JP2015192669A - 微生物、および微生物の培養方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】天然ではナデシコ目の植物及びある種の高等菌類のみに含まれ、色素増感型太陽電池の増感色素等へ利用されるベタレイン色素を安定的亦効率的に一貫生産することが可能な微生物の提供。
【解決手段】遺伝子工学的手法により作製された、チロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性、特に酵素としてチロシナーゼ、及びDOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性、特に酵素としてDOPA4,5−ジオキシゲナーゼやNADPH−Cytochrome P450レダクターゼ、を有するベタレイン色素の生産に必要な遺伝子群を導入したベタレイン色素高生産微生物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ベタレイン色素を生産可能な微生物に関する。
ベタレイン色素とは、天然では、ナデシコ目の植物およびある種の高等菌類にのみ含まれ、その化学構造中に窒素を含有することを特徴とする水溶性の色素である。ベタレイン色素は、構造上の特徴からベタキサンチンとベタシアニン類に分類されている。ベタキサンチンは黄色に発色し、ベタシアニン類は赤紫に発色するため従来から天然着色料として利用されている。
近年、ベタレイン色素が強力な抗酸化作用を有することが見出され、抗酸化剤としての活用も検討されている。さらに、ベタレイン色素が太陽エネルギーを効率よく吸収する性質を有することも見出され、色素増感型太陽電池の増感色素等への利用も期待されている。このベタレイン色素の製造方法としては、植物から抽出し、精製する方法が一般的であるが、ベタレイン色素を含む植物は、マツバギク、ビート、サボテンなどのナデシコ目(ツルナ科、ヒユ科、スベリヒユ科、ツルムラサキ科、サボテン科、アカザ科、オシロイバナ科など)に限られている。そのため、高価であり、また、安定して供給することも難しい。
近年、新たなベタレイン色素の製造方法として、各種キノコが含まれる担子菌類等の菌類由来のチロシナーゼ遺伝子およびオシロイバナ由来のL−3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA) 4,5−ジオキシゲナーゼ遺伝子を、植物プロモーターの制御
下で導入した形質転換植物細胞を用いたベタレイン色素の一種であるベタキサンチンの製造方法が報告されている(特許文献1)。また、L−3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA) 4,5−ジオキシゲナーゼおよびCYP76AD1遺伝子を導入した
酵母を用いて、DOPAをベタニジンへと変換させた例(非特許文献1)やcyclo−DOPA 5−O−グリコシルトランスフェラーゼ遺伝子を導入した酵母の無細胞抽出液を用いてcyclo−DOPAとベタラミン酸をベタニンへと変換させた例も報告されている(非特許文献2)。
また、チロシナーゼをコードする遺伝子としては、植物や微生物由来のものが数多く知られており(非特許文献3)、DOPA 4,5−ジオキシゲナーゼをコードする遺伝子
としては、オシロイバナやテンサイ由来のものが知られている(非特許文献4、5)。
特開2012−55208号公報
Gregory J Hatlestad et al, NATURE GENETICS, Volume 44, Number 7, July 2012, p.816-820 Sasaki N. et al, Plant Cell Physiol. 46(4):666-670 (2005) Michael Fairhead et al, New Biotechnology, Volume 29, Issue 2, 15 January 2012, p.183-191 Sasaki N. et al, Plant Cell Physiol. 50(5):1012-1026 (2009) Fernando Gandia-Herrero et al, Planta(2012) 236:91-100
現在、一般的に用いられている植物からベタレイン色素を抽出する製造方法では、上述のとおり、ごく限られた植物から抽出する必要があること、また含有量が極めて少ないこと等により、安定して持続的に供給することが難しく、製造コストが高いものとなっている。また、特許文献1のように植物細胞を用いた方法では、植物細胞の細胞増殖速度が極めて遅いため、生産効率が低く、工業化は難しいものと考えられる。
また近年において、動物、植物、微生物などの生物により生産されている多くの化合物の生合成経路が遺伝子レベルで解明されてきている。このような生合成知識と遺伝子工学、代謝工学技術を利用することで、細胞増殖が速く、高密度培養可能な微生物の代謝改変を実施し、本来的に生産することが無い多種多様な化学物質を効率的に微生物内にて生産させることが可能となってきている。
ベタレイン色素に関しては、生合成に必要なチロシナーゼをコードする遺伝子(非特許文献3)や、DOPA 4,5−ジオキシゲナーゼをコードする遺伝子(非特許文献4、
5)をそれぞれ単独で大腸菌や酵母などの微生物へ導入し、それぞれの酵素活性を個別に確認した例が知られている。しかし、これらベタレイン色素の生産に必要な遺伝子群を全て同時に微生物へ導入した例は知られておらず、またベタレイン色素の生産に必要な遺伝子群を導入した微生物であって、グルコースなどの基質からベタレイン色素を一貫生産可能な微生物の例もこれまで知られていない。
本発明は、ベタレイン色素を安定的また効率的に生産することが可能な微生物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、チロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性、DOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性が、微生物におけるベタレイン色素の生合成に必須であることから、このような酵素活性を有する微生物の作製に成功した。当該微生物を用いれば、効率よくベタレイン色素を製造できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、以下の(1)〜(11)に存する。
(1)チロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性、およびDOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性を有する微生物。
(2)前記チロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素がチロシナーゼである(1)に記載の微生物。
(3)さらに、L−DOPA オキシダーゼ活性および/またはフェノール性水酸基に糖を付加する酵素活性を有する(1)または(2)に記載の微生物。
(4)前記L−DOPA オキシダーゼ活性を有する酵素が、シトクロムP450である(3)に記載の微生物。
(5)さらに、NADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性を有する(4)に記載の微生物。
(6)前記フェノール性水酸基に糖を付加する酵素において、該フェノール性水酸基はcyclo−DOPA骨格のフェノール性水酸基である(3)〜(5)のいずれかに記載の微生物。
(7)前記フェノール性水酸基に糖を付加する酵素において、該糖がグルコースである(3)〜(6)のいずれかに記載の微生物。
(8)前記微生物が、チロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素および/またはD
OPA4,5−ジオキシゲナーゼをコードする遺伝子を、形質転換により導入されているものである(1)〜(7)のいずれかに記載の微生物。
(9)前記微生物が、L−DOPA オキシダーゼおよび/またはフェノール性水酸基に糖を付加する酵素をコードする遺伝子を、形質転換により導入されているものである(3)〜(8)のいずれかに記載の微生物。
(10)チロシン、および/または糖質を原料としてベタレイン色素を一貫生産するベタレイン色素生産能を有する(1)〜(9)のいずれかに記載の微生物。
(11)糖質原料を含む水性媒体中で(1)〜(10)のいずれかに記載の微生物を培養する、微生物の培養方法。
本発明の微生物によれば、グルコースなどの糖質やアミノ酸などの安価な原料から効率良くベタレイン色素を製造することができ、さらに、安定して供給することも可能となる。
また、本発明の微生物が生産可能なベタレイン色素は、増感剤、抗酸化剤等の広範な各種用途に好適に用いることができる。
実施例4においてE.coli(BL21)/RSTYR/MjDODを用いた場合のLCMS分析結果を示す。 実施例5においてE.coli(BL21)ΔtyrR::Kan/TyrAfbr+AroGfbr/RSTYR+MjDODを用いた場合のLCMS分析結果を示す。 実施例6においてYPH500/RSTYR/MjDODを用いた場合のLCMS分析結果を示す。 実施例7においてYPH500/RSTYR/MjDOD/CYP76AD3/AtATR1/Db5GT/AtSUS1を用いた場合のLCMS分析結果1(ベタニン生産)を示す。 実施例7においてYPH500/RSTYR/MjDOD/CYP76AD3/AtATR1/Db5GT/AtSUS1を用いた場合のLCMS分析結果2(ベタキサンチン生産)を示す。 実施例8においてYPH500/RSTYR/MjDOD/Db5GT/AtSUS1およびYPH500/RSTYR/MjDOD/Mj5GT/AtSUS1を用いた場合に得られたLC/MS分析結果を示す。 本発明の微生物が有する代謝経路の一例を示す。 本発明の微生物が有する代謝経路の別の一例を示す。 本発明の微生物が有する代謝経路の別の一例を示す。
本発明は、ベタレイン色素を生産可能な微生物に関するものであり、チロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性、DOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性を有することを特徴とする。さらに、L−DOPA オキシダーゼ活性および/またはフェノール性水酸基に糖を付加する酵素活性を有する微生物であることが好ましく、これに加えて、NADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性を有する微生物であることがより好ましい。
ここで、DOPA4,5−ジオキシゲナーゼとは、3,4−ジヒドロキシ−L−フェニルアラニン:オキシゲン 4,5−オキシドレダクターゼのことであり、L−DOPAを4,5−seco−DOPAへと変換する酵素のことである。
ここで、L−DOPA オキシダーゼとは、L−DOPAをcyclo−DOPAへと変換する酵素のことである。
ここで、L−DOPAとは、L−3,4−ジヒドロキシフェニルアラニンのことであり、以下の式(1)で表される。
Figure 2015192669
ここで、4,5−seco−DOPAとは以下の式(2)で表される化合物のことである。
Figure 2015192669
ここで、cyclo−DOPAとは、以下の式(3)で表される化合物のことである。
Figure 2015192669
ここで、UDP−グルコースとは、ウリジン二リン酸グルコースのことであり、以下の式(4)で表される。
Figure 2015192669
[本発明の微生物]
本発明の微生物は、チロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性、およびDOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性を有することを特徴とする。通常、ベタレイン色素を生産可能な微生物である。
本発明の微生物は、チロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性、DOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性を有するものであれば特に制限はなく、本来的にこれらの酵
素活性を有する微生物であってもよいし、育種によりこれらの酵素活性を付与したものであってもよい。育種によりこれらの酵素活性を付与する手段としては、変異処理や遺伝子組換え処理などが挙げられ、有機化合物の生合成経路における酵素遺伝子の発現強化や副生物生合成経路における酵素遺伝子の発現低減など、公知の方法を採用することができる。
さらに、本発明の微生物がL−DOPA オキシダーゼ活性および/またはフェノール性水酸基に糖を付加する酵素活性を有することが好ましい。本発明の微生物がこれらの酵素活性を有すると、微生物が有する酵素反応のみで種々のベタレイン色素を生産可能である。例えば、ベタキサンチンやベタシアニン類といった種々のベタレイン色素を、チロシン、および/または糖質を原料として一貫生産することができるため好ましい。
さらに、本発明の微生物を用いてベタレイン色素を生産する際にチロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素および/またはL−DOPA オキシダーゼ活性を有する酵素としてシトクロムP450を用いる場合には、本発明の微生物が、前記酵素活性に加えてNADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性を有することが好ましい。NADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性を有することで、シトクロムP450が有効に働くことができる。特に、L−DOPA オキシダーゼ活性を有する酵素としてシトクロムP450を有する本発明の微生物は、ベタシアニン類の生産効率が特に高くなるので、NADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性を有することがさらに好ましい。
本発明の微生物によりベタレイン色素を生産する方法については、後述する[ベタレイ
ン色素の生産方法]の項で詳細の説明をするが、本発明の微生物を用いれば、例えば、図
7に示す経路によりベタレイン色素を生産することが可能である。具体的には、本発明の微生物が図7に示す代謝経路を有する微生物である場合には本発明の微生物を培養することによってベタレイン色素を製造することができる。一方で、例えば、本発明の微生物が図7−2や図7−3の代謝経路に関する酵素活性のすべてを有していない場合であっても、必要な酵素や当該酵素反応で得られるベタレイン色素中間体を添加して、本発明の微生物を培養することによって種々のベタレイン色素を製造することができる。
なお、図7においてSpと表記されている化学反応は酵素が不要な自発反応である。よって、少なくともチロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性、およびDOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性を有する微生物を用いれば、図7に示す経路でベタレイン色素を製造することができる。ここで、Spと表記されている反応は酵素反応ではないことから、必ずしも微生物の代謝において行われる必要はない。例えば、微生物により生産させたcyclo−Dopaグルコシドとベタラミン酸とを菌体外へと取り出し、適切な溶媒中で混合することでベタシアニンを製造することが可能である。
本発明における微生物は、生きている微生物に限らず、生体としては死んでいるが酵素活性を有するものも含む。
また、本発明の微生物を処理して得られた処理物も、ベタレイン色素生産能としては同等の効果を有する。本発明の微生物の処理物としては、アセトン、トルエン等で処理した菌体、凍結乾燥菌体、菌体破砕物、菌体を破砕した無細胞抽出物、精製酵素(部分的に精製した酵素を含む。)等が挙げられる。また、これらの微生物の処理物を、常法により担体に固定化した固定化物も処理物に含まれる。
以下、本発明で開発した微生物の個別の特徴について説明する。
(宿主微生物)
育種により所望の酵素活性を付与するための宿主微生物としては、微生物の種類は特に
限定されないが、大腸菌、コリネ型細菌、シュードモナス属細菌、バチルス属細菌、リゾビウム属細菌、ラクトバチルス属細菌、サクシノバチルス属細菌、アナエロビオスピリラム属細菌、アクチノバチルス属細菌、糸状菌、酵母等が例示され、これらの中でも、大腸菌、酵母、コリネ型細菌が好ましく、大腸菌、酵母がより好ましく、酵母が最も好ましい。
(チロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性)
チロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性とは、チロシンが有するフェノール環の3位に水酸基を付加することができる酵素活性である。この酵素活性を有するか否かは、発現されたタンパク質が、チロシンの3位を水酸化する活性を通常のアッセイ方法で測定することにより判定が可能である。例えば、チロシンに、測定の対象とする酵素を作用させ、チロシンから変換されたL−DOPA量を直接的に測定することで、その酵素活性を確認することができる。
チロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素としては、例えば、チロシナーゼ、シトクロムP450、カテコールオキシダーゼ、チロシン 3‐モノオキシゲナーゼ、芳香環水酸化ジオキシゲナーゼ等が挙げられる。
チロシナーゼとしては、エアロモナス・メディア菌(Aeromonas media)、マッシュル
ーム(Agaricus bisporus)、アゾスピリラム菌(Azospirillum sp.)、バチルス・メガ
テリウム菌(Bacillus megaterium)、バチルス・スリンジェンシス菌(Bacillus thuringiensis)、テンサイ(Beta vulgaris)、キャベツ(Brassica oleracea)、チャノキ(Camellia sinensis)、アラビカコーヒーノキ(Coffea arabica)、アサイー(Euterpe oleracea)、ヒト(Homo sapiens)、レタス(Lactuca sativa)、マリノモラス・メディテラニア菌(Marinomonas mediterranea)、ハツカネズミ(Mus musculus)、ニューロスポラ・クラッサ菌(Neurospora crassa)、タバコ(Nicotiana tabacum)、ナメコ(Pholiota nameko)、シュードモナス・プチダ F6菌(Pseudomonas putida F6)、ラルストニア・ソラナセアラム菌(Ralstonia solanacearum)、リゾビウム・エトリ菌(Rhizobium etli)、トマト(Solanum lycopersicum)、ナス(Solanum melongena)、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、ストレプトマイセス・アンチバイオティカス(Streptomyces antibioticus)、ストレプトマイセス・カスタネオグロビスポラス菌(Streptomyces castaneoglobisporus)、ストレプトマイセス・グロセッセンス菌(Streptomyces glauescens)、ストレプトマイセス・リンコルネンシス菌(Streptomyces lincolnensis)、ストレプト
マイセス・リビダンス菌(Streptomyces lividans)、ストレプトマイセス属 REN−
21菌(Streptomyces sp.REN-21)、サーモミクロビウム・ロゼウム菌(Thermomicrobium roseum)、バニラ(Vanilla planifolia)、ベルコミクロビウム・スピノサム菌(Verrucomicrobium spinosum)、ソラマメ(Vicia faba)、ヨーロッパブドウ(Vitis vinifera)等に由来する酵素が挙げられる。中でも、バチルス・メガテリウム菌、バチルス・ス
リンジェンシス菌、ラルストニア・ソラナセアラム菌に由来するものが好ましい。
シトクロムP450としては、アースロバクター属菌(Arthrobacter spp.)、アスコ
キタ属菌(Ascochyta spp.)、アスペルギルス・フラバス菌(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・ニドランス菌(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニガー菌(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリゼ菌(Aspergillus oryze)、バチルス・メガテリウム菌(Bacillus megaterium)、カルダリオミセス・フマゴ菌(Caldariomyces fumago)、カンジダ・アルビカンス菌(Candida albicans)、カンジダ・マルトーサ菌(Candida maltosa)、カンジダ・トロピカリス菌(Candida tropicalis)、フザリウム属菌(Fusarium spp.)、フザリウム・オキシスポラム菌(Fusarium oxysporum)、フザリウム
・スポロトリキオイデス菌(Fusarium sporotrichioides)、フザリウム・バーティシリ
オイデス菌(Fusarium verticillioides)、マイクロコッカス属菌(Micrococcus spp.)、モルティエレラ・イサベリナ菌(Mortierella isabellina)、マイコバクテリウム・チ
ューバキュロシス菌(Mycobacterium tuberculosis)、ネクトリア・ハエマトコッカ菌(Nectria haematoccoca)、ネウロスポラ・クラッサ菌(Neurospora crassa)、ノカルデ
ィア属菌(Nocardia spp.)、ファネロケーテ・クリソスポリウム菌(Phanerochaete chrisosporium)、シュードモナス・プチダ菌(Pseudomonas putida)、ストレプトマイセス属菌(Streptomyces spp.)、リゾビウム属菌(Rhizobium spp.)、サッカロミセス・セ
レビシエ菌(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス・ポンベ菌(Saccharomyces pombe)、ストレプトミセス・エバーミチリス菌(Streptomyces avermitilis)、スト
レプトミセス・セリカラー菌(Streptomyces coelicolor)、スルホロブス・ソルファタ
リカス菌(Sulfolobus solfataricus)、ヤロウィア・リポリティカ菌(Yarrowia lipolutica)等に由来する酵素が挙げられる。中でも、アースロバクター属菌(Arthrobacter spp.)、アスコキタ属菌(Ascochyta spp.)、フザリウム属菌(Fusarium spp.)、マイクロコッカス属菌(Micrococcus spp.)、モルティエレラ・イサベリナ(Mortierella isabellina)、ノカルディア属菌(Nocardia spp.)、ストレプトマイセス属菌(Streptomyces spp.)、リゾビウム属菌(Rhizobium spp.)、ストレプトミセス・エバーミチリス(Streptomyces avermitilis)菌に由来するものが好ましい。
