JPS6212606Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、平版式オフセツト印刷装置における
水とインキの供給装置、さらに詳しく言えば、印
刷機のインキと湿し水のためのローラ系に一本の
ローラを追加することによつて、より安定したイ
ンキと湿し水の供給を可能にする供給装置に関す
る。

（従来の技術） 平版印刷は、刷版上に化学的に親油性の画像部
と、親水性の非画像部を形成し、油性のインキと
湿し水を供給して、「水と油は反撥し合う」とい
う原理に基づいて行う印刷である。

平版印刷が発明されて以来、刷版・インキ・湿
し水・紙、印刷機等のあらゆるものに改良、創意
の努力がはらわれて今日に至つているが、印刷機
における湿し水とインキに関する改善にも、著し
いものがある。

第２図は、インキ、湿し水のためのローラ系の
従来例を示した概略断面図である。

第２図において、１はインキ、２はインキフオ
ンテンローラである。このローラ２は間欠的に駆
動され、表面に付着しているインキの一部は、駆
動可能に支持されているインキダクタローラ３に
より、ならしローラ４に供給される。

水皿１１に一部浸漬されている水フオンテンロ
ーラ１２の表面に付着する湿し水は、水ダクタロ
ーラ１３により、ローラ１４に転移する。ローラ
９，１０は、フオームローラであつて、印刷中マ
スタシリンダ１５に接して回転し、マスタシリン
ダ１５上の刷版に、インキと湿し水を供給する。
印刷時におけるローラの回転方向を主要なローラ
について矢印で示してある。

上記の供給系において、インキと湿し水は、フ
オームローラ９，１０からマスタシリンダ１５上
に固定された刷版に供給される、刷版上の画像は
種々であり、その画像形態は一様ではない。この
画像形態に合わせて、一定の印刷物を得るために
は、印刷機の側では機械的に調整ができる構造に
なつている。

印刷機の操作者は、画像の形態に合わせて刷版
毎に、その調節を行い一定の画像濃度を持つた印
刷物を製作するための作業を行う。平版式のオフ
セツト印刷機において、一定の濃度を持つた良い
印刷物を得るためには、最小の湿し水と、過不足
ないインキの供給が重要である。

しかし、一般的にはその供給をやや多めに行つ
て印刷するのが、実際の使用上の傾向である。従
つて、ローラ上に保有されるインキと湿し水は、
刷版の画像の形態によつては著しく過剰な状態と
なる可能性がある。

（考案が解決しようとする問題点） 平版式オフセツト印刷機では、ローラ表面に付
着しているインキと湿し水は、常にある圧力の下
で激しく運動している状態で接触している。イン
キと湿し水は、ローラの回転面で連続的に皮膜分
裂を起こして転移していくために、インキは必然
的に乳化する。従つて、基本的には、この乳化を
防止することは極めて困難である。

ローラ上に保有されたインキと湿し水は、ロー
ラ間の連続的な皮膜分裂により、混じりあい、イ
ンキの乳化を発生させるが、特にローラ１２，１
３の間で、その傾向が著しい。そして、乳化した
インキは全てのローラに付着するが、特にローラ
１２に付着しやすくなる。一旦、ローラ１２に付
着すると、ローラ１２の表面は湿し水に覆われて
いるので、ローラ１３への転移は機械の運転中に
は、ほとんどなくなる。

その結果、ローラ１２はインキを受け入れるだ
けになり、ローラ表面のインキ皮膜は均一でなく
なる。このような状態では、ローラ１２，１３の
ニツプ幅に部分的なバラツキが発生し、湿し水の
安定した供給は不可能になる。

本考案の目的は、平版式オフセツト印刷機にお
いて、一定の画品質を持つた印刷物を容易に作製
するための湿し水と水とインキの供給装置を提供
することにある。

（問題点を解決するための手段） 本考案によるオフセツト印刷装置における水と
インキの供給装置を第１図に対応させて説明す
る。

本考案に適用されるオフセツト印刷装置は、イ
ンキフオンテンローラ２からインキ１を、水フオ
ンテンローラ１２から水１１をそれぞれ複数個の
ローラを介して、マスタシリンダ１５に接するフ
オームローラ９，１０に伝達し、フオームローラ
９，１０からマスタシリンダ１５に水１１とイン
キ１を供給する形式の印刷装置である。

