JP4771842B2 - 電子部品およびその製法 - Google Patents

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Description

本発明は、積層セラミックコンデンサ、積層インダクタ、積層アクチュエータなどの電子部品およびその製法に関し、セラミック層中に視覚的に検知可能な複合酸化物結晶を含む電子部品と、そのような複合酸化物結晶の大きさを検知する工程を備えた電子部品の製法に関する。
電子部品の代表的例である積層セラミックコンデンサはセラミック層や内部電極の薄層、高積層化に際し、低コスト化を図るために、内部電極に用いる金属を従来のAgやPdなどの貴金属からNiやCuなどの卑金属へ置き換えが行われている。
しかし、セラミック層と内部電極とを交互に積層した積層セラミックコンデンサでは、Ni等の卑金属の内部電極とセラミック層とが中性(雰囲気:N100%)または還元性雰囲気(雰囲気:N+H数%)中において同時焼成されることから、セラミック層はこのような中性または還元性雰囲気中にて焼成しても還元されないことが必要である。
そこで近年に至り、チタン酸バリウムやジルコン酸カルシウムなどを主成分とする非還元性の誘電体磁器が開発され、これをセラミック層として用い、卑金属からなる内部電極と交互に積層して得られる積層セラミックコンデンサが実用化されている(特許文献1、2)。
上記のような積層セラミックコンデンサなどの電子部品は、その製造工程において、焼成後に得られた電子部品本体に、静電容量や絶縁抵抗などの誘電特性の低下ならびに剥離やクラックなど構造的に異常があるか否かを判定し、通常、電子部品本体の端面に外部電極を形成したものについて静電容量や耐熱衝撃試験を行い評価されている。
特開2000−323349号公報 特開2004−207629号公報
上述のように、電子部品本体に誘電特性的にまたは構造的に異常があるか否かの判定を行う場合、従来、焼成後に得られた電子部品本体のほぼ全数に対して外部電極を形成する必要があり、従来の製造工程は外部電極を形成する以前に、すでに不良となっている電子部品本体にまで外部電極を形成するという無駄な製造工数を含むものとなっていた。
従って、本発明は、焼成後に得られた電子部品本体に対して外部電極を形成しなくとも異常があるか否かの判定を行うことのできる電子部品本体を備えた電子部品、ならびに外部電極形成前の電子部品本体について異常を検出する工程を用いる電子部品の製法を提供することにある。
本発明の電子部品は、セラミック層間に卑金属の内部電極が設けられている電子部品本体と、該電子部品本体の端面に形成された外部電極とを具備する電子部品であって、前記セラミック層がMgを酸化物換算で4×10−4〜1×10−3質量%、Niを酸化物換算で4×10−4〜5×10−4質量%含有しており、前記電子部品本体の表面に、前記
Mgおよび前記Niを元素として含む複合酸化物結晶が形成されていることを特徴とする。
上記電子部品では、前記セラミック層が、Mnを酸化物換算で1×10−4〜2×10−4質量%含有していることが望ましい。
また、本発明の電子部品の製法は、元素としてMgおよびNiを含まないセラミック粉末とMgおよびNiを含むガラス粉末とからなり、前記セラミック粉末および前記ガラス粉末の全量に対して、前記Mgが酸化物換算で4×10−4〜1×10−3質量%、前記Niが酸化物換算で4×10−4〜5×10−4質量%の割合で含まれる混合粉末を固形成分として用いてセラミックグリーンシートを複数形成する工程と、該セラミックグリーンシート間に卑金属の内部電極パターンを設けた積層体を形成する工程と、該積層体を焼成して電子部品本体を形成する工程と、該電子部品本体について表面観察を行い、前記Mgの酸化物および前記Niの酸化物から形成されるMg−Ni−O複合酸化物結晶の大きさを測定して、予め、前記電子部品本体の静電容量と前記Mg−Ni−O複合酸化物結晶の大きさとの関係から求めた所定の静電容量を満足する前記Mg−Ni−O複合酸化物結晶の大きさの基準値以下の大きさの前記Mg−Ni−O複合酸化物結晶を有する電子部品本体を選別する工程と、選別された前記電子部品本体の端面に外部電極を形成する工程と、を具備することを特徴とする。