カテコールオキシダーゼとしては、マッシュルーム(Agaricus bisporus)、アスペル
ギルス・オリゼ菌(Aspergillus oryze)、アスペルギルス・ニガー菌(Aspergillus niger)、ポーポー(Asimina triloba)、テンサイ(Beta vulgaris)、ウシ(Bos taurus)、チャノキ(Camellia sinensis)、ヘンリーグリ(Castanea henryi)、アラビカコーヒーノキ(Caffea arabica)、メロン(Cucumis melo)、ビワ(Eriobotrya japonica)、
ヒト(Homo sapiens)、サツマイモ(Ipomoea batatas)、フジマメ(Lablab purpureus
)、マグワ(Morus alba)、バナナ(Musa acuminata)、ニューロスポラ・クラッサ菌(Neurospora crassa)、タバコ(Nicotiana tabacum)、バジリコ(Ocimum basilicum)、ヒラタケ(Pleurotus ostreatus)、マツバボタン(Portulaca grandiflora)、アンズ(Prunus armeniaca)、ラルストニア・ソラナセアラム菌(Ralstonia solanacearum)、トマト(Solanum lycopersicum)、ナス(Solanum melongena)、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、ストレプトミセス・グラウセッセンス菌(Streptomyces glaucescens)、ストレプトマイセス・グリセウス菌(Streptomyces griseus)、ヨーロッパブドウ(Vitis vinifera)等に由来する酵素が挙げられる。中でもアスペルギルス・オリゼ菌(Aspergillus oryze)、チャノキ(Camellia sinensis)、ラルストニア・ソラナセアラム菌(Ralstonia solanacearum)、ストレプトマイセス・グリセウス菌(Streptomyces griseus)、ヨーロッパブドウ(Vitis vinifera)等に由来するものが好ましい。
チロシン 3‐モノオキシゲナーゼとしては、ウシ(Bos taurus)、モルモット(Cavia porcellus)、アズマニシキ(Chlamys farreri nipponensis)、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)、ゴリラ(Gorilla gorilla)、ヒト(Homo sapiens)、アカゲザル(Macaca mulatta)、ハツカネズミ(Mus musculus)、ウサギ(Oryctolagus cuniculus)、チンパンジー(Pan troqlodytes)、マツバボタン(Portulaca grandiflora)、ヨーロッパトノサマガエル(Rana esculenta)、ドブネズミ(Rattus norvegicus)、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)等に由来する酵素が挙げられる。中でもキ
イロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)、ヒト(Homo sapiens)、ドブネズ
ミ(Rattus norvegicus)に由来するものが好ましい。
芳香環水酸化ジオキシゲナーゼとしては、アルスロバクター属菌(Arthrobacter sp.)、アシネトバクター・カルコアセチカス菌(Acinetobacter calcoaceticus)、バークホ
ルデリア・セパシア菌(Barkholderia cepacia)、バークホルデリア・テラ菌(Burkholderia terrae)、コマモナス・テストステローニ菌(Comamonas testosteroni)、クロモ
ハロバクター属菌(Chromohalobacter sp.)、メソリゾビウム・ロティ菌(Mesorhizobium loti)、シュードモナス・アエルギノサ菌(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナ
ス・フルオレッセンス菌(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・プチダ菌(Pseudomonas putida)、シュードモナス・レシノボランス菌(Pseudomonas resinovorans)
、ロドコッカス・オパカス菌(Rhodococcus opacus)、トリコスポロン・クタネウム菌(Trichosporon cutaneum)等に由来する酵素が挙げられる。中でも、シュードモナス・プ
チダ菌(Pseudomonas putida)、アシネトバクター・カルコアセチカス菌(Acinetobacter calcoaceticus)、メソリゾビウム・ロティ菌(Mesorhizobium loti)、バークホルデ
リア・セパシア菌(Barkholderia cepacia)に由来するものが好ましい。
上述した中でも、チロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素としては、微生物内にて酵素発現させた例が多く比較的高い活性を有するとの理由から、チロシナーゼが好ましい。
チロシナーゼの具体例としては、上述した通りであるが、中でも、以下の(A)、(B)、または(C)の塩基配列でコードされる酵素であることが特に好ましい。配列番号1はバチルス・メガテリウム菌に、配列番号2はラルストニア・ソラナセアラム菌に、配列番号3はバチルス・スリンジェンシス菌に由来する塩基配列である。
(A) 配列番号1、2、または3で表される塩基配列を有するDNA
(B)配列番号1、2、または3で表される塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、および/または付加された塩基配列を含み、かつチロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(C)配列番号 1、2、または3で表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな
条件でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつチロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNA
ここで「1または(もしくは)数個の塩基」とは、例えば、1個〜300個、好ましくは1個〜150個、より好ましくは1個〜60個、さらに好ましくは1個〜30個、特に好ましくは1個〜15個、の塩基である。以下、本明細書において同様である。
また、1もしくは数個の塩基が欠失、追加、挿入、および/または置換された塩基配列の作製は、突然変異剤を用いる方法や部位特異的変異法等の通常の変異操作によって得ることができる。これらは、例えばDiversify PCR Random Mutagenesis Kit(Clontech)やQuickChange Lightning Site−Directed Mutagenesis Kit(Agilent Technologies)等の市販キットで容易に行うことができる。
また、上述のチロシナーゼをアミノ酸配列で規定すると、以下の(D)、(E)、または(F)のアミノ酸配列を有するポリペプチドが好ましく、以下の(D)、(E)、または(F)のアミノ酸配列からなるポリペプチドがより好ましい。
配列番号4はバチルス・メガテリウム菌に、配列番号5はラルストニア・ソラナセアラム菌に、配列番号6はバチルス・スリンジェンシス菌に由来するアミノ酸配列である。
(D) 配列番号4、5または6で表されるアミノ酸配列
(E) 配列番号4、5または6で表されるアミノ酸配列において1または数個のアミ
ノ酸が置換、欠失、および/または付加されたアミノ酸配列を含み、かつチロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列
(F)配列番号 4、5または6で表されるアミノ酸配列の60%以上の同一性を有す
るアミノ酸配列を有し、かつチロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列
ここで「1または数個のアミノ酸」とは、例えば、1個〜100個、好ましくは1個〜50個、より好ましくは1個〜20個、さらに好ましくは1個〜10個、特に好ましくは1個〜5個、のアミノ酸である。以下、本明細書において同様である。
また、前記(F)に記載の通り、チロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性を保持する限り、配列番号4、5または6に示されるアミノ酸配列全長と少なくとも60%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の配列同一性を有するタンパク質であってもよい。
上記に例示したように、自然界に存在する生物のゲノム情報に基づく塩基配列、またはそのホモログを用いることもできるが、各々の遺伝子は、必要に応じて宿主微生物のコドン使用頻度にあわせて塩基配列を最適化することができる。コドン最適化は、例えば、J.
Microbiol. Biotechnol. (2012), 22(3), 316-325に記載の方法や、GenScript社のOptimumGeneTMサービスを利用する方法がある。コドン最適化を行なうと、ベタレイン色素の生産性が向上するので好ましい。
即ち、大腸菌を宿主微生物とする場合は、配列番号1、2または3の塩基配列に対してコドン最適化を実施して得られた以下の(G)、(H)、または(I)の塩基配列でコードされる酵素であることがより好ましい。
(G) 配列番号7、8、または9で表される塩基配列を有するDNA
(H)配列番号7、8、または9で表される塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、および/または付加された塩基配列を含み、かつチロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(I)配列番号7、8、または9で表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつチロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNA
また、酵母を宿主微生物とする場合は、配列番号1、2の塩基配列に対してコドン最適化を実施して得られた以下の(J)、(K)、または(L)の塩基配列でコードされる酵素であることがより好ましい。
(J)配列番号10、配列番号11で表される塩基配列を有するDNA
(K)配列番号10、配列番号11で表される塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、および/または付加された塩基配列を含み、かつチロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(L)配列番号10、配列番号11で表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつチロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
また、上述のチロシナーゼをアミノ酸配列で規定すると、前述の(D)、(E)、(F)と同様のアミノ酸配列を有するものが好ましく、(D)、(E)、または(F)のアミノ酸配列からなるものがより好ましい。前記(F)のアミノ酸配列の配列同一性の好ましい範囲についても、同様に考えることができる。
なお、配列番号1、2、3に対して大腸菌発現用にコドン最適化を行なったものが、それぞれ、配列番号7、8、9であり、配列番号1、2に対して酵母発現用にコドン最適化を行ったものが、それぞれ、配列番号10、11であるが、これらは、翻訳後のアミノ酸配列としては最適化前後で同一である。つまり、配列番号1、7、10の塩基配列により規定されるアミノ酸配列は配列番号4であり、配列番号2、8、11の塩基配列により規定されるアミノ酸配列は配列番号5であり、配列番号3、9の塩基配列により規定されるアミノ酸配列は配列番号6となる。
(DOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性)
DOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性とは、L−3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)のエクストラジオール開裂を触媒する活性を有し、該L−DOPAを4,5−seco−DOPAに変換する反応、さらに、それに続く自発的反応を経て、該L
−DOPAをベタラミン酸へと変換する酵素活性のことである。この酵素活性を有するか否かは、測定の対象とするタンパク質が、L−DOPAのフェノール環の4位、5位の炭素間でのエクストラジオール開裂を引き起こし、その結果としてベタラミン酸を生成することができるかどうかを通常のアッセイ方法で測定することにより判定が可能である。例えば、L−DOPAに、測定の対象とする酵素を作用させ、L−DOPAから変換されたベタラミン酸の生成量を直接的に測定することで、その酵素活性を確認することができる。
DOPA4,5−ジオキシゲナーゼとしては、ベニテングダケ(Amanita muscaria)、スギモリケイトウ(Amaranthus cruentus)ハゲイトウ(Amaranthus tricolor)、テンサイ(Beta vulgaris)、ケイトウ(Celosia argentea)、キヌア(Chenopodium quinoa)
、リビングストンデージー(Dorotheanthus bellidiformis)、オシロイバナ(Mirabilis
jalapa)、ウチワサボテン(Opuntia ficus)、センニンサボテン(Opuntia stricta)
、マツバボタン(Portulaca grandiflora)、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolacca americana)、レッドビート(Red beet)、ホウレンソウ(Spinacia oleracea)等に由来するものが好ましい。
上述した中でも、DOPA4,5−ジオキシゲナーゼとしては、以下の(M)、(N)、または(O)の塩基配列でコードされる酵素であることが好ましい。配列番号12はオシロイバナに由来する塩基配列である。
(M)配列番号12で表される塩基配列を有するDNA
(N)配列番号12で表される塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、および/または付加された塩基配列を含み、かつDOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(O)配列番号 12で表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件でハイブ
リダイズする塩基配列を含み、かつDOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
また、1もしくは数個の塩基が欠失、追加、挿入、および/または置換された塩基配列の作製は、突然変異剤を用いる方法や部位特異的変異法等の通常の変異操作によって得ることができる。これらは、例えばDiversify PCR Random Mutagenesis Kit(Clontech)やQuickChange Lightning Site−Directed Mutagenesis Kit(Agilent Technologies)等の市販キットで容易に行うことができる。
また、上述のDOPA4,5−ジオキシゲナーゼをアミノ酸配列で規定すると、以下の(P)、(Q)、または(R)のアミノ酸配列を有するポリペプチドが好ましく、以下の(P)、(Q)、または(R)のアミノ酸配列からなるポリペプチドがより好ましい。配列番号13はオシロイバナに由来するアミノ酸配列である。
(P)配列番号13で表されるアミノ酸配列
(Q)配列番号13で表されるアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸が置換、欠失、および/または付加されたアミノ酸配列を含み、かつDOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列
(R)配列番号 13で表されるアミノ酸配列の60%以上の同一性を有するアミノ酸
配列を有し、かつDOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列
また、前記(R)に記載の通り、DOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性を保持する限り、配列番号13に示されるアミノ酸配列全長と少なくとも60%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の配列同一性を有するタンパク質であってもよい。
上記に例示したように、自然界に存在する生物のゲノム情報に基づく塩基配列、またはそのホモログを用いることもできるが、各々の遺伝子は、必要に応じて宿主微生物のコドン使用頻度にあわせて塩基配列を最適化することができる。
即ち、大腸菌を宿主微生物とする場合は配列番号12の塩基配列に対してコドン最適化を実施して得られた以下の(S)、(T)、または(U)の塩基配列でコードされる酵素であることがより好ましい。
(S) 配列番号14で表される塩基配列を有するDNA
(T)配列番号14で表される塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、および/または付加された塩基配列を含み、かつDOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(U)配列番号14で表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつDOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
また、酵母を宿主微生物とする場合は配列番号12の塩基配列に対してコドン最適化を実施して得られた以下の(V)、(W)、または(X)の塩基配列でコードされる酵素であることがより好ましい。
(V)配列番号15で表される塩基配列を有するDNA
(W)配列番号15で表される塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、および/または付加された塩基配列を含み、かつDOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(X)配列番号15で表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつDOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
また、上述のDOPA4,5−ジオキシゲナーゼをアミノ酸配列で規定すると、前述の(P)、(Q)、(R)と同様のアミノ酸配列を有するものが好ましく、(P)、(Q)、または(R)のアミノ酸配列からなるものがより好ましい。前記(R)のアミノ酸配列の配列同一性の好ましい範囲についても、同様に考えることができる。
なお、配列番号12に対して大腸菌発現用にコドン最適化を行なったものが配列番号14、酵母発現用にコドン最適化を行ったものが配列番号15であるが、両者は、翻訳後のアミノ酸配列としては最適化前後で同一であり、いずれの塩基配列でも規定されるアミノ酸配列は配列番号13となる。
(L−DOPA オキシダーゼ活性)
L−DOPA オキシダーゼ活性とは、L−DOPAを酸化しcyclo−DOPAへと変換する酵素活性のことである。この酵素活性を有するか否かは、測定の対象とするタンパク質が、L−DOPAを酸化してcyclo−DOPAを生成することができるかどうかを通常のアッセイ方法で測定することにより判定が可能である。例えば、L−DOPAに、測定の対象とする酵素を作用させ、L−DOPAから変換されたcyclo−DOPAの生成量を直接的に測定することで、その酵素活性を確認することができる。
本発明の微生物が、さらにL−DOPA オキシダーゼ活性を有していると、図7−2および図7−3の代謝経路におけるcyclo−DOPAを微生物が有する酵素活性で生産できるため好ましい。つまり、[ベタレイン色素の生産方法]の項で後述するように、L−DOPA オキシダーゼや当該酵素反応で得られるベタレイン色素中間体を培地中に添加して培養する必要がなく、ベタレイン色素の製造が容易になるため好ましい。
L−DOPA オキシダーゼ活性を有する酵素としては、例えば、チロシナーゼ、シトクロムP450であるCYP76AD1、CYP76AD2、CYP76AD3等が挙げられる。
チロシナーゼとしては、エアロモナス・メディア菌(Aeromonas media)、マッシュル
ーム(Agaricus bisporus)、アゾスピリラム菌(Azospirillum sp.)、バチルス・メガ
テリウム菌(Bacillus megaterium)、バチルス・スリンジェンシス菌(Bacillus thuringiensis)、テンサイ(Beta vulgaris)、キャベツ(Brassica oleracea)、チャノキ(Camellia sinensis)、アラビカコーヒーノキ(Coffea arabica)、アサイー(Euterpe oleracea)、ヒト(Homo sapiens)、レタス(Lactuca sativa)、マリノモラス・メディテラニア菌(Marinomonas mediterranea)、ハツカネズミ(Mus musculus)、ニューロスポラ・クラッサ菌(Neurospora crassa)、タバコ(Nicotiana tabacum)、ナメコ(Pholiota nameko)、シュードモナス・プチダ F6菌(Pseudomonas putida F6)、ラルストニア・ソラナセアラム菌(Ralstonia solanacearum)、リゾビウム・エトリ菌(Rhizobium etli)、トマト(Solanum lycopersicum)、ナス(Solanum melongena)、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、ストレプトマイセス・アンチバイオティカス(Streptomyces antibioticus)、ストレプトマイセス・カスタネオグロビスポラス菌(Streptomyces castaneoglobisporus)、ストレプトマイセス・グロセッセンス菌(Streptomyces glauescens)、ストレプトマイセス・リンコルネンシス菌(Streptomyces lincolnensis)、ストレプト
