JP3305592B2 - 結晶性半導体膜の膜質管理方法、結晶性半導体膜の膜質管理用コンピュータソフト、結晶性ケイ素膜、半導体装置および薄膜トランジスタ - Google Patents

結晶性半導体膜の膜質管理方法、結晶性半導体膜の膜質管理用コンピュータソフト、結晶性ケイ素膜、半導体装置および薄膜トランジスタ

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JP3305592B2 JP26004496A JP26004496A JP3305592B2 JP 3305592 B2 JP3305592 B2 JP 3305592B2 JP 26004496 A JP26004496 A JP 26004496A JP 26004496 A JP26004496 A JP 26004496A JP 3305592 B2 JP3305592 B2 JP 3305592B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、結晶性半導体膜を
備えた半導体装置の製造に有用な結晶性半導体膜の膜質
管理方法、結晶性半導体膜の膜質管理用コンピュータソ
フト、結晶性ケイ素膜、半導体装置および薄膜トランジ
スタに関し、特に、結晶性ケイ素膜の膜質管理に有効で
あり、TFT(薄膜トランジスタ)を用いたアクティブ
マトリクス型液晶表示装置、密着型イメージセンサー、
三次元IC等の製造に好適に利用できる結晶性半導体膜
の膜質管理方法、結晶性半導体膜の膜質管理用コンピュ
ータソフト、半導体装置および薄膜トランジスタに関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、大型で高解像度の液晶表示装置
や、ドライバー回路を同一基板上に形成して低コスト化
が図れるモノリシック型の液晶表示装置、高速で高解像
度の密着型イメージセンサーまたは三次元IC等の実現
が望まれる。この実現に向けて、ガラス等の絶縁性基板
上、または基板上に設けられた絶縁膜上に、高性能な半
導体素子を形成する試みがなされている。上述した装置
に用いられる半導体素子としてはTFT等が挙げられ、
その活性領域には薄膜状のケイ素半導体を用いるのが一
般的である。
【0003】このケイ素半導体膜としては、非晶質ケイ
素(a−Si)半導体膜(以下、非晶質ケイ素膜と称す
る)と、結晶性を有するケイ素半導体膜(以下、結晶性
ケイ素膜と称する)との2つに大別される。このうち、
非晶質ケイ素膜は作製温度が低く、気相法で比較的容易
に作製することが可能で量産性に富むため、最も一般的
に用いられている。しかし、非晶質ケイ素膜では、導電
性等の物性が結晶性ケイ素膜に比べて劣るので、今後、
より高速特性を得るために、結晶性ケイ素膜からなる半
導体装置の作製方法の確立が強く求められていた。尚、
結晶性ケイ素膜としては、多結晶ケイ素膜、微結晶ケイ
素膜、結晶成分を含む非晶質ケイ素膜等が知られてい
る。
【0004】これらの結晶性ケイ素膜を得る方法として
は、以下の3つの方法が主として知られている。
【0005】(1)成膜時に結晶性ケイ素膜を直接成膜
する方法 (2)非晶質ケイ素膜を成膜しておき、熱エネルギーに
より結晶性を有せしめる方法 (3)非晶質ケイ素膜を成膜しておき、レーザー光のエ
ネルギーを加えることにより結晶性を有せしめる方法 上記(1)の方法による場合は、成膜工程と結晶化とが
同時に進行するので、大粒径の結晶性ケイ素を得ること
が困難であり、大粒径の結晶性ケイ素を得るためにはケ
イ素膜を厚膜にすることが不可欠である。しかし、ケイ
素膜を厚膜化しても、基本的には膜厚と同程度の結晶粒
径しか得られないので、この方法により良好な結晶性を
有するケイ素膜を作製することは困難である。
【0006】上記(2)の方法による場合は、結晶化に
際して600℃以上の高温で数十時間にわたる加熱処理
が必要であるため、生産性に非常に乏しい。また、この
方法は固相結晶化現象を利用するので、結晶粒が基板面
に平行に拡がって数μmの粒径を持つものも現れるが、
成長した結晶粒同士がぶつかり合って粒界が形成される
ため、その粒界がキャリアに対するトラップ準位として
働いてTFTの移動度を低下させる大きな原因となる。
さらに、各々の結晶粒が双晶構造を示し、1つの結晶粒
内においても、所謂双晶欠陥と呼ばれる結晶欠陥が多量
に存在する。
【0007】このように上記(1)および(2)の方法
には各々問題点があるので、現在では上記(3)の方法
が主流となっている。上記(3)の方法による場合は、
溶融固化過程を利用して結晶化を行うので、個々の結晶
性粒内の結晶性が非常に良好である。また、照射光の波
長を選択することにより、アニール対象であるケイ素膜
のみを効率的に加熱して下層のガラス基板への熱的損傷
を防ぐことができると共に、上記(2)の方法のような
長時間にわたる処理が必要ではない。さらに、装置面で
も高出力のエキシマレーザーアニール装置等が開発され
て、大面積な基板に対しても対応可能になりつつある。
【0008】上記(1)〜(3)の方法により作製され
た結晶性ケイ素膜は、上述のように、各々全く異なる膜
質を有する。また、同じ作製方法を用いても結晶化条件
を異ならせることにより得られる結晶性ケイ素膜の結晶
性が大きく変化するため、その膜質は千差万別となる。
一般に、結晶性ケイ素膜は半導体装置を構成する半導体
素子の能動層として用いられるため、その素子特性に結
晶性ケイ素膜の膜質が及ぼす影響は大きい。特に、結晶
性ケイ素膜を活性領域として形成したMOS型TFTに
おいては、そのトランジスタ特性が結晶性ケイ素膜の結
晶性により殆ど決定されてしまう。また、結晶性ケイ素
膜だけではなく、その他の結晶性半導体膜においても、
一定性能の半導体装置を安定して作製するためには、そ
の結晶性半導体膜の膜質管理が非常に重要である。
【0009】結晶性半導体膜の膜質管理において、特に
重要な管理ポイントはその結晶性であり、その結晶性を
随時測定して管理するのが最も望ましい。結晶性半導体
膜の結晶性を評価する方法としては、透過型電子顕微鏡
(TEM)やX線回析(XRD)等による方法が一般的
であるが、上述のように一定性能の半導体装置を安定し
て作製するためには、半導体装置の製造プロセスにおい
てインラインでモニター可能な手段が必要である。その
ためには、サンプルを非破壊で測定できると共に、半導
体素子サイズレベルの極小領域においても結晶性の測定
が可能な方法が要求される。これらの点においてラマン
分光法は非常に優れており、また、短時間で測定可能で
あるため、半導体装置の製造プロセスにおける結晶性半
導体膜の膜質管理方法としての実用化が期待される。
【0010】特開平3−109719号公報には、ラマ
ン分光法により結晶性ケイ素膜の膜質を管理して半導体
装置を作製する方法が提案されている。この公報では、
上記(3)の方法を用いて結晶性ケイ素膜を作製する際
に、その結晶化状態をラマン分光法により観察しながら
結晶化を行っている。即ち、レーザー光を照射して結晶
性ケイ素膜が熔融状態になっているときに、その結晶性
ケイ素膜に対してラマンピーク波形のピーク強度または
ピーク強度の半値幅を検知することにより、その結晶性
ケイ素膜の熔融状態をその場で観察しながら結晶化を行
うのである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
特開平3−109719号公報の技術には非常に無理が
あり、現在のところ実現することはまず不可能である。
即ち、レーザー光照射による熔融時間は数十sec〜数
百sec程度の短時間であり、このような短時間内に充
分なラマン信号を測定することは不可能である。よっ
て、そのデータを基にしてレーザー光照射を制御するの
は非常に困難である。このため、実際には、既に結晶化
が終了した結晶性ケイ素膜に対して、その膜質を管理す
るためにラマン分光法による測定が行われる。
【0012】また、特開平3−109719号公報にお
いては、結晶性ケイ素膜のラマンピーク波形を解析する
ためのパラメータとしてピーク強度またはピーク強度の
半値幅を用いているが、これらのパラメータだけでは得
られたラマンピーク波形を正確に解析することは困難で
ある。その理由を以下に述べる。単結晶状態のケイ素膜
のラマンピーク波形は、基準ピーク波数から高波数側と
低波数側とで対称形を示し、ローレンツ型ピーク関数に
より大きな誤差無くフィッティング近似が可能である。
しかし、結晶性ケイ素膜の結晶状態が崩れて結晶性が悪
化するに従って、ピーク波形が歪んだ形状となって、ロ
ーレンツ型ピーク関数等による正確なフィッティング近
似ができなくなる。このような歪んだ形状のピーク波形
に対してそのピーク強度またはピーク強度の半値幅のみ
に注目すると、大きな誤解を生ずる結果となる。
【0013】このことについて、結晶性ケイ素膜を例に
挙げてさらに詳しく説明する。図10に単結晶状態のシ
リコンウェハーのラマンピーク波形X1と多結晶状態の
結晶性ケイ素膜のラマンピーク波形X2とを示す。な
お、この図10において、横軸は入射光波数からの差を
表すラマンシフト波数を示し、縦軸はその強度値を示
す。ラマンピークの波数は、測定対象の半導体固有のフ
ォノンに対応するラマンバンドを表す。ストレスフリー
の状態では、シリコンウェハーのピーク波数X3は52
0.6cm-1である。
【0014】ところで、ケイ素は単原子分子でありなが
ら、ダイヤモンド構造の結晶構造を組むため、(11
1)方向において、結晶学的には同等であるが弾性振動
的には異なる2つの原子状態が存在する。これにより光
学(Optical)モードのフォノンが発生し、(1
11)方向における結晶性ケイ素のフォノンの分散関係
は図11のようになる。なお、図11において、横軸は
第1ブリルアンゾーンを表す波数ベクトルkを示し、縦
軸はフォノンのエネルギーを示す。この図11から、T
Oモード(Y1)、LOモード(Y2)、TAモード
(Y3)およびLAモード(Y4)の4種類のフォノン
モードがあり、k=0でTOとLOとが縮退すると共
に、TAとLAとが縮退していることがわかる。ラマン
散乱は光の非弾性散乱であるため、選択則に従えば運動
量が0であるとき、即ち図11に示したk=0において
相互作用が行われる。従って、図11に示したk=0の
点におけるTOフォノンまたはLOフォノンのエネルギ
ーY5は、図10に示したシリコンウェハーのラマンピ
ーク波形X1におけるピーク波数X3=520.6cm
-1のエネルギーに相当する。
【0015】ところが、結晶性ケイ素膜の結晶性が乱れ
ると、上述の選択則が崩れ、k=0以外のk=0付近の
点においてもラマン活性となって、ある程度は測定され
るようになる。このような選択則の崩れは結晶性の乱れ
を如実に表し、非単結晶状態の結晶性ケイ素膜における
ラマンピーク波形は、TOフォノンY1およびLOフォ
ノンY2に対してk=0を中心とした一定範囲内のkに
おける状態密度として観測されるようになる。その結
果、図10のX2に示すように、低エネルギー側である
低波数側にテールを引いたような歪んだ形状となる。特
に、結晶性がほぼ完全に崩れた非晶質ケイ素膜において
は、図11の全領域のkにおいて、各フォノンの状態密
度としてそのラマンピーク波形が観測される。その結
果、TOフォノンとLOフォノンとが分離されて別々の
ラマンピーク波形として観測されると共に、単結晶状態
では観測されなかったTAフォノンおよびLAフォノン
のラマンピーク波形も観測される。このときのTOフォ
ノンによるラマンピーク波形は、約480cm-1を中心
とした非常にブロードなピークとして観測される。
【0016】上述のように、多結晶状態や非単結晶状態
の結晶性ケイ素膜の結晶性をラマン分光法を用いて正確
に管理することは非常に難しく、従来から用いられてい
るピーク強度、ピーク波数やピーク強度の半値幅等のパ
ラメータだけでは、ラマンピーク波形を正確に解析して
結晶性評価を行うことができない。特に、ピーク強度は
光源の出力やサンプル表面のラフネスに大きく依存し、
ピーク波数は膜中の応力をも反映するので、結晶性のみ
を表すパラメータとすることはできない。
【0017】本発明は、このような従来技術の課題を解
決すべくなされたものであり、半導体装置の製造プロセ
スにおいて結晶性半導体膜の膜質をインラインで素早く
正確に評価して膜質を管理することができる結晶性半導
体膜の膜質管理方法および結晶性半導体膜の膜質管理用
コンピュータソフト、安定して均一な膜質が得られる結
晶性ケイ素膜、安定して一定性能が得られる半導体装置
および薄膜トランジスタを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の結晶性半導体膜
の膜質管理方法は、基板上に形成された結晶性を有する
半導体膜の膜質を管理する方法であって、該半導体膜に
固有のフォノンに対応するラマンバンドのピーク波形を
ラマン分光法により測定し、該ピーク波形のピークトッ
プの波数値である基準ピーク波数より高波数側の波形と
該基準ピーク波数より低波数側の波形とから非対称性の
程度を判断することにより該半導体膜の膜質を管理し、
そのことにより上記目的が達成される。
【0019】本発明の結晶性半導体膜の膜質管理方法に
おいて、前記高波数側の波形の前記基準ピーク波数から
所定の波数までの波形面積であるピーク面積と、前記低
波数側の波形の該基準ピーク波数から所定の波数までの
