JP3312801B2 - プロピレンエチレン共重合体及びその製造方法 - Google Patents

プロピレンエチレン共重合体及びその製造方法

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JP3312801B2 JP32175393A JP32175393A JP3312801B2 JP 3312801 B2 JP3312801 B2 JP 3312801B2 JP 32175393 A JP32175393 A JP 32175393A JP 32175393 A JP32175393 A JP 32175393A JP 3312801 B2 JP3312801 B2 JP 3312801B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐熱性、耐衝撃性および
透明性に優れたプロピレンエチレン共重合体に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】オレフ
ィン系熱可塑性エラストマーは優れた柔軟性を有し、低
比重で高い耐候性を有する事から、バンパー等の自動車
部品をはじめ種々の工業部品、家電部品等に幅広く利用
されている。これらオレフィン系熱可塑性エラストマー
としては、低温での耐衝撃性や柔軟性を満足させるため
に、一般的にはエチレンプロピレンゴム(EPR)また
はエチレンプロピレンターポリマー(EPDM)とポリ
プロピレン樹脂とを溶融混練し、場合によっては混練の
前または後に部分的に架橋する方法で製造されている。
そのような方法は、例えば、特開昭47−18943号
公報、同48−26838、同49−53938、同5
4−1386に開示されている。また、特開昭61−2
64043号公報、特開平2−140236号公報およ
び特公昭59−30736号公報では、エチレン含有量
の異なるプロピレンとエチレンからなる三段重合により
得られた共重合体、プロピレンエチレン共重合体にジオ
レフィンを添加した組成物やPP、EPDM、EPRお
よびジビニルベンゼン等のブレンド物をそれぞれ動的架
橋することにより柔軟性を損なう事なく耐熱性を上げる
方法が開示されている。しかし、この方法は、あらかじ
めそれぞれの重合体を製造し、次いでブレンドを行うこ
とより生産性が悪く、また、架橋するために透明性が悪
くフィルムやシート等の用途には用いる事が出来ず、さ
らにはリサイクルする事が困難であるといった問題を有
している。
【0003】一方、これらの問題を解決するために多段
重合法を用いて、段階的にそれぞれの成分を同一重合槽
内で重合する方法が提案されている。例えば、特開昭5
5−80418号公報、同57−10611が挙げられ
るが、柔軟性や耐熱性が不十分であった。特開昭同57
−61012号公報では、引っ張り特性の改良が不十分
であると同時に、重合温度が低く且つ大幅な温度変化が
強いられるため、除熱の問題から安定的な生産は困難で
あった。また、特開昭58−145718号公報および
同58−71910では、プロピレン、エチレン、1−
ブテンからなる組成の異なる3段重合により耐熱性、耐
衝撃性、及び透明性の改良された方法が開示されている
が、それぞれの物性についてバランスのとれた物として
は不十分であった。このように、直接重合法によるもの
は、柔軟性や透明性、さらには製造上のコストやリサイ
クル性にも優れるものの、耐熱性、耐油性に欠けるとい
った問題を有していた。
【0004】上述のように、柔軟性、透明性が良好で、
しかも耐熱性の良好なオレフィン系熱可塑性エラストマ
ーの開発が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく、鋭意検討を行った結果、特定の粘度を有す
るポリプロピレン成分及び特定の粘度を有するプロピレ
ンエチレン共重合体成分とからなるプロピレンエチレン
ブロック共重合体が、柔軟性、透明性が良好で且つ高い
耐熱性を有するエラストマーであることを見出し本発明
を完成した。。
【0006】即ち本発明は、ポリプロピレン成分1〜6
0wt%及びプロピレンエチレンランダム共重合体成分
40〜99wt%を含むブロック共重合体であって、ポ
リプロピレン成分は極限粘度[η]が7dl/g以上、
且つ、室温でのキシレンに可溶性の成分が5wt%以下
であり、プロピレンエチレンランダム共重合体成分は極
限粘度[η]が0.5〜7dl/g、且つ、室温でのキ
シレン可溶性の成分が50wt%以上であり、さらに、
