JP3305307B2 - タマネギとニンニクの雑種植物の生産方法 - Google Patents
タマネギとニンニクの雑種植物の生産方法Info
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Description
クの雑種植物の生産方法に関する。
ネギ等、有性生殖によって繁殖するいわゆる種子繁殖性
のものと、ニンニクやワケギ等、種球(球根)によって
繁殖するいわゆる栄養繁殖性のものとがある。
殖性の植物とは、一般にその性質が顕著に相違するた
め、いずれか一方の遺伝形質を他方に導入できれば極め
て好都合である。
ような種子繁殖性の植物と栄養繁殖性の植物間に限ら
ず、植物の品種改良の観点からは、種子繁殖性の植物相
互間,或いは栄養繁殖性の植物相互間で行われ、さらに
は同種の植物であって品種が異なる植物相互間で行われ
ることも奨励されるべきである。
他の植物に導入する手段の1つとして従来では交配法が
採用されている。
法によれば、ごく近縁の植物相互間にしか使用できない
こと、及び作業時間や労力が多大となること等の問題点
もさることながら、そもそも上記のような栄養繁殖性の
植物については採用すること自体が不可能であるという
致命的な問題点がある。
意のネギ属の植物に新しい遺伝形質を導入するという観
点から、品種改良により上記のような種子繁殖性の植物
と栄養繁殖性の植物との雑種植物、特にタマネギとニン
ニクとの雑種植物を育成し、両者の遺伝形質の雑種植物
への導入を容易に行わしめることを課題としてなされた
ものである。
融合により上記のような課題を解決せんとするものであ
る。
生長点由来のカルス、胚由来カルス、又はその他の器官
若しくは組織由来のカルスのうちのいずれかが融合材料
として調製されたタマネギのプロトプラストと、通常の
植物体、種球中の普通葉を置床して得られた無菌幼植物
体、生長点由来の植物体、又はカルスからの再分化植物
体のうちのいずれかが融合材料として調製されたニンニ
クのプロトプラストとを細胞融合し、次にその細胞融合
によって得られた雑種細胞を培養して雑種のカルスを形
成し、その後、得られたカルスを、雑種のカルスは再分
化するがタマネギのカルスは再分化しないような培地で
培養することにより、雑種のカルスを再分化して雑種植
物を生育させることである。
種球中の普通葉を置床して得られた無菌幼植物体を使用
することが好ましく、タマネギの融合材料としては、タ
マネギの生長点由来のカルス又は胚由来カルスを使用す
ることが好ましい。
床して得られた無菌幼植物体、生長点由来のカルス、胚
由来のカルスを融合材料として使用した場合には、プロ
トプラストやカルスレベルでの増殖能力や分化能が増大
するという効果がある。
場合、一般にウィルスに侵され易いネギ属植物をいわゆ
るウィルスフリー化することができるという利点があ
る。
ロトプラストとを細胞融合させるために、先ずタマネギ
及びニンニクのそれぞれの融合材料を調製する。
その両プロトプラストの精製を行う。プロトプラスト化
の酵素処理液としては、植物の種類,融合材料の種類に
応じて任意のものが使用可能である。
する。
細胞と識別するには、たとえば細胞融合後に、顕微鏡の
可視領域にて識別し、或いは蛍光顕微鏡におけるB領域
の励起光を上記雑種細胞や未融合細胞の混合細胞に照射
して発色の有無により雑種細胞を識別する方法がある。
方の植物の融合材料としてカルスを用い、他方の植物の
融合材料として植物体の葉身部を用いた場合、カルスの
細胞の特性としては一般に細胞質リッチ(液胞が小さく
細胞質が大きいもの)なことであり、又、葉身部の細胞
の特性としては、一般に可視領域において緑色の葉緑体
顆粒が存在することである。従って、いわゆる細胞質リ
ッチで且つ緑色の葉緑体顆粒が存在するという両者の特
性を併備しているものが、所望の雑種細胞として識別さ
れるのである。
ではあるが、特に葉緑体顆粒が少ない場合には、透明な
ものとの識別が容易ではない。従って、雑種細胞と細胞
質リッチの未融合細胞とは必ずしも容易に識別できな
い。
ば、上記緑色の葉緑体顆粒が赤色に発色する。従って、
