JP2016182044A - ベタシアニン類の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
下で導入した形質転換植物細胞を用いたベタキサンチンの製造方法が報告されている(特許文献1)。また、L−3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA) 4,5−
ジオキシゲナーゼおよびCYP76AD1遺伝子を導入した酵母を用いて、DOPAをベタニジンへと変換させた例(非特許文献1)やcyclo−DOPA 5−O−グリコシルトランスフェラーゼ遺伝子を導入した酵母の無細胞抽出液を用いてcyclo−DOPAとベタラミン酸をベタニンへと変換させた例も報告されている(非特許文献2)。
としては、オシロイバナやテンサイ由来のものが知られている(非特許文献4、5)。CYP76AD1をコードする遺伝子としては、テンサイ由来のものが知られている(非特許文献1)。cyclo−DOPA 5−O−グリコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子としては、オシロイバナ由来のものが知られている(非特許文献2)。
また、特許文献1のように植物細胞を用いた方法では、植物細胞の細胞増殖速度が極めて遅いため、生産効率が低く、工業化は難しいものと考えられる。
yclo−DOPA 5−O−グリコシルトランスフェラーゼ遺伝子(非特許文献2)をそれぞれ単独で大腸菌や酵母などの微生物へ導入し、それぞれの酵素活性を個別に確認した例が知られている。また、DOPA 4,5−ジオキシゲナーゼをコードする遺伝子お
よびCYP76AD1をコードする遺伝子を同時に導入した酵母で、DOPAからベタシアニン中間体のベタニジンを生産させた例が知られている。しかし、これらベタシアニンの生産に必要な遺伝子群を全て同時に微生物へ導入した例は知られておらず、またベタシアニン類の生産に必要な遺伝子群を導入した微生物を用いてグルコースなどの基質からベタシアニン類が一貫生産されることを確認した例もこれまで知られていない。
(1)チロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性、DOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性、L−DOPA オキシダーゼ活性、およびフェノール性水酸基に糖を付加する酵素活性、を有する微生物またはその処理物の存在下、水性媒体中で原料をベタシアニン類へと変換する工程(変換工程)を有することを特徴とする、ベタシアニン類の製造方法。
(2)前記変換工程の前に、チロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性、DOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性、L−DOPA オキシダーゼ活性、およびフェノール性水酸基に糖を付加する酵素活性、を有する微生物を水性媒体中で培養する工程(培養工程)を有する(1)に記載のベタシアニン類の製造方法。
(4)前記フェノール性水酸基が、cyclo−DOPA骨格のフェノール性水酸基である、(1)〜(3)のいずれかに記載のベタシアニン類の製造方法。
(5)前記糖は、グルコースである、(1)〜(4)のいずれかに記載のベタシアニン類
の製造方法。
(6)前記変換工程の後に、前記水性媒体からベタシアニン類を回収する工程を有する、(1)〜(5)のいずれかに記載のベタシアニン類の製造方法。
(8)前記変換工程において、前記微生物として休止菌体を用いる、(1)〜(7)のいずれかに記載のベタシアニン類の製造方法。
(9)前記原料がチロシン、および/または糖質原料である、(1)〜(8)のいずれかに記載のベタシアニン類の製造方法。
(10)前記変換工程において、前記水性媒体が、アスコルビン酸、UDP−グルコース、銅および鉄からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、(1)〜(9)のいずれかに記載のベタシアニン類の製造方法。
また、本発明により得られたベタシアニン類は、増感剤、抗酸化剤等の広範な各種用途に好適に用いることができる。
オキシダーゼ活性、およびフェノール性水酸基に糖を付加する酵素活性を有する微生物、またはそれら微生物の処理物の存在下、水性媒体中で原料をベタシアニン類へと変換する工程(変換工程)を有することを特徴とする。
さらに、本明細書においては、ベタシアニン類は上記のベタシアニンの類縁体も含む概念であり、例えば式(1)で、2位のカルボキシル基が脱離した式(3)で表される構造の化合物や、14、15位の炭素間が不飽和化された式(4)で表される構造の化合物な
どもベタシアニン類である。ここでR1、R2の定義は上述と同様である。
ここで、L−DOPA オキシダーゼとは、L−DOPAをcyclo−DOPAへと変換する酵素のことである。ここで、L−DOPAとは、L−3,4−ジヒドロキシフェニルアラニンのことであり、以下の式(5)で表される。
本発明で用いる微生物(以下、「本発明の微生物」と称することがある。)は、チロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性、DOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性、L−DOPA オキシダーゼ活性、およびフェノール性水酸基に糖を付加する酵素活性
、を有する。
レダクターゼ活性を有することで、シトクロムP450が有効に働くことができる。特に、L−DOPA オキシダーゼ活性を有する酵素としてシトクロムP450を有する本発明の微生物は、ベタシアニン類の生産効率が特に高くなるので、NADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性を有することがさらに好ましい。
また、本発明における微生物の処理物としては、アセトン、トルエン等で処理した菌体、凍結乾燥菌体、菌体破砕物、菌体を破砕した無細胞抽出物、精製酵素(部分的に精製した酵素を含む。)等が挙げられる。また、これらの微生物の処理物を、常法により担体に固定化した固定化物も処理物に含まれる。
以下、本発明で用いる微生物の個別の特徴について説明する。
チロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性とは、チロシンが有するフェノール環の3位に水酸基を付加することができる酵素活性である。この酵素活性を有するか否かは、発現されたタンパク質が、チロシンの3位を水酸化する活性を通常のアッセイ方法で測定することにより判定が可能である。例えば、チロシンに、測定の対象とする酵素を作用させ、チロシンから変換されたL−DOPA量を直接的に測定することで、その酵素活性を確認することができる。
環水酸化ジオキシゲナーゼ等が挙げられる。
チロシナーゼとしては、エアロモナス・メディア菌(Aeromonas media)、マッシュル
ーム(Agaricus bisporus)、アゾスピリラム菌(Azospirillum sp.)、バチルス・メガ
テリウム菌(Bacillus megaterium)、バチルス・スリンジェンシス菌(Bacillus thuringiensis)、テンサイ(Beta vulgaris)、キャベツ(Brassica oleracea)、チャノキ(Camellia sinensis)、アラビカコーヒーノキ(Coffea arabica)、アサイー(Euterpe oleracea)、ヒト(Homo sapiens)、レタス(Lactuca sativa)、マリノモラス・メディテラニア菌(Marinomonas mediterranea)、ハツカネズミ(Mus musculus)、ニューロスポラ・クラッサ菌(Neurospora crassa)、タバコ(Nicotiana tabacum)、ナメコ(Pholiota nameko)、シュードモナス・プチダ F6菌(Pseudomonas putida F6)、ラルストニア・ソラナセアラム菌(Ralstonia solanacearum)、リゾビウム・エトリ菌(Rhizobium etli)、トマト(Solanum lycopersicum)、ナス(Solanum melongena)、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、ストレプトマイセス・アンチバイオティカス(Streptomyces antibioticus)、ストレプトマイセス・カスタネオグロビスポラス菌(Streptomyces castaneoglobisporus)、ストレプトマイセス・グロセッセンス菌(Streptomyces glauescens)、ストレプトマイセス・リンコルネンシス菌(Streptomyces lincolnensis)、ストレプト
マイセス・リビダンス菌(Streptomyces lividans)、ストレプトマイセス属 REN−
21菌(Streptomyces sp.REN-21)、サーモミクロビウム・ロゼウム菌(Thermomicrobium roseum)、バニラ(Vanilla planifolia)、ベルコミクロビウム・スピノサム菌(Verrucomicrobium spinosum)、ソラマメ(Vicia faba)、ヨーロッパブドウ(Vitis vinifera)等に由来する酵素が挙げられる。中でも、バチルス・メガテリウム菌、バチルス・ス
リンジェンシス菌、ラルストニア・ソラナセアラム菌に由来するものが好ましい。
キタ属菌(Ascochyta spp.)、アスペルギルス・フラバス菌(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・ニドランス菌(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニガー菌(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリゼ菌(Aspergillus oryze)、バチルス・メガテリウム菌(Bacillus megaterium)、カルダリオミセス・フマゴ菌(Caldariomyces fumago)、カンジダ・アルビカンス菌(Candida albicans)、カンジダ・マルトーサ菌(Candida maltosa)、カンジダ・トロピカリス菌(Candida tropicalis)、フザリウム属菌(Fusarium spp.)、フザリウム・オキシスポラム菌(Fusarium oxysporum)、フザリウム
・スポロトリキオイデス菌(Fusarium sporotrichioides)、フザリウム・バーティシリ
オイデス菌(Fusarium verticillioides)、マイクロコッカス属菌(Micrococcus spp.)、モルティエレラ・イサベリナ菌(Mortierella isabellina)、マイコバクテリウム・チューバキュロシス菌(Mycobacterium tuberculosis)、ネクトリア・ハエマトコッカ菌(Nectria haematoccoca)、ネウロスポラ・クラッサ菌(Neurospora crassa)、ノカルデ
ィア属菌(Nocardia spp.)、ファネロケーテ・クリソスポリウム菌(Phanerochaete chrisosporium)、シュードモナス・プチダ菌(Pseudomonas putida)、ストレプトマイセス属菌(Streptomyces spp.)、リゾビウム属菌(Rhizobium spp.)、サッカロミセス・セ
レビシエ菌(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス・ポンベ菌(Saccharomyces pombe)、ストレプトミセス・エバーミチリス菌(Streptomyces avermitilis)、スト
レプトミセス・セリカラー菌(Streptomyces coelicolor)、スルホロブス・ソルファタ
リカス菌(Sulfolobus solfataricus)、ヤロウィア・リポリティカ菌(Yarrowia lipolutica)等に由来する酵素が挙げられる。中でも、アースロバクター属菌(Arthrobacter spp.)、アスコキタ属菌(Ascochyta spp.)、フザリウム属菌(Fusarium spp.)、マイクロコッカス属菌(Micrococcus spp.)、モルティエレラ・イサベリナ(Mortierella isabellina)、ノカルディア属菌(Nocardia spp.)、ストレプトマイセス属菌(Streptomyces spp.)、リゾビウム属菌(Rhizobium spp.)、ストレプトミセス・エバーミチリス(Streptomyces avermitilis)菌に由来するものが好ましい。
ギルス・オリゼ菌(Aspergillus oryze)、アスペルギルス・ニガー菌(Aspergillus niger)、ポーポー(Asimina triloba)、テンサイ(Beta vulgaris)、ウシ(Bos taurus)、チャノキ(Camellia sinensis)、ヘンリーグリ(Castanea henryi)、アラビカコーヒーノキ(Caffea arabica)、メロン(Cucumis melo)、ビワ(Eriobotrya japonica)、
