JP3312870B2 - 有機ハロゲン化合物除去用触媒、その調製方法および有機ハロゲン化合物の除去方法 - Google Patents

有機ハロゲン化合物除去用触媒、その調製方法および有機ハロゲン化合物の除去方法

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JP3312870B2 JP35814697A JP35814697A JP3312870B2 JP 3312870 B2 JP3312870 B2 JP 3312870B2 JP 35814697 A JP35814697 A JP 35814697A JP 35814697 A JP35814697 A JP 35814697A JP 3312870 B2 JP3312870 B2 JP 3312870B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダイオキシン類な
どの有機ハロゲン化合物除去用触媒、その調製方法、お
よび、この触媒を用いて排ガス中の有機ハロゲン化合物
を除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】産業廃棄物や都市廃棄物を処理する焼却
施設から発生する排ガス中には、ダイオキシン類、PC
B、クロロフェノールなどの極微量の毒性有機ハロゲン
化合物が含まれており、特にダイオキシン類は微量であ
ってもきわめて有毒であり、人体に重大な影響を及ぼす
ため、その除去技術が早急に求められている。
【0003】一般に有機ハロゲン化合物は化学的にきわ
めて安定であり、特にダイオキシン類においては自然界
では半永久的に残存するといわれているほど分解しにく
い物質であるのに加え、排ガス中でのその含有量が非常
に低いため、これを効率よく除去することは従来の排ガ
ス処理触媒では困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、有機
ハロゲン化合物の除去性能に優れ、排ガス中の有機ハロ
ゲン化合物を除去するに好適な触媒、その調製方法、お
よび、この触媒を用いて排ガス中の有機ハロゲン化合物
を除去する方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、チタン酸
化物を含有する触媒が基本的には有効であることを確認
した上で、その物理特性、具体的にはその細孔径分布、
さらに細孔容積に改良を加えて排ガス中の希薄成分の拡
散をよくすることにより、有機ハロゲン化合物の分解反
応を促進できることを知り、この知見に基づいて本発明
を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明にかかる第1の有機ハロ
ゲン化合物除去用触媒(以下、単に、第1の触媒とい
う)は、触媒成分としてチタン酸化物を含有し、0.0
1〜0.05μmの範囲に孔径分布のピークを有する細
孔群と0.1〜0.8μmの範囲に孔径分布のピークを
有する細孔群とを含む細孔を有する触媒である。本発明
にかかる第2の有機ハロゲン化合物除去用触媒(以下、
単に、第2の触媒という)は、触媒成分として、チタン
酸化物およびチタンとケイ素との複合酸化物を含有し、
0.01〜0.05μmの範囲に孔径分布のピークを有
する細孔群と0.8〜4μmの範囲に孔径分布のピーク
を有する細孔群とを含む細孔を有する触媒である。
【0007】また、本発明にかかる有機ハロゲン化合物
除去用触媒の調製方法は、平均粒子径が5〜1000μ
m、熱分解温度が100〜700℃で、分解時の発熱量
が50kcal/g以下である易分解性化合物を、チタ
ン酸化物および/または焼成によってチタン酸化物とな
るものを必須成分とする触媒前駆体に0.1〜30重量
%混合し、前記易分解性化合物を焼成によって除去して
調製する方法である。
【0008】また、本発明にかかる有機ハロゲン化合物
の除去方法は、有機ハロゲン化合物を含有した排ガスを
上記触媒と接触させて有機ハロゲン化合物を除去する方
法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
〔有機ハロゲン化合物除去用触媒〕本発明の第1の触媒
は、触媒成分としてチタン酸化物を含有するものであ
る。本発明の第2の触媒は、触媒成分として、チタン酸
化物およびチタンとケイ素との複合酸化物(以下、「T
i−Si複合酸化物」という)を含有するものである。
【0010】上記チタン酸化物の供給原料としては、酸
化チタンのほか、焼成してチタン酸化物を生成するもの
であれば、無機および有機のいずれの化合物も使用する
ことができる。例えば、四塩化チタン、硫酸チタンなど
の無機チタン化合物またはシュウ酸チタン、テトライソ
プロピルチタネートなどの有機チタン化合物を用いるこ
とができる。
【0011】第2の触媒の含まれるTi−Si複合酸化
物の調製に用いるチタン源としては、上記の無機および
有機のいずれの化合物も使用することができ、またケイ
素源としては、コロイド状シリカ、水ガラス、微粒子ケ
イ素、四塩化ケイ素などの無機ケイ素化合物およびテト
ラエチルシリケートなどの有機ケイ素化合物から適宜選
択して使用することができる。
【0012】上記Ti−Si複合酸化物は、例えば、以
下の手順(a)〜(d)によって調製することができ
る。 (a)四塩化チタンをシリカゾルと混合し、アンモニア
を添加して沈殿を生じさせ、得られた沈殿物を洗浄・乾
燥し、次いで300〜650℃で焼成する。 (b)四塩化チタンにケイ酸ナトリウム水溶液を添加
し、反応して沈殿を生じさせ、得られた沈殿物を洗浄・
乾燥し、次いで300〜659℃で焼成する。 (c)四塩化チタンの水−アルコール溶液にエチルシリ