マイセス・リビダンス菌(Streptomyces lividans)、ストレプトマイセス属 REN−
21菌(Streptomyces sp.REN-21)、サーモミクロビウム・ロゼウム菌(Thermomicrobium roseum)、バニラ(Vanilla planifolia)、ベルコミクロビウム・スピノサム菌(Verrucomicrobium spinosum)、ソラマメ(Vicia faba)、ヨーロッパブドウ(Vitis vinifera)等に由来する酵素が挙げられる。中でも、バチルス・メガテリウム菌、バチルス・ス
リンジェンシス菌、ラルストニア・ソラナセアラム菌に由来するものが好ましい。
CYP76AD1、CYP76AD2、CYP76AD3としては、ベニテングダケ(Amanita muscaria)、スギモリケイトウ(Amaranthus cruentus)、ハゲイトウ(Amaranthus tricolor)、テンサイ(Beta vulgaris)、ケイトウ(Celosia argentea)、リビン
グストンデージー(Dorotheanthus bellidiformis)、キヌア(Chenopodium quinoa)、
オシロイバナ(Mirabilis jalapa)、ウチワサボテン(Opuntia ficus)、センニンサボ
テン(Opuntia stricta)、マツバボタン(Portulaca grandiflora)、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolacca americana)、レッドビート(Red beet)、ホウレンソウ(Spinacia oleracea)等に由来する酵素が挙げられる。
チロシナーゼは、ベタシアニン生合成経路中で生産したcyclo−DOPAを過剰酸化してメラニンへと変換する酵素活性も保持しており、当該副反応とベタシアニン生合成経路が競合することでベタシアニン生産性の低下を引き起こす可能性があることから、上述した中でも、L−DOPA オキシダーゼ活性を有する酵素としては、副反応を保持しないCYP76AD1、CYP76AD2およびCYP76AD3が好ましく、微生物内にて発現例があるという理由からCYP76AD3およびCYP76AD1がより好ましい。
先に記載した通り、チロシナーゼは、チロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素として挙げられ、L−DOPA オキシダーゼ活性を有する酵素としても機能することが可能である。このことより、チロシナーゼを有する微生物は、チロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性およびL−DOPA オキシダーゼ活性を有する酵素活性を有しているといえるが、さらにL−DOPA オキシダーゼ活性を有する酵素としてCYP76AD1またはCYP76AD3を有していると、ベタシアニン類生産量が顕著に向上し、特に好ましい。
上述した中でも、L−DOPA オキシダーゼとしては、以下の(あ)、(い)、または(う)の塩基配列でコードされる酵素であることが好ましい。配列番号16はオシロイバナに由来するCYP76AD3の塩基配列、配列番号50はテンサイに由来するCYP76AD1の塩基配列である。
(あ)配列番号16、50で表される塩基配列を有するDNA
(い)配列番号16、50で表される塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、および/または付加された塩基配列を含み、かつL−DOPA オキシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(う)配列番号 16、50で表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件で
ハイブリダイズする塩基配列を含み、かつL−DOPA オキシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
また、1もしくは数個の塩基が欠失、追加、挿入、および/または置換された塩基配列の作製は、突然変異剤を用いる方法や部位特異的変異法等の通常の変異操作によって得ることができる。これらは、例えばDiversify PCR Random Mutagenesis Kit(Clontech)やQuickChange Lightning Site−Directed Mutagenesis Kit(Agilent Technologies)等の市販キットで容易に行うことができる。
また、上述のL−DOPA オキシダーゼをアミノ酸配列で規定すると、以下の(え)、(お)、または(か)のアミノ酸配列を有するポリペプチドが好ましく、以下の(え)、(お)、または(か)のアミノ酸配列からなるポリペプチドがより好ましい。配列番号17はオシロイバナに由来するアミノ酸配列、配列番号51はテンサイに由来するアミノ酸配列である。
(え)配列番号17、51で表されるアミノ酸配列
(お)配列番号17、51で表されるアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸が置換、欠失、および/または付加されたアミノ酸配列を含み、かつL−DOPA オキシダーゼ活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列
(か)配列番号 17、51で表されるアミノ酸配列の60%以上の同一性を有するア
ミノ酸配列を有し、かつL−DOPA オキシダーゼ活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列
また、前記(か)に記載の通り、L−DOPA オキシダーゼ活性を保持する限り、配列番号17、51に示されるアミノ酸配列全長と少なくとも60%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の配列同一性を有するタンパク質であってもよい。
上記に例示したように、自然界に存在する生物のゲノム情報に基づく塩基配列、またはそのホモログを用いることもできるが、各々の遺伝子は、必要に応じて宿主微生物のコドン使用頻度にあわせて塩基配列を最適化することができる。
即ち、酵母を宿主微生物とする場合は配列番号16、50の塩基配列に対してコドン最適化を実施して得られた以下の(き)、(く)、または(け)の塩基配列でコードされる酵素であることがより好ましい。
(き) 配列番号18、52で表される塩基配列を有するDNA
(く)配列番号18、52で表される塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、および/または付加された塩基配列を含み、かつDOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(け)配列番号18、52で表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつDOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性を有する
ポリペプチドをコードするDNA
また、上述のL−DOPA オキシダーゼをアミノ酸配列で規定すると、前述の(え)、(お)、(か)と同様のアミノ酸配列を有するものが好ましく、(え)、(お)、または(か)のアミノ酸配列からなるものがより好ましい。前記(か)のアミノ酸配列の配列同一性の好ましい範囲についても、同様に考えることができる。
なお、配列番号16、50に対して酵母発現用にコドン最適化を行ったものが配列番号18、52であるが、両者は、翻訳後のアミノ酸配列としては最適化前後で同一であり、配列番号16、18の塩基配列で規定されるアミノ酸配列は配列番号17であり、配列番号50、52の塩基配列で規定されるアミノ酸配列は配列番号51となる。
(NADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性)
NADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性とは、真核生物由来シトクロムP450の触媒サイクルを回す上で必須であるP450への電子の供給を行う酵素活性のことである。よって、本発明の微生物を用いてベタレイン色素を生産する際にチロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素および/またはL−DOPA オキシダーゼ活性を有する酵素としてシトクロムP450を用いる場合には、本発明の微生物が、前記酵素活性に加えてNADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性を有することが好ましい。本発明の微生物が、NADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性を有することで、シトクロムP450が有効に働くことができる。特に、L−DOPA オキシダーゼ活性を有する酵素としてシトクロムP450を有する本発明の微生物は、ベタシアニン類の生産効率が特に高くなるので、NADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性を有することがさらに好ましい。
上記酵素活性を有するか否かは、測定の対象とするタンパク質がNADPH存在下でCytochrome cを還元できるかを通常の方法にて測定することにより判定が可能である。例えば、NADPH存在下で、測定の対象とするタンパク質をCytochrome cと作用させ、還元されたCytochrome cに特徴的な550nmの吸収を測定することで、その酵素活性を確認することができる。
NADPH−Cytochrome P450 レダクターゼとしては、ベニテングダケ(Amanita muscaria)、スギモリケイトウ(Amaranthus cruentus)、ハゲイトウ(Amaranthus tricolor)、ドクゼリモドキ(Ammi majus)、ハマダラカ(Anopheles minimus
)、クソニンジン(Artemisia annua)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、ア
スペルギルス・フミガーツス菌(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・ニガー菌
(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリゼ菌(Aspergillus oryzae )、アスペルギルス・テレウス菌(Aspergillus terreus)、バチルス・メガテリウム菌(Bacillus megaterium)、テンサイ(Beta vulgaris)、ウシ(Bos taurus)、カンジダ・アルビカン
ス菌(Candida albicans)、カンジダ・アピコラ菌(Candida apicola)、カンジダ・グ
ラブラータ菌(Candida glabrata)、イヌ(Canis lupus)、トウガラシ(Capsicum annuum)、ニチニチソウ(Catharanthus roseus)、ケイトウ(Celosia argentea)、ベニバ
ナセンブリ(Centaurium erythraea)、ケタマカビ(Chaetomium globosum)、キヌア(Chenopodium quinoa)、ニカメイガ(Chilo suppressalis)、コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)、コクシディオイデス・イミティス菌(Coccidioides immitis)、クチベニガイ(Corbula caribea)、デバリオマイセス・ハンセニイ菌(Debaryomyces hansenii)、キイロタマホコリカビ菌(Dictyostelium discoideum)、エメリセラ・ニドランス菌(Emericella nidulans)、ウマ(Equus caballus)、エレモテシウム・ゴシッピー
(Eremothecium gossypii)、ハナビシソウ(Eschscholzia californica)、ジベレラ・
ゼアエ菌(Gibberella zeae)、ダイズ(Glycine max)、ワタ(Gossypium hirsutum)、ニワトリ(Gallus gallus)、キクイモ(Helianthus tuberosus)、ヒト(Homo sapiens
)、コボウズオトギリ(Hypericum androsaemum)、クルイベロマイセス・ラクティス菌
(Kluyveromyces lactis)、ミヤコグサ(Lotus japonicus)、マグナポリテ・グリセア
菌(Magnaporthe grisea)、マラセチア・グロボーサ菌(Malassezia globosa)、オシロイバナ(Mirabilis jalapa)、ハツカネズミ(Mus musculus)、イエバエ(Musca domestica)、ニューロスポラ・クラッサ菌(Neurospora crassa)、チャボイナモリ(Ophiorrhiza pumila)、ウチワサボテン(Opuntia ficus)、センニンサボテン(Opuntia stricta)、アナウサギ(Oryctolagus cuniculus)、イネ(Oryza sativa)、ヒツジ(Ovis aries)、ケシ(Papaver somniferum)、パセリ(Petroselinum crispum)、ファエオスフェ
リア・ノドラム菌(Phaeosphaeria nodorum)、ファネロカエテ・クリソスポリウム菌(Phanerochaete chrysosporium)、ヒメツリガネゴケ(Physcomitrella patens)、ヨウシ
ュヤマゴボウ(Phytolacca americana)、フィトフトラ・ラモルム菌(Phytophthora ramorum)、フィトフトラ・ソジャエ菌(Phytophthora sojae)、エンドウ(Pisum sativum
)、ポプラ(Populus trichocarpa)、マツバボタン(Portulaca grandiflora)、ベイマツ(Pseudotsuga menziesii)、ラット(Rattus norvegicus)、レッドビート(Red beet)、リゾプス・オリゼ菌(Rhizopus oryze)、リゾプス・ストロニファー菌(Rhizopus stolonifer)、トウゴマ(Ricinus communis)、サッカロミセス・セレビシエ菌(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ菌(Schizosaccharomyces pombe)、イヌカタヒバ(Selaginella moellendorffii)、キンランジソ(Solenostemon scutellarioides)、モロコシ(Sorghum bicolor)、ホウレンソウ(Spinacia oleracea)、ハスモントヨウ(Spodoptera litura)、スタルメレラ・ボンビコラ菌(Starmerella bombicola)、ステビア(Stevia rebaudiana)、イチイ(Taxus cuspidata)、カワラタケ(Trametes versicolor)、パンコムギ(Triticum aestivum)、クルーズトリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)、ヤハズエンドウ(Vicia sativa)、リョクトウ(Vigana radiata)、ヨ
ーロッパブドウ(Vitis vinifera)、アシュワガンダ(Withania somnifera)、アフリカツメガエル(Xenopus lavis)、トウモロコシ(Zea mays)等に由来する酵素が挙げられ
る。中でも、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、オシロイバナ(Mirabilis jalapa)に由来するものが好ましい。
上述した中でも、NADPH−Cytochrome P450 レダクターゼとしては、以下の(こ)、(さ)、または(し)の塩基配列でコードされる酵素であることが好ましい。配列番号19、20はシロイヌナズナに由来する塩基配列である。
(こ)配列番号19または20で表される塩基配列を有するDNA
(さ)配列番号19または20で表される塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、および/または付加された塩基配列を含み、かつNADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(し)配列番号 19または20で表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条
件でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつNADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
また、1もしくは数個の塩基が欠失、追加、挿入、および/または置換された塩基配列の作製は、突然変異剤を用いる方法や部位特異的変異法等の通常の変異操作によって得ることができる。これらは、例えばDiversify PCR Random Mutagenesis Kit(Clontech)やQuickChange Lightning Site−Directed Mutagenesis Kit(Agilent Technologies)等の市販キットで容易に行うことができる。
また、上述のNADPH−Cytochrome P450 レダクターゼをアミノ酸配列で規定すると、以下の(す)、(せ)、または(そ)のアミノ酸配列を有するポリペプチドが好ましく、以下の(す)、(せ)、または(そ)のアミノ酸配列からなるポリペプチドがより好ましい。配列番号21、22はシロイヌナズナに由来するアミノ酸配列で
ある。
(す)配列番号21または22で表されるアミノ酸配列
(せ)配列番号21または22で表されるアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸が置換、欠失、および/または付加されたアミノ酸配列を含み、かつNADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列
(そ)配列番号21または22で表されるアミノ酸配列の60%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつNADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列
また、前記(そ)に記載の通り、NADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性を保持する限り、配列番号21または22に示されるアミノ酸配列全長と少なくとも60%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の配列同一性を有するタンパク質であってもよい。
上記に例示したように、自然界に存在する生物のゲノム情報に基づく塩基配列、またはそのホモログを用いることもできるが、各々の遺伝子は、必要に応じて宿主微生物のコドン使用頻度にあわせて塩基配列を最適化することができる。
即ち、酵母を宿主微生物とする場合は配列番号19または20の塩基配列に対してコドン最適化を実施して得られた以下の(た)、(ち)、または(つ)の塩基配列でコードされる酵素であることがより好ましい。
(た) 配列番号23または24で表される塩基配列を有するDNA
(ち)配列番号23または24で表される塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、および/または付加された塩基配列を含み、かつNADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(つ)配列番号23または24で表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつNADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
また、上述のNADPH−Cytochrome P450 レダクターゼをアミノ酸配列で規定すると、前述の(す)、(せ)、(そ)と同様のアミノ酸配列を有するものが好ましく、(す)、(せ)、または(そ)のアミノ酸配列からなるものがより好ましい。前記(そ)のアミノ酸配列の配列同一性の好ましい範囲についても、同様に考えることができる。
なお、配列番号19、20に対して酵母発現用にコドン最適化を行ったものが、それぞれ、配列番号23、24であるが、これらは、翻訳後のアミノ酸配列としては最適化前後で同一である。つまり、配列番号19、23の塩基配列により規定されるアミノ酸配列は配列番号21であり、配列番号20、24の塩基配列により規定されるアミノ酸配列は配列番号22である。
(フェノール性水酸基に糖を付加する酵素活性)
フェノール性水酸基に糖を付加する酵素活性とは、cyclo−DOPAやベタニジンが有するcyclo−DOPA骨格の5位や6位に存在するフェノール性水酸基に糖を付加することができる酵素活性である。この酵素活性を有するか否かは、測定の対象とするタンパク質が、糖供与体の存在下、cyclo−DOPAからcyclo−DOPA グルコシドを、またはベタニジンからベタシアニンを生成することができるかどうかを通常のアッセイ方法で測定することにより判定が可能である。例えば、糖供与体であるUDP−glusose存在下、cyclo−DOPAに測定の対象とする酵素を作用させ、cyclo−DOPAから変換されたcyclo−DOPA グルコシドの生成量を直接的に測定すること、もしくは、UDP−glusose存在下、ベタニジンに測定の対象と
する酵素を作用させ、ベタニジンから変換されたベタニンの生成量を直接的に測定することで、その酵素活性を確認することができる。
本発明の微生物が、さらにフェノール性水酸基に糖を付加する酵素活性を有していると、図7−2および図7−3の代謝経路におけるcyclo−DOPA グルコシドやベタシアニンを、微生物が有する酵素活性で生産できるため好ましい。つまり、[ベタレイン
色素の生産方法]の項で後述するように、フェノール性水酸基に糖を付加する酵素や当該
酵素反応で得られるベタレイン色素中間体を培地中に添加して培養する必要がなく、ベタレイン色素の製造が容易になるため好ましい。
フェノール性水酸基に糖を付加する酵素としては、cyclo−DOPA骨格のフェノール性水酸基に糖を付加する酵素であることが好ましく、より好ましくはcyclo−DOPAのフェノール性水酸基またはベタニジンのフェノール性水酸基に糖を付加する酵素であって、具体的には、cyclo−DOPA 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ、ベタニジン 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ、ベタニジン 6−O−グルコシルトランスフェラーゼ等が挙げられる。
