JP3311843B2 - 一次電池 - Google Patents

一次電池

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JP3311843B2
JP3311843B2 JP29338493A JP29338493A JP3311843B2 JP 3311843 B2 JP3311843 B2 JP 3311843B2 JP 29338493 A JP29338493 A JP 29338493A JP 29338493 A JP29338493 A JP 29338493A JP 3311843 B2 JP3311843 B2 JP 3311843B2
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幸治郎 石川
久典 杉本
薫 塚本
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NIPPON GRAPHITE INDUSTRIES,CO.,LTD.
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
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NIPPON GRAPHITE INDUSTRIES,CO.,LTD.
Panasonic Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、正極活物質と導電性物
質とを含有する正極合剤を備えている、一次電池に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、玩具、カメラ(電子シャッター、
フィルムの巻き上げ機構、露出計、ストロボ等)、電子
卓上計算機、補聴器、ポケットベル、ミニカセットレコ
ーダー、マイクロフォン、計測器、医療機器、通信機、
電子浮き等、小型の携帯用の電子機器一般にわたって、
一次電池の用途が増大している。また、今後、電源、電
子計器、携帯用電池の小型化が、ますます進行する。こ
のような情勢下で、一次電池の品質の向上、寿命の増大
が、ますます要求されてきている。特に、一次電池につ
いては、環境問題のために、これまで汎用されていた、
性能上有利な材料である水銀が使用できなくなったた
め、寿命が短くなっている。従って、一次電池の寿命を
延ばす技術が、強く要請されている。
【0003】現在、主に工業化されている一次電池とし
ては、マンガン電池、アルカリマンガン電池、酸化銀電
池、リチウム電池がある。これらの正極合剤を製造する
際には、次の方法が一般的である。まず、マンガン電池
の場合には、正極活物質として二酸化マンガンを使用
し、導電性物質として、カ−ボンブラック、黒鉛粉末、
又はこれらの混合粉末を使用する。これらの正極活物質
と導電性物質と電解質とを混合し、成形して正極活物質
を製造している。アルカリマンガン電池の場合には、正
極活物質として二酸化マンガンを使用し、導電性物質と
して黒鉛粉末を使用する。そして、二酸化マンガン粉末
と黒鉛粉末とを混合し、加圧成形してペレット形状の正
極合剤を製造し、この正極合剤に電解質を付与してい
る。酸化銀電池の場合には、正極活物質としての酸化銀
と、導電性物質としての黒鉛粉末とを混合し、混合物を
加圧成形してペレット形状の正極合剤を製造し、この正
極合剤に電解質を付与している。リチウム電池の場合に
は、正極活物質として二酸化マンガンを使用し、導電性
物質として、カ−ボンブラック、黒鉛粉末、又はこれら
の混合粉末を使用する。これらの正極活物質と、導電性
物質と、結着剤としてのフッ素樹脂とを混合し、混合物
を加圧成形してペレット形状の正極合剤を製造し、この
正極合剤に電解質を付与している。
【0004】一次電池に使用されている導電性物質とし
てのカ−ボンブラックは、通常、粒径0.1μm以下、
