JP3311534B2 - 光起電力素子 - Google Patents
光起電力素子Info
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Description
光起電力素子に関するものである。
電変換効率向上のためには、入射光の有効利用が重要で
ある。このために、特開昭62−7716号に開示され
る如く、透明電極の表面を凸凹化、所謂テクスチャ化
し、入射光をその表面で散乱させて主たる光発電層中で
の入射光の光路長を伸ばすことにより、入射光の有効利
用を図った太陽電池が知られている。
として、特開昭55−108780号に開示される如
く、裏面電極とドープ層との界面に透明導電層を備えた
ことで、ドープ層側から透過して裏面電極に達した光の
反射率を増大させた太陽電池が知られている。
同図に於いて、1はガラス基板、2は表面がテクスチャ
化された透明電極である。3は太陽電池層であり、p型
非晶質シリコンカーバイドから成るp層3p、主たる光
発電層となるi型非晶質シリコンから成るi層3i及び
n型非晶質シリコンから成るn層3nから成る。また4
は透明導電層であり、5はAg,Al等の金属から成る
裏面電極である。
2のテクスチャ化された表面で散乱され太陽電池層3に
入る。この時太陽電池層3中に斜めに入る光の割合が増
加しているので、該層3中での光路長が増大することに
より光の吸収量が増え、このため入射光の有効利用が図
れる。
に透過した光は、裏面電極5に反射され再び太陽電池層
3に入射する。この時光透過側のドープ層であるn層3
nと裏面電極5との界面に透明導電層4が備えられてい
るので、該界面においてn層3nを構成するn型非晶質
シリコンと裏面電極5を構成する金属との合金化が生じ
ない。このために裏面電極5は高い反射率を保持するこ
とができるので、太陽電池層3に再び入射する光の量が
増し、光の有効利用を図れる。
電極を用いると、表面がテクスチャ化されているために
太陽電池層内で電界の不均一が生じ、太陽電池特性の一
つである曲線因子(F.F.)が低下するという問題が
あった。
導電層を設けた太陽電池では、該界面に於ける合金化の
問題は解決できるものの、裏面電極で反射された光には
散乱成分が少ないために反射光の太陽電池層中での光路
長は短く、この点に改善の余地が残されていた。
射光を有効に利用することにより、光電変換効率の高い
光起電力素子を提供することを目的とする。
は、光活性な半導体から成り、内部に半導体接合を少な
くとも一つは有する光起電力素子に於いて、光入射側に
位置するドープ層の少なくとも一部或いは主たる光発電
層の光入射側の一部に多結晶半導体層を備え、該多結晶
半導体層中には、該層の構成物質よりも光屈折率の小さ
い物質の粒がランダムに分散していることを特徴とす
る。
導体接合を少なくとも一つは有する光起電力素子に於い
て、光透過側に位置するドープ層の少なくとも一部或い
は主たる光発電層の光透過側の一部に多結晶半導体層を
備え、該多結晶半導体層中には、該層の構成物質よりも
光屈折率の小さい物質の粒がランダムに分散しているこ
とを特徴とする。
に半導体接合を少なくとも一つは有する光起電力素子に
於いて、光入射側に位置するドープ層の少なくとも一部
或いは主たる光発電層の光入射側の一部と、光透過側に
位置するドープ層の少なくとも一部或いは主たる光発電
層の光透過側の一部とに多結晶半導体層を備え、該多結
晶半導体層中には、該層の構成物質よりも光屈折率の小
さい物質の粒がランダムに分散していることを特徴とす
る。
コン酸化物,シリコン窒化物,酸化鉛,酸化錫,Cd
S,ZnP、或いはこれらの混合物を用いることができ
る。
径が10nm以上、好ましくは30nm以上であること
を特徴とする。
成り、内部に半導体接合を少なくとも一つは有する光起
電力素子であり、光入射側に位置するドープ層の少なく
とも一部に多結晶半導体層を備え、該多結晶半導体層中
には、該層の構成物質よりも光屈折率の小さい物質の粒
がランダムに分散している。もしくは、前記多結晶半導
体層を、主たる光発電層の光入射側の一部に備えてい
