工自動車部材を提供するこ
とを目的とする。
鑑み鋭意検討した結果、原料に自動車回収アルミニウム
屑、アルミ缶回収屑、アルミサッシ回収屑などの回収ア
ルミニウム材を用いうる、特定の成分組成において良好
な諸特性を有する自動車部材向け鍛造加工用アルミニウ
ム合金材を得ることができることを見出し、この知見に
基づき本発明をなすに至った。
0.2wt%を越え1.5wt%以下、Mn 0.05
wt%を越え1.0wt%以下、Fe 0.2wt%を
越え1.2wt%以下、Cu 0.2wt%を越え2.
0wt%以下及びZn 2.0wt%以下を必須成分と
して含有し、さらにCr 0.1wt%以下、Zr
0.25wt%以下及びTi 0.1wt%以下からな
る群から選ばれる少なくとも1種を含有し、残部アルミ
ニウムおよび不可避的不純物からなる組成のアルミニウ
ム合金からなる鋳塊から得たビレットを、押出加工の加
工比を15以上として押出加工したことを特徴とする自
動車部材向け鍛造加工用アルミニウム合金材、 (2)前記の押出加工比を25〜50とすることを特徴
とする(1)項記載の自動車部材向け鍛造加工用アルミ
ニウム合金材、 (3)(1)項記載の組成のアルミニウム合金から得ら
れた、連続鋳造棒の鋳造方向に垂直な断面のデンドライ
トアームスペーシングが30μm以下の連続鋳造棒であ
ることを特徴とする自動車部材向け鍛造加工用アルミニ
ウム合金材、 (4)(1)項記載の組成のアルミニウム合金から得た
前記のビレットを押出加工して鍛造素材を製造するに当
り、押出加工の加工比を25〜50とし、鍛造加工して
なることを特徴とする自動車部材、及び (5)(3)項記載の自動車部材向け鍛造加工用アルミ
ニウム合金材を鍛造加工してなることを特徴とする自動
車部材を提供するものである。本発明において、連続鋳
造棒の断面とは鋳造棒を鋳造方向に垂直に切断した面で
あり、断面の外周から中央部までのすべての部分をい
う。なお、一般に中央部のデンドライトアームスペーシ
ングが最も大きくなるため、中央部での値が30μm以
下であれば全域が30μm以下としても良い。
の組成について説明する。以下、特に断らない限り組成
を示す%はwt%を表わす。 (1)Si Siは、製品製造時の熱処理過程においてMgと微細な
化合物を形成し、アルミニウム素地中にちょう密分散す
ることで強度を発現する役割を担う。この意味において
Siは不可欠であるが、この目的に必要なSi量は従来
は高くとも1%程度であるが、本発明では、Siを1.
5%以上とする。このようなSi含有量とすることによ
り、単体析出したSiないしは共晶Siが適度に分散し
た組織を呈し、他の特性を損わずに、優れた耐外傷性を
発現しうる。一方、Siが5%を越えると、鍛造素材で
ある押出材を得る際の熱間押出工程において押出性が悪
化し、健全な押出材を得るために押出速度を低速にせざ
るを得ないという製造上の問題が顕在化する。またこれ
以外に、Siが5%を越えると共晶Siの分散量が増え
ることで最終の鍛造製品の靭性が低下するという性能上
の問題も生じる。また、これ以外にSiが5%を越える
と凝固時の共晶Siの分散量が増えることで最終の鍛造
製品の靱性が低下するという性能上の問題も生じる。こ
れは鍛造素材として、押出材を使用する場合、及び鋳造
材を使用する場合の、どちらについても問題となる。よ
り好ましいSiの量は2〜4%とする。
物を形成し、強度の向上に寄与するが、上記範囲を外れ
る、0.2%以下ではその効果が不足し、所望の強度が
得られない。一方、1.5%を越えると、鍛造素材であ
る押出材の熱間押出工程での押出性を悪化させる。Mg
が多すぎるとアルミニウム合金の押出性を低下させ、1
