JP3306717B2 - ケイ素含有重合体及びその製造方法 - Google Patents

ケイ素含有重合体及びその製造方法

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JP3306717B2 JP08644992A JP8644992A JP3306717B2 JP 3306717 B2 JP3306717 B2 JP 3306717B2 JP 08644992 A JP08644992 A JP 08644992A JP 8644992 A JP8644992 A JP 8644992A JP 3306717 B2 JP3306717 B2 JP 3306717B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繊維、紙、プラスチッ
ク表面、金属表面等の処理剤や、接着剤、印刷インキ、
電子写真用トナー、塗料、ゴムローラー材料、ゴムロー
ラー塗布材等に有用なケイ素含有非水系重合体及びその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】塗料、電子写真用液体現像剤、インク等
に使用される非水系の樹脂分散液は良く知られており、
多数の出願が公開されている(例えば、特開昭62−1
8410、特開昭59−100115、特開昭57−1
92417、特開昭56−79112)。これらの出願
では、粘度、流動性、保存性、接着強度、塗膜の乾燥性
など利用面からの各種物性が向上するよう種々の提案が
なされているが、すべての点で満足できるものは見当ら
ない。例えば、特開昭62−18410に開示された方
法は、脂肪族炭化水素溶媒中で
【化3】 (RはH又はCH3、Xは−COOCnH2n+1である。
nは6〜20の整数)と、
【化4】 (R′,R″は同一でも異なっていても良く、それぞれ
H又はCH3であり、mは1〜20の整数)と、カルボ
キシル基又はグリシジル基を持つモノマーの3者を共重
合させて得られる非水系樹脂分散液であるが、この分散
液は全体としてすぐれているが、顔料の分散性が充分で
なく、塗料用や電子写真用液体現像剤としては好適と言
えない。
【0003】ここに示した事例からも分かるように、従
来のビニル重合用溶媒は炭化水素系等の溶媒を使用する
のが一般であり、代表的な非水系のビニル系樹脂製造法
である特公昭40−19186、特公昭45−1454
5、特公昭56−9189等もトルエン、キシレン、ベ
ンゼン等の芳香族炭化水素、n−ヘキサン、イソドデカ
ン等の脂肪族炭化水素やエステル、アルコールを溶媒と
している。これらの重合溶媒は安価で樹脂の溶解性がす
ぐれ、揮発性も良いなど利点も多いが、環境衛生上や安
全性等に問題があるうえ、生成した樹脂の物性面でも撥
水性、撥油性、電気絶縁性などを中心に充分満足できる
ものではなかった。また、従来の重合溶媒は樹脂の溶解
性が高いため、得られた樹脂を溶媒から分離するため樹
脂を溶解しない溶媒を加えて樹脂を析出させたり、溶媒
を蒸発分離するなどエネルギー多消費で手間のかかる分
離法が必要であった。さらに、最近の研究で表面処理な
どに使用する樹脂分散液用溶剤としてsp値(溶解度パ
ラメーター)の低いシリコーン油やフッ素系溶剤が注目
されているが、前記した従来の重合溶媒で製造したビニ
ル重合体はシリコーン油やフッ素系溶剤に分散又は溶解
しない場合が多かった。
【0004】本発明者らは、芳香族炭化水素系溶媒を中
心とする従来の重合溶媒を改良する目的で、シリコーン
油やフッ素系溶剤を溶媒とする重合方法を見出し先に特
許を出願した(特願平2−20224、43602、9
4638)。この先願で、環境衛生面、安全面、重合
率、生成した樹脂の撥水・撥油性及び電気絶縁性、溶媒
からの樹脂の分離性等多くの点で従来法より格段の進歩
が認められたが、樹脂体の構造は従来のビニル重合体と
ほぼ同一のため、樹脂自体の性能面で充分満足できると
はいえなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、無臭
で安全性が高く、撥水・撥油性及び電気絶縁性にすぐ
れ、重合溶媒との分離が容易に行われるうえ、シリコー
ン油やフッ素系溶剤等のsp値が低い溶媒に溶解又は分
散が容易で、さらに分散安定性や成膜性、接着性等の点
でも優秀な非水系重合体及び該重合体を含む非水系分散
体を提供することであリ、また、本発明の他の目的は、
製造工程が簡単で、反応時間が短かく、生産性が高く、
しかも高収率でバラツキの少ない前記非水系重合体の製
造方法を提供することである。
【0006】
【発明を解決するための手段】本発明によれば、下記一
般式(1)で表わされる重合性ケイ素化合物を主成分と
する原料モノマーを重合させて得られた重合体が提供さ
れる。
【化1】 より選ばれ、全部が異っていても一部又は全部が同一で
あっても良く、R8はH又はCH3であり、n1は1〜5
00の整数、n2は1〜10の整数を表わす。但し、R1
〜R7の全てが−CnH2n+1(n=1〜10の整数)及び
/又は−Phである場合を除く。) また、本発明によれば、下記一般式(1)で表わされる
重合性ケイ素化合物と下記一般式(2)で表わされる2
官能性(メタ)アクリレートモノマーを主成分とする原
料モノマーを重合させて得られた共重合体が提供され
る。
【化1】 より選ばれ、全部が異っていても一部又は全部が同一で
あっても良く、R8はH又はCH3であり、n1は1〜5
00の整数、n2は1〜10の整数を表わす。但し、R1
〜R7の全てが−CnH2n+1(n=1〜10の整数)及び
/又は−Phである場合を除く。)
【化2】 (式中、R9、R10はH又はCH3基、mは1〜20の整
数を表わす。) 更に、本発明によれば、シリコーン油や脂肪族炭化水素
に不溶あるいは難溶な、ポリメチルメタクリレート、ポ
リスチレン、スチレン−イソブチルメタクリレート共重
合体、アクリル酸−スチレン共重合体、スチレン−ブタ
ジエン樹脂、エチレン−エチルアクリレート−無水マレ
イン酸共重合体、エステルガム、硬化ロジン、天然樹脂
変性マレイン酸樹脂、天然樹脂変性ポリエステル樹脂、
天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性ペンタエリ
スリトール樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂と、
下記一般式(1)で表わされる重合性ケイ素化合物を主
成分とする原料モノマーを重合させて得られた共重合体
が提供される。
【化1】 より選ばれ、全部が異っていても一部又は全部が同一で
あっても良く、R8はH又はCH3であり、n1は1〜5
00の整数、n2は1〜10の整数を表わす。但し、R1
〜R7の全てが−CnH2n+1(n=1〜10の整数)及び
/又は−Phである場合を除く。) また、前記の重合体、又は共重合体に重合性モノマーを
グラフト重合させたグラフト共重合体、更にはこれらの
重合体又は共重合体を含むことを特徴とする非水系樹脂
分散液が提供される。また、本発明によれば、下記一般
式(1)で表わされる重合性ケイ素化合物を主成分とす
る原料モノマーを、シリコーン油及び/又は脂肪族炭化
水素を主成分とする溶媒中で重合することを特徴とする
ケイ素含有共重合体の製造方法が提供される。
【化1】 より選ばれ、全部が異っていても一部又は全部が同一で
あっても良く、R8はH又はCH3であり、n1は1〜5
00の整数、n2は1〜10の整数を表わす。但し、R1
〜R7の全てが−CnH2n+1(n=1〜10の整数)及び
/又は−Phである場合を除く。) また、本発明によれば、下記一般式(1)で表わされる
