JP3450209B2 - 車両ボディ用フレーム材の製造方法 - Google Patents

車両ボディ用フレーム材の製造方法

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JP3450209B2
JP3450209B2 JP01352699A JP1352699A JP3450209B2 JP 3450209 B2 JP3450209 B2 JP 3450209B2 JP 01352699 A JP01352699 A JP 01352699A JP 1352699 A JP1352699 A JP 1352699A JP 3450209 B2 JP3450209 B2 JP 3450209B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、アルミニウム合
金からなる車両ボディ用フレーム材の製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、乗用車のフロントサイドフレー
ム,リアフレーム及びピラー等に代表されるボディ用フ
レームは、搭乗者の安全性を確保するため、衝突時の衝
撃エネルギーの吸収性が優れていることが必要である。
また、三次元的な曲げ加工(曲げの中心線が一平面上に
位置しないような曲げ加工)のために、曲げ加工精度が
良好であることも必要である。
【0003】車両ボディ用フレーム材としては、前述の
ような性能条件が必要であるため通常冷間圧延鋼板が使
用されていたが、近年特に自動二輪車を含む乗用車両で
は、運動性の向上や燃費の改善の要請により、車両ボデ
ィ用フレーム材として、より軽量なアルミニウム合金材
料が使用されるようになった。車両ボディ用のアルミニ
ウム合金製フレーム材には、押出性がよく、曲げ加工性
及び強度的にも良好であるところから、例えば6063
(Mg:0.45〜0.9%,Si:0.2〜0.6
%,Fe:0.35%以下,Cu,Mn,Cr,Zn,
Ti各0.1%以下,残Al)合金に代表されるAl−
Mg−Si系合金が使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、衝突時の衝
撃吸収部材としての車両ボディ用フレーム材は、0.2
%耐力が大きいばかりでなく、各フレーム材の0.2%
耐力が一定でそのバラツキが小さくなければならない。
なせならば、0.2%耐力が一定でなければ衝撃を安定
して吸収することができないからであり、また、各フレ
ーム材の0.2%耐力のバラツキが大きいと、曲げ加工
時(特に、スプリングバック量が大きい押し通し曲げ機
による曲げ加工時)のスプリングバック量の変化が大き
いため寸法精度が悪くなり、曲げ加工後の矯正加工や、
フレーム材毎に曲げ加工条件を設定することなどが必要
になって生産性が低下するからである。しかしながら、
従来のAl−Mg−Si系合金の押出材は、製造ロット
別にみても同じ製造ロット内においても、0.2%耐力
のバラツキが大きく、曲げ加工時の生産性の低下や衝突
時の衝撃吸収性能に問題があり、これらの点の改善が望
まれていた。
【0005】この発明の目的は、より大きな衝撃エネル
ギーを吸収することができるアルミニウム合金製の車両
ボディ用フレーム材の製造方法を提供することにある。
この発明の他の目的は、強度のバラツキが小さく、した
がって、衝突エネルギー吸収量のバラツキが小さいとと
もに、押出性及び曲げ加工性により優れたアルミニウム
合金製の車両ボディ用フレーム材の製造方法を提供する
ことにある。具体的には、0.2%耐力が170〜20
0MPaであって、伸びが12〜18%である車両ボデ
ィ用フレーム材を製造する方法を提供しようとするもの
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明による車両ボデ
ィ用フレーム材の製造方法は、前述の課題を解決するた
め以下のように構成したものである。すなわち、請求項
1に記載の車両ボディ用フレーム材の製造方法は、M
g:0.45〜0.49wt%,Si:0.30〜0.
