JP3318176B2 - 中性紙の製造方法 - Google Patents

中性紙の製造方法

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JP3318176B2 JP32785095A JP32785095A JP3318176B2 JP 3318176 B2 JP3318176 B2 JP 3318176B2 JP 32785095 A JP32785095 A JP 32785095A JP 32785095 A JP32785095 A JP 32785095A JP 3318176 B2 JP3318176 B2 JP 3318176B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中性紙の製造方
法、特に、填料を含有するパルプスラリーから中性紙を
製造する方法に関する。更に詳しくは、本発明は、パル
プ繊維と填料の歩留りを改善した中性紙の製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に製紙工程においては、製紙の白色
度や不透明度を向上させたり、あるいは平滑性や仕上り
性を良くしたり、更にインクの吸収性や印刷適正を向上
させたり、更にまた製紙に柔軟性を付与せしめる等の目
的で各種の填料が使用されている。
【0003】しかしながら、填料のみを添加しただけで
は、抄紙に際して大部分の填料が白水中に流出し、その
歩留りは極めて低くなり、初期の効果が発揮されず、ま
た経済的にも大きな不利益をもたらす。このため、当業
界においては、填料が添加される一般の製紙工程におい
ては、何らかの填料の歩留り向上剤が使用されるのが普
通である。
【0004】従来、填料として硫酸バンドを添加し、酸
性域で抄紙する酸性抄紙が盛んに行なわれていた。しか
しながら、近年、印刷物の長期保存などの観点から前記
硫酸バンドを全く使用しないか、または極少量使用して
pH6〜9の弱酸性から弱アルカリ性の領域で抄紙する
中性抄紙が広く行われるようになってきている。
【0005】前記した中性抄紙における歩留り向上方法
として、例えば、下記に示すような種々のものが提案さ
れている。 (1) 特開昭57−77399号公報には、填料歩留り剤
として(メタ)アクリル酸エステルとアクリルアミドの
高分子共重合体が提案されている。 (2) 特開昭57−51900号公報には、カチオン澱粉
とコロイド状ケイ酸の複合体からなるバインダーが填料
歩留りと紙力向上に効果があることが開示されている。 (3) 特開昭62−125096号公報には、両性アクリ
ルアミド系ポリマーとアルミニウム化合物との併用効果
が開示されている。 (4) 特開昭62−191598号公報には、ベントナイ
トと合成カチオン性ポリマーを添加することにより、歩
留りと濾水性が改良されることが開示されている。 (5) 特開昭62−110998号公報には、パルプスラ
リー中にコロイド状ケイ酸及びカチオン性もしくは両性
アクリルアミド誘導体を配合し、更にカチオン化澱粉を
含有させることで中性抄紙系で十分な填料歩留りを得る
技術が開示されている。 (6) 特開平5−51895号公報には、高歩留りパルプ
の中性抄紙系において、特定の澱粉と両イオン性アクリ
ルアミド系共重合体を併用して歩留り、及び濾水性を向
上させる方法が開示されている。 (7) 特開平5−78997号公報には、両性ポリアクリ
ルアミド系共重合体とカチオン性基を有するポリマーを
併用した填料歩留り、及び濾水性を向上させる方法が開
示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】一般に、中性紙を問題
なく抄紙するためには、パルプスラリー中のパルプ繊維
及び填料の良好な歩留りを確保する必要がある。即ち、
一般に歩留りが悪い場合、抄紙系の汚れ、断紙等が誘発
され、操業性が著しく悪化する。このため、当業界にお
いて、各種の歩留り向上剤、歩留り向上システムが提案
されていることは前述した通りである。
【0007】当業界において、前記したように炭酸カル
シウムを含有するpH6〜9のパルプスラリーから中性
紙を製造する方法が盛んに行なわれているが、その場