重合性ケイ素化合物と下記一般式(2)で表わされる2
官能性(メタ)アクリレートモノマーを主成分とする原
料モノマーを、シリコーン油及び/又は脂肪族炭化水素
を主成分とする溶媒中で重合することを特徴とするケイ
素含有共重合体の製造方法が提供される。
【化1】 より選ばれ、全部が異っていても一部又は全部が同一で
あっても良く、R8はH又はCH3であり、n1は1〜5
00の整数、n2は1〜10の整数を表わす。但し、R1
〜R7の全てが−CnH2n+1(n=1〜10の整数)及び
/又は−Phである場合を除く。)
【化2】 (但し、R9、R10はH又はCH3基、mは1〜20の整
数)
【0007】前記本発明者らの先願(特願平2−202
24、43602、94638号)からも明らかなよう
に、一般的重合性ビニル化合物をシリコーン油やフッ素
系溶媒中で重合することにより製造することも可能であ
る。しかしながら、本発明者らは、前記目的をより充分
に達成するためには、シリコーン油やフッ素系溶媒のよ
うな低SP値溶媒を用いる樹脂分散液用の高性能樹脂の
開発が必要であり、そのため樹脂の内部構造を改善する
必要があることを確信し、重合体中に前記一般式(1)
で表わされる重合性ケイ素化合物から由来する繰り返し
単位を含有させること、及び重合用溶媒としてシリコー
ン油及び/又は脂肪族炭化水素を主成分とする溶媒を用
いることにより、前記目的を達成しうることを見い出
し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、目的とする樹脂にSi−O結合
やSi−C結合を導入することで、シリコーン油、フッ
素系溶剤、脂肪族炭化水素油のような撥水性の強い溶媒
への親和性が増加し、そのため低SP値溶媒への溶解性
あるいは分散性が増加する。また、前記一般式(1)
表わされる重合性ケイ素化合物としてCOOH基、NH
2基等の極性基を有するものを用いることによって、顔
料等への樹脂の吸着性が向上するから分散性が抜本的に
改善される。さらに、アクリロキシ基のような重合性官
能基を有するものを用いることにより架橋やグラフト重
合体を得ることが可能になり、分散安定性、撥水・撥油
性、電気絶縁性等の向上が可能となる。
【0009】以下、本発明を更に詳細に説明する。本発
明の前記一般式(1)で表わされる重合性ケイ素化合物
から得られる樹脂は下記の4種に大別される。 すなわち(I)前記一般式(1)で表わされる重合性ケ
イ素化合物と必要により他の重合性ビニルモノマーとの
重合体。 (II)前記一般式(1)で表わされる重合性ケイ素化合
物と、前記 般式(2)で表わされる2官能性(メタ)
アクリレートモノマーと、必要により他の重合性ビニル
モノマーとの共重合体。 (III)シリコーン油や脂肪族炭化水素油に不溶あるいは
難溶で、前記一般式(1)で表わされる重合性ケイ素化
合物を主成分とする原料モノマーに可溶性の樹脂と、前
一般式(1)で表わされる重合性ケイ素化合物と、必
要により重合性ビニルモノマーとの共重合体。 (IV)(I)(II)(III)の樹脂に極性モノマーをグ
ラフト重合することにより得られたグラフト共重合体。
【0010】重合体(I)は、前記一般式(1)で表わ
される重合性ケイ素化合物を原料モノマーとしているた
めに、シリコーン油や脂肪族炭化水素等の溶媒への溶解
性、分散性が優れ、該重合性ケイ素化合物として、−
OOH基、−NH2基、−N(CH32基、−N(C2
5)基、ハロゲン、−C65等の極性基を用いることに
より、顔料等への吸着性が向上し、そのため、顔料等の
分散性を改善することができる。更にまた、該重合性ケ
イ素化合物としてアクリロキシ基、メタクリロキシ基の
重合性官能基を有する化合物を用いた場合は、架橋型樹
脂が得られ、またグラフト共重合体の製造が容易とな
り、更にミクロゲルの合成にも有利となり、分散安定
性、撥水、撥油性、電気絶縁性が向上する。
【0011】共重合体(II)は、前記一般式(1)で表
わされる重合性ケイ素化合物に、特に、前記一般式
(2)で表わされる2官能性(メタ)アクリレートモノ
マーを共重合させて得られたものであり、前記重合体
(I)と同様に、シリコーン油や脂肪族炭化水素等の溶
媒への溶解性、分散性に優れ、該重合性ケイ素化合物と
て−COOH基等の極性基を有する化合物を用いた場
合、顔料等の分散性を改善することができると共に、該
重合性ケイ素化合物としてアクリロキシ基、メタクリロ
キシ基の重合性官能基を有する化合物を用いた場合は、
分散安定性、撥水、撥油性、電気絶縁性が向上する。そ
して更に前記2官能性(メタ)アクリレートモノマーを
共重合性モノマーとして用いているため、均一な架橋構
造を有することから、成膜性が極めて優れている。
【0012】共重合体(III)は、シリコーン油、脂肪族
炭化水素溶媒に難溶又は不溶な樹脂と、前記一般式
(1)で表わされる重合性ケイ素化合物を主成分とする
原料モノマーを共重合させて得られたものであり、前記
重合体(I)(II)と同様に、シリコーン油や脂肪族炭
化水素等の溶媒への溶解性、分散性の向上、極性基の導
入による顔料等の分散性、撥水、撥油性、電気絶縁性等
も優れている。そして、該共重合体(III)は、SP値
の低いシリコーン油、脂肪族炭化水素溶媒に難溶又は不
溶な樹脂を原料の一部としているため、SP値の低いシ
リコーン油、脂肪族炭化水素等の溶媒への親和性の低い
部分と、親和性の高い部分とを合せ持っており、SP値
の低い溶剤に対して親和性の低い部分は分散安定能を持
ち、親和性の高い部分は顔料への吸着能が強いほか、粒
径制御、低凝集性、接着性強化など多くの点で極めて有
効に機能している。なお、共重合体(III)の内部構造
は充分明確でないが、共重合体(III)を構成する前記
のシリコ−ン油不溶性樹脂と、重合性ケイ素化合物及び
重合性ビニルモノマー間の結合は必ずしも共有結合と言
えず、かなりの部分が個別のポリマーとして存在するよ
うであるが、共重合体(III)内では異種のポリマーが
極めて微細によく分散又は溶解されている。以上を総合
して、共重合体(III)を構成成分とする分散液は、粒
径が小さく、分散安定性が良く、凝集し難いため固形分
15%の分散液中で3年以上安定なことも確かめられ
た。また、共重合体(III)は分散安定作用、極性制御
作用、定着性などを持つため、TiO2、CaCO3、S
iO2、カーボンブラック等の各種顔料に良く吸着さ
れ、紙、プラスチック板、金属板等への接着性も極めて
高く、成膜性にも優れているから、電子写真用トナーあ
るいは塗料、印刷インキ等として最適の重合体である。
【0013】更に、前記重合体(I)、共重合体(I
I)、(III)に極性モノマー等の重合性モノマーをグラ
フト重合させて得られたグラフト共重合体(IV)は、該
重合体(I)、(II)、(III)の優れた物性を有し、
しかも耐アルカリ性、耐酸性に優れ、また、顔料分散
性、成膜性、接着性が更に向上する。
【0014】本発明の、前記一般式(1)で表わされる
重合性ケイ素化合物の代表的なものを挙げると次の表1
のとおりである。尚、表1中、化合物1〜5、7、10
は参考の化合物である。
【表1】
【0015】このような、前記一般式(1)で表わされ
る重合性ケイ素化合物は、極めて重要であり、シリコー
ン油や脂肪族炭化水素等の溶媒への親和性に寄与するケ
イ素を骨格に有する部位と、重合反応に寄与する(メ
タ)アクリロキシ基からなる反応部位とを有し、表面エ
ネルギーが低く、それ自体接着力のない性質を有する。
【0016】また、本発明の共重合体(II)に前記性能
を付与するため用いる、前記一般式(2)で表わされる