36wt%を含有するアルミニウム合金ビレットを53
0〜600℃の温度で均質化する工程と、前記アルミニ
ウム合金鋳塊を530℃以上の温度で押出材として押出
加工する工程と、前記押出材を押出後一秒間に0.6℃
以上の速度で少なくとも100℃まで冷却する工程と、
前記冷却された押出材を20〜40℃で15時間以上保
持した後、165〜210℃で時効処理する工程を含む
ことを特徴としている。
【0007】請求項2に記載の車両ボディ用フレーム材
の製造方法は、Mg:0.45〜0.49wt%,S
i:0.30〜0.36wt%を含有するアルミニウム
合金ビレットを530〜600℃の温度で均質化する工
程と、前記アルミニウム合金鋳塊を530℃以上の温度
で押出材として押出加工する工程と、前記押出材を押出
後一秒間に0.6℃以上の速度で少なくとも100℃ま
で冷却した後、さらに室温まで冷却する工程と、前記冷
却された押出材を、20℃未満での累積保持時間120
時間以内に20〜40℃で15時間以上保持した後、1
65〜210℃で時効処理する工程を含むことを特徴と
している。
【0008】
【発明の実施の形態】前述のように、この発明による車
両ボディ用フレーム材の製造方法で使用される合金は、
Mg及びSiを必須の添加元素とするアルミニウム合金
である。Mg及びSiは、車両ボディ用フレーム材の強
度を向上させるための添加元素であり、これらの元素が
析出物Mg2 Siを形成することによって、製造された
フレーム材の引張強さ及び0.2%耐力が向上する。M
gとSiの含有率がそれぞれ0.45wt%,0.30
wt%未満である場合には、製造されたフレーム材は車
両の衝撃エネルギーを吸収するに十分な強度が得られな
い。他方、両元素の含有率がそれぞれ0.49%,0.
36%を超えると、製造されたフレーム材は、引張強さ
と0.2%耐力は上昇するが伸びが低下する。そのた
め、衝撃吸収時の座屈変形によって割れが生じ易くな
り、衝撃エネルギー吸収能力が低下するほか、製品形状
が複雑で曲げ加工が厳しい場合には曲げ加工時に割れが
生じ易くなる。したがって、製造されたフレーム材の機
械的性質のバラツキを極力小さくし、優れた成形性と衝
撃吸収性能を確保するため、Mgは0.45〜0.49
wt%の範囲で、Siは0.30〜0.36wt%の範
囲でそれぞれ添加する必要がある。
【0009】前述のような組成を有するアルミニウム合
金を、以下のような条件で処理して車両ボディ用フレー
ム材を製造する。図4には、この発明の実施形態による
製造工程での材料に対する熱処理履歴が示されている。
第1に、前述のような組成のアルミニウム合金ビレット
を、530〜600℃の温度で均質化処理する。この均
質化処理により、ビレットの鋳造時に偏折した添加元素
が拡散により均質になる。均質化処理温度が、530℃
よりも低温であると晶出物等の均一化を達成することが
できず、600℃を超えると材料が部分的に溶融するお
それがある。
【0010】第2に、前記のように均質化処理したアル
ミニウム合金鋳塊を、530℃以上の温度(ダイスから
押し出された直後の材料温度)で所定断面形状の押出材
に押出加工する。530℃以上の温度で押し出すことに
より、押出時に添加元素が母相に十分に固溶され、母相
に固溶したMg,Si量が同一製造ロットのみでなく、
異なった製造ロットでもほとんど差がなくなるため、強
度バラツキがほとんどないフレーム材が製造される。押
出加工時にダイスから出た直後の材料温度が530℃未
満である場合には、添加元素であるMg,Siが母相に
十分固溶せず強度バラツキの原因になる。
【0011】第3に、前記押出材を押出後一秒間に0.