エチレンに基づく単量体単位を5〜60mol%含むも
のであり、共重合体全体の重量平均分子量が10万〜1
50万であることを特徴とするプロピレンエチレン共重
合体である。
【0007】本発明のプロピレンエチレン共重合体中の
ポリプロピレン成分は、全重合体中に占める割合が1〜
60wt%である必要があり、好ましくは3〜40wt
%である。また、プロピレンエチレンランダム共重合体
成分(以下、単にランダム共重合体成分という。)はエ
チレンに基づく単量体単位を5〜60mol%、好まし
くは8〜50mol%含み、その量は全重合体中に占め
る割合が40〜99wt%、好ましくは60〜99wt
%である必要がある。ポリプロピレン成分が60wt%
を越える時またはランダム共重合体成分におけるエチレ
ンに基づく単量体単位が5mol%未満の時には、ポリ
プロピレンとしての性質が強くなり、十分な柔軟性及び
優れた耐衝撃性が発揮されなくなる。一方、ランダム共
重合体成分におけるエチレンに基づく単量体単位が60
mol%を越えるときには、ポリエチレンとしての性質
が強くなり、引張衝撃強度、耐熱性が十分でなくなるた
めに好ましくない。
【0008】本発明のプロピレンエチレン共重合体中の
ポリプロピレン成分は、極限粘度[η]が7dl/g以
上でなければならず、好ましくは9〜25dl/gであ
る。極限粘度[η]が7dl/g未満では上記したエチ
レン組成において耐熱性の向上効果が低下し好ましくな
い。また、本発明のプロピレンエチレン共重合体のラン
ダム共重合体成分は、極限粘度[η]が0.5〜7dl
/gでなければならず、1.0〜5dl/gの範囲が好
ましい。極限粘度が0.5dl/g未満では耐熱性及び
耐衝撃性が十分でなくなるために好ましくない。尚、本
発明における極限粘度はテトラリンを溶媒として135
℃で測定した値である。
【0009】また、本発明のプロピレンエチレン共重合
体中のポリプロピレン成分は、室温でのキシレンに可溶
性の成分が5wt%以下である必要があり、さらには
0.1〜3wt%が好ましい。これは、上述したように
ポリプロピレン成分の分子量がきわめて大きいこと、お
よび後述するように結晶性の高いポリプロピレン成分で
ある事による。従って、キシレン可溶性の成分が5wt
%を越えると、プロピレンエチレン共重合体の耐熱性を
所定のレベルに維持するために、ポリプロピレン成分の
全重合体中に占める割合を高めたり、あるいはランダム
共重合体中のエチレン含有量を低める必要があり、結果
的に全共重合体の耐衝撃性が低下する事になる。一方、
ランダム共重合体成分中の室温でのキシレン可溶性の成
分は50wt%以上である必要があり、さらには60〜
100wt%が好ましい。これは、ランダム共重合体成
分が、非晶性ないしは極めて低結晶性のエラストマー的
性質を持つ必要があるためであり、キシレン可溶性の成
分が50wt%未満であると結晶性が高くなりすぎて好
ましくない。
【0010】プロピレンエチレン共重合体の分子量は、
重量平均分子量(以下Mwと略す)が10〜150万で
あり、成形性を勘案すると20〜100万の範囲がより
好ましい。Mwが前記の範囲を越えると成形性が悪くな
る上に、目的とする物性が得られなくなるために好まし
くない。また、本発明のプロピレンエチレン共重合体の
分子量分布(Mw/Mn)は3〜15の範囲であること
が好ましい。尚、本発明における重量平均分子量はゲル
パーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと
略す)により測定した。本発明のプロピレンエチレン共
重合体は、どの様な方法によって得てもよいが、特に次
の方法が好ましく採用される。
【0011】下記成分 (A)チタン化合物 (B)有機アルミニウム化合物 および (C)電子供与体 から成る触媒の存在下に、まず、第一段重合においてプ
ロピレンの重合を行って極限粘度[η]が7dl/g以
上、且つ、室温でのキシレンに可溶性の成分が5wt%
以下であるポリプロピレンを全重合量の1〜60wt%
生成させ、次いで、第二段重合においてプロピレンとエ
チレンの共重合を行って極限粘度[η]が0.5〜7d
l/g、且つ、室温でのキシレン可溶性の成分が50w
t%以上であり、エチレンに基づく単量体単位を5〜6
0mol%含むプロピレンエチレンランダム共重合体を
全重合量の40〜99wt%生成させることにより得ら
れる。
【0012】本発明の(A)成分であるチタン化合物
は、オレフィンの重合に使用される公知のチタン化合物
および有機アルミニウム化合物が何等ら制限なく用いら