る。このために、入射光は多結晶半導体層中の光屈折率
の小さい物質の粒により散乱され、表面をテクスチャ化
した透明電極を用いなくとも太陽電池層中での光路長を
増大できる。従って、F.F.の低下を生じさせること
なく入射光の有効利用が図れる。
結晶半導体層を、光透過側に位置するドープ層の少なく
とも一部、或いは主たる光発電層の光透過側の一部に備
えている。このために、半導体層を通過してきた光は多
結晶半導体層中の光屈折率の小さい物質の粒により散乱
され、角度を変えて裏面電極に到達する。従って、裏面
電極での反射光の散乱成分が増加し、光路長が増大する
ため入射光の有効利用が図れる。
の多結晶半導体層を、光入射側に位置するドープ層の少
なくとも一部或いは主たる光発電層の光入射側の一部
と、光透過側に位置するドープ層の少なくとも一部或い
は主たる光発電層の光透過側の一部とに備えている。こ
のために、上記の二つの効果を組み合わせた光起電力素
子を提供でき、光電変換効率の高い光起電力素子を提供
できる。
コン酸化物,シリコン窒化物,酸化鉛,酸化錫,Cd
S,ZnP、或いはこれらの混合物を用いることができ
る。
10nm以上、さらに好ましくは30nm以上であるの
で、入射光を効果的に散乱できる。
す構造図である。同図に於いて、1はガラス基板、2は
SnO2から成る膜厚6000Åの透明電極であり、表
面はテクスチャ化していない。3は太陽電池層であり、
SiO2の粒を内部に含むp型多結晶シリコンから成る
膜厚1000Åのp層3p、主たる光発電層となるi型
非晶質シリコンから成る膜厚4000Åのi層3i、及
びn型非晶質シリコンから成る膜厚100Åのn層3n
から構成される。また4はITOから成る透明導電層で
あり、5はAgから成る裏面電極である。
i層3i及びn層3nは、プラズマCVD法を用いて形
成した。また透明導電層4及び裏面電極5はスパッタ法
で形成した。
ドープ層であるp層3を、SiO2粒を内部に含むp型
多結晶シリコンで構成している。このp層3pは、まず
プラズマCVD法を用いて酸素を含むp型非晶質シリコ
ンを形成した後に、レーザアニールを施して結晶化さ
せ、形成した。p型非晶質シリコンの形成条件及びレー
ザアニール条件を表1及び表2に示す。
を形成した後にレーザアニールを施すと、非晶質シリコ
ンは結晶化して多結晶シリコンとなる。この時非晶質シ
リコン中に含まれていた酸素は、SiO2もしくはこれ
に近い組成のシリコン酸化物として多結晶シリコン中に
ランダムに分散して偏析し、粒状になる。以上の工程
で、SiO2の粒を内部に含むp型多結晶シリコンが形
成される。尚SiO2の粒の粒径は、非晶質シリコンの
形成条件、或いはレーザアニールの条件を変えることで
制御できる。
約1.5と多結晶シリコンの屈折率(約3.4)よりも
小さいために、本実施例の光起電力素子に光が入射する
と、光はp層3pを構成するp型多結晶シリコン中のS
iO2の粒により散乱され、入射角度を変えて太陽電池
層3に入射する。従って、本実施例の光起電力素子は、
表面をテクスチャ化した透明電極を用いずに、太陽電池
層3中での光の光路長を増大できる。このため表面をテ
クスチャ化した透明電極を用いたときに問題となってい
た、電界の不均一によるF.F.の低下を生じさせるこ
となく出力電流を増大できるので、光電変換効率を向上
できる。
実施例の光起電力素子の光電変換効率を示す。尚、比較
例として表面をテクスチャ化しない透明電極を用いた構
造の光起電力素子を形成したが、この光起電力素子の光
電変換効率は9.5%であった。
力素子の光電変換効率は、SiO2粒の粒径が5nmの
場合には光の散乱が充分ではなく、9.5%と比較例の
光起電力素子と同じであった。しかし、粒径が大きくな
るに連れ光電変換効率は向上し、粒径が10nmになる
と10.5%と、図8に示した従来構造の光起電力素子
と同程度の光電変換効率が得られ、特に30nm以上で
はほぼ11%の高い光電変換効率が得られた。
表面のテクスチャ化の度合いが小さいSnO2で構成す
ると、F.F.の低下も少なくまた入射光の散乱の効果
を一層高めることができるので、光電変換効率のより一
層の向上が図れる。
