JP3319273B2 - 非還元性誘電体磁器組成物 - Google Patents

非還元性誘電体磁器組成物

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JP3319273B2
JP3319273B2 JP05469796A JP5469796A JP3319273B2 JP 3319273 B2 JP3319273 B2 JP 3319273B2 JP 05469796 A JP05469796 A JP 05469796A JP 5469796 A JP5469796 A JP 5469796A JP 3319273 B2 JP3319273 B2 JP 3319273B2
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俊樹 西山
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は非還元性誘電体磁器組成
物に関し、特に例えば、ニッケル等の卑金属を内部電極
材料とする積層セラミックコンデンサなどの誘電体材料
として用いられる非還元性誘電体磁器組成物に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来より、BaTi03を主成分とする
従来の誘電体磁器材料では、中性または還元性の低酸素
分圧下で焼成すると還元され、半導体化を起こすという
性質を有していた。そのため、内部電極材料としては、
誘電体磁器材料の焼結する高温下でも溶融せず、かつ、
誘電体磁器材料を半導体化させない高い酸素分圧下で焼
成しても酸化されない、例えば、Pd、Ptなどの貴金
属を用いなければならなかった。これは、製造される積
層セラミックコンデンサの低コスト化の大きな妨げとな
っていた。
【0003】そこで、上述の問題点を解決するために、
例えば、Niなどの卑金属を内部電極材料として使用す
ることが望まれていた。しかし、このような卑金属を内
部電極材料として使用して、従来の条件で焼成すると、
電極材料が酸化されてしまい、電極としての機能を果た
さない。そのため、このような卑金属を内部電極の材料
として使用するためには、酸素分圧の低い中性または還
元性の雰囲気において焼成しても半導体化せず、コンデ
ンサ用の誘電体材料として、十分な比抵抗と優れた誘電
特性とを有する誘電体磁器材料が望まれていた。
【0004】これらの条件を満たす誘電体磁器材料とし
て、例えば、特開昭62−256422号のBaTiO
3−CaZrO3−MnO−MgO系の組成、または特開
昭63−103861号のBaTiO3−MnO−Mg
O−希土類酸化物系の組成、あるいは特公昭61−14
610号のBaTiO3−(Mg、Zn、Sr、Ca)
O+Li2O−SiO2−MO(但し、MO:BaO、S
rO、CaO)系の組成が提案されてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、特開昭62
−256422号に開示されている非還元性誘電体磁器
組成物では、CaZrO3 や焼成過程で生成するCaT
iO3 がMn等とともに異相を生成しやすいため、高温
における信頼性の低下につながる危険性があった。
【0006】また、特開昭63−103861号に開示
されている非還元性誘電体磁器組成物では、絶縁抵抗お
よび容量の温度変化率が主成分であるBaTiO3 の結
晶粒径に大きく影響を受け、安定した特性を得るための
制御が困難である。さらに、絶縁抵抗値も静電容量値と
の積(CR積)で示した場合1000〜2000(Ω・
F)であり、実用的であるとは言えなかった。
【0007】また、特公昭61−14610号に開示さ
れている組成物は、得られる誘電体磁器の誘電率が20
00〜2800であり、Pdなどの貴金属を使用してい
る従来からの磁器組成物の誘電率である3000〜35
00と比較すると劣っていた。従って、この組成物をコ
ストダウンのために、そのまま従来の材料と置き換える
のは、コンデンサの小型大容量化という点で不利であ
り、問題が残されていた。
【0008】また、上記の組成を始めとして、これまで
提案されてきた非還元性誘電体磁器組成物は、従来の材
料と比較して室温での絶縁抵抗値は高いものの、高温下
において著しく抵抗値が低下する傾向があった。そのた
め、高温における信頼性、いわゆる高温負荷特性に劣る
ため、特に誘電体厚みの薄層化を行う場合に大きな障害
となっているため、非還元性誘電体磁器組成物を用いた
薄層の積層コンデンサは実用化には至っていなかった。
またさらには、従来の非還元性誘電体磁器組成物では、
Pd等を内部電極とする従来材料と比較して、高温、高
湿下における信頼性、いわゆる耐湿負荷特性についても
劣っていた。
【0009】本件出願人らもこれまでに非還元性誘電体
磁器組成物として、特開平05−009066号〜特開
平05−009068号等に、上記問題点を解決すべく
新たな組成を提案してきたが、その後の市場の要求特
性、特に高温、高湿下で要求される特性がより厳しくな
ったことから、さらに特性の優れた組成を提案する必要
が生じてきた。
【0010】それゆえに、本発明の主たる目的は、低酸
素分圧下であっても組織が半導体化せず焼成可能であ
り、かつ、誘電率が3000以上、絶縁抵抗値がCR積
で表した場合6000以上であり、さらに、容量温度変
化率が、25度の容量値を基準として、−55度〜12
5度の広い範囲にわたって±15%の範囲内にあること
を満足し、さらには、高温負荷、耐湿負荷等の耐候性に
優れた、薄層に対応できる非還元性誘電体磁器組成物を
提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明は、上記
