JP3314978B2 - 口腔用組成物 - Google Patents

口腔用組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、歯垢形成の阻害及び歯
石沈着防止作用をもち、歯肉炎、歯周炎を予防する、経
時的に安定な口腔用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ウラジロガシの水及び/又は有機溶媒に
よる抽出物が、歯周疾患の原因となる歯垢形成を阻害す
るグルコシルトランスフェラーゼ阻害活性物質であるこ
とは、特開平4−66534号公報に開示されている。
ウラジロガシの水及び/又は有機溶媒による抽出物を配
合した口腔用組成物は歯周疾患の予防に有用であるが、
この口腔用組成物は経時的に変色する傾向があり、外観
上商品価値を損なうという欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、歯垢
形成の阻害及び歯石沈着防止作用を有し、且つ経時的な
変色の程度が低い口腔用組成物を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するために鋭意研究を重ねた結果、ウラジロガシの
水及び/又は有機溶媒による抽出物を配合した口腔用組
成物に、エゾウコギ、ゴオウ、ロクジョウ、ジオウ、ウ
コン、シンイ、コウカ、ゴマ、キジツ及びカンゾウから
なる群から選ばれる少なくとも1種の水及び/又は有機
溶剤による抽出物を配合することにより、ウラジロガシ
の抽出物のグルコシルトランスフェラーゼ阻害活性効果
を損なうことなく経時的な変色を防止することができる
ことを見出し、本発明を完成させるに至った。従って本
発明は、(a)ウラジロガシの水及び/又は有機溶媒によ
る抽出物;及び(b)エゾウコギ、ゴオウ、ロクジョウ、
ジオウ、ウコン及びゴマからなる群から選ばれる少なく
とも1種の水及び/又は有機溶媒による抽出物を含有す
ることを特徴とする口腔用組成物である。本明細書中で
記す口腔用組成物とは、練り歯磨き、粉歯磨き、液体歯
磨き、洗口剤等の歯磨き類、口中清涼剤、トローチ剤等
であり、それらの形状は液状、固形状、ペースト状、ゲ
ル状などであって、特に限られたものではない。
【0005】ウラジロガシはブナ科の植物であって、そ
の葉や小枝からの抽出物が胆石、尿路結石などの治療に
有効であって毒性のないものであることは周知である。
本発明ではウラジロガシの葉、小枝又はそれらの乾燥物
を使用する。エゾウコギはウコギ属の植物であって、そ
の根皮には人参より更に良好なadaptogenn様作用、抗疲
労効果、病理過程の調節の作用などが認められることが
知られている。ゴオウは牛の胆のう中に生じた結石であ
って生薬として周知のものである。ロクジョウは男鹿の
まだ角化していない、もしくは角化した幼角(袋角)を
乾燥したものであって、強壮、強精、鎮痛薬などとして
用いられることが知られている。ジオウはアカヤジオウ
又はその同属植物の根をそのまま、又は蒸したものであ
って、生薬及び特に保健強壮薬への配合薬として周知の
ものである。ウコンはショウガ科の植物であって、その
根茎が特にウコンと呼ばれて薬用に使用されることが知
られている。
【0006】シンイはモクレン科のハクモクレン、タム
シバなどの花蕾を乾燥したものであって薬用として知ら
れている。コウカはベニバナの花期の管状花を乾燥した
ものであって、漢方処方の配合薬として、あるいは着色
料として周知である。ゴマは古くからよく知られている
植物であって、その成熟した種子が胡麻と称され、胡麻
から得られた脂肪油はゴマ油として食用、薬用として周
知である。本発明ではゴマの種子を原料としてもよい
し、また市場品であるゴマ油を抽出物として使用しても
よい。キジツはダイダイ、ナツミカン、ウンシュウミカ
ン又はその他の近縁植物の未熟果実であって、生薬とし
て、また健胃薬への配合がよく知られている。またカン
ゾウはマメ科の植物であってその根およびストロン(走
出茎)が特にカンゾウ(甘草)と称され、広く薬用に供
されている。これらの原料はいずれも生薬として市場で
販売されていて、これらの抽出物がいずれも極めて毒性
の低いものであることはよく知られている。本発明では
抽出物を得るための原料として市場品を使用することが
できる。
【0007】本発明において上記の各原料の抽出物を得
るために使用する有機溶媒として、例えばメタノール、
エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリ
コール、クロロホルム、酢酸エチル、アセトンなどが挙
げられる。これらの有機溶媒は単独で使用しても、2種
以上を混合して使用してもよく、また水と有機溶媒を併
用してもよい。抽出操作の前に、各原料は適度な大きさ
に分割されてもよい。抽出に使用する水及び/又は有機
溶媒の量は、各原料100重量部当たり500〜150
0重量部が適当であり、さらに好ましくは800〜12
00重量部である。各原料の抽出物を得る方法として