%を越えると健全な押出材とするために押出速度を大幅
に低下させなければならなくなる。また、Mgの量が多
すぎると、応力腐食の感受性が増すという性能上の問題
も生じる。これは鍛造素材として、押出材を使用する場
合、及び鋳造材を使用する場合の、どちらについても問
題となる。より好ましいMgの量は0.6〜1.3%と
する。
散し、ある程度強度を向上するとともに、鍛造後の熱処
理工程において結晶粒が著しく粗大化する問題を抑止す
る効果を有する。しかし、この効果は上記範囲を外れ
る、0.05%以下では発現せず、一方、1.0%を越
えると、鍛造製品の靭性を低下させるうえ、鍛造素材で
ある押出材を得る際の熱間押出工程での押出性を低下さ
せる。Mnは好ましくは0.05〜0.8%とする。
果と、結晶粒を微細化する効果を有する。上記範囲を外
れる、0.2%以下ではこれらの効果が期待できないこ
とに加え、Feが混入しやすい回収アルミニウム屑を原
料に使用する場合に、Feを0.2%以下とするために
はその再生時に相当量の新地金を混合する必要が生じ、
経済性の面から好ましくない。一方、1.2%を越える
と、鋳造時に巨大初晶化合物の形成を誘発する危険性を
増大させ、そうした初晶化合物の存在が靭性の大幅な低
下をまねく。また、巨大初晶化合物を生じない場合であ
っても、Fe、Alを主構成元素とする晶出物の発生量
が増大し、そのことだけでも靭性に悪影響をもたらす。
Feは好ましくは0.2〜0.8%とする。
が、その効果は0.2%以下では十分でない。また、
2.0%を越えた場合には耐食性の低下をもたらす。C
uは好ましくは0.2〜1.0%とする。
%を越えると耐食性が低下するため、通常2.0%以下
とし、好ましくは1.0%以下0.001%以上とす
る。 (7)Cr、Zr、Ti Crは溶体化時の結晶粒粗大化抑制効果があり、微量含
有させるが、0.1%を越えると巨大初晶化合物の発生
を誘発する傾向がある。同様にTiも微量含有させる
が、0.1%を越えると巨大晶出物を形成する。また、
Zrも溶体化時の結晶粒粗大化抑止効果があるため、微
量の添加は好ましいが、0.25%を越えるとその効果
が飽和するので0.25%以下とする。
成分と残部は不可避的不純物及びアルミニウムよりなる
が、結晶粒微細化剤としてSc、及びSi粒子の形状改
質剤としてSrを、必要に応じ0.1%未満添加しても
よい。
i、Fe、Mnを多く含み、その原料として回収アルミ
ニウム屑を利用することが可能である。利用できるリサ
イクル屑としては、自動車回収アルミニウム鋳物屑、ア
ルミニウム缶回収屑、アルミサッシ回収屑などがあげら
れ、好ましくはSiを6〜12%含む自動車回収アルミ
ニウム鋳物屑、Mgを0.45〜0.9%含むアルミサ
ッシ回収屑、Mnを0〜1.2%含むアルミ缶回収屑を
原料の一部として用い、必要に応じ各成分の新地金を混
合し成分調整する。これらの屑は比較的入手しやすく、
部材のコストを低減させることができる。
て自動車の足回り部品等としたときに要求される強度、
靭性、耐食性、耐外傷性を有し、かつ、鍛造素材である
押出材を得る際の押出性及び製品を成形する際の鍛造加
工性が良好であるアルミニウム合金材とするため、以下
に述べる組成のアルミニウム合金を用いる。また、この
組成のアルミニウム合金からなる所定サイズの鋳塊を切
断して得たビレットを押出加工した鍛造素材を用いる
が、小径連続鋳造棒を素材として用いることもできる。
鍛造素材を作製するに際して押出加工比(ビレットの断
面積/押出材の断面積)を少なくとも10以上好ましく
は15以上とすることで本発明のアルミニウム合金材を
好適に製造できる。鍛造素材として小径の連続鋳造棒を