合、炭酸カルシウムの歩留り向上が重要な課題となって
いることはいうまでもないことである。本発明者らは、
填料分として炭酸カルシウムを含むパルプスラリーを用
いる中性抄紙系のパルプ繊維と填料の歩留り向上につい
て、鋭意研究した。その結果、本発明者らは、架橋性ビ
ニルモノマーを必須の構成モノマーとして調製した両イ
オン性架橋型アクリルアミド重合体及びカチオン変性ア
クリルアミド系重合体を予め混合して得た水性混合物系
の製紙用添加剤を使用することにより、パルプ繊維と填
料の歩留りが著しく改善されることを見出し、本発明を
完成するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明は、填料を含むパルプスラリーから中性紙を製造す
る方法において、前記パルプスラリーに架橋性ビニル
モノマーを必須の構成モノマーとして調製した両イオン
性架橋型アクリルアミド重合体及びカチオン変性アクリ
ルアミド系重合体を予め混合して得た水性混合物系添加
剤を添加し、中性域で抄紙することを特徴とする中性紙
の製造方法に関するものである。
【0009】以下に本発明の技術的構成を詳しく説明す
る。
【0010】まず、本発明の製紙方法が対象とする填料
を含有するパルプスラリー系において、前記填料として
は、従来の製紙工程で使用されている公知の各種填料が
何れも使用可能であり、例えばカオリン、二酸化チタ
ン、白土、焼成クレー、合成シリカ、水酸化アルミニウ
ム、タルク、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム
等を使用し得る。本発明において、前記した填料のう
ち、特に重質炭酸カルシウム又は軽質炭酸カルシウムが
好ましいものである。また、これらの炭酸カルシウムと
前記したその他の填料との混合物も好ましいものであ
る。本発明の中性紙の製造方法において、前記填料を含
む抄紙時のパルプスラリーのpHは、略中性領域、具体
的にはpHが6〜9の範囲内であることが好ましい。本
発明の前記両イオン性架橋型アクリルアミド重合体及び
カチオン変性アクリルアミド系重合体とからなる水性混
合物系添加剤は、パルプスラリー系のpHが前記中性領
域において、パルプ繊維と填料の歩留りに格段に優れた
効果を奏することができる。
【0011】次に、本発明の前記水性混合物系添加剤の
一方の必須成分である両イオン性架橋型アクリルアミド
重合体について説明する。本発明の前記両イオン性架橋
型アクリルアミド重合体は、架橋性ビニルモノマーを必
須の構成モノマーとして調製されたものである。即ち、
本発明の前記両イオン性架橋型アクリルアミド重合体
は、 (a) 架橋性ビニルモノマー、 (b) アニオン性ニルモノマー、 (c) カチオン性ビニルモノマー、及び、 (d) アクリルアミド及び/又はメタアクリルアミド、 から成るモノマー混合物を共重合させて調製した共重合
体で構成される。
【0012】本発明において、前記両イオン性架橋型ア
クリルアミド重合体を調製するために使用される(a)
成分の架橋性ビニルモノマーとしては、メチロールアク
リルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エ
チレンビス(メタ)アクリルアミド等のビス(メタ)ア
クリルアミド類;エチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート
等のジ(メタ)アクリレート類;アジピン酸ジビニル、
セバシン酸ジビニル等のジビニルエステル類;エポキシ
アクリレート類;ウレタンアクリレート類;ジビニルベ
ンゼン、1,3,5トリアクリロイルヘキサヒドロ−
S−トリアジン、トリアリルイソシアヌレート、トリア
リルトリメリテート、トリアリルアミン、N,N−ジア
リルアクリルアミド、テトラメチロールメタンテトラア
クリレート、テトラアリルピロメリラート、N置換アミ
ド基を有するN,N−ジメチルアクリルアミド等が挙げ
られる。
【0013】前記した(a)架橋性ビニルモノマーにお
いて、メチロールアクリルアミド、メチレンビスアクリ
ルアミド、ジエチレングリコールジメタアクリレート、
1,3,5トリアクリロイルヘキサヒドロ−S−トリ
