JP3318663B2 - 回転位置検出器 - Google Patents

回転位置検出器

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JP3318663B2
JP3318663B2 JP11831993A JP11831993A JP3318663B2 JP 3318663 B2 JP3318663 B2 JP 3318663B2 JP 11831993 A JP11831993 A JP 11831993A JP 11831993 A JP11831993 A JP 11831993A JP 3318663 B2 JP3318663 B2 JP 3318663B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被検出物の回転位置を
検出する回転位置検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、トラクション減速機は、歯車式
減速機に比較して本質的にバックラッシュや角速度の変
動が殆どない等の特長を有しているが、このようなトラ
クション減速機の回転位置をフィードバック制御するた
めには、このトラクション減速機の回転位置を検出する
回転位置検出器を設けることが必要となる。
【0003】ここで、トラクション減速機の入力軸側に
回転位置検出器を設けた場合には、トラクション減速機
の出力軸との回転位置との間で僅かに誤差を生じる。す
なわち、トラクション減速機は、その構成上、入力軸か
ら出力軸に回転が伝達されるまでの間に微少すべり等が
生じるので、入力軸の回転位置と出力軸の回転位置との
相互の対応が取れなくなって、誤差が生じる。
【0004】一方、トラクション減速機の出力軸に回転
位置検出器を設けた場合には、上記の不都合は生じない
ものの、回転位置検出器の取り付け精度が要求されるこ
とになる。
【0005】すなわち、いま、回転位置検出器をトラク
ション減速機の入力軸に取り付けた場合と同じだけの分
解能を得ようとすると、トラクション減速機の出力軸1
回転当たりに発生する検出パルスの数は、減速比倍だけ
必要となる。たとえば、入力軸の1回転当たりに出力さ
れる検出パルスの数Eを3000P/R、減速比Gを2
0とすると、出力軸側に回転位置検出器を設けた場合の
1回転当たりの検出パルスの数Aは、A=E×G=30
00×20=60000P/Rとなる。
【0006】ここで、トラクション減速機の出力軸に設
けられる回転位置検出器として、たとえば、光電式ロー
タリエンコーダを適用した場合を考えると、スリット円
板の有効半径(スリット円板の幾何学的中心からフォト
インタラプタの検出位置までの長さ)をr、スリット円板
のスリットピッチをpとすると、 p=2πr/A (1) (ただし、Aは前述した1回転当たりのパルス数)とな
る。
【0007】このスリット円板をトラクション減速機の
出力軸に取り付ける際、スリット円板の幾何学的中心が
出力軸の中心から僅かに偏芯したとする。このような偏
芯が起こる原因としては、スリット円板の取り付け穴と
出力軸との間のガタや、加工精度の影響などがある。こ
こで、偏芯量をhとすれば、スリット円板が半回転した
ときの偏芯が無い場合との周方向の誤差は2hとなる。
これをパルス数nに換算すると、 n=2h/p (2) この(2)式に(1)式を代入すれば、 n=2h/(2πr/A)=Ah/πr (3) となる。(3)式において、たとえば、h=0.05mm、
r=50mm、A=3000P/Rとすると、誤差パル
ス数nは約1パルスとなり、スリット円板の偏芯の影響
は殆ど問題にならない。しかし、回転位置検出器の1回
転当たりの検出パルスの数Aが多い場合、たとえば前記
の例のようにA=60000P/Rとした場合には、誤
差パルス数nは約19にもなり、スリット円板の偏芯の
影響が大きく現れる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように、トラクシ
ョン減速機の出力軸の回転量制御を行なう上での回転量
の分解能を高めるためには、回転位置検出器の1回転当
たりに出力される検出パルスの数が非常に多いのが好ま