波形面積であるピーク面積とを求め、両ピーク面積を比
較して行ってもよい。
【0020】本発明の結晶性半導体膜の膜質管理方法に
おいて、前記高波数側の波形における前記基準ピーク波
数から一定強度値の波数までの波数差であるピーク幅
と、前記低波数側の波形における該基準ピーク波数から
一定強度値の波数までの波数差であるピーク幅とを求
め、両ピーク幅を比較して行ってもよい。
【0021】本発明の結晶性半導体膜の膜質管理方法に
おいて、前記高波数側の波形における所定強度範囲内の
ピーク幅を平均値化した平均ピーク幅と、前記低波数側
の波形における所定強度範囲内のピーク幅を平均値化し
た平均ピーク幅とを求め、両平均ピーク幅を比較して行
ってもよい。
【0022】本発明の結晶性半導体膜の膜質管理方法に
おいて、前記高波数側の波形について前記ピーク強度値
とグランドレベルとの差の1/2の強度値におけるピー
ク幅である半値幅と、前記低波数側の波形について該ピ
ーク強度値とグランドレベルとの差の1/2の強度値に
おけるピーク幅である半値幅とを求め、両半値幅を比較
して行ってもよい。
【0023】本発明の結晶性半導体膜の膜質管理方法に
おいて、前記高波数側の波形について前記ピーク強度値
とグランドレベルとの差の1/4の強度値におけるピー
ク幅である1/4幅と、前記低波数側の波形について該
ピーク強度値とグランドレベルとの差の1/4の強度値
におけるピーク幅である1/4幅とを求め、両1/4幅
を比較して行ってもよい。
【0024】本発明の結晶性半導体膜の膜質管理方法に
おいて、前記高波数側の波形について前記ピーク強度値
とグランドレベルとの差の1/8の強度値におけるピー
ク幅である1/8幅と、前記低波数側の波形について該
ピーク強度値とグランドレベルとの差の1/8の強度値
におけるピーク幅である1/8幅とを求め、両1/8幅
を比較して行ってもよい。
【0025】本発明の結晶性半導体膜の膜質管理方法に
おいて、前記ピーク波形をスムージング処理した後のピ
ーク波形を用いてもよい。
【0026】本発明の結晶性半導体膜の膜質管理方法に
おいて、前記高波数側の波形について前記基準ピーク波
数から一定波数離れた点での強度値と、前記低波数側の
波形について該基準ピーク波数から一定波数離れた点で
の強度値とを求め、両強度値を比較して行ってもよい。
【0027】本発明の結晶性半導体膜の膜質管理方法に
おいて、前記高波数側の波形について前記基準ピーク波
数から所定波数範囲内の強度値を平均値化した平均強度
値と、前記低波数側の波形について該基準ピーク波数か
ら所定波数範囲内の強度値を平均値化した平均強度値と
を求め、両平均強度値を比較して行ってもよい。
【0028】本発明の結晶性半導体膜の膜質管理方法に
おいて、前記高波数側の波形における裾の所定の波数領
域での強度値の平均値からグランドレベルを決定し、こ
のグランドレベル以上の強度におけるピーク波形を用い
るようにして行ってもよい。
【0029】本発明の結晶性半導体膜の膜質管理方法に
おいて、前記ピーク波形のピーク強度値とグランドレベ
ルとの差の1/2以上の強度値範囲に対して任意の関数
によるカーブフィッテイング近似を行い、得られたピー
ク波形に基づいて決定した基準ピーク波数を用いるよう
にして行ってもよい。前記カーブフィッテイング近似を
行うための関数として、ローレンツ型ピーク関数を用い
ることができる。
【0030】本発明の結晶性半導体膜の膜質管理方法に
おいて、前記高波数側の波形および前記低波数側の波形
の各々に対して任意の関数によるカーブフィッテイング
近似を行い、該高波数側の波形に対して得られた近似後
のピーク関数と、該低波数側の波形に対して得られた近
似後のピーク関数とを比較して行ってもよい。
【0031】本発明の結晶性半導体膜の膜質管理方法に
おいて、前記高波数側の近似後のピーク関数における所
定の波数範囲での波形面積であるピーク面積と、前記低
波数側の近似後のピーク関数における所定の波数範囲で
の波形面積であるピーク面積とを求め、両ピーク面積を
比較して行ってもよい。
【0032】本発明の結晶性半導体膜の膜質管理方法に
おいて、前記高波数側の近似後のピーク関数における所
定の強度値でのピーク幅と、前記低波数側の近似後のピ
ーク関数における所定の強度値でのピーク幅とを求め、
両ピーク幅を比較して行ってもよい。
【0033】本発明の結晶性半導体膜の膜質管理方法に
おいて、前記高波数側の近似後のピーク関数における前
記ピーク強度値とグランドレベルとの差の1/2の強度
値におけるピーク幅である半値幅と、前記低波数側の近
似後のピーク関数における該ピーク強度値とグランドレ
ベルとの差の1/2の強度値におけるピーク幅である半
値幅とを求め、両半値幅を比較して行ってもよい。
【0034】本発明の結晶性半導体膜の膜質管理方法に
おいて、前記高波数側の近似後のピーク関数における前
記ピーク強度値とグランドレベルとの差の1/4の強度
値におけるピーク幅である1/4幅と、前記低波数側の
近似後のピーク関数における該ピーク強度値とグランド
レベルとの差の1/4の強度値におけるピーク幅である
1/4幅とを求め、両1/4幅を比較して行ってもよ
い。
【0035】本発明の結晶性半導体膜の膜質管理方法に
おいて、前記高波数側の近似後のピーク関数における前
記ピーク強度値とグランドレベルとの差の1/8の強度
値におけるピーク幅である1/8幅と、前記低波数側の
近似後のピーク関数における該ピーク強度値とグランド
レベルとの差の1/8の強度値におけるピーク幅である
1/8幅とを求め、両1/8幅を比較して行ってもよ
い。
【0036】本発明の結晶性半導体膜の膜質管理方法に
おいて、前記高波数側の近似後のピーク関数における前
記基準ピーク波数から一定波数離れた点での強度値と、
前記低波数側の近似後のピーク関数における該基準ピー
ク波数から一定波数離れた点での強度値とを求め、両強
度値を比較して行ってもよい。
【0037】本発明の結晶性半導体膜の膜質管理方法に
おいて、前記高波数側の波形および前記低波数側の波形
の各々に対してカーブフィッテイング近似を行う際に、
一方の波形の測定点に他方の波形における前記基準ピー
ク波数近傍の測定点を若干数含ませて、該高波数側の波
形および該低波数側の波形の各々に対してカーブフィッ
テイング近似を行うようにしてもよい。
【0038】本発明の結晶性半導体膜の膜質管理方法に
おいて、前記高波数側の波形における裾の所定の波数領
域での強度値の平均値からグランドレベルを決定し、こ
のグランドレベル以上の強度におけるピーク波形を用い
るようにしてもよい。
【0039】本発明の結晶性半導体膜の膜質管理方法に
おいて、前記カーブフィッテイング近似を行う際のグラ
ンドレベルを用いて、該カーブフィッテイング近似によ
り得られるピーク関数を解析するようにしてもよい。
【0040】本発明の結晶性半導体膜の膜質管理用コン
ピュータソフトは、上述した結晶性半導体膜の膜質管理
方法により、基板上に形成された結晶性を有する半導体
膜の膜質管理を行うためのものであり、ラマン分光法に
より得られる該半導体膜のスペクトル波形を解析するプ
ログラムが組み込まれているので、上記目的が達成され
る。
【0041】本発明の結晶性ケイ素膜は、上述した結晶
性半導体膜の膜質管理方法により、その膜質を管理して
得られ、そのことにより上記目的が達成される。
【0042】本発明の結晶性ケイ素膜は、前記低波数側
の波形の半値幅Lと前記高波数側の波形の半値幅Hとの
比L/Hが1.1以下となるようにその膜質を管理して
得られ、そのことにより上記目的が達成される。
【0043】本発明の結晶性ケイ素膜は、前記低波数側
の波形の1/4幅Lと前記高波数側の波形の1/4幅H
との比L/Hが1.2以下となるようにその膜質を管理
して得られ、そのことにより上記目的が達成される。
【0044】本発明の結晶性ケイ素膜は、前記低波数側
の波形の1/8幅Lと前記高波数側の波形の1/8幅H
との比L/Hが1.4以下となるようにその膜質を管理
して得られ、そのことにより上記目的が達成される。
【0045】本発明の結晶性ケイ素膜は、前記低波数側
のピーク関数の半値幅Lと前記高波数側のピーク関数の
半値幅Hとの比L/Hが1.1以下となるようにその膜
質を管理して得られ、そのことにより上記目的が達成さ
れる。
【0046】本発明の結晶性ケイ素膜は、前記低波数側
のピーク関数の1/4幅Lと前記高波数側のピーク関数
の1/4幅Hとの比L/Hが1.2以下となるようにそ
の膜質を管理して得られ、そのことにより上記目的が達
成される。
【0047】本発明の結晶性ケイ素膜は、前記低波数側
のピーク関数の1/8幅Lと前記高波数側のピーク関数
の1/8幅Hとの比L/Hが1.4以下となるようにそ
の膜質を管理して得られ、そのことにより上記目的が達
成される。
【0048】上述の結晶性ケイ素膜は、基板上に形成さ
れたケイ素膜に光照射することにより結晶化し、または
再結晶化して得ることができる。
【0049】上述の結晶性ケイ素膜は、基板上に形成さ
れた非晶質ケイ素膜に結晶化を助長する触媒元素を導入
して加熱処理することにより得ることができる。
【0050】本発明の半導体装置は、上述した結晶性ケ
イ素膜を、能動領域として備え、そのことにより上記目
的が達成される。
【0051】本発明の薄膜トランジスタは、上述した結
晶性ケイ素膜を、活性領域として備え、そのことにより
上記目的が達成される。
【0052】以下、本発明の作用について説明する。
【0053】本発明者らは、結晶性半導体膜を用いた半
導体素子を安定して製造するために、その結晶性半導体
膜の膜質を管理することが非常に重要なポイントである
ということを早くから認識しており、半導体装置の製造
プロセスにおいてインラインで測定可能なラマン分光法
により正確に結晶性半導体膜の膜質を管理できる方法を
模索し続けていた。その結果、鋭意研究を重ねた末に、
本発明者らは、ラマン分光法によりその半導体膜のラマ
ンスペクトルに固有のフォノンに対応するラマンバンド
のピーク波形を測定し、そのピーク波形の基準ピーク波
数より高波数側の波形と低波数側の波形とを比較して非
対称性の程度を判断することにより、非常に正確に半導
体膜の膜質管理が行えることを確認した。
【0054】このように正確に半導体膜の膜質管理が行
える理由は、以下の通りである。従来技術の箇所で説明
したように、結晶性半導体膜の結晶性が乱れると、ラマ
ン選択則が崩れてある程度のk方向の拡がり内における
状態密度を反映するようになる。このとき、状態密度が
低エネルギー側に拡がるので、ラマン分光法により得ら
れるその半導体膜に固有のフォノンに対応するラマンバ
ンドのピーク波形(ラマンピーク波形)が、基準ピーク
波数より低波数側にテールを引いたような歪んだ状態で
観測される。この低波数側でのテールの引き具合は、そ
の半導体膜の結晶性を最大限に表しているため、基準ピ
ーク波数より高波数側の波形と低波数側の波形とを比較
して非対称性の程度を判断することにより、非常に正確
に半導体膜の膜質管理が行えるのである。
【0055】本発明者らが結晶性ケイ素膜を活性領域と
した薄膜トランジスタ(以下、TFTと称する)につい
て、その活性領域をラマン分光法により測定し、TFT
の特性としての電界効果移動度とラマン分光法により得
られる各パラメータとの相関関係を調べたところ、従来
用いられているパラメータであるピーク強度およびピー
ク波数では30%程度の誤差があり、ピーク強度の半値
幅では20%程度の誤差があった。これに対して、本発
明においては、基準ピーク波数より高波数側の波形と低
波数側の波形とを比較して非対称性の程度を判断するこ
とにより、誤差を10%程度にすることができ、非常に
正確にTFT特性とラマン分光波形との相関関係を得る
ことができることがわかった。
【0056】本発明において、ラマンピーク波形の非対
称性の程度は、基準ピーク波数より高波数側の波形と低
波数側の波形とについて、ピーク面積を比較することに
より判断するのが好ましい。両者を比較するためには、
例えば、両者の差や比等を用いることができる。これら
のピーク面積に関する値を比較することによりピーク波
形全体の情報が得られるので、ラマンピーク波形の非対
称性の程度の違いを正確に数値化することができる。
【0057】上記ピーク面積は、基準ピーク波数から所
定の波数までを面積計算範囲として設定し、この範囲で
強度値を積分計算することにより求めることができる。
【0058】また、本発明において、ラマンピーク波形
の非対称性の程度は、基準ピーク波数より高波数側の波
形と低波数側の波形とについて、ピーク幅を比較するこ
とによっても正確に判断することができる。両者を比較
するためには、例えば、両者の差や比等を用いることが
できる。これらのピーク幅を比較することにより、より
簡便な手法で正確な膜質管理を行うことができる。上記
ピーク幅として、所謂半値幅を用いた場合には、ノイズ
の影響を最小限に抑えて正確な値が得られる。また、上
記ピーク幅として、所謂1/4幅を用いた場合には、半
値幅を用いた場合に比べてノイズの影響は若干大きくな
るが、ピーク波形のうちの裾側に近い方を用いることに
なるので、結晶性をより正確に判断することができる。
さらに、上記ピーク幅として、所謂1/8幅を用いた場
合には、1/4幅を用いた場合に比べてノイズの影響は
さらに大きくなるが、ピーク波形のうちの最も裾側を用
いることになるので、結晶性をさらに正確に判断するこ
