JP2907389B2 - 靭性に優れた耐摩耗性加工用アルミニウム合金材 - Google Patents
靭性に優れた耐摩耗性加工用アルミニウム合金材Info
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Description
【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、耐摩耗性，被削性及び靱性に優れたアルミ
合金製コンプレッサー部品に関する。
合金製コンプレッサー部品に関する。
（従来の技術） 車両用，家庭用，産業用等のコンプレッサー部品は、
耐摩耗性は勿論、安全性と過酷な使用に耐えるため靱性
に優れていることが要求される。このような部品の材料
としてA4032合金（Al-Si共晶合金）が使用されてきた
が、A4032合金は強度，伸び共に低く、靱性に劣ってい
る。そこで、特開昭60-197838号公報では、Cu,Mg,Fe,Mn
等の合金元素を調整した合金が提案されている。
耐摩耗性は勿論、安全性と過酷な使用に耐えるため靱性
に優れていることが要求される。このような部品の材料
としてA4032合金（Al-Si共晶合金）が使用されてきた
が、A4032合金は強度，伸び共に低く、靱性に劣ってい
る。そこで、特開昭60-197838号公報では、Cu,Mg,Fe,Mn
等の合金元素を調整した合金が提案されている。
（発明の課題） A4032合金、或いはAl-Si共晶系合金にCu,Mg,Fe,Mn等
の元素を調整した合金のT6処理材は、強度の高いもので
も38〜39kgf/mm2程度、伸びも８〜10％程度に止まり、
靱性に劣っている。また、亜共晶系Al-Si合金は、強
度，伸び共に改善され、靱性も向上しているが、コンプ
レッサー部品に要求される十分な特性を備えていない。
の元素を調整した合金のT6処理材は、強度の高いもので
も38〜39kgf/mm2程度、伸びも８〜10％程度に止まり、
靱性に劣っている。また、亜共晶系Al-Si合金は、強
度，伸び共に改善され、靱性も向上しているが、コンプ
レッサー部品に要求される十分な特性を備えていない。
本発明は、コンプレッサー部品としての要求特性を満
足すべく調査・研究した結果完成されたものであり、鋳
造組織における共晶Siのサイズ及び分布を調整すること
により、耐摩耗性及び被削性に優れ、熱間鍛造材のT6処
理後の引張強さが43kgf/mm2以上，伸びが15％以上，切
欠き靱性が13kgf/mm2以上と優れた機械的性質及び靱性
をもつアルミ合金製コンプレッサー用部品を提供するこ
とを目的とする。
足すべく調査・研究した結果完成されたものであり、鋳
造組織における共晶Siのサイズ及び分布を調整すること
により、耐摩耗性及び被削性に優れ、熱間鍛造材のT6処
理後の引張強さが43kgf/mm2以上，伸びが15％以上，切
欠き靱性が13kgf/mm2以上と優れた機械的性質及び靱性
をもつアルミ合金製コンプレッサー用部品を提供するこ
とを目的とする。
（課題を解決するための手段） 本発明のコンプレッサー部品は、その目的を達成する
ため、Si:6.5〜7.5重量％,Cu:1.5〜4.5重量％,Mg:0.2〜
0.8重量％,Mn:0.1〜0.8重量％,Sb:0.05〜0.25重量％を
含み、残部Alと不純物とからなる組成をもち、不純物と
してのFeを0.25重量％未満,Znを0.05重量％以下,Crを0.
05重量％以下に規制し、水冷鋳型を使用した連続式又は
半連続式鋳造法で外径300〜600mmのピレットに鋳造さ
れ、共晶Siの平均粒子長さが３〜５μｍで、長さ５μｍ
以下の共晶Siが共晶Si全体の75％以上を占有する鋳造組
織をもつアルミ合金でできていることを特徴とする。
ため、Si:6.5〜7.5重量％,Cu:1.5〜4.5重量％,Mg:0.2〜
0.8重量％,Mn:0.1〜0.8重量％,Sb:0.05〜0.25重量％を
含み、残部Alと不純物とからなる組成をもち、不純物と
してのFeを0.25重量％未満,Znを0.05重量％以下,Crを0.