ヒト(Homo sapiens)、サツマイモ(Ipomoea batatas)、フジマメ(Lablab purpureus
)、マグワ(Morus alba)、バナナ(Musa acuminata)、ニューロスポラ・クラッサ菌(Neurospora crassa)、タバコ(Nicotiana tabacum)、バジリコ(Ocimum basilicum)、ヒラタケ(Pleurotus ostreatus)、マツバボタン(Portulaca grandiflora)、アンズ(Prunus armeniaca)、ラルストニア・ソラナセアラム菌(Ralstonia solanacearum)、トマト(Solanum lycopersicum)、ナス(Solanum melongena)、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、ストレプトミセス・グラウセッセンス菌(Streptomyces glaucescens)、ストレプトマイセス・グリセウス菌(Streptomyces griseus)、ヨーロッパブドウ(Vitis vinifera)等に由来する酵素が挙げられる。中でもアスペルギルス・オリゼ菌(Aspergillus oryze)、チャノキ(Camellia sinensis)、ラルストニア・ソラナセアラム菌(Ralstonia solanacearum)、ストレプトマイセス・グリセウス菌(Streptomyces griseus)、ヨーロッパブドウ(Vitis vinifera)等に由来するものが好ましい。
イロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)、ヒト(Homo sapiens)、ドブネズ
ミ(Rattus norvegicus)に由来するものが好ましい。
ルデリア・セパシア菌(Barkholderia cepacia)、バークホルデリア・テラ菌(Burkholderia terrae)、コマモナス・テストステローニ菌(Comamonas testosteroni)、クロモ
ハロバクター属菌(Chromohalobacter sp.)、メソリゾビウム・ロティ菌(Mesorhizobium loti)、シュードモナス・アエルギノサ菌(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・フルオレッセンス菌(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・プチダ菌(Pseudomonas putida)、シュードモナス・レシノボランス菌(Pseudomonas resinovorans)
、ロドコッカス・オパカス菌(Rhodococcus opacus)、トリコスポロン・クタネウム菌(Trichosporon cutaneum)等に由来する酵素が挙げられる。中でも、シュードモナス・プ
チダ菌(Pseudomonas putida)、アシネトバクター・カルコアセチカス菌(Acinetobacter calcoaceticus)、メソリゾビウム・ロティ菌(Mesorhizobium loti)、バークホルデ
リア・セパシア菌(Barkholderia cepacia)に由来するものが好ましい。
チロシナーゼの具体例としては、上述した通りであるが、中でも、以下の(A)、(B)、または(C)の塩基配列でコードされる酵素であることが特に好ましい。配列番号1はバチルス・メガテリウム菌に、配列番号2はラルストニア・ソラナセアラム菌に、配列番号3はバチルス・スリンジェンシス菌に由来する塩基配列である。
(B)配列番号1、2、または3で表される塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、および/または付加された塩基配列を含み、かつチロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(C)配列番号 1、2、または3で表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな
条件でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつチロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNA
ここで「1または(もしくは)数個の塩基」とは、例えば、1個〜300個、好ましくは1個〜150個、より好ましくは1個〜60個、さらに好ましくは1個〜30個、特に好ましくは1個〜15個、の塩基である。以下、本明細書において同様である。
配列番号4はバチルス・メガテリウム菌に、配列番号5はラルストニア・ソラナセアラム菌に、配列番号6はバチルス・スリンジェンシス菌に由来するアミノ酸配列である。
(E) 配列番号4、5または6で表されるアミノ酸配列において1または数個のアミ
ノ酸が置換、欠失、および/または付加されたアミノ酸配列を含み、かつチロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列
(F)配列番号 4、5または6で表されるアミノ酸配列の60%以上の同一性を有す
るアミノ酸配列を有し、かつチロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列
ここで「1または数個のアミノ酸」とは、例えば、1個〜100個、好ましくは1個〜50個、より好ましくは1個〜20個、さらに好ましくは1個〜10個、特に好ましくは1個〜5個、の塩基である。以下、本明細書において同様である。
上記に例示したように、自然界に存在する生物のゲノム情報に基づく塩基配列、またはそのホモログを用いることもできるが、各々の遺伝子は、必要に応じて宿主微生物のコドン使用頻度にあわせて塩基配列を最適化することができる。コドン最適化は、例えば、J.
Microbiol. Biotechnol. (2012), 22(3), 316-325に記載の方法や、GenScript社のOptimumGeneTMサービスを利用する方法がある。コドン最適化を行なうと、ベタシアニン類の生産性が向上するので好ましい。
(G) 配列番号7、8、または9で表される塩基配列を有するDNA
(H)配列番号7、8、または9で表される塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、および/または付加された塩基配列を含み、かつチロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(I)配列番号7、8、または9で表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつチロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNA
また、酵母を宿主微生物とする場合は、配列番号1、2の塩基配列に対してコドン最適化を実施して得られた以下の(J)、(K)、または(L)の塩基配列でコードされる酵素であることがより好ましい。
(K)配列番号10、配列番号11で表される塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、および/または付加された塩基配列を含み、かつチロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(L)配列番号10、配列番号11で表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつチロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
なお、配列番号1、2、3に対して大腸菌発現用にコドン最適化を行なったものが、それぞれ、配列番号7、8、9であり、配列番号1、2に対して酵母発現用にコドン最適化を行ったものが、それぞれ、配列番号10、11であるが、これらは、翻訳後のアミノ酸配列としては最適化前後で同一である。つまり、配列番号1、7、10の塩基配列により規定されるアミノ酸配列は配列番号4であり、配列番号2、8、11の塩基配列により規定されるアミノ酸配列は配列番号5であり、配列番号3、9の塩基配列により規定されるアミノ酸配列は配列番号6となる。
DOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性とは、L−3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)のエクストラジオール開裂を触媒する活性を有し、該L−DOPAを4,5−seco−DOPAに変換する反応、さらに、それに続く自発的反応を経て、該L−DOPAをベタラミン酸へと変換する酵素活性のことである。この酵素活性を有するか否かは、測定の対象とするタンパク質が、L−DOPAのフェノール環の4位、5位の炭素間でのエクストラジオール開裂を引き起こし、その結果としてベタラミン酸を生成することができるかどうかを通常のアッセイ方法で測定することにより判定が可能である。例えば、L−DOPAに、測定の対象とする酵素を作用させ、L−DOPAから変換されたベタラミン酸の生成量を直接的に測定することで、その酵素活性を確認することができる。
、リビングストンデージー(Dorotheanthus bellidiformis)、オシロイバナ(Mirabilis
jalapa)、ウチワサボテン(Opuntia ficus)、センニンサボテン(Opuntia stricta)
、マツバボタン(Portulaca grandiflora)、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolacca americana)、レッドビート(Red beet)、ホウレンソウ(Spinacia oleracea)等に由来するものが好ましい。
(M)配列番号12で表される塩基配列を有するDNA
(N)配列番号12で表される塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、および/または付加された塩基配列を含み、かつDOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(O)配列番号 12で表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件でハイブ
リダイズする塩基配列を含み、かつDOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(P)配列番号13で表されるアミノ酸配列
(Q)配列番号13で表されるアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸が置換、欠失、および/または付加されたアミノ酸配列を含み、かつDOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列
(R)配列番号 13で表されるアミノ酸配列の60%以上の同一性を有するアミノ酸
配列を有し、かつDOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列
即ち、大腸菌を宿主微生物とする場合は配列番号12の塩基配列に対してコドン最適化を実施して得られた以下の(S)、(T)、または(U)の塩基配列でコードされる酵素であることがより好ましい。
(T)配列番号14で表される塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、および/または付加された塩基配列を含み、かつDOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(U)配列番号14で表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつDOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
また、酵母を宿主微生物とする場合は配列番号12の塩基配列に対してコドン最適化を実施して得られた以下の(V)、(W)、または(X)の塩基配列でコードされる酵素であることがより好ましい。
(W)配列番号15で表される塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、および/または付加された塩基配列を含み、かつDOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(X)配列番号15で表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつDOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
また、上述のDOPA4,5−ジオキシゲナーゼをアミノ酸配列で規定すると、前述の(P)、(Q)、(R)と同様のアミノ酸配列を有するものが好ましく、(P)、(Q)、または(R)のアミノ酸配列からなるものがより好ましい。前記(R)のアミノ酸配列の配列同一性の好ましい範囲についても、同様に考えることができる。