比表面積200〜800m2 /gの粉末である。こうし
た黒鉛粉末としては、リン状黒鉛粉末、リン片状黒鉛粉
末、キッシュ黒鉛粉末があるが、いずれも粒径3〜10
0μm、比表面積8〜30m2 /gの粉末である。
【0005】一次電池の正極合剤中に添加する導電性物
質に要求される特性としては、以下のものが特に重要で
ある。 (1)導電性物質の導電性が優れており、正極活物質に
対して電子を有効に供給できること。 (2)正極合剤を成形しやすいこと。 (3)電解液の保持量が大きいこと。
【0006】上記の各導電性物質のうち、カ−ボンブラ
ックは、電解液の保持量は大きいが、導電性が劣ってお
り、正極合剤の成形性も悪い。このため、特に導電性の
観点からみると、一次電池の寿命を向上させるために
は、黒鉛粉末の方が好ましい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、一次電池の品
質を向上させ、特にその寿命を長くするためには、正極
合剤中における正極活物質の含有量を増大させる必要が
ある。むろん、この場合には、正極活物質の含有比率を
上昇させた分だけ、導電性物質の含有比率を低下させる
必要がある。
【0008】ところが、このように導電性物質の含有比
率を低下させると、正極合剤が成形しにくくなり、生産
性が大幅に損なわれる。また、正極活物質へと有効に電
子を運ぶことができなくなり、かえって一次電池の寿命
が短くなっていた。
【0009】本発明の課題は、正極活物質と導電性物質
とを含有する正極合剤を備えている一次電池において、
導電性物質を変更することによって、一次電池の性能を
向上させ、特に寿命を長くできるようにすることであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係る一次電池
は、正極活物質と導電性物質とを含有する正極合剤を備
えており、導電性物質として、厚さ1μm以下、平均粒
径1〜50μm及び比表面積5〜50m2 /gの薄片状
黒鉛粉末を含有していることを特徴とする。
【0011】この薄片状黒鉛粉末の含有量は、好ましく
は、正極活物質100重量部に対して0.5〜10重量
部である。
【0012】
【作用】本発明者は、前記の課題を解決するため、鋭意
研究を重ねた。この過程において、寿命の長い一次電池
を得るためには、単に正極活物質の含有比率を増大させ
るだけでは無効であるという知見を得た。即ち、導電性
物質の含有比率を少なくしても、正極合剤の成形性を保
持でき、かつ正極活物質へと有効に電子を運ぶことがで
きるような、導電性物質が必要なのである。
【0013】本発明者は、こうした知見に立って、更に
研究を進めた。この研究の過程において、本発明者は、
従来使用されていた黒鉛粉末の形状、形態に着目した。
従来の一次電池用導電性物質としての黒鉛粉末は、リン
状、リン片状等が知られており、汎用されている。
【0014】本発明者は、こうした知見を脱却し、厚さ
1μm以下の薄片形状の黒鉛粉末を、一次電池用導電性
物質として使用してみた。この結果、正極活物質の含有
比率を増大させ、導電性物質の含有比率を少なくした場
合に、こうした薄片形状を有する黒鉛粉末を添加すれ
ば、一次電池の寿命が、本発明者の予想を越えて長くな
り、しかも、正極合剤の成形性も劣化しないことを発見
した。
【0015】この理由は明らかではない。しかし、薄片
形状の黒鉛粉末が正極合剤中で連鎖しやすく、このため
正極活物質へと電子を伝達しやすいものと考えられる。
【0016】本発明で使用する薄片状黒鉛粉末は、厚さ
1μm以下、平均粒径1〜50μm、比表面積5〜50
2 /gのものである。この厚さが1μmを越えると、
導電性、電解液の保液性が悪くなるので、黒鉛粉末の含
有比率が同じであるとすると、正極活物質へと有効に電
子を伝達できなくなるので、一次電池の寿命が低下す
る。こうした、黒鉛粉末の導電性、保液性の劣化をカバ
ーするために、黒鉛粉末の含有比率を増大させると、正