しいが、逆に、このような回転位置検出器をトラクショ
ン減速機の出力軸に取り付けるような場合には、僅かな
偏芯も許されないので、その取り付け作業が極めて困難
となる。
【0009】上記の説明は、問題の理解を容易にするた
めに、トラクション減速機の出力軸に回転位置検出器を
取り付ける場合であるが、この例に限らず、回転位置の
分解能を高めるために1回転当たりに発生される検出パ
ルスの数を多くした回転位置検出器を被検出物に取り付
ける場合も同様であって、その際、偏芯に起因する検出
誤差の発生を無くすことが極めて重要となる。
【0010】本発明は、上述の問題を解決するためにな
されたもので、回転位置の分解能を高めるために1回転
当たりに発生する検出パルスの数が非常に多い回転位置
検出器において、これを被検出物に取り付けた際、偏芯
が生じていても、この回転位置検出器からは、偏芯の影
響を殆ど除いた検出出力が自動的に得られるようにする
ことを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、被検出物の回転に連動して回転する回転体と、この
回転体の回転に伴ってその回転量に応じたパルス数でか
つ正逆回転に応じた進遅の位相をもつ2相の検出パルス
を出力する複数個の回転検出素子とを備えてなる回転位
置検出器において、次の構成を採る。
【0012】すなわち、本発明では、前記各回転検出素
子は、回転体の回転方向に沿って等角度に配置される一
方、 各回転検出素子から出力される2相の検出パルス
の内の少なくとも一方の検出パルスと、位相が異なるク
ロックパルスとをそれぞれ入力することにより、各検出
パルスのタイミングが同一である場合、あるいは同一で
ない場合のいずれにおいても、各検出パルス数以上であ
り、かつ相互に位相がずれたクロックパルスと同期する
同期微分パルスを生成し、これらの各同期微分パルスを
合成して出力する合成パルス出力手段と、各回転検出素
子からの2相の検出パルスに基づいて、前記回転体の正
逆回転の切り換わりに伴う進遅の位相変化の内で最もタ
イミングの早い位相変化を検出する進遅変化手段とを備
えている。
【0013】
【作用】上記構成において、被検出物の回転に連動して
回転体が回転すると、この回転体の回転に伴って、各回
転検出素子からは、回転体の回転量に応じたパルス数で
かつ正逆回転に応じた進遅の位相をもつ2相の検出パル
スがそれぞれ出力される。そして、各回転検出素子から
出力される2相の検出パルスの内の少なくとも一方の検
出パルスと、位相が異なるクロックパルスとが合成パル
ス出力手段に入力されるので、合成パルス出力手段は、
これらの各検出パルスに基づいて、各検出パルスのパル
ス数以上でかつ各検出パルスに応じて相互に位相がずれ
た同期微分パルスを生成し、これらの各同期微分パルス
を合成して出力する。
【0014】ここで、回転体の幾何学的中心が被検出物
の回転中心から偏芯して取り付けられていた場合に、回
転体が1回転しないときには、各回転検出素子から出力
される検出パルスのパルス数は互いに異なったものとな
る。しかし、これらの各検出パルスは、合成パルス出力
手段によって検出パルスのパルス数以上でかつ各検出パ
ルスに応じて相互に位相がずれた同期微分パルスとして
生成され、これらの各同期微分パルスが合成されるの
で、その結果、波形合成された合成パルスのパルス数
は、回転量に応じてリニアに変化することになり、偏芯
の影響が殆ど現れない。
【0015】しかも、進遅変化検出手段には、各回転検
出素子からの2相の検出パルスに基づいて、進遅の位相
変化の内で最もタイミングの早い位相変化が検出される
ので、回転体の正逆回転の切り換わりタイミングが直ち
に分かることになる。
【0016】
【実施例】図1は本発明に係る回転位置検出器を、トラ
クション減速機の出力軸側に取り付けた場合の実施例を
示す構成図、図2はトラクション減速機の出力軸方向か
ら見た回転位置検出器の正面図である。
【0017】これらの図において、符号1は回転位置検
出器の全体を示し、2はサーボモータ、4は被検出物と
なるトラクション減速機である。
【0018】回転位置検出器1は、回転体としてのスリ
ット円板6、フォトインタラプタ等からなる一対の回転