アジン、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、
N,N−ジメチルアクリルアミドが好適であり、特にメ
チロールアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミ
ド、1,3,5トリアクリロイルヘキサヒドロ−S−
トリアジン、N,N−ジメチルアクリルアミドが適して
いる。本発明において、前記した(a)架橋性ビニルモ
ノマーは、一種を単独で使用又は、二種以上を併用する
ことができる。
【0014】本発明において、前記両イオン性架橋型ア
クリルアミド重合体を調製するために使用される(b)
成分のアニオン性ビニルモノマーとしては、アクリル
酸、メタクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、スチ
レンスルフォン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプ
ロパンスルフォン酸、又はそれらのナトリウム、カリウ
ム、アンモニウム塩等のビニルモノマーが挙げられる。
【0015】本発明において、前記両イオン性架橋型ア
クリルアミド重合体を調製するために使用される(c)
成分のカチオン性ビニルモノマーとしては、ジメチルア
ミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタク
リレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチ
ルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピ
ルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタアクリ
ルアミド、ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、ジ
エチルアミノプロピルメタアクリルアミド、アリルアミ
ン、ジアリルアミン等の第3級アミン基を有するビニル
モノマー又はそれらの塩酸、硫酸、硝酸、スルファミン
酸等の無機酸、若しくは有機酸の塩類あるいは第3級ア
ミン基含有ビニルモノマーとメチルクロライド、ベンジ
ルクロライ、ジメチル硫酸、エピクロヒドリン、グリ
シジルトリメチルアンモニウムクロライド、3−クロロ
−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロ
ライド等の4級化剤との反応によって得られる第4級ア
ンモニウム塩を含有するビニルモノマー等が挙げられ
る。
【0016】本発明において、前記したアニオン性ビニ
ルモノマー(b)とカチオン性ビニルモノマー(c)
は、それぞれのカテゴリー内の一種を単独で又は二種以
上を併用して使用することができる。
【0017】本発明の前記両イオン性架橋型アクリルア
ミド重合体において、(a)〜(d)成分のモル割合
は、(a)成分は0.005〜5モル%、(b)成分は
1〜20モル%、(c)成分は0.5〜10モル%、
(d)成分は65〜98モル%の範囲が好ましい。な
お、(a)成分が0.005モル%未満の場合には、本
発明の効果が向上せず、5モル%を超える場合にはゲル
化現象が生じてしまう。
【0018】本発明において特徴的な点は、前記した各
成分(a)〜(d)の使用割合(モル割合)を外れると
き(前記範囲外の場合)、本発明が目的とするパルプ繊
維と填料の歩留り効果が十分に得られないという点であ
る。
【0019】本発明において、前記した必須の構成モノ
マーの他に本発明の効果を実質的に損なわない範囲で、
前記構成モノマーと共重合可能なモノマーを使用するこ
とが出来る。前記した共重合可能なモノマーとして、
(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、アクリルニ
トリル等のノニオン性ビニルモノマーなどを使用するこ
とができる。
【0020】本発明の前記両イオン性架橋型アクリルア
ミド重合体の製造法としては、従来公知の各種の方法を
採用することが出来る。例えば、攪拌機及び窒素ガス導
入管を備えた反応容器に、本発明の構成モノマー
(a),(b),(c),(d)成分と水とを仕込み、