とができる。これらのピーク幅は、測定に用いるラマン
分光装置の分解能やSN比等の性能を考慮して、最も適
切なもの選択すればよい。
【0059】上記ピーク幅は、ノイズによる誤差の影響
を極力少なくするために、ピーク波形をスムージング処
理した後で求めるのが好ましい。
【0060】また、上記ピーク幅は、例えば1/2から
1/4まで、または1/4から1/8までというよう
に、所定強度範囲内の強度値に対するピーク幅を平均値
化して求めてもよい。このようにすると、ノイズの問題
を低減することができ、ピーク波形の非対称性の程度を
正確に、かつ、個人差無く得ることができるので好まし
い。
【0061】さらに、本発明において、ラマンピーク波
形の非対称性の程度は、基準ピーク波数より高波数側の
波形と低波数側の波形とについて、基準ピーク波数から
一定波数の点での強度値を比較することによっても正確
に判断することができる。両者を比較するためには、例
えば、両者の差や比等を用いることができる。これらの
強度値を比較することにより、より簡便な手法で正確な
膜質管理を行うことができる。
【0062】上記基準ピーク波数から一定波数の点での
強度値として、所定の範囲内の波数の点、例えば基準ピ
ーク波数から3cm-1〜5cm-1まで等の範囲内の波数
の点での強度値を平均値化したものを用いるのが好まし
い。このようにすると、ノイズの問題を低減することが
でき、ピーク波形の非対称性の程度を正確に、かつ、個
人差無く得ることができる。
【0063】本発明において、高端数側領域と低端数側
領域の境界である基準ピーク波数を決定することは、上
記ラマンピーク波形を解析する上で非常に重要なポイン
トである。この基準ピーク波数として、例えば、単に強
度がマキシマムである測定点を選ぶと、その測定点がノ
イズであるおそれがあり、この場合には正確な基準ピー
ク波数からのずれが生じて、誤った解析結果が得られる
という問題がある。最も正確な基準ピーク波数が得られ
る方法としては、ラマンピーク波形に対して関数近似に
よるカーブフィッティングを行い、その結果により基準
ピーク波数を決定する方法があるが、上述のように、非
単結晶状態の結晶性半導体膜においてはラマンピーク波
形が歪んでいるので、カーブフィッティング近似が困難
である。そこで、本発明において基準ピーク波数を決定
するためのカーブフィッティング近似を行う際には、ピ
ーク波形のピーク強度値とグランドレベルとの差の1/
2以上の強度値を有する測定点に対して任意の関数によ
るカーブフィッテイング近似を行うのが好ましい。この
ようにすると、ずれの無いフィッティングが可能とな
り、正確に基準ピーク波数を決定できる。これに対し
て、この範囲を外れる測定点を取り入れてカーブフィッ
ティングを行った場合、誤差が大きくなって正確なフィ
ッティングができない。
【0064】上記カーブフィッテイング近似を行うため
の関数として、ローレンツ型ピーク関数を用いると、フ
ィッティングの誤差を最も少なくできるので最適であ
る。
【0065】また、本発明において、ピーク波形のグラ
ンドレベルを決定することは、上記ラマンピーク波形を
解析する上で非常に重要なポイントである。このグラン
ドレベルの設定次第では、ピーク面積、ピーク強度やピ
ーク幅等の数値が異なったものになるからである。従
来、このグランドレベルの設定は、2点法により行うの
が一般的であり、この方法ではピーク波形の高波数側に
おける裾領域の1点と低波数側における裾領域の1点と
を結んでグランドレベルが決定される。また、その他の
グランドレベルの設定方法としては、曲線近似等の方法
も知られている。しかし、このようなグランドレベルの
設定方法では、半導体膜の結晶性評価のために非常に重
要なポイントである、ピーク波形の低波数側におけるテ
ールの引き具合が、全て打ち消されてしまうことがあ
る。そこで、本発明においてピーク波形のグランドレベ
ルを設定する際には、基準ピーク波数から高波数側のピ
ーク波形における所定の裾領域での平均値から決定する
のが好ましい。例えば、結晶性ケイ素膜では520cm
-1近傍にピーク波数があるため、ピーク波形がほぼ完全
に落ち込んで裾領域となっている550cm-1以上の波
数領域における所定の範囲内で強度値の平均値を取り、
その平均値でグランドレベルを決定する。このようにす
ると、半導体膜の結晶性を如実に表す、ピーク波形の低
波数側におけるテールの引き具合が打ち消されず、基準
ピーク波数から高波数側の波形と低波数側の波形との非
対称性がはっきりと現れるので、より正確に膜質管理を
行うことが可能である。
【0066】本発明において、ラマンピーク波形におけ
る基準ピーク波数より高波数側の波形および低波数側の
波形の各々に対して任意の関数によるカーブフィッテイ
ング近似を行い、基準ピーク波数より高波数側の波形に
対して得られるピーク関数と低波数側の波形に対して得
られるピーク関数とについて比較するのが好ましい。高
波数側または低波数側の各々に対してカーブフィッティ
ング近似を行った場合の誤差は、ピーク波形全体に対し
てカーブフィッティング近似を行った場合に誤差に比べ
て極めて小さく、非常に正確なカーブフィッティング近
似が可能である。しかも、カーブフィッティング近似を
行って得られたピーク関数について比較するので、ノイ
ズの影響が小さく、測定分解能以上の精度で評価可能と
なる。
【0067】基準ピーク波数より高波数側のピーク関数
と低波数側のピーク関数とについて比較する際には、ピ
ーク面積を比較するのが好ましい。両者を比較するため
には、例えば、両者の差や比等を用いることができる。
低波数側のピーク関数は、結晶性の乱れを反映してテー
ルを引いたものであり、高波数側のピーク関数に比べて
ブロードなものになっている。これらのピーク面積を比
較することにより、ピーク波形全体の情報が得られるの
で、ラマンピーク波形の非対称性の程度を正確に数値化
することができる。
【0068】また、基準ピーク波数より高波数側のピー
ク関数と低波数側のピーク関数とについて比較する際
に、ピーク幅を比較することによっても正確にラマンピ
ーク波形の非対称性の程度を判断することができる。両
者を比較するためには、例えば、両者の差や比等を用い
ることができる。これらのピーク幅を比較することによ
り、より簡便な手法で正確な膜質管理を行うことができ
る。上記ピーク幅として、所謂半値幅を用いた場合に
は、誤差を最小限に抑えて正確な値が得られる。また、
上記ピーク幅として、所謂1/4幅を用いた場合には、
半値幅を用いた場合に比べて誤差は若干大きくなるが、
ピーク波形のうちの裾側に近い方を用いることになるの
で、結晶性をより正確に判断することができる。さら
に、上記ピーク幅として、所謂1/8幅を用いた場合に
は、1/4幅を用いた場合に比べて誤差はさらに大きく
なるが、ピーク波形のうちの最も裾側を用いることにな
るので、結晶性をさらに正確に判断することができる。
【0069】さらに、基準ピーク波数より高波数側のピ
ーク関数と低波数側のピーク関数とについて比較する際
に、基準ピーク波数から一定波数の点での強度値を比較
することによっても正確にラマンピーク波形の非対称性
の程度を判断することができる。両者を比較するために
は、例えば、両者の差や比等を用いることができる。こ
れらの強度値を比較することにより、より簡便な手法で
正確な膜質管理を行うことができる。基準ピーク波数よ
り高波数側の波形と低波数側の波形の各々に対してカー
ブフィッテイング近似を行うための上記関数として、ロ
ーレンツ型ピーク関数を用いると、フィッティングの誤
差を最も少なくできるので最適である。
【0070】また、基準ピーク波数より高波数側の波形
と低波数側の波形の各々に対してカーブフィッテイング
近似を行う際に、一方の波形の測定点に他方の波形にお
ける基準ピーク波数近傍の測定点を若干数含ませるのが
好ましい。つまり、高波数側の波形には低波数側のピー
クトップ近傍の測定領域を含ませ、低波数側の波形には
高波数側のピークトップ近傍の測定領域を含ませるよう
にする。このようにすると、より正確なカーブフィッテ
ィングを行うことができ、しかも、高波数側のピーク関
数と低波数側のピーク関数との双方で基準ピーク波数お
よびピーク強度が同一の値となるので両者の比較が容易
となる。
【0071】さらに、基準ピーク波数より高波数側の波
形と低波数側の波形の各々に対してカーブフィッテイン
グ近似を行う際には、基準ピーク波数より高波数側のピ
ーク波形における所定の裾領域での強度値の平均値から
決定するのが好ましい。このようにすると、半導体膜の
結晶性を如実に表す、ピーク波形の低波数側におけるテ
ールの引き具合が打ち消されず、より正確にカーブフィ
ッティングを行うことが可能である。
【0072】また、上記カーブフィッテイング近似によ
り得られるピーク関数を解析する際のグランドレベルと
しては、カーブフィッテイング近似を行う際に用いたグ
ランドレベルと同一のものを用いるのが好ましい。この
ようにすると、ピーク関数の形状の違いが明確に現れる
ため、より正確な膜質管理が可能となる。
【0073】ところで、本発明においては、上述のよう
にラマンスペクトルを解析することにより結晶性半導体
膜の膜質を管理するが、これらのラマンスペクトルの解
析はコンピュータを用いて行うことができる。従って、
本発明の結晶性半導体膜の膜質管理方法により基板上に
形成された結晶性を有する半導体膜の膜質管理を行うた
めに、ラマン分光法により得られる半導体膜のラマンス
ペクトルを解析するプログラムが組み込まれているコン
ピュータソフト全般が、本発明に関するものとなる。
【0074】本発明の結晶性ケイ素膜は、本発明の結晶
性半導体膜の膜質管理方法によりその膜質が管理され
る。結晶性ケイ素膜は、半導体装置全般に素子材として
用いられており、ラマン散乱に対するレスポンスも良好
である。
【0075】特に、レーザー光等の強光照射により結晶
化し、または再結晶化した結晶性ケイ素膜は、その結晶
性が照射条件に大きく依存するため不安定要因が多く、
本発明の結晶性半導体膜の膜質管理方法により膜質を管
理することが不可欠である。
【0076】また、非晶質ケイ素膜に結晶化を助長する
触媒元素を導入して加熱処理することにより結晶化した
結晶性ケイ素膜についても、その結晶性が触媒元素量に
大きく依存するため不安定要因が多く、本発明の結晶性
半導体膜の膜質管理方法により膜質を管理することが不
可欠である。
【0077】さらに、半導体装置の能動領域、例えばT
FTの活性領域を構成する結晶性ケイ素膜としては、可
能な限り高品質な結晶性ケイ素膜が望まれる。結晶性が
悪いものを能動領域として用いた場合には、電界効果移
動度が上がらず、充分な駆動能力を発揮できない上に、
結晶欠陥に起因して素子特性が不安定になり、リーク電
流も増大してしまうからである。
【0078】本発明者らが結晶性ケイ素膜を活性領域と
したTFTについて実験を行ったところ、上記基準ピー
ク波数より低波数側の波形の半値幅Lと高波数側の波形
の半値幅Hとの比L/Hが1.1以下となるように結晶
性ケイ素膜の膜質を管理した場合には、上述のような素
子特性の不安定性やリーク電流の増大現象を抑えること
ができた。このときのTFTの電界効果移動度は80c
2/Vs〜100cm2/Vsであり、電流駆動能力も
充分であった。
【0079】従って、基準ピーク波数より低波数側の波
形の半値幅Lと高波数側の波形の半値幅Hとの比L/H
が1.1以下となるようにして結晶性ケイ素膜の膜質を
管理するのが好ましく、同様の理由から、基準ピーク波
数より低波数側のピーク関数の半値幅Lと高波数側のピ
ーク関数の半値幅Hとの比L/H1.1以下となるよう
にするのが好ましい。
【0080】また、同様の理由から、基準ピーク波数よ
り低波数側の波形の1/4幅Lと高波数側の波形の1/
4幅Hとの比L/Hが1.2以下となるようにするのが
好ましく、基準ピーク波数より低波数側のピーク関数の
1/4幅Lと高波数側のピーク関数の1/4幅Hとの比
L/H1.2以下となるようにするのが好ましい。
【0081】さらに、同様の理由から、基準ピーク波数
より低波数側の波形の1/8幅Lと高波数側の波形の1
/8幅Hとの比L/Hが1.4以下となるようにするの
が好ましく、基準ピーク波数より低波数側のピーク関数
の1/8幅Lと高波数側のピーク関数の1/8幅Hとの
比L/H1.4以下となるようにするのが好ましい。
【0082】このようにして膜質が管理された結晶性半
導体膜を能動領域として備えた半導体装置、例えば結晶
性ケイ素膜を活性領域として備えたTFTは、素子特性
が非常に安定で均一性に富むものとすることができる。
また、結晶性半導体膜の膜質不良を膜形成直後に検出し
て、半導体装置の製造工程における早い段階において不
良品をラインから取り除くことが可能であり、製造コス
トの低廉化が図れる。
【0083】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照しながら説明する。
【0084】以下の実施形態1〜6では、ガラス基板上
に形成した非単結晶状態の結晶性ケイ素膜(厚さ20n
m〜100nm程度)に対して本発明の結晶性半導体膜
の膜質管理方法を適用した例について説明する。
【0085】各実施形態1〜6では、図1に示すような
ラマン顕微鏡光学システムを用いて結晶性ケイ素膜に対
するラマン分光測定を行った。以下、このラマン分光シ
ステムについて説明する。光源1としては波長514.