ケート(テトラエトキシシラン)を添加し、次いで加水
分解することにより沈殿を生じさせ、得られた沈殿物を
洗浄・乾燥し、次いで300〜650℃で焼成する。 (d)酸化塩化チタン(オキシ三塩化チタン)とエチル
シリケートとの水−アルコール溶液に、アンモニアを加
えて沈殿を生じさせ、得られた沈殿物を洗浄・乾燥し、
次いで300〜650℃で焼成する。
【0013】上記の方法のうち、(a)の方法が特に好
ましく、さらに具体的にはチタン源およびケイ素源のモ
ル比が所定量になるように取り、酸性の水溶液またはゾ
ル状態(1〜100g/リットル(チタン源はTiO2
で、ケイ素源はSiO2で換算)の濃度の酸性の水溶液
またはゾル状態)で、10〜100℃に保ち、その中に
中和剤としてアンモニア水を滴下し、pH2〜10で1
0分間から3時間保持してチタンおよびケイ素の共沈物
を生成し、この沈殿物をろ過し、充分洗浄後、80〜1
40℃で10分間から3時間乾燥し、400〜700℃
で1〜10時間焼成することにより目的とするTi−S
i複合酸化物を得ることができる。
【0014】第2の触媒において、Ti−Si複合酸化
物の含有量は、チタン酸化物の0.01〜7重量倍、好
ましくは0.05〜3重量倍である。第1の触媒は、触
媒成分として、さらにバナジウム酸化物および/または
タングステン酸化物を含むことができ、チタン酸化物に
対して0.1〜25重量%のバナジウム酸化物、または
チタン酸化物に対して0.1〜25重量%のタングステ
ン酸化物、もしくはチタン酸化物に対して0.1〜25
重量%のバナジウム酸化物および0.1〜25重量%の
タングステン酸化物を含むのが好ましい。すなわち、第
1の触媒においては、触媒成分として、チタン酸化物お
よびその0.1〜25重量%、好ましくは1〜15重量
%のバナジウム酸化物および/または0.1〜25重量
%、好ましくは1〜25重量%のタングステン酸化物を
含む触媒が好適に用いられる。
【0015】第2の触媒は、触媒成分として、さらにバ
ナジウム酸化物および/またはタングステン酸化物を含
むことができ、チタン酸化物およびTi−Si複合酸化
物の合計量に対して0.1〜25重量%の、バナジウム
酸化物、またはタングステン酸化物、もしくはバナジウ
ム酸化物およびタングステン酸化物を含むのが好まし
い。すなわち、第2の触媒においては、触媒成分とし
て、チタン酸化物、Ti−Si複合酸化物およびその合
計量の0.1〜25重量%、好ましくは1〜15重量%
のバナジウム酸化物および/または0.1〜25重量
%、好ましくは1〜25重量%のタングステン酸化物を
含む触媒が好適に用いられる。
【0016】本発明の触媒において、バナジウム酸化物
および/またはタングステン酸化物含有量が0.1重量
%より少ないと添加効果が十分得られず、一方25重量
%を超えてもそれほど大きな活性の向上は認められず、
場合によっては活性が低下することもある。バナジウム
酸化物およびタングステン酸化物の供給原料としては、
各々の酸化物のほかに、焼成によって酸化物を生成する
ものであれば、無機および有機のいずれの化合物も用い
ることができる。例えば、各々の金属を含む水酸化物、
アンモニウム塩、シュウ酸塩、ハロゲン化物、硫酸塩、
硝酸塩などを用いることができる。
【0017】第1の触媒は、上記のような触媒成分を含
み、0.01〜0.05μmの範囲に孔径分布のピーク
を有する細孔群(以下、第一細孔群という場合もある)
と0.1〜0.8μmの範囲に孔径分布のピークを有す
る細孔群(以下、第二細孔群という場合もある)とを含
む細孔を有することを特徴とする。第一細孔群は、0.
01〜0.05μmの範囲の孔径からなる群で、第二細
孔群は、0.1〜0.8μmの範囲の孔径からなる群で
もある。
【0018】第2の触媒は、上記のような触媒成分を含
み、0.01〜0.05μmの範囲に孔径分布のピーク
を有する細孔群(以下、第一細孔群という場合もある)
と0.8〜4μmの範囲に孔径分布のピークを有する細
孔群(以下、第三細孔群という場合もある)とを含む細
孔を有することを特徴とする。第一細孔群は、0.01
〜0.05μmの範囲の孔径からなる群で、第三細孔群
は、0.8〜4μmの範囲の孔径からなる群でもある。
【0019】本発明では、触媒の細孔は、図1〜3およ
び図5〜7に示すように、それぞれ実質的に独立した2
つの孔径分布のピークを有し、しかもそれぞれのピーク
を含む細孔群の孔径分布は狭く、実質的に均一なもので
ある。孔径分布のピークはそれぞれの孔径範囲に1つず
つあるのが好ましい。もちろん、孔径分布が実質的に均
一でなく、孔径分布のピークがショルダーを有するよう
なものであってもよいが、孔径分布が実質的に均一な細
孔を有する触媒が特に好適に用いられる。
【0020】本発明の触媒の、水銀圧入法で測定した全
細孔容積は、0.2〜0.6cc/gの範囲にあるのが
よい。そして、第1の触媒では、第一細孔群が占める細
孔容積は全細孔容積の10〜60%、また第二細孔群が
占める細孔容積は全細孔容積の10〜60%の範囲にあ
るのがよい。
【0021】第2の触媒では、第一細孔群が占める細孔
容積は全細孔容積の20〜60%、また第三細孔群が占
める細孔容積は全細孔容積の10〜50%の範囲にある
のがよい。上記第1および第2の触媒において、それぞ
れの細孔群が占める細孔容積とは、それぞれの孔径範囲
にある細孔が占める容積の合計量のことである。
【0022】本発明の触媒の平均粒子径は0.001〜
100μm、好ましくは0.01〜100μmの範囲に
あるのがよい。本発明の触媒のBET法による比表面積
は30〜250m2/g、好ましくは40〜200m2
gの範囲にあるのがよい。したがって、第1の触媒にお