本発明の電子部品はセラミック層中にMgを酸化物換算で4×10−4〜1×10−3質量%、Niを酸化物換算で4×10−4〜5×10−4質量%含有するため、焼成後の電子部品本体の表面にMg−Ni−O複合酸化物結晶を析出させることのできるものである。このためMg−Ni−O複合酸化物結晶は焼成後に上記構成の電子部品本体を得たときに、その焼成時の温度が設定よりも高いか、または再酸化処理の酸素濃度が高いなど条件が適正でない場合に結晶成長しやすい性質があることから、静電容量や絶縁抵抗などの初期特性が規格を満足しない製品を外部電極形成前に判定できる。
また、本発明の電子部品の製法によれば、焼成後の電子部品本体の表面に、Mg−Ni−O複合酸化物結晶の析出状態によって外部電極形成前の電子部品本体の異常を検出することができるため、焼成後に得られた電子部品本体の全数に対して外部電極を形成する必要がなく、製造工程において無駄な製造工数を低減できる。
本発明の電子部品について積層セラミックコンデンサを例に用いて説明する。図1は本発明の電子部品の例である積層セラミックコンデンサの断面模式図である。図1において、積層セラミックコンデンサは電子部品本体1の端面に外部電極3a、3bが形成されている。電子部品本体1は複数のセラミック層5と内部電極7a、7bとが積層されて構成されている。ここで、一方の外部電極3aは電子部品本体1の端面に露出する内部電極7aに電気的に接続されている。他方の外部電極3bは電子部品本体1の他方の端面に露出する内部電極7bに電気的に接続されている。
セラミック層5は、その厚みが10〜50μmであることが好ましい。セラミック層5の厚みが10〜50μmであると、積層セラミックコンデンサとして絶縁抵抗が高く、静電容量のばらつきを小さくできるという利点がある。また、このセラミック層5はペロブスカイト型構造を有する複合酸化物の結晶粒子を有し、その結晶粒子はジルコン酸カルシウムを主成分とする複合酸化物が好ましい。その理由はジルコン酸カルシウムが微量のMgの酸化物やNiの酸化物を含む場合でも所望の誘電特性が得られるためである。ジルコン酸カルシウムを主成分とする複合酸化物は、一般式(Ca1−y・SrO)(Zr1−z・Ti)Oで表される。ここで上記x、y、zの値(モル換算)は0.95≦x≦1.05、0<y≦0.6、0.01≦z≦0.10であることが望ましい。ジルコン酸カルシウムを主成分とする複合酸化物が上記組成の範囲を満足する場合には、比誘電率が25以上、比誘電率の温度特性が±40×10−6/℃、Q値が8000以上が達成可能であり、さらに絶縁抵抗値が1×1012Ω以上とすることも可能であり、優れた温度補償系の積層セラミックコンデンサを形成できるという利点がある。
また、本発明の電子部品を構成するセラミック層5は上記のペロブスカイト型構造を有する複合酸化物の主成分とともにほう珪酸ガラスを含むことが望ましい。主成分に対して、ほう珪酸ガラスを含ませることで主成分であるペロブスカイト型構造を有する複合酸化物の低温焼結を図ることができ、高い誘電特性が得られやすいという利点がある。ほう珪酸ガラスとしてはSiOが30〜50質量%、BaOが30〜40質量%、Bが5〜15質量%、Alが3〜10質量%である組成に、さらに、MgOを0.015〜0.1質量%、NiOを0.01〜0.05質量%含有するもの、あるいは、これに、さらにMnOを0.005〜0.02質量%含有するものが好ましい。
本発明ではガラス粉末中にMgOおよびNiOが微量含まれることにより、これらの金属酸化物が焼成中にペロブスカイト型構造を有する複合酸化物とともに結晶化するため、焼成後の電子部品本体1の表面にMg−Ni−O複合酸化物結晶を析出させることができる。
図2は、本発明の電子部品を構成する電子部品本体と、その表面に析出したMg−Ni−O複合酸化物の結晶の模式図である。本発明の電子部品を構成するセラミック層5はMgを酸化物換算で4×10−4〜1×10−3質量%、Niを酸化物換算で4×10−4〜5×10−4質量%含有していることを特徴とするものであり、このようにセラミック層5中にMgおよびNiが酸化物として同時に含まれることで、これらMgおよびNiの酸化物が焼成後にMg−Ni−O複合酸化物結晶9として電子部品本体1の表面に析出する。