のような問題点を解決するべく、非還元性誘電体磁器組
成物を完成するに至った。本発明の非還元性誘電体磁器
組成物は、BaTiO3 と、Tb23、Dy23、Ho
23、Er23 の中から選ばれる少なくとも1種類の
希土類酸化物(Re23)と、Co23 と、を所定の
配合比で含有する主成分に対し、副成分として、BaO
と、MnOと、MgOと、NiO、Al23 のうち少
なくとも1種類と、およびLi2O−(SiXTi1-X
2−M(式中、MはAl23、ZrO2 のうち少なく
とも1種類を示す。)を主成分とする酸化物ガラスと、
を所定の配合比で含有し、前記酸化物ガラスは、Xが
0.30≦X≦1.00の範囲内にあって、かつ、モル
%が、(Li 2 O,(Si X Ti 1-X )O 2 ,M)の3成分
組成図において、A(20,80,0)、B(10,8
0,10)、C(10,70,20)、D(35,4
5,20)、E(45,45,10)、およびF(4
5,55,0)、を頂点とする6角形の辺上および内部
(但し、直線F−A上の組成の場合にはXは0.30≦
X<1.00)で表されることに特徴がある。
【0012】すなわち、これらを所定の混合比で混合
し、その配合比を適切に選択すれば、本発明の非還元性
誘電体磁器組成物は、低酸素分圧下であっても組織が半
導体化せずに焼成することができる。また、誘電率が3
000以上、絶縁抵抗値がCR積で表した場合、600
0以上にすることができる。さらに、容量温度変化率
が、25度の容量値を基準として、−55度〜125度
の広い範囲にわたって±15%の範囲内にあることを満
足させることができる。さらには、高温負荷、耐湿負荷
等の対候性や焼結性に優れており、薄層に対応すること
ができる。また、この範囲外の組成であれば、氷水中に
急冷してもガラスとならず失透する部位が多いため、焼
結性が低下するため好ましくない。さらに、ガラス化範
囲中であっても点F−A上の組成、かつX=1.00で
は、高温、高湿下における特性劣化が大きく信頼性の低
下が生じるため好ましくない。またさらに、Xの値が
0.3未満の場合には、前記と同様ガラスとならず失透
する部位が多く、焼結性が低下するため好ましくない。
【0013】従って、本発明にいう所定の配合比とは、
上記のような特性を得ることができる範囲の配合比をい
う。
【0014】また、本発明の非還元性誘電体磁器組成物
においては、前記主成分である、前記BaTiO3 と前
記希土類酸化物(Re23)と前記Co23 との配合
比が、前記主成分100モル%のうち、BaTiO3
2.0〜99.4モル%、Re23 0.3〜4.0モ
ル%、およびCo23 0.3〜4.0モル%、の範囲
内にあることが好ましく、これによって、絶縁抵抗値、
誘電率、および容量の温度変化率が向上することが実験
により確認されている。
【0015】すなわち、配合比率が92.0mol%未
満の場合には、希土類酸化物およびCo23 の配合比
率が多くなるため、絶縁抵抗値および誘電率の低下が生
じ好ましくない。一方、BaTiO3 の構成比率が9
9.4mol%を超える場合には、希土類酸化物および
Co23 の添加の効果に乏しく、キュリー点付近の高
温部での容量温度変化率が大きく(+)側に外れてしま
い好ましくない。
【0016】ただし、本発明においては、これらの主成
分の配合比の範囲以外の部分にも、絶縁抵抗値、誘電
率、および容量の温度変化率が向上する配合比が存在す
れば、所定の配合比にはこのような部分の配合比も含ま
れる。
【0017】また、本発明の非還元性誘電体磁器組成物
においては、前記副成分である前記BaOが、前記主成
分100モル%に対して、0.05〜4.0モル%の範
囲内にあることが好ましく、これによって、誘電損失t
anδ、絶縁抵抗値、および焼結性が向上することが実
験により確認されている。
【0018】すなわち、添加量が0.05mol%未満
の場合には、焼成雰囲気に対する特性安定性が悪くな
り、tanδの増大、絶縁抵抗値の低下等が生じ好まし
くない。一方、添加量が4.0mol%を超える場合に
は、焼結性が低下するので好ましくない。
【0019】ただし、本発明においては、このような副
成分BaOの配合比の範囲以外の部分にも、誘電損失t
anδ、絶縁抵抗値、および焼結性が向上する配合比が
存在すれば、所定の配合比にはこのような部分の配合比
も含まれる。
【0020】また、本発明の非還元性誘電体磁器組成物
においては、前記副成分である前記MnOが、前記主成
分100モル%に対して、0.05〜2.0モル%の範
囲内にあることが好ましく、これによって、絶縁抵抗
値、高温負荷特性、および耐湿負荷特性が向上すること
が実験により確認されている。
【0021】すなわち、添加量が0.05mol%未満
の場合には、絶縁抵抗値の低下をまねくので好ましくな
い。一方、添加量が2.0mol%を超える場合には、
絶縁抵抗値の若干の低下が生じ、MTTF(meant
ime to failure)が短くなるので好まし
くない。
【0022】ただし、本発明においては、このような副
成分MnOの配合比の範囲以外の部分にも、絶縁抵抗
値、高温負荷特性、および耐湿負荷特性が向上する配合
比が存在すれば、所定の配合比にはこのような部分の配
合比も含まれる。
【0023】また、本発明の非還元性誘電体磁器組成物
においては、前記副成分である前記MgOが、前記主成
分100モル%に対して、0.5〜5.0モル%の範囲
内にあることが好ましく、これによって、容量の温度変
化率、誘電率、および絶縁抵抗値が向上することが実験
により確認されている。
【0024】すなわち、添加量が0.5モル%未満の場