5nmのArレーザーを用いた。光源11から出射され
たレーザー光は、減光器12を通ってサンプル13に影
響が生じない程度まで減光された後、ビームスプリッタ
ー14を介して顕微鏡システムの対物レンズ15まで導
かれ、そこで集光されてXYステージ16上のサンプル
13に照射される。このとき、対物レンズ15の倍率を
変化させることにより、サンプル13面に照射されるレ
ーザー光の照射スポット、即ち測定の空間分解能が変化
する。本発明者らが用いたラマン分光装置においては、
対物レンズの倍率を100倍とし、そのときのサンプル
13面でのレーザー光の照射スポット径は1μmφであ
った。
【0086】その後、サンプル13面で散乱された光
は、再び対物レンズ15を介してシステム内に取り込ま
れ、ビームスプリッター14を通った後、プリズム17
および偏光子18を介してモノクロメーター19に導か
れる。そのモノクロメーター19で分散された光は、光
電子倍増管やマルチチャンネルディテクター等の検出器
によりシグナルとして検出されてラマンスペクトルが得
られる。得られたラマンスペクトルは、半導体膜のラマ
ンスペクトルを解析するプログラムが組み込まれたコン
ピュータソフトを搭載したコンピュータに導かれて解析
される。
【0087】各実施形態1〜6では、このようなラマン
分光システムにより得られるラマンスペクトルのうち、
ラマンシフト520cm-1付近に存在するケイ素膜固有
のフォノンに対応するラマンバンドのピーク波形、即ち
ケイ素膜の1次ラマンピーク波形(以下、ラマンピーク
波形と称する)に対する解析を行った。以下、実施形態
1〜6の各々について説明する。
【0088】(実施形態1)図2に、上述した図1のラ
マン分光システムにより検出した結晶性ケイ素膜のラマ
ンピーク波形21を示す。
【0089】まず、このラマンピーク波形21に対し
て、グランドレベル22を決定する。本実施形態では、
ラマンピーク(基準ピーク波数)より高波数側となる5
50cm-1〜560cm-1の強度値を平均値化したもの
をグランドレベル22とした。
【0090】次に、ラマンピーク波形21に対して、基
準ピーク波数23を決定する。本実施形態では、ラマン
ピーク波形21の非対称性の程度を判断するために、基
準ピーク波数23より高波数側の波形21Hのピーク面
積25Hと低波数側の波形21Lのピーク面積25Lと
を求めて両者を比較しており、基準ピーク波数23の設
定次第では得られる数値が大きく異なったものになって
しまう。従って、基準ピーク波数23の決定は非常に重
要である。基準ピーク波数23を決定する手法としては
様々な方法が考えられ、最も簡単な方法としては強度値
が最大となる測定点とすればよい。但し、この方法で
は、ピークトップ近傍のノイズを最大値と判断するおそ
れがあり、正確な基準ピーク波数23の決定が困難であ
る。そこで、本実施形態では、基準ピーク近傍において
ピーク関数によるカーブフィッティング近似を行って、
基準ピーク波数23を決定した。より具体的には、おお
よそのピーク波数から目視で±2cm-1程度の領域に対
して、ローレンツ型ピーク関数によりカーブフィッティ
ング近似を行い、その近似関数から基準ピーク波数を決
定した。この近似関数は、基準ピーク波数23を決定す
るためだけに用いられるものであるので、ローレンツ型
ピーク関数より単純な2次関数等でも充分目的を達する
ことができる。また、基準ピーク波数を決定するための
カーブフィッティングを行う際には、ピーク近傍に限ら
ず、ピーク強度値とグランドレベルとの差の1/2以上
の強度値を有する測定点に対してカーブフィッテイング
近似を行っても、充分に正確なカーブフィッティングを
行うことができる。
【0091】続いて、基準ピーク波数23より高波数側
の波形21Hについて面積計算波数範囲24Hを設定す
ると共に、低波数側の波形21Lについても面積計算波
数範囲24Lを設定して、高波数側の波形21Hのピー
ク面積25Hと低波数側の波形21Lのピーク面積25
Lとを求める。本実施形態においては、基準ピーク波数
23が517cm-1であったので、高波数側波形21H
の面積計算波数範囲24Hの値としては517cm-1
550cm-1までとし、低波数側波形21Lの面積計算
波数範囲24Lの値としては460cm-1〜517cm
-1までとした。このようにして得られた高波数側の波形
21Hのピーク面積25Hと低波数側の波形21Lのピ
ーク面積25Lとを比較するために、両者の比(25H
/25Lまたは25L/25H)や差(25H−25L
または25L−25H)等を求め、これによりラマンピ
ーク波形21の非対称性の程度を判断する。
【0092】本実施形態によれば、ラマンピーク波形2
1の非対称性の程度を正確に判断することができ、これ
を基にして結晶性ケイ素膜の膜質を管理することによ
り、従来に比べてより正確に結晶性ケイ素膜の膜質管理
を行うことができるようになった。
【0093】(実施形態2)図3に、上述した図1のラ
マン分光システムにより検出した結晶性ケイ素膜のラマ
ンピーク波形31を示す。
【0094】まず、このラマンピーク波形31に対し
て、グランドレベル32を決定する。本実施形態では、
実施形態1と同様に、ラマンピークより高波数側となる
550cm-1〜560cm-1の強度値を平均値化したも
のをグランドレベル32とした。
【0095】次に、ラマンピーク波形31に対して、基
準ピーク波数33を決定する。本実施形態では、ラマン
ピーク波形31の非対称性の程度を判断するために、基
準ピーク波数33より高波数側の波形31Hのピーク幅
35Hと低波数側の波形31Lのピーク幅35Lとを求
めて両者を比較しており、基準ピーク波数33の設定次
第では得られる数値が大きく異なったものになってしま
う。従って、実施形態1と同様に、基準ピーク波数33
の決定は非常に重要である。そこで、本実施形態では、
基準ピーク近傍においてピーク関数によるカーブフィッ
ティング近似を行って、基準ピーク波数33を決定し
た。より具体的には、実施形態1と同様に、おおよその
ピーク波数から目視で±2cm-1程度の領域に対して、
ローレンツ型ピーク関数によりカーブフィッティング近
似を行い、その近似関数から基準ピーク波数を決定し
た。この近似関数は、基準ピーク波数33を決定するた
めだけに用いられるものであるので、ローレンツ型ピー
ク関数より単純な2次関数等でも充分目的を達すること
ができる。
【0096】続いて、基準ピーク波数33より高波数側
の波形31Hと低波数側の波形31Lとの各々につい
て、一定強度値におけるピーク幅を求める。このときの
強度値は任意の値に設定可能であるが、どのような強度
値を採用するかによって解析し易さが異なってくる。例
えば、ピーク波形のピーク強度値とグランドレベルとの
差の1/2の強度値におけるピーク幅(半値幅)を取る
と、高波数側の半値幅は34Hで表され、低波数側の半
値幅は34Lで表される。この場合、高波数側の波形3
1Hの半値幅34Hと低波数側の波形31Lの半値幅3
4Lとを比較するために、両者の比(34H/34Lま
たは34L/34H)や差(34H−34Lまたは34
L−34H)等を求め、これによりラマンピーク波形3
1の非対称性の程度を判断する。また、ピーク波形のピ
ーク強度値とグランドレベルとの差の1/4の強度値に
おけるピーク幅(1/4幅)を取ってもよく、高波数側
の1/4幅は35Hで表され、低波数側の1/4は35
Lで表される。この場合、高波数側の波形31Hの1/
4幅35Hと低波数側の波形31Lの1/4幅35Lと
を比較するために、両者の比(35H/35Lまたは3
5L/35H)や差(35H−35Lまたは35L−3
5H)等を求め、これによりラマンピーク波形31の非
対称性の程度を判断する。さらに、ピーク波形のピーク
強度値とグランドレベルとの差の1/8の強度値におけ
るピーク幅(1/8幅)を取ってもよく、高波数側の波
形31Hの1/8幅は36Hで表され、低波数側の波形
31Lの1/8幅は36Lで表される。この場合、高波
数側の波形31Hの1/8幅36Hと低波数側の波形3
1Lの1/8幅36Lとを比較するために、両者の比
(36H/36Lまたは36L/36H)や差(36H
−36Lまたは36L−36H)等を求め、これにより
ラマンピーク波形31の非対称性の程度を判断する。
【0097】例えば、TFTの活性領域を構成する結晶
性ケイ素膜の膜質を管理する場合、本発明者らが実験を
行った結果によれば、上記基準ピーク波数より低波数側
の波形の半値幅Lと高波数側の波形の半値幅Hとの比L
/Hが1.1以下となるように管理することにより、素
子特性の不安定性やリーク電流の増大現象を抑えること
ができ、しかもTFTの電界効果移動度を高くして電流
駆動能力を充分にすることができる。または、基準ピー
ク波数より低波数側の波形の1/4幅Lと高波数側の波
形の1/4幅Hとの比L/Hは1.2以下となるように
管理し、あるいは、基準ピーク波数より低波数側の波形
の1/8幅Lと高波数側の波形の1/8幅Hとの比L/
Hが1.4以下となるように管理してもよい。
【0098】さらに、ノイズ等による測定誤差の影響を
極力小さくするためには、上記ピーク幅として所定範囲
内の強度値に対するピーク幅を平均値化したものを高波
数側と低波数側で比較してもよい。例えば1/2から1
/4までの強度範囲における高波数側の波形31Hのピ
ーク幅の積算値37Hと低波数側の波形31Lのピーク
幅の積算値37Lとを比較するために、両者の比(37
H/37Lまたは37L/37H)や差(37H−37
Lまたは37L−37H)を求め、これによりラマンピ
ーク波形31の非対称性の程度を判断する。または1/
4から1/8までの強度範囲における高波数側の波形3
1Hのピーク幅の積算値38Hと低波数側の波形31L
のピーク幅の積算値38Lとを比較するために、両者の
比(38H/38Lまたは38L/38H)や差(38
H−38Lまたは38L−38H)等を求め、これによ
りラマンピーク波形31の非対称性の程度を判断する。
【0099】また、ノイズ等による測定誤差の影響を極
力小さくするためには、上記ピーク波形をスムージング
処理した後でピーク面積を求めるのが好ましい。このよ
うなスムージング処理方法としては、例えば、異常波形
部分をカットしたり、異常点の測定値とその前後の点の
測定値との平均値をその異常点の測定値とする方法等が
考えられる。
【0100】本実施形態によれば、ラマンピーク波形3
1の非対称性の程度を正確に判断することができ、これ
を基にして結晶性ケイ素膜の膜質を管理することによ
り、従来に比べてより正確に結晶性ケイ素膜の膜質管理
を行うことができるようになった。
【0101】(実施形態3)図4に、上述した図1のラ
マン分光システムにより検出した結晶性ケイ素膜のラマ
ンピーク波形41を示す。
【0102】まず、このラマンピーク波形41に対し
て、グランドレベル42を決定する。本実施形態では、
実施形態1と同様に、ラマンピークより高波数側となる
550cm-1〜560cm-1の強度値を平均値化したも
のをグランドレベル42とした。
【0103】次に、ラマンピーク波形41に対して、基
準ピーク波数43を決定する。本実施形態では、ラマン
ピーク波形41の非対称性の程度を判断するために、基
準ピーク波数43より高波数側の波形41Hと低波数側
の波形41Lとについて、基準ピーク波数から一定波数
の点での強度値を求めて両者を比較しており、基準ピー
ク波数43の設定次第では得られる数値が大きく異なっ
たものになってしまう。従って、実施形態1と同様に、
基準ピーク波数43の決定は非常に重要である。そこ
で、本実施形態では、基準ピーク近傍においてピーク関
数によるカーブフィッティング近似を行って、基準ピー
ク波数43を決定した。より具体的には、実施形態1と
同様に、おおよそのピーク波数から目視で±2cm-1
度の領域に対して、ローレンツ型ピーク関数によりカー