05重量％以下に規制し、水冷鋳型を使用した連続式又は
半連続式鋳造法で外径300〜600mmのピレットに鋳造さ
れ、共晶Siの平均粒子長さが３〜５μｍで、長さ５μｍ
以下の共晶Siが共晶Si全体の75％以上を占有する鋳造組
織をもつアルミ合金でできていることを特徴とする。
アルミ合金に不純物として含まれるFeは、0.1重量％
未満に規制することが好ましい。このアルミ合金は、更
にTi:0.1重量％以下、又はTi:0.1重量％以下及びB:0.02
重量％以下を含むことができる。
未満に規制することが好ましい。このアルミ合金は、更
にTi:0.1重量％以下、又はTi:0.1重量％以下及びB:0.02
重量％以下を含むことができる。
（作用） 本発明者等は、成分及び含有量が特定された亜共晶系
Al-Si合金にSbを含有させると共に、共晶Siの大きさ及
び特定の大きさの共晶Si量が占める割合を調整すると
き、熱間鍛造材をT6処理したとき耐摩耗性及び被削性が
良好で、靱性に優れた材料が得られ、コンプレッサー部
品に好適に使用されることを見い出した。
Al-Si合金にSbを含有させると共に、共晶Siの大きさ及
び特定の大きさの共晶Si量が占める割合を調整すると
き、熱間鍛造材をT6処理したとき耐摩耗性及び被削性が
良好で、靱性に優れた材料が得られ、コンプレッサー部
品に好適に使用されることを見い出した。
本発明で使用するアルミ合金に含まれる合金成分，含
有量，共晶Si等について説明する。
有量，共晶Si等について説明する。
Si:6.5〜7.5重量％ 共晶Siを形成し、耐摩耗性を付与する上で有効な合金
元素である。耐摩耗性改善作用は、6.5重量％以上のSi
含有で顕著になる。しかし、7.5重量％を超える多量のS
iが含まれると、伸びが著しく低下し、靱性が損なわれ
る。
元素である。耐摩耗性改善作用は、6.5重量％以上のSi
含有で顕著になる。しかし、7.5重量％を超える多量のS
iが含まれると、伸びが著しく低下し、靱性が損なわれ
る。
Cu:1.5〜4.5重量％ T6処理後の強度及び伸びを改善する合金元素であり、
1.5重量％以上の含有量でCuの作用が顕著になる。しか
し、4.5重量％を超えるCu含有量では、伸びが低下し、
耐食性が劣化する。
1.5重量％以上の含有量でCuの作用が顕著になる。しか
し、4.5重量％を超えるCu含有量では、伸びが低下し、
耐食性が劣化する。
Mg:0.2〜0.8重量％ Mg2Siの析出物を生成して強度を付与する合金成分で
あり、0.2重量％以上の含有量で強度改善効果が顕著に
なる。しかし、0.8重量％を超える多量のMgが含まれる
と、伸びが低下し、鋳造、押出性等の塑性加工性が劣化
する。
あり、0.2重量％以上の含有量で強度改善効果が顕著に
なる。しかし、0.8重量％を超える多量のMgが含まれる
と、伸びが低下し、鋳造、押出性等の塑性加工性が劣化
する。
Mn:0.1〜0.8重量％ Feの存在により生成するAl-Si-Fe系晶出物を微粒な丸
みを帯びたAl-Si-Mn（Fe）系晶出物とし、靱性を向上す
ると共に、晶出物によって耐摩耗性を付与する作用を呈
する。このような作用は、Mn含有量が0.1重量％以上に
なると顕著に現れる。しかし、0.8重量％を超える多量
のMnが含まれると、却って靱性が低下する。
みを帯びたAl-Si-Mn（Fe）系晶出物とし、靱性を向上す
ると共に、晶出物によって耐摩耗性を付与する作用を呈
する。このような作用は、Mn含有量が0.1重量％以上に
なると顕著に現れる。しかし、0.8重量％を超える多量
のMnが含まれると、却って靱性が低下する。
Sb:0.05〜0.25重量％ 共晶Siを微細化し、被削性及び靱性を向上させる作用
を呈する。このような作用は、0.05重量％以上のSb含有
量で顕著になる。しかし、0.25重量％を超える多量のSb
が含まれると、Mg3Sbの化合物が晶出して靱性が却って
低下し、またMgの強度改善作用が損なわれる。
を呈する。このような作用は、0.05重量％以上のSb含有
量で顕著になる。しかし、0.25重量％を超える多量のSb
が含まれると、Mg3Sbの化合物が晶出して靱性が却って
低下し、またMgの強度改善作用が損なわれる。