合には、容量の温度変化率の曲線をフラットにする効果
に乏しく、特に低温側で(−)側に外れる傾向があると
ともに、絶縁抵抗値の向上の効果も乏しくなるので好ま
しくない。一方、添加量が5.0モル%を越える場合に
は、誘電率および絶縁抵抗値の低下が生じるので好まし
くない。
【0025】ただし、本発明においては、このような副
成分MgOの配合比の範囲以外の部分にも、容量の温度
変化率、誘電率、および絶縁抵抗値が向上する配合比が
存在すれば、所定の配合比にはこのような部分の配合比
も含まれる。
【0026】また、本発明の非還元性誘電体磁器組成物
においては、前記副成分である前記NiO、Al23
のうち少なくとも1種類が、前記主成分100モル%に
対して、0.3〜3.0モル%の範囲内にあることが好
ましく、これによって、絶縁抵抗値、誘電率、および誘
電損失が向上することが実験により確認されている。
【0027】すなわち、添加量が0.3未満の場合に
は、組織の耐還元性向上の効果に乏しく、絶縁抵抗値の
低下をまねくとともに、MTTFも短くなるので好まし
くない。一方、添加量が3.0モル%を越える場合に
は、NiOについてはMnOと同様に、絶縁抵抗値が低
下し、Al23 については焼結性が低下するため誘電
率の低下が生じるとともに、誘電損失が大きくなるため
好ましくない。
【0028】ただし、本発明においては、上記のような
副成分の配合比の範囲以外の部分にも、絶縁抵抗値、誘
電率、および誘電損失が向上する配合比が存在すれば、
所定の配合比にはこのような部分の配合比も含まれる。
【0029】また、本発明の非還元性誘電体磁器組成物
においては、前記BaTiO3 の不純物として含まれる
アルカリ金属酸化物の含有量が0.04重量%以下であ
ることが好ましく、これによって、誘電率が向上するこ
とが実験により確認されている。
【0030】すなわち、BaTiO3 中のアルカリ金属
酸化物含有量が0.04重量%を超える場合には、誘電
率の低下が生じ、実用的でなくなるので好ましくない。
【0031】ただし、本発明においては、このような不
純物のアルカリ金属酸化物含有量の範囲以外の部分に
も、誘電率が向上する含有比率があれば、含有比率には
このような部分の含有比率も含まれる。
【0032】また、本発明の非還元性誘電体磁器組成物
においては、副成分として、BaZrO3 を所定の配合
比で含有することに特徴がある。
【0033】すなわち、これを所定の配合比で混合し、
その配合比を適切に選択すれば、本発明の非還元性誘電
体磁器組成物は、低酸素分圧下であっても組織が半導体
化せずに焼成することができる。また、誘電率が300
0以上、絶縁抵抗値がCR積で表した場合7000以上
にすることができる。さらに、容量温度変化率が、25
度の容量値を基準として、−55度〜125度の広い範
囲にわたって±15%の範囲内にあることを満足させる
ことができる。さらには、高温負荷、耐湿負荷等の耐候
性に優れており、薄層に対応することができる。
【0034】従って、本発明にいう所定の配合比とは、
上記のような特性を得ることができる範囲の配合比をい
う。
【0035】また、本発明の非還元性誘電体磁器組成物
においては、前記BaZrO3 は、BaTiO3 と、T
23、Dy23、Ho23、Er23 の中から選ば
れる少なくとも1種類の希土類酸化物(Re23)と、
Co23 とを所定の配合比で含有した主成分100モ
ル%に対して、0.3〜4.0モル%の範囲内にあるこ
とが好ましく、これによって、絶縁抵抗値、および容量
の温度変化率が向上することが実験により確認されてい
る。
【0036】すなわち、添加量が0.3mol%未満の
場合には、絶縁抵抗値の向上の効果に乏しくなるので好
ましくない。一方、添加量が4.0mol%を超える場
合には、絶縁抵抗値の向上には更に効果があるものの、
容量の温度変化率を示す曲線が右回転し、高温部での変
化率が(−)側に大きくなるので好ましくない。
【0037】ただし、本発明においては、このような副
成分BaZrO3 の配合比の範囲以外の部分にも、絶縁
抵抗値、および容量の温度変化率が向上する配合比が存
在すれば、所定の配合比にはこのような部分の配合比も
含まれる。
【0038】また、本発明の非還元性誘電体磁器組成物
においては、前記酸化物ガラスは、前記主成分および前
記酸化物ガラスを除く前記副成分の合計100重量部に
対して、0.5〜2.5重量部の範囲内にあることが好
ましく、これによって、焼結性、耐還元性、および誘電
率が向上することが実験により確認されている。
【0039】すなわち、添加量が0.5重量部未満の場
合には、焼結性の低下および耐還元性向上の効果が乏し
くなるので好ましくない。一方、添加量が2.5重量部
を超える場合には、誘電率の低下が生じるので実用的で
なくなり好ましくない。
【0040】ただし、本発明においては、このような酸
化物ガラスの配合比の範囲以外の部分にも、焼結性、耐
還元性、および誘電率が向上する配合比が存在すれば、
所定の配合比にはこのような部分の配合比も含まれる。
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【実施例】以下、本発明の非還元性誘電体磁器組成物の
実施例について説明する。 (実施例1)出発原料として、不純物として含まれるア
ルカリ金属酸化物の含有量が異なるBaTiO3 と、希
土類酸化物(Re23)であるTb23、Dy23、H
23、およびEr23 と、Co23、BaCO3、M
nCO3、MgO、NiO、Al23、および酸化物ガ
ラスとを準備した。これらの原料を表1および表2に示
す組成割合となるように秤量して秤量物を得た。
【0045】なお、アルカリ金属酸化物の含有量が0.