L−DOPA オキシダーゼ活性とは、L−DOPAを酸化しcyclo−DOPAへと変換する酵素活性のことである。この酵素活性を有するか否かは、測定の対象とするタンパク質が、L−DOPAを酸化してcyclo−DOPAを生成することができるかどうかを通常のアッセイ方法で測定することにより判定が可能である。例えば、L−DOPAに、測定の対象とする酵素を作用させ、L−DOPAから変換されたcyclo−DOPAの生成量を直接的に測定することで、その酵素活性を確認することができる。
チロシナーゼとしては、エアロモナス・メディア菌(Aeromonas media)、マッシュル
ーム(Agaricus bisporus)、アゾスピリラム菌(Azospirillum sp.)、バチルス・メガ
テリウム菌(Bacillus megaterium)、バチルス・スリンジェンシス菌(Bacillus thuringiensis)、テンサイ(Beta vulgaris)、キャベツ(Brassica oleracea)、チャノキ(Camellia sinensis)、アラビカコーヒーノキ(Coffea arabica)、アサイー(Euterpe oleracea)、ヒト(Homo sapiens)、レタス(Lactuca sativa)、マリノモラス・メディテラニア菌(Marinomonas mediterranea)、ハツカネズミ(Mus musculus)、ニューロスポラ・クラッサ菌(Neurospora crassa)、タバコ(Nicotiana tabacum)、ナメコ(Pholiota nameko)、シュードモナス・プチダ F6菌(Pseudomonas putida F6)、ラルストニア・ソラナセアラム菌(Ralstonia solanacearum)、リゾビウム・エトリ菌(Rhizobium etli)、トマト(Solanum lycopersicum)、ナス(Solanum melongena)、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、ストレプトマイセス・アンチバイオティカス(Streptomyces antibioticus)、ストレプトマイセス・カスタネオグロビスポラス菌(Streptomyces castaneoglobisporus)、ストレプトマイセス・グロセッセンス菌(Streptomyces glauescens)、ストレプトマイセス・リンコルネンシス菌(Streptomyces lincolnensis)、ストレプト
マイセス・リビダンス菌(Streptomyces lividans)、ストレプトマイセス属 REN−
21菌(Streptomyces sp.REN-21)、サーモミクロビウム・ロゼウム菌(Thermomicrobium roseum)、バニラ(Vanilla planifolia)、ベルコミクロビウム・スピノサム菌(Verr
ucomicrobium spinosum)、ソラマメ(Vicia faba)、ヨーロッパブドウ(Vitis vinifera)等に由来する酵素が挙げられる。中でも、バチルス・メガテリウム菌、バチルス・ス
リンジェンシス菌、ラルストニア・ソラナセアラム菌に由来するものが好ましい。
グストンデージー(Dorotheanthus bellidiformis)、キヌア(Chenopodium quinoa)、
オシロイバナ(Mirabilis jalapa)、ウチワサボテン(Opuntia ficus)、センニンサボ
テン(Opuntia stricta)、マツバボタン(Portulaca grandiflora)、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolacca americana)、レッドビート(Red beet)、ホウレンソウ(Spinacia oleracea)等に由来する酵素が挙げられる。
(あ)配列番号16、50で表される塩基配列を有するDNA
(い)配列番号16、50で表される塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、および/または付加された塩基配列を含み、かつL−DOPA オキシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(う)配列番号 16、50で表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件で
ハイブリダイズする塩基配列を含み、かつL−DOPA オキシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
、(お)、または(か)のアミノ酸配列からなるポリペプチドがより好ましい。配列番号17はオシロイバナに由来するアミノ酸配列、配列番号51はテンサイに由来するアミノ酸配列である。
(お)配列番号17、51で表されるアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸が置換、欠失、および/または付加されたアミノ酸配列を含み、かつL−DOPA オキシダーゼ活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列
(か)配列番号 17、51で表されるアミノ酸配列の60%以上の同一性を有するア
ミノ酸配列を有し、かつL−DOPA オキシダーゼ活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列
また、前記(か)に記載の通り、L−DOPA オキシダーゼ活性を保持する限り、配列番号17、51に示されるアミノ酸配列全長と少なくとも60%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の配列同一性を有するタンパク質であってもよい。
即ち、酵母を宿主微生物とする場合は配列番号16、50の塩基配列に対してコドン最適化を実施して得られた以下の(き)、(く)、または(け)の塩基配列でコードされる酵素であることがより好ましい。
(く)配列番号18、52で表される塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、および/または付加された塩基配列を含み、かつDOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(け)配列番号18、52で表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつDOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
また、上述のL−DOPA オキシダーゼをアミノ酸配列で規定すると、前述の(え)、(お)、(か)と同様のアミノ酸配列を有するものが好ましく、(え)、(お)、または(か)のアミノ酸配列からなるものがより好ましい。前記(か)のアミノ酸配列の配列同一性の好ましい範囲についても、同様に考えることができる。
(NADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性)
NADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性とは、真核生物由来シトクロムP450の触媒サイクルを回す上で必須であるP450への電子の供給を行う酵素活性のことである。よって、上述のチロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素および/またはL−DOPA オキシダーゼ活性を有する酵素としてシトクロムP450を有する場合には、前記酵素活性に加えて、NADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性を有することがこのましい。NADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性を有することで、シトクロムP450が有効に働くことができる。特に、L−DOPA オキシダーゼ活性を有する酵素としてシトクロムP450を有する本発明の微生物は、ベタシアニン類の生産効率が特に高くなるので、NADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性を有することがさらに好ましい。
)、クソニンジン(Artemisia annua)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、ア
スペルギルス・フミガーツス菌(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・ニガー菌
(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリゼ菌(Aspergillus oryzae )、アスペルギルス・テレウス菌(Aspergillus terreus)、バチルス・メガテリウム菌(Bacillus megaterium)、テンサイ(Beta vulgaris)、ウシ(Bos taurus)、カンジダ・アルビカン
ス菌(Candida albicans)、カンジダ・アピコラ菌(Candida apicola)、カンジダ・グ
ラブラータ菌(Candida glabrata)、イヌ(Canis lupus)、トウガラシ(Capsicum annuum)、ニチニチソウ(Catharanthus roseus)、ケイトウ(Celosia argentea)、ベニバ
ナセンブリ(Centaurium erythraea)、ケタマカビ(Chaetomium globosum)、キヌア(Chenopodium quinoa)、ニカメイガ(Chilo suppressalis)、コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)、コクシディオイデス・イミティス菌(Coccidioides immitis)、クチベニガイ(Corbula caribea)、デバリオマイセス・ハンセニイ菌(Debaryomyces hansenii)、キイロタマホコリカビ菌(Dictyostelium discoideum)、エメリセラ・ニドランス菌(Emericella nidulans)、ウマ(Equus caballus)、エレモテシウム・ゴシッピー
(Eremothecium gossypii)、ハナビシソウ(Eschscholzia californica)、ジベレラ・
ゼアエ菌(Gibberella zeae)、ダイズ(Glycine max)、ワタ(Gossypium hirsutum)、ニワトリ(Gallus gallus)、キクイモ(Helianthus tuberosus)、ヒト(Homo sapiens
)、コボウズオトギリ(Hypericum androsaemum)、クルイベロマイセス・ラクティス菌
(Kluyveromyces lactis)、ミヤコグサ(Lotus japonicus)、マグナポリテ・グリセア
菌(Magnaporthe grisea)、マラセチア・グロボーサ菌(Malassezia globosa)、オシロイバナ(Mirabilis jalapa)、ハツカネズミ(Mus musculus)、イエバエ(Musca domestica)、ニューロスポラ・クラッサ菌(Neurospora crassa)、チャボイナモリ(Ophiorrhiza pumila)、ウチワサボテン(Opuntia ficus)、センニンサボテン(Opuntia stricta)、アナウサギ(Oryctolagus cuniculus)、イネ(Oryza sativa)、ヒツジ(Ovis aries)、ケシ(Papaver somniferum)、パセリ(Petroselinum crispum)、ファエオスフェ
リア・ノドラム菌(Phaeosphaeria nodorum)、ファネロカエテ・クリソスポリウム菌(Phanerochaete chrysosporium)、ヒメツリガネゴケ(Physcomitrella patens)、ヨウシ
ュヤマゴボウ(Phytolacca americana)、フィトフトラ・ラモルム菌(Phytophthora ramorum)、フィトフトラ・ソジャエ菌(Phytophthora sojae)、エンドウ(Pisum sativum
)、ポプラ(Populus trichocarpa)、マツバボタン(Portulaca grandiflora)、ベイマツ(Pseudotsuga menziesii)、ラット(Rattus norvegicus)、レッドビート(Red beet)、リゾプス・オリゼ菌(Rhizopus oryze)、リゾプス・ストロニファー菌(Rhizopus stolonifer)、トウゴマ(Ricinus communis)、サッカロミセス・セレビシエ菌(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ菌(Schizosaccharomyces pombe)、イヌカタヒバ(Selaginella moellendorffii)、キンランジソ(Solenostemon scutellarioides)、モロコシ(Sorghum bicolor)、ホウレンソウ(Spinacia oleracea)、ハスモントヨウ(Spodoptera litura)、スタルメレラ・ボンビコラ菌(Starmerella bombicola)、ステビア(Stevia rebaudiana)、イチイ(Taxus cuspidata)、カワラタケ(Trametes versicolor)、パンコムギ(Triticum aestivum)、クルーズトリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)、ヤハズエンドウ(Vicia sativa)、リョクトウ(Vigana radiata)、ヨ