このB領域の励起光の照射により、上記雑種細胞を細胞
質リッチな未融合細胞と識別することが一層容易とな
る。尚、細胞質リッチでない葉身部の未融合細胞と雑種
細胞とは、その細胞の形態によって自ずから識別でき、
又、仮に識別できなくとも、その後の培養時の培地の選
定等によっても選抜が可能である。
は、識別して摘出されるのであるが、その摘出前に予め
培養しておくことにより、細胞壁が再生し、活性も増大
することから、摘出操作による細胞の損傷が抑制され
る。この観点から、細胞融合後、雑種細胞の摘出前に、
未融合細胞と融合された雑種細胞とが混合された状態で
予め培養を行うことが好ましい。
用のシャーレ内に配設されたフィルターリングの内部に
前記摘出された雑種細胞を入れ、且つそのシャーレ内の
フィルターリングの外部に、増殖能の高いタマネギのプ
ロトプラストを予め入れて増殖を行うことも可能であ
り、この場合には、フィルターリング内部の雑種細胞の
増殖が促進されることとなる。
胞のみを摘出せずに、雑種細胞及び2種の未融合細胞が
混合した状態のままで培養し、その後に雑種細胞のみを
選抜することも可能である。
ギ属植物においては、ニンニクのように再分化能を有す
るものは、そのカルスがコンパクトで黄色である等の特
徴を有する場合が多い。従って、このニンニクのごとき
再分化能を有するものと、タマネギのように再分化能を
有しないものとを上記のように混合培養する場合におい
て、その混合培養時の培地としてタマネキは生育するが
ニンニクは生育し得ないような培地を使用すれば、その
混合培養によってニンニクのカルスが形成されることは
あり得ない。一方、タマネギのカルスは再分化せず、従
って、コンパクトで黄色のカルスとは容易に識別され
る。
スのうち、上記のようにコンパクトで黄色のカルスが雑
種細胞のカルスである確率が高く、よってこのような判
断のもとに所望の雑種細胞のカルスを選別することがで
きるのである。
ニクの雑種細胞の生産方法についての実施例であり、先
ず、その生産方法の操作手順について説明する。
する。
改変BDS培地〔1.25×10-5Mの2,4−ジクロロフェ
ノキシ酢酸( 以下、2,4−Dと略す)を含む1%寒天
培地〕に置床する。
カルスを、改変BDS培地〔2.5 ×10-6Mの2,4−D
を含む液体培地〕で継代培養する。そして、このような
継代培養によって得られた懸濁培養カルスであって植え
継ぎ2日目のものをタマネギの融合材料として使用す
る。
菌処理して種球より普通葉を取り出し、これを改変BD
S培地〔ホルモンフリーな0.2 %ゲランガム培地〕に1
〜2週間置床する。これによって得られた無菌幼植物体
の葉身部をニンニクの融合材料として使用する。
ニンニクの種球の滅菌処理方法について説明すると、 (a) 先ず中性洗剤にてブラシを用いて種子及び種球を
1個ずつ洗浄する。尚、タマネギの種子については、ガ
ーゼでくるむ。 (b) 次に、これらを15〜20分間無菌水につけて脱泡し
た後、2%のオスバン水溶液中で15分間超音波洗浄す
る。 (c) 次に、無菌水にて3回洗浄した後、70%のエタノ
ール中に30〜60秒間浸漬し、その後、再度無菌水にて3
回洗浄する。 (d) 次に、2%アンチホルミンの5%水溶液中で15分
間の超音波洗浄を2回繰り返す。 (e) その後、無菌水によって6回以上洗浄することに
よって所望の播種が得られる。
普通葉を摘出する。
ルス及びニンニクの葉身部をプロトプラスト化し、その
精製を行う。
説明する。
に、その培養に用いた培地上清を除去した後に、次に示
す組成の酵素処理液を約25ml添加する。
d's buffer とは、20mMのMES・H 2Oの4.265gと、5
mMのMgCl2・6H2Oの1.017gとを蒸留水に溶解して
1Lとし、NaOHでpH5.6 に調整したものである。
ン)エタンスルフォン酸である。
約5〜6時間振とう処理する(100rpm)。
次のようなメッシュにおだやかにとおす。 i) 150 μm のメッシュ ii)90 μm のメッシュ iii)60 μm のメッシュ iv)40 μm のメッシュ v) 40 μm のメッシュ