03重量%のBaTiO3 を基本的に使用しているが、
試料番号34については、アルカリ金属酸化物の含有量
が0.05重量%のBaTiO3 を使用し、試料番号3
5については、アルカリ金属酸化物の含有量が0.07
重量%のBaTiO3 を使用した。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】ここで、酸化物ガラスについては次のよう
に調整した。まず、原料である Li2O、SiO2、T
iO2、Al23、ZrO2 を準備した。これらの原料
を表3、および表4に示す組成割合となるよう秤量し、
秤量物を得た。得られた秤量物に純水を添加し、PSZ
ボールを用いたボールミルにより混合・分散した。次
に、純水を蒸発・乾燥した後、混合粉末を白金ルツボに
入れ、ガラス溶融炉にて1400℃で15分間加熱し
た。溶融した融液を炉内より取り出し、氷水中に急冷す
ることにより塊状ガラスを得た。この塊状ガラスを乳鉢
にて粗粉砕した後、分散媒とともにPSZを用いたボー
ルミルにより十分湿式粉砕した。最後に、分散媒を蒸発
・乾燥することによりガラス粉末を得た。
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】このようにして作製された酸化物ガラス
は、Li2Oと(SiXTi1-X)O2とAl23、ZrO
2 のうち少なくとも1種類とを含んでいる。これらのモ
ル%は図1に示すように、(Li2O,(SiX
1-X)O2,M)(ただし、M:Al23、ZrO2
うち少なくとも1種類を示す。また、X:0.30≦X
≦1.00である。)の3成分組成図において表され
る。
【0052】なお、図1中、点A、点B、点C、点D、
点E、点Fは、それぞれA(20,80,0)、B(1
0,80,10)、C(10,70,20)、D(3
5,45,20)、E(45,45,10)、F(4
5,55,0)であり、図1中の斜線で囲まれた領域が
本発明の範囲内である。
【0053】このようにして得られた秤量物に、分散媒
とともにPSZボールを用いたボールミルで混合・分散
することにより原料スラリーを調製した。このスラリー
に、有機系バインダー、可塑剤を添加し十分撹拌した
後、ドクターブレード法によってシート成形して、セラ
ミックグリーンシートを得た。この時のセラミックグリ
ーンシート厚みは12μmであった。
【0054】次いで、上記のようにして得られたセラミ
ックグリーンシートの一面に、内部電極形成用Ni導電
ペーストをスクリーン印刷し、乾燥後複数枚のセラミッ
クグリーンシートを交互に積層したのち、厚み方向に圧
着することにより積層体を得た。この積層体から切り出
すことでセラミック生ユニットを得た。このセラミック
生ユニットを、空気中において320℃、5時間保持の
条件で脱バインダーを行った後、H2 /N2 混合ガスの
体積比率が3/100の還元雰囲気ガス気流中におい
て、表5、および表6中に示す温度で2時間焼成するこ
とにより焼結体を得た。焼成後のユニットの誘電体素子
厚は、8μmであった。
【0055】
【表5】
【0056】
【表6】
【0057】得られた焼結体の両端面に外部電極形成用
銀ペーストを塗布し、空気中で焼き付けることにより、
銀電極を形成して積層セラミックコンデンサとした。そ
して、この積層セラミックコンデンサの室温における誘
電率ε25、誘電損失tanδ、絶縁抵抗値(logI
R)、容量の温度変化率(TCC)について測定すると
ともに、耐候性能評価として、高温負荷試験、耐湿負荷
試験について測定した。その結果を表5、および表6に
まとめて示す。なお、測定に供したサンプル数は、いず
れの項目についてもn=36個である。
【0058】ここで、誘電率ε25、誘電損失tanδに
ついては、温度25℃、周波数1KHz、交流電圧1V
の条件で測定した。また、絶縁抵抗値については、温度
25℃において直流電圧16Vを2分間電圧印加して測
定し、その結果を静電容量値との積(CR積)で示す。
さらに、容量の温度変化率(TCC)については、25
℃の静電容量値を基準とした時の−55℃、125℃そ
れぞれにおける容量の変化率(ΔC-55/C25,ΔC125
/C25)および−55℃〜125℃の間において、容量
の温度変化率が最大である値の絶対値、いわゆる最大変
化率(|ΔC/C25max)について示す。
【0059】また、耐候性能評価に関して、高温負荷試
験については、温度175℃において直流電圧64V印
加後、500時間経過後に不良発生した個数について示
す。(なお、500時間経過以前に、全数不良に至った
場合はMTTFを示している。)また、耐湿負荷試験に
ついては、温度121℃、湿度100%において直流電
圧16V印加後、250時間経過後に不良発生した個数