ブフィッティング近似を行い、その近似関数から基準ピ
ーク波数を決定した。この近似関数は、基準ピーク波数
43を決定するためだけに用いられるものであるので、
ローレンツ型ピーク関数より単純な2次関数等でも充分
目的を達することができる。
【0104】続いて、基準ピーク波数43より高波数側
の波形41Hと低波数側の波形41Lとの各々につい
て、基準ピーク波数から一定波数の点での強度値を求め
る。このときの波数値は任意の値に設定可能であるが、
どのような波数値を採用するかによって解析し易さが異
なってくる。測定ノイズが大きい場合、基準ピーク波数
43から大きく離れた点ではノイズの影響が非常に大き
くなるのに対し、基準ピーク波数43近傍の点ではノイ
ズの影響は小さくてもラマンピーク波形41が示す結晶
性の情報を充分反映することが出来ないからである。本
実施形態では、基準ピーク波数43より高波数側と低波
数側とに各々4cm-1離れた波数の点における強度値4
4Hと44Lとを用いた。両者を比較するためには、両
者の比(44H/44Lまたは44L/44H)や差
(44H−44Lまたは44L−44H)等を求め、こ
れによりラマンピーク波形41の非対称性の程度を判断
する。
【0105】さらに、ノイズ等による測定誤差の影響を
極力小さくするためには、上記強度値として所定範囲内
の波数における強度値を平均値化したものを高波数側と
低波数側で比較してもよい。例えば基準ピーク波数43
から高波数側に3cm-1〜5cm-1離れた波数範囲45
Hと低波数側に3cm-1〜5cm-1離れた波数範囲45
Lとにおける強度値の積算値46Hおよび46Lとを比
較するために、両者の比(46H/46Lまたは46L
/46H)や差(46H−46Lまたは46L−46
H)等を求め、これによりラマンピーク波形41の非対
称性の程度を判断する。
【0106】本実施形態によれば、ラマンピーク波形4
1の非対称性の程度を正確に判断することができ、これ
を基にして結晶性ケイ素膜の膜質を管理することによ
り、従来に比べてより正確に結晶性ケイ素膜の膜質管理
を行うことができるようになった。
【0107】(実施形態4)図5(A)に、上述した図
1のラマン分光システムにより検出した結晶性ケイ素膜
のラマンピーク波形51を示す。
【0108】まず、このラマンピーク波形51に対し
て、グランドレベル52を決定する。本実施形態では、
実施形態1と同様に、ラマンピークより高波数側となる
550cm-1〜560cm-1の強度値を平均値化したも
のをグランドレベル52とした。
【0109】次に、ラマンピーク波形51における基準
ピーク波数53より高波数側の波形51Hと低波数側の
波形51Lとを分離し、各々に対してピーク関数による
カーブフィッティング近似を行う。本実施形態では、こ
のときのピーク関数としてローレンツ型ピーク関数を用
いた。また、高波数側の波形51Hと低波数側の波形5
1Lとをカーブフィッティング近似する際に、各々のフ
ィッティング波数範囲がピークトップ近傍の波数領域を
含むように設定した。本実施形態においては、基準ピー
ク波数53が517cm-1であったので、高波数側波形
51Hのフィッティング波数範囲54Hの値としては5
15cm-1〜560cm-1までとし、低波数側波形51
Lのフィッティング波数範囲54Lの値としては460
cm-1〜519cm-1までとした。これにより、517
cm-1の基準ピーク波数53に対して±2cm-1の波数
範囲内の領域は、高波数側波形51Hのフィッティング
波数範囲54Hにも低波数側波形51Lのフィッティン
グ波数範囲54Lにも、共に含まれる。
【0110】このようにして、高波数側の波形51Hか
ら図5(B)に示すような高波数側のピーク関数55H
を得ると共に、低波数側の波形51Lから図5(C)に
示すような高波数側のピーク関数55Lを得る。このよ
うなフィッティング波数範囲におけるカーブフィッティ
ングの結果、高波数側のピーク関数55Hの基準ピーク
波数56Hと低波数側のピーク関数55Lの基準ピーク
波数56Lとはほぼ同様の値であり、それらのピーク強
度もほぼ同様の値が得られている。
【0111】続いて、高波数側のピーク関数55Hにつ
いて図5(B)に示すような面積計算波数範囲57Hを
設定すると共に、低波数側のピーク関数55Lについて
図5(C)に示すような面積計算範囲57Lを設定す
る。本実施形態においては、高波数側ピーク関数55H
の面積計算範囲57Hを基準ピーク波数56Hから±5
0cm-1とし、低波数側ピーク関数55Lの面積計算範
囲57Lを基準ピーク波数56Lから±50cm-1とし
た。この面積計算範囲に従って、高波数側ピーク関数5
5Hのピーク面積58Hと低波数側ピーク関数55Lの
ピーク面積58Lとを計算し、両者の比(58H/58
Lまたは58L/58H)や差(58H−58Lまたは
58L−58H)等を求め、これによりラマンピーク波
形51の非対称性の程度を判断する。
【0112】本実施形態によれば、ラマンピーク波形5
1の非対称性の程度を正確に判断することができ、これ
を基にして結晶性ケイ素膜の膜質を管理することによ
り、従来に比べてより正確に結晶性ケイ素膜の膜質管理
を行うことができるようになった。
【0113】(実施形態5)図6(A)に、上述した図
1のラマン分光システムにより検出した結晶性ケイ素膜
のラマンピーク波形61を示す。
【0114】まず、このラマンピーク波形61に対し
て、グランドレベル62を決定する。本実施形態では、
実施形態1と同様に、ラマンピークより高波数側となる
550cm-1〜560cm-1の強度値を平均値化したも
のをグランドレベル62とした。
【0115】次に、ラマンピーク波形61における基準
ピーク波数63より高波数側の波形61Hと低波数側の
波形61Lとを分離し、各々に対してピーク関数による
カーブフィッティング近似を行う。本実施形態では、実
施形態4と同様に、ピーク関数としてローレンツ型ピー
ク関数を用い、高波数側の波形61Hと低波数側の波形
61Lとをカーブフィッティング近似する際に、各々の
フィッティング波数範囲がピークトップ近傍の波数領域
を含むように設定した。
【0116】このようにして、高波数側の波形61Hか
ら図6(B)に示すような高波数側のピーク関数65H
を得ると共に、低波数側の波形61Lから図6(C)に
示すような高波数側のピーク関数65Lを得る。このよ
うなフィッティング波数範囲におけるカーブフィッティ
ングの結果、高波数側のピーク関数65Hの基準ピーク
波数66Hと低波数側のピーク関数65Lの基準ピーク
波数66Lとはほぼ同様の値であり、それらのピーク強
度もほぼ同様の値が得られている。
【0117】続いて、高波数側のピーク関数61Hと低
波数側のピーク関数61Lとの各々について、ピーク幅
を求める。このときの強度値は任意の値に設定可能であ
るが、どのような強度値を採用するかによって解析し易
さが異なってくるため、解析し易い値を採用すればよ
い。例えば、ピーク関数のピーク強度値とグランドレベ
ルとの差の1/2の強度値におけるピーク幅(半値幅)
を取ると、高波数側ピーク関数61Hの半値幅は図6
(B)の66Hで表され、低波数側ピーク関数61Lの
半値幅は図6(C)の66Lで表される。この場合、高
波数側ピーク関数61Hのピーク幅66Hと低波数側の
ピーク関数61Lのピーク幅66Lとを比較するため
に、両者の比(66H/66Lまたは66L/66H)
や差(66H−66Lまたは66L−66H)等を求
め、これによりラマンピーク波形61の非対称性の程度
を判断する。また、ピーク関数のピーク強度値とグラン
ドレベルとの差の1/4の強度値におけるピーク幅(1
/4幅)を取ってもよく、高波数側の1/4幅は図6
(B)の67Hで表され、低波数側の1/4幅は図6
(C)の67Lで表される。この場合、高波数側のピー
ク関数61Hのピーク幅67Hと低波数側のピーク関数
61Lのピーク幅67Lとを比較するために、両者の比
(67H/67Lまたは67L/67H)や差(67H
−67Lまたは67L−67H)等を求め、これにより
ラマンピーク波形61の非対称性の程度を判断する。さ
らに、ピーク関数のピーク強度値とグランドレベルとの
差の1/8の強度値におけるピーク幅(1/8幅)を取
ってもよく、高波数側のピーク関数61Hの1/8幅は
図6(B)の68Hで表され、低波数側のピーク関数6
1Lの1/8幅は図6(C)の68Lで表される。この
場合、高波数側のピーク関数61Hのピーク幅68Hと
低波数側のピーク関数61Lのピーク幅68Lとを比較
するために、両者の比(68H/68Lまたは68L/
68H)や差(68H−68Lまたは68L−68H)
等を求め、これによりラマンピーク波形61の非対称性
の程度を判断する。
【0118】例えば、TFTの活性領域を構成する結晶
性ケイ素膜の膜質を管理する場合、上記基準ピーク波数
より低波数側のピーク関数の半値幅Lと高波数側のピー
ク関数の半値幅Hとの比L/Hが1.1以下となるよう
に管理することにより、素子特性の不安定性やリーク電
流の増大現象を抑えることができ、しかもTFTの電界
効果移動度を高くして電流駆動能力を充分にすることが
できる。または、基準ピーク波数より低波数側のピーク
関数の1/4幅Lと高波数側のピーク関数の1/4幅H
との比L/Hは1.2以下となるように管理し、あるい
は、基準ピーク波数より低波数側のピーク関数の1/8
幅Lと高波数側のピーク関数の1/8幅Hとの比L/H
が1.4以下となるように管理してもよい。
【0119】本実施形態によれば、ラマンピーク波形6
1の非対称性の程度を正確に判断することができ、これ
を基にして結晶性ケイ素膜の膜質を管理することによ
り、従来に比べてより正確に結晶性ケイ素膜の膜質管理
を行うことができるようになった。
【0120】(実施形態6)図7(A)に、上述した図
1のラマン分光システムにより検出した結晶性ケイ素膜
のラマンピーク波形71を示す。
【0121】まず、このラマンピーク波形71に対し
て、グランドレベル72を決定する。本実施形態では、
実施形態1と同様に、ラマンピークより高波数側となる
550cm-1〜560cm-1の強度値を平均値化したも
のをグランドレベル72とした。
【0122】次に、ラマンピーク波形71における基準
ピーク波数73より高波数側の波形61Hと低波数側の
波形71Lとを分離し、各々に対してピーク関数による
カーブフィッティング近似を行う。本実施形態では、実
施形態4と同様に、ピーク関数としてローレンツ型ピー
ク関数を用い、高波数側の波形71Hと低波数側の波形
61Lとをカーブフィッティング近似する際に、各々の
フィッティング波数範囲がピークトップ近傍の波数領域
を含むように設定した。
【0123】このようにして、高波数側の波形71Hか
ら図7(B)に示すような高波数側のピーク関数75H
を得ると共に、低波数側の波形71Lから図7(C)に
示すような高波数側のピーク関数75Lを得る。このよ
うなフィッティング波数範囲におけるカーブフィッティ
ングの結果、高波数側のピーク関数75Hの基準ピーク
波数76Hと低波数側のピーク関数75Lの基準ピーク
波数76Lとはほぼ同様の値であり、それらのピーク強
度もほぼ同様の値が得られている。
【0124】続いて、高波数側のピーク関数71Hと低
波数側のピーク関数71Lとの各々について、基準ピー
ク波数から一定波数の点での強度値を求める。このとき
の波数値は任意の値に設定可能であるが、どのような波
数値を採用するかによって解析し易さが異なってくるた
め、解析し易い値を採用すればよい。本実施形態におい
ては、高波数側と低波数側とに各々4cm-1離れた波数
の点における強度値を用いた。ローレンツ型ピーク関数
はピークトップを中心として左右対称であるので、基準
ピーク波数より高波数側の点を用いても低波数側の点を
用いても差はない。より具体的は、高波数側のピーク関
数71Hについては基準ピーク波数76Hから高波数側