るp層3pの全体をSiO2の粒を内部に含むp型多結
晶シリコンで構成したが、上記の説明から明らかなよう
に、p層の一部をSiO2の粒を内部に含むp型多結晶
シリコンで構成しても良い。或いは主たる光発電層であ
るi層の光入射側の一部に、SiO2の粒を内部に含む
i型多結晶シリコン層を設けても同じ効果が得られる。
図2及び図3はこの例を示し、図2はSiO2の粒を内
部に含むp型多結晶シリコン層31pをp層3pの一部
に設けた光起電力素子の構造図、また図3はSiO2の
粒を内部に含むi型多結晶シリコン層31iをi層3i
の光入射側の一部に設けた光起電力素子の構造図であ
る。尚、図2に於いて32pはp型の非晶質シリコン層
であり、図3に於いて、32i及び33iはi型の非晶
質シリコン層である。図3(b)に示すように、i層3
iの光入射側の一部にSiO2の粒を内部に含むi型多
結晶シリコン層を設ける場合、該層をp層3pと接して
設ける必要はない。
例を示す構造図である。同図に於いて、1はガラス基
板、2は膜厚6000Åの、表面がテクスチャ化された
SnO 2から成る透明電極である。3は太陽電池層であ
り、p型非晶質シリコンカーバイドから成る膜厚100
Åのp層3p、主たる光発電層であるi型非晶質シリコ
ンから成る膜厚3000Åのi層3i、及び光透過側の
ドープ層である、SiO 2の粒を内部に含むn型多結晶
シリコンから成る膜厚1000Åのn層3nから構成さ
れる。4はITOから成る透明導電層であり、5はAg
から成る裏面電極である。
る。SiO2の粒を内部に含むn型多結晶シリコンから
成るn層3nは、プラズマCVD法を用いて酸素を含む
n型非晶質シリコンを形成した後に、レーザアニールを
施すことで結晶化させて形成した。
と、i層3に吸収されず、該層を透過した光はn層3n
を構成するn型多結晶シリコン中のSiO2粒により散
乱される。散乱された光は角度を変えて裏面電極5に到
達するために、裏面電極5で反射されて再度太陽電池層
3に入射する光も散乱成分が多くなる。このために太陽
電池層3内での光の光路長が増大し光の有効利用が図
れ、出力電流が増大することにより、光電変換効率が向
上する。
成した本実施例の光起電力素子の光電変換効率を示す。
尚、図8に示した従来構造の光起電力素子の光電変換効
率は10.5%であった。
力素子の光電変換効率は、SiO2粒の粒径が5nmの
場合には光の散乱が充分ではなく、10.5%と従来構
造の光起電力素子と同じであった。しかし、粒径が大き
くなるに連れ光電変換効率は向上し、粒径が10nmで
は10.6%と従来よりも高い光電変換効率が得られ、
特に30nm以上では11%以上の高い光電変換効率が
得られた。
あるn層3nの全体を、SiO2の粒を内部に含むn型
多結晶シリコンで構成したが、前述の実施例と同様に、
n層の一部をSiO2の粒を内部に含むn型多結晶シリ
コンで構成しても良いし、i層の光透過側の一部にSi
O2の粒を内部に含むi型多結晶シリコン層を設けても
同じ効果が得られる。図5にこれらの一例を示す。同図
は、n層3nの光透過側の一部にSiO2の粒を内部に
含むn型多結晶シリコン層32nを設けた光起電力素子
の構造図である。
の構造図である。同図(a)ではp層3p及びn層3n
を、それぞれがSiO2の粒を内部に含むp型多結晶シ
リコン及びn型多結晶シリコンで構成している。また、
同図(b)は、p層3p及びi層の光透過側の一部31
iを、それぞれがSiO2の粒を内部に含むp型多結晶
シリコン及びi型多結晶シリコンで構成した光起電力素
子の構造図である。これらの構造にすることで、光入射
側及び裏面側での光の散乱効果を同時に達成することが
できるので、入射光のより一層の有効利用が図れる。
尚、図6(b)の構造の代わりに、i層の光入射側の一
部及びn層を、それぞれがSiO2の粒を内部に含むi
型多結晶シリコン及びn型多結晶シリコンで構成しても
同様の効果が得られることは言うまでもない。
して非晶質シリコンを用いたが、これに限るものでな
く、例えばa−SiGe:H、結晶シリコン、多結晶シ
リコン等を主たる光発電層とした光起電力素子にも適用
できる。