使用する際は、押出比の大きな押出加工の場合のよう
に、鋳造時に生じる粗大なSi、Al−Fe系晶出物が
分断、微細化されないため、鋳造時に晶出物をより微細
にする必要がある。鍛造製品として良好な性能を発揮さ
せるためには、断面全域にわたってデンドライトアーム
スペーシング(鋳造時に生成する樹枝状晶の間隔)を3
0μm以下とすることが好ましい。デンドライトアーム
スペーシングは、冷却速度が最も遅い断面中央部が最も
大きくなるため、断面中央部での値を30μm以下とす
ることができれば、その他の部分は中央部よりは小さく
なるため、当然30μm以下となる。鋳造棒の断面全域
にわたってデンドライトアームスペーシングを30μm
以下とすることを達成するためには、断面全域にわたっ
て凝固時の冷却速度を10℃/分以上にすれば良く、連
続鋳造棒の直径増大に応じて、冷却水量を増加させれば
良い。好ましい連続鋳造棒の直径は100mmφ以下で
ある。なお、本発明における鍛造用アルミニウム合金材
は、鍛造加工工程を経て製品に成形しうるアルミニウム
合金材であり、その形状等は特に制限はなく、鍛造素材
(押出材、小径連続鋳造棒など)、鍛造ブランク等を含
む。
い製造方法について説明する。上記組成のアルミニウム
合金を鍛造加工に供し得る合金材とするには、通常、棒
状に押出加工し、これを所定寸法に切断して鍛造ブラン
クとする。ここで、本発明で用いる合金の場合、Si、
Fe、Mnを、通常よく使用されるアルミニウム展伸合
金よりも比較的多く含有するため、アルミニウム素地中
にそれら元素を主構成元素とする金属間化合物を多く含
有する。金属間化合物は鋳塊段階ではより大きく、より
針状の状態で存在するが、その後の押出加工において微
細化する傾向を有する。本発明で用いるアルミニウム合
金の場合、金属間化合物量が多いため、この押出加工に
よる化合物微細分散化の過程が重要で、この過程で微細
分散が十分に進まないと成形性が悪化して、後続する鍛
造過程において割れ等の不具合が生じ易くなるほか、製
品となったときの靭性が十分に確保できない等の問題を
生じることがある。本発明のアルミニウム合金材の鍛造
加工の方法については特に制限はなく、通常の方法で実
施できる。ただし、上記のように鍛造時の成形加工性、
製品となったときの靭性を確保するうえで、本発明のア
ルミニウム合金材は、上記組成のアルミニウム合金を、
押出加工比15以上で押出加工するか、または、デンド
ライトアームスペーシングが断面全域にわたって30μ
m以下となるように小径で連続鋳造して製造することが
好ましい。より好ましいのは、上記の押出加工比が25
〜50、デンドライトアームスペーシングが断面全域に
わたって5〜15μmである。
明する。 実施例1 アルミニウム原料としてエンジン鋳物回収屑、自動車熱
交換器アルミニウム部品回収屑を溶融再生し、この合金
塊にさらにアルミニウム地金、マグネシウム及び他の母
合金を表1に示した組成となるよう混合して溶製し、D
C鋳造法により外径9インチφの鋳塊を鋳造した。比較
としてA6061合金の組成の鋳塊(No.17)を製
造した。次にこれらの鋳塊に530℃で6時間の均質化
処理を施した後、押出加工に供すべく600mm長さに
切断したビレットを得た。
て450℃前後に加熱し、押出加工を行った。ここで押
出加工比Rを35として円形断面の押出材の作製を試み
た。このとき、Siが多すぎる比較例のNo.6及びM
gが多すぎるNo.7については押出速度が1m/分を
下回るとともに押出後半には表面状態の著しい劣化(微
細な表面クラックの発生)を生じるに至り、健全に押出
することができなかった。このためNo.6及びNo.