極合剤中の正極活物質の含有比率がその分減少するの
で、いずれにせよ一次電池の寿命は低下する。
【0017】薄片状黒鉛粉末の平均粒径が50μmを越
えると、正極活物質である酸化銀、二酸化マンガンの平
均粒径よりも、導電性物質である黒鉛粉末の平均粒径の
方が大きくなってしまうため、正極合剤全体に分散して
いる正極活物質へと、均一かつ有効に電子を運ぶことが
できなくなる。このため、一次電池の寿命が低下する。
【0018】薄片状黒鉛粉末の平均粒径が1μm未満で
あると、正極合剤が成形しにくくなる。また、1μm未
満の平均粒径を有する黒鉛粉末は、工業的に量産するこ
とが困難であり、仮に工業的に生産できたとしても、非
常に高コストとなる。
【0019】また、薄片状黒鉛粉末の平均粒径と比表面
積との間には、かなり相関があり、平均粒径が小さくな
ると、比表面積が増大する。このため、実際に生産して
みると、薄片状黒鉛粉末の比表面積は、5〜50m2
gの範囲内である。
【0020】薄片状黒鉛粉末の平均粒径は、好ましくは
1〜30μmであり、比表面積は、好ましくは10〜3
0m2 /gである。薄片状黒鉛粉末の厚さは、電子顕微
鏡によって判定することができる。
【0021】
【実施例】本発明で使用する薄片状黒鉛粉末を製造する
際に使用可能な原料としては、天然リン状黒鉛粉末、熱
分解黒鉛粉末、キッシュ黒鉛粉末がある。また、これら
の各黒鉛粉末を、濃硫酸、硝酸等の、強力な酸化剤の混
酸で処理し、次いで加熱膨張化処理して得た、膨張黒鉛
を使用することができる。
【0022】これらの天然リン状黒鉛粉末、熱分解黒鉛
粉末、キッシュ黒鉛粉末、膨張黒鉛粉末等を、液体中に
分散させ、この液体に粉砕メディアを作用させて黒鉛粉
末を磨耗、粉砕することにより、薄片状黒鉛粉末を得る
ことができる。膨張黒鉛の履歴は、特に限定されない。
【0023】また、黒鉛粉末を薄片化する方法も、必ず
しも上記の方法には限定されない。例えば、黒鉛粉末を
液体中に入れ、この中で黒鉛粉末を超音波粉砕すること
により、前記の特性値を有する薄片状黒鉛粉末を製造す
ることができる。また、膨張黒鉛粉末を乾式衝撃粉砕す
ることによって、前記の特性値を有する薄片状黒鉛粉末
を製造することができる。
【0024】正極活物質100重量部に対して、薄片状
黒鉛粉末を0.5〜10重量部添加することが好まし
い。これが0.5重量部未満であると、正極合剤の成形
性、保液性が悪く、また、正極合剤全体に分散している
正極活物質へと、均一かつ有効に電子を運ぶことができ
なくなる。このため、一次電池の寿命が低下する。
【0025】また、薄片状黒鉛粉末の含有比率が10重
量部を越えると、正極合剤中における正極活物質の量が
少なくなるので、やはり一次電池の寿命が低下する。
【0026】カ−ボンブラックを、薄片状黒鉛粉末と併
用することができる。しかし、黒鉛粉末の場合には、薄
片状黒鉛粉末が導電性物質全体の50重量%以上を占め
ていることが、本発明の効果を発揮させるために、好ま
しい。更に説明すると、カ−ボンブラックは、電解液の
保液性が優れているが、導電性が劣る。一方、通常の黒
鉛粉末は、電解液の保液性が劣っている。
【0027】従って、従来は、導電性、成形性の観点か
らみると黒鉛粉末のみを使用したい場合でも、導電性物
質に保液性を付与するために、カ−ボンブラックを多量
に混合する場合が多かった。この点、本発明で使用する
薄片状黒鉛粉末は、通常の黒鉛粉末と比較して電解液の
保液性が優れているため、従来添加されていたカ−ボン
ブラックを、置換することができる。
【0028】この結果、正極合剤における電解液の保持
量を減らすことなしに、カ−ボンブラックの添加量を減
らし、あるいは無くすることが可能になった。これによ
り、従来カ−ボンブラックを添加していた用途におい
て、正極合剤全体の導電性、成形性を、大きく向上させ
ることができる。
【0029】正極活物質としては、公知の材料(二酸化
マンガン、酸化銀等)を使用することができる。電解液