ーロッパブドウ(Vitis vinifera)、アシュワガンダ(Withania somnifera)、アフリカツメガエル(Xenopus lavis)、トウモロコシ(Zea mays)等に由来する酵素が挙げられ
る。中でも、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、オシロイバナ(Mirabilis jalapa)に由来するものが好ましい。
(こ)配列番号19または20で表される塩基配列を有するDNA
(さ)配列番号19または20で表される塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、および/または付加された塩基配列を含み、かつNADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(し)配列番号 19または20で表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条
件でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつNADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(せ)配列番号21または22で表されるアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸が置換、欠失、および/または付加されたアミノ酸配列を含み、かつNADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列
(そ)配列番号21または22で表されるアミノ酸配列の60%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつNADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列
また、前記(そ)に記載の通り、NADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性を保持する限り、配列番号21または22に示されるアミノ酸配列全長と少なくとも60%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の配列同一性を有するタンパク質であってもよい。
即ち、酵母を宿主微生物とする場合は配列番号19または20の塩基配列に対してコドン最適化を実施して得られた以下の(た)、(ち)、または(つ)の塩基配列でコードされる酵素であることがより好ましい。
(ち)配列番号23または24で表される塩基配列において1または数個の塩基が置換
、欠失、および/または付加された塩基配列を含み、かつNADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(つ)配列番号23または24で表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつNADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
また、上述のNADPH−Cytochrome P450 レダクターゼをアミノ酸配列で規定すると、前述の(す)、(せ)、(そ)と同様のアミノ酸配列を有するものが好ましく、(す)、(せ)、または(そ)のアミノ酸配列からなるものがより好ましい。前記(そ)のアミノ酸配列の配列同一性の好ましい範囲についても、同様に考えることができる。
フェノール性水酸基に糖を付加する酵素活性とは、cyclo−DOPAやベタニジンが有するcyclo−DOPA骨格の5位や6位に存在するフェノール性水酸基に糖を付加することができる酵素活性である。この酵素活性を有するか否かは、測定の対象とするタンパク質が、糖供与体の存在下、cyclo−DOPAからcyclo−DOPA グルコシドを、またはベタニジンからベタシアニンを生成することができるかどうかを通常のアッセイ方法で測定することにより判定が可能である。例えば、糖供与体であるUDP−glusose存在下、cyclo−DOPAに測定の対象とする酵素を作用させ、cyclo−DOPAから変換されたcyclo−DOPA グルコシドの生成量を直接的に測定すること、もしくは、UDP−glusose存在下、ベタニジンに測定の対象とする酵素を作用させ、ベタニジンから変換されたベタニンの生成量を直接的に測定することで、その酵素活性を確認することができる。
−クマロイルソホロース、6,6’−ジクマロイルソホロース等であることが好ましく、グルコースであることが特に好ましい。このことより、例えばフェノール性水酸基にUDP−グルコースに由来するグルコースを転移させることが好ましい。
キヌア(Chenopodium quinoa)、リビングストンデージー(Dorotheanthus bellidiformis)、オシロイバナ(Mirabilis jalapa)、ウチワサボテン(Opuntia ficus)、センニンサボテン(Opuntia stricta)、マツバボタン(Portulaca grandiflora)、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolacca americana)、レッドビート(Red beet)、ホウレンソウ(Spinacia
oleracea)等に由来する酵素が挙げられる。
(て)配列番号25で表される塩基配列を有するDNA
(と)配列番号25で表される塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、および/または付加された塩基配列を含み、かつcyclo−DOPA 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(な)配列番号 25で表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件でハイブ
リダイズする塩基配列を含み、かつcyclo−DOPA 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(に)配列番号26で表されるアミノ酸配列
(ぬ)配列番号26で表されるアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸が置換、欠失、および/または付加されたアミノ酸配列を含み、かつcyclo−DOPA 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列
(ね)配列番号26で表されるアミノ酸配列の60%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつcyclo−DOPA 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列
ン使用頻度にあわせて塩基配列を最適化することができる。
即ち、酵母を宿主微生物とする場合は配列番号25の塩基配列に対してコドン最適化を実施して得られた以下の(の)、(は)、または(ひ)の塩基配列でコードされる酵素であることがより好ましい。
(は)配列番号27で表される塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、および/または付加された塩基配列を含み、かつcyclo−DOPA 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(ひ)配列番号27で表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつcyclo−DOPA 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
また、上述のcyclo−DOPA 5−O−グルコシルトランスフェラーゼをアミノ酸配列で規定すると、前述の(に)、(ぬ)、(ね)と同様のアミノ酸配列を有するものが好ましく、(に)、(ぬ)、または(ね)のアミノ酸配列からなるものがより好ましい。前記(ね)のアミノ酸配列の配列同一性の好ましい範囲についても、同様に考えることができる。
ベタニジン 5−O−グルコシルトランスフェラーゼとしては、ベニテングダケ(Amanita muscaria)、スギモリケイトウ(Amaranthus cruentus)、ハゲイトウ(Amaranthus tricolor)、テンサイ(Beta vulgaris)、ケイトウ(Celosia argentea)、キヌア(Chenopodium quinoa)、リビングストンデージー(Dorotheanthus bellidiformis)、オシロイバナ(Mirabilis jalapa)、ウチワサボテン(Opuntia ficus)、センニンサボテン(Opuntia stricta)、マツバボタン(Portulaca grandiflora)、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolacca americana)、レッドビート(Red beet)、ホウレンソウ(Spinacia oleracea)等に由来する酵素が挙げられる。
(ふ)配列番号28で表される塩基配列を有するDNA
(へ)配列番号28で表される塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、および/または付加された塩基配列を含み、かつベタニジン 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(ほ)配列番号28で表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつベタニジン 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
好ましく、以下の(ま)、(み)、または(む)のアミノ酸配列からなるポリペプチドがより好ましい。配列番号29はリビングストンデージーに由来するアミノ酸配列である。
(ま)配列番号29で表されるアミノ酸配列
(み)配列番号29で表されるアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸が置換、欠失、および/または付加されたアミノ酸配列を含み、かつcyclo−DOPA 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列
(む)配列番号29で表されるアミノ酸配列の60%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつcyclo−DOPA 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列
即ち、酵母を宿主微生物とする場合は配列番号28の塩基配列に対してコドン最適化を実施して得られた以下の(め)、(も)、または(や)の塩基配列でコードされる酵素であることがより好ましい。
(も)配列番号30で表される塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、および/または付加された塩基配列を含み、かつベタニジン 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(や)配列番号30で表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつベタニジン 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
また、上述のベタニジン 5−O−グルコシルトランスフェラーゼをアミノ酸配列で規定すると、前述の(ま)、(み)、(む)と同様のアミノ酸配列を有するものが好ましく、(ま)、(み)、または(む)のアミノ酸配列からなるものがより好ましい。前記(む)のアミノ酸配列の配列同一性の好ましい範囲についても、同様に考えることができる。
ベタニジン 6−O−グルコシルトランスフェラーゼとしては、ベニテングダケ(Amanita muscaria)、スギモリケイトウ(Amaranthus cruentus)、ハゲイトウ(Amaranthus tricolor)、テンサイ(Beta vulgaris)、ケイトウ(Celosia argentea)、キヌア(Chenopodium quinoa)、リビングストンデージー(Dorotheanthus bellidiformis)、オシロイバナ(Mirabilis jalapa)、ウチワサボテン(Opuntia ficus)、センニンサボテン(Opuntia stricta)、マツバボタン(Portulaca grandiflora)、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolacca americana)、レッドビート(Red beet)、ホウレンソウ(Spinacia oleracea)等に由来する酵素が挙げられる。