れる。チタン化合物としては、α、β、γ、またはδ−
三塩化チタンが使用でき、なかでも、例えば、特開昭4
7−34478号公報、同50−126590、同50
−114394、同50−93888、同50−123
09、同50−74594、同50−104191、同
50−98489、同51−136625、同52−3
0888、同52−35283の各公報に記載されてい
る方法によって調製された高活性なチタン化合物が好適
に使用される。
【0013】また、塩化マグネシウム等の担体に担持さ
れたチタン化合物も好適に用いることができる。例え
ば、特開昭56−155206号公報、同56−136
806、同57−34103、同58−8706、同5
8−83006、同58−138708、同58−18
3709、同59−206408、同59−21931
1、同60−1208、同60−81209、同60−
186508、同60−192708、同61−211
309、同61−271304、同62−15209、
同62−11706、同62−72702、同62−1
04810等に示されている方法によって調製された塩
化マグネシウムなどの担体に担持されたチタン化合物が
使用される。
【0014】本発明の(B)成分である有機アルミニウ
ム化合物は、一般にチタン化合物と組み合わせてオレフ
ィンの重合に用いられるものが、何等制限なく使用され
る。例えば、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルア
ルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムジクロ
リド等のハロゲン化アルキルアルミニウム、トリエチル
アルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリア
ルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムヒドリド等
のアルキルアルミニウムヒドリドおよびアルキルアルミ
ノキサン等のアルキルアルミニウム類を例示でき、これ
らの有機アルミニウム化合物は単独でまたは2種類以上
を組み合わせて用いることができる。
【0015】本発明においては、上記のチタン化合物と
有機アルミニウム化合物の存在下にオレフィンの予備重
合を行うことが好ましい。予備重合における有機アルミ
ニウム化合物の使用量はチタン化合物のチタン原子に対
してAl/Ti(モル比)で0.01〜100、さらに
は0.1〜20の範囲が好ましく採用される。
【0016】予備重合で用いるオレフィンは、プロピレ
ン、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセ
ン、1−オクテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチ
ル−1−ペンテン等が挙げられ、これらを単独でまたは
混合して用いることができる。
【0017】また、同種または異種のオレフィンを多段
階に予備重合する方法を採用することもできる。上記オ
レフィンの重合量はチタン化合物1g当り、0.1〜1
00gであることが好ましく、さらに0.5〜50gの
範囲であることが好ましい。
【0018】予備重合は、通常溶液重合を適用すること
が好ましく、溶媒としてはヘキサン、ヘプタン、シクロ
ヘキサン、トルエン等の炭化水素類を単独でまたは混合
して用いることができる。
【0019】予備重合を行う際、電子供与体を添加して
もよい。用いられる電子供与体はオレフィンの重合に使
用される公知の化合物を何等制限なく使用できる。具体
的には、エーテル、アミン、アミド、エステル、硫黄化
合物、リン化合物、ニトリル化合物、カルボン酸、有機
ケイ素化合物、ハロゲン化合物が挙げられる。
【0020】予備重合におけるその他の条件、例えば、
温度、圧力、時間は本発明の効果が損なわれない限り、
特に限定されず適宜決定してよい。予備重合終了後に
は、上記炭化水素溶媒を用いて、生成したチタン含有ポ
リオレフィンを洗浄することが好ましい。
【0021】上記予備重合後に本重合が行われる。本重
合においては、第一段重合においてプロピレンの重合を
行い、次いで第2段重合においてプロピレンとエチレン
のランダム共重合が行われる。第一段階のプロピレンの
重合において、有機アルミニウム化合物を添加するが、
これは、予備重合時に用いた有機アルミニウム化合物と
同一でも異種でも構わない。有機アルミニウム化合物の
使用量はチタン化合物のチタン原子に対してAl/Ti