としては、公知の電解液(水酸化カリウム、プロピレン
カーボネート、エチレンカーボネート等)を使用するこ
とができる。セパレーター、負極の材料についても、公
知の材料を使用することができる。また、一次電池の製
造方法についても、公知の製造方法を適用することがで
きる。
【0030】以下、更に具体的に、本発明の実施例、比
較例を説明する。最初に、マンガン電池に本発明を適用
した実験結果について述べる。
【0031】(実施例1─1及び比較例1─1)導電性
物質として、薄片状黒鉛粉末を準備した。この薄片状黒
鉛粉末の厚さは平均0.05μmであり、平均粒径は1
μmであり、比表面積は50m2 /gである。この薄片
状黒鉛粉末23重量部と二酸化マンガン100重量部と
を均一に混合し、この混合物に、電解液(塩化アンモニ
ウム+塩化亜鉛の水溶液)をスプレー状にして添加し、
混合し、正極合剤の内部まで充分に電解液を浸透させ
た。
【0032】こうして製造した正極合剤を正極炭素棒に
密着させ、成形した。この成形体を正極として使用し、
実施例1─1のマンガン電池を製造した。
【0033】また、実施例1─1において、導電性物質
として、通常マンガン電池に使用されているアセチレン
ブラックを使用し、比較例1─1のマンガン電池を製造
した。これらのマンガン電池について、電気特性及び放
電特性を測定した。これらの測定方法は、次のように行
い、比較例1─1における特性を100としたときの相
対値で示した。この結果を表1に示す。
【0034】(電気特性)開路電圧は、内部電圧が充分
に大きい電圧計で測定した。内部抵抗は、周波数1キロ
ヘルツの交流法で測定した。短絡電流は、外部回路を用
いて短絡させ、瞬間的に流れる電流を測定した。
【0035】(放電特性)負荷抵抗を2Ωとし、放電様
式を連続放電とし、終止電圧を0.9Vとした。作成し
た電池に、2Ωの外部抵抗値を有する機器を取り付け、
電流を連続して流し、電池の電圧が0.9Vになるまで
の時間を測定した。
【0036】
【表1】
【0037】この結果、実施例1─1のマンガン電池で
は、電気特性が107となり、放電特性が110にまで
向上した。
【0038】次に、アルカリマンガン電池に本発明を適
用した実験結果について述べる。 (実施例2─1)導電性物質として、薄片状黒鉛粉末を
準備した。この薄片状黒鉛粉末の厚さは平均0.05μ
mであり、平均粒径は2μmであり、比表面積は25m
2 /gである。この薄片状黒鉛粉末5重量部と二酸化マ
ンガン100重量部とを均一に混合した。
【0039】この混合物に、電解液(9M水酸化カリウ
ム水溶液)をスプレー状にして添加し、混合し、混合物
を圧縮し、整粒して正極合剤を製造した。この正極合剤
を成形してペレットを得、このペレットを正極として使
用し、アルカリマンガン電池を製造した。
【0040】(実施例2─2)導電性物質として、薄片
状黒鉛粉末を準備した。この薄片状黒鉛粉末の厚さは平
均0.2μmであり、平均粒径は13μmであり、比表
面積は18m2 /gである。この薄片状黒鉛粉末10重
量部と二酸化マンガン100重量部とを均一に混合し
た。他は実施例2─1と同様にして、実施例2─2のア
ルカリマンガン電池を製造した。
【0041】(実施例2─3)導電性物質として、薄片
状黒鉛粉末を準備した。この薄片状黒鉛粉末の厚さは平
均0.2μmであり、平均粒径は13μmであり、比表
面積は18m2 /gである。また、リン状黒鉛粉末を準
備した。このリン状黒鉛粉末の厚さは平均3μmであ
り、平均粒径は13μmであり、比表面積は7m2 /g
である。
【0042】この薄片状黒鉛粉末5重量部と、このリン
状黒鉛粉末5重量部と、二酸化マンガン100重量部と
を均一に混合した。他は実施例2─1と同様にして、実
施例2─3のアルカリマンガン電池を製造した。
【0043】(比較例2─1)導電性物質として、リン
状黒鉛粉末を準備した。このリン状黒鉛粉末の厚さは平