(ゆ)配列番号53で表される塩基配列を有するDNA
(よ)配列番号53で表される塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、および/または付加された塩基配列を含み、かつベタニジン 5−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(ら)配列番号53で表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつベタニジン 6−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
また、1もしくは数個の塩基が欠失、追加、挿入、および/または置換された塩基配列の作製は、突然変異剤を用いる方法や部位特異的変異法等の通常の変異操作によって得ることができる。これらは、例えばDiversify PCR Random Mutagenesis Kit(Clontech)やQuickChange Lightning Site−Directed Mutagenesis Kit(Agilent Technologies)等の市販キットで容易に行うことができる。
(る)配列番号54で表されるアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸が置換、欠失、および/または付加されたアミノ酸配列を含み、かつcyclo−DOPA 6−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列
(れ)配列番号54で表されるアミノ酸配列の60%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつcyclo−DOPA 6−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列
また、前記(れ)に記載の通り、ベタニジン 6−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を保持する限り、配列番号54に示されるアミノ酸配列全長と少なくとも60%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の配列同一性を有するタンパク質であってもよい。
即ち、酵母を宿主微生物とする場合は配列番号53の塩基配列に対してコドン最適化を実施して得られた以下の(ろ)、(わ)、または(を)の塩基配列でコードされる酵素であることがより好ましい。
(わ)配列番号55で表される塩基配列において1または数個の塩基が置換、欠失、および/または付加された塩基配列を含み、かつベタニジン 6−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
(を)配列番号55で表される塩基配列の相補鎖とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列を含み、かつベタニジン 6−O−グルコシルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA
また、上述のベタニジン 6−O−グルコシルトランスフェラーゼをアミノ酸配列で規定すると、前述の(り)、(る)、(れ)と同様のアミノ酸配列を有するものが好ましく、(り)、(る)、または(れ)のアミノ酸配列からなるものがより好ましい。前記(れ)のアミノ酸配列の配列同一性の好ましい範囲についても、同様に考えることができる。
なお、配列番号53に対して酵母発現用にコドン最適化を行ったものが、配列番号55
であるが、これらは、翻訳後のアミノ酸配列としては最適化前後で同一である。つまり、配列番号53、55の塩基配列により規定されるアミノ酸配列は配列番号54である。
以下、本発明で用いる微生物(本発明の微生物)の作製方法について説明する。宿主微生物とする微生物の種類は特に限定されないが、大腸菌、コリネ型細菌、シュードモナス属細菌、バチルス属細菌、リゾビウム属細菌、ラクトバチルス属細菌、サクシノバチルス属細菌、アナエロビオスピリラム属細菌、アクチノバチルス属細菌、糸状菌、酵母等が例示され、これらの中でも、大腸菌、酵母、コリネ型細菌が好ましく、大腸菌、酵母がより好ましく、酵母が最も好ましい。
以下、微生物の種類ごとに、該酵素および/または該酵素反応系の活性が付与された微生物を得る方法について説明する。
宿主微生物として大腸菌を用いる場合、大腸菌の親株としては、例えば、K12株またはB株、加えてこれらの誘導体を用いることが好ましい。本発明で用いることのできる親株としては、HB101、DH5α、JM109、JM110、BL21(DE3)、TH2、TOP10、及びこれらの改良株が挙げられ、これらの菌株は市販されている。加えて、例えば一遺伝子破壊株であるKEIOコレクションで使用されているBW25113株なども利用可能であり、これらはナショナルバイオリソースプロジェクトより分与が可能である。
大腸菌に目的とする遺伝子または配列を導入することができるプラスミドベクターとしては、大腸菌内での複製増殖機能を司る遺伝子を少なくとも含むものであれば特に制限されない。プラスミドベクターとしては、例えば、P15A、ColE1(pBR322、pUC)、RSF1030、pSC101、CloDF13などの複製開始点をもつものを好適に用いることができる。
宿主微生物として、コリネ型細菌(coryneform bacterium)を用いる場合、コリネ型細菌としては、コリネバクテリウム属に属する細菌、ブレビバクテリウム属に属する細菌又はアースロバクター属に属する細菌等が挙げられ、これらのうち、コリネバクテリウム属又はブレビバクテリウム属に属するものが好ましく、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、ブレビバクテリウム・フラバム(Brevibacterium flavum)、ブレビバクテリウム・アンモニアゲネス(Brevibacterium ammoniagenes)又はブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)に属する
細菌がより好ましい。
1498)、ブレビバクテリウム・アンモニアゲネス ATCC6872、コリネバクテ
リウム・グルタミカム ATCC13032、ココリネバクテリウム・グルタミカムAT
CC31831、及びブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムATCC13869等が挙げられる。
ム・フラバムMJ−233株、及びその変異株MJ−233 AB−41株はそれぞれ、コリネバクテリウム・グルタミカムMJ−233株及びMJ−233 AB−41株と同一の株であるものとする。また、ブレビバクテリウム・フラバムMJ−233は、1975年4月28日に通商産業省工業技術院微生物工業技術研究所(現独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター)(〒305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に受託番号FERMP−3068として寄託され、1981年5月1日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、FERM BP−1497の受託番号で寄託されている。
目的とする遺伝子または配列は、以下に示す方法によりコリネ型細菌に導入することができる。
に記載のpC2又はその改変プラスミド等を挙げることができる。
宿主微生物として、酵母を用いる場合、親株として用いる酵母の種類は特に限定されないが、サッカロミセス属、デバリオマイセス属、シゾサッカロマイセス属、キャンディダ属、ヤロウィア属、ロドトルラ属、リポマイセス属、クルイベロマイセス属、ロドスポリジウム属、トリコデルマ属または、トルロプシス属、ピキア属等に属する酵母を親株として用いることが好ましい。例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・バヤヌス(Saccharomyces bayanus)、デバリオマイセス・ニ
ルソニ(Debaryomyces nilssonii)、デバリオマイセス・ハンセニ(Debaryomyces hansenii)、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、キャンディダ・グラブラータ(Candida glabrata)、キャンディダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、キャンディダ・ユティリス(Candida utilis)、キャンディダ・ボイディニィ(Cand
ida boidinii)、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、ロドトルラ・グ
ルティニス(Rhodotorula glutinis)、リポマイセス・リポフェラス(Lipomyces lipoferus)、クルイベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、ロドスポリジウム
・トルロイディス(Rhodosporidium toruloides)、トリコデルマ・リセイ(Trichoderma
reesei)、トルロプシス・コリキュロサ(Torulopsis colliculosa)、ピキア・ファリ
ノサ(Pichia farinosa)等が挙げられる。これらの中で、代謝工学的手法が用いやすい
ことからサッカロミセス属が最も好ましい。
スフェートデヒドロゲナーゼ 1979、J.Biol.Chem.、254、9839-9845)をコードするTDH遺伝子のプロモーター、TEF1遺伝子(伸長因子1 1985、J.Biol.Chem.、260、3090-3096)のプロモーター、アルコールデヒドロゲナーゼをコードするADH遺伝子のプロモーター、グルコースの存在下に抑制される調節可能なCYC1遺伝子のプロモーター(1981、Proc.Natl.Acad.Sci.、USA、78、2199-2203)、チアミンにより調節され得るPH
O5遺伝子のプロモーター(1982、EMBO J.、1、675-680)、グルコース非存在下でガラ
クトースにより誘導されるGAL1またはGAL10遺伝子のプロモーターなどが挙げられる。
なお、酵母の形質転換は、例えば、エレクトロポレーション法(Fromm ME,et al. Nature 1986, 319(6056):791-793)、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法(Ito,H.et al, (1983) J. Bacteriol. 153(1), 163-168)等によって行うことができ、二種以上のプラス
ミドを導入することもできる。また、酵母における遺伝子の発現増強は、公知の相同組換え法によって宿主のゲノム上で該遺伝子を多コピー化させることによって行うこともできる。例えば、ゲノム組込型プラスミドのうち多コピーがゲノムに組み込まれるベクターを用いる方法(Bio/Technol. 1991, 9, 1382-1385)が挙げられる。ゲノム上の各遺伝子を
含む発現単位の挿入箇所は、クロチルアルコールもしくはその異性体の合成関連遺伝子や生育関連遺伝子の発現が阻害されない箇所であれば何れのものでもよい。
本発明の製造方法は、チロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性、DOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性、L−DOPA オキシダーゼ活性、NADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性、および、cyclo−DOPAもしくはベタニジンのフェノール性水酸基にUDP−グルコースからグルコースを転移する酵素活性、を有する微生物(本発明の微生物)またはその処理物の存在下、水性媒体中で原料をベタシアニンへと変換する工程(変換工程)を有することを特徴とする。
以下、本発明の製造方法について、工程ごとに説明する。
原料としては、チロシン、および/または糖質原料を用いることができる。ここでチロシンとしては、純度90%以上の市販品を好適に用いることができる。
糖質原料としては、グルコース、ガラクトース、フルクトース、キシロース、スクロース、マルトース、ラクトース、ラフィノース、サッカロース、デンプン、セルロースなどの炭水化物やグリセリン、マンニトール、リビトール、キシリトールなどのポリアルコール類等の発酵性糖質類等を用いることができ、中でもグルコースが好ましい。
本発明の製造方法に用いる微生物において、糖質原料からチロシンを合成する代謝フラックスが充分に強くない場合は、原料として糖質原料およびチロシンを用いることが好ましく、特にグルコースおよびチロシンを用いることが好ましい。
一方で、本発明の製造方法に用いる微生物において、糖質原料からチロシンを合成する代