検出素子81,82、および信号処理手段12を備えてい
る。
【0019】スリット円板6は、その周方向に沿って多
数のスリット10が所定のピッチpを保って形成された
もので、その中央がトラクション減速機4の出力軸5に
固定されている。
【0020】各回転検出素子は81,82は、スリット円
板6が回転する周方向に対して等角度(本例では180
°)で配置されており、各回転検出素子81,82から
は、スリット円板6の回転に伴ってスリット円板6の回
転量に応じたパルス数をもちかつ正逆回転に応じた進遅
の位相をもつ2相(A相,B相)の検出パルスがそれぞれ
出力されるようになっている。
【0021】一方、信号処理手段12は、合成パルス出
力手段14と進遅変化検出手段16を有する。
【0022】合成パルス出力手段14は、各回転検出素
子81,82から出力される2相(A相、B相)の検出パル
スA1,B1、A2,B2の内からA相の検出パルスA
1,A2だけを入力して、これらの各検出パルスA1,
A2の状態変化の数の少なくとも半数でかつ各検出パル
スA1,A2に応じて相互に位相がずれた同期微分パル
スP1,P2を生成し、これらの各同期微分パルスP
1,P2を合成するものであり、また、進遅変化検出手
段16は、各回転検出素子81,82からの各2相の検出
パルスA1,B1、A2,B2に基づいて、回転体6の
正逆回転の切り換わりに伴う位相変化の内で最もタイミ
ングの早い位相変化を検出するようになっている。
【0023】図3は信号処理手段12のさらに具体的な
詳細を示す構成図である。
【0024】合成パルス出力手段14は、本例では、ク
ロックパルス発生手段18、同期微分手段201,2
2、および合成手段22からなる。
【0025】クロックパルス発生手段18は、各回転検
出素子81,82から出力される検出パルスの最高周波数
に比べて十分に高い周波数をもち、かつ回転検出素子8
1,82の数(本例では2個)に応じて位相が互いに異なる
(本例では位相が互いに180°ずれている)クロックパ
ルスCK1,CK2を発生するものであって、本例で
は、分周器24、インバータ26、および2つのノアゲ
ート281,282とからなり、分周器24は、図外のク
ロック発生器からの基準クロックCKを2分周するよう
になっている。
【0026】同期微分手段201,202は、各検出パル
スA1,A2とクロックパルスCK1,CK2とを個別
に入力し、両パルスA1とCK1、A2とCK2の同期
微分をとって同期微分パルスP1,P2をそれぞれ発生
するものであって、本例では、Dフリップフロップ30
1,302、アンドゲート311,312、インバータ32
1,322、インバータ341,342、およびDフリップ
フロップ361,362からなる。
【0027】そして、Dフリップフロップ301,302
は、検出パルスA1,A2のハイレベルの期間をクロッ
クパルスCK1,CK2によってサンプリングするため
のものであり、また、アンドゲート311,312は、上
記のDフリップフロップ301,302の出力がハイレベ
ルの期間中にのみクロックパルスCK1,CK2に対す
るゲートを開くものであり、さらに、他のDフリップフ
ロップ361,362は、各同期微分手段201,202
対して検出パルスA1,A2が同一のタイミングで入力
された場合でも、クロックパルスCK1,CK2の位相
差(本例では180°)分だけタイミングがずれたパルス
を発生するものである。そして、これらのDフリップフ
ロップ361,362の出力がDフリップフロップ3
1,302にそれぞれリセットパルスとして与えられる
ようになっている。したがって、Dフリップフロップ3
1,302は、検出パルスA1,A2に同期してセット
されるとともに、クロックパルスCK1,CK2に同期
しつつもタイミングが互いにずれてリセットされるよう
になっている。
【0028】合成手段22は、各同期微分手段201
202から出力される同期微分パルスP1,P2を合成
するものであって、本例では、オアゲート38からな
る。
【0029】一方、進遅変化検出手段16は、進遅判別
手段401,402と優先出力手段42とを備える。
【0030】進遅判別手段401,402は、本例では、
スリット円板6が正転していてA相パルスA1,A2の