重合開始剤として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、
過流酸カリ、アンモニウムハイドロパーオキサイド等の
過酸化物、又はそれらの過酸化物と重亜硫酸塩等の還元
剤とを組合せたレドックス開始剤、あるいは2,2´
アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩等の水溶性
アゾ系重合開始剤など加え、また必要に応じてイソプロ
ピルアルコール、アリルアルコール、次亜リン酸ナトリ
ウム、メルカプトエタノール、チオグリコール酸等の重
合調整剤又は連鎖移動剤を適宜使用し、反応温度40〜
80℃で1〜5時間反応させ、目的とする両イオン性架
橋型アクリルアミド重合体を調製すればよい。なお、前
記した重合方法において、(a)成分の架橋性ビニルモ
ノマーとしてN置換アミド基を有するN,N−ジメチル
アクリルアミド等を用いる場合、前記重合方法により調
製されるN,N−ジメチルアクリルアミドを含む共重合
体に酸化性のラジカル触媒を添加し、温度60〜80℃
で1〜5時間、架橋反応を行う必要がある。前記した酸
化性ラジカル触媒としては、過酸化水素、過硫酸塩(過
硫酸アンモニウム、過硫酸カリ等)の無機の過酸化物類
等が挙げられる。
【0021】次に、本発明の前記水性混合物系製紙用添
加剤の他方の必須成分であるカチオン変性アクリルアミ
ド系重合体について説明する。本発明の前記カチオン変
性アクリルアミド系重合体としては、ホフマン分解反応
によるカチオン変性アクリルアミド系重合体、及びマン
ニッヒ反応によるカチオン変性アクリルアミド系重合体
が挙げられる。前者のホフマン分解反応によるカチオン
変性アクリルアミド系重合体の調製法は、従来と同様の
方法を採用すればよい。例えば、アクリルアミド系重合
体の水溶液に次亜ハロゲン酸塩とアルカリ触媒とを添加
することにより、アルカリ性領域においてアクリルアミ
ド系重合体と次亜ハロゲン酸塩とを反応せしめ、しかる
後に酸を添加し、pH3.5〜5.5に調整すればよ
い。
【0022】本発明において、前記カチオン変性アクリ
ルアミド系重合体は、前記したホフマン分解反応に限定
されず、以下に示す態様のホフマン分解反応を利用して
調製されたものであっても良い。即ち、塩化コリンの存
在下にポリアクリルアミドをホフマン分解反応して調製
したカチオン変性物(特開昭53−109594号)、
ホフマン分解反応において水酸基を有する第3級アミン
と塩化ベンジルあるいはその誘導体との4級化反応物を
添加して調製したカチオン変性物(特公昭58−868
2号)、ホフマン分解反応において安定剤として有機多
価アミンを添加して調製したカチオン変性物(特公昭6
0−17322号)、またはホフマン分解反応において
安定剤として特定のカチオン性化合物を添加して調製し
たカチオン変性物(特公昭62−45884号)等を使
用することができる。前記ホフマン分解反応により調製
される重合体は、一般にカチオン性単量体単位が略5〜
40モル%、アクリルアミド単位が略60〜95モル
%、含有したものである。また、ホフマン分解反応によ
り調製されるカチオン変性アクリルアミド系重合体の平
均分子量は、5〜100万程度が好ましい。
【0023】本発明において前記カチオン変性アクリル
アミド系重合体は、マンニッヒ反応によるものであって
もよいものである。前記マンニッヒ反応によるカチオン
変性アクリルアミド系重合体の調製は、従来と同様の方
法を採用すればよい。例えば、アクリルアミド系重合体
の水溶液中にホルマリン及びジメチルアミン等の2級ア
ミンを加え、温度40〜60℃程度、1〜5時間程度反
応させるという条件を採用すればよい。前記マンニッヒ
反応により調製される重合体は、一般にカチオン性単量
体単位が略10〜60モル%、アクリルアミド単位が略
40〜90モル%、含有したものである。
【0024】本発明において、前記カチオン変性アクリ
ルアミド系重合体として、特にホフマン分解反応により
調製したカチオン変性アクリルアミド系重合体を用いた
場合、極めて優れたパルプ繊維と填料の歩留り効果が得
られるという特異性がある。
【0025】本発明の中性紙の製造方法は、前記した特