そして、このMg−Ni−O複合酸化物結晶9は、例えば、ジルコン酸カルシウムを主成分とするセラミック粉末の成形体を還元雰囲気中にて焼成する場合に、所定の焼成温度より高い場合や還元雰囲気での加熱時間が長い場合に粒成長しやすいものである。
また、このMg−Ni−O複合酸化物結晶9にはMnやAlを含んでもよく、Mnを含有する場合、Mgを4×10−4〜1×10−3質量%、Niを4×10−4〜5×10−4質量%、Mnを1×10−4〜2×10−4質量%含むことが望ましい。Mnが加わるとデンドライトの結晶が大きくなりやすく、目視で確認しやすいという点でより望ましく、さらにAlを多く含んでもMg−Ni−O複合酸化物結晶9の生成が可能となる。
しかし、本発明の電子部品としての誘電特性をより向上させるという点で、電子部品本体1の表面において、上記したガラス粉末から析出して形成されるMg−Ni−O複合酸化物結晶9の最長径は7μm以下であることが望ましい。
本発明では、Mgの含有量が酸化物換算で4×10−4質量%より少ない場合やNiの含有量が4×10−4質量%よりも少ない場合にはMg−Ni−O複合酸化物結晶9が検知できるほどに生成しない。一方、Mgが1×10−3質量%より多い場合やNiが5×10−4質量%より多い場合にはジルコン酸カルシウムを主成分とするセラミック粉末の成形体を焼結する温度や雰囲気においてMg−Ni−O複合酸化物結晶9が多く形成され、比誘電率の低下が見られる。
内部電極7a、7bは、Ni等の卑金属を主成分とする材料から構成され、その厚みは1〜2μmであることが望ましい。
外部電極3a、3bは、例えばCu、Ni、あるいはこれらの合金などの卑金属成分およびガラス成分から構成される。さらに、外部電極3a、3bの表面にはメッキ層(図示せず)を形成してもよい。このメッキ層は、例えばNiメッキ、Snメッキ、半田メッキなどが例示できる。
以下、本発明の電子部品の一例である積層セラミックコンデンサの製法について説明する。積層セラミックコンデンサを構成するセラミック層5はペロブスカイト型構造を有する複合酸化物の結晶粒子により構成されるものである。そのペロブスカイト型構造を有する複合酸化物としては、上述のようにジルコン酸カルシウムを主成分とするものが好適である。この場合、ジルコン酸カルシウムを主成分とする原料粉末中には元素としてMgおよびNiを含まないことが重要である。主成分であるジルコン酸カルシウムの粉末中にMgおよびNiを酸化物として含む場合には、後述するガラス粉末中にMgおよびNiを酸化物として含む場合に比較してMg−Ni−O複合酸化物結晶が析出しにくいことになる。また、ジルコン酸カルシウムを主成分とする原料粉末を調製するためには、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸ストロンチウム(SrCO)二酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)を用意し所望の組成となるように夫々秤量する。
次に、これらの秤量された原料粉末をポットミルに入れ、さらにアルミナボールと水とを入れ、湿式混合した後乾燥を行う。次いで、この乾燥物を粗粉砕し、この粗粉砕物をトンネル炉にて大気中で1250〜1350℃、1〜3時間の焼成を行い、平均粒径0.5〜2μmのセラミック粉末を得る。
一方、ガラス粉末としてはSiOが30〜50質量%、BaOが30〜40質量%、Bが5〜15質量%、Alが3〜10質量%である組成に、さらに、MgOを0.015〜0.1質量%、NiOを0.01〜0.05質量%含有するもの、あるいは、これにさらにMnOを0.005〜0.02質量%含有するそれぞれのほう珪酸ガラスを適宜秤量し、水と共にボールミルに入れ、湿式で十分に撹拌混合して混合物を得る。用いるガラス粉末を上記の組成にすると、後述の電子部品本体1を焼成する温度範囲および再酸化処理する温度範囲および時間においてMg−Ni−O複合酸化物結晶9の析出が可能となる。次に、この混合物を乾燥した後、白金坩堝に入れて1200〜1400℃の温度で加熱し、溶融した混合物を水中に摘下して急冷しガラスを得た後、このガラスを粉砕して平均粒径0.5〜2μm程度のガラス粉末にする。