また、直径300〜600mmの大径ピレットでは、質量効果
によって緩冷却状態になり易く、結果として共晶Siが粗
大に成長し易い。他方、鋳造時に急冷すると共晶Siが微
細化し、その後の押出し等の工程で共晶Siが分断されて
一層微細になるため、必要とする耐摩耗性が確保できな
い。この点、0.05〜0.25重量％のSbを添加したものでは
共晶Siの大きさが適度に調整され、製品段階で必要とす
る耐摩耗性及び靱性が得られる。このような作用は、微
細化剤として知られているNa,Sr等では得られない。
によって緩冷却状態になり易く、結果として共晶Siが粗
大に成長し易い。他方、鋳造時に急冷すると共晶Siが微
細化し、その後の押出し等の工程で共晶Siが分断されて
一層微細になるため、必要とする耐摩耗性が確保できな
い。この点、0.05〜0.25重量％のSbを添加したものでは
共晶Siの大きさが適度に調整され、製品段階で必要とす
る耐摩耗性及び靱性が得られる。このような作用は、微
細化剤として知られているNa,Sr等では得られない。
Ti:0.1重量％以下， B:0.02重量％以下 Ti及びＢは、必要に応じ添加される合金元素であり、
鋳造割れを防止する作用を呈する。しかし、0.1重量％
を超えるTiや0.02重量％を超えるＢを添加すると、Ti又
はＢの金属間化合物が生成し、後続する押出し・鍛造工
程において加工性を劣化させる。
鋳造割れを防止する作用を呈する。しかし、0.1重量％
を超えるTiや0.02重量％を超えるＢを添加すると、Ti又
はＢの金属間化合物が生成し、後続する押出し・鍛造工
程において加工性を劣化させる。
本発明で使用するアルミニウム合金は、溶製工程で返
材等から混入してくる不純物を含むこともある。このよ
うな不純物の代表的なものとしてFeがある。Feは、Mn共
存下で微細な晶出物を形成して耐摩耗性を向上させる作
用を奏するが、含有量が多くなるとAl-Fe-Mn-Si系晶出
物が多量に発生して靱性が損なわれる。そのため、返材
等の配合量を調整することにより、Fe含有量を0.25重量
％未満，好ましくは0.1重量％未満に規制する。Fe以外
のZn,Cr等も、同様にAl-Fe-Zn系,Al-Cu-Zn系,Al-Fe-Cr-
Si系,Al-Cr-Mn系等の金属間化合物を多量に発生させて
靱性を低下することから、それぞれ0.05重量％以下に規
制する。
材等から混入してくる不純物を含むこともある。このよ
うな不純物の代表的なものとしてFeがある。Feは、Mn共
存下で微細な晶出物を形成して耐摩耗性を向上させる作
用を奏するが、含有量が多くなるとAl-Fe-Mn-Si系晶出
物が多量に発生して靱性が損なわれる。そのため、返材
等の配合量を調整することにより、Fe含有量を0.25重量
％未満，好ましくは0.1重量％未満に規制する。Fe以外
のZn,Cr等も、同様にAl-Fe-Zn系,Al-Cu-Zn系,Al-Fe-Cr-
Si系,Al-Cr-Mn系等の金属間化合物を多量に発生させて
靱性を低下することから、それぞれ0.05重量％以下に規
制する。
共晶Si:平均粒子長さ３〜５μｍ 長さ５μｍ以下の共晶Siが共晶Si全体の75％以上 以上のように成分調整されたアルミ合金は、水冷鋳型
を使用した水冷式連続又は半連続鋳造法で外径300〜600
mmのピレットに鋳造される。ピレットの外径が300mm未
満では、質量効果による影響が小さく、急冷した場合と
同様に共晶Siが過度に微細化される。逆に外径600mmを
超えるピレットを鋳造すると、質量効果が大きすぎて緩
冷却状態で鋳造されるため、結晶粒及び共晶Siが粗大化
した鋳造組織となる。
を使用した水冷式連続又は半連続鋳造法で外径300〜600
mmのピレットに鋳造される。ピレットの外径が300mm未
満では、質量効果による影響が小さく、急冷した場合と
同様に共晶Siが過度に微細化される。逆に外径600mmを
超えるピレットを鋳造すると、質量効果が大きすぎて緩
冷却状態で鋳造されるため、結晶粒及び共晶Siが粗大化
した鋳造組織となる。
この点、本発明では、共晶Siの平均粒子長さが３〜５
μm,共晶Si全体量に占める長さ５μｍ以下の共晶Siの割