方がB相パルスB1,B2よりも位相が進んでいる場合
にハイレベル、逆にスリット円板6が逆転していて位相
が遅れている場合にはローレベルの判別信号D1,D2
がそれぞれ出力されるようになっている。
【0031】また、優先出力手段42は、これらの進遅
判別手段401,402からの判別信号D1,D2の内で
最も早い出力タイミングの判別信号のみを優先して進遅
変化検出信号Dとして出力するものであり、本例では、
Dフリップフロップ441,442、インバータ461
462、Dフリップフロップ481,482、オアゲート
501,502、およびDフリップフロップ52を組み合
わて構成されている。
【0032】そして、図中上段側のDフリップフロップ
441,442は、進遅判別手段401,402の出力がロ
ーレベルからハイレベルに変化したとき(回転体6が逆
転から正転に変化したとき)の検出用として、また、下
段側のDフリップフロップ481,482は、進遅判別手
段401,402の出力がハイレベルからローレベルに変
化したとき(回転体6が正転から逆転に変化したとき)の
検出用としてそれぞれ設けられており、また、オアゲー
ト501,502は、両Dフリップフロップ441,4
2、または481,482の出力タイミングが早い方を
それぞれ優先的に出力するためのものである。さらに、
Dフリップフロップ52は、回転体6が逆転から正転に
変化した結果、オアゲート501の出力がハイレベルと
なったときにセットされてハイレベル、回転体6が正転
から逆転に変化した結果、オアゲート502の出力がハ
イレベルとなったときにはリセットされてローレベルの
進遅変化検出信号Dを出力するようになっている。
【0033】次に、上記構成の回転位置検出器1の動作
について、図4のタイミングチャートを参照して説明す
る。
【0034】いま、初期の段階(図4のt1までの時刻)で
は、サーボモータ2の駆動により被検出物としてのトラ
クション減速機4の出力軸5に連動してスリット円板6
が正回転しているものとする。
【0035】このスリット円板6の正回転に伴って、各
回転検出素子81,82からは、2相(A相,B相)の検出
パルスA1,B1、A2,B2がそれぞれ出力される。
この場合、スリット円板6が正転しているために、A相
の検出パルスA1,A2の方がB相の検出パルスB1,
B2よりも位相が進んでいる。そして、A相の検出パル
スA1,A2のみが合成パルス出力手段14の各同期微
分手段201,202に入力され、また、2相の検出パル
スA1,B1、A2,B2はいずれも進遅変化検出手段
16に入力される。
【0036】一方、クロックパルス発生手段18から
は、図外のクロック発生器からの基準パルスCKの入力
に応じて、各回転検出素子81,82から出力される検出
パルスA1,B1,A2,B2の最高周波数に比べて十
分に高い周波数をもち、かつ、位相が互いに180°ず
れているクロックパルスCK1,CK2がそれぞれ発生
されている。そして、各クロックパルスCK1,CK2
が同期微分手段201,202に入力される。
【0037】各同期微分手段201,202のDフリップ
フロップ301,302は、検出パルスA1,A2のハイ
レベルの出力期間中にクロックパルスCK1,CK2が
入力され、その立ち上がりタイミングに応じてA相の検
出パルスA1,A2をサンプリングして出力Q1,Q3
がハイレベルとなる。そして、このDフリップフロップ
301,302のハイレベルの出力Q1,Q3によってア
ンドゲート311,312が開かれているときに、クロッ
クパルスCK1,CK2が入力されると、このクロック
パルスCK1,CK2の立ち下がりタイミングによって
Dフリップフロップ361,362がセットされてその出
力Q2,Q4がハイレベルとなる結果、これに応じてD
フリップフロップ301,302がリセットされる。した
がって、各アンドゲート311,312の出力P1,P2
は、検出パルスA1,A2のハイレベルの出力期間中に
一つのクロックパルスCK1,CK2が入力された期間
だけハイレベルとなる。しかも、両クロックパルスCK
1,CK2は、位相が互いに180°ずれているので、
各同期微分手段201,202に対して検出パルスA1,