について同様に示す。(この場合も同様に、250時間
経過以前に全数不良に至った場合はMTTFを示してい
る。) 表5、および表6より明らかなように、本発明の効果は
顕著であり、本発明にかかる非還元性誘電体磁器組成物
を用いた薄層積層セラミックコンデンサは、Pd等を内
部電極に用いた従来品と比較して、遜色ない特性を示し
ていることがわかる。
【0060】ここで、本実施例において、試料番号に*
を付したものは、本発明にいう所定の配合比とは異なる
ものであって、本発明の範囲外となる。
【0061】以下、*を付したそれぞれの試料について
説明する。まず、試料番号4については、BaTiO3
の構成比率が90.0モル%であるため、希土類酸化物
およびCo23 の構成比率が多くなり、絶縁抵抗値お
よび誘電率の低下が生じてしまう。
【0062】また、試料番号3については、BaTiO
3 の構成比率が99.6モル%であるため、希土類酸化
物およびCo23 の添加の効果がなく、キュリー点付
近の高温部での容量温度変化率が大きく(+)側にはず
れてしまう。
【0063】また、試料番号9については、BaOの添
加量が0.03モル%であるため、焼成雰囲気に対する
特性安定性が悪くなり、tanδの増大、絶縁抵抗値の
低下等が生じてしまう。
【0064】また、試料番号12については、BaOの
添加量が5.0モル%であるために焼結性が低下してし
まう。
【0065】また、試料番号17については、MnOの
添加量が0.03モル%であるために絶縁抵抗値の低下
をまねいてしまう。
【0066】また、試料番号15については、MnOの
添加量が2.5モル%であるため、絶縁抵抗値の若干の
低下が生じ、MTTFが短くなってしまう。
【0067】また、試料番号24および25について
は、MgOの添加量がそれぞれ0.2モル%、0.4モ
ル%であるため、容量の温度変化率の曲線をフラットに
する効果に乏しく、特に低温側で(−)側に外れる傾向
があるとともに、絶縁抵抗値の向上の効果も乏しくなっ
てしまう。
【0068】また、試料番号29については、MgOの
添加量が6.0モル%であるために誘電率および絶縁抵
抗値の低下が生じてしまう。
【0069】また、試料番号18については、NiOの
添加量が0.2モル%であるため、組織の耐還元性向上
の効果に乏しく、絶縁抵抗値の低下をまねくとともに、
MTTFも短くなってしまう。
【0070】また、試料番号21については、NiOの
添加量が3.5モル%であるために絶縁抵抗値が低下し
てしまう。
【0071】また、試料番号22については、Al23
の添加量が3.5モル%であるため、焼結性が低下す
るため誘電率が低下が生じるとともに、誘電損失が大き
くなってしまう。
【0072】また、試料番号34および35について
は、BaTiO3 中に不純物として含まれるアルカリ金
属酸化物の含有量がそれぞれ0.05重量%、0.07
重量%であるため、誘電率の低下が生じてしまう。
【0073】また、試料番号33については、酸化物ガ
ラスの添加量が0.3重量%であるために焼結性の低下
および耐還元性の向上に効果がなくなってしまう。
【0074】また、試料番号31については、酸化物ガ
ラスの添加量が3.0重量%であるために誘電率の低下
が生じてしまう。
【0075】また、試料番号37〜41については、図
1に示す3成分組成図中におけるA、B、C、D、E、
Fからなる6点を結ぶ6角形の辺上および内部の領域外
であるため、氷水中に急冷してもガラスとならず失透す
る部位が多いため、焼結性が低下してしまう。
【0076】また、試料番号43および45について
は、上記6角形の辺上および内部のガラス化範囲内にあ
っても、点F−A上の組成、かつX=1.00であるた
め、高温、高湿下における特性劣化が大きくなってしま
う。
【0077】また、試料番号36については、Xの値が
0.20であるため、上記と同様にガラスとならず失透
する部位が多いため、焼結性が低下してしまう。
【0078】ところで、本発明は、上記実施例に限定さ
れるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲にお
ける変更が可能である。
【0079】例えば、上記に示した特性を損なわない範
囲で、必要に応じて各種成分を副添加物として添加する
ことも可能である。
【0080】(実施例2)出発原料として、不純物とし
て含まれるアルカリ金属酸化物の含有量が異なるBaT
iO3 と、希土類酸化物(Re23)であるTb23
Dy23、Ho23、およびEr23 と、Co23
BaCO3、MnCO3、MgO、NiO、Al23、B
aZrO3 および酸化物ガラスとを準備した。これらの
原料を表7に示す組成割合となるように秤量して秤量物
を得た。
【0081】なお、アルカリ金属酸化物の含有量が0.