合が75％以上に調整された鋳造組織が得られるように、
外径300〜600mmのピレットに鋳造している。
μm,共晶Si全体量に占める長さ５μｍ以下の共晶Siの割
合が75％以上に調整された鋳造組織が得られるように、
外径300〜600mmのピレットに鋳造している。
共晶Siの平均粒子長さ及び面積率は、アルミニウム合
金材の物性に影響を与える要因である。本発明者等によ
る多数の実験から本発明で規定した合金系においては、
共晶Siの平均粒子長さ３〜５μｍ及び長さ５μｍ以下の
共晶Siが共晶Si全体の75％以上であることが、鋳造後の
押出し，鋳造により製造されるコンプレッサー部品に要
求される物性を満足する上で必要なことが本発明者等に
よる多数の実験から見い出された。
金材の物性に影響を与える要因である。本発明者等によ
る多数の実験から本発明で規定した合金系においては、
共晶Siの平均粒子長さ３〜５μｍ及び長さ５μｍ以下の
共晶Siが共晶Si全体の75％以上であることが、鋳造後の
押出し，鋳造により製造されるコンプレッサー部品に要
求される物性を満足する上で必要なことが本発明者等に
よる多数の実験から見い出された。
共晶Siの平均粒子長さが５μｍ以上になると、合金材
の被削性及び靱性が低下する。逆に、共晶Siの平均粒子
長さが３μｍより小さくなると、後工程における塑性加
工により共晶Siが過度に分断・微細化し、必要とする耐
摩耗性が得られない。また、長さが５μｍを超える共晶
Siの量が面積率で共晶Si全体量の25％を超えると、合金
材の伸び及び靱性が低下する。共晶Siの平均粒子長さ及
び面積率は、画像解析法で測定できる。
の被削性及び靱性が低下する。逆に、共晶Siの平均粒子
長さが３μｍより小さくなると、後工程における塑性加
工により共晶Siが過度に分断・微細化し、必要とする耐
摩耗性が得られない。また、長さが５μｍを超える共晶
Siの量が面積率で共晶Si全体量の25％を超えると、合金
材の伸び及び靱性が低下する。共晶Siの平均粒子長さ及
び面積率は、画像解析法で測定できる。
共晶Siが以上のように調整されたピレットは、減面率
50％以上で外径10〜130mmの押出し棒に押出し加工され
る。これにより、共晶Siが分断され、更に微細化が進行
し、耐摩耗性，靱性及び被削性に優れた製品となる。外
径10mm未満に押出し加工すると、塑性加工によって共晶
Siが一層微細化され、耐摩耗性が低下する。一方、外径
が130mmを超える押出し材では、ピレットの共晶Siが塑
性加工によっても容易に微細化され難く、被削性及び靱
性が低下する。ピレットの押出し加工は、中実棒に限ら
ず、形材とすることもできる。
50％以上で外径10〜130mmの押出し棒に押出し加工され
る。これにより、共晶Siが分断され、更に微細化が進行
し、耐摩耗性，靱性及び被削性に優れた製品となる。外
径10mm未満に押出し加工すると、塑性加工によって共晶
Siが一層微細化され、耐摩耗性が低下する。一方、外径
が130mmを超える押出し材では、ピレットの共晶Siが塑
性加工によっても容易に微細化され難く、被削性及び靱
性が低下する。ピレットの押出し加工は、中実棒に限ら
ず、形材とすることもできる。
得られた押出し材は、所定の寸法に切断された後、熱
間鍛造され、溶体化処理後、水焼入れ及び焼戻し処理に
よって必要強度が付与されたコンプレッサー部品用素材
に製造される。
間鍛造され、溶体化処理後、水焼入れ及び焼戻し処理に
よって必要強度が付与されたコンプレッサー部品用素材
に製造される。
（実施例） 表１に示す組成をもつ各種アルミ合金を常法に従って
溶製し、水冷鋳造型を用いた水冷式半連続鋳造法で直径
325mmのピレットに鋳造した。このピレットに510℃×６
時間の均質化処理を施し、間接押出し機で直径45mmの押
出棒を製造した。
溶製し、水冷鋳造型を用いた水冷式半連続鋳造法で直径
325mmのピレットに鋳造した。このピレットに510℃×６
時間の均質化処理を施し、間接押出し機で直径45mmの押
出棒を製造した。
押出後の資料番号２及び４を顕微鏡観察したところ、
それぞれ第１図Ａ及びＢに示す組織をもっていた。Sbを
添加した資料番号４では、第１図Ｂにみられるように、