6℃以上の速度で少なくとも100℃まで冷却した後、
さらに室温まで冷却する。押出材をこのように冷却する
ことにより、530℃以上で押し出すことによって固溶
させた添加元素が冷却中に析出・成長するのを防止し、
時効処理時に添加元素によりフレーム材へ所定の強度を
付与する。冷却速度が0.6℃/secよりも下回る
と、固溶した添加元素が冷却中に析出・成長するのを防
止することができず、添加元素によるフレーム材の強度
が十分に保証できなくなるおそれがある。特に、150
℃以上の温度領域では、強度に影響する析出物の成長が
早いので、0.6℃/sec以上の速度で100℃まで
冷却することが不可欠である。さらに、この発明では前
記析出・成長の抑制をより完全なものとするため、材料
温度が少なくとも100℃に下降するまで前記冷却速度
を維持するものとする。前記冷却は、押出材の形状変形
の防止や設備費の点からファンを使用した空冷によるの
が好ましいが、押出材の形状変形などのおそれがない場
合には水冷によっても差し支えない。
【0012】第4に、前記冷却後の押出材を20〜40
℃で15時間以上室温時効を行った後、これを165〜
210℃の温度で人工時効処理する。材料の押出,冷却
後20℃未満での累積保持時間は120時間以内である
ことが望ましい。この室温時効と人工時効処理により、
フレーム材の引張強さ及び0.2%耐力を向上させるこ
とができる。材料の押出・冷却後の20℃以上の保持で
GPゾーンを析出させ、さらに、このGPゾーンの析出
密度をほぼ一定にするために、20〜40℃で室温時効
を15時間以上行う必要がある。これ以上長時間室温時
効を行ってもGPゾーンの析出密度はほとんど変化せ
ず、その後の人工時効でのMg2 Siの数,大きさ及び
密度をほぼ一定にすることができる。したがって、製造
ロットが変わっても、所定の時効条件の範囲では材料の
強度を一定範囲にすることができる。室温時効が20℃
未満ではGPゾーンの析出が進まず、そのまま人工時効
を施しても20〜40℃で室温時効した場合に比べて材
料の強度が低下するが、冬季など材料の押出,冷却後2
0℃未満に保持される場合でも、20〜40℃で室温時
効を15時間以上行うことによりGPゾーンの析出密度
をほぼ一定にすることができる。材料の押出,冷却後2
0℃未満の累積保持時間が120時間を超えると、その
後20〜40℃で15時間以上室温時効を施しても、G
Pゾーンの析出密度が一定にならずバラツクおそれがあ
り、したがって20℃未満での累積保持時間は120時
間以内であるのが好ましい。人工時効温度が165℃未
満では、熱処理を長時間実施しなければならないので生
産性が低下し、人工時効温度が210℃を超えると、フ
レーム材の強度変化が激しくなり強度のバラツキが大き
くなる。
【0013】前述の製造方法によれば、より大きな衝撃
エネルギーを吸収することができ、強度のバラツキ(衝
撃エネルギー吸収量のバラツキ)が小さく、しかも、押
出性及び曲げ加工性により優れたアルミニウム合金製の
車両ボディ用フレーム材を製造することができる。具体
的には、前述の製造方法によって製造された車両ボディ
用フレーム材は、0.2%耐力が170〜200PMa
で、かつ伸びが12〜18%である。0.2%耐力が1
70〜200PMaの範囲内であれば、通常の乗用車両
に必要な衝撃エネルギー吸収量を有するとともに、強度
が均一で、衝撃エネルギー吸収量のバラツキが小さく、
しかも曲げ加工時のスプリングバック量もより均一であ
る。フレーム材の0.2%耐力が170PMaを下回る
と強度が劣り、衝撃エネルギー吸収量が小さくなるとと
もに、衝撃エネルギー吸収量のバラツキも大きくなる。
フレーム材の0.2%耐力が200PMaを超えると、
衝突エネルギー吸収量は増大するが伸びが低下し、衝撃
エネルギー吸収時や曲げ加工時に割れが発生するととも
に、衝撃エネルギー吸収量もバラツキ易くなる。
【0014】試験例1 Mg:0.47wt%,Si:35wt%,Fe:0.