2官能性(メタ)アクリレートモノマーは、架橋反応が
余り急激に生起せず、共重合反応と架橋反応とが別々に
起こり得る2官能性モノマーであって、アクリル酸又は
メタクリル酸と、不飽和アルコールとのエステルであ
る。その代表的なものを挙げると、次の表2のとおりで
ある。
【表2−(1)】
【表2−(2)】
【表2−(3)】
【0017】次に、本発明において、必要により用いる
重合性モノマーとしては、ビニルトルエン、ニトロスチ
レン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチル
アミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタ
クリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、スチ
レン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、2,
5−ジクロルスチレン、α−ビニルピリジン、アクリロ
ニトリル、酢酸ビニル、ビニルメチルエーテル、ビニル
エチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、塩化ビニ
ル、ビニルカルバゾール、ビニルピロリドン、ビニルピ
リジン、ビニルホルマール、ビニルアセトアセタール、
ビニルプロピオナール、ビニルブチラール、ビニルヘキ
シラール、ビニルアルコール、メチルアクリレート、メ
チルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタ
クリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタ
クリレート、iso−ブチルアクリレート、n−オクチ
ルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリ
ルメタクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、ジビニ
ルベンゼン、スチレン、エチレングリコールジメタクリ
レート、トリエチレングリコールトリアクリレート等が
例示される。
【0018】本発明の共重合体(III)の原料となる、
シリコーン油や脂肪族炭化水素に不溶、あるいは難溶な
樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレ
ン、スチレン−イソブチルメタクリレート共重合体、ア
クリル酸−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン樹
脂、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共
重合体なども使用可能である。天然樹脂としてはエステ
ルガム、硬化ロジン等が、天然樹脂変性熱硬化性樹脂と
しては天然樹脂変性マレイン酸樹脂、天然樹脂変性ポリ
エステル樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂
変性ペンタエリスリトール樹脂等が特に好適であり、市
販品として下記のものが挙げられる。これらの樹脂は、
単独あるいは2種以上混合して使用することができる。
天然樹脂変性マレイン酸樹脂の例MRG,MRG−41
1、MRG−S、MRG−E、MRP、MRA−L、M
RM−42、MRM−53(以上徳島精油社製)、ベッ
カサイト1110、同1111、同F231、同J81
1、同1120、同P−720、同J−898(以上大
日本インキ化学社製)天然樹脂変性フェノール樹脂の例 PRG、PRP、SPR−N、SPR−A、SPR−H
(以上徳島精油社製)、ベッカサイト1100、同11
23、同1126、同F−171(以上大日本インキ化
学社製)天然樹脂変性ペンタエリスリトール樹脂の例 ペンタサイトP−406、同P−423(以上大日本イ
ンキ化学社製)天然樹脂変性ポリエステル樹脂の例 RM−1000、RM−1300、RM−4090、R
M−4100(以上徳島精油社製)エステルガムの例 EG−8000、EG−9000、HG−H、PE、P
E−H(以上徳島精油社製)硬化ロジンの例 TLR−21、TLR−37(以上徳島精油社製)
【0019】重合体(I)、(II)、(III)へグラフ
ト重合するために使用する極性モノマーとして低級不飽
和脂肪酸及びそのグリシジルエステル、不飽和窒素化合
物などが一般的である。すなわち、アクリル酸、メタク
リル酸、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリ
レート、グリシジルプロピルメタクリレート、グリシジ
ルプロピルアクリレート、マレイン酸、イタコン酸、フ
マール酸、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ジメチ
ルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチル
アクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジ
エチルアミノエチルメタクリレート等を使用すればよ
い。
【0020】次に、前記重合体(I)、共重合体(I
I)、(III)、(IV)の製造方法を以下に詳細に説明す
る。重合体(I)の製造法は、前記一般式(1)で表わ
される重合性ケイ素化合物と必要により重合性ビニルモ
ノマーとを、重量比5〜100:95〜0、好ましくは
10〜90:90〜10の割合に混合し、これにラジカ
ル重合開始剤を加えて前記重合溶媒中で反応させればよ
い。この場合、重合性ケイ素化合物がこれより少ないと
シリコーン油や脂肪族炭化水素溶媒に分散しにくく、ま
た顔料の分散性にも劣る。重合性ケイ素化合物や重合性
ビニルモノマーは単独でも数種混合物であっても良い
し、ラジカル重合開始剤や重合溶媒も同様に混合使用し
てもよい。また、溶媒:原料モノマー:ラジカル重合開
始剤の比率は重量比で10〜90:10〜90:0.0
01〜5程度である。反応温度や反応時間は、使用する
原料化合物の種類によっても異なるが、一般的には70
〜110℃程度が適温であり、この場合の反応時間は2
〜12時間程度である。
【0021】共重合体(II)の製造方法は多岐にわたる
が、代表的なものを例示すると次の通りである。 (1)重合体(I)製造時と全く同様に行う。すなわ
ち、モノマー成分である前記一般式(1)で表わされる
重合性ケイ素化合物と、前記一般式(2)で表わされる
2官能性(メタ)アクリレートモノマーと、必要により
重合性ビニルモノマーとを、ラジカル重合開始剤を均一
混合し、シリコーン油及び/又は脂肪族炭化水素油から
成る重合溶媒中、70〜110℃程度の温度で2〜12
時間程度反応させる。(2)前記一般式(1)で表わさ
れる重合性ケイ素化合物と前記一般式(2)で表わされ
る2官能性(メタ)アクリレートモノマーと、必要によ
り重合性ビニルモノマーとを、前記重合溶媒中、アゾビ
スイソブチロニトリル(AIBN)のような低温用ラジ
カル重合開始剤の存在下に、60〜80℃程度の温度で
第一段の重合反応を行なわせ、引続きベンゾイルパーオ
キサイド(BPO)のような比較的高温型ラジカル重合
開始剤の存在下に、90〜150℃程度の高温で第二段
の重合反応を行う。すなわち、第一段の重合反応は通常
の共重合反応であり、第二段の重合反応は架橋反応及び
グラフト化反応が主になるものと推定される。 (3)前記一般式(2)で表わされる2官能性(メタ)
アクリレートモノマーを、前記重合溶媒中で低温型重合
開始剤存在下に、60〜80℃程度の低温で重合させて