と低波数側とに各々4cm-1離れた波数の点における強
度値77H、77Hを用い、低波数側のピーク関数71
Lについては基準ピーク波数76Lから高波数側と低波
数側とに各々4cm-1離れた波数の点における強度値7
7L、77Lを用いた。両者を比較するためには、両者
の比(77H/77Lまたは77L/77H)や差(7
7H−77Lまたは77L−77H)等を求め、これに
よりラマンピーク波形71の非対称性の程度を判断す
る。
【0125】本実施形態によれば、ラマンピーク波形7
1の非対称性の程度を正確に判断することができ、これ
を基にして結晶性ケイ素膜の膜質を管理することによ
り、従来に比べてより正確に結晶性ケイ素膜の膜質管理
を行うことができるようになった。
【0126】以下の実施形態7および8では、本発明の
TFTを、ガラス基板上の結晶性ケイ素膜を活性領域と
して備えたN型TFTとして作製した例について説明す
る。なお、このN型TFTは、液晶表示装置用のアクテ
ィブマトリクス基板や薄膜集積回路等に用いることがで
きる。以下、実施形態7および8の各々について説明す
る。
【0127】(実施形態7)図8(E)に、本実施形態
8のN型TFT817の断面図を示す。このTFT81
7は、絶縁性基板801上に下地膜802が設けられ、
その上にTFTの活性領域である結晶性ケイ素膜820
が設けられている。この結晶性ケイ素膜820は、チャ
ネル領域810およびソース/ドレイン領域811、8
12からなる。その上にゲート絶縁膜807を介してチ
ャネル領域810と対向するようにゲート電極808が
形成され、ゲート電極808の表面を覆うように酸化物
層809が形成されている。さらに、この状態の基板上
を覆うように層間絶縁膜814が形成され、その上には
TFT817の電極815、816が形成されている。
TFT817の一方の電極815はゲート絶縁膜807
および層間絶縁膜814に設けられたコンタクトホール
部においてソース/ドレイン領域811と電気的に接続
され、他方の電極816はゲート絶縁膜807および層
間絶縁膜814に設けられた他のコンタクトホール部に
おいてソース/ドレイン領域812と電気的に接続され
ている。
【0128】このTFT817は、図8(A)→(E)
の作製工程に従って作製することができる。
【0129】まず、図8(A)に示すように、ガラス板
などからなる基板801上に、例えばスパッタリング法
により、厚さ300nm程度の酸化ケイ素からなる下地
膜802を形成する。この下地膜802は、形成を省略
することもできるが、形成されている場合には基板から
の不純物の拡散を防ぐことができる。
【0130】次に、減圧CVD法やプラズマCVD法な
どにより、厚さ20nm〜100nm、例えば30nm
の非晶質ケイ素(a−Si)膜803を成膜する。な
お、プラズマCVD法によりa−Si膜803を成膜す
る場合には、その膜中に多量の水素を含有し、その水素
が後のレーザー照射工程において膜剥がれの原因となる
ため、この工程において450℃程度の温度条件で数時
間熱処理を行うことにより、膜中の水素を放出させてお
く必要がある。
【0131】その後、図8(B)に示すように、基板上
方からレーザー光804を照射することによりa−Si
膜803を結晶化する。このときのレーザー光804と
しては、XeClエキシマレーザー(波長308nm、
パルス幅40nsec)を用いた。レーザー光804の
照射条件は、照射時に基板を200℃〜500℃、例え
ば400℃に加熱し、エネルギー密度200mJ/cm
2〜350mJ/cm2、例えば300mJ/cm2とし
た。これによりa−Si膜803はその融点以上に加熱
され、溶融して固化する過程において良好な結晶性を有
する結晶性ケイ素膜803aとなる。この結晶性ケイ素
膜803aの結晶性はレーザー光の照射条件によって大
きく左右されるため、ここで上記実施形態1〜6で説明
したような結晶性半導体膜の膜質管理方法を用いてその
結晶性を評価しておく。より具体的には、上記実施形態
1〜6で説明したような、基準ピーク波数より高波数側
の波長と低波数側の波長とを比較して得られる数値(ピ
ーク面積の差や比、ピーク幅の差や比、基準ピーク波数
から一定波数の点での強度値の差や比)を管理パラメー
タとして、その管理パラメータとTFT特性との相関関
係を予め調べておき、その数値を所望のTFT特性が得
られるような範囲内になるように管理することにより結
晶性半導体膜の膜質を管理する。例えば、基準ピーク波
数より低波数側の波形の半値幅Lと高波数側の波形の半
値幅Hとの比L/Hが1.1以下となるように結晶性ケ
イ素膜の膜質を管理すれば、TFTの電界効果移動度は
80cm2/Vs〜100cm2/Vsであり、電流駆動
能力が充分であると共に、素子特性の不安定性やリーク
電流の増大現象を抑えることもできる。また、基準ピー
ク波数より低波数側の波形の1/4幅Lと高波数側の波
形の1/4幅Hとの比L/Hが1.2以下となるように
管理しても同様の結果が得られ、さらに、基準ピーク波
数より低波数側の波形の1/8幅Lと高波数側の波形の
1/8幅Hとの比L/Hが1.4以下となるように管理
しても同様の結果が得られる。また、その他の管理パラ
メータを用いた場合にも、同様にして結晶性半導体膜の
膜質を管理することができる。
【0132】次に、上述のようにして所望のTFT特性
が得られるようにその膜質が管理された結晶性ケイ素膜
803aの不要な部分を除去し、図8(C)に示すよう
な素子間分離を行って、後にTFTの活性領域(チャネ
ル領域810、ソース/ドレイン領域811、812)
となる島状の結晶性ケイ素膜806を形成する。
【0133】続いて、図8(D)に示すように、活性領
域となる結晶性ケイ素膜806を覆うように厚さ20〜
150nm、例えば100nmの酸化ケイ素膜をゲート
絶縁膜807として成膜する。ここでは、TEOS(T
etra Ethoxy Ortho Silicat
e)を原料として、酸素と共にRFプラズマCVD法に
より基板温度150℃〜600℃、好ましくは300℃
〜400℃で分解・堆積した。他の成膜方法として、T
EOSを原料として、オゾンガスと共に減圧CVD法ま
たは常圧CVD法により基板温度350〜600℃、好
ましくは400〜550℃で形成してもよい。
【0134】その後、スパッタリング法により、厚さ3
00nm〜600nm、例えば400nmのアルミニウ
ムを成膜し、これをパターニングしてゲート電極808
を形成する。次に、ゲート電極808の表面を陽極酸化
して表面に図8(D)に示すような酸化物層809を形
成する。ここでは、酒石酸が1%〜5%含まれたエチレ
ングリコール溶液中で陽極酸化を行い、最初は一定電流
で220Vまで電圧を上げ、その状態で1時間保持して
陽極酸化を終了させ、厚さ200nmの酸化物層809
を得た。尚、この酸化物層809の厚さは、後のイオン
ドーピング工程においてオフセットゲート領域の長さと
なるので、オフセットゲート領域の長さをこの陽極酸化
工程で制御することができる。
【0135】次に、イオンドーピング法により、ゲート
電極808およびその表面を覆う酸化物層809をマス
クとして活性領域に不純物(リン)を注入する。ドーピ
ングガスとしてはフォスフィン(PH3)を用い、加速
電圧は60kV〜90kV、例えば80kV、ドーズ量
は1×1015cm-2〜8×1015cm-2、例えば2×1
15cm-2とする。これにより、不純物が注入された領
域811と812は後にTFTのソース/ドレイン領域
となり、ゲート電極808および酸化物層809にマス
クされて不純物が注入されない領域810は、後にTF
Tのチャネル領域となる。
【0136】続いて、図8(D)に示すように、レーザ
ー光813を照射してアニールを行い、イオン注入した
不純物の活性化を行うと共に、上記不純物導入工程で結
晶性が劣化した部分の結晶性を回復させる。この時のレ
ーザー光813としては、XeClエキシマレーザー
(波長308nm、パルス幅40nsec)を用いた。
レーザー光の照射条件は、エネルギー密度150mJ/
cm2〜400mJ/cm2、好ましくは200mJ/c
2〜250mJ/cm2で照射を行った。このようにし
て形成されたN型不純物(リン)領域811、812の
シート抵抗は、200Ω/□〜800Ω/□であった。
【0137】その後、図8(E)に示すように、厚さ6
00nm程度の酸化ケイ素膜を層間絶縁膜814として
形成する。この酸化ケイ素膜は、TEOSを原料とし
て、酸素と共にプラズマCVD法により形成することが
できる。またはオゾンと共に減圧CVD法により形成し
てもよく、オゾンと共に常圧CVD法により形成しても
よい。これらの方法によれば、段差被覆性に優れた良好
な層間絶縁膜814が得られる。
【0138】次に、層間絶縁膜814およびゲート絶縁
膜807にコンタクトホールを形成する。TFTの電極
815、816としては、金属材料、例えば窒化チタン
とアルミニウムの二層膜を形成する。この窒化チタン膜
は、アルミニウムが半導体層に拡散するのを防止するた
めのバリア膜として設けられる。
【0139】続いて、このTFT817を画素電極のス
イッチング素子として用いる場合には、電極815、8
16のうちの一方をITO(Indium Tin O
xide)等の透明導電膜を用いてから形成して画素電
極とし、他方の電極から信号を入力する。また、TFT
817を薄膜集積回路に用いる場合には、ゲート電極8
08上にもコンタクトホールを形成し、必要となる配線
を施す。
【0140】最後に、1気圧の水素雰囲気下で350
℃、1時間程度のアニールを行って、図8(E)に示し
たN型TFT817を完成させる。このアニール処理に
よりTFT817の活性領域とゲート絶縁膜との界面に
対して水素原子が供給され、TFT特性を劣化させる不
対結合手が低減される。その後、TFT817を保護す
るための保護膜を必要な箇所のみ形成してもよく、例え
ばSiH4とNH3とを原料ガスとしてプラズマCVD法
により形成した窒化ケイ素膜等を用いることができる。
【0141】このようにして得られる本実施形態のN型
TFTは、活性領域を構成する結晶性ケイ素膜の膜質
が、所望のTFT特性が得られるように管理されている
ので、電界効果移動度を高くして充分な駆動能力が発揮
でき、素子特性が安定でリーク電流も低減することがで
きる。
【0142】(実施形態8)図9(E)に、本実施形態
9のN型TFT917の断面図を示す。このTFT91
7は、絶縁性基板901上に下地膜902が設けられ、
その上にTFTの活性領域である結晶性ケイ素膜920
が設けられている。この結晶性ケイ素膜920は、チャ
ネル領域910およびソース/ドレイン領域911、9
12からなる。その上にゲート絶縁膜907を介してチ
ャネル領域910と対向するようにゲート電極908が
形成され、ゲート電極908の表面を覆うように酸化物
層909が形成されている。さらに、この状態の基板上
を覆うように層間絶縁膜914が形成され、その上には
TFT917の電極915、916が形成されている。
TFT917の一方の電極915はゲート絶縁膜907
および層間絶縁膜914に設けられたコンタクトホール
部においてソース/ドレイン領域911と電気的に接続
され、他方の電極916はゲート絶縁膜907および層
間絶縁膜914に設けられた他のコンタクトホール部に
おいてソース/ドレイン領域912と電気的に接続され
ている。
【0143】このTFT917は、図9(A)→(E)
の作製工程に従って作製することができる。
【0144】まず、図9(A)に示すように、ガラス板
などからなる基板901上に、例えばスパッタリング法
により、厚さ300nm程度の酸化ケイ素からなる下地
膜902を形成する。この下地膜902は、形成を省略
することもできるが、形成されている場合には基板から
の不純物の拡散を防ぐことができる。
【0145】次に、減圧CVD法やプラズマCVD法な