共晶Si（黒い点）が微細均一に分布した組織になってい
た。他方、Sb添加のない試料番号２では、第１図Ａにみ
られるように、共晶Siが分断しきれず比較的大きな状態
で残存している部分が観察された。
それぞれ第１図Ａ及びＢに示す組織をもっていた。Sbを
添加した資料番号４では、第１図Ｂにみられるように、
共晶Si（黒い点）が微細均一に分布した組織になってい
た。他方、Sb添加のない試料番号２では、第１図Ａにみ
られるように、共晶Siが分断しきれず比較的大きな状態
で残存している部分が観察された。
資料番号２及び４の切削面を光学顕微鏡の拡大視野で
観察したところ、それぞれ第２図Ａ及びＢに示す組織を
もっていた。Sb添加により共晶Siを微細均一に分布させ
た資料番号４では、第２図Ｂにみられるように、切削面
の傷が小さかった。このことから、資料番号４は被削性
に優れていることが判る。他方、試料番号２では、第２
図Ａにみられるように大きな疵が切削面に発生してい
た。
観察したところ、それぞれ第２図Ａ及びＢに示す組織を
もっていた。Sb添加により共晶Siを微細均一に分布させ
た資料番号４では、第２図Ｂにみられるように、切削面
の傷が小さかった。このことから、資料番号４は被削性
に優れていることが判る。他方、試料番号２では、第２
図Ａにみられるように大きな疵が切削面に発生してい
た。
次いで、鋳造材の共晶Siの平均粒子長さと、粒子長さ
５μｍ以下の共晶Si量を画像解析法で測定した。共晶Si
の平均粒子長さは、粒子の最大長さの平均値とした。
５μｍ以下の共晶Si量を画像解析法で測定した。共晶Si
の平均粒子長さは、粒子の最大長さの平均値とした。
また、直径45mmの押出材を所定長さに切断し、400℃
の温度で減面率50％の圧縮熱間鋳造を施した。鍛造品に
T6処理（510℃×４時間の溶体化処理→水焼入→170℃×
10時間の焼戻し処理）を施したのち、機械的性質、切欠
き靱性、耐摩耗性を測定した。切欠き靱性は、軸方向に
直角に角度45度の切欠きを入れ、静的引張荷重をかけて
測定した。耐摩耗性は、大越式耐摩耗試験機を使用し、
荷重21kg,回転摩耗子FC28,摩耗速度１〜3m/秒，摩耗距
離600mの条件で測定した。
の温度で減面率50％の圧縮熱間鋳造を施した。鍛造品に
T6処理（510℃×４時間の溶体化処理→水焼入→170℃×
10時間の焼戻し処理）を施したのち、機械的性質、切欠
き靱性、耐摩耗性を測定した。切欠き靱性は、軸方向に
直角に角度45度の切欠きを入れ、静的引張荷重をかけて
測定した。耐摩耗性は、大越式耐摩耗試験機を使用し、
荷重21kg,回転摩耗子FC28,摩耗速度１〜3m/秒，摩耗距
離600mの条件で測定した。
測定結果を示す表２から明らかなように、本発明に従
ったアルミ合金材は、共晶Siの平均粒子長さが小さく、
しかも粒子長さ５μｍ以下の共晶Si量が多く存在してい
る。そのため、耐摩耗性が良好で、特に切欠靱性の優れ
たコンプレッサー部品として使用されることが判る。こ
れに対し、試料番号1,2,7,8の比較例及びA4032合金は、
何れかの性質において劣り、コンプレッサー部品に要求
される特性を満足していない。
ったアルミ合金材は、共晶Siの平均粒子長さが小さく、
しかも粒子長さ５μｍ以下の共晶Si量が多く存在してい
る。そのため、耐摩耗性が良好で、特に切欠靱性の優れ
たコンプレッサー部品として使用されることが判る。こ
れに対し、試料番号1,2,7,8の比較例及びA4032合金は、
何れかの性質において劣り、コンプレッサー部品に要求
される特性を満足していない。
（発明の効果） 以上に説明したように、本発明のコンプレッサー部品
は、共晶Siの平均粒子長さが３〜５μｍで、長さ５μｍ
以下の共晶Siが共晶Si全体の75％以上を占有する鋳造組
織をもつアルミ合金でできているため、耐摩耗性及び被
削性に優れ、T6処理後の引張強さが43kgf/mm2以上，伸
びが15％以上、切欠き靱性が13kgf/mm2以上という優れ
た特性を備えている。したがって、車両用，家庭用，産
業用等のコンプレッサー部品用素材が得られ、寸法精度
良く加工でき、安全性の高いコンプレッサー部品が提供
される。