2wt%,残部Al及び不可避的不純物であるアルミニ
ウム合金ビレットを、565℃の温度で4時間均質化処
理した後、460℃程度に再加熱し、これを押出加工し
て図1のように一辺L=25mm,肉厚=2.0mmの正六
角形断面の押出材を製造した。押出時のダイスからの出
側の材料温度は540〜550℃であった。前記押出材
を0.8℃/secの速度でファンにより空冷(約9分
間に100℃まで冷却)し、これを20℃で20時間保
持した後、210℃で2時間の人工時効処理を施し、車
両ホディ用フレーム材を製造した。なお、フレーム材
は、押出以降同一条件で3回製造した。これら3回の製
造ロットの各5本ずつ計15本のフレーム材を長さ30
0mmに切断してフレーム材のサンプルとし、各サンプル
の引張試験と圧縮試験を行うとともに、圧縮試験中の割
れの有無を調べた。圧縮試験は、各サンプルに対して垂
直方向へ静的荷重を加え、圧縮変形量とその時の荷重を
測定することにより行い、圧縮開始から圧縮変形量が1
00mmに達するまでに負荷された荷重と圧縮変形量との
積を求め、これを吸収エネルギーとした。前記圧縮試験
の際の変位荷重曲線の測定例を図2に示した。前記各試
験の結果、前記15本のサンプルは、0.2%耐力が1
78〜180PMa、伸びが14.2〜16.0%、エ
ネルギー吸収量が5.4〜5.6kg・mであり、同一
製造ロット内のサンプル5本のエネルギー吸収量のバラ
ツキは0.1kg・m以内であった。また、前記圧縮試
験中のサンプルの割れはなかった。
【0015】試験例2 表1で示すように、添加元素であるSi,Mgの含有率
や製造条件を、この発明の範囲内で種々変えた実施例の
サンプルNo.1〜20のフレーム材を製造するととも
に、表2で示すように、添加元素の含有率及び各製造条
件の中のいずれかの一又は二の要件がこの発明の範囲外
である比較例のサンプルNo.21〜48のフレーム材
を製造した。ただし、各サンプルにおいて添加元素以外
の組成は、残部がAl及び不可避的不純物である。各サ
ンプルの押出形状は、図3のように外形が正方形で一辺
L=100mm、肉厚=2.5mmの「田」の字状断面であ
った。そして、各サンプルについて引張強さ,0.2%
耐力及び伸び等の引張性質、衝撃エネルギー吸収量,吸
収量のバラツキ及び割れ等のエネルギー吸収特性を測定
するとともに、曲げ加工試験を行った。それらの結果を
表3,4に示した。なお、表1及び表2において、押出
材料温度は押出ダイスからの出側の材料温度であり、冷
却速度は材料温度から100℃差し引いた値を材料温度
が100℃まで下がるのに要した時間で除した値であ
る。表2の下線付部分は、この発明の範囲内でない数値
又は条件であることを示している。表3及び表4におい
て、エネルギー吸収量は、300mmの長さに切断したサ
ンプルに垂直方向への荷重を加え、サンプルの圧縮変形
量が100mmに達するまでの荷重と変形量との積であ
る。吸収量のバラツキは、同一製造ロット内の3本のサ
ンプルの吸収量の最大差を示している。また、各サンプ
ルNo.1〜48のフレーム材をそれぞれ500mmの長
さで60本のサンプルに切断し、押し通し曲げ機を使用
して曲げ半径500mmで30度曲げを行った。表3及び
4における曲げ変位量は、サンプルの一方の片端を基準
として、60本のサンプル中の他端の最大のずれ量を示
したものである。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
【表3】
【0019】
【表4】
【0020】表1〜表4の実施例サンプルNo.1〜2
0と比較例サンプルNo.21〜40、実施例サンプル
No.1,3,10と比較例サンプルNo.31,3
2,33は、合金の組成及び製造条件がほぼ対応してい
るが、後者はその合金組成及び製造条件の中の一つ又は
二つの要素がこの発明の範囲から外れているケースであ
る。表3,4で明らかなように、本発明の実施例である
サンプルNo.1〜20は、0.2%耐力が171〜1
99MPa、伸びが12.0〜17.6%、衝撃エネル
ギー吸収量が12.3〜13.7kg・mであって、こ
れらの測定結果は、いずれも実験上車両ボディ用フレー
ム材としての使用に耐えうるものであった。また、60
本曲げ変位量は0.6〜0.9mmの範囲で大差がないと
ともに、エネルギー吸収量のバラツキは0〜0.1kg
・mで非常に小さく、かつ、圧縮時に割れは発生せず、
所定の性能を満足した。
【0021】これに対し、フレーム材の強度を増すため
の添加元素であるSi又はMgの添加量が、それぞれ
0.30wt%,0.45wt%未満である比較例のサ