次に、上記ジルコン酸カルシウムを主成分とする原料粉末に対して、ガラス粉末を加え、分散剤、分散媒と共に湿式混合してスラリーを調整する。この場合、ジルコン酸カルシウムを主成分とする原料粉末とガラス粉末との混合粉末は、Mgを酸化物換算で4×10−4〜1×10−3質量%、Niを酸化物換算で4×10−4〜5×10−4質量%含有している。
次に、このスラリーに有機バインダーを添加する。その添加量はセラミック粉末とガラス粉末との合計量に対して10〜20質量%が好ましい。さらに、このスラリーに可塑剤を加えスラリーを調製する。次に、調製したスラリーからドクターブレード法によりセラミックグリーンシートを形成する。
次に、得られたセラミックグリーンシートの表面に導体ペーストをスクリーン印刷法等により内部電極パターンを形成した後、導体ペーストを印刷していないセラミックグリーンシートを加えて積層し、熱圧着後、格子状に切断し、未焼成状態の積層体を得る。
次に、この未焼成状態の積層体をH−Nの雰囲気中にて温度1100〜1300℃にて焼成し、さらに900〜1000℃の温度および還元雰囲気中にて再酸化処理を行う。再酸化処理の時間は卑金属の内部電極7a、7bならびにセラミック層5を過剰に酸化させない条件が選ばれる。通常、3〜8時間程度が好ましい。
次に、本発明では焼成後の電子部品本体1について外観検査を行う。この場合、本発明では、製造した一部の複数の電子部品本体1を用いて、Mgの酸化物およびNiの酸化物から形成されるMg−Ni−O複合酸化物結晶9の大きさ(最長径)を測定し、一方で、その電子部品本体1の静電容量を求め、Mg−Ni−O複合酸化物結晶9の大きさと静電容量との関係を求め、それらの電子部品本体1における所定の静電容量を満足するMg−Ni−O複合酸化物結晶9の大きさの基準値を求める。次に、基準値以下の大きさのMg−Ni−O複合酸化物結晶9を有する電子部品本体1を選別する。なお、Mg−Ni−O複合酸化物結晶9の大きさの基準値は電子部品本体1は一つの製品について最初に求めればよい。
つまり、本発明の電子部品の製法は外部電極形成前の電子部品本体1の外観的異常を検出する工程を具備するものであり、焼成して得られた電子部品本体1の表面において、上記のように酸化物換算でMgを4×10−4〜1×10−3質量%、Niを4×10−4〜5×10−4質量%含有するセラミック層5上に形成されるMg−Ni−O複合酸化物結晶9の大きさを検知して、静電容量が低いかばらつきの大きい不良品を選別するものである。この場合、予め、得られる積層セラミックコンデンサの静電容量と電子部品本体1の表面に析出したMg−Ni−O複合酸化物結晶9の大きさ(最長径)との関係を評価しておき、評価の基準値を設けておくものであることから、上記した本発明の電子部品の製法では、この時点でMg−Ni−O複合酸化物結晶9の大きさ(最長径)の基準値よりも大きく特性的に不良と判定したものに対して外部電極3a、3bを形成する必要がなく製造工程において無駄な製造工数を低減できるという利点がある。
上述したように、セラミック層5中のMgやNiの含有量が酸化物換算でMgを4×10−4〜1×10−3質量%、Niを4×10−4〜5×10−4質量%よりも少ない場合には、セラミック層5の表面や内部にMg−Ni−O複合酸化物結晶9が生成しにくいことから視覚的に認識しにくいために、外部電極形成前の電子部品本体1のMg−Ni−O複合酸化物結晶9の大きさを測定して特性の不良を検出することが困難となる。一方、セラミック層5中のMgやNiの含有量が上記範囲よりも多い場合には、Mg−Ni−O複合酸化物結晶9がセラミック層5中の表面に多く生成するため、その外観不良は歴然と認識できることになるが、また誘電特性も低下する。