cyclo−DOPA 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有する場合には、図7−2の代謝経路によりベタシアニン類を合成することが可能である。また、ベタニジン 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有する場合には、図7−3の代謝経路によりベタシアニン類を合成することが可能であり、ベタニジン 6−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有する場合には、図7−3に準じる代謝経路によりcyclo−DOPAの6位に糖が付加されたベタシアニン類を合成することができる。
また、フェノール性水酸基に付加させる糖は、UDP糖、ADP糖、GDP糖、TDP糖に由来する糖であることが好ましく、UDP糖が特に好ましい。また、前記糖は、グルコース、ソホロース、6−O−マロニルグルコース、6−O−カフェオイルグルコース、6−O−クマロイルグルコース、2−O−アピオシルグルコース、5’−O−フェルロイルアピオシルグルコース、6−O−マロニル−(5’−O−フェルロイルアピオシル)グルコース、6−O−カフェオイルソホロース、6−O−クマロイルソホロース、6’−O−クマロイルソホロース、6,6’−ジクマロイルソホロース等であることが好ましく、グルコースであることが特に好ましい。このことより、例えばフェノール性水酸基にUDP−グルコースに由来するグルコースを転移させることが好ましい。
cyclo−DOPA 5−O−グルコシルトランスフェラーゼとしては、ベニテングダケ(Amanita muscaria)、スギモリケイトウ(Amaranthus cruentus)、ハゲイトウ(Amaranthus tricolor)、テンサイ(Beta vulgaris)、ケイトウ(Celosia argentea)、
キヌア(Chenopodium quinoa)、リビングストンデージー(Dorotheanthus bellidiformis)、オシロイバナ(Mirabilis jalapa)、ウチワサボテン(Opuntia ficus)、センニンサボテン(Opuntia stricta)、マツバボタン(Portulaca grandiflora)、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolacca americana)、レッドビート(Red beet)、ホウレンソウ(Spinacia
oleracea)等に由来する酵素が挙げられる。
上述した中でもcyclo−DOPA 5−O−グルコシルトランスフェラーゼとしては、以下の(て)、(と)、または(な)の塩基配列でコードされる酵素であることが好ましい。配列番号25はオシロイバナに由来する塩基配列である。
(て)配列番号25で表される塩基配列を有するDNA
(と)配列番号25で表される塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、および/または付加された塩基配列を含み、かつcyclo−DOPA 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(な)配列番号 25で表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件でハイブ
リダイズする塩基配列を含み、かつcyclo−DOPA 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
また、1もしくは数個の塩基が欠失、追加、挿入、および/または置換された塩基配列の作製は、突然変異剤を用いる方法や部位特異的変異法等の通常の変異操作によって得ることができる。これらは、例えばDiversify PCR Random Mutagenesis Kit(Clontech)やQuickChange Lightning Site−Directed Mutagenesis Kit(Agilent Technologies)等の市販キットで容易に行うことができる。
また、上述のcyclo−DOPA 5−O−グルコシルトランスフェラーゼをアミノ酸配列で規定すると、以下の(に)、(ぬ)、または(ね)のアミノ酸配列を有するポリペプチドが好ましく、以下の(に)、(ぬ)、または(ね)のアミノ酸配列からなるポリペプチドがより好ましい。配列番号26はオシロイバナに由来するアミノ酸配列である。
(に)配列番号26で表されるアミノ酸配列
(ぬ)配列番号26で表されるアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸が置換、欠失、および/または付加されたアミノ酸配列を含み、かつcyclo−DOPA 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列
(ね)配列番号26で表されるアミノ酸配列の60%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつcyclo−DOPA 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列
また、前記(ね)に記載の通り、cyclo−DOPA 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を保持する限り、配列番号26に示されるアミノ酸配列全長と少なくとも60%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の配列同一性を有するタンパク質であってもよい。
上記に例示したように、自然界に存在する生物のゲノム情報に基づく塩基配列、またはそのホモログを用いることもできるが、各々の遺伝子は、必要に応じて宿主微生物のコドン使用頻度にあわせて塩基配列を最適化することができる。
即ち、酵母を宿主微生物とする場合は配列番号25の塩基配列に対してコドン最適化を実施して得られた以下の(の)、(は)、または(ひ)の塩基配列でコードされる酵素であることがより好ましい。
(の) 配列番号27で表される塩基配列を有するDNA
(は)配列番号27で表される塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、および/または付加された塩基配列を含み、かつcyclo−DOPA 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(ひ)配列番号27で表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつcyclo−DOPA 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
また、上述のcyclo−DOPA 5−O−グルコシルトランスフェラーゼをアミノ酸配列で規定すると、前述の(に)、(ぬ)、(ね)と同様のアミノ酸配列を有するものが好ましく、(に)、(ぬ)、または(ね)のアミノ酸配列からなるものがより好ましい。前記(ね)のアミノ酸配列の配列同一性の好ましい範囲についても、同様に考えることができる。
なお、配列番号25に対して酵母発現用にコドン最適化を行ったものが、配列番号27であるが、これらは、翻訳後のアミノ酸配列としては最適化前後で同一である。つまり、配列番号25、27の塩基配列により規定されるアミノ酸配列は配列番号26である。
ベタニジン 5−O−グルコシルトランスフェラーゼとしては、ベニテングダケ(Aman
ita muscaria)、スギモリケイトウ(Amaranthus cruentus)、ハゲイトウ(Amaranthus tricolor)、テンサイ(Beta vulgaris)、ケイトウ(Celosia argentea)、キヌア(Chenopodium quinoa)、リビングストンデージー(Dorotheanthus bellidiformis)、オシロイバナ(Mirabilis jalapa)、ウチワサボテン(Opuntia ficus)、センニンサボテン(Opuntia stricta)、マツバボタン(Portulaca grandiflora)、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolacca americana)、レッドビート(Red beet)、ホウレンソウ(Spinacia oleracea)等に由来する酵素が挙げられる。
上述した中でもベタニジン 5−O−グルコシルトランスフェラーゼとしては、以下の(ふ)、(へ)、または(ほ)の塩基配列でコードされる酵素であることが好ましい。配列番号28はリビングストンデージーに由来する塩基配列である。
(ふ)配列番号28で表される塩基配列を有するDNA
(へ)配列番号28で表される塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、および/または付加された塩基配列を含み、かつベタニジン 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(ほ)配列番号28で表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつベタニジン 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
また、1もしくは数個の塩基が欠失、追加、挿入、および/または置換された塩基配列の作製は、突然変異剤を用いる方法や部位特異的変異法等の通常の変異操作によって得ることができる。これらは、例えばDiversify PCR Random Mutagenesis Kit(Clontech)やQuickChange Lightning Site−Directed Mutagenesis Kit(Agilent Technologies)等の市販キットで容易に行うことができる。
また、上述のベタニジン 5−O−グルコシルトランスフェラーゼをアミノ酸配列で規定すると、以下の(ま)、(み)、または(む)のアミノ酸配列を有するポリペプチドが好ましく、以下の(ま)、(み)、または(む)のアミノ酸配列からなるポリペプチドがより好ましい。配列番号29はリビングストンデージーに由来するアミノ酸配列である。
(ま)配列番号29で表されるアミノ酸配列
(み)配列番号29で表されるアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸が置換、欠失、および/または付加されたアミノ酸配列を含み、かつcyclo−DOPA 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列
(む)配列番号29で表されるアミノ酸配列の60%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつcyclo−DOPA 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列
また、前記(む)に記載の通り、ベタニジン 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を保持する限り、配列番号29に示されるアミノ酸配列全長と少なくとも60%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の配列同一性を有するタンパク質であってもよい。
上記に例示したように、自然界に存在する生物のゲノム情報に基づく塩基配列、またはそのホモログを用いることもできるが、各々の遺伝子は、必要に応じて宿主微生物のコドン使用頻度にあわせて塩基配列を最適化することができる。
即ち、酵母を宿主微生物とする場合は配列番号28の塩基配列に対してコドン最適化を実施して得られた以下の(め)、(も)、または(や)の塩基配列でコードされる酵素であることがより好ましい。
(め) 配列番号30で表される塩基配列を有するDNA
(も)配列番号30で表される塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、お
よび/または付加された塩基配列を含み、かつベタニジン 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(や)配列番号30で表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつベタニジン 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
また、上述のベタニジン 5−O−グルコシルトランスフェラーゼをアミノ酸配列で規定すると、前述の(ま)、(み)、(む)と同様のアミノ酸配列を有するものが好ましく、(ま)、(み)、または(む)のアミノ酸配列からなるものがより好ましい。前記(む)のアミノ酸配列の配列同一性の好ましい範囲についても、同様に考えることができる。
なお、配列番号28に対して酵母発現用にコドン最適化を行ったものが、配列番号30であるが、これらは、翻訳後のアミノ酸配列としては最適化前後で同一である。つまり、配列番号28、30の塩基配列により規定されるアミノ酸配列は配列番号29である。
ベタニジン 6−O−グルコシルトランスフェラーゼとしては、ベニテングダケ(Amanita muscaria)、スギモリケイトウ(Amaranthus cruentus)、ハゲイトウ(Amaranthus tricolor)、テンサイ(Beta vulgaris)、ケイトウ(Celosia argentea)、キヌア(Chenopodium quinoa)、リビングストンデージー(Dorotheanthus bellidiformis)、オシロイバナ(Mirabilis jalapa)、ウチワサボテン(Opuntia ficus)、センニンサボテン(Opuntia stricta)、マツバボタン(Portulaca grandiflora)、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolacca americana)、レッドビート(Red beet)、ホウレンソウ(Spinacia oleracea)等に由来する酵素が挙げられる。
上述した中でもベタニジン 6−O−グルコシルトランスフェラーゼとしては、以下の(ゆ)、(よ)、または(ら)の塩基配列でコードされる酵素であることが好ましい。配列番号53はリビングストンデージーに由来する塩基配列である。
(ゆ)配列番号53で表される塩基配列を有するDNA
(よ)配列番号53で表される塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、および/または付加された塩基配列を含み、かつベタニジン 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(ら)配列番号53で表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつベタニジン 6−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
また、1もしくは数個の塩基が欠失、追加、挿入、および/または置換された塩基配列の作製は、突然変異・BR>ワを用いる方法や部位特異的変異法等の通常の変異操作によっ
て得ることができる。これらは、例えばDiversify PCR Random Mutagenesis Kit(Clontech)やQuickChange Lightning Site−Directed Mutagenesis Kit(Agilent Technologies)等の市販キットで容易に行うことができる。
また、上述のベタニジン 6−O−グルコシルトランスフェラーゼをアミノ酸配列で規定すると、以下の(り)、(る)、または(れ)のアミノ酸配列を有するポリペプチドが好ましく、以下の(り)、(る)、または(れ)のアミノ酸配列からなるポリペプチドがより好ましい。配列番号54リビングストンデージーに由来するアミノ酸配列である。
(り)配列番号54で表されるアミノ酸配列
(る)配列番号54で表されるアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸が置換、欠失、および/または付加されたアミノ酸配列を含み、かつcyclo−DOPA 6−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列
(れ)配列番号54で表されるアミノ酸配列の60%以上の同一性を有するアミノ酸配
列を有し、かつcyclo−DOPA 6−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列
また、前記(れ)に記載の通り、ベタニジン 6−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を保持する限り、配列番号54に示されるアミノ酸配列全長と少なくとも60%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の配列同一性を有するタンパク質であってもよい。
上記に例示したように、自然界に存在する生物のゲノム情報に基づく塩基配列、またはそのホモログを用いることもできるが、各々の遺伝子は、必要に応じて宿主微生物のコドン使用頻度にあわせて塩基配列を最適化することができる。
即ち、酵母を宿主微生物とする場合は配列番号53の塩基配列に対してコドン最適化を実施して得られた以下の(ろ)、(わ)、または(を)の塩基配列でコードされる酵素であることがより好ましい。
(ろ) 配列番号55で表される塩基配列を有するDNA
(わ)配列番号55で表される塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、および/または付加された塩基配列を含み、かつベタニジン 6−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(を)配列番号55で表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつベタニジン 6−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
また、上述のベタニジン 6−O−グルコシルトランスフェラーゼをアミノ酸配列で規定すると、前述の(り)、(る)、(れ)と同様のアミノ酸配列を有するものが好ましく、(り)、(る)、または(れ)のアミノ酸配列からなるものがより好ましい。前記(れ)のアミノ酸配列の配列同一性の好ましい範囲についても、同様に考えることができる。
なお、配列番号53に対して酵母発現用にコドン最適化を行ったものが、配列番号55であるが、これらは、翻訳後のアミノ酸配列としては最適化前後で同一である。つまり、配列番号53、55の塩基配列により規定されるアミノ酸配列は配列番号54である。
[本発明の微生物の作製方法]
以下、本発明の微生物の作製方法について説明する。
本発明の微生物は、チロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素をコードするDNA(例えば、前記の(A)、(B)、(C)、(G)、(H)、(I)、(J)、(K)、(L)等)、DOPA4,5−ジオキシゲナーゼをコードするDNA(例えば、前記の(M)、(N)、(O)、(S)、(T)、(U)、(V)、(W)、(X)等)を上記宿主微生物に、プラスミドベクターや相同組換えなどを利用した形質転換法等により導入することで得ることができる。
上述のDNAを宿主となる微生物に導入する際、プラスミドベクター上に該DNAを導入しても、染色体(ゲノム)上に該DNAを導入してもよい。宿主微生物が染色体上に該酵素をコードする遺伝子を有する場合は、該遺伝子のプロモーターを強力なプロモーターに置換することによっても本発明で用いる微生物を得ることもできる。宿主微生物の染色体上に該酵素遺伝子がない場合は、該酵素遺伝子を染色体上へ相同組換え法により導入したり、プラスミドベクターにより該酵素遺伝子を導入したりすることもできる。
微生物に該DNAを導入する際には、適当なプロモーターを該遺伝子の5'-側上流に組み込むことが好ましく、加えてターミネーターを3'-側下流にそれぞれ組み込むことがより好ましい。このプロモーター及びターミネーターとしては、宿主として利用する微生物
において機能することが知られているプロモーター及びターミネーターであれば特に限定されず、該酵素遺伝子自身のプロモーター及びターミネーターであってもよいし、他のプロモーター及びターミネーターに置換してもよい。これら各微生物において利用可能なベクター、プロモーター及びターミネーターなどに関しては、例えば「微生物学基礎講座8遺伝子工学・共立出版」などに詳細に記述されている。
なお、DNAの切断、連結、その他、染色体DNAの調製、PCR、プラスミドDNAの調製、形質転換、プライマーとして用いるオリゴヌクレオチドの設定等の方法は、当業者によく知られている通常の方法を採用することができる。これらの方法は、Sambrook, J., Fritsch, E. F., and Maniatis, T., ”Molecular Cloning A Laboratory Manual, Second Edition”, Cold Spring Harbor Laboratory Press, (1989)等に記載されている。
本発明の微生物の好ましい形態として、さらにL−DOPA オキシダーゼをコードするDNA(例えば、前記の(あ)、(い)、(う)、(き)、(く)、(け))、NADPH−Cytochrome P450 レダクターゼをコードするDNA(例えば、前記の(こ)、(さ)、(し)、(た)、(ち)、(つ))、ならびにcyclo−DOPA 5−O−グルコシルトランスフェラーゼをコードするDNA(例えば、前記の(て)、(と)、(な)、(の)、(は)、(ひ))、ベタニジン 5−O−グルコシルトランスフェラーゼをコードするDNA(例えば、前記の(ふ)、(へ)、(ほ)、(め)、(も)、(や))、およびベタニジン 6−O−グルコシルトランスフェラーゼをコードするDNA(例えば、前記の(ゆ)、(よ)、(ら)、(ろ)、(わ)、(を))から選ばれる1以上のDNAを上記宿主微生物に、プラスミドベクターや相同組換えなどを利用した形質転換法等により導入することで得ることができる。
以下、微生物の種類ごとに、該酵素および/または該酵素反応系の活性が付与された微生物を得る方法について説明する。
(大腸菌)
宿主微生物として大腸菌を用いる場合、大腸菌の親株としては、例えば、K12株またはB株、加えてこれらの誘導体を用いることが好ましい。本発明で用いることのできる親株としては、HB101、DH5α、JM109、JM110、BL21(DE3)、TH2、TOP10、及びこれらの改良株が挙げられ、これらの菌株は市販されている。加えて、例えば一遺伝子破壊株であるKEIOコレクションで使用されているBW25113株なども利用可能であり、これらはナショナルバイオリソースプロジェクトより分与が可能である。
大腸菌の組換え方法としては、目的とする遺伝子または配列を含むDNA断片をプラスミドベクターに導入することにより、大腸菌内で前記酵素遺伝子の発現増強が可能な組換えプラスミドベクターを得て、このプラスミドベクターを菌体内へ導入する方法等が挙げられる。