比較的低分子量のホモポリマーとし、これに前記一般式
(1)で表わされる重合性ケイ素化合物及び必要により
重合性ビニルモノマーを加え、90〜150℃程度の比
較的高温で第二段の重合反応を行う。
【0022】以上に示した以外の点では共重合体(II)
製造条件と共重合体(I)の製造条件は同一であり、原
料となるモノマーは各々単一品を使用しても混合物を使
用しても良いし、溶媒やラジカル重合開始剤の数種混合
使用も問題はなく、溶媒:原料モノマー:ラジカル重合
開始剤の比率も共重合体(I)製造時と同一である。共
重合体(II)を構成するモノマー比は、例えば、前記
般式(1)で表わされる重合性ケイ素化合物:前記一般
式(2)で表わされる2官能性(メタ)アクリレートモ
ノマー=5〜85:1〜50(重量比)、好ましくは1
0〜60:3〜40であり、該重合性ケイ素化合物量が
これより少ないと低SP値溶媒への分散性が低下し、顔
料の分散性も低下する。一方、該2官能性(メタ)アク
リレートモノマーがこれより少ない場合は、架橋性が低
下する。該2官能性(メタ)アクリレートモノマーと重
合性ビニル化合物の配合比は、重量比で1〜30:20
〜90、好ましくは3〜20:30〜80である。重合
性ビニルモノマーの比率が過大では樹脂粒子径が大きく
なり、分散性が低下する。
【0023】共重合体(III)は、原料の一つに樹脂を
使用する点で重合体(I)及び共重合体(II)と大幅に
異なっており、この樹脂は本発明で使用する重合溶媒に
ほとんど不溶であるから、共重合体(III)を構成する
モノマーを溶媒としなければならない。すなわち、本発
明で使用するシリコーン油及び/又は脂肪族炭化水素油
に難溶あるいは不溶で、共重合体(III)を構成するモ
ノマーの一種あるいは全部または混合モノマーに熱時可
溶な樹脂を第一原料とし、これに前記一般式(1)で表
わされる重合性ケイ素化合物及び必要により重合性ビニ
ルモノマーを加えて共重合体を製造する。この場合、モ
ノマー成分は前記樹脂の溶剤となる。
【0024】前記のように、共重合体(III)はシリコ
ーン油や脂肪族炭化水素油に不溶性の樹脂を、該樹脂を
溶解する重合性モノマーに溶解し、sp値の低い溶剤へ
親和性のある部分と親和性のない部分の共存した樹脂あ
るいは樹脂混合体〔これを総称して共重合体(III)と
言う〕を製造するのであるから、その製造方法は種々変
化させることができる。例えば、該樹脂を溶解した混合
モノマー溶液〔一般式(1)で表わされる重合性ケイ素
化合物と、共重合体(III)製造に用いられる重合性ビ
ニルモノマーの混合液を溶媒とする前記樹脂の溶液を言
う〕を、本発明で用いる重合溶媒に滴下しながらモノマ
ーを重合させることもできるし、重合触媒及び樹脂を溶
解したモノマー溶液に樹脂が析出しない程度の量の前記
重合溶媒を加えてから、あるいは全く加えずに重合し、
得られた重合混合物を非水溶媒に分散して目的に供する
ことも可能である。重合反応温度は約70〜110℃が
好ましい。原料の樹脂及びモノマーは各々単一でも2種
以上の混合物でもよい。この場合、性能の良い共重合体
(III)を得るためには重合性ビニルモノマーの選定も
重要になる。すなわち、前記のように共重合体(III)
の内部は低SP値溶媒に親和性の高い部分と、親和性の
ほとんどない部分が渾然一体となって共存し、これが物
性面で威力を発揮しているのであるが、そのためには原
料の選定には充分な配慮が必要である。
【0025】以上に記した理由に従って重合性ビニルモ
ノマーをA,B,Cの3種に分類すると以下のとおりで
ある。 モノマーA:重合時、低sp値溶媒に溶媒和するモノマ
【化5】 〔RはH又はCH3基、AはCOOCnH2n+1又はOC
nH2n+1基(nは6〜20の整数)を表わす〕で示され
るビニルモノマーが代表的であり、具体的には、アクリ
ル酸又はメタクリル酸のステアリル、ラウリル、2−エ
チルヘキシル又はヘキシルエステル;t−ブチルメタク
リレート;セチルメタクリレート;オクチルメタクリレ
ート;ビニルステアレートなどがある。 モノマーB:重合時低Sp値溶媒に溶解しないが、共重
合体(III)の核となる前記シリコーン油不溶性樹脂を
溶解するとともに、ラジカル重合開始剤存在下にモノマ
ーAと容易に重合し、ポリマー内に架橋反応可能な官能
基を提供するモノマー。具体的にはグリシジルメタクリ
レート、グリシジルアクリレート、プロピレングリコー
ルモノアクリレート、プロピレングリコールメタクリレ
ート、ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリロニト
リル、メタアクリロニトリルなどがある。 モノマーC:重合時低Sp値溶媒には溶解しないが、前
記シリコーン油不溶性樹脂を溶解するとともに、ラジカ
ル重合開始剤存在下にモノマーA及びBと容易に重合す
るモノマー。具体的にはアクリル酸、メタクリル酸又は
それらの低級アルキルエステル(炭素数1〜4)、スチ
レン、メチルスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニルな
どがある。なお、共重合体(III)を構成する前記一般
式(1)で表わされる重合性ケイ素化合物は、モノマー
AとモノマーBの特徴を兼備し、モノマーA,B,Cと
容易に共重合するほか、接着性向上など多岐にわたる機
能をポリマーに与えることは前記のとおりである。
【0026】これらの3種のモノマーは、前記の重合性
ケイ素化合物と混合して同時に使用することもできる
し、モノマーAの重合後、モノマーBやシリコーン油不
溶性樹脂などを加えて共重合させて良い。また、モノマ
ーAとモノマーBを共重合後、残りのモノマーC、重合
性ケイ素化合物、及びシリコーン油不溶性樹脂を加えて
共重合させても良く、要するに溶解可能な形であれば如
何なる組合わせも可能なので、目的とする用途に応じて
適当な物性が発現できるよう任意に選択すれば良い。
【0027】モノマーA,B,Cの混合比は重量比で6
0〜90:20〜1:20〜1程度であるが、これは前
記重合性ケイ素化合物の混合比によっても異なるし、モ
ノマーA,B,Cのすべてを含ませる必要もない。すな
わち、シリコーン油不溶性樹脂及び重合性ケイ素化合物
と共に均一液を形成し得る限り、どのような組成比とす
ることも可能である。重合性ビニルモノマー(モノマー
A,B,Cの総称):重合性ケイ素化合物:シリコーン
油不溶性樹脂の混合比は、重量比で0.1〜30:20
〜95:5〜50であり、望ましくは1〜10:30〜
90:10〜40である。なお、重合性ケイ素化合物の
混合比がこれより少ないと低SP値溶媒への分散性や顔
料の分散性が低下し、本発明者らの意図するところとは
異った樹脂となるが、前記混合比内での最低混合比、す
なわち20〜30部程度の混合時は、モノマーAの混合
比を大きくすることで悪影響の一部をカバーすることも
可能である。共重合体(III)製造時の重合溶媒:原
料:ラジカル重合開始剤の混合比は重合体(I)、共重
合体(II)製造時とまったく同一であり、重量比で10
〜90:10〜90:0.001〜5とすれば良い。
【0028】重合体(I)、共重合体(II)(III)へ
の、極性を持った重合性ビニルモノマーのグラフト重合
法は、共重合体(III)の製造法と酷似しており、重合
体(I)、共重合体(II)(III)を単独あるいは2種
以上、これら重合体を溶解できる極性を持った重合性ビ
ニル化合物に溶解し、ラジカル重合開始剤の存在下に本
発明の方法で用いる重合溶媒中で、あるいは重合溶媒不
存在下に60〜150℃程度に加熱すれば良い。極性を
持った重合性ビニル化合物としては前記の化合物が使用