03重量%のBaTiO3 を基本的に使用している。
【0082】
【表7】
【0083】
【0084】ここで、酸化物ガラスについては次のよう
に調整した。まず、原料である Li2O、SiO2、T
iO2、Al23、ZrO2 を準備した。これらの原料
を表9に示す組成割合となるよう秤量し、秤量物を得
た。得られた秤量物に純水を添加し、PSZボールを用
いたボールミルにより混合・分散した。次に、純水を蒸
発・乾燥した後、混合粉末を白金ルツボに入れ、ガラス
溶融炉にて1400℃で15分間加熱した。溶融した融
液を炉内より取り出し、氷水中に急冷することにより塊
状ガラスを得た。この塊状ガラスを乳鉢にて粗粉砕した
後、分散媒とともにPSZを用いたボールミルにより十
分湿式粉砕した。最後に、分散媒を蒸発・乾燥すること
によりガラス粉末を得た。
【0085】
【表9】
【0086】
【0087】このようにして作製された酸化物ガラス
は、Li2Oと(SiXTi1-X)O2とAl23、ZrO
2 のうち少なくとも1種類とを含んでいる。これらのモ
ル%は図1に示すように、(Li2O,(SiX
1-X)O2,M)(ただし、M:Al23、ZrO2
うち少なくとも1種類を示す。また、X:0.30≦X
≦1.00である。)の3成分組成図において表され
る。
【0088】なお、図1中、点A、点B、点C、点D、
点E、点Fは、それぞれA(20,80,0)、B(1
0,80,10)、C(10,70,20)、D(3
5,45,20)、E(45,45,10)、F(4
5,55,0)である。
【0089】次いで、上記のようにして得られたセラミ
ックグリーンシートの一面に、内部電極形成用Ni導電
ペーストをスクリーン印刷し、乾燥後複数枚のセラミッ
クグリーンシートを交互に積層したのち、厚み方向に圧
着することにより積層体を得た。この積層体から切り出
すことでセラミック生ユニットを得た。このセラミック
生ユニットを、空気中において320℃、5時間保持の
条件で脱バインダーを行った後、H2 /N2 混合ガスの
体積比率が3/100の還元雰囲気ガス気流中におい
て、表11中に示す温度で2時間焼成することにより焼
結体を得た。焼成後のユニットの誘電体素子厚は、8μ
mであった。
【0090】
【表11】
【0091】
【0092】得られた焼結体の両端面に外部電極形成用
銀ペーストを塗布し、空気中で焼き付けることにより、
銀電極を形成して積層セラミックコンデンサとした。そ
して、この積層セラミックコンデンサの室温における誘
電率ε25、誘電損失tanδ、絶縁抵抗値(logI
R)、容量の温度変化率(TCC)について測定すると
ともに、耐候性能評価として、高温負荷試験、耐湿負荷
試験について測定した。その結果を表11にまとめて示
す。なお、測定に供したサンプル数は、いずれの項目に
ついてもn=36個である。
【0093】ここで、誘電率ε25、誘電損失tanδに
ついては、温度25℃、周波数1KHz、交流電圧1V
の条件で測定した。また、絶縁抵抗値については、温度
25℃において直流電圧16Vを2分間電圧印加して測
定し、その結果を静電容量値との積(CR積)で示す。
さらに、容量の温度変化率(TCC)については、25
℃の静電容量値を基準とした時の−55℃、125℃そ
れぞれにおける容量の変化率(ΔC-55/C25,ΔC125
/C25)および−55℃〜125℃の間において、容量
の温度変化率が最大である値の絶対値、いわゆる最大変
化率(|ΔC/C25max)について示す。
【0094】また、耐候性能評価に関して、高温負荷試
験については、温度175℃において直流電圧64V印
加後、500時間経過後に不良発生した個数について示
す。(なお、500時間経過以前に、全数不良に至った
場合はMTTFを示している。)また、耐湿負荷試験に
ついては、温度121℃、湿度100%において直流電
圧16V印加後、250時間経過後に不良発生した個数
について同様に示す。(この場合も同様に、250時間
経過以前に全数不良に至った場合はMTTFを示してい
る。)表11より明らかなように、本発明の効果は顕著
であり、本発明にかかる非還元性誘電体磁器組成物を用
いた薄層積層セラミックコンデンサは、Pd等を内部電
極に用いた従来品と比較して、遜色ない特性を示してい
ることがわかる。
【0095】ここで、本実施例において、試料番号に*
を付したものは、本発明にいう所定の配合比とは異なる
ものであって、本発明の範囲外となる。
【0096】以下、*を付したそれぞれの試料について
説明する。まず、試料番号4については、BaTiO3
の構成比率が90.0モル%であるため、希土類酸化物
およびCo23 の構成比率が多くなり、絶縁抵抗値お
よび誘電率の低下が生じてしまう。
【0097】また、試料番号3については、BaTiO
3 の構成比率が99.6モル%であるため、希土類酸化
物およびCo23 の添加の効果がなく、キュリー点付
近の高温部での容量温度変化率が大きく(+)側にはず
れてしまう。
【0098】また、試料番号9については、BaOの添
加量が0.03モル%であるため、焼成雰囲気に対する
特性安定性が悪くなり、tanδの増大、絶縁抵抗値の
低下等が生じてしまう。
【0099】また、試料番号12については、BaOの
添加量が5.0モル%であるために焼結性が低下してし
まう。
【0100】また、試料番号17については、MnOの
添加量が0.03モル%であるために絶縁抵抗値の低下
をまねいてしまう。
【0101】また、試料番号15については、MnOの