大腸菌に目的とする遺伝子または配列を導入することができるプラスミドベクターとしては、大腸菌内での複製増殖機能を司る遺伝子を少なくとも含むものであれば特に制限されない。プラスミドベクターとしては、例えば、P15A、ColE1(pBR322、pUC)、RSF1030、pSC101、CloDF13などの複製開始点をもつものを好適に用いることができる。
また、プロモーターとしては、大腸菌において機能するものであればいかなるプロモーターであってもよく、導入される遺伝子自身のプロモーターであってもよい。例えば、trpプロモーター、trcプロモーター、PLプロモーター、T5プロモーター、T7プロモーター、lacプロモーター、tacプロモーター及びλPLプロモーター等を用いることができる。
本発明で用いることができるプラスミドベクターは、例えば、pETシリーズ(ノバジェン)、Duet Vectorシリーズ(Novagen)、pDUALシリーズ(ストラタジェン)、pMALシリーズ(NEB)、pGEXシリーズ(GEヘルスケア)、pKK223(GEヘルスケア)pTrcシリーズ(ライフテクノロジーズ)、pUC18、pUC19、pUC118、pUC119(タカラバイオ)等が挙がられる。
また、上記の組換え方法に代えて、あるいは、上記の組換え方法に加えて、公知の相同組換え法によって、前述した外来および内在の遺伝子の一部または全部を導入したり、置換したり、増幅したり、加えて、染色体上へ導入された当該遺伝子のプロモーターへの変異導入、より強力なプロモーターへの置換などによっても高発現株を得ることができる。
(コリネ型細菌)
宿主微生物として、コリネ型細菌(coryneform bacterium)を用いる場合、コリネ型細菌としては、コリネバクテリウム属に属する細菌、ブレビバクテリウム属に属する細菌又はアースロバクター属に属する細菌等が挙げられ、これらのうち、コリネバクテリウム属又はブレビバクテリウム属に属するものが好ましく、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、ブレビバクテリウム・フラバム(Brevibacterium flavum)、ブレビバクテリウム・アンモニアゲネス(Brevibacterium ammoniagenes)又はブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)に属する
細菌がより好ましい。
本発明において用いることのできる親株としては、ブレビバクテリウム・フラバムMJ−233(FERM BP−1497)、同MJ−233 AB−41(FERM BP−
1498)、ブレビバクテリウム・アンモニアゲネス ATCC6872、コリネバクテ
リウム・グルタミカム ATCC13032、ココリネバクテリウム・グルタミカムAT
CC31831、及びブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムATCC13869等が挙げられる。
なお、ブレビバクテリウム・フラバムは、現在、コリネバクテリウム・グルタミカムに分類される場合もあることから(Lielbl, W. et al. International Journal of Systematic Bacteriology, 1991, vol. 41, p255-260)、本発明においては、ブレビバクテリウ
ム・フラバムMJ−233株、及びその変異株MJ−233 AB−41株はそれぞれ、コリネバクテリウム・グルタミカムMJ−233株及びMJ−233 AB−41株と同一の株であるものとする。また、ブレビバクテリウム・フラバムMJ−233は、1975年4月28日に通商産業省工業技術院微生物工業技術研究所(現独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター)(〒305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に受託番号FERMP−3068として寄託され、1981年5月1日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、FERM BP−1497の受託番号で寄託されている。
本発明の方法において親株として用いられる上記の微生物としては、野生株だけでなく、UV照射やNTG処理等の通常の変異処理により得られる変異株、細胞融合もしくは遺伝子組換え法などの遺伝学的手法により誘導される組換え株などのいずれの株であってもよい。
目的とする遺伝子または配列は、以下に示す方法によりコリネ型細菌に導入することができる。
コリネ型細菌に前記遺伝子をプラスミドベクターにより導入する際、利用できるプラスミドベクターの具体例は、例えば、特開平3−210184号公報に記載のプラスミドp
CRY30;特開平2−72876号公報及び米国特許5,185,262号明細書公報に記載のプラスミドpCRY21、pCRY2KE、pCRY2KX、pCRY31、pCRY3KE及びpCRY3KX;特開平1−191686号公報に記載のプラスミドpCRY2およびpCRY3;特開昭58−67679号公報に記載のpAM330;特開昭58−77895号公報に記載のpHM1519;特開昭58−192900号公報に記載のpAJ655、pAJ611及びpAJ1844;特開昭57−134500号公報に記載のpCG1;特開昭58−35197号公報に記載のpCG2;特開昭57−183799号公報に記載のpCG4およびpCG11;Plasmid vol.36(1)p62-66(1996)
に記載のpC2又はその改変プラスミド等を挙げることができる。
また、上記の組換え方法に代えて、あるいは、上記の組換え方法に加えて、公知の相同組換え法によって、前述した外来遺伝子の一部または全部を導入したり、置換したり、増幅したり、加えて、染色体上へ導入された当該遺伝子のプロモーターへの変異導入、より強力なプロモーターへの置換などによっても高発現株を得ることができる。
(酵母)
宿主微生物として、酵母を用いる場合、親株として用いる酵母の種類は特に限定されないが、サッカロミセス属、デバリオマイセス属、シゾサッカロマイセス属、キャンディダ属、ヤロウィア属、ロドトルラ属、リポマイセス属、クルイベロマイセス属、ロドスポリジウム属、トリコデルマ属または、トルロプシス属、ピキア属等に属する酵母を親株として用いることが好ましい。例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・バヤヌス(Saccharomyces bayanus)、デバリオマイセス・ニ
ルソニ(Debaryomyces nilssonii)、デバリオマイセス・ハンセニ(Debaryomyces hansenii)、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、キャンディダ・グラブラータ(Candida glabrata)、キャンディダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、キャンディダ・ユティリス(Candida utilis)、キャンディダ・ボイディニィ(Candida boidinii)、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、ロドトルラ・グ
ルティニス(Rhodotorula glutinis)、リポマイセス・リポフェラス(Lipomyces lipoferus)、クルイベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、ロドスポリジウム
・トルロイディス(Rhodosporidium toruloides)、トリコデルマ・リセイ(Trichoderma
reesei)、トルロプシス・コリキュロサ(Torulopsis colliculosa)、ピキア・ファリ
ノサ(Pichia farinosa)等が挙げられる。これらの中で、代謝工学的手法が用いやすい
ことからサッカロミセス属が最も好ましい。
さらに、サッカロミセス属は、his3、leu2、trp1、ura3などの栄養要求性の遺伝型であることが望ましく、例えば、サッカロミセス・セレビジエYPH499株(MATa ura3 lys2 ade2 trp1 his3 leu2)(ATCC204679:American Type Culture Collection又はSTRATAGENE社より入手できる)、サッカロミセス・セレビジエFY1679−06c株(MATα ura3 leu2 trp1 his3)(Euroscarf社から入手できる)、サッカロミセス・セレビジエBY4741株(MATa,his3Δ1,leu2Δ0,met15Δ0,ura3Δ0)(Yeast 14:115−132(1998)、ATCC201388)なども用いることができる。
目的とする遺伝子または配列は、以下に示す方法により酵母に導入することができる。酵母において外来遺伝子を導入する方法としては、公知の手法を用いることができ、形質転換体において形質転換の目的とした酵素が発現していればよく、遺伝子の導入の方法は限定されない。用いるプラスミドベクターとしては、例えば、後述する3つのプラスミドベクターが挙げられる。(i)酵母に常在する2μmプラスミドの複製配列を利用した多コピーのYEp型ベクターを用いることができる。本発明において酵母に遺伝子を導入す
るために使用できるプラスミドの具体例としては、2μmプラスミド由来のpAUR112ベクター(タカラバイオ社製)やpESCベクター(STRATAGENE社製)、pYESベクター(ライフテクノロジーズ)などが挙げられる。これらのベクターは市販されている。(ii)自立複製配列(ARS)とセントロメア配列(CEN)を利用した低コピー安定型のYCp型ベクターを用いることができる。本発明において用いることのできるプラスミドベクターとしては、例えば、pAUR123(タカラバイオ)等が挙げられる。(iii)染色体組込みを目的とした酵母内では自律複製をしないYIp型のプラスミドを用いることができる。これは、酵母の高い相同組換え能を利用するものであり、染色体ゲノムと相同な配列を両端に置き、選択可能なマーカー遺伝子、プロモーター及びターミネーターに挟まれた形で希望の遺伝子をYIp型のプラスミドに組み込み、これを酵母内に導入することで、外来遺伝子は染色体内に組み込まれ、安定的に外来遺伝子を発現することが期待できる。これは一般的な大腸菌や酵母用のプラスミドを用いて構築することが可能であるほか、PCRや合成DNAを用いて作製することが可能である。
本発明において用いることのできるプロモーターとしては、宿主酵母で機能しうるものであれば特に制限されないが、例えば、PGK遺伝子のプロモーター(3−ホスホグリセラートキナーゼ 1983、Science、219、620-625)、GAPDH(グリセルアルデヒドホ
スフェートデヒドロゲナーゼ 1979、J.Biol.Chem.、254、9839-9845)をコードするTDH遺伝子のプロモーター、TEF1遺伝子(伸長因子1 1985、J.Biol.Chem.、260、3090-3096)のプロモーター、アルコールデヒドロゲナーゼをコードするADH遺伝子のプロモーター、グルコースの存在下に抑制される調節可能なCYC1遺伝子のプロモーター(1981、Proc.Natl.Acad.Sci.、USA、78、2199-2203)、チアミンにより調節され得るPH
O5遺伝子のプロモーター(1982、EMBO J.、1、675-680)、グルコース非存在下でガラ
クトースにより誘導されるGAL1またはGAL10遺伝子のプロモーターなどが挙げられる。
また、上記の組換え方法に代えて、あるいは、上記の組換え方法に加えて、公知の相同組換え法によって、外来および内在遺伝子の一部または全部を導入したり、置換したり、増幅したり、加えて、染色体上へ導入された当該遺伝子のプロモーターへの変異導入、より強力なプロモーターへの置換などによっても高発現株を得ることができる。
なお、酵母の形質転換は、例えば、エレクトロポレーション法(Fromm ME,et al. Nature 1986, 319(6056):791-793)、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法(Ito,H.et al, (1983) J. Bacteriol. 153(1), 163-168)等によって行うことができ、二種以上のプラス
ミドを導入することもできる。また、酵母における遺伝子の発現増強は、公知の相同組換え法によって宿主のゲノム上で該遺伝子を多コピー化させることによって行うこともできる。例えば、ゲノム組込型プラスミドのうち多コピーがゲノムに組み込まれるベクターを用いる方法(Bio/Technol. 1991, 9, 1382-1385)が挙げられる。ゲノム上の各遺伝子を
含む発現単位の挿入箇所は、クロチルアルコールもしくはその異性体の合成関連遺伝子や生育関連遺伝子の発現が阻害されない箇所であれば何れのものでもよい。
[ベタレイン色素の生産方法]
本発明の微生物を用いてベタレイン色素を生産する場合、原料および必要に応じて添加物を含む水性媒体中で、本発明の微生物またはその処理物の存在下ベタレイン色素を生産することができる。ベタレイン色素の生産方法としては、微生物の培養工程、ベタレイン色素を生産する変換工程、ベタレイン色素を回収する回収工程を含む例が挙げられる。
以下、ベタレイン色素の生産に関する個別の特徴について説明する。
(原料)
ベタレイン色素生産の原料としては、チロシン、および/または糖質原料を用いることができる。ここでチロシンとしては、純度90%以上の市販品を好適に用いることができ
る。
糖質原料としては、グルコース、ガラクトース、フルクトース、キシロース、スクロース、マルトース、ラクトース、ラフィノース、サッカロース、デンプン、セルロースなどの炭水化物やグリセリン、マンニトール、リビトール、キシリトールなどのポリアルコール類等の発酵性糖質類等を用いることができ、中でもグルコースが好ましい。
また、ベタシアニン類縁体である式(10)の化合物を生産させる場合は、上記原料に追加してチラミンまたはドーパミンを添加すればよい。チラミンまたはドーパミンの追加方法としては試薬として直接添加するのみならず、予め本製造方法にて用いる微生物に、チロシンからチラミン、L−DOPAからドーパミンへと変換する酵素であるチロシン脱炭酸酵素等を導入することで微生物内にて生産させる、もしくは反応系にチロシン脱炭酸酵素を添加することでチロシンから変換させてもよい。用いる微生物が本来的にチロシン脱炭酸酵素を有している場合は、特に添加する必要はない。
ベタシアニン類縁体である式(11)の化合物を生産させる場合は、上記原料に追加して4−(2−アミノビニル)フェノールまたは4−(2−アミノビニル)ベンゼン−1,2−ジオールを試薬として添加すればよい。
本発明の微生物において、糖質原料からチロシンを合成する代謝フラックスが充分に強くない場合は、原料として糖質原料およびチロシンを用いることが好ましく、特にグルコースおよびチロシンを用いることが好ましい。
一方で、本発明の微生物において、糖質原料からチロシンを合成する代謝フラックスが強い場合は、原料として糖質原料のみを用いることができる。目的とするベタレイン色素の生産プロセスの低コスト化のためには、より安価原料である糖質原料のみを用いることが好ましい。
(添加物)
本発明の微生物が有する酵素活性に応じて、ベタレイン色素を生産するために必要な酵素または該酵素反応で得られるベタレイン色素中間体を添加することができる。例えば、本発明の微生物がチロシナーゼ活性及びDOPA 4,5−ジオキシゲナーゼ活性しか有していない場合であっても、添加物としてCYP76AD3、NADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ、およびcyclo−DOPA 5−O−グルコシルトランスフェラーゼを添加して変換工程を実施することで図7−2の経路でベタシアニン類を生産することができる。または、添加物として前記酵素の代わりに当該酵素反応で得られるベタレイン中間体であるcyclo−DOPA グルコシドを添加して変換工程を実施することで図7−2の経路でベタシアニン類を生産することができる。同様にして、本発明の微生物がチロシナーゼ活性及びDOPA 4,5−ジオキシゲナーゼ活性しか有していない場合であっても、添加物としてCYP76AD3、NADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ、およびベタニジン 5−O−グルコシルトランスフェラーゼを添加して変換工程を実施することで図7−3の経路でベタシアニン類を生産することができる。
(培養工程)
培養工程は、上述のようにして得られた本発明の微生物を水性媒体中で培養する工程である。本工程は、本発明の微生物を培養して増殖させたり、本発明の微生物の状態を調えたりするために行なうものであるので、通常、本工程では、上述した原料のうち、本発明の微生物の生育に必要な原料のみを、具体的には、糖質原料(好ましくはグルコース)のみを用いる。
ただし、ベタレイン色素生産に必要な酵素を何らかの誘導性プロモーター下に配置している場合は、上記プロモーターの種類により適切に選択される誘導剤を培養工程途中に添
加する必要がある。
なお、本発明の微生物が充分な量、存在する場合等は、本工程は省略して、次の変換工程を行なうことができる。
本工程で用いる水性媒体(培地)に特に制限はなく、使用する微生物の種類に応じて適宜設定することができるが、例えば、以下のような条件で行なうことができる。
水性媒体としては、炭素源、窒素源、無機塩及び必要に応じその他の有機微量栄養素を含有する通常の培地を用いることができるが、後述の炭素源等を含む培地や、水、リン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、ほう酸塩、クエン酸塩、トリスなどの緩衝液、メタノール、エタノールなどのアルコール類、酢酸エチルなどのエステル類、アセトンなどのケトン類、アセトアミドなどのアミド類等が挙げられる。
炭素源は、上記微生物が資化しうる炭素源であれば特に限定されないが、例えば、ガラクトース、ラクトース、グルコース、フルクトース、グリセロール、シュークロース、サッカロース、デンプン、セルロース等の炭水化物;グリセリン、マンニトール、キシリトール、リビトール等のポリアルコール類等の発酵性糖質が用いられる。
窒素源としては、例えば、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等のアンモニウム塩の他、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスティープリカー等が用いられる。
無機塩としては、例えば、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム等が用いられる。
また、ビオチン、パントテン酸、イノシトール、ニコチン酸等のビタミン類、ヌクレオチド、アミノ酸などの生育を促進する因子を必要に応じて添加してもよい。
また、培養条件は、用いる微生物の生育が可能であれば特に制限はなく、通常、培養温度10℃〜45℃で12時間〜96時間実施することができる。本発明の微生物が、酵母である場合、水性媒体の温度を、好ましくは16℃以上、より好ましくは20℃以上、また、好ましくは30℃以下、より好ましくは25℃以下とするとベタレイン色素の生産効率が向上する傾向にあり、好ましい。
(変換工程)
変換工程は、本発明の微生物またはその処理物の存在下、水性媒体中で原料をベタレイン色素へと変換する工程である。本工程は、原料をベタレイン色素へと変換することを目的とするものであり、原料としては、上述の糖質原料、および/またはチロシンが用いられる。
また、上述の培養工程で培養された本発明の微生物の菌体を、休止菌体として、当該休止菌体を、本工程において、本発明の微生物として用いることも好ましい。本発明の微生物の菌体を休止菌体とする方法としては、培養工程で得られた培養液から遠心操作等による菌体を回収する方法や、水、または、微生物の生育に必要な炭素源、および窒素源を含有しないバッファー等により洗浄することにより、菌体を回収する方法等が挙げられる。
なお、本発明の微生物が糖質原料からベタレイン色素を合成する代謝経路をすべて有するものである場合は、上述の培養工程と特に区別することなく連続して本工程を実施してもよい。
用いる水性媒体(培地)に特に制限はなく、用いる微生物の種類に応じて適宜設定することができ、前記培養工程に記載したものと同様のものを用いることができる。本工程においては、水性媒体が、アスコルビン酸、UDP−グルコース、銅および鉄からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むものであることが好ましく、アスコルビン酸、UDP−グルコース、銅および鉄を含むことがより好ましい。
また、反応は、用いる微生物の生育が可能な条件、またはベタレイン色素生産のために導入した酵素が完全に酵素活性を失わない条件であれば特に制限はなく、通常、反応温度10℃〜45℃で12時間〜96時間実施する。本発明の微生物が、酵母である場合、水性媒体の温度を、好ましくは16℃以上、より好ましくは20℃以上、また、好ましくは30℃以下、より好ましくは25℃以下とするとベタレイン色素の生産効率が向上する傾向にあり、好ましい。
(回収工程)
上述の変換工程の後に、必要に応じて、水性媒体からベタレイン色素を回収する工程を有することが好ましい。
周知の方法、例えば、有機溶媒を用いる抽出、蒸留、カラムクロマトグラフィーなどにより、水性媒体または菌体内から回収することができ、必要に応じてさらに精製することができる。
[ベタレイン色素]
本発明の微生物を用いれば種々のベタレイン色素を生産することができる。ベタレイン色素はベタキサンチンとベタシアニン類に大別することができる。
ベタキサンチンは、ベタラミン酸に、アミノ酸またはアミンがイミン結合した化合物群の総称であり、その構造は、以下の式(5)または式(6)として表される。
Figure 2015192669
Figure 2015192669
式(5)、(6)においてR、RおよびRは、水素原子、炭素数1〜40の直鎖または分岐鎖または環状の飽和もしくは不飽和炭化水素基からなる群から選択される1種である。ただし該炭化水素基の水素原子の一部または全部は、ハロゲン原子、アシル基、アミド基、アミノ基、アルコキシ基、アルデヒド基、イミダゾール基、インドール基、オキソ基、カルボキシル基、グアニジノ基、シアノ基、スルホ基、チオール基、ニトロ基、ヒドロキシル基およびフェニル基からなる群から選択される少なくとも一種で置換されて
いてもよく、該炭化水素基は、イミニウムの窒素を含有する形で環を形成していてもよい。さらに該イミダゾール基、該インドール基および該フェニル基の芳香環の一部または全部は、上記と同様の置換基群から選択される少なくとも一種にて置換されていてもよい。また、該炭化水素基の炭素原子の一部は、硫黄原子、酸素原子、窒素原子、リン原子から選択される少なくとも一種で置換されていてもよい。