謝フラックスが強い場合は、原料として糖質原料のみを用いることができる。目的とするベタシアニン類の生産プロセスの低コスト化のためには、より安価原料である糖質原料のみを用いることが好ましい。
本発明の培養工程は、上述のようにして得られた本発明の微生物を水性媒体中で培養する工程である。本工程は、本発明の微生物を培養して増殖させたり、本発明の微生物の状態を調えたりするために行なうものであるので、通常、本工程では、上述した原料のうち、本発明の微生物の生育に必要な原料のみを、具体的には、糖質原料(好ましくはグルコース)のみを用いる。
なお、本発明の微生物が充分な量、存在する場合等は、本工程は省略して、次の変換工程を行なうことができる。
水性媒体としては、炭素源、窒素源、無機塩及び必要に応じその他の有機微量栄養素を含有する通常の培地を用いることができるが、後述の炭素源等を含む培地や、水、リン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、ほう酸塩、クエン酸塩、トリスなどの緩衝液、メタノール、エタノールなどのアルコール類、酢酸エチルなどのエステル類、アセトンなどのケトン類、アセトアミドなどのアミド類等が挙げられる。
窒素源としては、例えば、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等のアンモニウム塩の他、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスティープリカー等が用いられる。
また、ビオチン、パントテン酸、イノシトール、ニコチン酸等のビタミン類、ヌクレオチド、アミノ酸などの生育を促進する因子を必要に応じて添加してもよい。
また、培養条件は、用いる微生物の生育が可能であれば特に制限はなく、通常、培養温度10℃〜45℃で12時間〜96時間実施することができる。本発明の微生物が、酵母である場合、水性媒体の温度を、好ましくは16℃以上、より好ましくは20℃以上、また、好ましくは30℃以下、より好ましくは25℃以下とするとベタシアニン類の生産効率が向上する傾向にあり、好ましい。
本発明の変換工程は、本発明の微生物またはその処理物の存在下、水性媒体中で原料をベタシアニン類へと変換する工程である。本工程は、原料をベタシアニン類へと変換することを目的とするものであり、原料としては、上述の糖質原料、および/またはチロシンが用いられる。
止菌体を、本工程において、本発明の微生物として用いることも好ましい。本発明の微生物の菌体を休止菌体とする方法としては、培養工程で得られた培養液から遠心操作等による菌体を回収する方法や、水、または、微生物の生育に必要な炭素源、および窒素源を含有しないバッファー等により洗浄することにより、菌体を回収する方法等が挙げられる。
用いる水性媒体(培地)に特に制限はなく、用いる微生物の種類に応じて適宜設定することができ、前記培養工程に記載したものと同様のものを用いることができる。本工程においては、水性媒体が、アスコルビン酸、UDP−グルコース、銅および鉄からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むものであることが好ましい。チロシナーゼ活性を有する微生物を用いる場合には銅を含むことが好ましく、フェノール性水酸基にグルコースを付加する酵素活性を有する微生物を用いる場合にはUDP−グルコースを含むことが好ましい。また、DOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性のためにアスコルビン酸および鉄を含むことが好ましい。特に好ましくは、アスコルビン酸、UDP−グルコース、銅および鉄を含むことである。
上述の変換工程の後に、必要に応じて、水性媒体からベタシアニンを回収する工程を有することが好ましい。
周知の方法、例えば、有機溶媒を用いる抽出、蒸留、カラムクロマトグラフィーなどにより、水性媒体または菌体内から回収することができ、必要に応じてさらに精製することができる。
本発明の製造方法では、ベタニン、ゴンフレニンIといった天然に存在するベタシアニンはもちろん、付加させる糖の種類を変えることで非天然型のベタシアニン類を製造することもできる。例えば、糖供与体として、UDP−ガラクトースを用いれば、ベタニジンにガラクトースが付加した式(11)に表される非天然型ベタシアニン類が製造できる。同様に、糖供与体として、UDP−N−アセチルグルコサミン、UDP−N−アセチルガラクトサミン、UDP−グルクロン酸、UDP−イズロン酸、UDP−キシロース、GDP−マンノース、GDP−フコース等を用いれば、UDPやGDPに結合した糖がベタニジンに付加した非天然型ベタシアニン類を製造することができる。これら化合物は強力な抗酸化活性を有することから、抗酸化剤等に好適に利用することができる。
[作製例1]チロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性、DOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性、L−DOPA オキシダーゼ活性、NADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性およびcyclo−DOPAもしくはベタニジンの5位の水酸基にUDP−グルコースからグルコースを転移する酵素活性を有する酵母の作製
Bacillus megaterium DSM 319, Ralstonia solanacearum GMI1000由来の2種類のチロ
シナーゼ(以下、この2種類のチロシナーゼを、それぞれ、BMTYR,RSTYRと称する)の遺伝子配列情報をNational Center for Biotechnology Information(NCBI)から得て、遺伝子合成により酵母のコドン頻度に最適化した。得られた最適化された遺伝子断片の全遺伝子配列(yBMTYRおよびyRSTYR)を、それぞれ、配列番号10、11に示す。配列番号10、11の遺伝子断片を、pUC57ベクター(GenScript社)のEcoRVサイトに挿入したプラスミドを作製した。得られたプラスミドを鋳型として、5’末端に制限酵素BamHIサイトを、3’末端に制限酵素HindIIIサイトを付加した、以下のプライマーを用いたPCRにより各遺伝子断片を得た。
yRSTYR遺伝子増幅用プライマー: 配列番号33、34
PCR反応液組成: 鋳型DNA 2μl、PrimeSTAR(R) HS DNA
Polymerase(タカラバイオ株式会社製) 0.5μl、5×PrimeSTAR Buffer 10μl、2.5mM dNTP Mixture 4μl、2μM各々プライマー 5μl、滅菌水24μl(これらを混合して全量50μlとした。)
反応温度条件: TaKaRa PCR Thermal Cycler Dice Touch (型式TP350)を用い、98℃で10秒、55℃で5秒、72℃で1分(BMTYR)、1分30秒(RSTYR)からなるサイクルを30回繰り返した。ただし、1サイクル目の98℃での保温は1分10秒とした。
会社)ゲル電気泳動により分離後、臭化エチジウム染色により可視化することにより行い、yBMTYRは約0.9kb、yRSTYRは約1.5kbの断片を検出した。ゲルからの目的断片の回収はWizard(R) SV Gel and PCR Clean−UP System(Promega製)を用いて行った。
Plasmid Miniprep Kit(SIGMA−ALDRICH製)を用いてプラスミドDNAを抽出した。得られたプラスミドDNAを、それぞれ、yBMTYR/pCR−bluntII、yRSTYR/pCR−bluntIIと命名した。
System(Promega製)を用いて回収した。
次いで、上記で得られた、それぞれのチロシナーゼ遺伝子断片と、酵母発現ベクターpESC−LEUとをLigation high Ver.2(TOYOBO製)を用いて連結した。得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換した。
オシロイバナ(Mirabilis jalapa)由来のDOPA 4,5−ジオキシゲナーゼ (以下、「MjDOD」と称する。) 遺伝子配列情報1種類をNCBIから得て、遺伝子合成により酵母のコドン頻度に最適化した。最適化したMjDODの全遺伝子配列(yMjDOD)を配列番号15に示す。配列番号15に記載の配列を、pUC57ベクター(GenScript社)のEcoRVサイトに挿入した。得られたプラスミドを鋳型として、5’末端に制限酵素BamHIサイトを、3’末端に制限酵素HindIIIサイトを付加したプライマー(配列番号35、および36) を用いたPCRにより遺伝子断片を得た。
反応温度条件: TaKaRa PCR Thermal Cycler Dice Touch (型式TP350)を用い、98℃で10秒、55℃で5秒、72℃で1分からなるサイクルを30回繰り返した。ただし、1サイクル目の98℃での保温は1分10秒とした。
得られたyMjDODのPCR断片をZero Blunt(R) TOPO(R) PCR Cloning Kit(invitrogen製)を用いてpCRTM−Blunt II−TOPO(R)ベクター (invitorgen製)に連結した後、得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換した。
pESC−LEUベクターと共存可能な酵母発現ベクターであるpESC−URA(Stratagene製)についてもBamHIおよびHindIIIにて制限酵素処理した後、同様の方法で分離し、約6.6kbの遺伝子断片を回収した。
このようにして得られた組み換え大腸菌を100μg/ml アンピシリンを含むLB寒天培地に塗抹した。この培地上でコロニーを形成したクローンを、100μg/ml アンピシリンを含むLB液体培地を用いて液体培養した後、得られた菌体からGenEluteTM HP Plasmid Miniprep Kit(SIGMA−ALDRICH製)を用いてプラスミドDNAを抽出した。得られたプラスミドDNAをyMjDOD/pESC−URAと命名した。
オシロイバナ(Mirabilis jalapa)由来のCYP76AD3の遺伝子配列情報1種類をNCBIから得て、遺伝子合成により酵母のコドン頻度に最適化した。最適化したCYP76AD3の全遺伝子配列(yCYP76AD3)を配列番号18に示す。配列番号18に記載の配列を、pUC57ベクター(GenScript社)のEcoRVサイトに挿入した。得られたプラスミドを鋳型として、5’末端に制限酵素EcoRIサイトを、3’末端に制限酵素SacIサイトを付加したプライマー(配列番号37、および38) を用いたPCRにより遺伝子断片を得た。
プライマー 5μl、滅菌水24μl(これらを混合して全量50μlとした。)
反応温度条件: TaKaRa PCR Thermal Cycler Dice Touch (型式TP350)を用い、98℃で10秒、55℃で5秒、72℃で1分30秒からなるサイクルを30回繰り返した。ただし、1サイクル目の98℃での保温は1分10秒とした。
得られたyCYP76AD3のPCR断片をZero Blunt(R) TOPO(R) PCR Cloning Kit(invitrogen製)を用いてpCRTM−Blunt II−TOPO(R)ベクター (invitorgen製)に連結した後、得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換した。
pESC−LEUベクター、pESC−URAベクターと共存可能な酵母発現ベクターであるpESC−HIS(Stratagene製)についてもEcoRIおよびSacIにて制限酵素処理した後、同様の方法で分離し、約6.7kbの遺伝子断片を回収した。
このようにして得られた組み換え大腸菌を100μg/ml アンピシリンを含むLB寒天培地に塗抹した。この培地上でコロニーを形成したクローンを、100μg/ml アンピシリンを含むLB液体培地を用いて液体培養した後、得られた菌体からGenEluteTM HP Plasmid Miniprep Kit(SIGMA−ALDRICH製)を用いてプラスミドDNAを抽出した。得られたプラスミドDNAをyCYP76AD3/pESC−HISと命名した。
シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)由来の2種類のNADPH−Cytochrome P450 レダクターゼAtATR1、AtATR2の遺伝子配列情報をそれぞれNCBIから得て、遺伝子合成により酵母のコドン頻度に最適化した。最適化したAtATR1、AtATR2の全遺伝子配列(yAtATR1、yAtATR2)を配列番号23、24に示す。配列番号23、24に記載の配列を、各々pUC57ベクター(GenScript社)のEcoRVサイトに挿入した。得られたプラスミドを鋳型として、5’末端に制限酵素BamHIサイトを、3’末端に制限酵素SalIサイトを付加したプライマー(配列番号39、40および41、42)を用いたPCRにより各々の遺伝子
断片を得た。
反応温度条件: TaKaRa PCR Thermal Cycler Dice Touch (型式TP350)を用い、98℃で10秒、55℃で5秒、72℃で2分からなるサイクルを30回繰り返した。ただし、1サイクル目の98℃での保温は1分10秒とした。