され、これらの化合物は単独で使用しても2種以上混合
して使用しても良いが、原料の共重合体をグラフト重合
温度で完全にあるいは部分的に溶解し得ることが重要で
あり、このため2種以上混合使用する場合も多い。な
お、言うまでもないことであるが、グラフト重合を行う
場合の共重合体にはグラフト重合可能な官能基が必要で
あり、そのためグラフト重合に使用する重合体(I)及
び共重合体(III)では、前記一般式(1)で表わされ
る重合性ケイ素化合物にアクリロキシ基やメタクリロキ
シ基のような不飽和基を導入するか、あるいは一部又は
全部の重合性ビニルモノマーを、2個以上の重合性不飽
和基を持った化合物にしなければならない。
【0029】重合溶媒としてはシリコーン油が特にすぐ
れており、本発明者らの先願にも記したように、シリコ
ーン油を重合溶媒とすることによって重合率の向上、撥
水・撥油性及び電気絶縁性などの物性向上など利点が多
い。一方、脂肪族炭化水素油を使用して一般的重合性ビ
ニルモノマーを重合させると、重合率の点でも物性の点
でもシリコーン油を重合溶媒とした場合にくらべて大幅
に劣っていた。しかし、本発明の骨子とも言える前記
般式(1)で表わされる重合性ケイ素化合物を含有させ
た樹脂を得る場合は、脂肪族炭化水素油を重合溶媒とし
てもシリコーン油を重合溶媒にした場合に近い高性能ポ
リマーが得られる。この原因は明確でないが、該重合性
ケイ素化合物が反応系でシリコーン油と類似の作用を行
い、このため物性が向上するものと推定される。
【0030】また、本発明法で製造される前記の重合体
(I)、共重合体(II)(III)及びこれらに極性ビニ
ルモノマー等重合性モノマーをグラフト重合したグラフ
ト重合体(IV)は、いずれも溶媒不存在下に製造可能で
あるが、本発明の方法に用いる重合溶媒不在では、溶媒
使用時よる若干品質が低下するのを免れられない。この
傾向は重合溶媒としてシリコーン油を使用した場合に顕
著であるが、共重合体(III)や極性ビニルモノマーを
グラフト重合した重合体では重合溶媒不在でも大きな品
質低下がなく、これらの重合体を製造する場合は重合溶
媒不在でも良い。しかしながら、本発明の方法で特に重
要としている樹脂分散液を製造するような場合は、該分
散液に使用する分散媒−特に低sp値溶媒−中で重合す
るのが有利であり、シリコーン油中に重合原料(ラジカ
ル重合開始剤を含むモノマー混合液、あるいは原料樹脂
とラジカル重合開始剤を完全に又は部分的に溶解したモ
ノマー混合液)を滴下するなどして、該シリコーン油中
で重合反応を行い、これをそのままあるいは生成した重
合体をより充分に分散させて樹脂分散液とすれば良い。
なお、重合溶媒不在では、生成した重合体が重合容器に
固着したり、重合体の粉砕が必ずしも容易でない等の問
題があり、これらを勘案すると、樹脂分散液製造時以外
でも重合溶媒を使用した方が有利と言え、特別の場合を
除いて重合溶媒の使用が推奨される。
【0031】本発明の製造方法において、重合溶媒に使
用されるシリコーンオイルとしては、下記一般式(3)
で表わされるジアルキルシリコーンオイル;環状ポリジ
アルキルシロキサン又は環状ポリアルキルフェニルシロ
キサン;アルキルフェニルシロキサン等があげられる。
その他、高級脂肪酸変性シリコーンオイル、メチル塩素
化フェニルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーン
オイル、メチルハイドロジエンシリコーンオイル、アミ
ノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイ
ル等が使用できる。
【化6】 〔但しR1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8は−C
nH2n+1(n=1〜20)を表わし、これらは同一でも
異なっていてもよい。xは0又は1以上の整数であ
る。〕
【0032】前記一般式(3)で表わされるジアルキル
シリコーンオイルが用いられた場合には、殊に、重合時
の温度を自由に選択できる有利さがある。中でもジメチ
ルポリシロキサンの使用が有利である。また、前記一般
式(3)で表わされるシリコーンオイルは25℃におけ
る粘度が0.01〜1,000,000cs(センチス
トークス)のものが好ましい。更にまた、前記一般式
(3)でxが1〜20,000であるものの使用が望ま
しい。更に、環状ポリジアルキルシロキサン又は環状ポ
リアルキルフェニルシロキサンが用いられた場合には、
得られる樹脂は重合溶媒の乾燥性があるため、殊に樹脂
の塗膜性を向上させ光沢を出すのに有利である。アルキ
ルフェニルシロキサン(特にメチルフェニルシリコーン
オイルの使用が望ましい)が用いられた場合には、フェ
ニル基が導入(5〜50モル%)されたことにより溶解
性が向上するため、樹脂溶液の分散安定性を上げるのに
有利である。
【0033】これら各種シリコーンオイルの具体例を挙
げれば下記のとおりである。 (I)ジアルキルシリコーンオイルの例:
【表3】 (II)環状ポリジアルキルシロキサン及び環状ポリアル
キルフェニルシロキサン(フェニル基の含有量は各々
5,10,20,50モル%)の例: 環状ポリジメチルシロキサン、環状ポリメチルフェニル
シロキサン 環状ポリジエチルシロキサン、環状ポリエチルフェニル
シロキサン 環状ポリジブチルシロキサン、環状ポリブチルフェニル
シロキサン 環状ポリジヘキシルシロキサン、環状ポリヘキシルフェ
ニルシロキサン 環状ポリジラウリルシロキサン、環状ポリメチルクロロ
フェニルシロキサン 環状ポリジステアリルシロキサン、環状ポリメチルブロ
ムフェニルシロキサン (III)アルキルフェニルシリコーンオイルの例:
【表4】 これらのシリコーンオイルの市販の例としては、信越化
学工業(株)製のKF−96L(0.65,1.0,
1.5,2.0センチストークス(cs))、KF−9
6(10,20,30,50,500,1000,30
00(cs))、KF−56、KF−58、KF−54
などがあげられ、また、東芝シリコーン(株)製のTS
F451シリーズ、TSF456シリーズ、TSF41
0,411,440,4420,484,483,43
1,433シリーズ、THF450シリーズ、TSF4
04,405,406,451−5A、451−10
A、437シリーズ、TSF440、400,401,
4300,4445,4700,4450,4702,
4730シリーズ、TSF434、4600シリーズ、
更には、東レシリコーン(株)製のHS−200などが
挙げられる。
【0034】以上のようなシリコーンオイル重合溶媒に
はシリコーンオイルの特性を損なわない程度に他の溶媒
を混合することができる。このような溶媒としては、ト
ルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素溶剤;
エーテル類、エステル類;アルコール系溶剤;n−ヘキ
サン、n−オクタン、iso−オクタン、iso−ドデ
カン及びそれらの混合物等の脂肪族炭化水素(市販品で
はエクソンケミカル社製アイソパーH.G.L.Vな
ど)等が挙げられる。このような他の溶媒の混合比は、
シリコーンオイル100重量部に対し0.1〜500重
量部程度である。
【0035】本発明で使用する脂肪族炭化水素油は、重
合温度以上の沸点を持つ常温で液状の飽和脂肪族炭化水
素であれば、純品でも混合物でも使用可能であるが、価
格及び融点の両面から炭素数6以上の混合飽和脂肪族炭
化水素の使用が一般的であり、具体的にはヘキサン、オ
クタン、デカン、ドデカン等の混合物、あるいはエクソ
ンケミカル社製、アイソパーH,G,L,M,V等が使