均3μmであり、平均粒径は13μmであり、比表面積
は7m2 /gである。このリン状黒鉛粉末10重量部と
二酸化マンガン100重量部とを、均一に混合した。他
は実施例2─1と同様にして、比較例2─1のアルカリ
マンガン電池を製造した。
【0044】(比較例2─2)導電性物質として、リン
状黒鉛粉末を準備した。このリン状黒鉛粉末の厚さは平
均2μmであり、平均粒径は3μmであり、比表面積は
14m2 /gである。このリン状黒鉛粉末8重量部と二
酸化マンガン100重量部とを、均一に混合した。他は
実施例2─1と同様にして、比較例2─2のアルカリマ
ンガン電池を製造した。
【0045】実施例2─1、2─2、2─3及び比較例
2─1、2─2のアルカリマンガン電池について、それ
ぞれ、成形性、電気特性及び放電特性を測定した。比較
例2─2における測定値を100としたときの相対値
を、表2に示す。
【0046】この際、成形性は、次のようにして評価し
た。ペレットを成形したあと、このペレットに対して、
成形圧力のかかった方向に対して垂直な方向から圧力を
加え、ペレットの破壊強度を測定した。また、放電特性
を測定する際には、負荷抵抗を3.9Ωとし、放電様式
を連続放電とし、終止電圧を0.9Vとした。
【0047】
【表2】
【0048】表2の結果から判るように、本発明の実施
例2─1、2─2、2─3に係るアルカリマンガン電池
では、成形性、電気特性、放電特性が優れている。実施
例2─1と2─2とを比較すると、成形性の点では、薄
片状黒鉛粉末の平均粒径が大きい実施例2─2の方が優
れている。しかし、電気特性、放電特性の点では、薄片
状黒鉛粉末の平均粒径が小さい実施例2─1の方が優れ
ている。
【0049】実施例2─2と2─3とを比較すると、従
来のリン状黒鉛粉末を混合した実施例2─3の方が、成
形性の点でかなり劣っており、電気特性、放電特性はあ
まり変わらない。
【0050】次いで、酸化銀電池に対して本発明を適用
した例について述べる。 (実施例3─1)導電性物質として、薄片状黒鉛粉末を
準備した。この薄片状黒鉛粉末の厚さは平均0.1μm
であり、平均粒径は5μmであり、比表面積は20m2
/gである。この薄片状黒鉛粉末3重量部と二酸化マン
ガン100重量部とを均一に混合し、ペレットを成形し
た。このペレットを正極合剤として使用し、酸化銀電池
を製造した。
【0051】(比較例3─1)導電性物質として、リン
状黒鉛粉末を準備した。このリン状黒鉛粉末の厚さは平
均2μmであり、平均粒径は5μmであり、比表面積は
18m2 /gである。このリン状黒鉛粉末3重量部と二
酸化マンガン100重量部とを均一に混合し、ペレット
を成形した。このペレットを正極合剤として使用し、酸
化銀電池を製造した。
【0052】実施例3─1及び比較例3─1の酸化銀電
池について、それぞれ、成形性、電気特性及び放電特性
を測定した。この際、比較例3─1における測定値を1
00としたときの相対値を、表3に示す。放電特性を測
定する際には、負荷抵抗を15KΩとし、放電様式を連
続放電とし、終止電圧を1.4Vとした。
【0053】
【表3】
【0054】表3の結果から判るように、実施例3─1
の酸化銀電池は、成形性、電気特性、放電特性ともに優
れている。
【0055】次いで、二酸化マンガン─リチウム電池に
対して本発明を適用した例について述べる。 (実施例4─1)導電性物質として、薄片状黒鉛粉末を
準備した。この薄片状黒鉛粉末の厚さは平均0.05μ
mであり、平均粒径は3μmであり、比表面積は23m
2 /gである。この薄片状黒鉛粉末5重量部と、二酸化
マンガン100重量部と、フッ素系樹脂1重量部とを混
合し、混合物を圧縮及び整粒して正極合剤を製造し、こ
のペレットを成形した。このペレットを正極として使用
し、二酸化マンガン─リチウム電池を製造した。
【0056】(実施例4─2)導電性物質として、薄片
状黒鉛粉末を準備した。この薄片状黒鉛粉末の厚さは平
