JPH021018B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は印刷機において版胴上の版に対して湿
し水を連続的に供給する連続式の給水装置に関す
るものである。

平版印刷法は、親水性処理された平版の表面に
転写製版や写真製版によつて画線の基礎を作つた
のち、これに化学的処理を施して版を作り、この
版を版胴に装着してこれにインキと湿し水を供給
しながら印刷を行なうものである。こうすること
により、脂肪性を有する画線部では水が反発さ
れ、吸水性を有する非画線部では水が吸収される
ので、この版に脂肪性のインキを供給するとこれ
が画線部に付着し非画線部で反発されることによ
つて画像が形成され、この画像が印刷紙に転写さ
れて印刷が施される。

そして、この種の平版印刷機において版へ水を
供給する給水装置としては、水舟内で回転する水
元ローラで持ち回りされた水を、水元ローラとそ
の下流側の振りローラとの間で往復動する移しロ
ーラで間欠的に振りローラへ転移させてならした
のち水着ローラで版へ供給するようにした間欠給
水式のものが広く用いられている。

しかしながら、このような給水装置では、水の
供給が、移しローラの往復動によつて断続的に行
なわれるために給水むらが発生し、これによつて
インキの付着量に差が生じて印刷物に濃淡ができ
るという欠点があるので、これに代るものとし
て、移しローラを往復動させず水を連続的に供給
するようにした連続給水装置が開発され、従来か
らローラ配置や駆動方法を異にする各種のものが
提案されてきた。

そして、この種の連続給水装置は、一般に水舟
内で回転する水元ローラを含む給水ローラ群と、
版胴に対接する水着ローラと、給水ローラ群中の
ローラと水着ローラとに対接して回転し湿し水を
転移させる移しローラとを備えている。一方、版
胴には、多数のローラ群を備えたインキ装置の最
終段ローラであるインキ着ローラが対接されてい
る。そして、インキ着ローラと水着ローラとはと
もに版胴に対して着脱自在に設けられており、印
刷を中断するために印刷機の回転を停止したり、
あるいは場合によつて機械を空転させたまま版へ
のインキと水の供給を停止したりする場合には、
これらを版面から離間させる必要がある。そし
て、水着ローラは印刷中、版面に対接して回転し
ているためその表面にインキが付着しており、こ
れが給水ローラ群へ転移されると安定した水膜の
形成がなされず、種々の印刷障害が発生するの
で、前記水着ローラの離脱時には、これを移しロ
ーラに対しても離間させることが望ましく、ま
た、これらの離脱動作を迅速確実に行なうことが
望ましい。

本発明は以上のような点に鑑みなされたもの
で、水着ローラを、移しローラの軸芯を中心にし
て回動するシフトレバーに枢着されたローラレバ
ーに支持させ、シフトレバーの回動規制手段と両
レバーの弾発手段との巧みな組合せにより一つの
駆動手段で水着ローラを版胴と移しローラとに対
して着脱することを可能ならしめ、非印刷時にお
ける移しローラへのインキの転移を防止して印刷
物の品質向上を計つた印刷機の給水装置を提供す
るものである。

以下、その構成等を図に示す実施例により詳細
に説明する。

第１図ないし第３図は本発明に係る給水装置を
示し、第１図はその側面図、第２図は同じく展開
して示す断面図、第３図は動作説明図である。図
において、印刷ユニツトのフレーム１には、図に
矢印Ａで示す方向に回転する版胴２が軸支されて
おり、これに装着された版には、図示しないイン
キ装置の最終段部に設けられた複数個のインキ着
ローラが着脱自在に設けられている。

一方、版胴２の斜め下方には、全体を符号３で
示す給水装置の水舟４が設けられており、これに
蓄えられた湿し水５には、親水性表面を有し図に
矢印Ｂで示す方向に回転駆動される水元ローラ６
が、フレーム１から突出する支軸に基部を枢支さ
れたローラアームで両端部を支持されて浸されて
いる。また、この水元ローラ６と版胴２との間に
は、親水性表面を有し駆動部との間を歯車７，８
で駆動連結されて図に矢印Ｃで示すごとく版胴２
と同方向へ同周速で回転する移しローラ９が、フ
レーム１に軸受１０を介して軸支されている。さ
らに、水元ローラ６の上方には、フレーム１側に
軸支され水元ローラ６と歯車連結されることによ
り図に矢印Ｄで示す方向すなわち移しローラ９と
は対接面が互に逆方向へ向うように回転する弾性
表面の調量ローラ１１が、周面を水元ローラ６の
周面に対接させて設けられている。そして、この
調量ローラ１１は、その支持部を偏心状に形成さ
れており、図示しないエアシリンダの伸縮により
水元ローラ６との接触圧を一定に保つたまま移し
ローラ９に対して着脱されるように構成されてい
る。