用される。なお、、脂肪族炭化水素を溶媒とする場合
も、必要に応じて芳香族系溶剤やエーテル、エステル、
アルコールの含酸素溶剤を添加しても良く、添加量及び
具体的な添加溶剤についてはシリコーン油使用時と同一
である。
【0036】シリコーン油と脂肪族炭化水素を併用する
場合は、前記シリコーン油と脂肪族炭化水素を、両者が
均一混合し得る範囲内で任意の割合に混合して使用すれ
ば良い。
【0037】ラジカル重合開始剤としては公知のものが
すべて使用でき、例えば過酸化ベンゾイル、アゾビスイ
ソブチロニトリルの外に、ラウリルパーオキサイド、ジ
−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチル−パーオキサ
イド、クメンヒドロパーオキサイド、過酸化水素、過硫
酸アンチモン、過硫酸カリ、フェニルアゾトリフェニル
メタン等が挙げられる。その他、重合促進剤としてジメ
チルアニリン、ピリジン、Co−又はMn−ナフテネー
ト等が併用できる。
【0038】本発明の方法では、重合体を合成する反応
中、又は反応の前後に、塩基性物質あるいは酸性物質を
添加することができる。これらの添加で重合反応の効率
が増加し、重合率の向上や過架橋反応の防止が可能にな
るうえ、生成した重合体の分散安定性や極性制御効果も
認められる。このような役割を行う塩基性物質としては
アンモニア水、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ピリ
ジン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等が、酸性物
質としては塩酸、硫酸、硝酸、クエン酸、酒石酸、ナフ
テン酸、ステアリン酸、オレイン酸等があり、その添加
量は重合体の10重量%以下、好ましくは1重量%以下
である。
【0039】本発明の重合工程においては、シリカ微粒
子や軟化点60〜160℃程度のワックス又はポリオレ
フィンを添加することもできる。シリカ微粒子を用いた
場合、樹脂はその架橋構造中(網状構造中)にシリカ微
粒子を取込んだ状態で得られるものと考えられる。この
場合、シリカ自体はもちろん、反応中、溶解等の物理的
変化を受けることはない。いずれにしても、シリカの場
合は比重が分散媒であるシリコーン油や脂肪族炭化水素
油と近似すること及び樹脂のゲル化を防止することによ
り、分散安定性を更に向上することができる。
【0040】ワックス又はポリオレフィンを用いた場合
は、これらは重合反応中、加熱により反応系に溶存する
が、反応後は冷却により微粒子状に析出する結果、樹脂
はこれらの微粒子に吸着された状態で得られるものと考
えられる。ここで、ワックス又はポリオレフィンは比重
が分散媒と近似するとともに樹脂のゲル化を防止する
上、分子構造も分散媒と類似するので、分散安定性の向
上に役立つばかりでなく、軟化点が低いので、接着性の
向上にも役立つ。シリカ、ワックス又はポリオレフィン
の添加量は得られる樹脂100重量部に対し5〜50重
量部程度が適当である。これより少ないと、成膜性、接
着性、顔料分散性が劣る。なお、ワックス又はポリオレ
フィン(軟化点60〜130℃のもの)の市販品の具体
例は次の通りである。
【表5】
【0041】以上のようにして得られた樹脂又は樹脂分
散液を例えば塗料、電子写真液体現像剤(又はトナ
ー)、印刷インキ等に用いる場合は、樹脂又は分散液に
着色剤、他の樹脂等を添加することができる。例えば現
像剤の場合には、着色剤としてカーボンブラック、オイ
ルブルー、アルカリブルー、フタロシアニンブルー、フ
タロシアニングリーン、スピリッドブラック、アニリン
ブラック、オイルバイオレット、ベンジジンイエロー、
メチルオレンジ、ブリリアントカーミン、ファーストレ
ッド、クリスタルバイオレット等の染料又は顔料が挙げ
られる。また、現像剤に添加できる他の樹脂としてはア
クリル樹脂、エステルガム、硬化ロジン等の天然樹脂、
これら天然樹脂で変性したマレイン酸樹脂、フェノール
樹脂、ポリエステル、ペンタエリスリトール樹脂などが
あげられる。
【0042】本発明の方法によって樹脂分散液を製造す
る場合、重合体の粒子径は0.01〜5μm程度が良
く、この範囲のものが分散安定性が良く、分子間接着力
の高い分散液が得られるから、これは塗料や印刷インキ
などの用途に好適である。
【0043】本発明の分散液を用いて液体現像剤をつく
るには、一般に、着色料1重量部に対し重合体成分を
0.3〜3重量部混合し、これを石油系脂肪族炭化水素
又はハロゲン化樹脂族炭化水素キャリアー10〜20重
量部と混合すればよい。混合機としては、アトライタ
ー、ボールミル、ケネディミル等の分散機が用いられ
る。この場合、本発明の製造方法により得られた重合体
分散液をそのまま使用することができ、また固形分の多
い濃縮液を作りこれを必要に応じ溶剤で希釈してトナー
液とすることもできる。また、トナー液の調製時に、必
要に応じ他の樹脂や金属石ケン、レシチン、アマニ油、
高級脂肪酸などのような極性制御剤を添加することもで
きるが、本発明における樹脂は強い極性を有し、また分
散安定性がよいので、特に極性制御剤を加えなくてもよ
い。
【0044】この現像剤は、静電潜像を現像して得られ
たトナー像を転写紙に転写する場合、転写性が良く転写
紙上での定着性も高いうえ、画像濃度や耐久性、保存性
などの点でも優秀である。それゆえ、本現像剤は一般電
子写真用のほか、オフセット印刷用、チャード転写用、
押圧転写用、磁気転写用などの現像剤としても最適品と
言うことができる。
【0045】
【実施例】次に実施例によってより詳細に本発明を説明
するが、本発明はこの実施例によつて限定されるもので
はない。なお、ここでの部は重量基準である。
【0046】実施例1(参考例) 撹拌機、温度計、冷却管及び滴下ロートを備えた3.0
lのフラスコにKF96L1.0(信越化学工業製シリ
コーン油)500gを仕込み、80℃に加熱し、撹拌し
ながらこの中にラウリルアクリレート100g、表1の
化合物2の構造を持つ重合性ケイ素化合物50g、アゾ
ビスイソブチロニトリル(以降AIBNと省略する)5
gよりなるモノマー溶液を2時間で滴下した。その後、
この温度に4時間保って重合を完結させたところ、重合
率96%、粘度50cp、粒径0.05μmの樹脂分散
液を得た。
【0047】実施例2(参考例) 実施例1で用いたフラスコにTSF410(東芝シリコ
ーン製シリコーン油)400gをとり、90℃に加熱
し、撹拌しながらこの中に2−エチルヘキシルメタクリ
レート25g、重合性ケイ素化合物3(表1の化合物
3)95g、メタクリル酸10g、AIBN2gより成
るモノマー溶液を1時間で滴下し、その後この温度で6
時間重合反応させた。この結果、重合率99%、粘度2
70cp、粒径0.08μmの樹脂分散液を得た。
【0048】実施例3(参考例) 実施例1で用いたフラスコにTSF434(東芝シリコ
ーン製シリコーン油)200g及びポリエチレン(アラ
イドケミカル社製ACポリエチレン1106)50gを
採り、90℃に加熱してポリエチレンを溶解させた。こ
の中にステアリルメタクリレート100g、重合性ケイ
素化合物5(表1の化合物5)200g、AIBN10
gよりなるモノマー溶液を滴下ロートで2時間にわたっ
て滴下し、撹拌しながらこの温度で6時間重合反応させ
た。次にメチルメタクリレート100g及びt−ブチル
パーオキシド5gを加え、さらに130℃で6時間撹拌
下に重合反応を行わせることにより、重合率99%で粘
度350cp、粒径0.05〜0.1μmの樹脂分散液
を得た。
【0049】実施例4〜8(実施例6は参考例)、比較