均0.5μmであり、平均粒径は30μmであり、比表
面積は10m2 /gである。この薄片状黒鉛粉末10重
量部と、二酸化マンガン100重量部と、フッ素系樹脂
1重量部とを混合し、混合物を圧縮及び整粒して正極合
剤を製造し、このペレットを成形した。このペレットを
正極として使用し、二酸化マンガン─リチウム電池を製
造した。
【0057】(比較例4─1)導電性物質として、二酸
化マンガン─リチウム電池において通常使用されている
人造黒鉛を準備した。この人造黒鉛の厚さは平均5μm
であり、平均粒径は7μmであり、比表面積は15m2
/gである。この人造黒鉛10重量部と、二酸化マンガ
ン100重量部と、フッ素系樹脂1重量部とを混合し、
混合物を圧縮及び整粒して正極合剤を製造し、このペレ
ットを成形した。このペレットを正極として使用し、二
酸化マンガン─リチウム電池を製造した。
【0058】実施例4─1、実施例4─2及び比較例4
─1の二酸化マンガン─リチウム電池について、それぞ
れ、成形性、電気特性及び放電特性を測定した。この
際、比較例4─1における測定値を100としたときの
相対値を、表4に示す。放電特性を測定する際には、負
荷抵抗を68KΩとし、放電様式を連続放電とし、終止
電圧を2.5Vとした。
【0059】
【表4】
【0060】表4の結果から判るように、実施例4─
1、4─2の二酸化マンガン─リチウム電池は、成形
性、電気特性、放電特性ともに優れている。実施例4─
1と4─2とを比較すると、薄片状黒鉛粉末の平均粒径
が相対的に大きい実施例4─2の方が、成形性が優れて
いる。電気特性及び放電特性は、実施例4─1の方が優
れている。
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、一次電池の正極合剤に
添加する導電性物質として、特定の薄片状黒鉛粉末を使
用することにより、従来の黒鉛粉末と比較して、正極合
剤中の正極活物質に対して、極めて有効に電子を運ぶこ
とができ、また、正極合剤の成形性も向上する。この結
果、一次電池の寿命が延びるし、正極合剤の生産性も高
く、不良品も発生しない。
【0062】また、従来の一次電池中における導電性物
質と比較して、導電性物質の添加量を減らしても、正極
合剤中の正極活物質に対して有効に電子を運ぶことがで
き、また、正極合剤の成形性も劣化しない。このように
導電性物質の添加量を減らすことにより、一次電池の寿
命を長くすることが、本発明により可能になった。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01M 4/06 H01M 4/06 L (72)発明者 塚本 薫 滋賀県大津市栗林町5番1号 日本黒鉛 工業株式会社 瀬田工場内 (56)参考文献 特開 昭53−135429(JP,A) 特開 昭58−73957(JP,A) 特開 昭59−16274(JP,A) 特開 平4−171665(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 4/00 - 4/62

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極活物質と導電性物質とを含有する正
    極合剤を備えている一次電池であって、前記導電性物質
    として、厚さ1μm以下、平均粒径1〜50μm及び比
    表面積5〜50m2 /gの薄片状黒鉛粉末を含有してい
    ることを特徴とする、一次電池。
  2. 【請求項2】 前記正極活物質100重量部に対して、
    前記薄片状黒鉛粉末が0.5〜10重量部含有されてい
    る、請求項1記載の一次電池。
JP29338493A 1993-11-24 1993-11-24 一次電池 Expired - Lifetime JP3311843B2 (ja)

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