(モル比)で1〜5000、さらには1〜500の範囲
が好ましい。
【0022】プロピレンの重合割合は、全重合量に対し
て1〜60wt%であり、目的とするプロピレンエチレ
ン共重合体の物性に応じて適宜決定すればよい。即ち柔
軟性や透明性を必要とする場合は、プロピレンの重合量
が少ないほど好ましく、より高強度、高硬度の物を必要
とする場合には、重合量を増加させればよい。
【0023】プロピレンの重合条件は、重合温度が0〜
100℃、一般には40〜80℃の範囲が好ましい。重
合は、プロピレン自身を溶媒とするスラリー重合、気相
重合、溶液重合等のいずれでもよく、更に重合を条件の
異なる2段階以上に分けて行うことも可能である。
【0024】プロピレンの重合には、生成する重合体の
立体規則性を向上させるために(C)成分である電子供
与体を添加することができる。用いる電子供与体は、従
来のオレフィンの重合に使用される公知の電子供与体が
何等制限なく使用可能である。具体的には、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノ
ール、ヘキサノールなどのアルコール類;フェノール、
クレゾール、キシレノール等のフェノール類;アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シ
クロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン類;アセト
アルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド
等のアルデヒド類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メ
チル、酪酸エチル、吉草酸エチル、ステアリン酸エチ
ル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、安息香酸
エチル、フタル酸エチル等の有機酸エステル類;ケイ酸
エチル、ジシクロペンチルジメトキシシラン、フェニル
トリエトキシシラン等のケイ酸エステル類、エチルエー
テル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ア
ニソール等のエーテル類;酢酸アミド、安息香酸アミド
等のアミド類;2,2,6,6−テトラメチルピペリジ
ン、2,4,6−トリメチルピリジン等のアミン類;ア
セトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;その他
含硫黄電子供与体;含リン電子供与体を挙げることがで
きる。中でもメタクリル酸メチル、酢酸ブチル等の有機
酸エステル類;メチルイソブチルケトン等のケトン類;
ジシクロペンチルジメトキシシラン等のケイ酸エステル
類等が好適に用いられる。
【0025】水素の添加量は、目的とするプロピレンエ
チレン共重合体の物性を考慮して、ポリプロピレン成分
の重合割合および生成するポリプロピレンの極限粘度と
の兼ね合いで、適宜決定すればよいが、より効果を高め
るためには水素は添加しないのが好ましい。
【0026】次に、第2段重合であるプロピレンとエチ
レンのランダム共重合が、分子量調節剤、有機アルミニ
ウム化合物および(C)成分である電子供与体の存在下
に行われる。分子量調節剤としては、公知のものが何等
制限なく用いられるが、最も汎用的に用いられている水
素が好ましい。
【0027】有機アルミニウム化合物は、前記したもの
の他、アルキルアルミニウムアルコキシドを好適に使用
することができる。具体的には、ジメチルアルミニウム
メトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、ジエチ
ルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエト
キシド、ジエチルアルミニウムn−ブトキシド、ジエチ
ルアルミニウムイソブトキシド、ジエチルアルミニウム
t−ブトキシド、ジエチルアルミニウムオクトキシド、
ジエチルアルミニウムフェノキシド、エチルアルミニウ
ムセスキエトキシド、エチルアルミニウムジエトキシ
ド、エチルアルミニウムクロライドモノエトキシド、エ
チルアルミニウムブロマイドモノエトキシド、ジエチル
アルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム
(2,6−ジメチルフェノキシド)、ジエチルアルミニ
ウム(2,6−ジイソブチルフェノキシド)、ジエチル