そして、移しローラ９を軸支する左右両側の軸
受１０には、フレーム１の内側に小径の段部が形
成されており、この段部には、Ｌ字状に形成され
たシフトレバー１２が、カラー１３で軸方向への
移動を規制されて回動自在に軸装されている。さ
らに、このシフトレバー１２の遊端側には、逆Ｔ
字状に形成されたローラレバー１４がピン１５に
よつて枢着されており、このローラレバー１４の
版胴２側遊端部には、弾性表面を有し版胴２と移
しローラ９とに対接することにより図に矢印Ｅで
示くごとくこれらと同方向へ同周速で回転する水
着ローラ１６が軸支されている。また、ローラレ
バー１４の上側遊端部には、フレーム１側に装着
されたエアシリンダ１７の作用端が枢着されてお
り、さらに、ローラレバー１４のもう一方の遊端
部とシフトレバー１２のあご部との間に設けられ
たばね軸１８上には、ローラレバー１４に、水着
ローラ１６が移しローラ９に対接する方向への回
動力を付勢する弾発手段としての圧縮コイルばね
１９が装着されている。そして、ばね軸１８は、
両端部を両レバー１２，１４に回動自在に枢着さ
れており、またその一端には、つまみ２０が設け
られていて圧縮コイルばね１９のばね圧すなわち
水着ローラ１６と移しローラ９との接触圧を調節
し得るように構成されている。

さらに、フレーム１側には、シフトレバー１２
の版胴２側側面に対して進退する方向へ調節自在
に形成された調節ねじ２１が設けられており、シ
フトレバー１２の回動を調節自在に規制して版胴
２に対する水着ローラ１６の接触圧を調節し得る
ように構成されている。また、シフトレバー１２
の遊端部に対する調節ねじ２１の反対側には、シ
フトレバー１２の回動を、水着ローラ１６が版胴
２からわずかに離間した位置で規制する規制手段
としてのストツパ２２がフレーム１に植設されて
いる。

以上のごとく構成された給水装置３の動作を説
明する。先ず各ローラ間の接触圧を調節したのち
印刷機を始動させ紙が所定位置に達すると、第３
図ｂに示すように短縮していたエアシリンダ１７
が同期して伸長し第３図ａに示す状態となる。こ
の図ｂから図ａに至る間において、シフトレバー
１２は圧縮コイルばね１８に弾発されその遊端部
をストツパ２２に当接させていて回動せず、ロー
ラレバー１４のみが回動して水着ローラ１６を移
しローラ９に対接させる。そして、さらにエアシ
リンダ１７が伸長して第１図に示す位置に達する
間においては、水着ローラ１６が移しローラ９に
対接していることによりローラレバー１４がこれ
以上回動できないので、両レバー１２，１４が一
体となつて回動し、水着ローラ１６を版胴２へ対
接させる。同時にインキ装置のインキ着ローラも
版胴２へ対接される。

そして、紙が図示しない印刷胴を通過し始める
と、水舟４内の湿し水５は、水元ローラ６によつ
て水膜となつて引上げられ、調量ローラ１１との
接触部へ引き入れられたのち、一部が接触部を通
過し、そのうちの半分が調量ローラ１１に転移し
て運ばれる。運ばれた水が移しローラ９との接触
部に達すると、両ローラ１１，９が対接面を反対
方向へ向わせる方向に回転していることにより、
大部分は移しローラ９へ転移されて水着ローラ１
６との接触点に達し、両ローラ９，１６間に引入
れられてその半分が水着ローラ１６で運ばれる。
運ばれた水は版胴２との接触点において版面へ供
給される。また、これと同時にインキが供給され
ているので、前述したごとく版面に画像が形成さ
れ、印刷胴を介して紙に印刷が施される。そし
て、水着ローラ１６と版胴２との接触点および他
のローラ６，１１，９，１６間の接触点において
相手ローラに転移されなかつた水は、図に矢印
Ｂ，Ｄ，Ｃ，Ｅで示すローラの回転方向にしたが
つて水舟４へ戻されるか、あるいは前記転移中の
水と合流して転移される。