いては、触媒成分としてチタン酸化物を含み、水銀圧入
法による全細孔容積が0.2〜0.6cc/gであり、
0.01〜0.05μmの範囲に孔径分布のピークを有
する細孔群と0.1〜0.8μmの範囲に孔径分布のピ
ークを有する細孔群とを含む細孔を有し、しかも0.0
1〜0.05μmの範囲に孔径分布のピークを有する細
孔群が占める細孔容積が、全細孔容積の10〜60%で
あり、0.1〜0.8μmの範囲に孔径分布のピークを
有する細孔群が占める細孔容積が全細孔容積の10〜6
0%である触媒が好適に用いられる。
【0023】第1の触媒としては、特に、触媒成分とし
てチタン酸化物およびチタン酸化物の0.1〜25重量
%のバナジウム酸化物および/またはチタン酸化物の
0.1〜25重量%のタングステン酸化物を含み、水銀
圧入法による全細孔容積が0.2〜0.6cc/gであ
り、0.01〜0.05μmの範囲に孔径分布のピーク
を有する細孔群と0.1〜0.8μmの範囲に孔径分布
のピークを有する細孔群とを含む細孔を有し、しかも
0.01〜0.05μmの範囲に孔径分布のピークを有
する細孔群が占める細孔容積が全細孔容積の10〜60
%であり、0.1〜0.8μmの範囲に孔径分布のピー
クを有する細孔群が占める細孔容積が全細孔容積の10
〜60%である触媒が好適に用いられる。
【0024】第2の触媒においては、触媒成分として、
チタン酸化物およびTi−Si複合酸化物を含み、水銀
圧入法による全細孔容積が0.2〜0.6cc/gであ
り、0.01〜0.05μmの範囲に孔径分布のピーク
を有する細孔群と0.8〜4μmの範囲に孔径分布のピ
ークを有する細孔群とを含む細孔を有し、しかも0.0
1〜0.05μmの範囲に孔径分布のピークを有する細
孔群が占める細孔容積が全細孔容積の20〜60%であ
り、0.8〜4μmの範囲に孔径分布のピークを有する
細孔群が占める細孔容積が全細孔容積の10〜50%で
ある触媒が好適に用いられる。
【0025】第2の触媒としては、特に、触媒成分とし
て、チタン酸化物、Ti−Si複合酸化物および、これ
ら合計量に対し、0.1〜25重量%のバナジウム酸化
物および/または0.1〜25重量%のタングステン酸
化物を含み、水銀圧入法による全細孔容積が0.2〜
0.6cc/gであり、0.01〜0.05μmの範囲
に孔径分布のピークを有する細孔群と0.8〜4μmの
範囲に孔径分布のピークを有する細孔群とを含む細孔を
有し、しかも0.01〜0.05μmの範囲に孔径分布
のピークを有する細孔群が占める細孔容積が全細孔容積
の20〜60%であり、0.8〜4μmの範囲に孔径分
布のピークを有する細孔群が占める細孔容積が全細孔容
積の10〜50%である触媒が好適に用いられる。
【0026】しかも、上記好適な触媒において、BET
法による比表面積が30〜250m 2/gの範囲にある
のが好適である。また、平均粒子径が0.001〜10
0μmの範囲にあるのが好適である。本発明の触媒の形
状については特に制限はなく、板状、波板状、網状、ハ
ニカム状、円柱状、円筒状などのうちから選んだ所望の
形状で用いてもよく、またアルミナ、シリカ、コーディ
ライト、チタニア、ステンレス金属などよりなる板状、
波板状、網状、ハニカム状、円柱状、円筒状などのうち
から選んだ所望の形状の担体に担持して使用してもよ
い。
【0027】本発明の触媒は、ダイオキシン類などの有
機ハロゲン化合物の分解活性に優れ、これら有機ハロゲ
ン化合物を含む各種排ガスの処理に好適に用いられる。
本発明の触媒は、任意の方法で調製することができる
が、以下に詳述する本発明の調製方法は、その好ましい
一例であり、この調製方法に限定されない。 〔有機ハロゲン化合物除去用触媒の調製方法〕第1の触
媒の調製方法を、触媒成分としてチタン酸化物とバナジ
ウム酸化物および/またはタングステン酸化物とを含む
触媒を例に拳げて説明する。
【0028】方法Aは、いわゆる共沈法といわれるもの
であり、可溶性チタン化合物、例えば四塩化チタンと可
溶性タングステン化合物、例えばメタタングステン酸ア
ンモニウムとを水に溶解して酸性のチタン−タングステ
ン含有水溶液とする。次に、この水溶液の温度を60℃
以下、好ましくは0〜50℃の範囲に保持しながら、ア
ンモニア水を最終pHが5〜8、好ましくは5以上で7
未満の範囲となるように添加して共沈させる。なお、タ
ングステン化合物の水溶液が塩基性の場合には、タング
ステン含有水溶液をアンモニア水と同時にチタン含有水
溶液に添加して沈澱させる。
【0029】なお、上記最終pHとは沈澱操作を終了し
た時点での沈澱物スラリーまたはゲルのpHを意味す
る。上記沈澱操作における温度が60℃を超えると得ら
れる触媒の活性が低下する。また、最終pHが5より低
いと得られる触媒の活性は低下し、また8を超えると触
媒の活性は低下し、そのうえタングステンの再溶解も起
こる。
【0030】上記沈澱操作により得られたチタン−タン
グステン沈殿物は、沈澱物スラリーから分離し、よく洗
浄し、乾燥した後、焼成することによリチタン−タング
ステン酸化物が得られる。上記分離、洗浄、乾燥および
焼成は、この種の酸化物の調製に一般的に用いられてい
る条件下で行うことができるが、酸化チタン/酸化タン
グステンの重量比が10/1〜3/1、好ましくは20
/1〜4/1のものを300〜700℃、特に350〜
600℃の範囲で加熱焼成すると耐久性の優れたチタン
−タングステン酸化物が得られる。
【0031】方法Bは、チタン酸化物にバナジウム酸化
物および/またはタングステン酸化物を担持させる方法
であり、例えばチタン酸化物の粉体またはスラリーにバ
ナジウムおよび/またはタングステンの塩類粉末または
その塩類の溶液を添加するか、あるいはチタン酸化物の