ンプルNo.26,32のフレーム材は、それぞれ対応
する実施例サンプルNo.1,2と比べると、伸びは十
分であるが強度(0.2%耐力)が小さく、エネルギー
吸収量も相対的に小さかった。
【0022】Si又はMgの添加量がそれぞれ0.36
wt%,0.49wt%を超えるサンプルNo.30,
37,39のフレーム材は、Si,Mgの添加量が本発
明の範囲を満足する実施例サンプルNo.5,7,9と
比べると、0.2%耐力は大きいが伸びが小さく、圧縮
時に割れが発生したほかエネルギー吸収量のバラツキも
大きかった。
【0023】均質化温度がこの発明の製造方法における
条件よりも低い(500℃)比較例サンプルNo.33
のフレーム材は、これに対応する前記実施例サンプルN
o.3と比べ、0.2%耐力,伸び,エネルギー吸収量
ともにかなり小さいほか、エネルギー吸収量バラツキが
大きく、圧縮時に割れが発生した。
【0024】押出温度がこの発明の製造方法における条
件よりも低い(515℃)比較例サンプルNo.28の
フレーム材は、これに対応する前記実施例サンプルN
o.3と比べ、0.2%耐力,エネルギー吸収量ともに
かなり小さいとともに、60本曲げ変位量やエネルギー
吸収量バラツキが大きかった。押出温度と室温時効時間
がこの発明の製造方法における条件以下である比較例サ
ンプルNo.31のフレーム材は、これに対応する前記
実施例サンプルNo.1と比べ、0.2%耐力,エネル
ギー吸収量ともにかなり小さいとともに、60本曲げ変
位量やエネルギー吸収量バラツキが大きかった。
【0025】押出温度がこの発明の製造方法における条
件よりも低い(520℃)比較例サンプルNo.40の
フレーム材は、これに対応する前記実施例サンプルN
o.10と比べ、0.2%耐力,伸び,及びエネルギー
吸収量ともに僅かに小さく、60本曲げ変位量やエネル
ギー吸収量のバラツキが大きかった。また、圧縮時には
割れが発生した。
【0026】Si及びMgの含有量がそれぞれ0.36
wt%,0.49wt%を超え、押出温度(材料温度)
がこの発明の製造方法における条件以下である(510
℃)比較例サンプルNo.34のフレーム材は、これに
対応する前記実施例サンプルNo.4と比べ、0.2%
耐力,エネルギー吸収量ともにかなり小さく、60本曲
げ変位量やエネルギー吸収量バラツキも大きく、圧縮時
に割れが発生した。
【0027】冷却速度がこの発明の製造方法における条
件よりも遅い比較例サンプルNo.27,35,36の
各フレーム材は、冷却速度が本発明の範囲内である実施
例サンプルNo.2,5,6と比べると、0.2%耐
力,及びエネルギー吸収量ともに小さく、60本曲げ変
位量やエネルギー吸収量バラツキも大きかった。また、
前記比較例サンプルNo.35.36の各サンプルは伸
びが小さく圧縮時に割れが発生した。
【0028】室温時効の時間がこの発明の製造方法にお
ける条件以下である比較例サンプルNo.29,38の
フレーム材は、室温時効時間が本発明の範囲を満足する
実施例サンプルNo.4,8のフレーム材と比べると、
0.2%耐力,及びエネルギー吸収量ともにかなり小さ
かった。室温時効温度が本発明に係る製造方法の条件を
外れている比較例サンプルNo.21〜25のフレーム
材は、室温時効温度が本発明の範囲を満足する実施例サ
ンプルNo.6〜10のフレーム材と比べると、0.2
%耐力,及びエネルギー吸収量ともにかなり小さかっ
た。
【0029】人工時効条件(温度)がこの発明の製造方
法における温度条件より低い(160℃)比較例サンプ
ルNo.41のフレーム材は、これと対応する実施例サ
ンプルNo.1のフレーム材と比べると、0.2%耐
力,及びエネルギー吸収量ともかなり小さく、60本曲
げ変位量やエネルギー吸収量のバラツキも大きかった。
【0030】人工時効条件(温度)がこの発明の製造方
法における温度条件より高い(220℃)比較例サンプ
ルNo.42,43のフレーム材は、それぞれ対応する
各実施例サンプルNo.3,10のフレーム材と比べる
と、60本曲げ変位量やエネルギー吸収量のバラツキが
大きかった。
【0031】押出,冷却後20〜40℃で15時間以上
の室温時効を施してない比較例サンプルNo.44〜4
8のフレーム材は、室温時効条件が本発明の範囲を満足
する各実施例サンプルNo.11〜20と比べると、
0.2%耐力及びエネルギー吸収量ともにかなり小さか
った。
【0032】
【発明の効果】請求項1に記載の発明に係る車両ボディ
用フレーム材の製造方法によれば、前述のように組成の
アルミニウム合金ビレットを、前述の条件で均質化処理
後押出し加工し、この押出材を押出後一秒間に0.6℃