どにより、厚さ25nm〜100nm、例えば50nm
の非晶質ケイ素(a−Si)膜903を成膜する。
【0146】続いて、a−Si膜903の上に、その結
晶化を助長する触媒元素、例えばニッケル等を溶解させ
た溶液905が接するように基板901を保持し、スピ
ナーにより溶液905を基板901上に均一に延ばして
乾燥させる。この実施形態では、溶質として硝酸ニッケ
ル、溶媒としてエチルアルコールを用い、溶液中のニッ
ケル濃度が10ppmとなるようにした。これによりa
−Si膜903上にニッケルが微量導入されたことにな
る。
【0147】その後、不活性雰囲気下、例えば加熱温度
550℃で4時間アニールすることによりa−Si膜9
03を結晶化する。このアニールによりa−Si膜90
3中にニッケルが拡散しながらその結晶化を促進し、a
−Si膜903は図9(B)に示すように結晶性ケイ素
膜903bとなる。この結晶性ケイ素膜903bの結晶
性は触媒元素であるニッケルの導入量によって大きく左
右されるため、ここで上記実施形態1〜6で説明したよ
うな結晶性半導体膜の膜質管理方法を用いてその結晶性
を評価しておく。より具体的には、上記実施形態1〜6
で説明したような結晶性半導体膜の膜質管理方法を用い
てその結晶性を評価しておく。より具体的には、上記実
施形態7と同様に、基準ピーク波数より高波数側の波長
と低波数側の波長とを比較して得られる数値(ピーク面
積の差や比、ピーク幅の差や比、基準ピーク波数から一
定波数の点での強度値の差や比)を管理パラメータとし
て、その管理パラメータとTFT特性との相関関係を予
め調べておき、その数値を所望のTFT特性が得られる
ような範囲内になるように管理することにより結晶性半
導体膜の膜質を管理する。
【0148】次に、上述のようにして所望のTFT特性
が得られるようにその膜質が管理された結晶性ケイ素膜
903bの不要な部分を除去し、図9(C)に示すよう
な素子間分離を行って、後にTFTの活性領域(チャネ
ル領域910、ソース/ドレイン領域911、912)
となる島状の結晶性ケイ素膜906を形成する。
【0149】続いて、図9(D)に示すように、活性領
域となる結晶性ケイ素膜906を覆うように厚さ20n
m〜150nm、例えば100nmの酸化ケイ素膜をゲ
ート絶縁膜907として成膜する。
【0150】その後、スパッタリング法により、厚さ3
00nm〜600nm、例えば400nmのアルミニウ
ムを成膜し、これをパターニングしてゲート電極908
を形成する。次に、ゲート電極908の表面を陽極酸化
して表面に図9(D)に示すような酸化物層909を形
成する。
【0151】次に、イオンドーピング法により、ゲート
電極908およびその表面を覆う酸化物層909をマス
クとして活性領域に不純物(リン)を注入する。これに
より、不純物が注入された領域911と912は後にT
FTのソース/ドレイン領域となり、ゲート電極908
および酸化物層909にマスクされて不純物が注入され
ない領域910は、後にTFTのチャネル領域となる。
【0152】続いて、図9(D)に示すように、レーザ
ー光913を照射してアニールを行い、イオン注入した
不純物の活性化を行うと共に、上記不純物導入工程で結
晶性が劣化した部分の結晶性を回復させる。
【0153】その後、図9(E)に示すように、厚さ6
00nm程度の酸化ケイ素膜を層間絶縁膜914として
形成する。
【0154】次に、層間絶縁膜914およびゲート絶縁
膜907にコンタクトホールを形成する。TFTの電極
915、916としては、金属材料、例えば窒化チタン
とアルミニウムの二層膜を形成する。この窒化チタン膜
は、アルミニウムが半導体層に拡散するのを防止するた
めのバリア膜として設けられる。
【0155】続いて、このTFT917を画素電極のス
イッチング素子として用いる場合には、電極915、9
16のうちの一方をITO等の透明導電膜を用いてから
形成して画素電極とし、他方の電極から信号を入力す
る。また、TFT917を薄膜集積回路に用いる場合に
は、ゲート電極908上にもコンタクトホールを形成
し、必要となる配線を施す。
【0156】最後に、1気圧の水素雰囲気下で350
℃、1時間程度のアニールを行って、図9(E)に示し
たN型TFT917を完成させる。このアニール処理に
よりTFT817の活性領域とゲート絶縁膜との界面に
対して水素原子が供給され、TFT特性を劣化させる不
対結合手が低減される。その後、TFT917を保護す
るための保護膜を必要な箇所のみ形成してもよい。
【0157】このようにして得られる本実施形態のN型
TFTは、活性領域を構成する結晶性ケイ素膜の膜質
が、所望のTFT特性が得られるように管理されている
ので、電界効果移動度を高くして充分な駆動能力が発揮
でき、素子特性が安定でリーク電流も低減することがで
きる。
【0158】以上、本発明の実施形態について具体的に
説明したが、本発明はこれらの構成に限定されるもので
はなく、本発明の技術思想に基づいて各種の変形が可能
である。
【0159】例えば、ラマンピーク波形におけるグラン
ドレベルの決定方法や基準ピーク波数の決定方法は、上
記実施形態に示した方法以外に様々な方法を利用するこ
とができる。また、ラマンピーク波形の非対称性の程度
を判断するために、基準ピーク波数より高波数側の波形
と低波数側の波形とを比較できるものであれば、実施形
態に示した以外のパラメータを用いてもよい。
【0160】また、上記実施形態7では、強光としてパ
ルスレーザーであるエキシマレーザーを用いて結晶化さ
せた結晶性ケイ素膜の膜質管理について説明したが、他
の種類のレーザー、例えば連続発振レーザーであるAr
レーザー等を用いてケイ素膜を結晶化または再結晶性化
させた結晶性ケイ素膜の膜質管理に対しても本発明は適
用可能である。さらに、レーザーの代わりに、赤外光、
フラッシュランプ等を使用して短時間に1000℃〜1
200℃(シリコンモニターの温度)まで上昇させて試
料を加熱する所謂RTA(ラピッド・サーマル・アニー
ル、またはRTP(ラピッド・サーマル・プロセス)と
も称する)等のレーザー光と同等の強光を用いて結晶化
または再結晶性化させた結晶性ケイ素膜の膜質管理に対
しても本発明は適用可能である。また、実施形態8で
は、触媒元素としてニッケルを用いて結晶化させた結晶
性ケイ素膜について説明したが、触媒元素としてコバル
ト、パラジウム、白金、銅、銀、金、インジウム、錫、
アルミニウム、アンチモン等を用いて結晶化させた結晶
性ケイ素膜の膜質管理に対しても本発明は適用可能であ
る。さらに、本発明は他の方法により作製した結晶性ケ
イ素膜の膜質管理に対しても適用可能であり、結晶性ケ
イ素膜以外の結晶性半導体膜の膜質管理に対しても適用
可能である。
【0161】さらに、本発明の半導体装置としては、液
晶表示用のアクティブマトリクス基板以外に、例えば、
密着型イメージセンサー、ドライバー内蔵型サーマルヘ
ッド、有機系ELなどを発光素子としたドライバー内蔵
型の光書き込み素子や表示素子、三次元ICなどの半導
体装置などが挙げられる。また、本発明の結晶性半導体
膜の膜質管理方法を用いることにより、これらの素子の
安定化や歩留りの向上を図る子とができ、製造コストの
低廉価を実現することができる。さらに、本発明は、上
記実施形態で説明したMOS型トランジスタに限らず、
結晶性半導体を素子材料としたバイポーラトランジスタ
や静電誘導トランジスタを初めとして半導体プロセスお
よび半導体装置全般に幅広く応用することができる。
【0162】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、結晶性半導体膜の膜質管理を、インラインプ
ロセスにて素早く、しかも正確に評価して管理すること
ができる。その結果、この結晶性半導体膜を素子材とし
た半導体装置において、安定した製造プロセスを確立す
ることができる。また、結晶性半導体膜の膜質不良を膜
形成直後に発見することが可能となるため、不良品を早
急に製造ラインから取り除くことができ、半導体装置の
製造コストの低廉価を図ることができる。さらに、本発
明によれば、均一な膜質の結晶性半導体膜が安定して得
られるようになるので、大型で解像度が高い液晶表示装
置や、低コスト化が図れるドライバモノリシック型アク
ティブマトリクス基板を用いた液晶表示装置、さらには
高速で解像度が高い密着型イメージセンサーや三次元I
C等が実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の結晶性半導体膜の膜質管理方法に用い
られるラマン分光装置の一実施形態を示す概略図であ
る。
【図2】実施形態1の結晶性半導体膜の膜質管理方法を
説明するための図である。
【図3】実施形態2の結晶性半導体膜の膜質管理方法を
説明するための図である。
【図4】実施形態3の結晶性半導体膜の膜質管理方法を
説明するための図である。
【図5】(A)〜(C)は実施形態4の結晶性半導体膜
の膜質管理方法を説明するための図である。
【図6】(A)〜(C)は実施形態5の結晶性半導体膜
の膜質管理方法を説明するための図である。
【図7】(A)〜(C)は実施形態6の結晶性半導体膜
の膜質管理方法を説明するための図である。
【図8】(A)〜(E)は実施形態7のN型TFTの製
造工程を示す断面図である。
【図9】(A)〜(E)は実施形態8のN型TFTの製
造工程を示す断面図である。
【図10】ラマンピーク波形の一例を示すグラフであ
る。
【図11】ケイ素膜におけるフォノンの分散関係を示す
グラフである。
【符号の説明】
21、31、41、51、61、71 ラマンピーク波
形 21H、31H、41H、51H、61H、71H 基
準ピーク波数から高波数側の波形 21L、31L、41L、51L、61L、71L 基
準ピーク波数から低波数側の波形 22、32、42、52、62、72 グランドレベル 23、33、43、53、63、73 基準ピーク波数 55H、65H、75H 基準ピーク波数から高波数側
のピーク関数 55L、65L、75L 基準ピーク波数から低波数側
のピーク関数 801、901 基板 802、902 下地膜 803、903 非晶質ケイ素膜 803a、903b 結晶性ケイ素膜 806、906 活性領域 807、907 ゲート絶縁膜 808、908 ゲート電極 809、909 酸化物層 810、910 チャネル領域 811、812、911、912 ソース/ドレイン領
域 813、913 レーザー光 814、914 層間絶縁膜 815、816、915 電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01L 29/786 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/66 C23C 14/54 C30B 29/06 H01L 21/205 H01L 21/336 H01L 29/786

Claims (36)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に形成された結晶性を有する半導
    体膜の膜質を管理する方法であって、 該半導体膜に固有のフォノンに対応するラマンバンドの
    ピーク波形をラマン分光法により測定し、該ピーク波形
    のピークトップの波数値である基準ピーク波数より高波
    数側の波形と該基準ピーク波数より低波数側の波形とか
    ら非対称性の程度を判断することにより該半導体膜の膜
    質を管理する結晶性半導体膜の膜質管理方法。
  2. 【請求項2】 前記高波数側の波形の前記基準ピーク波
    数から所定の波数までの波形面積であるピーク面積と、
    前記低波数側の波形の該基準ピーク波数から所定の波数
    までの波形面積であるピーク面積とを求め、両ピーク面
    積を比較して前記半導体膜の膜質を管理する請求項1に