成形体にバナジウムおよび/またはタングステンの塩類
の溶液を含浸させて担持させることによりチタン−バナ
ジウムおよび/またはタングステン酸化物が得られる。
なお、焼成条件などは前記方法Aと同じである。
【0032】方法Cは、予めタングステン酸化物を担持
したチタン酸化物、またはチタン酸化物とタングステン
酸化物との均密混合物にバナジウム酸化物および/また
はタングステン酸化物を担持する方法である。上記方法
Cによって得られる触媒は有機ハロゲン化合物の除去性
能に優れている。その理由は明らかでばないが、チタン
酸化物上に分散したタングステン酸化物が有機ハロゲン
化合物の分解に寄与し、さらに他の活性種の活性を向上
させるためであると考えられる。この点からもタングス
テン酸化物を担持したチタン酸化物は、タングステン酸
化物が高分散したチタン酸化物とタングステン酸化物の
均密混合物であることが触媒活性が高くなり好ましい。
ここでいうチタン酸化物とタングステン酸化物との均密
混合物とは、チタン酸化物とタングステン酸化物とが高
度に混合された結果、チタン酸化物とタングステン酸化
物とのX線回折ではタングステン酸化物に由来するピー
クが実質的に認められないことが特徴である。
【0033】上記方法A〜Cのなかでも、方法Cが好適
に用いられる。すなわち、タングステン酸化物をチタン
酸化物に担持した後、バナジウム酸化物および/または
タングステン酸化物を担持する方法、およびチタン酸化
物とタングステン酸化物との均密混合物を調製した後、
この混合物にバナジウム酸化物および/またはタングス
テン酸化物を担持する方法が好適に用いられる。第2の
触媒も各種手順によって調製することができる。触媒成
分として、チタン酸化物と、Ti−Si複合酸化物と、
バナジウム酸化物および/またはタングステン酸化物と
を含む触媒の場合には、例えば、次のようにして調製す
ることができる。 (1)チタン酸化物と、Ti−Si複合酸化物と、バナ
ジウム酸化物および/またはタングステン酸化物とを任
意の順序で混合する。 (2)チタン酸化物にタングステン酸化物を担持し(W
酸化物/Ti酸化物)、これとTi−Si複合酸化物と
を混合する。 (3)W酸化物/Ti酸化物と、Ti−Si複合酸化物
と、バナジウム酸化物および/またはタングステン酸化
物とを任意の順序で混合する。
【0034】上記W酸化物/Ti酸化物は、例えば、第
1の触媒の調製方法の方法A(共沈法)によって調製す
ることができる。また、W酸化物/Ti酸化物は、チタ
ン酸化物の粉体またはスラリーにタングステンの塩類ま
たは溶液を添加するか、あるいはチタン酸化物の成形体
にタングステンの塩類の溶液を含浸させて担持させ、上
記のようにして焼成することにより得られる。
【0035】そのほかに、上記方法(3)において、W
酸化物/Ti酸化物、またはチタン酸化物とタングステ
ン酸化物との均密混合物にバナジウム酸化物および/ま
たはタングステン酸化物を担持してもよい。この担持す
る方法を含む方法(3)によって得られる第2触媒は、
有機ハロゲン化合物の除去性能に優れている。その理由
は明らかではないが、チタン酸化物上に分散したタング
ステン酸化物が有機ハロゲン化合物の分解に寄与し、さ
らに他の活性種の活性を向上させるためであると考えら
れる。この点からもタングステン酸化物を担持したチタ
ン酸化物は、タングステン酸化物が高分散したチタン酸
化物とタングステン酸化物の均密混合物であることが触
媒活性が高くなり好ましい。ここでいうチタン酸化物と
タングステン酸化物との均密混合物とは、チタン酸化物
とタングステン酸化物とが高度に混合された結果、チタ
ン酸化物とタングステン酸化物とのX線回折ではタング
ステン酸化物に由来するピークが実質的に認められない
ことが特徴である。
【0036】上記方法(1)〜(3)のなかでも、方法
(3)、すなわち、タングステン酸化物をチタン酸化物
に担持した後、バナジウム酸化物および/またはタング
ステン酸化物を担持する方法、またはチタン酸化物とタ
ングステン酸化物との均密混合物を調製した後、この混
合物にバナジウム酸化物および/またはタングステン酸
化物を担持する方法が好適に用いられる。
【0037】本願発明で規定する物理的特性を有する触
媒は、触媒粉体を適当な粒子径になるように粉砕方法
を制御する方法のほかに、前記方法および(1)〜
(3)において、第1の触媒では、好ましくは方法Cに
おいて、混練り時に添加するデンプンなどの成形助剤
や水分の添加量の制御、練り具合いを制御する方法、
触媒焼成時に分解または揮発する樹脂を混練り時に添加
する方法などの方法によって調製することができる。ま
た、これら方法を適宜組み合わせて行うこともできる。
【0038】これら方法のうち、方法およびのよう
に、焼成工程で、成形助剤や樹脂等の、分解または揮発
する化合物(本発明では易分解性化合物という)を触媒
調製時に添加して、焼成前の、チタン酸化物および/ま
たは焼成によってチタン酸化物となるものを必須成分と
する触媒前駆体に所定量存在させ、その後の焼成工程に
おいて、この易分解性化合物を焼成によって除去する方
法が好適に用いられる。
【0039】したがって、例えば、本発明のチタン酸化
物とバナジウム酸化物および/またはタングステン酸化
物とを含有する触媒を調製するに際しては、タングステ
ン酸化物をチタン酸化物に担持した後、バナジウム酸化
物および/またはタングステン酸化物を担持するか、ま
たはチタン酸化物とタングステン酸化物との均密混合物
を調製した後、この均密混合物にバナジウム酸化物およ
び/またはタングステン酸化物を担持する方法であっ
て、しかも易分解性化合物を触媒前駆体に存在させ、そ
の後の焼成工程において、この化合物を分解または揮発