本発明の製法における外部電極形成前の電子部品本体1のMg−Ni−O複合酸化物結晶9の大きさ測定して良品を選別する工程においては、電子部品本体1の表面に現れたMg−Ni−O複合酸化物結晶9の大きさ(最長径)が所定の大きさよりも小さいものであれば良品として選別し、それ以上の結晶が見つかった場合には、その電子部品本体1は不良とする。Mg−Ni−O複合酸化物結晶9の認識方法は測定顕微鏡等による目視的な確認方法他に、画像の二値化処理或いは多値化処理を採用することが好ましい。
次に、上述の電子部品本体1のMg−Ni−O複合酸化物結晶9の生成に起因する異常を検出する工程によって良品と選別された電子部品本体1の内部電極7a、7bが露出する端面に卑金属とガラスフリットとビヒクルとから成る導電性ペーストを塗布し乾燥して、これを大気中で800〜900℃の温度で焼付し、卑金属を下地とする導体膜を形成する。次に、この外部電極3a、3bの表面上にNiめっき膜を形成し、このNiめっき膜上にさらに半田またはSuなどのメッキ膜を形成し、一対の外部電極3a、3bを形成する。これにより、図1に示す積層セラミックコンデンサが得られる。
このように積層セラミックコンデンサの製造工程において、外部電極形成前の電子部品本体1のMg−Ni−O複合酸化物結晶9の生成に起因する外観的異常から特性不良を検出する工程を採用することにより、外部電極形成前の時点で不良品を選別し、廃棄できることから焼成後に得られた電子部品本体1の全数に対して外部電極3a、3bを形成する必要がないことから製造工程において無駄な製造工数を低減できる。
なお、本発明の電子部品の製法は上述のMgおよびNiの酸化物を含むガラス粉末のペーストを未焼成状態の積層体の表面に塗布することによっても為し得るものである。また、上記のガラス粉末をペレット状等の成形体とすることにより焼成時の温度や雰囲気のモニタとして用いることもできる。
以下、本発明の電子部品の一例として積層セラミックコンデンサを以下のように作製し評価した。主成分の原料粉末として、純度99.9%の炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸ストロンチウム(SrCO)二酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)を用意し、一般式(Ca1−y・SrO)(Zr1−z・Ti)Oで表したときに、x=0.95、y=0.25、z=0.03となるように調合した。
次に、これらの秤量された主成分の原料粉末をポットミルに入れ、さらにアルミナボールと水とを入れ、湿式混合した後、この撹拌物をステンレスバットに入れて熱風式乾燥機で150℃×4時間の乾燥を行った。次に、この乾燥物を粗粉砕し、この粗粉砕物をトンネル炉にて大気中で1300℃×2時間の仮焼を行い、平均粒径1μmの主成分の仮焼粉末を得た。
次に、ガラス粉末はSiOを50質量%、BaOを35質量%、Bを10質量%を含み、さらに、MgOを0.02〜0.15質量%、NiOを0.01〜0.1質量%、また、さらにMnOを0.005〜0.01質量%含有する(いずれも残部はAl)ガラス粉末を準備した。これらのガラス粉末は、上記SiO、BaO、B、Al、MgO、NiOおよびMnOを適宜秤量し、水と共にボールミルに入れ、湿式で十分に撹拌混合して各混合物を得た。次に、これらの各混合物を乾燥した後、白金坩堝に入れて1300℃に加熱し、溶融した混合物を水中に摘下して急冷しガラスを得た後、このガラスを粉砕して平均粒径1μmの微粉末にした。
次に、上記主成分の仮焼粉末と各ガラス粉末とを混合してMg、NiおよびMnが酸化物換算で表1に示す量になるように添加し、これに分散剤、分散媒と共に湿式混合にて約20時間撹拌混合し、原料スラリーを調製した。次に、このスラリーにアクリル酸エステルポリマー、グリセリン、縮合リン酸塩の水溶液から成る有機バインダーを主成分の仮焼粉末とガラス粉末との合計量に対して15質量部添加し、これにさらに可塑剤を加え、攪拌した後、真空脱泡機に入れて脱泡した。このスラリーをドクターブレード法により、平均厚みが25μmのセラミックグリーンシートに成形した。得られたセラミックグリーンシートを17cm角の正方形に打ち抜いた。
次に、このセラミックグリーンシートに、内部電極用に調整したNiペーストをスクリ