得られたyAtATR1、yAtATR2のPCR断片を各々Zero Blunt(R) TOPO(R) PCR Cloning Kit(invitrogen製)を用いてpCRTM−Blunt II−TOPO(R)ベクター (invitorgen製)に連結した後、得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換した。
このようにして得られた組み換え大腸菌を50μg/ml カナマイシンを含むLB寒天培地に塗抹した。この培地上でコロニーを形成したクローンを、50μg/ml カナマイシンを含むLB液体培地を用いて液体培養した後、得られた菌体からGenEluteTM HP Plasmid Miniprep Kit(SIGMA−ALDRICH製)を用いてプラスミドDNAを抽出した。ここで得られたプラスミドDNAをyAtATR1/pCR−bluntII、yAtATR2/pCR−bluntIIと命名した。
Ligation high Ver.2(TOYOBO製)を用いて、上記のyAtATR1、yAtATR2の各遺伝子断片と酵母用発現プラスミドyCYP76AD3/pESC−HISとを連結した。得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換した。このようにして得られた組み換え大腸菌を100μg/ml アンピシリンを含むLB寒天培地に塗抹した。この培地上でコロニーを形成したクローンを、100μg/ml アンピシリンを含むLB液体培地を用いて液体培養した後、得られた菌体からGenEluteTM HP Plasmid Miniprep Kit(SIGMA−ALDRICH製)を用いてプラスミドDNAを抽出した。得られたプラスミドDNAを各々yCYP76AD3+yAtATR1/pESC−HIS、yCYP76AD3+yAtATR2/pESC−HISと命名した。
オシロイバナ(Mirabilis jalapa)由来のcyclo−DOPA 5−O−グルコシル
トランスフェラーゼ(以下、「Mj5GT」と称する。)の遺伝子配列情報をNCBIから得て、遺伝子合成により酵母のコドン頻度に最適化した。最適化したMj5GTの全遺伝子配列(yMj5GT)を配列番号27に示す。配列番号27に記載の配列を、各々pUC57ベクター(GenScript社)のEcoRVサイトに挿入した。得られたプラスミドを鋳型として、5’末端に制限酵素BamHIサイトを、3’末端に制限酵素KpnIサイトを付加したプライマー(配列番号43、44)を用いたPCRにより各々の遺伝子断片を得た。
反応温度条件: TaKaRa PCR Thermal Cycler Dice Touch (型式TP350)を用い、98℃で10秒、55℃で5秒、72℃で1分30秒からなるサイクルを30回繰り返した。ただし、1サイクル目の98℃での保温は1分10秒とした。
得られたyMj5GTのPCR断片を各々Zero Blunt(R) TOPO(R) PCR Cloning Kit(invitrogen製)を用いてpCRTM−Blunt II−TOPO(R)ベクター (invitorgen製)に連結した後、得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換した。
pESC−LEUベクター、pESC−URA、pESC−HISベクターと共存可能な酵母発現ベクターであるpESC−TRP(Stratagene製)についてもBamHIおよびKpnIにて制限酵素処理した後、同様の方法で分離し、約6.5kbの遺伝子断片を回収した。
このようにして得られた組み換え大腸菌を100μg/ml アンピシリンを含むLB寒天培地に塗抹した。この培地上でコロニーを形成したクローンを、100μg/ml アンピシリンを含むLB液体培地を用いて液体培養した後、得られた菌体からGenEluteTM HP Plasmid Miniprep Kit(SIGMA−ALDRICH製)を用いてプラスミドDNAを抽出した。得られたプラスミドDNAをyMj5GT/pESC−TRPと命名した。
リビングストンデージー(Dorotheanthus bellidiformis)由来のベタニジン 5−O
−グルコシルトランスフェラーゼ(以下、「Db5GT」と称する。)の遺伝子配列情報をそれぞれNCBIから得て、遺伝子合成により酵母のコドン頻度に最適化した。最適化したDb5GTの全遺伝子配列(yDb5GT)を配列番号30に示す。配列番号30に記載の配列を、各々pUC57ベクター(GenScript社)のEcoRVサイトに挿入した。得られたプラスミドを鋳型として、5’末端に制限酵素BamHIサイトを、3’末端に制限酵素KpnIサイトを付加したプライマー(配列番号45、46)を用いたPCRにより各々の遺伝子断片を得た。
反応温度条件: TaKaRa PCR Thermal Cycler Dice Touch (型式TP350)を用い、98℃で10秒、55℃で5秒、72℃で1分30秒からなるサイクルを30回繰り返した。ただし、1サイクル目の98℃での保温は1分10秒とした。
得られたyDb5GTのPCR断片を各々Zero Blunt(R) TOPO(R) PCR Cloning Kit(invitrogen製)を用いてpCRTM−Blunt II−TOPO(R)ベクター (invitorgen製)に連結した後、得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換した。
pESC−LEUベクター、pESC−URA、pESC−HISベクターと共存可能な酵母発現ベクターであるpESC−TRP(Stratagene製)についてもBamHIおよびKpnIにて制限酵素処理した後、同様の方法で分離し、約6.5kbの遺伝子断片を回収した。
このようにして得られた組み換え大腸菌を100μg/ml アンピシリンを含むLB寒天培地に塗抹した。この培地上でコロニーを形成したクローンを、100μg/ml
アンピシリンを含むLB液体培地を用いて液体培養した後、得られた菌体からGenEluteTM HP Plasmid Miniprep Kit(SIGMA−ALDRICH製)を用いてプラスミドDNAを抽出した。得られたプラスミドDNAをyDb5GT/pESC−TRPと命名した。
スクロース合成酵素は、UDPとスクロースからUDP−グルコースを再生する酵素活性を示す。変換工程にて添加するグルコシルトランスフェラーゼの基質であるUDP−グルコースを再生する目的でグルコシルトランスフェラーゼと共に導入することとした。なおAtSUS1は、UDP−グルコース使用量の低減化を目的としており、特に導入しなくてもベタシアニンは生産される。シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)由来のスクロース合成酵素(以下、AtSUS1と称する)の遺伝子配列情報をNCBIから得て、遺伝子合成により酵母のコドン頻度に最適化した。最適化したAtSUS1の全遺伝子配列(yAtSUS1)を配列番号47に示す。配列番号47に記載の配列を、各々pUC57ベクター(GenScript社)のEcoRVサイトに挿入した。得られたプラスミドを鋳型として、5’末端に制限酵素EcoRIサイトを、3’末端に制限酵素SacIサイトを付加したプライマー(配列番号48、49)を用いたPCRにより各々の遺伝子断片を得た。
反応温度条件: TaKaRa PCR Thermal Cycler Dice Touch (型式TP350)を用い、98℃で10秒、55℃で5秒、72℃で2分30秒からなるサイクルを30回繰り返した。ただし、1サイクル目の98℃での保温は1分10秒とした。
得られたyAtSUS1のPCR断片を各々Zero Blunt(R) TOPO(R) PCR Cloning Kit(invitrogen製)を用いてpCRTM−Blunt II−TOPO(R)ベクター (invitorgen製)に連結した後、得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換した。
先に構築したyMj5GT/pESC−TRP、yDb5GT/pESC−TRPについても各々EcoRIおよびSacIにて制限酵素処理した後、同様の方法で分離し、約
8kbの遺伝子断片を回収した。
このようにして得られた組み換え大腸菌を100μg/ml アンピシリンを含むLB寒天培地に塗抹した。この培地上でコロニーを形成したクローンを、100μg/ml アンピシリンを含むLB液体培地を用いて液体培養した後、得られた菌体からGenEluteTM HP Plasmid Miniprep Kit(SIGMA−ALDRICH製)を用いてプラスミドDNAを抽出した。得られたプラスミドDNAをyMj5GT+AtSUS1/pESC−TRP、yDb5GT+AtSUS1/pESC−TRPと命名した。
上記(1)〜(7)で作製した、yBMTYR/pESC−LEU、yMjDOD/pESC−URA、yCYP76AD3+yAtATR1/pESC−HIS、yMj5GT+AtSUS1/pESC−TRPおよびyRSTYR/pESC−LEU、yMjDOD/pESC−URA、yCYP76AD3+yAtATR1/pESC−HIS、yMj5GT+AtSUS1/pESC−TRPの混合プラスミドで、それぞれ、サッカロミセス・セレビジエYPH500株(MATα ura3 lys2 ade2 trp1 his3 leu2)(Stratagene社)を酢酸リチウム法(Ito,H.et al,
(1983) J. Bacteriol. 153(1), 163-168)、もしくはエレクトロポレーション法(Fromm
ME,et al.,(1986) Nature 319(6056):791-793)で形質転換した。得られた組換え酵母をYeast Synthetic Drop−out Medium Supplements without histidine,leucine,tryptophan
and uracil(SIGMA−ALDRICH社)を含有するSD寒天培地(0.67% Yeast Nitrogen Base w/o Amino Acids(Difco社)、2% グルコース、2% 寒天)に塗抹した。この培地上でコロニーを形成したクローンを、それぞれ、YPH500/BMTYR/MjDOD/CYP76AD3/AtATR1/Mj5GT/AtSUS1、YPH500/RSTYR/MjDOD/CYP76AD3/AtATR1/Mj5GT/AtSUS1と命名し、ベタシアニン生産酵母株として以下のベタレイン色素生産試験に用いた。
(8)と同様、(1)〜(7)で作製した、yBMTYR/pESC−LEU、yMjDOD/pESC−URA、yCYP76AD3+yAtATR2/pESC−HIS、yMj5GT+AtSUS1/pESC−TRPおよびyRSTYR/pESC−LEU、yMjDOD/pESC−URA、yCYP76AD3+yAtATR2/pESC−HIS、yMj5GT+AtSUS1/pESC−TRPの混合プラスミドで、それぞれ、サッカロミセス・セレビジエYPH500株を形質転換した。続いて(8)と同様の手法にてセレクションを行い、得られたクローンをYPH500/BMTYR/MjDOD/CYP76AD3/AtATR2/Mj5GT/AtSUS1、YPH500/RSTYR/MjDOD/CYP76AD3/AtATR2/Mj5GT/AtSUS1と命名し、ベタレイン色素生産酵母株として以下のベタシアニン生産試験に用いた。
(8)と同様、(1)〜(7)で作製した、yBMTYR/pESC−LEU、yMjDOD/pESC−URA、yCYP76AD3+yAtATR1/pESC−HIS、yDb5GT+AtSUS1/pESC−TRPおよびyRSTYR/pESC−LEU、yMjDOD/pESC−URA、yCYP76AD3+yAtATR1/pESC−HIS、yDb5GT+AtSUS1/pESC−TRPの混合プラスミドで、それぞれ、サッカロミセス・セレビジエYPH500株を形質転換した。続いて(8)と同様の手法にてセレクションを行い、得られたクローンをYPH500/BMTYR/MjDOD/CYP76AD3/AtATR1/Db5GT/AtSUS1、YPH500/RSTYR/MjDOD/CYP76AD3/AtATR1/Db5GT/AtSUS1と命名し、ベタレイン色素生産酵母株として以下のベタシアニン生産試験に用いた。
(8)と同様、(1)〜(7)で作製した、yBMTYR/pESC−LEU、yMjDOD/pESC−URA、yCYP76AD3+yAtATR2/pESC−HIS、yDb5GT+AtSUS1/pESC−TRPおよびyRSTYR/pESC−LEU、yMjDOD/pESC−URA、yCYP76AD3+yAtATR2/pESC−HIS、yDb5GT+AtSUS1/pESC−TRPの混合プラスミドで、それぞれ、サッカロミセス・セレビジエYPH500株を形質転換した。続いて(8)と同様の手法にてセレクションを行い、得られたクローンをYPH500/BMTYR/MjDOD/CYP76AD3/AtATR2/Db5GT/AtSUS1、YPH500/RSTYR/MjDOD/CYP76AD3/AtATR2/Db5GT/AtSUS1と命名し、ベタレイン色素生産酵母株として以下のベタシアニン生産試験に用いた。