作を順次行うことによって、粒径の粗いものは除去さ
れ、必要なもののみが残存する。
た液を、600rpmで3分間遠心分離する。
し、沈澱残渣を洗浄液に懸濁する。この洗浄液として
は、0.5 Mのマンニトール22.77gと、2.5 mMのCaCl
2 0.09g とを蒸留水にて250mL とし、pH5.6 に調製し
たものを用いる。
Lの遠沈管に入れ、600rpmで3分間遠心分離し、この操
作を3回繰り返す。
よりタマネギのプロトプラストが精製されることとな
る。
る。
3mmに切断する。
断片を次に示す約25mLの酵素処理液に懸濁する。
て上記細断片を約5〜6時間振とう処理する(50rpm)。
ラストの (c)〜 (g)と同様の操作を行ってニンニクのプ
ロトプラストが精製されることとなる。
2×105cells /mLに調製するとともに、ニンニクプロ
トプラストのうち、グリーンプロトプラストが2×105c
ells /mLとなるようにそれぞれ調製して両プロトプラ
ストを1:1で混合する。この混合液を0.8mL とり、島
津細胞融合装置SSH−1を用いて電気融合処理を行っ
た。融合条件は次のとおりである。
を、次に示す改変8p培地( 2.5×10-6Mの2,4−D
を含む)に遠心置換を行い、この懸濁液0.5mLと40℃に
保温しておいた0.6 %Sea Plaqueアガロースを含む0.5m
L の改変8p培地( 2.5×10-6Mの2,4−Dを含む)
とを混合し、35mm径のシャーレに広げて固化させた。
ells/mLであった。その後、25℃の暗室で約10日間静置
培養した。
培地を約0.05mL添加していった。
ギプロトプラストのみが分裂し、コロニー形成するもの
で、ニンニクプロトプラストはコロニー形成まで至らな
い。
OH )に調整されている。又、すべての培地は、濾過除菌
されている。
ロースゲル1を切断し、そのアガロースゲルの切断によ
って得られたビード2を0.8mL 改変BDS液体培地の入
った35mm径のシャーレに3枚入れた。
で約30日間行う。
0.2 %ゲランガムを含む改変BDS培地(2.5 ×10-6M
の2,4−Dを含む)に移行して25℃で静置培養する。
なる。
個のカルスを5〜10mLの改変BDS液体培地入りの50mL
マイヤーに入れ、50rpm で振とうし、徐々に容器をスケ
ールアップしていった。
含む改変MS培地(5.4 ×10-6MのNAA,8.9 ×10-6
MのBA)で25℃,1500〜2500LUXで培養した。
アイソザイムの電気泳動バンドパターンにより同定を行
った(参考写真1及び参考写真2)。
されたカルスのうち、任意に摘出した2つのカルスにつ
いての結果である。又、GとOはそれぞれニンニクカル
スとタマネギカルスについての結果である。
びHY2については、GとOの双方のバンドの位置に対
応してバンドが認められ、従って、HY1及びHY2
が、ニンニクとタマネギの雑種細胞であることが確認で
きた。
脱水素酵素〔参考写真1〕、及びエステラーゼ〔参考写
真2〕を用いた。
ギのカルスは不定芽を形成しない。
ランガムを含む次に示す改変MS培地の1/2希釈培地
(ホルモンなし)に移し、発根を促し、幼植物体を得
た。
順化を行い、次いで培土に植え、完全な植物体を得た。
ニンニクとの雑種植物が生産されることとなる。
ニンニクのプロトプラスト調製の操作として、上記(2)
の(ロ)の操作に代えて次のような操作にて行う。
ニクの無菌幼植物体を約3mmに切断し、次にその細断片
を上記改変MS液体培地(5.4 ×10-6Mのナフタレン酢
酸及び8.9 ×10-6M×ベンジルアデニンを含む)に浸
す。
とう処理する(50rpm)。
例1と同様の操作を行う。
処理液としては、上記実施例1と同様のものを用いる。
施例1における(4) の培養の操作に代えて、次のような
培養の操作を行う。
て細胞融合処理を施したプロトプラスト懸濁液を改変8
p培地( 2.5×10-6Mの2,4−Dを含む)に置換し、
予め0.2 %ゲランガムを含む改変8p培地( 2.5×10-6
Mの2,4−Dを含む)の入った35mm径のシャーレに広
げ、これを25℃の暗室に静置した。