ーン印刷法により印刷した後、Niペーストを印刷していないセラミックグリーンシートをダミー層として最上下面に積層し、熱圧着後、格子状に切断し、未焼成状態の積層体を得た。
次に、この未焼成状態の積層体を雰囲気焼成が可能な炉に入れ、有機バインダーを燃焼させた後、炉の雰囲気を大気からH2体積%+N98体積%の雰囲気に変え、最高温度1150℃で2時間保持した。さらに窒素雰囲気中800〜1200℃にて再酸化処理を施し、室温まで冷却して焼成後の電子部品本体として外部電極のないコンデンサ本体を作製した。
次に、得られたコンデンサ本体をバレル研磨して端面や角部を研磨したものを用意し、測定顕微鏡を用いて倍率500〜1000倍にて外観検査を行った。試料数は各50個とし、コンデンサ本体の4つの内部電極が露出していない表面の全てについて外観検査を行い、コンデンサ本体1個当たりに確認されたMg−Ni−O複合酸化物結晶の最長径を測定し、また最長径が10μm以上の大きい結晶の個数を数えた。作製した試料では10μ以上の結晶はすべてデンドライト状に成長したものであり、3μm未満のものは粒状であった。
また、耐熱衝撃試験は半田槽の温度がΔT=340℃になるように設定した。試料を半田槽中に3秒間浸漬したあとの試料の外観から実体顕微鏡を用いて倍率40倍にてクラックおよびデラミネーションを評価した。試料数は100個とした。
次に、外観検査後の全ての試料について、内部電極が露出するコンデンサ本体の端面にCuとガラスフリットとビヒクルとから成る導電性ペーストを塗布して乾燥し、これを大気中で800〜900℃の温度で15分間焼付け、Cu下地導体膜を形成し、この上にNiを無電解メッキで被着させ、さらに、この上に電気メッキ法を用いてSn層を設けて、一対の外部電極を形成し、積層セラミックコンデンサを得た。この積層セラミックコンデンサの寸法は2.0mm(L寸)×1.25mm(W寸)であり、セラミック層の厚み15μmであり、積層数は40層である。
次に、完成した積層セラミックコンデンサについて静電容量とそのばらつきを温度25℃、周波数1MHz、交流電圧〔実効値〕1.0Vの条件で測定した。静電容量のばらつきは、(CV値)=(標準偏差×100)/(Cap平均値)で算出した。試料数は100個とした。
コンデンサ本体の良品としての判定の基準値は以下のようにして求めた。図3はコンデンサ本体に形成されたMg−Ni−O複合酸化物結晶の最長径とそのコンデンサ本体の静電容量との関係を示すグラフである。この場合、上記工程にて作製した試料を予め任意に10個抽出し、図3に示すように静電容量とMg−Ni−O複合酸化物結晶の最長径の関係をプロットした。図3から、静電容量が950〜1050pFの範囲を特性の良品とし、Mg−Ni−O複合酸化物結晶の最長径の基準値を10μm未満であるものとした。結果を表1に示す。
Figure 0004771842
Figure 0004771842
表1、2の結果から明らかなように、MgOおよびNiOなどを含有しないガラス粉末を用いた本発明の範囲外の試料では、焼成後にコンデンサ本体の表面にMg−Mn−O複合酸化物の結晶が観察されなかった。この場合、再酸化処理の温度を800〜1200℃まで変化させても、外観上異なるところが無いために、再酸化処理の条件が800℃の試料(No.1)において耐熱衝撃試験での不良が100個中1個見られ、また、再酸化処理の条件が1200℃(No.4)の試料において、耐熱衝撃試験での不良が100個中3個見られ、さらに、静電容量が900pFと低くても、それらの不良は、焼成後のコンデンサ本体の外観からは判定できないものであった。
また、Mgの酸化物換算での割合を8×10−4質量%、Niの酸化物換算での割合を2×10−4質量%とした試料No.14〜16においても、1200℃にて再酸化処理を行った試料No.16において静電容量が890pFと低くてもMg−Mn−O複合酸化物結晶の最長径が8μmであり、10μm以上の結晶の個数も900℃や1000℃において再酸化処理した試料と同じく0個であり変化が見られなかった。