アルミニウム(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ
ド)、ジエチルアルミニウム(2,6−ジフェニルフェ
ノキシド)、エチルアルミニウムジ(2,6−ジ−t−
ブチルフェノキシド)、エチルアルミニウムジ(2,6
−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)等を挙げ
ることができる。
【0028】また、本発明の第2段重合において用いる
電子供与体は前述した第1段重合において用いる電子供
与体と同じものを用いることができる。
【0029】第2段重合で使用される有機アルミニウム
化合物および電子供与体の添加量は、有機アルミニウム
化合物が第1段重合で使用した有機アルミニウム化合物
に対して0.01〜10、更には0.1〜1(モル比)
が好ましく、一方、電子供与体は第2段重合で使用され
る有機アルミニウム化合物に対して、0.001〜1
0、更には0.001〜1(モル比)の範囲が好まし
い。
【0030】ランダム共重合体成分の重合割合は、全重
合量に対して40〜99wt%であり、目的とするプロ
ピレンエチレン共重合体の物性に応じて適宜決定すれば
よい。
【0031】プロピレンとエチレンのランダム共重合
は、気相重合、スラリー重合、溶液重合等の何れでも構
わないが、重合速度及び得られる共重合体中の残存アル
ミニウムの量を少なく出来ることから、プロピレン自身
を溶媒とするスラリー重合が好ましく用いられる。この
場合、プロピレン溶媒に加えて触媒成分を希釈するため
に、少量の不活性炭化水素が含まれていても構わない。
【0032】プロピレンとエチレンのランダム共重合に
おいて、分子量調節剤として水素を共存させるがプロピ
レン、エチレンおよび水素の気相ガス濃度は、得られる
共重合体のプロピレンとエチレンの組成がそれぞれ40
〜95mol%と5〜60mol%となるように、ま
た、得られる共重合体の極限粘度[η]が0.5〜7d
l/gとなるように97.5/2/0.5〜42.5/
42.5/15(モル比)の範囲で適宜決定すればよ
い。重合温度は0〜100℃、さらには40〜80℃の
範囲が好ましく採用される。また、重合を条件の異なる
2段階以上に分けて行う方法、例えば前段でエチレン組
成の低い重合を行った後、後段でエチレン組成の高い重
合を行う方法、また前段、後段で水素濃度を変える方法
なども採用できる。重合時間は、重合温度及び重合量か
ら適宜決定してよい。本発明で得られたプロピレンエチ
レン共重合体は、過酸化物による分解を行うことなく、
射出成形、押出成形、プレス成形など各種の成形法によ
り種々の形状を有する成形品にすることが出来る。
【0033】
【効果】本発明によれば、柔軟性、透明性を損なう事な
く、耐熱性の良好なオレフィン系熱可塑性エラストマー
を得ることができる。また、過酸化物による分解工程を
行わないため分解残存物に由来する臭気等がなくなり、
高品質の共重合体を製造できる。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例を挙げて説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0035】尚、実施例における物性値は下記の方法で
測定したものである。
【0036】極限粘度(以下[η]と略す):テトラリ
ン溶媒で135℃で測定した。
【0037】[η]P・・・第1段階で生成した重合体
の極限粘度を示す。
【0038】[η]EP・・・第2段階で重合した重合体
の極限粘度を示す。
【0039】[η]T・・・全重合体の極限粘度を示
す。
【0040】[η]EPは下記の方法で算出した値であ
る。
【0041】
【化1】
【0042】室温キシレン可溶分:ポリマー1gをp−
キシレン100mlに加え、攪拌しながら135℃まで
昇温し、更に30分攪拌を続け、完全に溶解させ均一な
溶液とした後、室温まで冷却しさらに24時間室温で放
置した。吸引ろ過でろ別した後、濾液を蒸発乾固させて
残存したポリマーの重量を求めた。
【0043】重量平均分子量:ウオーターズ社製GPC
−150Cを用いて、o−ジクロロベンゼンを溶媒と
し、135℃で測定した。用いたカラムは昭和電工製S
HODEX UT806Lである。
【0044】エチレン含有量:エチレン含有量は、赤外
吸収スペクトルを用いて測定した。
【0045】曲げ弾性率:日本製鋼所製J120SAI
I型射出成形機により12.7mm×12.7mm×
3.1mmの試験片を作成しJIS K7203に準じ
て行った。