添加量が2.5モル%であるため、絶縁抵抗値の若干の
低下が生じ、MTTFが短くなってしまう。
【0102】また、試料番号24および25について
は、MgOの添加量がそれぞれ0.2モル%、0.4モ
ル%であるため、容量の温度変化率の曲線をフラットに
する効果に乏しく、特に低温側で(−)側に外れる傾向
があるとともに、絶縁抵抗値の向上の効果も乏しくなっ
てしまう。
【0103】また、試料番号29については、MgOの
添加量が6.0モル%であるために誘電率および絶縁抵
抗値の低下が生じてしまう。
【0104】また、試料番号18については、NiOの
添加量が0.2モル%であるため、組織の耐還元性向上
の効果に乏しく、絶縁抵抗値の低下をまねくとともに、
MTTFも短くなってしまう。
【0105】また、試料番号21については、NiOの
添加量が3.5モル%であるために絶縁抵抗値が低下し
てしまう。
【0106】また、試料番号22については、Al23
の添加量が3.5モル%であるため、焼結性が低下す
るため誘電率が低下が生じるとともに、誘電損失が大き
くなってしまう。
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】ところで、本発明は、上記実施例に限定さ
れるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲にお
ける変更が可能である。
【0116】例えば、上記に示した特性を損なわない範
囲で、必要に応じて各種成分を副添加物として添加する
ことも可能である。
【0117】
【発明の効果】本発明の非還元性誘電体磁器組成物は、
中性または還元性の雰囲気において1260〜1300
℃の温度で焼成しても組織が還元されて半導体化するこ
とがない。さらに、この非還元性誘電体磁器組成物は、
3000以上の高い誘電率を示し、絶縁抵抗値が静電容
量との積(CR積)で示した場合、6000以上を示す
とともに、容量温度変化率もEIAに規定されているX
7R特性を満足し、さらに焼結性の向上と、高温、高湿
下での特性劣化もない優れた特性を示す。
【0118】従って、本発明にかかる非還元性誘電体磁
器組成物を積層コンデンサの誘電体材料として用いる場
合、内部電極材料としてNi等で代表される卑金属を用
いることができる。そのため、従来のPd等の貴金属を
用いたものと比較して、高温負荷、室温負荷特性等の耐
候性能を含めた全ての特性を落とすことがなく、大幅な
コストダウンを行うことが可能となる。
【0119】また、本発明の非還元性誘電体磁器組成物
においては、前記主成分が、前記BaTiO3 と前記希
土類酸化物(Re23)と前記Co23との配合比が、
前記主成分100モル%のうち、BaTiO3 92.0
〜99.4モル%、Re230.3〜4.0モル%、お
よびCo23 0.3〜4.0モル%、の範囲内にある
ことが好ましく、これによって、絶縁抵抗値および誘電
率を向上させることが可能である。
【0120】また、本発明の非還元性誘電体磁器組成物
においては、前記副成分の前記BaOが、前記主成分1
00モル%に対して、0.05〜4.0モル%の範囲内
にあることが好ましく、これによって、誘電損失tan
δ、絶縁抵抗値、および焼結性を向上させることが可能
である。
【0121】また、本発明の非還元性誘電体磁器組成物
においては、前記副成分の前記MnOが、前記主成分1
00モル%に対して、0.05〜2.0モル%の範囲内
にあることが好ましく、これによって、絶縁抵抗値、高
温負荷特性、および耐湿負荷特性を向上させることが可
能である。
【0122】また、本発明の非還元性誘電体磁器組成物
においては、前記副成分の前記MgOが、前記主成分1
00モル%に対して、0.5〜5.0モル%の範囲内に
あることが好ましく、これによって、容量の温度変化
率、誘電率、および絶縁抵抗値を向上させることが可能
である。
【0123】また、本発明の非還元性誘電体磁器組成物
においては、前記副成分の前記NiO、Al23のうち
少なくとも1種類が、前記主成分100モル%に対し
て、0.3〜3.0モル%の範囲内にあることが好まし
く、これによって、絶縁抵抗値、誘電率、および誘電損
失を向上させることが可能である。
【0124】また、本発明の非還元性誘電体磁器組成物
においては、前記BaTiO3 が、不純物として含まれ
るアルカリ金属酸化物の含有量が0.04重量%以下で
あることが好ましく、これによって、誘電率を向上させ
ることが可能である。
【0125】また、本発明の非還元性誘電体磁器組成物
においては、副成分として、BaZrO3 を所定の配合
比で含有することに特徴がある。
【0126】これにより、中性または還元性の雰囲気に
おいて1260〜1300℃の温度で焼成しても組織が
還元されて半導体化することがない。さらに、この非還
元性誘電体磁器組成物は、3000以上の高い誘電率を
示し、絶縁抵抗値が静電容量との積(CR積)で示した
場合7000以上の高い絶縁抵抗値を示すとともに、容
量温度変化率もEIAに規定されているX7R特性を満
足し、さらに高温・高湿下での特性劣化もない優れた特
性を示す。
【0127】従って、本発明にかかる非還元性誘電体磁
器組成物を積層コンデンサの誘電体材料として用いれ
ば、内部電極としてNi等で代表される卑金属を用いる
ことができる。そのため、従来のPd等の貴金属を用い
たものと比較して、高温負荷、室温負荷特性等の耐候性
能を含めた全ての特性を落とすことがなく、大幅なコス
トダウンを行うことが可能になる。