例1,2 実施例4〜8及び比較例1,2は、実施例1で使用した
重合溶媒、重合性ケイ素化合物、重合性ビニルモノマ
ー、及び重合開始剤の一部又は全部を表3のように変え
た以外は、その使用量を含むすべての条件を実施例1と
全く同一にして実験を行ったものであり、その物性値は
表4のとおりである。
【0050】
【表6】
【0051】
【表7】
【0052】表3の評価結果より、本発明の重合性ケイ
素化合物を使用した樹脂はシリコーン油中への分散性が
良く、撥水・撥油性も高いものであることがわかる。ま
た、顔料の分散性から反応性ケイ素化合物への極性基や
アクリロキシ基の導入効果が認められる。
【0053】実施例9(参考例) モノマー溶液の成分としてアリルアクリレートを20g
追加した以外は実施例1と同様にして樹脂分散液を製造
したところ、重合率96.8%、粘度50cp、粘粒
0.05μmの樹脂分散液が得られた。
【0054】実施例10(参考例) モノマー溶液の成分として、アリルアクリレートを20
g追加した以外は実施例2と同様にして樹脂分散液を製
造したところ、重合率96.4%、粘度48cp、粒径
0.08μmの樹脂分散液が得られた。
【0055】実施例11(参考例) 実施例1で用いたフラスコにアイソパーH(エクソンケ
ミカル社製脂肪族炭化水素油)400gをとり90℃に
加熱し、撹拌しながらこの中にラウリルメタクリレート
150g、重合性ケイ素化合物1(表1の化合物1)5
0g、アリルメタクリレート10g、メタクリル酸5
g、グリシジルメタクリレート10g、及びベンゾイル
パーオキサイド(以降BPOと略記する)3gよりなる
モノマー溶液を加え、90℃で4時間重合反応を行った
後、これにピリジン0.1gを加え80℃で2時間反応
後、メチルメタクリレート30g及びAIBN3gを加
え85℃で4時間重合反応を行なわせた。この結果、重
合率97%、粘度420cp、粒径0.1〜0.2μm
の樹脂分散液を得た。
【0056】実施例12(参考例) モノマー溶液の成分として5−ヘキセニルメタクリレー
ト50gを加え、グラフト化の反応時(後段の130℃
での重合反応時を言う)に塩酸0.19gを加えた以外
は実施例3と同様の反応を行ったところ、得られた樹脂
分散液の重合率、粘度及び粒径は実施例3で得たものと
ほぼ同一であった。
【0057】実施例13〜17(参考例) 実施例11と同様にして実施例13〜17を行い、得ら
れた共重合体の物性を測定した。結果は表4のとおりで
ある。
【0058】
【表8】
【0059】表4から、極性モノマーや添加剤の導入に
よって顔料の分散性が良くなり、粒子径が小さくなるこ
とが認められた。また、重合後重合溶媒に不溶なモノマ
ーを重合させると成膜性が向上することも分かった(実
施例13と17の比較)。
【0060】実施例18(参考例) 撹拌機、温度計及び還流冷却器を備えた1l容3ツ口フ
ラスコに、シリコーン油KF96L1.0を300gと
り90℃に加熱した。一方、2−エチルヘキシルメタク
リレート100g及び重合性ケイ素化合物2(表1の化
合物2)100gの混合液にベッカサイトF−171
(大日本インキ化学製;天然樹脂変性フェノール樹脂)
を80g溶解し、さらにAIBN2gを混合した。この
混合液を前記溶液中に4時間かけて滴下重合後、さらに
1時間撹拌を続け重合反応を完結させ、樹脂分散液を作
成した。
【0061】実施例19(参考例) 実施例18と同一容器にシリコーン油KF96L1.5
を300gとり90℃に加熱した。これに、ステアリル
メタクリレート100g、グリシジルメタクリレート5
g、及び重合性ケイ素化合物3(表1の化合物3)10
0gの混合液にベッカサイトJB171(大日本インキ
化学製;天然樹脂変性マレイン酸樹脂)を50g溶解
し、さらにラウリルジメチルアミン2g、ハイドロキノ
ン0.2g、及びBPO2gを混合した液を2.5時間
かけて前記容器中に滴下重合させた。滴下終了後約11
時間同一温度に加熱・撹拌して重合反応を完結させ、樹
脂分散液を作成した。
【0062】実施例20(参考例) 実施例18の容器にシリコーン油TSF400(東芝シ
リコーン製品)400gを入れ、90℃に加熱した。一
方、重合性ケイ素化合物4(表1の化合物4)50g、
グリシジルメタクリレート18g、及びアクリル酸10
gの混合液にペンタサイトP−406(大日本インキ化
学製;天然樹脂変性ペンタエリスリトール樹脂)を80
g溶解し、さらにBPO2g及びラウリルジメチルアミ
ン2.5gを混合した。この混合液を前記の90℃に加
熱したシリコーン油中に4時間かけて滴下重合し、樹脂
分散液を作製した。
【0063】実施例21(参考例) 実施例18において、シリコーン油の種類をKF96L
1.0からTSF400に変え、さらにシリコーン油中
にORLIZON705(モンサント製ポリエチレンの
商品名)を25g溶解するとともに、重合終了時に90
℃に加熱された重合容器を冷却水で急冷した以外は実施
例18と全く同様にしてポリエチレン含有樹脂分散液を
作成した。
【0064】実施例22(参考例) 実施例20において、重合終了時にニュークレルN55
9(三井デュポン製ポリエチレンの商品名)60gを重
合系に加え、90℃に加熱溶解して充分撹拌後、容器を
水道水で急冷してポリエチレン含有樹脂分散液を作成し
た。
【0065】実施例23(参考例) 2−エチルヘキシルメタクリレート150g、グリシジ
ルメタクリレート10g、及び重合性ケイ素化合物5
(表1の化合物5)50gの混合液にベッカサイトJ−
898(大日本インキ化学製;天然樹脂変性マレイン酸
樹脂)100gを溶解し、さらにBPO2gを混合溶解
した。この液を、実施例18と同一容器内で90℃に加
熱したジメチルシリコーン3.0(信越化学社製品の商
品名KF96L.3)300g内に、3時間かけて滴下
重合した。重合反応を完結させるため滴下終了後も3時
間90℃に維持した後、ラウリルジメチルアミン1g、
メタクリル酸3g、及びハイドロキノン0.1gの混合
液を加え、90℃で10時間反応させた。この反応液に
イソオクタン300gを加えた後、3gのBPOを溶解
したメチルメタクリレート50gを3時間かけて滴下
し、さらに5時間90℃の加温下に撹拌を続け樹脂分散
液を作成した。
【0066】実施例24(参考例) 実施例23において、溶媒をジメチルシリコーン3.0
の代りKF96L0.65(信越化学製シリコーン油の
商品名)とし、さらに溶媒中にサンワックス151−P
(三洋化成製ポリエチレンオリゴマーの商品名)を50
g加えると共に、反応終了後、直ちに90℃の容器を水
導水で急冷した以外は実施例23と全く同様にしてポリ
エチレン含有樹脂分散液を作成した。
【0067】実施例25(参考例) ステアリルメタクリレート200g、グリシジルメタク
リレート5g、反応性ケイ素化合物7(表1の化合物
7)70g、及びBPO5gの混合液にベッカサイトF
−231(大日本インキ化学製天然樹脂変性マレイン酸
樹脂の商品名)を50g溶解し、この液を実施例18と
同一容器内で90℃に加熱したシリコーン油KF96L
1.5(信越化学製)300g中に4時間かけて滴下重
合した。滴下終了後も90℃に保ったまま、この液にハ
イドロキノン0.1g及びピリジン1.0gを加え、さ
らに90℃で15時間反応を続行した。15時間経過
後、この液にアイソパーG(エクソンケミカル社製、脂
肪族炭化水素油の商品名)を300g加えると共に、メ
タクリル酸メチル30g、重合性ケイ素化合物8(表1
の化合物8)20g、及びAIBN4gの混合液を5時
間で滴下重合して(反応温度90℃)樹脂分散液を作成
した。
【0068】実施例26〜28(参考例)、比較例3 ステアリルメタクリレート200g、アクリル酸10g