このようにして印刷作業を行なつたのち、版胴
２の回転を停止させると、エアシリンダ１７がこ
れに同期して第１図に示す状態から第３図ａに示
す状態に収縮する。この場合、両レバー１２，１
４は、圧縮コイルばね１９で互に弾発されている
ので、一体となつて回動し、水着ローラ１６が版
胴２から離間する。また、シフトレバー１２の遊
端部はストツパ２２に当接する。そして、さらに
エアシリンダ１７が収縮すると、シフトレバー１
２がストツパ２２で回動を規制されていることに
より、ローラレバー１４のみが圧縮コイルばね１
９を圧縮しながら回動するので、水着ローラ１６
は移しローラ９から離間する。

このように、水着ローラ１６が版胴２から離間
するとともに移しローラ９からも離間するので、
インキ着ローラから版面を介して水着ローラ１６
へ転移されていたインキが移しローラへ転移する
ことがない。そして、水着ローラ１６の離間動作
は、記述すると長いが、瞬時のうちに完了するも
のであつて、迅速かつ確実に動作するし、また両
ローラ２，９に対する離間動作が一つのエアシリ
ンダ１７で行なわれるので、タイミングがずれた
りすることがなく、構造が簡単である。

なお、両レバー１２，１４を回動させる駆動手
段はエアシリンダ１７に限らず、例えば油圧シリ
ンダやカムなどを用いてもよい。また、本実施例
においては、移しローラ９よりも給水上流側の給
水ローラ群を２個とし、調量ローラ１１と移しロ
ーラ９とを同方向に回転させるようにした４本ロ
ーラ逆スリツプ式の給水装置を例示したが、給水
ローラ群の個数ならびに回転方向をいかように設
定しても本発明を同様に実施することができる。

以上の説明により明らかなように、本発明によ
れば、印刷機の給水装置において、水着ローラ
を、移しローラの軸芯を中心にして回動するシフ
トレバーに枢着されたローラレバーに支持させ、
シフトレバーの回動規制手段と両レバーの弾発手
段とを巧みに組合せて、一つの駆動手段で水着ロ
ーラを同時に版胴と移しローラに対して着脱可能
に構成することにより、移しローラへのインキの
付着を防止することができ、給水ローラ群にイン
キが転移されることがないので、水膜の形成が安
定し印刷物の品質を著しく向上させることができ
る。また、駆動手段およびその付属機構が簡素化
され、動作が確実であるとともに、水着ローラの
着脱動作を行なつても、各ローラ間の接触圧が変
化することなく設定圧が保持されるので、常時一
定の給水量を確保することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本発明に係る給水装置を
示し、第１図はその側面図、第２図は同じく展開
して示す断面図、第３図は動作説明図である。 ２……版胴、３……給水装置、６……水元ロー
ラ、９……移しローラ、１１……調量ローラ、１
２……シフトレバー、１４……ローラレバー、１
６……水着ローラ、１７……エアシリンダ、１８
……圧縮コイルばね、２２……ストツパ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 給水ローラ群中のローラと対接し回転駆動さ
   れる移しローラと、この移しローラの軸芯を中心
   にして回動自在に支持されたシフトレバーと、こ
   のシフトレバーの遊端側に枢着されたローラレバ
   ーと、このローラレバーの遊端側に回動自在に軸
   支されてその揺動により前記移しローラに着脱さ
   れかつ前記シフトレバーの回動により版胴に着脱
   される水着ローラと、機体側にあつて前記シフト
   レバーの回動を水着ローラが版胴からわずかに離
   間した位置で規制する規制手段と、前記シフトレ
   バーとローラレバーとの間に介装されローラレバ
   ーに、前記水着ローラが移しローラに対接する方
   向への回動力を付勢する弾発手段と、前記ローラ
   レバーを単独およびシフトレバーとともに回動さ
   せる駆動手段とを設けたことを特徴とする印刷機
   の給水装置。