【0128】また、本発明の非還元性誘電体磁器組成物
においては、前記BaZrO3 は、BaTiO3 と、T
23、Dy23、Ho23、Er23 の中から選ば
れる少なくとも1種類の希土類酸化物(Re23)と、
Co23 とを所定の配合比で含有した主成分100モ
ル%に対して、0.3〜4.0モル%の範囲内にあるこ
とが好ましく、これによって、絶縁抵抗値を向上させる
ことが可能である。
【0129】また、本発明の非還元性誘電体磁器組成物
においては、前記酸化物ガラスは、前記主成分および前
記酸化物ガラスを除く前記副成分の合計100重量部に
対して、0.5〜2.5重量部の範囲内にあることが好
ましく、これによって、焼結性、耐還元性、および誘電
率を向上させることが可能である。
【0130】
【図面の簡単な説明】
【図1】Li2O−(SiXTi1-X)O2−M (M:A
23、ZrO2 のうち少なくとも1種類)の3成分組
成図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/42 - 35/50 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 BaTiO3 と、Tb23、Dy23
    Ho23、Er23の中から選ばれる少なくとも1種類
    の希土類酸化物(Re23)と、Co23と、を所定の
    配合比で含有する主成分に対し、 副成分として、BaOと、MnOと、MgOと、Ni
    O、Al23 のうち少なくとも1種類と、および Li2O−(SiXTi1-X)O2−M(式中、MはAl2
    3、ZrO2 のうち少なくとも1種類を示す。)を主
    成分とする酸化物ガラスと、を所定の配合比で含有し、 前記酸化物ガラスは、Xが0.30≦X≦1.00の範
    囲内にあって、かつ、モル%が、(Li 2 O,(Si X
    1-X )O 2 ,M)の3成分組成図において、 A(20,80,0)、 B(10,80,10)、 C(10,70,20)、 D(35,45,20)、 E(45,45,10)、および F(45,55,0)、 を頂点とする6角形の辺上および内部(但し、直線F−
    A上の組成の場合にはXは0.30≦X<1.00)で
    表され ることを特徴とする非還元性誘電体磁器組成物。
  2. 【請求項2】 前記主成分は、前記BaTiO3 と前記
    希土類酸化物(Re23)と前記Co23との配合比
    が、前記主成分100モル%のうち、 BaTiO3 92.0〜99.4モル%、 Re23 0.3〜4.0モル%、および Co23 0.3〜4.0モル%、 の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の非還
    元性誘電体磁器組成物。
  3. 【請求項3】 前記副成分の前記BaOは、前記主成分
    100モル%に対して、0.05〜4.0モル%の範囲
    内にあることを特徴とする請求項1または請求項2に記
    載の非還元性誘電体磁器組成物。
  4. 【請求項4】 前記副成分の前記MnOは、前記主成分
    100モル%に対して、0.05〜2.0モル%の範囲
    内にあることを特徴とする請求項1から請求項3のいず
    れかに記載の非還元性誘電体磁器組成物。
  5. 【請求項5】 前記副成分の前記MgOは、前記主成分
    100モル%に対して、0.5〜5.0モル%の範囲内
    にあることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれ
    かに記載の非還元性誘電体磁器組成物。
  6. 【請求項6】 前記副成分の前記NiO、Al23
    うち少なくとも1種類は、前記主成分100モル%に対
    して、0.3〜3.0モル%の範囲内にあることを特徴
    とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の非還元
    性誘電体磁器組成物。
  7. 【請求項7】 前記BaTiO3 は、不純物として含ま
    れるアルカリ金属酸化物の含有量が0.04重量%以下
    であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれ
    かに記載の非還元性誘電体磁器組成物。
  8. 【請求項8】 副成分として、BaZrO3 を所定の配
    合比で含有することを特徴とする請求項1から請求項7
    のいずれかに記載の非還元性誘電体磁器組成物。
  9. 【請求項9】 前記BaZrO3 は、BaTiO3 と、
    Tb23、Dy23、Ho23、Er23 の中から選
    ばれる少なくとも1種類の希土類酸化物(Re23
    と、Co23 とを所定の配合比で含有した主成分10
    0モル%に対して、0.3〜4.0モル%の範囲内にあ
    ることを特徴とする請求項8に記載の非還元性誘電体磁
    器組成物。
  10. 【請求項10】 前記酸化物ガラスは、前記主成分およ
    び前記酸化物ガラスを除く前記副成分の合計100重量
    部に対して、0.5〜2.5重量部の範囲内にあること
    を特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の
    非還元性誘電体磁器組成物。
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