A2が同一のタイミングで入力された場合でも、両アン
ドゲート311,312から出力される同期微分パルスP
1,P2も位相が互いに180°ずれている。そして、
各同期微分パルスP1,P2が合成手段22としてのオ
アゲート38に共に入力されるので、オアゲート38か
らは、各同期微分パルスP1,P2が重なり合うことな
く両者を合成した合成パルスPが出力される。
【0038】ここで、スリット円板6の幾何学的中心が
トラクション減速機4の出力軸5の中心に完全に一致し
て取り付けられていて偏芯が無い場合には、各同期微分
手段201,202のアンドゲート311,312から出力
される同期微分パルスP1,P2のパルス数N1,N
2は、いずれも図5(a)の破線で示すように、スリット円
板6の回転に伴って直線的に増加する。そして、両アン
ドゲート311,312の出力はオアゲート38で合成さ
れる結果、オアゲート38から出力される合成パルスP
の数N1+N2も同様に、図5(a)の実線で示すように直
線的に増加する。ここで、図3(a)での実線の勾配k
1は、破線の勾配k0の2倍になっている。
【0039】次に、スリット円板6の幾何学的中心がト
ラクション減速機4の出力軸5の中心から外れて偏芯し
て取り付けられている場合には、各同期微分手段2
1,202のアンドゲート311,312から出力される
同期微分パルスP1,P2のパルス数N1,N2は、図5
(b)の破線および一点鎖線で示すように、偏芯の影響の
ために直線的な増加にはならない。しかし、両同期微分
パルスP1,P2はオアゲート38で合成される結果、
オアゲート38から出力される合成パルスPの数N1
2は、図5(b)の実線で示すように直線的に増加する。
そして、この実線の勾配k1は、図5(a)の実線で示す勾
配k1と同じになり、偏芯の影響が殆ど現れない。
【0040】次に、進遅変化検出手段16に着目する
と、図4の時刻t1までは、スリット円板6が正回転して
いるので、A相の検出パルスA1,A2の方がB相の検
出パルスB1,B2よりも位相が進んでおり、このた
め、進遅判別手段401,402からは、位相進みを示す
ハイレベルの判別信号D1,D2がそれぞれ出力され、
これに応じてDフリップフロップ52がセットされてそ
の出力である進遅変化検出信号Dはハイレベルとなって
いる。
【0041】この状態で、図4の時刻t1において、トラ
クション減速機4の出力軸5が逆転された場合、これに
応じて、たとえば一方の回転検出素子81から出力され
る2相(A相,B相)の検出パルスA1,B1は、スリッ
ト円板6の逆転に応じてA相の検出パルスA1の方がB
相の検出パルスB1よりも位相が遅れるようになる。そ
して、この時刻t1からある時間が経過して時刻t2になる
と、他方の回転検出素子82から出力される2相の検出
パルスA2,B2も同様にA相の検出パルスA2の方が
B相の検出パルスB2よりも位相が遅れるようになる。
その結果、一方の進遅判別手段401からは先に位相遅
れを示すローレベルの判別信号D1が出力され、次に、
他方の進遅判別手段402から位相遅れを示すローレベ
ルの判別信号D2が出力される。しかし、一方の進遅判
別手段401から出力されたローレベルの判別信号D1
がインバータ461でレベル反転されてDフリップフロ
ップ481に先に加わる結果、後段のDフリップフロッ
プ52がリセットされて進遅変化検出信号Dはローレベ
ルとなる。
【0042】つまり、スリット円板6の回転が切り換わ
ると、進遅変化検出手段16によって各回転検出素子8
1,82の進遅の位相変化の内で最もタイミングの早い位
相変化が検出されるので、この進遅変化検出信号Dに基
づいて、合成パルス出力手段14から出力される合成パ
ルスPがスリット円板6の正回転のものか、逆回転のも
のかを確実に判別することができる。
【0043】上記の実施例では、回転検出素子81,82
のA相の検出パルスA1,A2の立ち上がりの状態変化
を利用して同期微分手段201,202で同期微分パルス
P1,P2を発生させているが、図6に示すように、A
相の検出パルスA1,A2をレベル反転するインバータ
541,542と、各インバータ541,542に対応して
前記と同一構成の同期微分手段203,204とをそれぞ