定の両イオン性架橋型アクリルアミド系重合体とカチオ
ン変性アクリルアミド系重合体とから成る水溶性混合物
系製紙用添加剤のもとで、かつ中性域で抄紙することを
必須とするものである。本発明の前記水性混合物系製紙
用添加剤の使用態様は、添加剤を構成する必須成分を予
め混合して調製した水性混合物の形態で使用するか、あ
るいはパルプスラリーに添加する直前に必須成分を混合
して水性混合物の形態で使用することにより、著しくパ
ルプ繊維と填料の歩留り効果を向上させることが出来
る。前記した必須成分の一方のみを用いた場合、及び両
成分を別々にパルプスラリーに添加する場合には、かか
る効果は得られない。
【0026】本発明の中性紙の製造方法は、前記したよ
うに、例えば、両イオン性架橋型アクリルアミド重合体
の水溶液とカチオン変性アクリルアミド系重合体の水溶
性とを予め混合して水性混合物系製紙用添加剤を調製す
るとともに、これを填料を含むパルプスラリーに添加し
中性域で抄紙するものである。なお、必要ならば、予め
調製された高濃度の水性混合物系製紙用添加剤を、適宜
水により希釈して使用することができることはいうまで
もないことである。また、前記した水性混合物系製紙用
添加剤の濃度は特に限定されない。
【0027】本発明の中性紙の製造方法において、前記
水性混合物系製紙用添加剤の各成分の使用割合、即ち、
両イオン性架橋型アクリルアミド系重合体とカチオン変
性アクリルアミド系重合体との混合割合は、原料パル
プ、抄紙pH、バンドの添加量等の抄紙条件により広い
範囲から選択し得るが、固形分重量比で、通常、前者:
後者=95:5〜5:95程度とすればよい。好ましい
混合割合は、前者:後者=80:20〜20:80であ
る。本発明の前記した特定の両イオン性架橋型アクリル
アミド重合物とカチオン変性アクリルアミド系重合体
は、その水溶性の混合系において安定で均一なコロイド
状混合水溶液となる。なお、本発明の前記した特定の両
イオン性架橋型アクリルアミド重合体以外の両イオン性
アクリルアミド系重合体をカチオン変性アクリルアミド
系重合体と併用する場合には、希釈溶液が混合直後か
ら、白濁不溶化し、時間が経つとともに凝集物が沈殿す
ることがある。
【0028】本発明の前記水性混合物系製紙用添加剤を
製紙工程で使用する場合、パルプの乾燥重量当たりに換
算して所望量を使用すればよい。一般的には、固形分換
算でパルプ乾燥重量当たり0.001%〜2%、好まし
くは、0.01%〜0.5%に相当する量を原料パルプ
に添加し、中性域で抄紙乾燥して中性紙を製造すればよ
い。本発明において、必要に応じてカチオン化澱粉系の
紙力増強剤、中性サイズ剤、染料、消泡剤、硫酸バンド
などを使用することができる。
【0029】本発明の前記水性混合物系製紙用添加剤の
もとで、前記したパルプ繊維及び填料の歩留りにおいて
優れた効果が発現される。前記した優れた効果の発現機
構について、本発明者らは次のように推論している。本
発明の架橋性ビニルモノマーを必須成分とした両イオン
性架橋型アクリルアミド重合体は、比較的高分子量のも
のであり、高い分岐構造を有しており、このことが他の
成分であるカチオン変性アクリルアミド系重合体と非常
に安定な複合体を形成するものと推定される。そして、
前記した安定な水溶性の複合体が、前記した優れたパル
プ繊維及び填料歩留り効果を発揮させる上で重要な因子
となっているものと考えられる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、調製例、実施例、比較例に
より本発明を具体的に説明する。
【0031】
【両イオン性架橋型アクリルアミド重合体の調製例】
(調製例R−1) 攪拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管を具備し
た四つ口フラスコにアクリルアミド(d成分)62.3
g、イタコン酸(b成分)5.9g、トリメチルメタク
ロイルオキシエチレンアンモニウムクロライド(c成
分)3.8g、1%15−トリアクリロイルヘキ
サヒドロ−S−トリアジン(a成分)2.2g、軟水4
30gを仕込んだ後、pHを3.5に調整し、窒素ガス
を通しながら50℃に昇温し、5%過硫酸アンモン1.
