JP3314351B2 - オフセット印刷機のローラ制御方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、オフセット印刷機に関
し、特に、絵柄面積率の少ない印刷物における印刷不良
の発生を防止できる湿し水／インキ供給系のローラ制御
方法に関する。

【０００２】

【発明の背景】オフセット印刷は、インキと湿し水とが
相互に反発し合う性質を利用して、親油性の画線部と親
水性の非画線部とが区分して形成された刷版に、それぞ
れインキ及び湿し水を供給し、インキが選択的に付着さ
れた画線部をゴム胴に転写して、この画線部を更にシー
トに転写するものである。

【０００３】刷版に湿し水を供給するため、水着ロー
ラ、水元ローラ及び調量ローラから成る、いわゆる連続
給湿装置が用いられることが多い。この連続給湿装置
は、そもそもはローラ目やゴーストといった印刷不良の
発生を防止するために採用されたもので、構成が簡易
で、しかもメインテナンス性も良好である。一方、イン
キを供給するためには、インキつぼに貯溜されたインキ
を、多数のローラ群を経由させつつ、分裂、転移を繰り
返させて練り上げ、最終的に複数のインキ着ローラから
刷版に導くインキ供給装置が用いられている。

【０００４】ところで、印刷物のうち、特に絵柄部分の
比率の少ないものの場合、非画線部にバーコード状の汚
れが発生することがある。このような印刷不良は、イン
キの消費割合が余りに少ないので、いわゆるインキの代
謝が滞り、湿し水供給のための水着ローラにインキの段
差が生じたり、インキ微粒が飛散、付着することによる
ものと推定される。

【０００５】

【従来の技術】特開平６−３０５１０９号公報及び特開
平６−２８６０９８号公報にあっては、本願発明のもの
とは異なるローラ構成の給湿装置において、印刷不良の
防止のために、インキ受入ローラやインキ渡しローラを
巧みに制御する技術が開示されているが、上記した絵柄
面積率の少ない印刷物の場合における印刷不良の発生の
問題については触れられていない。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した問
題に鑑みてなされ、進歩したオフセット印刷機のローラ
制御方法を提供するもので、その目的は、絵柄面積率の
少ない印刷物における印刷不良の発生を防止することに
ある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】そしてこのために、本発
明に係るローラ制御方法にあっては、非印刷時に、版面
から離間された状態の水着ローラ（５）及び第１インキ
着ローラ（６）をライダローラ（７）により連結して回
転させることを特徴とする。

【０００８】

【作用】水着ローラ（５）に付着していた余分なインキ
の段差等がならされ、かつ、インキの乳化も生じにくく
なり、印刷物にバーコード状の汚れが発生することがな
くなる。

【０００９】

【実施例】以下、図面を参照して、本発明の実施例につ
き詳細に説明する。図１は、本発明方法が適用される湿
し水／インキ供給系の概略断面図、図２は、図１の湿し
水／インキ供給系が本発明によって制御された状態を示
す概略側面図である。

【００１０】連続給湿装置としての湿し水供給系は、公
知の通り湿し水が貯溜された水舟（１）と、この水舟
（１）中に浸漬され、かつ、モータにより回転制御され
る水元ローラ（２）と、この水元ローラ（２）に接触回
転して水膜の厚さを調節する調量ローラ（３）と、版胴
外周の刷版（４）に接触回転して湿し水を転着させる水
着ローラ（５）と、を有している。

【００１１】また、インキ供給系は、図示しないインキ
つぼに貯溜されたインキを、ドクタローラ及び多数のイ
ンキローラを経由させ、この間インキの分裂と転移を繰
り返させて練り上げ、最終的にインキ着ローラに導くも
のが通常であり、図面には、刷版（４）に接触回転する
第１インキ着ローラ（６）及びこの第１インキ着ローラ
（６）に接触して回転されてインキ膜厚を調節するライ
ダローラ（７）が示されている。ここに「第１」とした
のは、インキ着ローラが通常、版胴の回転方向に第１か
ら第４程度まで存在するからである。なお、符号（８）
は、第１インキ着ローラ（６）にインキを供給するイン
キローラを示す。

【００１２】図１に示した状態は、通常の印刷運転時の
ものであるが、本発明方法にあっては、非印刷時に、短
時間、図２に示した通りに湿し水／インキ供給系のロー
ラを制御する。すなわち、非印刷時に、刷版（４）から
離間された水着ローラ（５）及び第１インキ着ローラ
（６）をライダローラ（７）により連結して回転させる
のである。

【００１３】ここに「非印刷時」とは、何等かの理由で
印刷作業が停止されたり、また、いわゆる空運転がなさ
れる場合に随時の機会を見い出して、という意味であ
る。なお、インキローラを洗浄する際に、洗浄液を通す
目的で図２のポジションがとられることがあるが、本発
明における「非印刷時」には、このような場合を含まな
いことは勿論である。また、各種ローラのポジション制
御のために、ローラの両端を支持するレバーを適宜のク
ランク機構等によって変位させる装置は、既に多種多様
のものが十分に知られている。

【００１４】絵柄の比率の少ない印刷物、言い換える
と、インキ消費率の少ない印刷物の場合、インキの行き
道がなく、かつ、湿し水も沢山供給されている。これに
従って、水着ローラ（５）に余分なインキの段差が発生
したり、インキ粒子が付着し、加えて、いわゆるインキ
の乳化も促進されてしまう。このような場合に、実際の
印刷作業を行なわない非印刷時のうちの適当な機会をと
らえて、水着ローラ（５）＋ライダローラ（７）＋第１
インキ着ローラ（６）を短時間連結回転させ、インキの
段差等の不具合を解消し、バーコード状の汚れの発生を
防止するのである。

【００１５】

【発明の効果】本発明に係るローラ制御方法によれば、
バーコード汚れの発生を防止して、印刷品質を安定さ
せ、連続給湿装置の本来的な性能を引き立たせることが
できるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明方法が適用される湿し水／インキ供給系
の概略断面図である。

【図２】図１の湿し水／インキ供給系が本発明方法によ
って制御された状態を示す概略側面図である。

【符号の説明】

２ 水元ローラ ３ 調量ローラ ４ 刷版 ５ 水着ローラ ６ 第１インキ着ローラ ７ ライダローラ

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 版面に湿し水を供給する水着ローラ
   （５）、水元ローラ（２）及び調量ローラ（３）と、版
   面にインキを供給する第１インキ着ローラ（６）及びそ
   のライダローラ（７）とを有するオフセット印刷機の湿
   し水／インキ供給系において、非印刷時に、版面から離
   間された状態の前記水着ローラ（５）及び第１インキ着
   ローラ（６）をライダローラ（７）により連結して回転
   させることを特徴とするローラ制御方法。