例えば、Rが水素原子、Rが炭素数3の直鎖炭化水素基であり、イミニウムの窒素を含有する形で環を形成する化合物は、プロリン−ベタキサンチンである。また、Rが水素原子、Rが炭素数3の直鎖炭化水素基であり、該炭化水素基の末端の水素原子の一つがグアニジノ基で置換された化合物は、アルギニン−ベタキサンチンである。Rが水素原子、Rが炭素数1の炭化水素基であり、該炭化水素基の水素原子の一つがイミダゾール基で置換された化合物は、ヒスチジン−ベタキサンチンである。Rが水素原子、Rが炭素数4の直鎖炭化水素基であり、該炭化水素基の末端から2番目の炭素原子が硫黄原子に置換された化合物は、メチオニン−ベタキサンチンである。Rが水素原子、Rが炭素数1の炭化水素基であり、該炭化水素基の水素原子の一つがインドール基で置換された化合物は、トリプトファン−ベタキサンチンである。Rが水素原子、Rが炭素数1の炭化水素基であり、該炭化水素基の水素原子の一つがフェニル基で置換され、さらに該フェニル基のパラ位の水素原子がヒドロキシル基で置換された化合物は、チロシン−ベタキサンチンである。
生産可能なベタキサンチンとしては、公知のベタキサンチンはもちろん、原料として、任意の非天然型アミノ酸を用いれば、非天然型のアミノ酸が付加されたベタキサンチンを製造することができる。このような非天然型のアミノ酸が付加されたベタキサンチンとしては、例えば、以下の式(7)で表されるものが挙げられる。
Figure 2015192669
式(7)において、Rは、炭素数1〜40の直鎖または分岐鎖または環状の飽和もしくは不飽和炭化水素基からなる群から選択される1種である。ただし該炭化水素基の水素原子の一部または全部は、ハロゲン原子、アシル基、アミド基、アミノ基、アルコキシ基、アルデヒド基、イミダゾール基、インドール基、オキソ基、カルボキシル基、グアニジノ基、シアノ基、スルホ基、チオール基、ニトロ基、ヒドロキシル基およびフェニル基からなる群から選択される少なくとも一種で置換されていてもよく、該炭化水素基は、イミニウムの窒素を含有する形で環を形成していてもよい。さらに、該イミダゾール基、該インドール基および該フェニル基の芳香環の一部または全部は、上記と同様の置換基群から選択される少なくとも一種にて置換されていてもよい。さらに該炭化水素基の炭素原子の一部は、硫黄原子、酸素原子、窒素原子、リン原子から選択される少なくとも一種で置換されていてもよい。
式(7)において、Rが、直鎖または分岐鎖のアルキル基である場合、その炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。この場合、Rが、エチ
ル基、プロピル基、およびイソブチル基からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが特に好ましい。
式(7)において、Rが、直鎖または分岐鎖のアルケニル基である場合、その炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。この場合、Rが、アリル基、1−ブテニル基、および2−ブテニル基からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが特に好ましい。
式(7)において、Rが、直鎖または分岐鎖のアルキニル基である場合、その炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。この場合、Rが、エチニル基、1−ブチニル基、および2−ブチニル基からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが特に好ましい。
式(7)において、Rが、直鎖または分岐鎖のアリール基である場合、その炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。この場合、Rが、ベンジル基、トリル基、およびフェネシル基からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが特に好ましい。
前記式(7)で表される化合物は、強力な抗酸化活性を有するという性質を生かし、抗酸化剤等に好適に用いることができる。
一方、ベタシアニンとは、ベタニジンのフェノール性水酸基に糖類がグリコシド結合した化合物群の総称であり、その構造は以下の式(8)で表される。
Figure 2015192669
式(8)において、RおよびRのうちどちらかは水素原子であり、もう一方は式(9)で表される糖鎖である。
Figure 2015192669
式(9)においてRは、水素原子、炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和炭化水素基からなる群から選択される1種である。ただし該炭化水素基の水素原子の一部または全部は、ハロゲン原子、アシル基、アミド基、アミノ基、アルコキシ基、アルデヒド基、イミダゾール基、インドール基、オキソ基、カルボキシル基、グアニジノ基、シアノ基、スルホ基、チオール基、ニトロ基、ヒドロキシル基およびフェニル基からなる群から選択される少なくとも一種で置換されていてもよい。また、該イミダゾール基、該インドール基および該フェニル基の芳香環の一部または全部は、上記と同様の置換基群から選択される少なくとも一種にて置換されていてもよい。さらに該炭化水素基の炭素
原子の一部は、硫黄原子、酸素原子、窒素原子、リン原子から選択される少なくとも一種で置換されていてもよい。
式(9)においてRは、水素原子またはグリコシル基からなる群から選択される1種である。ただし、該グリコシル基の水素原子の一部または全部は、炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和炭化水素基からなる群から選択される1種で置換されていてもよい。ただし該炭化水素基の水素原子の一部または全部は、ハロゲン原子、アシル基、アミド基、アミノ基、アルコキシ基、アルデヒド基、イミダゾール基、インドール基、オキソ基、カルボキシル基、グアニジノ基、シアノ基、スルホ基、チオール基、ニトロ基、ヒドロキシル基およびフェニル基からなる群から選択される少なくとも一種で置換されていてもよい。また、該イミダゾール基、該インドール基および該フェニル基の芳香環の一部または全部は、上記と同様の置換基群から選択される少なくとも一種にて置換されていてもよい。さらに該炭化水素基の炭素原子の一部は、硫黄原子、酸素原子、窒素原子、リン原子から選択される少なくとも一種で置換されていてもよい。
例えば、Rが水素原子、RがR、Rが水素であるグルコース鎖である場合は、ベタニンである。Rが水素原子、RがR、Rが水素であるグルコース鎖である場合は、ゴンフレニンIである。
さらに、本明細書においては、ベタシアニン類は上記のベタシアニンの類縁体も含む概念であり、例えば式(8)で、2位のカルボキシル基が脱離した式(10)で表される構造の化合物や、14、15位の炭素間が不飽和化された式(11)で表される構造の化合物などもベタシアニン類である。ここでR、Rの定義は上述と同様である。
Figure 2015192669
Figure 2015192669
生産可能なベタシアニン類としては、ベタニン、ゴンフレニンIといった天然に存在するベタシアニンはもちろん、付加させる糖の種類を変えることで非天然型のベタシアニン類を製造することもできる。例えば、糖供与体として、UDP−ガラクトースを用いれば
、ベタニジンにガラクトースが付加した式(12)に表される非天然型ベタシアニン類が製造できる。同様に、糖供与体として、UDP−N−アセチルグルコサミン、UDP−N−アセチルガラクトサミン、UDP−グルクロン酸、UDP−イズロン酸、UDP−キシロース、GDP−マンノース、GDP−フコース等を用いれば、UDPやGDPに結合した糖がベタニジンに付加した非天然型ベタシアニン類を製造することができる。これら化合物は強力な抗酸化活性を有することから、抗酸化剤等に好適に利用することができる。
Figure 2015192669
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]チロシナーゼ活性、およびDOPA 4,5−ジオキシゲナーゼ活性を有
する大腸菌の作製
(1)大腸菌用チロシナーゼ(TYR)発現プラスミドの構築
Ralstonia solanacearum GMI100由来のチロシナーゼ(以下、RSTYRと称する。)の遺伝子配列情報をNational Center for Biotechnology Information(NCBI)から得て、遺伝子合成により大腸菌のコドン頻度に最適化した。得られた最適化された遺伝子断片の全遺伝子配列を、配列番号8に示す。配列番号8の遺伝子断片を、pUC57ベクター(GenScript社)のEcoRVサイトに挿入したプラスミドを作製した。得られたプラスミドを鋳型として、5’末端に制限酵素NdeIサイトを、3’末端に制限酵素KpnIサイトを付加したプライマー(配列番号31、32)を用いたPCRにより各遺伝子断片を得た。
PCR反応液組成: 鋳型DNA 2μl、PrimeSTAR(R) HS DNA
Polymerase(タカラバイオ株式会社製) 0.5μl、5×PrimeSTAR Buffer 10μl、2.5mM dNTP Mixture 4μl、2μM各々プライマー 5μl、滅菌水24μl(これらを混合して全量50μlとした。)反応温度条件: TaKaRa PCR Thermal Cylcer Dice Touch (型式TP350)を用い、98℃で10秒、55℃で5秒、72℃で1分30秒からなるサイクルを30回繰り返した。ただし、1サイクル目の98℃での保温は1分10秒とした。
PCRの増幅産物の確認は、1%アガロース(アガロース−RE:ナカライテスク株式会社)ゲル電気泳動により分離後、臭化エチジウム染色により可視化することにより行い、約1.5kbの断片を検出した。ゲルからの目的断片の回収はWizard(R) SV Gel and PCR Clean−UP System (Promega製)を用いて行った。得られたチロシナーゼのPCR断片を、それぞれ、Zero Blunt(R) TOPO(R) PCR Cloning Kit (invitorge製)を用いてpCRTM−Blunt II−TOPO(R)ベクター (invitorgen製)に連結した後、得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換
した。このようにして得られた組み換え大腸菌を50μg/ml カナマイシンを含むLB寒天培地に塗抹した。この培地上でコロニーを形成したクローンを、50μg/ml カナマイシンを含むLB液体培地を用いて液体培養した後、得られた菌体からGenEluteTM HP Plasmid Miniprep Kit (SIGMA−ALDRICH製)を用いてプラスミドDNAを抽出した。得られたプラスミドDNAを、RSTYR/pCR−bluntIIと命名した。
次に、上記RSTYR/pCR−bluntIIを、NdeIおよびKpnIにて制限酵素処理した後、1%アガロース(アガロース−RE:ナカライテスク株式会社)ゲル電気泳動により分離した。分離されたRSTYR由来の約1.5kb遺伝子断片を、Wizard(R) SV Gel and PCR Clean−UP System(Promega製)を用いて回収した。
大腸菌用発現ベクターpETDuet−1(Novagen製)についても、同様の方法で制限酵素処理、および分離を行ない、約5.4kbの遺伝子断片を回収した。
次いで、上記で得られた、チロシナーゼ遺伝子断片と、大腸菌発現ベクターpETDuet−1とをLigation high Ver.2(TOYOBO製)を用いて連結した。得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換した。
このようにして得られた組み換え大腸菌を100μg/ml アンピシリンを含むLB寒天培地に塗抹した。この培地上でコロニーを形成したクローンを、100μg/ml アンピシリンを含むLB液体培地を用いて液体培養した後、得られた菌体からGenEluteTM HP Plasmid Miniprep Kit (SIGMA−ALDRICH製)を用いてプラスミドDNAを抽出した。得られたプラスミドDNAを、RSTYR/pETDuet−1と命名した。
(2)大腸菌用DOPA 4,5−ジオキシゲナーゼ(DOD)発現プラスミドの構築
オシロイバナ(Mirabilis jalapa)由来のDOPA 4,5−ジオキシゲナーゼ (以下、「MjDOD」と称する。) 遺伝子配列情報1種類をNCBIから得て、遺伝子合成により大腸菌のコドン頻度に最適化した。最適化したMjDODの全遺伝子配列を配列番号14に示す。配列番号14に記載の配列を、pUC57ベクター (GenScript社)のEcoRVサイトに挿入した。得られたプラスミドを鋳型として、5’末端に制限酵素NdeIサイトを、3’末端に制限酵素KpnIサイトを付加したプライマー(配列番号41、および42) を用いたPCRにより遺伝子断片を得た。
PCR反応液組成: 鋳型DNA 2μl、PrimeSTAR(R) HS DNA
Polymerase (タカラバイオ株式会社製) 0.5μl、5×PrimeSTAR Buffer 10μl、2.5mM dNTP Mixture 4μl、2μM各々プライマー 5μl、滅菌水24μl(これらを混合して全量50μlとした。)
反応温度条件: TaKaRa PCR Thermal Cylcer Dice Touch (型式TP350)を用い、98℃で10秒、55℃で5秒、72℃で1分からなるサイクルを30回繰り返した。ただし、1サイクル目の98℃での保温は1分10秒とした。
増幅産物の確認、およびゲルからの目的断片の回収は、前記「(1)大腸菌用チロシナーゼ発現プラスミドの構築」に記載の方法と同様にして行い、約0.8kbのMjDOD由来遺伝子断片を検出し、回収した。
得られたMjDODのPCR断片をZero Blunt(R) TOPO(R)
CR Cloning Kit (invitrogen製)を用いてpCRTM−Blunt II−TOPO(R)ベクター (invitorgen製)に連結した後、得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換した。
このようにして得られた組み換え大腸菌を50μg/ml カナマイシンを含むLB寒天培地に塗抹した。この培地上でコロニーを形成したクローンを、50μg/ml カナマイシンを含むLB液体培地を用いて液体培養した後、得られた菌体からGenEluteTM HP Plasmid Miniprep Kit (SIGMA−ALDRICH製)を用いてプラスミドDNAを抽出した。ここで得られたプラスミドDNAをMjDOD/pCR−bluntIIと命名した。
次に、上記MjDOD/pCR−bluntIIを、NdeIおよびKpnIにて制限酵素処理した後、1%アガロースゲル電気泳動により分離し、約0.8kb遺伝子断片をWizard(R) SV Gel and PCR Clean−UP System
(Promega製)を用いて回収した。
pETDuet−1ベクターと共存可能な大腸菌発現ベクターであるpRSFDuet−1(Novagen製)についてもNdeIおよびKpnIにて制限酵素処理した後、同様の方法で分離し、約3.8kbの遺伝子断片を回収した。
Ligation high Ver.2(TOYOBO製)を用いて、上記のMjDOD遺伝子断片と大腸菌発現ベクターpRSFDuet−1とを連結した。得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換した。
このようにして得られた組み換え大腸菌を50μg/ml カナマイシンを含むLB寒天培地に塗抹した。この培地上でコロニーを形成したクローンを、50μg/ml カナマイシンを含むLB液体培地を用いて液体培養した後、得られた菌体からGenEluteTM HP Plasmid Miniprep Kit (SIGMA−ALDRICH製)を用いてプラスミドDNAを抽出した。得られたプラスミドDNAをMjDOD/pRSFDuet−1と命名した。
(3)大腸菌用チロシナーゼ、DOPA 4,5−ジオキシゲナーゼ(DOD)共発現プラスミドの構築上記pUC57に挿入された大腸菌用コドン最適化済みMjDOD遺伝子断片を鋳型として、5’末端に制限酵素EcoRIサイトを、3’末端に制限酵素HindIIIサイトを付加した、以下のプライマーを用いたPCRにより遺伝子断片を得た。
MjDOD遺伝子増幅用プライマー:配列番号43、44
PCR反応液組成、反応温度条件は(2)大腸菌用DOPA 4,5−ジオキシゲナーゼ(DOD)発現プラスミドの構築の記載と同様である。得られた遺伝子断片をpCRTM−Blunt II−TOPO(R)ベクター (invitorgen製)に連結した後、得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換した。このようにして得られた組み換え大腸菌を50μg/ml カナマイシンを含むLB寒天培地に塗抹した。この培地上でコロニーを形成したクローンを、50μg/ml カナマイシンを含むLB液体培地を用いて液体培養した後、得られた菌体からGenEluteTM HP Plasmid Miniprep Kit(SIGMA−ALDRICH製)を用いてプラスミドDNAを抽出した。得られたプラスミドDNAをMjDOD/pCR−bluntII−2と命名した。
次に、上記MjDOD/pCR−bluntII−2および先に(1)大腸菌用チロシナーゼ発現プラスミドの構築にて記載のRSTYR/pETDuet−1をEcoRIおよびHindIIIにて制限酵素処理した後、1%アガロース(アガロース−RE:ナカ
ライテスク株式会社)ゲル電気泳動により分離した。MjDOD由来約0.8kb遺伝子断片とRSTYR/pETDuet−1由来約6.9kb遺伝子断片をLigation
high Ver.2(TOYOBO製)を用いて連結した。得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換した。このようにして得られた組み換え大腸菌を100μg/ml アンピシリンを含むLB寒天培地に塗抹した。この培地上でコロニーを形成したクローンを、100μg/ml アンピシリンを含むLB液体培地を用いて液体培養した後、得られた菌体からGenEluteTM HP Plasmid Miniprep Kit(SIGMA−ALDRICH製)を用いてプラスミドDNAを抽出した。得られたプラスミドDNAをRSTYR+MjDOD/pETDuet−1と命名した。
(4)チロシナーゼおよびDOPA 4,5−ジオキシゲナーゼ共発現大腸菌株の作製
上記(1)および(2)で作製したRSTYR/pETDuet−1およびMjDOD/pRSFDuet−1の混合プラスミドで、それぞれ、大腸菌(BL21 StarTM(DE3)株)を形質転換した。得られた組換え大腸菌を100μg/ml アンピシリンおよび50μg/ml カナマイシンを含むLB寒天培地に塗抹した。この培地上でコロニーを形成したクローンを、E.coli(BL21)/RSTYR/MjDODと命名し、ベタレイン色素生産大腸菌株として以下のベタレイン色素生産試験に用いた。
(5)チロシナーゼおよびDOPA 4,5−ジオキシゲナーゼ共発現チロシン生産大腸菌株の作製
上記(3)で得られたRSTYR+MjDOD/pETDuet−1を用いて、芳香族アミノ酸生合成に関与する遺伝子の転写制御因子であるtyrRの遺伝子破壊およびチロシンによるフィードバック阻害に耐性を有するコリスミ酸ムターゼ/プレフェン酸デヒドロゲナーゼ(TyrAfbr)、フェニルアラニンによるフィードバック阻害に耐性を有するDAHP合成酵素(AroGfbr)の増強により育種したチロシン生産大腸菌E.coli (BL21)ΔtyrR::Kan /TyrAfbr+AroGfbrを形質転換した。なお、TyrAfbrは、大腸菌由来の野生型酵素TyrAのアミノ酸配列53番目のメチオニンをイソロイシン、354番目のアラニンをバリンに置換して得た。AroGfbrは、大腸菌由来の野生型酵素AroGのアミノ酸配列146番目のアスパラギン酸をアスパラギンに置換して得た。得られた組換え大腸菌を100μg/ml アンピシリンおよび50μg/ml カナマイシン、50μg/mlストレプトマイシンを含むLB寒天培地に塗抹した。この培地上でコロニーを形成したクローンを、E.coli(BL21)ΔtyrR::Kan/TyrAfbr+AroGfbr/RSTYR+MjDODと命名し、ベタレイン色素生産株として以下の糖質を原料としたベタレイン色素生産試験に用いた。
[実施例2]チロシナーゼ活性、およびDOPA 4,5−ジオキシゲナーゼ活性を有
する酵母の作製
(1)酵母用チロシナーゼ(TYR)発現プラスミドの構築
Ralstonia solanacearum GMI1000由来のチロシナーゼ(以下、RSTYRと称する)の遺伝子配列情報をNational Center for Biotechnology Information(NCBI)から得て、遺伝子合成により酵母のコドン頻度に最適化した。得られた最適化された遺伝子断片の全遺伝子配列(yRSTYR)を、それぞれ、配列番号11に示す。配列番号11の遺伝子断片を、pUC57ベクター(GenScript社)のEcoRVサイトに挿入したプラスミドを作製した。得られたプラスミドを鋳型として、5’末端に制限酵素BamHIサイトを、3’末端に制限酵素HindIIIサイトを付加した、以下のプライマーを用いたPCRにより各遺伝子断片を得た。
yRSTYR遺伝子増幅用プライマー: 配列番号33、34
PCRの反応液組成および反応温度条件は、前記「(1)大腸菌用チロシナーゼ発現プラスミドの構築」記載の方法と同様にして行った。
PCRの増幅産物の確認は、前記「(1)大腸菌用チロシナーゼ発現プラスミドの構築」記載の方法と同様にして行い、約1.5kbの断片を検出した。ゲルからの目的断片の回収はWizard(R) SV Gel and PCR Clean−UP System(Promega製)を用いて行った。
得られたチロシナーゼのPCR断片を、Zero Blunt(R) TOPO(R)
PCR Cloning Kit(invitorgen製)を用いてpCRTM−Blunt II−TOPO(R)ベクター(invitorgen製)に連結した後、得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換した。このようにして得られた組み換え大腸菌を50μg/ml カナマイシンを含むLB寒天培地に塗抹した。この培地上でコロニーを形成したクローンを、50μg/ml カナマイシンを含むLB液体培地を用いて液体培養した後、得られた菌体からGenEluteTM HP Plasmid Miniprep Kit(SIGMA−ALDRICH製)を用いてプラスミドDNAを抽出した。得られたプラスミドDNAを、yRSTYR/pCR−bluntIIと命名した。
次に、上記yRSTYR/pCR−bluntIIを、BamHIおよびHindIIIにて制限酵素処理した後、1%アガロース(アガロース−RE:ナカライテスク株式会社)ゲル電気泳動により分離した。分離されたyBMTYR由来の約0.9kb遺伝子断片、yRSTYR由来の約1.5kb遺伝子断片をWizard(R) SV Gel and PCR Clean−UP System(Promega製)を用いて回収した。
酵母用発現ベクターpESC−LEU(Stratagene製)についても、同様の方法で制限酵素処理、および分離を行ない、約7.8kbの遺伝子断片を回収した。