本考案は、このような形式のオフセツト印刷装
置において、親油性の剛性水フオンテンローラ１
２が親油性の弾性水ダクタローラ１３に接触し、
次に水１１に接触するまでの間で、水フオンテン
ローラ１２に接触し従動回転する第３の親油性の
弾性ローラ１６を設けたことを特徴としている。

（実施例） 以下、図面等を参照して、本考案をさらに詳し
く説明する。

第１図は、本考案による供給装置の実施例を示
す図である。なお、先に、第２図を参照して説明
した部分と共通する部分には、同一の数字を付し
てある。

本考案では、水皿１１に一部浸漬されている親
油性の剛体、例えばエボナイトの水フオンテンロ
ーラ１２に親油性の弾性体、例えばゴムの第３の
ローラ１６を結合させている。このローラ１６
は、第１図に示されているように、水フオンテン
ローラ１２が湿し水に接触し、続いて親油性の弾
性体、例えばゴムの水ダクタローラ１３に接触し
た後に接触し、従動回転する位置に配置されてい
る。

上記の構成によれば、水フオンテンローラ１２
に保有されるインキは、水フオンテンローラ１２
と水ダクタローラ１３のニツプを通過することに
より、水フオンテンローラ１２の表面に付着する
湿し水が大幅に減少するので、第３のローラ１６
との接触により、このローラ１６に分割、保有さ
れることになる。

刷版の画像の形態により、余剰になつたインキ
は各ローラに保有されるが、好ましくない乳化が
進行した状態では、水フオンテンローラ１２に集
中する。

しかし、上記によりローラ１６で分割、保有さ
れる結果、ローラ１２のインキ皮膜は平滑化され
る。水フオンテンローラ１２の表面のインキ皮膜
が平滑化されると、ローラ１２とローラ１３のニ
ツプも均一化され、湿し水の供給も安定してでき
るようになる。

また、第３のローラ１６に保有されたインキ
は、刷版毎の画像形体の変化に対応することが可
能になる。すなわち、インキと湿し水の安定した
供給が可能になるので、一定の画品質を持つた印
刷物の作製が可能になる。

前述した第３のローラは、それ自体の重さで水
フオンテンローラ１２に接するように、ゆるい軸
受で受けておけばよく、特に間隔、圧力等の調整
は不要である。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案によれば、第３の
ローラを設けることにより、オフセツト印刷機に
おいて問題になつていたインキと湿し水の供給に
起因する印刷品質の不具合は、解決することがで
きる。

また、第３のローラの取付も簡単であり、現在
使用されている機械にも、大幅な改造をすること
なく簡単に取付けることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案によるオフセツト印刷装置に
おける水とインキの供給装置の供給系の実施例を
示す略図である。第２図は、従来のオフセツト印
刷装置の水とインキの供給系を示す略図である。 １……インキ、２……インキフオンテンロー
ラ、３……インキダクタローラ、４……ならしロ
ーラ、９，１０……フオームローラ、１１……
水、１２……水フオンテンローラ、１３……水ダ
クタローラ、１５……マスタシリンダ、１６……
第３のローラ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 親油性の剛性水フオンテンローラ１２が親油性
   の弾性水ダクタローラ１３に接触し、次に水１１
   に接触するまでの間で、水フオンテンローラ１２
   に接触し従動回転する第３の親油性の弾性ローラ
   １６を設けたことを特徴とする、インキフオンテ
   ンローラ２からインキ１を、水フオンテンローラ
   １２から水１１をそれぞれ複数個のローラを介し
   て、マスタシリンダ１５に接するフオームローラ
   ９，１０に伝達し、フオームローラ９，１０から
   マスタシリンダ１５に水１１とインキ１を供給す
   る形式のオフセツト印刷装置における水とインキ
   の供給装置。