れ設け、A相の検出パルスA1,A2の立ち上がりの状
態変化のみならず、立ち下がりの状態変化においても同
期微分パルスを発生させることも可能である。この場
合、合成手段としてのオアゲート381からは、図3の
構成の場合と比較すると、単位時間あたりに2倍のパル
ス数をもつ合成パルスPが出力される。
【0044】さらに、図7に示すように、回転検出素子
1,82から出力される2相(A相,B相)の検出パルス
A1,A2、B1,B2の全ての立ち上がりの状態変化
を利用して各同期微分手段201,202,205,206
で同期微分パルスを発生させることも可能である。この
場合、合成手段としてのオアゲート382からは、図3
の構成の場合と比較すると、単位時間あたりに2倍のパ
ルス数をもつ合成パルスPが出力される。
【0045】さらに、図8に示すように、図6と図7の
構成を組み合わて、回転検出素子81,82から出力され
る2相(A相,B相)の検出パルスA1,A2、B1,B
2の全ての立ち上がり、および立ち下がりの状態変化を
利用して各同期微分手段20 1〜208で同期微分パルス
を発生させることも可能である。この場合、合成手段と
してのオアゲート383からは、図3の構成の場合と比
較すると、単位時間あたりに4倍のパルス数をもつ合成
パルスPが出力される。
【0046】図3、図6〜図8に示した各実施例では、
合成パルス出力手段14からの合成パルスPと、進遅変
化検出手段16からの進遅変化検出信号Dとをそのまま
個別に出力するようにしているが、両信号P,Dを利用
して、新たにパルスを生成することも可能である。
【0047】すなわち、図9に示すように、分周器56
と、2つのイクスクルーシブオアゲート57,58から
なるパルス波形分離手段54を設け、これをたとえば図
3の信号処理回路12に接続することで、合成パルスP
と進遅変化検出信号Dとを共に入力して、図11(b)に
示すように、合成パルスPを正逆転に応じた位相をもつ
2相(A相,B相)の検出パルスに分離して取り出すよう
にすることもできる。この場合も、2相の検出パルス
A、Bには偏心の影響は現れない。
【0048】また、図10に示すように、インバータ6
2と、2つのアンドゲート64,65とからなる正逆転
パルス発生手段60を設け、これをこれをたとえば図3
の信号処理回路12に接続することで、合成パルスPと
進遅変化検出信号Dとに基づいて、図11(c)に示すよ
うに、スリット円板6が正回転するときには正転パルス
Fを、逆回転するときには逆転パルスRをそれぞれ出力
するようにすることもできる。
【0049】なお、上記の実施例では、一対の回転検出
素子81,82をスリット円板6に対して対向配置した構
成としたが、回転検出素子をスリット円板6の周方向に
対して3つ、あるいはそれ以上を等角度で配置した構成
とすることも可能である。
【0050】さらに、この実施例の回転位置検出器1
は、光電式のものとしたが、磁気式、接触式、電磁式等
のものであっても、本発明を適用することができるのは
勿論である。
【0051】
【発明の効果】本発明の回転位置検出器では、回転位置
の分解能を高めるために、1回転当たりに発生するパル
ス数が非常に多いものでも、これを検出対象となる機器
に偏芯して取り付けられたとしても、その回転位置検出
値には偏芯の影響が殆ど現れない。このため、機器の回
転位置を精度良く制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る回転位置検出器をトラクション減
速機の出力軸に取り付けた場合の実施例を示す構成図で
ある。
【図2】トラクション減速機の出力軸方向から見た回転
位置検出器の正面図である。
【図3】本発明に係る回転位置検出器の信号処理手段の
具体的な構成図である。
【図4】本発明に係る回転位置検出器の動作説明に供す
るタイムチャートである。
【図5】本発明に係る回転位置検出器の偏芯の影響を除
くための作用説明に供する図である。
【図6】本発明に係る回転位置検出器の信号処理手段の
変形例を示す構成図である。
【図7】本発明に係る回転位置検出器の信号処理手段の
他の変形例を示す構成図である。
【図8】本発明に係る回転位置検出器の信号処理手段の
さらに他の変形例を示す構成図である。