うな特徴を持つ細胞を、径100 〜150 μm のマイクロピ
ペットにてマニュアルピックアップした。
緑色の葉緑体顆粒が存在する。
体色素の赤色顆粒が存在する。
融合細胞を、図2に示した保護培養系シャーレ3内の中
央に配設されたメンブランフィルターリング4内に入れ
た。
plaque agarose を含む改変8p培地( 2.5×10-6Mの
2,4−Dを含む)を滴下しカバーした。
%のseaplaque agarose (FMC Corporation)を含む
改変8p培地( 2.5×10-6Mの2,4−Dを含む)3mL
を入れ、培地が固化しないうちにメンブランフィルター
リング4を置床しておいた。
ーリング4外に最終濃度1×105cells/mLになるように
調製した0.3 %seaplaque agarose を含むタマネギプロ
トプラスト懸濁液〔改変8p培地( 2.5×10-6Mの2,
4−Dを含む)〕を2〜2.5mL広げた。4〜5日おきに
メンブランフィルターリング2外に改変BDS培地(2.
5×10-6Mの2,4−Dを含む)を0.15mL添加した。
た。
間振とうした。
れ、その形成されたコロニーを、カルス形成培地へ移行
した。
した増殖能の高いタマネギ寒天カルス5をナースとした
保護培養系シャーレ6内に融合細胞由来コロニー7(リ
ング内コロニー)を移行し、25℃の暗室で約14日間静置
すると、小カルスが形成された。
記実施例1と同様に行う。
属に属する2種の異なる植物であるタマネギとニンニク
のプロトプラストの細胞融合によって、新種であるタマ
ネギとニンニクの雑種食物を育種しうるに至った。
の性質を具備した全く新規な雑種植物を提供することが
可能となった。
入する。 ii)タマネギの耐寒性,耐暑性をニンニクに導入する。 iii) タマネギの種子繁殖性を栄養繁殖性のニンニクに
導入する。
されるため、従来の交配法によっては到底得られなかっ
た雑種植物が得られるという格別顕著な効果を有するに
至った。
のように作業時間や労力を要することもなく、又、季節
の制約もないという利点がある。
図。
(ロ)は側面断面図をそれぞれ示す。
Claims (3)
- 【請求項1】 生長点由来のカルス、胚由来カルス、又
はその他の器官若しくは組織由来のカルスのうちのいず
れかが融合材料として調製されたタマネギのプロトプラ
ストと、通常の植物体、種球中の普通葉を置床して得ら
れた無菌幼植物体、生長点由来の植物体、又はカルスか
らの再分化植物体のうちのいずれかが融合材料として調
製されたニンニクのプロトプラストとを細胞融合し、次
にその細胞融合によって得られた雑種細胞を培養して雑
種のカルスを形成し、その後、得られたカルスを、雑種
のカルスは再分化するがタマネギのカルスは再分化しな
いような培地で培養することにより、雑種のカルスを再
分化して雑種植物を生育させることを特徴とするタマネ
ギとニンニクの雑種植物の生産方法。 - 【請求項2】 ニンニクの融合材料が、種球中の普通葉
を置床して得られた無菌幼植物体である請求項1記載の
タマネギとニンニクの雑種植物の生産方法。 - 【請求項3】 タマネギの融合材料が、生長点由来のカ
ルス又は胚由来カルスである請求項1又は2記載のタマ
ネギとニンニクの雑種植物の生産方法。
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CN103004580B (zh) * | 2012-12-18 | 2013-11-27 | 北京市农林科学院 | 一种高花青素洋葱新品种的选育方法 |
JP2015192669A (ja) * | 2014-03-26 | 2015-11-05 | 三菱化学株式会社 | 微生物、および微生物の培養方法 |
-
2001
- 2001-03-06 JP JP2001061982A patent/JP3305307B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Title |
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