以上の速度で少なくとも100℃冷却し、冷却された押
出材を20〜40℃で15時間以上保持した後、165
〜210℃で時効処理する工程を含む。したがって、
0.2%耐力が170〜200MPaで、かつ伸びが1
2〜18%であって、搭乗者を保護するのに必要十分な
衝撃エネルギーを吸収するのに充分なアルミニウム合金
製の車両ボディ用フレーム材を製造することができる。
併せて、強度のバラツキ(衝撃エネルギー吸収量のバラ
ツキ)が小さく、しかも、押出性及び曲げ加工性により
優れたアルミニウム合金製の車両ボディ用フレーム材を
製造することができる。
【0033】請求項2に記載の製造方法によれば、材料
の押出,冷却後室温時効前の20℃未満での累積保持時
間を120時間以内としたので、その後20〜40℃で
15時間以上室温時効を施すことより、GPゾーンの析
出密度が一定になり易い。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による実施例1の車両ボディ用フレー
ム材の断面図である。
【図2】実施例1の車両ボディ用フレーム材の圧縮試験
の変位荷重曲線を示す線図である。
【図3】この発明による実施例2の車両ボディ用フレー
ム材の断面図である。
【図4】この発明による製造方法の材料に対する熱処理
履歴を示す模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C22F 1/00 682 C22F 1/00 682 683 683 684 684A 691 691B 691C 692 692A 692B 694 694B 1/047 1/047 (72)発明者 安永 晋拓 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式 会社本田技術研究所内 (72)発明者 花岡 竜一 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式 会社本田技術研究所内 (72)発明者 春日 辰郎 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式 会社本田技術研究所内 (72)発明者 高石 秀明 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式 会社本田技術研究所内 (72)発明者 江川 泰久 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式 会社本田技術研究所内 (72)発明者 青木 剛 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式 会社本田技術研究所内 (56)参考文献 特開 平9−316616(JP,A) 特開 平9−67659(JP,A) 特開 平6−279960(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22F 1/47 C22C 21/06

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mg:0.45〜0.49wt%,S
    i:0.30〜0.36wt%を含有するアルミニウム
    合金ビレットを530〜600℃の温度で均質化処理す
    る工程と、 前記アルミニウム合金鋳塊を530℃以上の温度で押出
    材として押出加工する工程と、 前記押出材を押出後一秒間に0.6℃以上の速度で少な
    くとも100℃まで冷却する工程と、 前記冷却された押出材を20〜40℃で15時間以上保
    持した後、165〜210℃で時効処理する工程を含む
    ことを特徴とする、 車両ボディ用フレーム材の製造方法。
  2. 【請求項2】 Mg:0.45〜0.49wt%,S
    i:0.30〜0.36wt%を含有するアルミニウム
    合金ビレットを530〜600℃の温度で均質化処理す
    る工程と、 前記アルミニウム合金鋳塊を530℃以上の温度で押出
    材として押出加工する工程と、 前記押出材を押出後一秒間に0.6℃以上の速度で少な
    くとも100℃まで冷却した後、さらに室温まで冷却す
    るする工程と、 前記冷却された押出材を、20℃未満での累積保持時間
    120時間以内に20〜40℃で15時間以上保持した
    後、165〜210℃で時効処理する工程を含むことを
    特徴とする、 車両ボディ用フレーム材の製造方法。
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