は、共晶Siの平均粒子長さが３〜５μｍで、長さ５μｍ
以下の共晶Siが共晶Si全体の75％以上を占有する鋳造組
織をもつアルミ合金でできているため、耐摩耗性及び被
削性に優れ、T6処理後の引張強さが43kgf/mm2以上，伸
びが15％以上、切欠き靱性が13kgf/mm2以上という優れ
た特性を備えている。したがって、車両用，家庭用，産
業用等のコンプレッサー部品用素材が得られ、寸法精度
良く加工でき、安全性の高いコンプレッサー部品が提供
される。
第１図は、Sb無添加の合金材（Ａ）及び本発明に従って
Sbを添加した合金材（Ｂ）それぞれにおける共晶Siの分
布状態を示す金属組織の顕微鏡写真 第２図は、Sb無添加の合金材（Ａ）及び本発明に従って
Sbを添加した合金材（Ｂ）それぞれにおける切削面の光
学顕微鏡による拡大図
Sbを添加した合金材（Ｂ）それぞれにおける共晶Siの分
布状態を示す金属組織の顕微鏡写真 第２図は、Sb無添加の合金材（Ａ）及び本発明に従って
Sbを添加した合金材（Ｂ）それぞれにおける切削面の光
学顕微鏡による拡大図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 達 静岡県庵原郡蒲原町蒲原１丁目34番１号 株式会社日軽技研内 (72)発明者 小林 重幸 東京都港区三田３丁目13番12号 日本軽 金属株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−35261（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−149839（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−208444（ＪＰ，Ａ) 特開 昭57−79140（ＪＰ，Ａ)
Claims (3)
- 【請求項１】Si:6.5〜7.5重量％,Cu:1.5〜4.5重量％,M
g:0.2〜0.8重量％,Mn:0.1〜0.8重量％,Sb:0.05〜0.25重
量％を含み、残部Alと不純物とからなる組成をもち、不
純物としてのFeを0.25重量％未満,Znを0.05重量％以下,
Crを0.05重量％以下に規制し、水冷鋳型を使用した連続
式又は半連続式鋳造法で外径300〜600mmのピレットに鋳
造され、共晶Siの平均粒子長さが３〜５μｍで、長さ５
μｍ以下の共晶Siが共晶Si全体の75％以上を占有する鋳
造組織をもっている耐摩耗性及び靱性に優れたアルミ合
金製コンプレッサー部品。 - 【請求項２】不純物としてFe含有量が0.1重量％未満で
ある請求項１記載のアルミ合金製コンプレッサー部品。 - 【請求項３】更にTi:0.1重量％以下、又はTi:0.1重量％
以下及びB:0.02重量％以下を含むアルミ合金でできた請
求項１又は２記載のアルミ合金製コンプレッサー部品。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP63260462A JP2907389B2 (ja) | 1988-10-18 | 1988-10-18 | 靭性に優れた耐摩耗性加工用アルミニウム合金材 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP63260462A JP2907389B2 (ja) | 1988-10-18 | 1988-10-18 | 靭性に優れた耐摩耗性加工用アルミニウム合金材 |
Related Child Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP34070096A Division JP2848368B2 (ja) | 1996-12-20 | 1996-12-20 | 耐摩耗性及び靭性に優れたコンプレッサー部品用アルミ合金の製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH02107738A JPH02107738A (ja) | 1990-04-19 |
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