これに対して、セラミック層中にMgOおよびNiOを含む試料では焼成後にコンデンサ本体の表面にMg−Mn−O複合酸化物結晶が観察され、セラミック層中に含まれるMgおよびNiの酸化物換算での含有量が本発明の範囲であり、再酸化処理の温度が900〜1000℃、5時間の条件であった試料No.6〜8、11、20および21では、Mg−Ni−O複合酸化物結晶の寸法が7μm以下であり、10μm以上の結晶を有する試料は無かった。
一方、MgおよびNiを本発明で規定する含有量よりも多くした試料No.9および18では、再酸化処理の温度が900℃、5時間の条件であっても静電容量が898pF以下、静電容量のばらつきが3%以上であった。試料No.18では耐熱衝撃試験において不良が100個中10個見られた。
また、再酸化処理の温度が800℃の場合(試料No.10および19)では耐熱衝撃試験後に100個中1個の不良が見られた。再酸化処理の温度が1200℃の試料No.12、22、24および25では、Mg−Ni−O複合酸化物結晶の寸法が80μm以上まで大きいものとなり、また、10μm以上の結晶の数も135個以上と多かった。
また、再酸化処理の加熱時間を10時間まで長くした試料No.13、23においてもMg−Ni−O複合酸化物結晶の寸法が30μm以上、10μm以上の結晶の数も38個以上と多かった。これらの試料は耐熱衝撃試験において不良があるか、静電容量が950pFより低いか、静電容量のばらつきが2%より大きいものであった。
このように本発明によれば、外部電極形成前の電子部品本体について異常を簡便に検出することができ、また、上記した電子部品においては焼成後に得られた電子部品本体について、焼成後に外部電極を形成しなくてもよいサンプルを外部電極形成前に発見できることから、製造工程において無駄な製造工数を低減できる。
本発明の電子部品である積層セラミックコンデンサの断面模式図である。 本発明の電子部品を構成する電子部品本体と、その表面に析出したMg−Ni−O複合酸化物結晶の模式図である。 本発明におけるコンデンサ本体に形成されたMg−Ni−O複合酸化物結晶の最長径とそのコンデンサ本体の静電容量との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 電子部品本体
3a、3b 外部電極
5 セラミック層
7a、7b 内部電極
9 Mg−Ni−O複合酸化物結晶

Claims (3)

  1. セラミック層間に卑金属の内部電極が設けられている電子部品本体と、該電子部品本体の端面に形成された外部電極とを具備する電子部品であって、前記セラミック層がMgを酸化物換算で4×10−4〜1×10−3質量%、Niを酸化物換算で4×10−4〜5×10−4質量%含有しており、前記電子部品本体の表面に、前記Mgおよび前記Niを元素として含む複合酸化物結晶が形成されていることを特徴とする電子部品。
  2. 前記セラミック層が、Mnを酸化物換算で1×10−4〜2×10−4質量%含有している請求項1に記載の電子部品。
  3. 元素としてMgおよびNiを含まないセラミック粉末とMgおよびNiを含むガラス粉末とからなり、前記セラミック粉末および前記ガラス粉末の全量に対して、前記Mgが酸化物換算で4×10−4〜1×10−3質量%、前記Niが酸化物換算で4×10−4〜5×10−4質量%の割合で含まれる混合粉末を固形成分として用いてセラミックグリーンシートを複数形成する工程と、該セラミックグリーンシート間に卑金属の内部電極パターンを設けた積層体を形成する工程と、該積層体を焼成して電子部品本体を形成する工程と、該電子部品本体について表面観察を行い、前記Mgの酸化物および前記Niの酸化物から形成されるMg−Ni−O複合酸化物結晶の大きさを測定して、予め、前記電子部品本体の静電容量と前記Mg−Ni−O複合酸化物結晶の大きさとの関係から求めた所定の静電容量を満足する前記Mg−Ni−O複合酸化物結晶の大きさの基準値以下の大きさの前記Mg−Ni−O複合酸化物結晶を有する電子部品本体を選別する工程と、選別された前記電子部品本体の端面に外部電極を形成する工程と、を具備することを特徴とする電子部品の製法。
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