させて除去する方法が好適に用いられる。
【0040】前記方法の混練時に加える樹脂として
は、アセタール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、
フェノール樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、不飽和ポリエ
ステル樹脂などを用いることができる。この樹脂等の易
分解性化合物の平均粒子径は、5〜1000μmの範囲
にあるのが好ましく、また、その添加量は前述の触媒前
駆体に対し、0.1〜30重量%の範囲にあるのが好ま
しい。易分解性化合物の平均粒子径および添加量がこれ
らの範囲を外れると、本発明で規定する物理的特性は得
られない。なお、添加量が多すぎると、得られる触媒の
機械的強度が低下する。この易分解性化合物は、触媒の
焼成時に加熱分解・蒸散し、その部分に細孔が形成され
るが、易分解性化合物の熱分解温度は100〜700℃
であるのが好ましく、その分解時の発熱量は、50kc
al/g以下であるのが好ましい。易分解性化合物の熱
分解温度が700℃を超えると、触媒焼成時に未燃の易
分解性化合物が残存することがあり、また、分解時の発
熱量が50kcal/gよりも大きいと、触媒焼成時の
発熱が大きくなり、触媒の比表面積が小さくなる他、活
性成分のシンタリングなどの原因となる。 〔有機ハゲン化合物の除去方法〕本発明にかかる有機ハ
ゲン化合物の除去方法は、本発明の触媒および/または
本発明の製造方法で得られる触媒を、有機ハロゲン化合
物を含む排ガスと接触させ、排ガス中の有機ハロゲン化
合物を除去する方法である。その除去条件などについて
は、特に制限はなく、この種の反応に一般的に用いられ
ている条件下に実施することができる。具体的には、排
ガスの種類、性状、要求される有機ハロゲン化合物の分
解率などを考慮して適宜決定すればよい。
【0041】排ガスの空間速度は、通常、100〜10
0000Hr-1であり、好ましくは200〜50000
Hr-1(STP)である。100Hr-1未満では、処理
装置が大きくなりすぎ非効率となり、一方、10000
0Hr-1を超えると、分解効率が低下する。なお、13
0〜350℃の範囲の温度で接触分解を行うのがよい。
【0042】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。実施例1−1〜1−3および比較例1−1に
おいて、第一細孔群は、0.01〜0.05μmの範囲
に孔径分布のピークを有する細孔群であり、第二細孔群
は、0.1〜0.8μmの範囲に孔径分布のピークを有
する細孔群である。また、実施例2−1〜2−3および
比較例2−1において、第一細孔群は、0.01〜0.
05μmの範囲に孔径分布のピークを有する細孔群であ
り、第三細孔群は、0.8〜4μmの範囲に孔径分布の
ピークを有する細孔群である。 (実施例1−1)市販の酸化チタン粉体(DT−51
(商品名)、ローヌ・プーラン社製)20kgにメタバ
ナジン酸アンモニウム1.4kg、シュウ酸1.7kg
およびモノエタノールアミン0.4kgを水5リットル
に溶解させた溶液を加え、さらにフェノール樹脂(ベル
パール(商品名)、カネボウ(株)製)1kgと成形助
剤としてのデンプン0.5kgとを加えて混合し、ニー
ダーで混練りした後、押出成形機で外形80mm角、目
開き4.0mm、肉厚1.0mm、長さ500mmのハ
ニカム状に成形した。次いで、80℃で乾燥した後、4
50℃で5時間空気雰囲気下で焼成して触媒(1−A)
を得た。
【0043】触媒(1−A)の組成は、V25:TiO
2=5:95(重量比)であった。触媒(1−A)の細
孔径分布を水銀圧入式ポロシメーターにより測定した結
果、全細孔容積は0.35cc/gであり、第一および
第二細孔群の細孔容積はそれぞれ全細孔容積の44%お
よび48%であった。また、BET表面積は68m2
gであった。触媒(1−A)の細孔径分布を図1に示し
た。
【0044】触媒(1−A)を用いて下記条件下で有機
ハロゲン化合物の除去活性試験を行った。有機ハロゲン
化合物としてクロロトルエン(CT)を用いた。試験条件 CT:30ppm、O2:10%、H2O:15%、
2:バランス ガス温度:150〜200℃、空間速度(STP):2
500または5000Hr-1 そして、CT分解率を下記式にしたがって求めた。 CT分解率(%)=〔(反応器入口CT濃度)−(反応
器出口CT濃度)〕÷(反応器入口CT濃度)×100 空間速度2500Hr-1における、ガス温度とCT分解
率との関係を表1に示した。また、空間速度5000H
-1における、ガス温度とCT分解率との関係を表2に
示した。 (実施例1−2)硫酸法による酸化チタンの製造工程よ
り得られる硫酸チタン溶液(二酸化チタンとして100
g/リットル)180リットルを100℃に加熱し、得
られたチタン酸化物ゾルにパラタングステン酸アンモニ
ウムの10%メチルアミン水溶液(三酸化タングステン
として400g/リットル)5リットルを添加した。こ
れを攪拌しながらアンモニア水をpHが8となるまで加
え、さらにそのままに放置して2時間熟成した。このよ
うにして得られたチタン−タングステン沈殿物スラリー
をろ過し、得られたチタン−タングステン沈澱物を水洗
した後、100℃で12時間乾燥し、さらに500℃の
温度で3時間焼成し、チタン−タングステン酸化物粉体
(酸化チタン/酸化タングステン=90/10(重量
比))を得た。この酸化物のX線回折によれば、タング
ステン酸化物に由来するピークは認められなかった。
【0045】このチタン−タングステン酸化物粉体20
kgにメタバナジン酸アンモニウム1.4kg、シュウ