【0046】ビカット軟化温度:曲げ弾性率測定用の試
験片を用いて、JIS K7206に準じて行った。
【0047】硬度:JIS K7215に準じて試験片
を作成して、A型試験機を用いて測定した。
【0048】アイゾット衝撃強度:JIS K7110
に準じて測定した。
【0049】内部ヘイズ:重合体に酸化防止剤、熱安定
剤を添加した混合物を造粒後、押出し機にTダイを取付
け、溶融樹脂温度230℃で厚さ0.5mmのシートを
成形し、試験片を調製した。該試験片の両面に流動パラ
フィンを塗った後、ヘイズを測定し、透明性を評価し
た。
【0050】実施例1 (予備重合)攪拌機を備えた内容積1リットルのガラス
オートクレーブ反応器を窒素ガスで充分に置換した後、
ヘキサン400mlを入れた。次いでジエチルアルミニ
ウムクロリド14.5mmol、ジエチレングリコール
ジメトキシド0.18mmolおよびヨウ化エチル1
8.1mmolを加えて反応器内温度を15℃に保っ
た。三塩化チタン(丸紅ソルベイ化学社製)18.1m
molを加えた後、プロピレンを触媒1g当たり3gと
なるように30分連続的に反応器に導入した。プロピレ
ンの供給を停止した後、反応器内を窒素ガスで充分置換
し、得られたチタン含有ポリプロピレンを分析した結
果、触媒1g当たり2.9gのプロピレンが重合されて
いた。引き続き、1−ブテンを触媒1g当たり10gと
なるように90分連続的に反応器に導入した。尚、この
間の温度は15℃に保持した。1−ブテンの供給を停止
した後、反応器内を窒素ガスで充分置換し、得られたチ
タン含有ポリ(プロピレン−1−ブテン)共重合体を精
製ヘキサンで5回洗浄した。分析の結果、触媒1g当た
り14.6gのポリマーが生成していた。
【0051】(本重合)攪拌機を備えた内容積2リット
ルのステンレス製オートクレーブ反応器を窒素ガスで充
分に置換した後、液体プロピレンを1リットル、ジエチ
ルアルミニウムクロリドを1.1mmol加え、反応器
内を55℃に昇温した。予備重合で得られたチタン含有
ポリマーを三塩化チタンとして0.14mmolを窒素
ガス雰囲気下に加えた。55℃で30分間プロピレンの
単独重合を行った後、ジエチルアルミニウムセスキエト
キシド0.33mmolおよびメタクリル酸メチル0.
055mmolを加え、引き続き水素とエチレンの導入
を開始し、エチレンガス濃度が7mol%、水素ガス濃
度が2mol%となるように供給し55℃で120分間
プロピレンとエチレンの重合を行った。重合終了後未反
応のプロピレン、エチレン、水素を除去した後プロピレ
ンオキシドと水で処理する事によりプロピレンエチレン
共重合体を得た。結果を表1および表2に示す。
【0052】実施例2〜9 実施例1の重合温度、重合時間、気相中のエチレン濃度
と水素濃度およびアルキルアルミニウムアルコキシドま
たは電子供与体の添加量を表1に示した条件に代えた事
以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1お
よび表2に示す。
【0053】実施例10 (チタン成分の調製)チタン成分の調製は、特開昭58
−83006号公報の実施例1の方法に準じて行った。
得られた固体チタン化合物は分析の結果、チタン2.1
wt%、塩素57.0wt%、マグネシウム18.0w
t%、およびジイソブチルフタレート21.9wt%で
あった。
【0054】(予備重合)攪拌機を備えた内容積1リッ
トルのガラス製オートクレーブ反応器を窒素ガスで充分
に置換した後、ヘキサン400mlを入れた。反応器内
温度を15℃に保ちトリエチルアルミニウム50mmo
l、ジフェニルジメトキシシラン10mmol、ヨウ化
エチル50mmol、及び固体チタン触媒成分をチタン
原子換算で5mmol加えた。プロピレンを触媒1g当
たり3gとなるように1時間連続的に反応器に導入し
た。プロピレンの供給を停止した後、反応器内を窒素ガ
スで充分置換し、得られたチタン含有ポリプロピレンを
分析した結果、触媒1g当たり3.0gのプロピレンが
重合されていた。
【0055】(本重合)攪拌器を備えた内容積2リット
ルのステンレス製オートクレーブ反応器を窒素ガスで充
分に置換した後、液体プロピレンを1リットル、トリエ
チルアルミニウム0.5mmolおよびジフェニルジメ
トキシシラン0.5mmolを加え、反応器内を55℃
に昇温した後、予備重合で得られたチタン含有ポリマー
をチタン原子換算で0.002mmolを窒素ガス雰囲
気下に加えた。55℃で30分間プロピレンの単独重合
を行った後、引き続き水素とエチレンの導入を開始し、