(実施例26では添加しない)、及び反応性ケイ素化合
物7(表1の化合物7;比較例では添加しない)70g
の混合液にベッカサイトF−231(大日本インキ化学
製天然樹脂変性マレイン酸樹脂の商品名)50gを溶解
し、さらにBPO5gを混合溶解した。この液を実施例
18と同一容器内で90℃に加熱したシリコーン油KF
96L1.5(信越化学製品)300g内に、2時間か
けて滴下した。重合反応を完結させるため滴下終了後も
5時間以上90℃で撹拌を続行した後、AIBN3gを
溶解したメタクリル酸メチル30gを加え、90℃で4
時間重合反応を継続した。得られた樹脂の物性値を表6
に示す。なお、表6の実験で実施例26は前段の重合反
応時に使用する共重合モノマーをステアリルメタクリレ
ート200gのみとし、実施例28では前段の重合反応
時に、重合溶媒中にサンワックス250P(三洋化成の
ポリエチレン)を50g溶解させ、生成した樹脂内にポ
リエチレンを均一分散させるようにした。また、比較例
3では重合性ケイ素化合物を加えなかった。表6には実
施例24で得られた樹脂の物性値も付記した。
【0069】
【表9】
【0070】表6から、極性モノマーを共重合モノマー
に加えることで顔料の分散性が向上することや、ポリオ
レフィンの添加で撥水性、顔料分散性、成膜性が向上す
ることが認められる。また、表には示さなかったがポリ
オレフィンの添加で接着性も向上した。
【0071】
【発明の効果】本発明のケイ素含有重合体は、シリコー
ン油やフッ素系溶剤のような低Sp値溶剤への分散性が
高いうえ、本発明に示した極性モノマーをグラフト化さ
せたりワックス類を添加したりすることで、撥水・撥油
性や電気抵抗性がさらに向上するうえ、顔料の分散性も
向上し、トナーや印刷インキ用などとして最適の樹脂分
散液を得ることができる。さらに、本発明では架橋性モ
ノマーを使用したり、架橋性モノマーをグラフト化させ
るなどの方法で成膜性や接着性の大幅な向上が可能であ
り、粒径が小さい点や顔料の分散性が高いなどの利点も
含めると、塗料用印刷インキ用、電子写真用、各種表面
処理用などとして最適の樹脂を提供するものと言える。
また、本発明で重合溶媒にシリコーン油を使用する場合
は、臭気の点や製造時の安全性の点でも優れており、塗
膜−特に着色性塗膜−形成用樹脂としてほとんどすべて
の点で従来品に優る樹脂を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−131276(JP,A) 特開 昭62−290768(JP,A) 特開 平2−194001(JP,A) 特開 平3−170518(JP,A) 特開 昭62−156172(JP,A) 特開 昭62−294201(JP,A) 特開 平2−124907(JP,A) 特開 平5−197169(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 30/08 C08F 275/00 C08F 299/08 C08G 77/442 CA(STN)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表わされる重合性ケ
    イ素化合物を主成分とするモノマーを重合させて得られ
    た重合体。 【化1】 より選ばれ、全部が異っていても一部又は全部が同一で
    あっても良く、R8はH又はCH3であり、n1は1〜5
    00の整数、n2は1〜10の整数を表わす。但し、R1
    〜R7の全てが−CnH2n+1(n=1〜10の整数)及び
    /又は−Phである場合を除く。)
  2. 【請求項2】 下記一般式(1)で表わされる重合性ケ
    イ素化合物と下記一般式(2)で表わされる2官能性
    (メタ)アクリレートモノマーを主成分とする原料モノ
    マーを重合させて得られた共重合体。 【化1】 より選ばれ、全部が異っていても一部又は全部が同一で
    あっても良く、R8はH又はCH3であり、n1は1〜5
    00の整数、n2は1〜10の整数を表わす。但し、R1
    〜R7の全てが−CnH2n+1(n=1〜10の整数)及び
    /又は−Phである場合を除く。) 【化2】 (式中、R9、R10はH又はCH3基、mは1〜20の整
    数を表わす。)
  3. 【請求項3】 シリコーン油や脂肪族炭化水素に不溶あ
    るいは難溶な、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレ
    ン、スチレン−イソブチルメタクリレート共重合体、ア
    クリル酸−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン樹
    脂、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共
    重合体、エステルガム、硬化ロジン、天然樹脂変性マレ
    イン酸樹脂、天然樹脂変性ポリエステル樹脂、天然樹脂
    変性フェノール樹脂、天然樹脂変性ペンタエリスリトー
    ル樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂と、下記一般
    式(1)で表わされる重合性ケイ素化合物を主成分とす
    る原料モノマーを重合させて得られたグラフト共重合
    体。 【化1】 より選ばれ、全部が異っていても一部又は全部が同一で
    あっても良く、R8はH又はCH3であり、n1は1〜5
    00の整数、n2は1〜10の整数を表わす。但し、R1
    〜R7の全てが−CnH2n+1(n=1〜10の整数)及び
    /又は−Phである場合を除く。)
  4. 【請求項4】 請求項1、請求項2、又は請求項3の重
    合体、又は共重合体に重合性モノマーをグラフト重合さ
    せて得られたグラフト共重合体。
  5. 【請求項5】 請求項1、請求項2、請求項3、又は請
    求項4記載の重合体又は共重合体を含むことを特徴とす
    る非水系樹脂分散液。
  6. 【請求項6】 下記一般式(1)で表わされる重合性ケ
    イ素化合物を主成分とする原料モノマーを、シリコーン
    油及び/又は脂肪族炭化水素を主成分とする溶媒中で重
    合することを特徴とするケイ素含有重合体の製造方法。 【化1】 より選ばれ、全部が異っていても一部又は全部が同一で
    あっても良く、R8はH又はCH3であり、n1は1〜5
    00の整数、n2は1〜10の整数を表わす。但し、R1
    〜R7の全てが−CnH2n+1(n=1〜10の整数)及び
    /又は−Phである場合を除く。)
  7. 【請求項7】 下記一般式(1)で表わされる重合性ケ
    イ素化合物と下記一般式(2)で表わされる2官能性
    (メタ)アクリレートモノマーを主成分とする原料モノ
    マーを、シリコーン油及び/又は脂肪族炭化水素を主成
    分とする溶媒中で重合することを特徴とするケイ素含有
    共重合体の製造方法。 【化1】 より選ばれ、全部が異っていても一部又は全部が同一で
    あっても良く、R8はH又はCH3であり、n1は1〜5
    00の整数、n2は1〜10の整数を表わす。但し、R1
    〜R7の全てが−CnH2n+1(n=1〜10の整数)及び
    /又は−Phである場合を除く。) 【化2】 (但し、R9、R10はH又はCH3基、mは1〜20の整
    数)
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