    記載の結晶性半導体膜の膜質管理方法。
  3. 【請求項3】 前記高波数側の波形における前記基準ピ
    ーク波数から一定強度値の波数までの波数差であるピー
    ク幅と、前記低波数側の波形における該基準ピーク波数
    から一定強度値の波数までの波数差であるピーク幅とを
    求め、両ピーク幅を比較して前記半導体膜の膜質を管理
    する請求項1に記載の結晶性半導体膜の膜質管理方法。
  4. 【請求項4】 前記高波数側の波形における所定強度範
    囲内のピーク幅を平均値化した平均ピーク幅と、前記低
    波数側の波形における所定強度範囲内のピーク幅を平均
    値化した平均ピーク幅とを求め、両平均ピーク幅を比較
    して前記半導体膜の膜質を管理する請求項1に記載の結
    晶性半導体膜の膜質管理方法。
  5. 【請求項5】 前記高波数側の波形について前記ピーク
    強度値とグランドレベルとの差の1/2の強度値におけ
    るピーク幅である半値幅と、前記低波数側の波形につい
    て該ピーク強度値とグランドレベルとの差の1/2の強
    度値におけるピーク幅である半値幅とを求め、両半値幅
    を比較して前記半導体膜の膜質を管理する請求項1に記
    載の結晶性半導体膜の膜質管理方法。
  6. 【請求項6】 前記高波数側の波形について前記ピーク
    強度値とグランドレベルとの差の1/4の強度値におけ
    るピーク幅である1/4幅と、前記低波数側の波形につ
    いて該ピーク強度値とグランドレベルとの差の1/4の
    強度値におけるピーク幅である1/4幅とを求め、両1
    /4幅を比較して前記半導体膜の膜質を管理する請求項
    1に記載の結晶性半導体膜の膜質管理方法。
  7. 【請求項7】 前記高波数側の波形について前記ピーク
    強度値とグランドレベルとの差の1/8の強度値におけ
    るピーク幅である1/8幅と、前記低波数側の波形につ
    いて該ピーク強度値とグランドレベルとの差の1/8の
    強度値におけるピーク幅である1/8幅とを求め、両1
    /8幅を比較して前記半導体膜の膜質を管理する請求項
    1に記載の結晶性半導体膜の膜質管理方法。
  8. 【請求項8】 前記ピーク波形をスムージング処理した
    後のピーク波形を用いる請求項4乃至7のいずれか一つ
    に記載の結晶性半導体膜の膜質管理方法。
  9. 【請求項9】 前記高波数側の波形について前記基準ピ
    ーク波数から一定波数離れた点での強度値と、前記低波
    数側の波形について該基準ピーク波数から一定波数離れ
    た点での強度値とを求め、両強度値を比較して前記半導
    体膜の膜質を管理する請求項1に記載の結晶性半導体膜
    の膜質管理方法。
  10. 【請求項10】 前記高波数側の波形について前記基準
    ピーク波数から所定波数範囲内の強度値を平均値化した
    平均強度値と、前記低波数側の波形について該基準ピー
    ク波数から所定波数範囲内の強度値を平均値化した平均
    強度値とを求め、両平均強度値を比較して前記半導体膜
    の膜質を管理する請求項1に記載の結晶性半導体膜の膜
    質管理方法。
  11. 【請求項11】 前記高波数側の波形における裾の所定
    の波数領域での強度値の平均値からグランドレベルを決
    定し、このグランドレベル以上の強度におけるピーク波
    形を用いる請求項2乃至10のいずれか一つに記載の結
    晶性半導体膜の膜質管理方法。
  12. 【請求項12】 前記ピーク波形のピーク強度値とグラ
    ンドレベルとの差の1/2以上の強度値範囲に対して任
    意の関数によるカーブフィッテイング近似を行い、得ら
    れたピーク波形に基づいて決定した基準ピーク波数を用
    いる請求項2乃至11のいずれか一つに記載の結晶性半
    導体膜の膜質管理方法。
  13. 【請求項13】 前記カーブフィッテイング近似を行う
    ための関数として、ローレンツ型ピーク関数を用いる請
    求項12に記載の結晶性半導体膜の膜質管理方法。
  14. 【請求項14】 前記高波数側の波形および前記低波数
    側の波形の各々に対して任意の関数によるカーブフィッ
    テイング近似を行い、該高波数側の波形に対して得られ
    た近似後のピーク関数と、該低波数側の波形に対して得
    られた近似後のピーク関数とを比較して前記半導体膜の
    膜質を管理する請求項1に記載の結晶性半導体膜の膜質
    管理方法。
  15. 【請求項15】 前記高波数側の近似後のピーク関数に
    おける所定の波数範囲での波形面積であるピーク面積
    と、前記低波数側の近似後のピーク関数における所定の
    波数範囲での波形面積であるピーク面積とを求め、両ピ
    ーク面積を比較して前記半導体膜の膜質を管理する請求
    項14に記載の結晶性半導体膜の膜質管理方法。
  16. 【請求項16】 前記高波数側の近似後のピーク関数に
    おける所定の強度値でのピーク幅と、前記低波数側の近
    似後のピーク関数における所定の強度値でのピーク幅と
    を求め、両ピーク幅を比較して前記半導体膜の膜質を管
    理する請求項14に記載の結晶性半導体膜の膜質管理方
    法。
  17. 【請求項17】 前記高波数側の近似後のピーク関数に
    おける前記ピーク強度値とグランドレベルとの差の1/
    2の強度値におけるピーク幅である半値幅と、前記低波
    数側の近似後のピーク関数における該ピーク強度値とグ
    ランドレベルとの差の1/2の強度値におけるピーク幅
    である半値幅とを求め、両半値幅を比較して前記半導体
    膜の膜質を管理する請求項14に記載の結晶性半導体膜
    の膜質管理方法。
  18. 【請求項18】 前記高波数側の近似後のピーク関数に
    おける前記ピーク強度値とグランドレベルとの差の1/
    4の強度値におけるピーク幅である1/4幅と、前記低
    波数側の近似後のピーク関数における該ピーク強度値と
    グランドレベルとの差の1/4の強度値におけるピーク
    幅である1/4幅とを求め、両1/4幅を比較して前記
    半導体膜の膜質を管理する請求項14に記載の結晶性半
    導体膜の膜質管理方法。
  19. 【請求項19】 前記高波数側の近似後のピーク関数に
    おける前記ピーク強度値とグランドレベルとの差の1/
    8の強度値におけるピーク幅である1/8幅と、前記低
    波数側の近似後のピーク関数における該ピーク強度値と
    グランドレベルとの差の1/8の強度値におけるピーク
    幅である1/8幅とを求め、両1/8幅を比較して前記
    半導体膜の膜質を管理する請求項14に記載の結晶性半
    導体膜の膜質管理方法。
  20. 【請求項20】 前記高波数側の近似後のピーク関数に
    おける前記基準ピーク波数から一定波数離れた点での強
    度値と、前記低波数側の近似後のピーク関数における該
    基準ピーク波数から一定波数離れた点での強度値とを求
    め、両強度値を比較して前記半導体膜の膜質を管理する
    請求項14に記載の結晶性半導体膜の膜質管理方法。
  21. 【請求項21】 前記カーブフィッテイング近似を行う
    ための関数として、ローレンツ型ピーク関数を用いる請
    求項14に記載の結晶性半導体膜の膜質管理方法。
  22. 【請求項22】 前記高波数側の波形および前記低波数
    側の波形の各々に対してカーブフィッテイング近似を行
    う際に、一方の波形の測定点に他方の波形における前記
    基準ピーク波数近傍の測定点を若干数含ませて、該高波
    数側の波形および該低波数側の波形の各々に対してカー
    ブフィッテイング近似を行う請求項14に記載の結晶性
    半導体膜の膜質管理方法。
  23. 【請求項23】 前記高波数側の波形における裾の所定
    の波数領域での強度値の平均値からグランドレベルを決
    定し、このグランドレベル以上の強度におけるピーク波
    形を用いる請求項15乃至22のいずれか一つに記載の
    結晶性半導体膜の膜質管理方法。
  24. 【請求項24】 前記カーブフィッテイング近似を行う
    際のグランドレベルを用いて、該カーブフィッテイング
    近似により得られるピーク関数を解析する請求項23に
    記載の結晶性半導体膜の膜質管理方法。
  25. 【請求項25】 請求項1乃至24のいずれか一つに記
    載の結晶性半導体膜の膜質管理方法により、基板上に形
    成された結晶性を有する半導体膜の膜質管理を行うため
    のものであり、ラマン分光法により得られる該半導体膜
    のスペクトル波形を解析するプログラムが組み込まれて
    いる結晶性半導体膜の膜質管理用コンピュータソフト。
  26. 【請求項26】 請求項1乃至24のいずれか一つに記
    載の結晶性半導体膜の膜質管理方法により、その膜質を
    管理して得られた結晶性ケイ素膜。
  27. 【請求項27】 請求項5に記載の結晶性半導体膜の膜
    質管理方法により、前記低波数側の波形の半値幅Lと前
    記高波数側の波形の半値幅Hとの比L/Hが1.1以下
    となるようにその膜質を管理して得られた結晶性ケイ素
    膜。
  28. 【請求項28】 請求項6に記載の結晶性半導体膜の膜
    質管理方法により、前記低波数側の波形の1/4幅Lと
    前記高波数側の波形の1/4幅Hとの比L/Hが1.2
    以下となるようにその膜質を管理して得られた結晶性ケ
    イ素膜。
  29. 【請求項29】 請求項7に記載の結晶性半導体膜の膜
    質管理方法により、前記低波数側の波形の1/8幅Lと
    前記高波数側の波形の1/8幅Hとの比L/Hが1.4
    以下となるようにその膜質を管理して得られた結晶性ケ
    イ素膜。
  30. 【請求項30】 請求項17に記載の結晶性半導体膜の
    膜質管理方法により、前記低波数側のピーク関数の半値
    幅Lと前記高波数側のピーク関数の半値幅Hとの比L/
    Hが1.1以下となるようにその膜質を管理して得られ
    た結晶性ケイ素膜。
  31. 【請求項31】 請求項18に記載の結晶性半導体膜の
    膜質管理方法により、前記低波数側のピーク関数の1/
    4幅Lと前記高波数側のピーク関数の1/4幅Hとの比
    L/Hが1.2以下となるようにその膜質を管理して得
    られた結晶性ケイ素膜。
  32. 【請求項32】 請求項19に記載の結晶性半導体膜の
    膜質管理方法により、前記低波数側のピーク関数の1/
    8幅Lと前記高波数側のピーク関数の1/8幅Hとの比
    L/Hが1.4以下となるようにその膜質を管理して得
    られた結晶性ケイ素膜。
  33. 【請求項33】 基板上に形成されたケイ素膜に光照射
    することにより結晶化し、または再結晶化して得られた
    請求項26乃至32のいずれか一つに記載の結晶性ケイ
    素膜。
  34. 【請求項34】 基板上に形成された非晶質ケイ素膜に
    結晶化を助長する触媒元素を導入して加熱処理すること
    により得られた請求項26乃至32のいずれか一つに記
    載の結晶性ケイ素膜。
  35. 【請求項35】 請求項26乃至34のいずれか一つに
    記載の結晶性ケイ素膜を、能動領域として備えた半導体
    装置。
  36. 【請求項36】 請求項26乃至34のいずれか一つに
    記載の結晶性ケイ素膜を、活性領域として備えた薄膜ト
    ランジスタ。
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