酸1.7kgおよびモノエタノールアミン0.4kgを
水5リットルに溶解させた溶液を加え、さらにフェノー
ル樹脂(ベルパール(商品名)、カネボウ(株)製)1
kgと成形助剤としてのデンプン0.5kgを加えて混
合しニーダーで混練りした後、押出成形機で外形80m
m角、目開き4.0mm、肉厚1.0mm、長さ500
mmのハニカム状に成形した。次いで、80℃乾燥した
後、450℃で5時間空気雰囲気下で焼成して触媒(1
−B)を得た。
【0046】触媒(1−B)の組成は、V25:W
3:TiO2=5:10:85(重量比)であった。触
媒(1−B)の細孔径分布を水銀圧入式ポロシメーター
により測定した結果、全細孔容積は0.49cc/gで
あり、第一および第二細孔群の細孔容積はそれぞれ全細
孔容積の43%および51%であった。また、BET表
面積は71m2/gであった。触媒(1−B)の細孔径
分布を図2に示した。 触媒(1−B)を用い、実施例
1−1と同様にして、有機ハロゲン化合物の除去活性試
験を行った。結果を表1および表2に示す。 (実施例1−3)水80リットルに四塩化チタン(Ti
Cl4)12.8kgを氷冷かつ攪拌下に徐々に滴下し
て溶解し、この水溶液にメタタングステン酸アンモニウ
ム水溶液(酸化タングステンとして50重量%含有)
1.2kgを加えた。得られた水溶液を温度約30℃に
保持しつつ、よく攪拌しながら、アンモニア水をpHが
6となるまで加え、さらにそのまま放置して2時間熟成
した。このようにして得られたチタン−タングステン沈
澱物スラリーをろ過し、得られたチタン−タングステン
沈澱物を水洗して、150℃で乾燥した後、600℃で
5時間焼成して、酸化チタン/酸化タングステン=90
/10(重量比)のチタン−タングステン酸化物を得
た。
【0047】このようにして得られた共沈チタン−タン
グステン酸化物粉体20kgにメタバナジン酸アンモニ
ウム1.4kg、シュウ酸1.7kgおよびモノエタノ
ールアミン0.4kgを水5リットルに溶解させた溶液
を加え、さらにフェノール樹脂(ベルパール(商品
名)、カネボウ(株)製)1kgと成形助剤としてのデ
ンプン0.5kgとを加えて混合しニーダーで混練りし
た後、押出成形機で外形80mm角、目開き4.0m
m、肉厚1.0mm、長さ500mmのハニカム状に成
形した。次いで、80℃で乾燥した後、450℃で5時
間空気雰囲気下で焼成して触媒(1−C)を得た。
【0048】触媒(1−C)の組成は、V25:W
3:TiO2=5:10:85(重量比)であった。触
媒(1−C)の細孔径分布を水銀圧入式ポロシメーター
により測定した結果、全細孔容積は0.37cc/gで
あり、第一および第二細孔群の細孔容積はそれぞれ全細
孔容積の57%および37%であった。また、BET表
面積は78m2/gであった。触媒(1−C)の細孔径
分布を図3に示した。 触媒(1−C)を用い、実施例
1−1と同様にして、有機ハロゲン化合物の除去活性試
験を行った。結果を表1および表2に示す。
【0049】次に、触媒(1−C)をダイオキシン類
(以下、DXN類という)約10ng−TEQ/Nm3
を含むゴミ焼却炉排ガスに接触させ、DXN類の除去性
能を測定した。ガス温度は170〜250℃であり、空
間速度(STP)は2500Hr-1であった。DXN類
除去率を下記式にしたがって求めた。 DXN類除去率(%)=〔(反応器入口DXN類濃度)
−(反応器出口DXN類濃度)〕÷(反応器入口DXN
類濃度)×100 ガス温度とDXN類除去率との関係を表3に示した。 (比較例1−1)実施例1−2で用いたチタン−タング
ステン酸化物粉体をさらに気流粉砕機で粉砕し、混練り
の際にフェノール樹脂を加えず、成形機の前段に脱気層
を設置して練り物中の空気を除去したこと以外は実施例
1−2に準じて外形80mm角、目開き4.0mm、肉
厚1.0mm、長さ500mmのハニカム状触媒(1−
D)を調製した。
【0050】触媒(1−D)の細孔径分布を水銀圧入式
ポロシメーターにより測定した結果、0.01〜0.0
5μmの範囲に孔径分布のピークを有する第一細孔群の
みが認められ、0.1〜0.8μmの範囲に孔径分布の
ピークを有する第二細孔群は存在しなかった。また、触
媒(1−D)の全細孔容積は0.25cc/gであり、
BET表面積は65m2/gであった。触媒(1−D)
の細孔径分布を図4に示した。
【0051】触媒(1−D)を用い、実施例1−1と同
様にして、有機ハロゲン化合物の除去活性試験を行っ
た。結果を表1および表2に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】(実施例2−1)10重量%アンモニア水
700リットルにスノーテックス−20(日産化学
(株)製シリカゾル、約20重量%のSiO2含有)2
1.3kgを加え、攪拌、混合した後、硫酸チタニルの
硫酸溶液(TiO2として125g/リットル、硫酸濃
度0.55g/リットル)340リットルを攪拌しなが
ら徐々に滴下した。得られたゲルを3時間放置した後、
ろ過、水洗し、続いて150℃で10時間乾燥した。こ
れを500℃で焼成し、更にハンマーミルを用いて粉砕
し、分級機で分級して平均粒子径10mmの粉体を得
た。得られた粉体の組成はTiO2:SiO2=8.5:
1.5(モル比)であり、粉体のX線回折チャートでは
TiO2やSiO2の明らかな固有ピークは認められず、
ブロードな回折ピークによって非晶質な微細構造を有す
るチタンとケイ素との複合酸化物(Ti−Si複合酸化
物)であることが確認された。
【0056】上記Ti−Si複合酸化物12kgと市販
の酸化チタン粉体(DT−51(商品名)、ローヌ・プ
ーラン社製)8kgにメタバナジン酸アンモニウム1.