は、公知の抽出法を使用してもよい。例えば、原料に水
及び/又は有機溶媒を添加し、水及び/又は有機溶媒の
還流温度下、加熱処理する方法が挙げられる。この加熱
処理は水及び/又は有機溶媒の沸点程度の温度で実施す
ればよく、公知の抽出装置を用いて、還流下3〜10時
間加熱することによって抽出液を得ることができる。ま
た、原料を水及び/又は有機溶媒に1〜10日間ほど浸
漬することによって抽出液を得てもよい。これらの抽出
操作は、1回目の抽出操作を終えた原料残留物で繰り返
して実施することもできる。このようにして得られた抽
出液を減圧下濃縮し、ついで乾燥することによって抽出
物を粉末として得ることもできるし、さらに、例えばこ
の粉末をエタノールなどに再溶解して液状としたり、ま
たゲル状、粒状などの形態に加工することもできる。
【0008】こうして得られた抽出物を常法に従って配
合し、口腔用組成物を製造することができる。目的とす
る口腔用組成物の形態に応じて、配合する抽出物の形状
を適宜選択してもよい。配合するウラジロガシ以外の原
料の抽出物は1種であってもよいし、2種以上であって
もよい。本発明の口腔用組成物に配合するウラジロガシ
の水及び/又は有機溶媒による抽出物の量は、組成物全
量に対して0.001〜10重量%が適当であり、さらに
好ましくは0.05〜2重量%である。また、エゾウコ
ギ、ゴオウ、ロクジョウ、ジオウ、ウコン、シンイ、コ
ウカ、ゴマ、キジツ又はカンゾウの水及び/又は有機溶
媒による抽出物の配合量は0.001〜10重量%が適当
であり、さらに好ましくは0.05〜2重量%である。
【0009】本発明の口腔用組成物には上記に示した成
分の他、口腔用組成物の種類に応じた添加剤を適宜配合
することができる。例えば歯磨類であれば、グリセリ
ン、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレ
ングリコール、ジプロピレングリコール、マルチトール
等の湿潤剤、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、
水酸化アルミニウム、ピロリン酸カルシウム、無水ケイ
酸等の研磨剤、ラウリル硫酸ナトリウム、N−ラウロイ
ルサルコシンナトリウム、非イオン性界面活性剤等の発
泡剤、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチル
セルロースナトリウム、カラギーナン、カルボキシビニ
ルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、キサンタンガ
ム等の粘結剤、パラオキシ安息香酸エステル、塩酸アル
キルジアミノエチルグリシン等の防腐剤、サッカリンナ
トリウム、ステビオサイド等の甘味剤、メントール、ア
ネトール、リモネン、イソアミルアセテート、カルボ
ン、サリチル酸メチル、チモール、スペアミント油、ペ
パーミント油、レモン油、桂皮油、丁字油、ユーカリ油
等の単独あるいは混合物等の香料、またその他の成分と
して酢酸トコフェロール、イソプロピルメチルフェノー
ル、エピジヒドロコレステリン、塩化ナトリウム、アラ
ントイン、グリチルリチン酸及びその塩類、グアイアズ
レン及びその塩類、フッ化物、クロルヘキシジン類、エ
デト酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等を配
合することができる。以下に本発明を実施例及び比較例
によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限
定されるものではない。
【0010】
【実施例】 抽出物の調製:ウラジロガシ、エゾウコギ、ゴオウ、ロ
クジョウ、ジオウ、ウコン、シンイ、コウカ、ゴマ、キ
ジツ及びカンゾウの各乾燥生薬を粉砕した粉末100g
に水1リットルを加え、50〜60℃の水浴上で5時間
還流冷却器をつけ加温した。加温後、冷却した抽出液を
濾過し、残留物に新たに水1リットルを加え同様にして
2回抽出操作を行った。全抽出液を減圧濃縮し、乾燥し
て抽出物を得た。また、抽出溶媒としてエタノールを使
用して上記の各乾燥生薬から前記と同様にして抽出物を
得た。 比較例及び実施例1〜40:上記の各抽出物を含む下記
の組成で、練り歯磨き剤(実施例1〜20)及び洗口液
(実施例21〜40)を常法に従って製造した。エゾウ
コギ、ゴオウ、ロクジョウ、ジオウ、ウコン、シンイ、
コウカ、ゴマ、キジツ、カンゾウの抽出物のいずれをも
含まない組成物を比較例とした。
【0011】 〔練り歯磨き剤の組成〕 リン酸水素カルシウム 10.0 g 無水ケイ酸 20.0 g カラギーナン 0.5 g カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.0 g グリセリン 25.0 g ラウリル硫酸ナトリウム 1.8 g ウラジロガシ水抽出物 0.5 g 各抽出物(表1を参照) 0.5 g パラオキシ安息香酸エステル 0.1 g ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5 g 香料 0.9 g 精製水 適量 合 計 100.0g