【図9】本発明に係る回転位置検出器のパルス波形分離
手段の構成図である。
【図10】本発明に係る回転位置検出器の正逆転パルス
発生手段の構成図である。
【図11】合成パルスおよび進遅変化検出信号に基づい
て、図9のパルス波形分離手段および図10の正逆転パ
ルス発生手段でそれぞれ発生される信号を示すタイムチ
ャートである。
【符号の説明】
1…回転位置検出器、2…サーボモータ、4…トラクシ
ョン減速機、6…回転体(スリット円板)、81,82…回
転検出素子、12…信号処理手段、14…合成パルス出
力手段、16…進遅変化検出手段、18…クロックパル
ス発生手段、201,202…同期微分手段、22…合成
手段、401,402…進遅判別手段、42…優先出力手
段、54…パルス波形分離手段、60…正逆転パルス発
生手段。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01D 5/00 - 5/62 G01B 7/00 - 7/34 G01B 11/00 - 11/30 G01P 1/00 - 3/80 G01P 13/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検出物の回転に連動して回転する回転
    体と、この回転体の回転量に応じたパルス数でかつ正逆
    回転に応じた進遅の位相をもつ2相の検出パルスを出力
    する複数個の回転検出素子を備えてなる回転位置検出器
    において、 前記各回転検出素子は、回転体の回転方向に沿って等角
    度に配置される一方、 各回転検出素子から出力される2相の検出パルスの内の
    少なくとも一方の検出パルスと、位相が異なるクロック
    パルスとをそれぞれ入力することにより、各検出パルス
    のタイミングが同一である場合、あるいは同一でない場
    合のいずれにおいても、各検出パルス数以上であり、か
    つ相互に位相がずれたクロックパルスと同期する同期微
    分パルスを生成し、これらの各同期微分パルスを合成し
    て出力する合成パルス出力手段と、 各回転検出素子からの2相の検出パルスに基づいて、前
    記回転体の正逆回転の切り換わりに伴う進遅の位相変化
    の内で最もタイミングの早い位相変化を検出する進遅変
    化手段と、 を備えることを特徴とする回転位置検出器。
  2. 【請求項2】 前記合成パルス出力手段は、前記各回転
    検出素子の検出パルスの最高周波数に比べて十分に高い
    周波数でかつ各回転検出素子の数に応じて位相が互いに
    異なるクロックパルスをそれぞれ発生するクロックパル
    ス発生手段と、各検出パルスとクロックパルスとを個別
    に入力して両パルスの同期微分をとって同期微分パルス
    をそれぞれ発生する同期微分手段と、各々の同期微分パ
    ルスを合成する合成手段とを備える一方、 進遅変化検出手段は、各回転検出素子からの2相の検出
    パルスを入力して、両検出パルスに基づいて前記回転体
    の正逆回転に応じた位相の進遅を判別する進遅判別手段
    と、この進遅判別手段からの判別信号の内で最も早い出
    力タイミングの判別信号のみを優先して出力する優先出
    力手段とからなることを特徴とする請求項1記載の回転
    位置検出器。
  3. 【請求項3】 前記合成パルス出力手段からの合成パル
    スと、進遅変化検出手段からの進遅変化検出信号とを共
    に入力して、前記合成パルスを正逆転に応じた位相をも
    つ2相の検出パルス波形に分離して出力するパルス波形
    分離手段を備えることを特徴とする請求項1または請求
    項2記載の回転位置検出器。
  4. 【請求項4】 前記合成パルス出力手段からの合成パル
    スと、進遅変化検出手段からの進遅変化検出信号とを共
    に入力して、回転体の正逆回転に応じた正転パルスと逆
    転パルスのいずれか一方を出力する正逆転パルス発生手
    段を備えることを特徴とする請求項1または請求項2記
    載の回転位置検出器。
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