7については以降の加工、試験を行えなかった。また、
Mnの多すぎるNo.8については押出はできたものの
低位の押出速度に終始し、押出性が低かった。
を切断し、図1に示す形状の鍛造素材を作製した。この
鍛造素材を430℃に加熱し、図2に示す自動車サスペ
ンション部品(以下、サスペンション部品という)を、
金型にて鍛造加工して製造した。得られた鍛造材は、こ
の後、530℃で2.5時間溶体化処理をした後に温水
(約60℃)に焼き入れ処理を施し、その後170℃で
7.5時間の時効処理を施すT6処理を実施した。
晶粒の粗大化を招くことがあるが、Mnの量が少なすぎ
るNo.14においてこうした結晶粒粗大化(結晶粒最
大3mm程度)の現象が確認された。No.14につい
てはこの現象のため、以降の試験評価の対象から除外し
た。また、比較用のNo.17(A6061合金)で
は、鍛造加工と熱処理を数度繰り返すなかで、部分的に
若干粗粒化することが確認されており、その細粒維持の
ためには精緻な加工条件、熱処理条件の整備が必要であ
ることが認識された。熱間鍛造においては型によって成
形時の各部の歪みが異なり、比較的歪みの少ない部分に
おいては熱処理条件と加工条件の設定ないし変動によっ
て粗粒化する場合が多々あり、A6061合金を用いた
場合もこの例外でないことが確認された。
て、引張特性、靭性、耐食性を試験し、No.17(A
6061合金)の結果を基準として以下のように評価し
た。結果を表2に示した。 引張特性試験 JIS5号試験片を作成し、インストロン型引張試験機
で引張速度10mm/分で耐力を測定し、No.17の
耐力の80%以上のものを○、50%以上80%未満の
ものを△、50%未満のものを×とした。 靭性試験 シャルピー衝撃試験によりJIS3号試験片(2mm)
のシャルピー値を測定し、No.17の値の60%以上
のものを○、40%以上60%未満のものを△、40%
未満のものを×とした。なお、併せて電子顕微鏡により
組織観察を行い、巨大晶出物の有無を調べ、巨大晶出物
が存在したものについてはシャルピー値にかかわらず×
と評価した。 耐食性試験 JIS Z 2371の塩水噴霧試験を行い、各試料の
腐食減量をNo.17の腐食減量と比較して、2倍以下
を○、2倍を越え5倍までを△、5倍を越えるものを×
とした。なお、試験期間は960時間で行った。なお、
引張特性、靭性、耐食性のいずれの試験結果も、△以上
の評価であればサスペンション部品として実用上問題が
なく、×は問題があるレベルである。
であるNo.1〜5、及び比較例のNo.16以外は、
引張特性、靭性、耐食性のいずれかで×(サスペンショ
ン部品として問題のあるレベル)の評価となっており、
全ての特性を満足するものでないことがわかる。 耐外傷性試験 上記3つの特性を満たした試料No.1〜5、16及び
基準とした比較試料No.17について、耐外傷性の試
験を行った。走行環境での耐性を調査する目的で、作製
したサスペンション部品(大きさ;長さ30cm程度)
を車両底部ホイールハウス近傍域にボルト締め固定し、
アスファルト舗装道路走行、無舗装道路走行を含む市街
地実走行を、各試料部品で同じコースにおいて6ケ月間
各5本ずつ試験を行ないその評価を確定した。その後に
各試料部品を取り外し、部品の表面状態の変化を目視観
察した。小砂利等による表面の外傷数の程度を、以下の
ように3段階で評価した。 A:軽い外傷がある B:中程度の外傷がある C:中程度と、ひどい外傷が多数ある
のNo.16及びA6061合金のNo.17は、耐外
傷性が不良であるのに対し、本発明例であるNo.1〜
5ではいずれも耐外傷性が極めて高いことが分かる。
外径を6インチφ(押出加工比約7)とした以外は全く
同様にして試料No.18〜20をそれぞれ作製した。
No.20(No.3に対し押出加工比を変えたもの)
は鍛造工程で割れを生じ、健全加工不能であった。N
o.18、19(それぞれNo.1、2に対し押出加工
比を変えたもの)については鍛造加工はできたものの、
実施例1と同様の方法で評価を行った結果、靭性の評価
が×であった。上記の結果は加工度(押出加工比)が低
かったことにより金属間化合物が十分に微細分散しなか
ったためと考えられる。
交換器アルミニウム部品回収屑を溶融再生し、さらにM
g母合金を表3に示した組成となるように混合して溶製
し、小径連続鋳造機で表4に示した条件で連続鋳造棒を
製造した。鋳魂断面中央部でデンドライトアームスペー