5ml、5%重亜硫酸ソーダ1.5mlを添加し、50
〜80℃で3時間反応させ、両イオン性架橋型アクリル
アミド重合体を調製した。その性状を表1に示す。
【0032】(調製例R−2/R−3/R−4/R−6
/R−7/R−8) 調製例R−1において、(a)成分〜(d)成分の種
類、又はその使用料のうちいずれか一種を表1に示すよ
うに変更した以外は、調製例R−1と同様の操作を行な
い、両イオン性架橋型アクリルアミド重合体を調製し
た。その性状を表1に示す。なお、調製例R−7、R−
8は、比較対象の非架橋型の両イオン性アクリルアミド
重合体の調製例を示す。
【0033】(調製例R−5)調製例R−1において、
(a)成分〜(d)成分の種類、又はその使用量のうち
何れか一種を表1に示すように変更した以外は、調製例
R−1と同様の操作を行ない、共重合体を調製した。前
記共重合体に、過硫酸アンモンをジメチルアクリルアミ
ドと当モルに相当する量を添加して70〜80℃、1時
間反応させ、両イオン性架橋型アクリルアミド重合体を
調製した。その性状を表1に示す。
【0034】表1中、各記号は以下のことを意味する。 a−1:TAF(15,トリアクリロイルヘキ
サヒドロ−S−トリアジン) a−2:MBA(メチレンビスアクリルアミド) a−3:DMAA(ジメチルアクリルアミド) a−4:MAA(メチロールアクリルアミド) b−1:イタコン酸 b−2:アクリル酸 b−3:無水マレイン酸 c−1:DMC(トリメチルメタクリロイルオキシエチ
ルアンモニウムクロライド) c−2:DM(ジメチルアミノエチルメタクリレート) c−3:DMAPAA(ジメチルアミノプロピルアクリ
ルアミド)
【0035】
【表1】
【0036】
【ホフマン分解によるカチオン変性アクリルアミド系重
合体の調製例】 (調製例H−9) 平均分子量10万の濃度15%のアクリルアミド重合体
300gに対し、有効塩素濃度12%の次亜塩素酸ソー
ダ37.5gと48%苛性カリ15gを含むアルカリ性
次亜素酸ソーダ水溶液を、冷却、攪拌しながら滴下
し、滴下終了後さらに60分間温度25℃に保持して反
応を遂行させる。反応終了後、希塩酸で反応溶液をpH
4.5に調整し、ポリマー濃度10%のホフマン分解反
応によるカチオン変性アクリルアミド系重合体を得た。
その性状を表2に示す。
【0037】(調製例H−10/H−11)調製例H−
9において、アクリルアミド重合体を平均分子量50万
のものに代え、次亜塩素酸ソーダと苛性カリを、表2に
示すカチオン変性率に相当する量を使用した以外は調製
例H−9と同様に操作して、ホフマン分解反応によるカ
チオン変性アクリルアミド系重合体を得た。その性状を
表2に示す。なお、表2において、カチオン変性率モル
%(カチオン単量体単位)は、コロイド滴定法により定
量した実測値である。また、同欄の( )内の数値は、
理論値を示す。
【0038】
【表2】
【0039】〔マンニッヒ反応によるカチオン変性アク
リルアミド系重合体の調製例〕 (調製例M−12) 平均分子量40万の濃度7%のアニオン性アクリルアミ
ド重合体水溶液(アニオン度5モル%)400gに対
し、37%ホルマリン19.2g、50%ジメチルアミ
ン水溶液25gを加え、その後は温度50〜60℃で3
時間反応させて、マンニッヒ反応によるカチオン変性ア
クリルアミド系重合体を得た。その性状を表3に示す。
なお、表3において、カチオン変性率モル%(カチオン
単量体単位)は、コロイド滴定法により定量した値であ
る。
【0040】
【表3】
【0041】(実施例1〜10) パルプL−BKP(400mlC.S.F)の0.6%
濃度のパルプスラリー500mlをブリットジャーテス
ターの中に入れる。次に1500rpmで攪拌し、硫酸
バンドを0.5%(対パルプ乾燥重量:以下同じ)を添
加する。更に40秒後、パールガムHMS(星光化学工
業(株)製:陽イオン性タピオカ澱粉)を0.7%添加
し、更に40秒後、軽質炭酸カルシウムを20%添加す
る。更に、20秒後、攪拌を750rpm低下させ、
その20秒後に調製例R1〜R6の両イオン性架橋
型アクリルアミド重合体と調製例H−9、H−10、H
−11、−12のカチオン変性アクリルアミド系重合
体とを表4に示す各々の混合比率で混合した水性混合物
を0.05%添加する。次に、5秒後に排水を開始し、
10秒後100mlの水を採取する。重さを計量してあ
る東洋濾紙No.3を用いて濾過し(フナロート)
05℃で乾燥して固形分重量を求め、これを(f)とし
た。次に電気炉550℃で焼いて灰にし、灰分重量を求