(8)と同様、(1)〜(7)で作製したyRSTYR/pESC−LEU、yMjDOD/pESC−URA、yDb5GT+AtSUS1/pESC−TRPの混合プラスミドで、それぞれ、サッカロミセス・セレビジエYPH500株を形質転換した。得られた組換え酵母をYeast Synthetic Drop−out Medium Supplements without histidine,leucine,tryptophan and uracil(SIGMA−ALDRICH社)およびヒスチジン(終濃度20mg/L)を含有するSD寒天培地(0.67% Yeast Nitrogen Base w/o Amino Acids(Difco社)、2% グルコース、2% 寒天)に塗抹した。この培地上でコロニーを形成したクローンを、YPH500/RSTYR/MjDOD/Db5GT/AtSUS1と命名し、ベタレイン色素生産酵母株として以下のベタシアニン生産試験に用いた。
(6)と同様、(1)〜(7)で作製したyRSTYR/pESC−LEU、yMjDOD/pESC−URA、yMj5GT+AtSUS1/pESC−TRPの混合プラスミドで、それぞれ、サッカロミセス・セレビジエYPH500株を形質転換した。続いて(12)と同様の手法にてセレクションを行い、得られたクローンをYPH500/RSTYR/MjDOD/Mj5GT/AtSUS1と命名し、ベタレイン色素生産酵母株として以下のベタシアニン生産試験に用いた。
休止菌体を用いて、ベタシアニン生産を行った実施例を以下に示す。
(前培養工程)
作製例1の(8)〜(11)で作製したYPH500/BMTYR/MjDOD/CYP76AD3/AtATR1/Mj5GT/AtSUS1、YPH500/BMTYR/
MjDOD/CYP76AD3/AtATR2/Mj5GT/AtSUS1、YPH500/BMTYR/MjDOD/CYP76AD3/AtATR1/Db5GT/AtSUS1、YPH500/BMTYR/MjDOD/CYP76AD3/AtATR2/Db5GT/AtSUS1、YPH500/RSTYR/MjDOD/CYP76AD3/AtATR1/Mj5GT/AtSUS1、YPH500/RSTYR/MjDOD/CYP76AD3/AtATR2/Mj5GT/AtSUS1、YPH500/RSTYR/MjDOD/CYP76AD3/AtATR1/Db5GT/AtSUS1およびYPH500/RSTYR/MjDOD/CYP76AD3/AtATR2/Db5GT/AtSUS1の8株をYeast Synthetic Drop−out Medium Supplements without histidine,leucine,tryptophan and uracil(SIGMA−ALDRICH社)を含有するSD培地2mlに植菌し、培養温度30℃、180rpmで20時間培養した。
得られた前培養液をOD600=0.2となるようにYeast Synthetic
Drop−out Medium Supplements without histidine,leucine,tryptophan and uracil(SIGMA−ALDRICH社)を含有するSR培地(0.67% Yeast Nitrogen Base w/o Amino Acids(Difco社)、2% ラフィノース)20mlに添加し、培養温度25℃、180rpmで培養した。OD600=0.7となった時点でガラクトース(終濃度2%)及びCuSO4(終濃度40μg/ml)、FeSO4(終濃度50μM)を添加し、タンパク発現誘導を行った。引き続き、培養を継続し、培養後32時間においてガラクトース(終濃度1%)及びラフィノース(終濃度1%)を、培養後48時間目においてリシン(終濃度30mg/L)及びアデニン(終濃度20mg/L)を添加し、50時間目まで培養を実施した。
上記の方法で得られた培養液全量を遠心分離(4℃、5000rpm、5分間)して得た菌体を一度50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)2mlにて洗浄後、再度、遠心分離して菌体を回収した。回収された菌体を反応バッファー[50μM FeSO4、4μg/ml CuSO4、2% スクロースを含む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)]4mlにて懸濁した。得られた懸濁液にアスコルビン酸を終濃度10mMおよび基質となるL−チロシン、UDP−グルコースを終濃度1mMとなるように添加することで反応を開始し、20 ℃、180rpmにて24時間反応させた。得られた反応液から遠心分離(12000rpm、1分間)した上清を0.45μmコスモスピンフィルター(日本ミリポア株式会社製)に通し、ろ液を分析サンプルとした。
解析は、Agilent Technologies 6460 Triple Quad LC/MSを用いて行なった。カラムはSunFireTM C18 3.5μm
2.1×150mm Column(Waters)を使用した。溶出は1%ギ酸(SolventA)と80%アセトニトリル(SolventB)を用い、SolventBの混合比を0%(0分)→0%(2分)→20%(20分)→100%(24分)→100%(26分)と経時的に増加させることにより行った(流速0.3ml/min、温度40℃)。ベタシアニンの一種であるベタニンはm/z=551および540nmのUV吸収をモニタリングすることで検出した。
ベタニン標品(SIGMA−ALDRICH)のLC/MS分析結果を図1に、YPH500/RSTYR/MjDOD/CYP76AD3/AtATR1/Db5GT/At
SUS1の反応サンプルのLC/MS分析結果(抽出イオンクロマトグラム(EIC)およびUV540nm)を図2に示す。また、各株の反応後24時間目のベタニンの蓄積量を表1に示す。
培養工程のみでベタシアニン生産を行った実施例を以下に示す。
(前培養工程(変換工程1))
作製例1の(8)〜(11)で作製したYPH500/BMTYR/MjDOD/CYP76AD3/AtATR1/Mj5GT/AtSUS1、YPH500/BMTYR/MjDOD/CYP76AD3/AtATR2/Mj5GT/AtSUS1、YPH500/BMTYR/MjDOD/CYP76AD3/AtATR1/Db5GT/AtSUS1、YPH500/BMTYR/MjDOD/CYP76AD3/AtATR2/Db5GT/AtSUS1、YPH500/RSTYR/MjDOD/CYP76AD3/A
tATR1/Mj5GT/AtSUS1、YPH500/RSTYR/MjDOD/CYP76AD3/AtATR2/Mj5GT/AtSUS1、YPH500/RSTYR/MjDOD/CYP76AD3/AtATR1/Db5GT/AtSUS1およびYPH500/RSTYR/MjDOD/CYP76AD3/AtATR2/Db5GT/AtSUS1の8株を実施例1(前培養工程)と同様の方法で培養した。
実施例1(本培養工程)と同様の方法で実施した。得られた培養液から遠心分離(12000rpm、1分間)した上清を0.45μmコスモスピンフィルター(日本ミリポア株式会社製)に通し、ろ液を分析サンプルとした。
(解析)
実施例1(解析)と同様の手法で実施した。
YPH500/RSTYR/MjDOD/CYP76AD3/AtATR1/Db5GT/AtSUS1の培養サンプルのLC/MS分析結果(抽出イオンクロマトグラム(EIC)およびUV540nm)を図3に示す。また、各株の培養後48時間目のベタニンの蓄積量を表2に示す。
以上より、チロシナーゼ、DOPA 4,5−ジオキシゲナーゼ、L−DOPA オキシダーゼ、NADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ、cyclo−DOPA 5−O−グルコシルトランスフェラーゼもしくはベタニジン 5−O−グルコシルトランスフェラーゼを導入した微生物を培養することのみでベタニンが自律的に生産可能であることが示された。
L−DOPA オキシダーゼとしてチロシナーゼを活用したYPH500/RSTYR/MjDOD/Db5GT/AtSUS1およびYPH500/RSTYR/MjDOD/Mj5GT/AtSUS1を用いてベタシアニン生産を行った実施例を以下に示す。
(前培養工程)
作製例1の(12)、(13)で作製したYPH500/RSTYR/MjDOD/Db5GT/AtSUS1およびYPH500/RSTYR/MjDOD/Mj5GT/AtSUS1をYeast Synthetic Drop−out Medium Supplements without histidine,leucine,tryptophan and uracil(SIGMA−ALDRICH社)およびヒスチジ
ン(終濃度20mg/L)を含有するSD培地2mlに植菌し、培養温度30℃、180rpmで20時間培養した。
得られた前培養液をOD600=0.2となるようにYeast Synthetic
Drop−out Medium Supplements without histidine,leucine,tryptophan and uracil(SIGMA−ALDRICH社)およびヒスチジン(終濃度20mg/L)を含有するSR培地(0.67% Yeast Nitrogen Base w/o Amino Acids(Difco社)、2% ラフィノース)20mlに添加し、培養温度25℃、180rpmで培養した。OD600=0.7となった時点でガラクトース(終濃度2%)及びCuSO4(終濃度40μg/ml)、FeSO4(終濃度50μM)を添加し、タンパク発現誘導を行った。引き続き、培養を継続し、培養後32時間においてガラクトース(終濃度1%)及びラフィノース(終濃度1%)を、培養後48時間目においてリシン(終濃度30mg/L)、アデニン(終濃度20mg/L)およびヒスチジン(終濃度20mg/L)を添加し、50時間目まで培養を実施した。
実施例1(変換工程)と同様の方法で反応を開始し、25℃、180rpmにて24時間反応させた。得られた反応液から遠心分離(12000rpm、1分間)した上清を0.45μmコスモスピンフィルター(日本ミリポア株式会社製)に通し、ろ液を分析サンプルとした。
実施例1(解析)と同様の手法で実施した。
(解析結果)
YPH500/RSTYR/MjDOD/Db5GT/AtSUS1の反応サンプルのLC/MS分析結果(抽出イオンクロマトグラム(EIC)およびUV540nm)を図4に示す。また、各株の反応後24時間目のベタニンの蓄積量を表3に示す。
Claims (10)
- チロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性、DOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性、L−DOPA オキシダーゼ活性、およびフェノール性水酸基に糖を付加する酵素活性、を有する微生物またはその処理物の存在下、水性媒体中で原料をベタシアニン類へと変換する工程(変換工程)を有することを特徴とする、ベタシアニン類の製造方法。
- 前記変換工程の前に、チロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素活性、DOPA4,5−ジオキシゲナーゼ活性、L−DOPA オキシダーゼ活性、およびフェノール性水酸基に糖を付加する酵素活性、を有する微生物を水性媒体中で培養する工程(培養工程)を有する、請求項1に記載のベタシアニン類の製造方法。
- 前記微生物がチロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素および/またはL−DOPA オキシダーゼ活性を有する酵素としてシトクロムP450を有し、且つNADPH−Cytochrome P450 レダクターゼ活性を有する、請求項1または2に記載のベタシアニン類の製造方法。
- 前記フェノール性水酸基が、cyclo−DOPA骨格のフェノール性水酸基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のベタシアニン類の製造方法。
- 前記糖は、グルコースである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のベタシアニン類の製造方法。
- 前記変換工程の後に、前記水性媒体からベタシアニンを回収する工程を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のベタシアニン類の製造方法。
- 前記チロシンのフェノール環の3位を水酸化する酵素がチロシナーゼである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のベタシアニン類の製造方法。
- 前記変換工程において、前記微生物として休止菌体を用いる、請求項1〜7のいずれか1項に記載のベタシアニン類の製造方法。
- 前記原料がチロシン、および/または糖質原料である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のベタシアニン類の製造方法。
- 前記変換工程において、前記水性媒体が、アスコルビン酸、UDP−グルコース、銅および鉄からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載のベタシアニン類の製造方法。
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