コンを用いた光起電力素子の構造図である。同図に於い
て、7はステンレス基板、8は主たる発電層となる膜厚
2μmのSiO2粒を内部に含むn型多結晶シリコン層
である。9は膜厚50Åのi型非晶質シリコンから成る
バッファ層、10は膜厚200Åのp型非晶質シリコン
から成るp層、10は膜厚1000ÅのITOから成る
透明電極、11はAgから成る集電極である。
は、プラズマCVD法を用いて表1と同じ条件で酸素を
含むn型非晶質シリコンを形成した後に、真空中で10
時間800℃の温度で熱アニールを施すことにより固相
成長させて形成した。固相成長の場合も、前述したレー
ザアニールの場合と同様に、非晶質シリコンは多結晶シ
リコンとなるが、その際に非晶質シリコン中に含まれる
酸素はSiO2或いはこれに近い組成で多結晶シリコン
中にランダムに分散して偏析し、粒状となる。
シリコン8中のSiO2粒により散乱され、光の光路長
が増大することにより出力電流が向上する。
実施例で述べてきたSiO2以外に、シリコン窒化物、
酸化鉛、酸化錫、CdS、ZnP或いはこれらの混合物
を用いることができる。
さい物質の粒がランダムに分散した多結晶半導体層を、
光起電力素子層の一部に備えている。入射光は多結晶半
導体層中の光屈折率の小さい物質の粒により散乱され
る。このため、該層を設けた位置に応じて、光起電力素
子層中での光路長が増大する、或いは裏面での反射光の
散乱成分が増える、もしくはこの両方の効果が発生し、
入射光の有効利用が図れる。
ン酸化物,シリコン窒化物,酸化鉛,酸化錫,CdS,
ZnP、或いはこれらの組み合わせを用いていることが
できる。
10nm以上、好ましくは30nm以上としているの
で、入射光を効果的に散乱できる。
造図である。
ン層をp層の一部に設けた光起電力素子の構造図であ
る。
ン層をi層の光入射側の一部に設けた光起電力素子の構
造図である。
ン層をn層に設けた光起電力素子の構造図である。
ン層をn層の一部に設けた光起電力素子の構造図であ
る。
シリコン層を、p層及びn層、或いはp層及びi層の光
透過側の一部に設けた光起電力素子の構造図である。
た本発明の光起電力素子の実施例を示す構造図である。
‥p層、3i‥i層、3n‥n層、4‥透明導電層、5
‥裏面電極、6‥入射光、7‥ステンレス基板 8‥SiO2を内部に含む多結晶シリコン層、9‥バッ
ファ層、10‥透明電極 11‥集電極、31p‥SiO2の粒を内部に含むp型
多結晶シリコン層、31i‥SiO2の粒を内部に含む
i型多結晶シリコン層、32n‥SiO2の粒を内部に
含むn型多結晶シリコン層
Claims (4)
- 【請求項1】 光活性な半導体から成り、内部に半導体
接合を少なくとも一つは有する光起電力素子に於いて、
光入射側に位置するドープ層の少なくとも一部或いは主
たる光発電層の光入射側の一部に多結晶半導体層を備
え、該多結晶半導体層中には、該層の構成物質よりも光
屈折率の小さい物質の粒がランダムに分散していること
を特徴とする光起電力素子。 - 【請求項2】 光活性な半導体から成り、内部に半導体
接合を少なくとも一つは有する光起電力素子に於いて、
光透過側に位置するドープ層の少なくとも一部或いは主
たる光発電層の光透過側の一部に多結晶半導体層を備
え、該多結晶半導体層中には、該層の構成物質よりも光
屈折率の小さい物質の粒がランダムに分散していること
を特徴とする光起電力素子。 - 【請求項3】 光活性な半導体から成り、内部に半導体
接合を少なくとも一つは有する光起電力素子に於いて、
光入射側に位置するドープ層の少なくとも一部或いは主
たる光発電層の光入射側の一部と、光透過側に位置する
ドープ層の少なくとも一部或いは主たる光発電層の光透
過側の一部とに多結晶半導体層を備え、該多結晶半導体
層中には、該層の構成物質よりも光屈折率の小さい物質
の粒がランダムに分散していることを特徴とする光起電
力素子。 - 【請求項4】 前記光屈折率の小さい物質の粒の粒径が
10nm以上であることを特徴とする、請求項1、2及
び3記載の光起電力素子。
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