次いで、上記で得られた、それぞれのチロシナーゼ遺伝子断片と、酵母発現ベクターpESC−LEUとをLigation high Ver.2(TOYOBO製)を用いて連結した。得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換した。
このようにして得られた組み換え大腸菌を100μg/ml アンピシリンを含むLB寒天培地に塗抹した。この培地上でコロニーを形成したクローンを、100μg/ml アンピシリンを含むLB液体培地を用いて液体培養した後、得られた菌体からGenEluteTM HP Plasmid Miniprep Kit(SIGMA−ALDRICH製)を用いてプラスミドDNAを抽出した。得られたプラスミドDNAを、yRSTYR/pESC−LEUと命名した。
(2)酵母用DOPA 4,5−ジオキシゲナーゼ(DOD)発現プラスミドの構築
オシロイバナ(Mirabilis jalapa)由来のDOPA 4,5−ジオキシゲナーゼ (以下、「MjDOD」と称する。) 遺伝子配列情報1種類をNCBIから得て、遺伝子合成により酵母のコドン頻度に最適化した。最適化したMjDODの全遺伝子配列(yMjDOD)を配列番号15に示す。配列番号15に記載の配列を、pUC57ベクター(GenScript社)のEcoRVサイトに挿入した。得られたプラスミドを鋳型として、5’末端に制限酵素BamHIサイトを、3’末端に制限酵素HindIIIサイトを付加したプライマー(配列番号35、および36) を用いたPCRにより遺伝子断片を得た。
PCR反応液組成、反応温度条件は前記「(2)大腸菌用DOPA 4,5−ジオキシゲナーゼ(DOD)発現プラスミドの構築」記載の方法と同様にして行った。
増幅産物の確認、およびゲルからの目的断片の回収は、前記「(1)酵母用チロシナー
ゼ発現プラスミドの構築」に記載の方法と同様にして行い、約0.8kbのyMjDOD由来遺伝子断片を検出し、回収した。
得られたyMjDODのPCR断片をZero Blunt(R) TOPO(R) PCR Cloning Kit(invitrogen製)を用いてpCRTM−Blunt II−TOPO(R)ベクター (invitorgen製)に連結した後、得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換した。
このようにして得られた組み換え大腸菌を50μg/ml カナマイシンを含むLB寒天培地に塗抹した。この培地上でコロニーを形成したクローンを、50μg/ml カナマイシンを含むLB液体培地を用いて液体培養した後、得られた菌体からGenEluteTM HP Plasmid Miniprep Kit(SIGMA−ALDRICH製)を用いてプラスミドDNAを抽出した。ここで得られたプラスミドDNAをyMjDOD/pCR−bluntIIと命名した。
次に、上記yMjDOD/pCR−bluntIIを、BamHIおよびHindIIIにて制限酵素処理した後、1%アガロースゲル電気泳動により分離し、約0.8kb遺伝子断片をWizard(R) SV Gel and PCR Clean−UP System(Promega製)を用いて回収した。
pESC−LEUベクターと共存可能な酵母発現ベクターであるpESC−URA(Stratagene製)についてもBamHIおよびHindIIIにて制限酵素処理した後、同様の方法で分離し、約6.6kbの遺伝子断片を回収した。
Ligation high Ver.2(TOYOBO製)を用いて、上記のyMjDOD遺伝子断片と酵母発現ベクターpESC−URAとを連結した。得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換した。
このようにして得られた組み換え大腸菌を100μg/ml アンピシリンを含むLB寒天培地に塗抹した。この培地上でコロニーを形成したクローンを、100μg/ml アンピシリンを含むLB液体培地を用いて液体培養した後、得られた菌体からGenEluteTM HP Plasmid Miniprep Kit(SIGMA−ALDRICH製)を用いてプラスミドDNAを抽出した。得られたプラスミドDNAをyMjDOD/pESC−URAと命名した。
(3)チロシナーゼおよびDOPA 4,5−ジオキシゲナーゼ共発現酵母株の作製
上記(1)および(2)で作製した、yRSTYR/pESC−LEUおよびyMjDOD/pESC−URAの混合プラスミドで、サッカロミセス・セレビジエYPH500株(MATα ura3 lys2 ade2 trp1 his3 leu2)(Stratagene社)を酢酸リチウム法(Ito,H.et al, (1983) J. Bacteriol. 153(1), 163-168)、もしくはエレクトロポレーション法(Fromm ME,et al.,(1986) Nature 319(6056):791-793)で形質転換した。得られた組換え酵母をYeast Synthetic
Drop−out Medium Supplements without histidine,leucine,tryptophan and uracil(SIGMA−ALDRICH社)および20mg/Lトリプトファン、20mg/Lのヒスチジンを含有するSD寒天培地(0.67% Yeast Nitrogen Base w/o Amino Acids(Difco社)、2% グルコース、2% 寒天)に塗抹した。この培地上でコロニーを形成したクローンを、YPH500/RSTYR/MjDODと命名し、ベタレイン色素生産酵母株として以下のベタレイン色素生産試験に用いた。
[実施例3]チロシナーゼ活性、DOPA 4,5−ジオキシゲナーゼ活性、CYP7
6AD3活性、NADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ(ATR1
)活性およびベタニジン 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有する酵母の作製
(1)酵母用CYP76AD3発現プラスミドの構築
オシロイバナ(Mirabilis jalapa)由来のCYP76AD3の遺伝子配列情報1種類をNCBIから得て、遺伝子合成により酵母のコドン頻度に最適化した。最適化したCYP76AD3の全遺伝子配列(yCYP76AD3)を配列番号18に示す。配列番号18に記載の配列を、pUC57ベクター(GenScript社)のEcoRVサイトに挿入した。得られたプラスミドを鋳型として、5’末端に制限酵素EcoRIサイトを、3’末端に制限酵素SacIサイトを付加したプライマー(配列番号37、および38) を用いたPCRにより遺伝子断片を得た。
反応液組成: 鋳型DNA 2μl、PrimeSTAR(R) HS DNA Polymerase(タカラバイオ株式会社製) 0.5μl、5×PrimeSTAR Buffer 10μl、2.5mM dNTP Mixture 4μl、2μM各々プライマー 5μl、滅菌水24μl(これらを混合して全量50μlとした。)
反応温度条件: TaKaRa PCR Thermal Cycler Dice Touch (型式TP350)を用い、98℃で10秒、55℃で5秒、72℃で1分30秒からなるサイクルを30回繰り返した。ただし、1サイクル目の98℃での保温は1分10秒とした。
増幅産物の確認、およびゲルからの目的断片の回収は、前記「(1)酵母用チロシナーゼ発現プラスミドの構築」に記載の方法と同様にして行い、約1.5kbのyCYP76AD3由来遺伝子断片を検出し、回収した。
得られたyCYP76AD3のPCR断片をZero Blunt(R) TOPO(R) PCR Cloning Kit(invitrogen製)を用いてpCRTM−Blunt II−TOPO(R)ベクター (invitorgen製)に連結した後、得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換した。
このようにして得られた組み換え大腸菌を50μg/ml カナマイシンを含むLB寒天培地に塗抹した。この培地上でコロニーを形成したクローンを、50μg/ml カナマイシンを含むLB液体培地を用いて液体培養した後、得られた菌体からGenEluteTM HP Plasmid Miniprep Kit(SIGMA−ALDRICH製)を用いてプラスミドDNAを抽出した。ここで得られたプラスミドDNAをyCYP76AD3/pCR−bluntIIと命名した。
次に、上記yCYP76AD3/pCR−bluntIIを、EcoRIおよびSacIにて制限酵素処理した後、1%アガロースゲル電気泳動により分離し、約1.5kb遺伝子断片をWizard(R) SV Gel and PCR Clean−UP System(Promega製)を用いて回収した。
pESC−LEUベクター、pESC−URAベクターと共存可能な酵母発現ベクターであるpESC−HIS(Stratagene製)についてもEcoRIおよびSacIにて制限酵素処理した後、同様の方法で分離し、約6.7kbの遺伝子断片を回収した。
Ligation high Ver.2(TOYOBO製)を用いて、上記のyCYP76AD3遺伝子断片と酵母発現ベクターpESC−HISとを連結した。得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換した。
このようにして得られた組み換え大腸菌を100μg/ml アンピシリンを含むLB寒天培地に塗抹した。この培地上でコロニーを形成したクローンを、100μg/ml
アンピシリンを含むLB液体培地を用いて液体培養した後、得られた菌体からGenEluteTM HP Plasmid Miniprep Kit(SIGMA−ALDRICH製)を用いてプラスミドDNAを抽出した。得られたプラスミドDNAをyCYP76AD3/pESC−HISと命名した。
(2)酵母用CYP76AD3、NADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ(ATR1)共発現プラスミドの構築
シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)由来の2種類のNADPH−Cytochrome P450 レダクターゼAtATR1の遺伝子配列情報をそれぞれNCBIから得て、遺伝子合成により酵母のコドン頻度に最適化した。最適化したAtATR1の全遺伝子配列(yAtATR1)を配列番号23に示す。配列番号23に記載の配列を、各々pUC57ベクター(GenScript社)のEcoRVサイトに挿入した。得られたプラスミドを鋳型として、5’末端に制限酵素BamHIサイトを、3’末端に制限酵素SalIサイトを付加したプライマー(配列番号39、40)を用いたPCRにより遺伝子断片を得た。
反応液組成: 鋳型DNA 2μl、PrimeSTAR(R) HS DNA Polymerase(タカラバイオ株式会社製) 0.5μl、5×PrimeSTAR Buffer 10μl、2.5mM dNTP Mixture 4μl、2μM各々プライマー 5μl、滅菌水24μl(これらを混合して全量50μlとした。)
反応温度条件: TaKaRa PCR Thermal Cycler Dice Touch (型式TP350)を用い、98℃で10秒、55℃で5秒、72℃で2分からなるサイクルを30回繰り返した。ただし、1サイクル目の98℃での保温は1分10秒とした。
増幅産物の確認、およびゲルからの目的断片の回収は、前記「(1)酵母用チロシナーゼ発現プラスミドの構築」に記載の方法と同様にして行い、約2.1kbのyAtATR1由来遺伝子断片を検出し、回収した。
得られたyAtATR1のPCR断片をZero Blunt(R) TOPO(R)
PCR Cloning Kit(invitrogen製)を用いてpCRTM−Blunt II−TOPO(R)ベクター (invitorgen製)に連結した後、得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換した。
このようにして得られた組み換え大腸菌を50μg/ml カナマイシンを含むLB寒天培地に塗抹した。この培地上でコロニーを形成したクローンを、50μg/ml カナマイシンを含むLB液体培地を用いて液体培養した後、得られた菌体からGenEluteTM HP Plasmid Miniprep Kit(SIGMA−ALDRICH製)を用いてプラスミドDNAを抽出した。ここで得られたプラスミドDNAをyAtATR1/pCR−bluntIIと命名した。
次に、上記yAtATR1/pCR−bluntIIを、各々BamHIおよびSalIにて制限酵素処理した後、1%アガロースゲル電気泳動により分離し、約2.1kb遺伝子断片をWizard(R) SV Gel and PCR Clean−UP System(Promega製)を用いて回収した。
先に作成したyCYP76AD3/pESC−HISについてもBamHIおよびSalIにて制限酵素処理した後、同様の方法で分離し、約8.2kbの遺伝子断片を回収した。
Ligation high Ver.2(TOYOBO製)を用いて、上記のyAtATR1の遺伝子断片と酵母用発現プラスミドyCYP76AD3/pESC−HISと
を連結した。得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換した。このようにして得られた組み換え大腸菌を100μg/ml アンピシリンを含むLB寒天培地に塗抹した。この培地上でコロニーを形成したクローンを、100μg/ml アンピシリンを含むLB液体培地を用いて液体培養した後、得られた菌体からGenEluteTM HP Plasmid Miniprep Kit(SIGMA−ALDRICH製)を用いてプラスミドDNAを抽出した。得られたプラスミドDNAをyCYP76AD3+yAtATR1/pESC−HISと命名した。
(3)酵母用ベタニジン 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ発現プラスミドの構築
リビングストンデージー(Dorotheanthus bellidiformis)由来のベタニジン 5−O
−グルコシルトランスフェラーゼ(以下、「Db5GT」と称する。)の遺伝子配列情報をそれぞれNCBIから得て、遺伝子合成により酵母のコドン頻度に最適化した。最適化したDb5GTの全遺伝子配列(yDb5GT)を配列番号30に示す。配列番号30に記載の配列を、各々pUC57ベクター(GenScript社)のEcoRVサイトに挿入した。得られたプラスミドを鋳型として、5’末端に制限酵素BamHIサイトを、3’末端に制限酵素KpnIサイトを付加したプライマー(配列番号45、46)を用いたPCRにより各々の遺伝子断片を得た。
反応液組成: 鋳型DNA 2μl、PrimeSTAR(R) HS DNA Polymerase(タカラバイオ株式会社製) 0.5μl、5×PrimeSTAR Buffer 10μl、2.5mM dNTP Mixture 4μl、2μM各々プライマー 5μl、滅菌水24μl(これらを混合して全量50μlとした。)
反応温度条件: TaKaRa PCR Thermal Cycler Dice Touch (型式TP350)を用い、98℃で10秒、55℃で5秒、72℃で1分30秒からなるサイクルを30回繰り返した。ただし、1サイクル目の98℃での保温は1分10秒とした。
増幅産物の確認、およびゲルからの目的断片の回収は、前記「(1)酵母用チロシナーゼ発現プラスミドの構築」に記載の方法と同様にして行い、約1.5kbのyDb5GT由来遺伝子断片を検出し、各々回収した。
得られたyDb5GTのPCR断片を各々Zero Blunt(R) TOPO(R) PCR Cloning Kit(invitrogen製)を用いてpCRTM−Blunt II−TOPO(R)ベクター (invitorgen製)に連結した後、得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換した。
このようにして得られた組み換え大腸菌を50μg/ml カナマイシンを含むLB寒天培地に塗抹した。この培地上でコロニーを形成したクローンを、50μg/ml カナマイシンを含むLB液体培地を用いて液体培養した後、得られた菌体からGenEluteTM HP Plasmid Miniprep Kit(SIGMA−ALDRICH製)を用いてプラスミドDNAを抽出した。ここで得られたプラスミドDNAをyDb5GT/pCR−bluntIIと命名した。
次に、上記yDb5GT/pCR−bluntIIを、BamHIおよびKpnIにて制限酵素処理した後、1%アガロースゲル電気泳動により分離し、約1.5kb遺伝子断片をWizard(R) SV Gel and PCR Clean−UP System(Promega製)を用いて回収した。
pESC−LEUベクター、pESC−URA、pESC−HISベクターと共存可能な酵母発現ベクターであるpESC−TRP(Stratagene製)についてもBamHIおよびKpnIにて制限酵素処理した後、同様の方法で分離し、約6.5kbの遺
伝子断片を回収した。
Ligation high Ver.2(TOYOBO製)を用いて、上記のyDb5GT遺伝子断片と酵母発現ベクターpESC−TRPとを連結した。得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換した。
このようにして得られた組み換え大腸菌を100μg/ml アンピシリンを含むLB寒天培地に塗抹した。この培地上でコロニーを形成したクローンを、100μg/ml アンピシリンを含むLB液体培地を用いて液体培養した後、得られた菌体からGenEluteTM HP Plasmid Miniprep Kit(SIGMA−ALDRICH製)を用いてプラスミドDNAを抽出した。得られたプラスミドDNAをyDb5GT/pESC−TRPと命名した。
(4)酵母用5−O−グルコシルトランスフェラーゼ、スクロース合成酵素共発現プラスミドの構築
スクロース合成酵素は、UDPとスクロースからUDP−グルコースを再生する酵素活性を示す。変換工程にて添加するグルコシルトランスフェラーゼの基質であるUDP−グルコースを再生する目的でグルコシルトランスフェラーゼと共に導入することとした。なおAtSUS1は、UDP−グルコース使用量の低減化を目的としており、特に導入しなくてもベタシアニンは生産される。シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)由来のスクロース合成酵素(以下、AtSUS1と称する)の遺伝子配列情報をNCBIから得て、遺伝子合成により酵母のコドン頻度に最適化した。最適化したAtSUS1の全遺伝子配列(yAtSUS1)を配列番号47に示す。配列番号47に記載の配列を、各々pUC57ベクター(GenScript社)のEcoRVサイトに挿入した。得られたプラスミドを鋳型として、5’末端に制限酵素EcoRIサイトを、3’末端に制限酵素SacIサイトを付加したプライマー(配列番号48、49)を用いたPCRにより各々の遺伝子断片を得た。
反応液組成: 鋳型DNA 2μl、PrimeSTAR(R) HS DNA Polymerase(タカラバイオ株式会社製) 0.5μl、5×PrimeSTAR Buffer 10μl、2.5mM dNTP Mixture 4μl、2μM各々プライマー 5μl、滅菌水24μl(これらを混合して全量50μlとした。)
反応温度条件: TaKaRa PCR Thermal Cycler Dice Touch (型式TP350)を用い、98℃で10秒、55℃で5秒、72℃で2分30秒からなるサイクルを30回繰り返した。ただし、1サイクル目の98℃での保温は1分10秒とした。
増幅産物の確認、およびゲルからの目的断片の回収は、前記「(1)酵母用チロシナーゼ発現プラスミドの構築」に記載の方法と同様にして行い、約2.5kbのyAtSUS1由来遺伝子断片を検出し、各々回収した。
得られたyAtSUS1のPCR断片を各々Zero Blunt(R) TOPO(R) PCR Cloning Kit(invitrogen製)を用いてpCRTM−Blunt II−TOPO(R)ベクター (invitorgen製)に連結した後、得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換した。
このようにして得られた組み換え大腸菌を50μg/ml カナマイシンを含むLB寒天培地に塗抹した。この培地上でコロニーを形成したクローンを、50μg/ml カナマイシンを含むLB液体培地を用いて液体培養した後、得られた菌体からGenEluteTM HP Plasmid Miniprep Kit(SIGMA−ALDRICH製)を用いてプラスミドDNAを抽出した。ここで得られたプラスミドDNAをyAtSUS1/pCR−bluntIIと命名した。
次に、上記yAtSUS1/pCR−bluntIIを、EcoRIおよびSacIにて制限酵素処理した後、1%アガロースゲル電気泳動により分離し、約2.5kb遺伝子断片をWizard(R) SV Gel and PCR Clean−UP System(Promega製)を用いて回収した。
先に構築したyDb5GT/pESC−TRPについても各々EcoRIおよびSacIにて制限酵素処理した後、同様の方法で分離し、約8kbの遺伝子断片を回収した。
Ligation high Ver.2(TOYOBO製)を用いて、上記のyAtSUS1遺伝子断片と酵母発現プラスミドyDb5GT/pESC−TRPとを各々連結した。得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換した。
このようにして得られた組み換え大腸菌を100μg/ml アンピシリンを含むLB寒天培地に塗抹した。この培地上でコロニーを形成したクローンを、100μg/ml アンピシリンを含むLB液体培地を用いて液体培養した後、得られた菌体からGenEluteTM HP Plasmid Miniprep Kit(SIGMA−ALDRICH製)を用いてプラスミドDNAを抽出した。得られたプラスミドDNAをyDb5GT+AtSUS1/pESC−TRPと命名した。
(5)RSTYR、MjDOD、CYP76AD3、AtATR1、Db5GT、AtSUS1共発現酵母株の作製
先に構築したyRSTYR/pESC−LEU、yMjDOD/pESC−URA、yCYP76AD3+yAtATR1/pESC−HIS、yDb5GT+AtSUS1/pESC−TRPおよびyRSTYR/pESC−LEU、yMjDOD/pESC−URA、yCYP76AD3+yAtATR1/pESC−HIS、yDb5GT+AtSUS1/pESC−TRPの混合プラスミドで、それぞれ、サッカロミセス・セレビジエYPH500株(MATα ura3 lys2 ade2 trp1 his3 leu2)(Stratagene社)を酢酸リチウム法(Ito,H.et al, (1983) J. Bacteriol. 153(1), 163-168)、もしくはエレクトロポレーション法(Fromm ME,et al.,(1986) Nature 319(6056):791-793)で形質転換した。得られた組換え酵母をYeast Synthetic Drop−out Medium Supplements without histidine,leucine,tryptophan and uracil(SIGMA−ALDRICH社)を含有するSD寒天培地(0.67% Yeast Nitrogen Base w/o Amino Acids(Difco社)、2% グルコース、2% 寒天)に塗抹した。この培地上でコロニーを形成したクローンを、YPH500/RSTYR/MjDOD/CYP76AD3/AtATR1/Db5GT/AtSUS1と命名し、以下のベタレイン色素生産試験に用いた。