4kg、シュウ酸1.7kgおよびモノエタノールアミ
ン0.4kgを水5リットルに溶解させた溶液を加え、
さらにフェノール樹脂(ベルパール(商品名)、カネボ
ウ(株)製)1kgと成形助剤としてのデンプン0.5
kgとを加えて混合し、ニーダーで混練りした後、押出
成形機で外形80mm角、目開き4.0mm、肉厚1.
0mm、長さ500mmのハニカム状に成形した。次い
で、80℃で乾燥した後、450℃で5時間空気雰囲気
下で焼成し触媒(2−A)を得た。
【0057】触媒(2−A)の組成は、V25:TiO
2:Ti−Si複合酸化物=5:38:57(重量比)
であった。触媒(2−A)の細孔径分布を水銀圧入式ポ
ロシメーターにより測定した結果、全細孔容積は0.3
2cc/gであり、第一および第三細孔群の細孔容積は
それぞれ全細孔容積の55%および40%であった。ま
た、BET表面積は89m2/gであった。触媒(2−
A)の細孔径分布を図5に示した。
【0058】触媒(2−A)を用いて下記条件下で有機
ハロゲン化合物の除去活性試験を行った。有機ハロゲン
化合物としてクロロトルエン(CT)を用いた。試験条件 CT:30ppm、O2:12%、N2:バランス ガス温度:150〜200℃、空間速度(STP):4
000Hr-1 そして、CT分解率を実施例1−1のあるCT分解率算
出式に従って求めた。ガス温度とCT分解率との関係を
表4に示した。 (実施例2−2)硫酸法による酸化チタンの製造工程よ
り得られる硫酸チタン溶液(二酸化チタンとして100
g/リットル)180リットルを100℃に加熱し、得
られたチタン酸化物ゾルにパラタングステン酸アンモニ
ウムの10%メチルアミン水溶液(三酸化タングステン
として400g/リットル)5リットルを添加した。こ
れを攪拌しながらアンモニア水を徐々に滴下して、pH
を8とし、沈殿物をろ過したあと、100℃で12時間
乾燥し、さらに500℃の温度で焼成して、チタン−タ
ングステン酸化物粉体(酸化チタン/酸化タングステン
=90/10(重量比))を得た。なお、この酸化物の
X線回折によれば、タングステン酸化物に由来するピー
クは認められなかった。
【0059】このチタン−タングステン酸化物粉体8k
gと実施例2−1と同様にして調製したTi−Si複合
酸化物12kgとにメタバナジン酸アンモニウム1.4
kg、シュウ酸1.7kgおよびモノエタノールアミン
0.4kgを水5リットルに溶解させた溶液を加え、さ
らにフェノール樹脂(ベルパール(商品名)、カネボウ
(株)製)1kgと成形助剤としてのデンプン0.5k
gを加えて混合しニーダーで混練りした後、押出成形機
で外形80mm角、目開き4.0mm、肉厚1.0m
m、長さ500mmのハニカム状に成形した。次いで、
80℃乾燥した後、450℃で5時間空気雰囲気下で焼
成して触媒(2−B)を得た。
【0060】触媒(2−B)の組成は、V25:W
3:TiO2:Ti−Si複合酸化物=5:4:34:
57(重量比)であった。触媒(2−B)の細孔径分布
を水銀圧入式ポロシメーターにより測定した結果、全細
孔容積は0.38cc/gであり、第一および第三細孔
群の細孔容積はそれぞれ全細孔容積の52%および43
%であった。また、BET表面積は95m2/gであっ
た。触媒(2−B)の細孔径分布を図6に示した。
【0061】触媒(2−B)を用い、実施例2−1と同
様にして、有機ハロゲン化合物の除去活性試験を行っ
た。結果を表4に示す。 (実施例2−3)実施例1−3と同様にして調製した共
沈チタン−タングステン酸化物粉体8kgと、実施例2
−1と同様にして調製したTi−Si複合酸化物12k
gとにメタバナジン酸アンモニウム1.4kg、シュウ
酸1.7kgおよびモノエタノールアミン0.4kgを
水5リットルに溶解させた溶液を加え、さらにフェノー
ル樹脂(ベルパール(商品名)、カネボウ(株)製)1
kgと成形助剤としてのデンプン0.5kgとを加えて
混合しニーダーで混練りした後、押出成形機で外形80
mm角、目開き4.0mm、肉厚1.0mm、長さ50
0mmのハニカム状に成形した。次いで、80℃で乾燥
した後、450℃で5時間空気雰囲気下で焼成して触媒
(2−C)を得た。
【0062】触媒(2−C)の組成は、V25:W
3:TiO2:Ti−Si複合酸化物=5:6:32:
57(重量比)であった。触媒(2−C)の細孔径分布
を水銀圧入式ポロシメーターにより測定した結果、全細
孔容積は0.32cc/gであり、第一および第三細孔
群の細孔容積はそれぞれ全細孔容積の58%および31
%であった。また、BET表面積は102m2/gであ
った。触媒(2−C)の細孔径分布を図7に示した。
【0063】触媒(2−C)を用い、実施例2−1と同
様にして、有機ハロゲン化合物の除去活性試験を行っ
た。結果を表4に示す。次に、触媒(2−C)をダイオ
キシン類(以下、DXN類という)約20ng−TEQ
/Nm3を含むゴミ焼却炉排ガスに接触させ、DXN類
の除去性能を測定した。ガス温度は200〜300℃で
あり、空間速度(STP)は5000Hr-1であった。
DXN類除去率を実施例1−3のあるDXN類除去率算
出式に従って求めた。
【0064】ガス温度とDXN類除去率との関係を表5