シングを測定し、その結果も表4に示す。デンドライト
アームスペーシングは50倍で撮影した光学顕微鏡写真
上で二次枝が明瞭な部分から20個の二次枝の間隔を測
定し、その平均値を求め、これを鋳造棒のデンドライト
アームスペーシングと定義した。
30℃で6時間の均質化処理を行った後、表面を面削し
て図1に示す形状の38mmφの鍛造素材を作製した。
この鍛造素材を430℃に加熱し、図2に示すサスペン
ション部品を金型にて鍛造加工して製造した。得られた
鍛造材は、この後、530℃で2.5時間溶体化処理し
た後に温水(約60℃)に焼入れ処理を施し、その後1
70℃で7.5時間の時効処理を施すT6処理を実施し
た。
て、引張特性、靱性、耐食性、耐外傷性を実施例1と同
様の評価方法、評価基準で評価した。結果を表5に示し
た。
であるNo.21、22は、評価した4項目のいずれに
おいても×又はCの評価がなく、全ての特性を満足して
いるのに対して、比較例No.23、24はいずれかの
項目で×又はCの評価となっており、全ての特性を満足
するものでないことがわかる。
m、鋳造速度200mm/分とした以外は実施例2の試
料No.21、22と全く同様にして、試料No.2
5、26をそれぞれ作製した。断面中央部におけるデン
ドライトアームスペーシングはNo.25で35μm、
No.26で40μmであった。いずれも鍛造は可能で
あったが、実施例1と同様の方法で評価を行った結果、
靱性の評価が×であった。上記の結果は鋳造時の冷却速
度が小さく、デンドライトアームスペーシングが大きく
なり、金属間化合物が十分に微細分散化しなかったため
と考えられる。
ウム合金は、押出加工や鋳造加工を行って、押出棒や鋳
造棒等の良好な鍛造素材に加工することができ、かつ、
強度、靭性、耐食性が高く、自動車の足回り部品等とし
たときの耐外傷性にも優れる。しかも本発明のアルミニ
ウム合金は、回収アルミニウム屑を原料に用いることが
できるためコストが低く、しかも、その鍛造加工品は、
各種の所望性能をバランス良く維持しているとともに従
来の自動車の車体の軽量化等に用いられているA606
1合金よりも高い耐外傷性を有するという優れた効果を
奏する。本発明によれば、回収アルミニウム屑を原料に
用いて、このような優れた特性を有し、かつ、割れ等を
発生することなく良好に鍛造加工しうる自動車部材向け
鍛造用アルミニウム合金材を製造することができる。
である。
形状を示す斜視図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 Si 1.5wt%を越え5wt%以
下、Mg 0.2wt%を越え1.5wt%以下、Mn
0.05wt%を越え1.0wt%以下、Fe 0.
2wt%を越え1.2wt%以下、Cu 0.2wt%
を越え2.0wt%以下及びZn 2.0wt%以下を
必須成分として含有し、さらにCr 0.1wt%以
下、Zr 0.25wt%以下及びTi 0.1wt%
以下からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有し、
残部アルミニウムおよび不可避的不純物からなる組成の
アルミニウム合金からなる鋳塊から得たビレットを、押
出加工の加工比を15以上として押出加工したことを特
徴とする自動車部材向け鍛造加工用アルミニウム合金
材。 - 【請求項2】 前記の押出加工比を25〜50とするこ
とを特徴とする請求項1記載の自動車部材向け鍛造加工
用アルミニウム合金材。 - 【請求項3】 請求項1記載の組成のアルミニウム合金
から得られた、連続鋳造棒の鋳造方向に垂直な断面のデ
ンドライトアームスペーシングが30μm以下の連続鋳
造棒であることを特徴とする自動車部材向け鍛造加工用
アルミニウム合金材。 - 【請求項4】 請求項1記載の組成のアルミニウム合金
から得た前記のビレットを押出加工して鍛造素材を製造
するに当り、押出加工の加工比を25〜50とし、鍛造
加工してなることを特徴とする自動車部材。 - 【請求項5】 請求項3記載の自動車部材向け鍛造加工
用アルミニウム合金材を鍛造加工してなることを特徴と
する自動車部材。
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JP2001162318A JP2001162318A (ja) | 2001-06-19 |
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