(6)チロシナーゼ、MjDOD、Db5GT、AtSUS1共発現酵母株の作製
(5)と同様、(1)〜(4)で作成したyRSTYR/pESC−LEU、yMjDOD/pESC−URA、yDb5GT+AtSUS1/pESC−TRPの混合プラスミドで、それぞれ、サッカロミセス・セレビジエYPH500株を形質転換した。得られた組換え酵母をYeast Synthetic Drop−out Medium Supplements without histidine,leucine,tryptophan and uracil(SIGMA−ALDRICH社)およびヒスチジン(終濃度20mg/L)を含有するSD寒天培地(0.67% Yeast Nitrogen Base w/o Amino Acids(Difco社)、2% グルコース、2% 寒天)に塗抹した。この培地上でコロニーを形成したクローンを、YPH500/RSTYR/MjDOD/Db5GT/AtSUS1と命名し、ベタレイン色素生産酵母株として以下のベタシアニン生産試験に用いた。
(7)チロシナーゼ、MjDOD、Mj5GT、AtSUS1共発現酵母株の作製
5)と同様、(1)〜(4)で作成したyRSTYR/pESC−LEU、yMjDOD/pESC−URA、yMj5GT+AtSUS1/pESC−TRPの混合プラスミドで、それぞれ、サッカロミセス・セレビジエYPH500株を形質転換した。続いて(12)と同様の手法にてセレクションを行い、得られたクローンをYPH500/RSTYR/MjDOD/Mj5GT/AtSUS1と命名し、ベタレイン色素生産酵母株として以下のベタシアニン生産試験に用いた。
[実施例4]
実施例1の(4)で作製した大腸菌株E.coli(BL21)/RSTYR/MjDODを用いて、ベタレイン色素の一種であるベタキサンチンの生産を行った実施例を以下に示す。
(前培養工程)
上記E.coli(BL21)/RSTYR/MjDODを、前培養培地[5×M9 Minimal Salts 400μl、1M CaCl0.2μl、1M MgSO 4μl、100g/L Casamino acid 200μl、1M Glucose 44μl、1% Thiamine 4μl、50mM FeSO 2μl、40mg/ml CuSO 2μl、50mg/ml Kanamycin 2μl、および100mg/ml Carbenicillin 2μlを、全量2mlとなるように滅菌水に溶解したもの]2mlに植菌し、培養温度32℃、180rpmで18時間培養した。
(本培養工程)
上記で得られた前培養液500μlを、本培養培地[5×M9 Minimal Salts 10ml、1M CaCl 5μl、1M MgSO 100μl、40g/L NHCl 3.75ml、100g/L Casamino acid 5ml、1% Thiamine 100μl、50mM FeSO 50μl、40mg/ml CuSO 50μl、50mg/ml Kanamycin 50μl、100mg/ml Carbenicillin 50μl、Overnight ExpressTMAutoinduction Systems1 OnEx Solution1 1ml、OnEx Solution2 2.5ml、およびOnEx Solution3 50μlを、全量50mlになるように滅菌水に溶解したもの]50mlに植菌し、培養温度20℃、200rpmで24時間培養することで、タンパク質の発現を誘導した。
(変換工程)
上記で得られた本培養液に、L−チロシン(終濃度1mM)および1Mアスコルビン酸500μlを添加することでベタレイン色素の生産反応を開始し、反応温度20℃、200rpmで24時間培養してベタレイン色素を生産させた。得られた培養液1mlから遠心分離(12000rpm、1分間)して得られた上清を0.45μmコスモスピンフィルター(日本ミリポア株式会社製)に通し、ろ液を分析サンプルとした。
(解析)
解析は、Agilent Technologies 6460 Triple Quad LC/MSを用いて行なった。カラムはSunFireTM C18 3.5μm
2.1×150mm Column(Waters)を使用した。溶出は1%ギ酸(SolventA)と80%アセトニトリル(SolventB)を用い、SolventBの混合比を0%(0分)→0%(2分)→20%(20分)→100%(24分)→100%(26分)と経時的に増加させることにより行った(流速0.3ml/min、温度40℃)。ベタレイン色素の一種であるベタキサンチンはm/zおよび470nmのU
V吸収をモニタリングすることで検出した。
(解析結果)
得られたLC/MS分析結果(全イオンクロマトグラム(TIC))を図1に示す。また、生成したベタキサンチンの分子イオンピークのシグナルArea値の経時変化を表1に示す。
分析の結果、E.coli(BL21)/RSTYR/MjDODにおいて数種類のベタキサンチン類および生合成前駆体であるベタラミン酸の生産が検出された。いずれの共発現株においてもバリン−ベタキサンチンの蓄積量が最も高く、続いてイソロイシン−ベタキサンチン、ロイシン−ベタキサンチン、フェニルアラニン−ベタキサンチンの順で生産量が高いことが示された。
以上より、微生物にチロシナーゼおよびDOPA 4,5−ジオキシゲナーゼを導入することでベタレイン色素が効率よく生産可能であることが示された。
Figure 2015192669
[実施例5]
実施例1の(5)で作製した大腸菌株E.coli(BL21)ΔtyrR::Kan/TyrAfbr+AroGfbr/RSTYR+MjDODを用いて、ベタレイン色素の一種であるベタキサンチンの生産を行った実施例を以下に示す。
(前培養工程)
上記E.coli(BL21)ΔtyrR::Kan/TyrAfbr+AroGfbr/RSTYR+MjDODを、それぞれ前培養培地[5×M9 Minimal Salts 400μl、1M CaCl0.2μl、1M MgSO 4μl、100g/L Casamino acid 200μl、1M Glucose 44μl、1% Thiamine 4μl、50mM FeSO 2μl、40mg/ml CuSO 2μl、50mg/ml Kanamycin 2μl、100mg/ml
Carbenicillin 2μl、50mg/ml Streptomycin 2μl を、全量2mlとなるように滅菌水に溶解したもの]2mlに植菌し、培養温度32℃、180rpmで20時間培養した。
(本培養、変換工程)
上記で得られた前培養液を、本培養培地[5×M9 Minimal Salts 4ml、1M CaCl 2μl、1M MgSO 40μl、40g/L NHCl 1.5ml、100g/L Casamino acid 2ml、1% Thiamine 40μl、50mM FeSO 20μl、40mg/ml CuSO 20μl、50mg/ml Kanamycin 20μl、100mg/ml Carbenicillin 20μl、50mg/ml Streptomycin 20μl 、Overnight ExpressTM Autoinduction Sys
tems1 OnEx Solution1 400μl、OnEx Solution2 1ml、およびOnEx Solution3 20μlを、全量20mlになるように滅菌水に溶解したもの]20mlにOD600=0.3となるように植菌し、培養温度20℃、180rpm、27時間培養し、タンパク発現誘導を行った。その後、1Mアスコルビン酸を200μl添加し、さらに21時間培養することで糖質を原料としたベタレイン色素生産を行った。得られた培養液1mlから遠心分離(12000rpm、1分間)して得られた上清を0.45μmコスモスピンフィルター(日本ミリポア株式会社製)に通し、ろ液を分析サンプルとした。
解析は、実施例4と同様の方法で行なった。
(解析結果)
得られたLC/MS分析結果(全イオンクロマトグラム(TIC)およびUV470nm)を図2(に示す。また、培養48時間目の生成した各ベタキサンチンの分子イオンピークのシグナルArea値の値を表2に示す。
分析の結果、培地中の糖質を原料として自ら生産したチロシンを利用することで、数種のベタキサンチン類およびベタキサンチンの前駆体であるベタラミン酸を生産することが確認された。特にバリン‐ベタキサンチンの蓄積量が最も多く、次いでL−DOPA−ベタキサンチン、ロイシン‐ベタキサンチン、イソロイシン‐ベタキサンチン、プロリン‐ベタキサンチン、フェニルアラニン‐ベタキサンチン、リシン‐ベタキサンチンの順で多く生産していた。以上より、チロシン生産大腸菌にチロシナーゼおよびDOPA 4,5−ジオキシゲナーゼを導入することでチロシンを添加することなく、糖質を原料としてベタレイン色素が効率よく生産可能であることが示された。
Figure 2015192669
[実施例6]
実施例2の(3)で作製した酵母株YPH500/RSTYR/MjDODを用いて、ベタレイン色素の一種であるベタキサンチンの生産を行った実施例を以下に示す。
(前培養工程)
上記YPH500/RSTYR/MjDODをYeast Synthetic Drop−out Medium Supplements without histidine,leucine,tryptophan and uracil(SIGMA−ALDRICH社)および20mg/Lトリプトファン、20mg/Lのヒスチジンを含有するSD培地2mlに植菌し、培養温度30℃、180rpmで18時間培養した。
(本培養工程)
得られた前培養液をOD600=0.2となるようにYeast Synthetic
Drop−out Medium Supplements without histidine,leucine,tryptophan and uracil(SIGMA−ALDRICH社)および20mg/Lトリプトファン、20mg/Lのヒスチジンを含有するSR培地(0.67% Yeast Nitrogen Base w/o
Amino Acids(Difco社)、2% ラフィノース)20mlに添加し、培養温度30℃、180rpmで培養した。OD600=0.7となった時点でガラクトース(終濃度2%)及びCuSO(終濃度40μg/ml)、FeSO(終濃度50μM)を添加し、タンパク発現誘導を行った。引き続き、培養を継続し、培養後9時間においてガラクトース(終濃度1%)及びラフィノース(終濃度1%)を、培養後24時間目においてリシン(終濃度30mg/L)及びトリプトファン(終濃度20mg/L)、ヒスチジン(終濃度20mg/L)、アデニン(終濃度20mg/L)を添加し、50時間目まで培養を実施した。
(変換工程)
上記の方法で得られた培養液全量を遠心分離(6000rpm、5分間)して得た菌体を一度50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)2mlにて洗浄後、再度、遠心分離して菌体を回収した。回収された菌体を反応バッファー[50μM FeSO、4μg/ml CuSO、10mM アスコルビン酸を含む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)]4mlにて懸濁した。得られた懸濁液に基質となるL−チロシンを添加することで反応を開始し、30 ℃、180rpmにて24時間反応させた。得られた反応液から遠心分離(12000rpm、1分間)した上清を0.45μmコスモスピンフィルター(日本ミリポア株式会社製)に通し、ろ液を分析サンプルとした。
(解析)
実施例4(解析)と同様の手法で実施した。
(解析結果)
得られたLC/MS分析結果(抽出イオンクロマトグラム(EIC)およびUV470nm)を図3に示す。また、生成したベタキサンチンの分子イオンピークのシグナルArea値の経時変化を表3に示す。
分析の結果、YPH500/RSTYR/MjDODにおいて数種のベタキサンチン類およびベタキサンチンの前駆体であるベタラミン酸を生産することが確認された。中でもグリシン‐ベタキサンチンの蓄積量が最も多く、次いでDOPA−ベタキサンチン、プロリン‐ベタキサンチン、イソロイシン−ベタキサンチン、バリン−ベタキサンチンの順で多く生産していた。以上より、酵母にチロシナーゼおよびDOPA 4,5−ジオキシゲナーゼを導入することでベタレイン色素が生産可能であることが示された。
Figure 2015192669
[実施例7]
実施例3の(5)で作製した酵母株YPH500/RSTYR/MjDOD/CYP76AD3/AtATR1/Db5GT/AtSUS1を用いて、ベタシアニンの一種であるベタニンおよびベタキサンチンの同時生産を行った実施例を以下に示す。
(前培養工程)
上記YPH500/RSTYR/MjDOD/CYP76AD3/AtATR1/Db5GT/AtSUS1をYeast Synthetic Drop−out Medium Supplements without histidine,leucine,tryptophan and uracil(SIGMA−ALDRICH社)を含有するSD培地2mlに植菌し、培養温度30℃、180rpmで20時間培養した。
(本培養工程)
得られた前培養液をOD600=0.2となるようにYeast Synthetic
Drop−out Medium Supplements without histidine,leucine,tryptophan and uracil(SIGMA−ALDRICH社)を含有するSR培地(0.67% Yeast Nitrogen Base w/o Amino Acids(Difco社)、2% ラフィノース)20mlに添加し、培養温度25℃、180rpmで培養した。OD600=0.7となった時点でガラクトース(終濃度2%)及びCuSO(終濃度40μg/ml)、FeSO(終濃度50μM)を添加し、タンパク発現誘導を行った。引き続き、培養を継続し、培養後32時間においてガラクトース(終濃度1%)及びラフィノース(終濃度1%)を、培養後48時間目においてリシン(終濃度30mg/L)及びアデニン(終濃度20mg/L)を添加し、50時間目まで培養を実施した。
(変換工程)
上記の方法で得られた培養液全量を遠心分離(4℃、5000rpm、5分間)して得た菌体を一度50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)2mlにて洗浄後、再度、遠心分離して菌体を回収した。回収された菌体を反応バッファー[50μM FeSO、4μg/ml CuSO、2% スクロースを含む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)]4mlにて懸濁した。得られた懸濁液にアスコルビン酸を終濃度10mMおよび基質となるL−チロシン、UDP−グルコースを終濃度1mMとなるように添加することで反応を開始し、反応温度をそれぞれ20℃、25℃、30℃、35℃として、180rpmにて24時間反応させた。得られた反応液から遠心分離(12000rpm、1分間)した上清を0.45μmコスモスピンフィルター(日本ミリポア株式会社製)に通し、ろ液を分析サンプルとした。
(解析)
解析は、Agilent Technologies 6460 Triple Quad LC/MSを用いて行なった。カラムはSunFireTM C18 3.5μm
2.1×150mm Column(Waters)を使用した。溶出は1%ギ酸(SolventA)と80%アセトニトリル(SolventB)を用い、SolventBの混合比を0%(0分)→0%(2分)→20%(20分)→100%(24分)→100%(26分)と経時的に増加させることにより行った(流速0.3ml/min、温度40℃)。ベタシアニンの一種であるベタニンはm/z=551および540nmのUV吸収、ベタキサンチンはm/zおよび470nmのUV吸収をモニタリングすることで検出した。
(解析結果)
反応温度20℃のサンプルにおけるベタニン由来の抽出イオンクロマトグラム(EIC
)およびUV540nmを図4に、ベタキサンチン由来の抽出イオンクロマトグラム(EIC)およびUV470nmを図5に示す。また、各反応温度における反応後24時間目のベタニンの生成量を表4に、各ベタキサンチンの分子イオンピークのシグナルArea値を表5に示す。
分析の結果、全ての反応温度条件でベタニンおよびベタキサンチンの生産を確認した。反応温度が低くなるほどベタニンの蓄積量が増える傾向にあり、反応温度20℃において最も高い5.7mMの蓄積が確認された。外から添加したチロシン(1mM)以上のベタニン蓄積量が確認されていることから、反応バッファーに含有されているスクロースを糖質原料としてベタニンの一貫生産が可能であることも確認された。
一方、ベタキサンチンはベタニンの傾向とは異なり、反応温度が高くなるほど各ベタキサンチン蓄積量の総和が増える傾向にあり、反応温度35℃において最も高い蓄積を示した。以上より、チロシナーゼ、DOPA 4,5−ジオキシゲナーゼに加え、CYP76AD3、NADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ(ATR1)およびベタニジン 5−O−グルコシルトランスフェラーゼを導入した微生物の休止菌体を用いることでベタシアニンの一種であるベタニンおよびベタキサンチンが効率よく生産可能であることが示された。
Figure 2015192669
Figure 2015192669
[実施例8]
実施例3の(6)で作製した酵母株YPH500/RSTYR/MjDOD/Db5GT/AtSUS1、および実施例3の(7)で作製した酵母株YPH500/RSTYR/MjDOD/Mj5GT/AtSUS1を用いて、チロシナーゼがL−DOPA オキシダーゼとしても機能する微生物でのベタシアニン生産を行った実施例を以下に示す。
(前培養工程)
上記YPH500/RSTYR/MjDOD/Db5GT/AtSUS1およびYPH500/RSTYR/MjDOD/Mj5GT/AtSUS1をYeast Synthetic Drop−out Medium Supplements without
histidine,leucine,tryptophan and uracil(SIGMA−ALDRICH社)およびヒスチジン(終濃度20mg/L)を含有するSD培地2mlに植菌し、培養温度30℃、180rpmで20時間培養した。
(本培養工程)
得られた前培養液をOD600=0.2となるようにYeast Synthetic
Drop−out Medium Supplements without histidine,leucine,tryptophan and uracil(SIGMA−ALDRICH社)およびヒスチジン(終濃度20mg/L)を含有するSR培地
(0.67% Yeast Nitrogen Base w/o Amino Acids(Difco社)、2% ラフィノース)20mlに添加し、培養温度25℃、180rpmで培養した。OD600=0.7となった時点でガラクトース(終濃度2%)及びCuSO(終濃度40μg/ml)、FeSO(終濃度50μM)を添加し、タンパク発現誘導を行った。引き続き、培養を継続し、培養後32時間においてガラクトース(終濃度1%)及びラフィノース(終濃度1%)を、培養後48時間目においてリシン(終濃度30mg/L)、アデニン(終濃度20mg/L)およびヒスチジンヒスチジン(終濃度20mg/L)を添加し、50時間目まで培養を実施した。
(変換工程)
実施例7(変換工程)と同様の方法で反応を開始し、25℃、180rpmにて24時間反応させた。得られた反応液から遠心分離(12000rpm、1分間)した上清を0.45μmコスモスピンフィルター(日本ミリポア株式会社製)に通し、ろ液を分析サンプルとした。
(解析)
実施例7(解析)と同様の手法で実施した。
(解析結果)
YPH500/RSTYR/MjDOD/Db5GT/AtSUS1の反応サンプルのLC/MS分析結果(抽出イオンクロマトグラム(EIC)およびUV540nm)を図6に示す。また、各株の反応後24時間目のベタニンの生成量を表6に示す。
分析の結果、YPH500/RSTYR/MjDOD/Db5GT/AtSUS1およびYPH500/RSTYR/MjDOD/Mj5GT/AtSUS1両株でベタニンの生産を確認した。このことから、ベタニン生産にはL−DOPA オキシダーゼとしてCYP76AD1、CYP76AD3は必須ではなく、チロシナーゼで代用可能であることが明らかとなった。しかしながら、蓄積量は極めて低く、ベタシアニンの高生産のためにはCYP76AD1またはCYP76AD3を導入しておくことが好ましい。
Figure 2015192669

Claims (11)

  1. チロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性、およびDOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性を有することを特徴とする微生物。
  2. 前記チロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素がチロシナーゼである、請求項1に記載の微生物。
  3. さらに、L−DOPA オキシダーゼ活性および/またはフェノール性水酸基に糖を付加する酵素活性を有する、請求項1または2に記載の微生物。
  4. 前記L−DOPA オキシダーゼ活性を有する酵素が、シトクロムP450である、請求項3に記載の微生物。
  5. さらに、NADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性を有する、請求項4に記載の微生物。
  6. 前記フェノール性水酸基に糖を付加する酵素において、該フェノール性水酸基はcyclo−DOPA骨格のフェノール性水酸基である、請求項3〜5のいずれか1項に記載の微生物。
  7. 前記フェノール性水酸基に糖を付加する酵素において、該糖がグルコースである、請求項3〜6のいずれか1項に記載の微生物。
  8. 前記微生物が、チロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素および/またはDOPA4,5−ジオキシゲナーゼをコードする遺伝子を、形質転換により導入されているものである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の微生物。
  9. 前記微生物が、L−DOPA オキシダーゼおよび/またはフェノール性水酸基に糖を付加する酵素をコードする遺伝子を、形質転換により導入されているものである、請求項3〜8のいずれか1項に記載の微生物。
  10. チロシン、および/または糖質を原料としてベタレイン色素を一貫生産するベタレイン色素生産能を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の微生物。
  11. 糖質原料を含む水性媒体中で、請求項1〜10のいずれか1項に記載の微生物を培養することを特徴とする、微生物の培養方法。
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