に示した。 (比較例2−1)実施例2−2で用いたチタン−タング
ステン酸化物粉体およびTi−Si複合酸化物をさらに
気流粉砕機で粉砕し、混練りの際にメタクリル樹脂を加
えず、成形機の前段に脱気層を設置して練り物中の空気
を除去したこと以外は実施例2−2に準じて外形80m
m角、目開き4.0mm、肉厚1.0mm、長さ500
mmのハニカム状触媒(2−D)を調製した。
【0065】触媒(2−D)の細孔径分布を水銀圧入式
ポロシメーターにより測定した結果、0.01〜0.0
5μmの範囲に孔径分布のピークを有する第一細孔群の
みが認められ、0.8〜4μmの範囲に孔径分布のピー
クを有す第三細孔群は存在しなかった。また、触媒(2
−D)の全細孔容積は0.22cc/gであり、BET
表面積は88m2/gであった。触媒(2−D)の細孔
径分布を図8に示した。
【0066】触媒(2−D)を用い、実施例2−1と同
様にして、有機ハロゲン化合物の除去活性試験を行っ
た。結果を表4に示す。
【0067】
【表4】
【0068】
【表5】
【0069】
【発明の効果】本発明の触媒は有機ハロゲン化合物の除
去性能に優れ、有機ハロゲン化合物を含む各種排ガスを
処理して有機ハロゲン化合物を除去するに好適に用いら
れる。また、本発明の触媒は窒素酸化物(NOX)の除
去性能(脱硝性能)にも優れている。
【0070】したがって、本発明の触媒は、排ガス中の
有機ハロゲン化合物や窒素酸化物の同時除去用の触媒と
して有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1−1で得られた触媒(1−A)の細孔
径分布を示す図。
【図2】実施例1−2で得られた触媒(1−B)の細孔
径分布を示す図。
【図3】実施例1−3で得られた触媒(1−C)の細孔
径分布を示す図。
【図4】比較例1−1で得られた触媒(1−D)の細孔
径分布を示す図。
【図5】実施例2−1で得られた触媒(2−A)の細孔
径分布を示す図。
【図6】実施例2−2で得られた触媒(2−B)の細孔
径分布を示す図。
【図7】実施例2−3で得られた触媒(2−C)の細孔
径分布を示す図。
【図8】比較例2−1で得られた触媒(2−D)の細孔
径分布を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−68456(JP,A) 特開 平3−8415(JP,A) 特表 平4−501380(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 21/00 - 37/36 B01D 53/86

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】触媒成分としてチタン酸化物を含有し、
    0.01〜0.05μmの範囲に孔径分布のピークを有
    する細孔群と0.1〜0.8μmの範囲に孔径分布のピ
    ークを有する細孔群とを含む細孔を有する、有機ハロゲ
    ン化合物除去用触媒。
  2. 【請求項2】水銀圧入法による全細孔容積が0.2〜
    0.6cc/gであり、0.01〜0.05μmの範囲
    に孔径分布のピークを有する細孔群が占める細孔容積が
    全細孔容積の10〜60%であり、0.1〜0.8μm
    の範囲に孔径分布のピークを有する細孔群が占める細孔
    容積が全細孔容積の10〜60%である、請求項1に記
    載の触媒。
  3. 【請求項3】触媒成分として、チタン酸化物およびチタ
    ンとケイ素との複合酸化物を含有し、0.01〜0.0
    5μmの範囲に孔径分布のピークを有する細孔群と0.
    8〜4μmの範囲に孔径分布のピークを有する細孔群と
    を含む細孔を有する、有機ハロゲン化合物除去用触媒。
  4. 【請求項4】水銀圧入法による全細孔容積が0.2〜
    0.6cc/gであり、0.01〜0.05μmの範囲
    に孔径分布のピークを有する細孔群が占める細孔容積が
    全細孔容積の20〜60%であり、0.8〜4μmの範
    囲に孔径分布のピークを有する細孔群が占める細孔容積
    が全細孔容積の10〜50%である、請求項3に記載の
    触媒。
  5. 【請求項5】触媒成分として、さらにバナジウム酸化物
    および/またはタングステン酸化物を含む、請求項1か
    ら4までのいずれかに記載の触媒。
  6. 【請求項6】平均粒子径が5〜1000μm、熱分解温
    度が100〜700℃で、分解時の発熱量が50kca
    l/g以下である易分解性化合物を、チタン酸化物およ
    び/または焼成によってチタン酸化物となるものを必須
    成分とする触媒前駆体に0.1〜30重量%混合し、前
    記易分解性化合物を焼成によって除去する、有機ハロゲ
    ン化合物除去用触媒の調製方法。
  7. 【請求項7】有機ハロゲン化合物を含む排ガスを請求項
    1から5までのいずれかに記載の触媒と接触させる、有
    機ハロゲン化合物の除去方法。
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