め、これを(t)とした。元のパルプ懸濁合液100
ml中の正確な固形分(繊維+填料)の重量を求め、こ
れを(F)とした。また、元のパルプ懸濁混合液100
ml中の炭酸カルシウム重量を(T)とした。前記測定
値を使用して、下記により総歩留り(%)及び填料歩留
り(%)を求めた。結果を表4にあわせて示す。 総歩留り=[(F−f)/(F)]×100 填料歩留り=[(−t)/()]×100 なお、前記ブリットジャーテスターの構成及び操作条件
は、60メッシュのプスチックワイヤ、排水流量150
ml/分である。
【0042】(比較例1〜7) 実施例で使用した両イオン性架橋型アクリルアミド重合
体とカチオン変性アクリルアミド系重合体との水性混合
液に代えて、 (i).調製例R−7、H−10、M−12のものを表4に
示す混合比率で混合した水性混合物を利用した場合(比
較例1〜2)、 (ii).調製例R−1とH−10のものを別々に殉じ添加
した場合(比較例3) (iii).調製例R−1、H−10、パールフロックFR−
C(星光化学工業(株)製;高分子タイプの両イオン性
アクリルアミド系ポリマー、濃度4%)の各々を単独添
加の態様で使用した場合、(比較例4〜6)、及び、 (iv). 無添加の場合(比較例7)、について実験し、実
施例と同様にパルプ繊維と填料の歩留り効果を測定し
た。結果を表4にあわせて示す。なお、前記調製例R−
7のものに代えて調製例R−8を使用した比較例におい
ても、R−7を用いた比較例1と同様の結果が得られ
た。
【0043】
【表4】
【0044】
【発明の効果】本発明の中性紙の製造方法は、特定の2
種のアクリルアミド系重合体を混合した水性混合物系製
紙用添加剤、具体的には、(1) 架橋性ビニルモノマーを
必須の構成モノマーとして調製した両イオン性架橋型ア
クリルアミド重合体、及び、(2) ホフマン分解反応また
はマンニッヒ反応、特に前者の反応によるカチオン変性
アクリルアミド系重合体、を併用した水性混合物系製紙
用添加剤のもとで中性域で製紙することに特徴点があ
る。
【0045】特に、本発明の中性紙の製造方法におい
て、前記水性混合物系製紙用添加剤は、パルプ繊維及び
填料の歩留り向上に顕著な作用効果を発揮するが、前記
両成分をパルプスラリー系に別々に添加(順次添加)す
る態様では効果がなく、両成分を予め混合し複合体を形
成した水性溶液の形態で添加する態様により、優れた効
果が発現される点に特徴がある。そして、本発明の中性
紙の製造方法は、填料として炭酸カルシウムを含むpH
6〜9のパルプスラリーを用いて抄紙した中性紙におい
て、優れたパルプ繊維及び填料歩留り効果を発揮するも
のである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−82689(JP,A) 特開 平5−93393(JP,A) 特開 昭60−65195(JP,A) 特開 平1−132897(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21H 11/00 - 27/42

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 填料を含むパルプスラリーから中性紙を
    製造する方法において、前記パルプスラリーに、架橋性
    ビニルモノマーを必須の構成モノマーとして調製した両
    イオン性架橋型アクリルアミド重合体及びカチオン変性
    アクリルアミド系重合体を予め混合して得た水性混合物
    系製紙用添加剤を添加し、中性域で抄紙することを特徴
    とする中性紙の製造方法。
  2. 【請求項2】 架橋性ビニルモノマーを必須の構成モノ
    マーとして調製した両イオン性架橋型アクリルアミド重
    合体が、 (a) 架橋性ビニルモノマー、 (b) アニオン性ビニルモノマー、 (c) カチオン性ビニルモノマー、及び、 (d) アクリルアミド及び/又はメタアクリルアミド、を
    共重合させて得られる共重合体である請求項1に記載の
    中性紙の製造方法。
  3. 【請求項3】 カチオン変性アクリルアミド系重合体
    が、ホフマン分解反応によるカチオン変性アクリルアミ
    ド系重合体である請求項1に記載の中性紙の製造方法。
  4. 【請求項4】 パルプスラリーが、填料として、炭酸カ
    ルシウムを含有するpH6〜9のパルプスラリーである
    請求項1に記載の中性紙の製造方法。
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