エチレンガス濃度が7mol%、水素ガス濃度が2mo
l%となるように供給し55℃で120分間プロピレン
とエチレンの重合を行った。重合終了後未反応のプロピ
レン、エチレン、水素を除去した後プロピレンオキシド
と水で処理する事によりプロピレンエチレン共重合体を
得た。結果を表1および表2に示す。
【0056】比較例1 実施例1において、プロピレンエチレンのランダム共重
合時に水素を添加しなかった事以外は実施例1と同様の
操作を行なった。得られた重合体に、1,3−ビス(t
−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、酸化防止
剤、熱安定剤を添加し造粒、射出成形した。結果を表1
および表2に示す。
【0057】比較例2 比較例1と同様にして重合した重合体に、有機過酸化物
を加えず、酸化防止剤、熱安定剤を添加し造粒、射出成
形した。結果を表1および表2に示す。
【0058】比較例3、4 ポリプロピレン成分とランダム共重合体成分をそれぞれ
別個製造し、得られた重合体に酸化防止剤、熱安定剤を
加えてドライブレンドした後、造粒、射出成形した。
尚、ランダム共重合体成分は、実施例1において第2段
重合のみを行って得られた重合体を、比較例1で用いた
過酸化物を用いて分解したものを使用した。比較例3は
ポリプロピレン成分を5wt%、比較例4はポリプロピ
レン成分を20wt%添加した。結果を表2に示す。
【0059】比較例5、6 実施例1の第1段重合のみを水素濃度2mol%で重合
して得られたポリプロピレン成分と実施例1の第2段重
合のみを行って得られたランダム共重合体成分をドライ
ブレンドした後、造粒、射出成形した。結果を表2に示
す。
【0060】比較例7 実施例1において、第1段重合時に水素を添加して重合
を行った以外は実施例1と同様の方法で行った。得られ
た重合体に酸化防止剤、熱安定剤を加えて造粒、射出成
形した。結果を表1および表2に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明における代表的な重合手順を示
すフローチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−194685(JP,A) 特開 平4−351616(JP,A) 特開 平5−306358(JP,A) 特開 平5−320468(JP,A) 特開 平7−145219(JP,A) 特開 昭58−189250(JP,A) 特開 昭61−211306(JP,A) 特開 昭62−161811(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 297/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリプロピレン成分1〜60wt%及びプ
    ロピレンエチレンランダム共重合体成分40〜99wt
    %を含むブロック共重合体であって、ポリプロピレン成
    分は極限粘度[η]が7dl/g以上、且つ、室温での
    キシレンに可溶性の成分が5wt%以下であり、プロピ
    レンエチレンランダム共重合体成分は極限粘度[η]が
    0.5〜7dl/g、且つ、室温でのキシレン可溶性の
    成分が50wt%以上であり、さらに、エチレンに基づ
    く単量体単位を5〜60mol%含むものであり、共重
    合体全体の重量平均分子量が10万〜150万であるこ
    とを特徴とするプロピレンエチレン共重合体。
  2. 【請求項2】下記成分 (A)チタン化合物 (B)有機アルミニウム化合物 および (C)電子供与体 から成る触媒の存在下に、まず、第一段重合においてプ
    ロピレンの重合を行って極限粘度[η]が7dl/g以
    上、且つ、室温でのキシレンに可溶性の成分が5wt%
    以下であるポリプロピレンを全重合量の1〜60wt%
    生成させ、次いで、第二段重合においてプロピレンとエ
    チレンの共重合を行って極限粘度[η]が0.5〜7d
    l/g、且つ、室温でのキシレン可溶性の成分が50w
    t%以上であり、エチレンに基づく単量体単位を5〜6
    0mol%含むプロピレンエチレンランダム共重合体を
    全重合量の40〜99wt%生成させることを特徴とす
    る請求項1記載のプロピレンエチレン共重合体の製造方
    法。
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