【0012】 〔洗口液の組成〕 エタノール 5.0 g ウラジロガシエタノール抽出物 0.2 g 各抽出物(表2を参照) 0.5 g ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.0 g 香料 0.05g サッカリンナトリウム 0.01g パラオキシ安息香酸エステル 0.1 g 精製水 適量 合 計 100.0 g
【0013】比較例及び各実施例の口腔用組成物の評価
は、各例調製時と40℃3カ月間保存後の変色度合いを
観察することによって実施した。評価の判定基準は次の
とおりである。 評価 ×:変色しており商品価値を損なうもの △:やや変色しているが商品価値を損なうことはないも
の ○:良品と比較しないと変色が判定できないもの ◎:変色していないもの また、各口腔用組成物のグルコシルトランスフェラーゼ
阻害率を、特開平4−66534号公報に記載されたグ
ルコシルトランスフェラーゼ阻害率の測定方法に従って
測定した。それらの結果を、下記表1及び表2に示す。
【0014】
【表1】 練り歯磨き剤 ─────────────────────────────────── 配合する 外観の 配合する 外観の 例 水抽出物 評価 阻害率(%) 例 EtOH 抽出物 評価 阻害率(%) ─────────────────────────────────── 比較例 - × 92 - 実施例 実施例 1 エゾウコギ ○ 90 11 エゾウコギ ◎ 92 2 ゴオウ ◎ 95 12 ゴオウ ◎ 90 3 ロクジョウ ○ 93 13 ロクジョウ ○ 95 4 ジオウ ○ 95 14 ジオウ ○ 93 5 シンイ ◎ 95 15 シンイ ◎ 95 6 ウコン ○ 90 16 ウコン ◎ 95 7 コウカ ◎ 92 17 コウカ ◎ 90 8 キジツ ◎ 90 18 キジツ ◎ 92 9 ゴマ ○ 95 19 ゴマ ○ 90 10 カンゾウ ○ 95 20 カンゾウ ○ 95 ───────────────────────────────────
【0015】
【表2】 洗口液 ─────────────────────────────────── 配合する 外観の 配合する 外観の 例 水抽出物 評価 阻害率(%) 例 EtOH 抽出物 評価 阻害率(%) ─────────────────────────────────── 比較例 - × 95 - 実施例 実施例 21 エゾウコギ △ 90 31 エゾウコギ ○ 92 22 ゴオウ ○ 95 32 ゴオウ ◎ 95 23 ロクジョウ △ 95 33 ロクジョウ ◎ 95 24 ジオウ ○ 93 34 ジオウ ○ 90 25 シンイ ○ 92 35 シンイ ◎ 98 26 ウコン ○ 95 36 ウコン ○ 90 27 コウカ ◎ 90 37 コウカ ◎ 95 28 キジツ ◎ 95 38 キジツ ◎ 95 29 ゴマ ○ 95 39 ゴマ ○ 90 30 カンゾウ ○ 95 40 カンゾウ ○ 95 ───────────────────────────────────
【0016】実施例41 次の組成で常法に従ってトローチ剤を製造した。 β−シクロデキストリン 10.0 g ウラジロガシ水抽出物 0.2 g コウカ水抽出物 0.2 g 香料 0.05g アラビアゴム 1.0 g ステアリン酸マグネシウム 0.1 g ブドウ糖 適量 合 計 100.0 g このトローチ剤においても、調製時及び40℃、3カ月
間保存後の変色はほとんどなかった。
【発明の効果】ウラジロガシのグルコシルトランスフェ
ラーゼ阻害活性を損なうことなく、且つ経時的に外観の
変化が見られない歯周疾患予防に有効な口腔用組成物が
提供される。
フロントページの続き (72)発明者 杉山 眞次 神奈川県厚木市鳶尾5−13−16−201 (72)発明者 松田 英隆 神奈川県相模原市矢部3−21−16−205 (72)発明者 福田 清司 大阪府吹田市山田西3−52−C−513 (56)参考文献 特開 昭58−57320(JP,A) 特開 平4−66534(JP,A) 特開 昭59−134729(JP,A) 特開 昭58−134012(JP,A) 特開 平4−346933(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 7/26

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)ウラジロガシの水及び/又は有機溶
    媒による抽出物;及び(b)エゾウコギ、ゴオウ、ロクジ
    ョウ、ジオウ、ウコン及びゴマからなる群から選ばれる
    少なくとも1種の水及び/又は有機溶媒による抽出物を
    含有することを特徴とする口腔用組成物。
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