JP3302241B2 - 内装材およびその製造方法 - Google Patents

内装材およびその製造方法

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勇 丹羽
康司 鈴木
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリ塩化ビニル(以
下PVCと記す)等の成分中に塩素を含有する樹脂を使
用しないため、燃焼によっての有毒ガスの発生のない床
材、壁材等の内装材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、内装材としてPVC樹脂で構成さ
れているものが一般的であるが、PVC樹脂は燃焼時に
有毒ガス等を発生させるため、環境保護の観点から問題
視された。そこで、成分中に塩素原子を含まない樹脂を
用いて内装材を形成することが試みられ、就中、内装材
にクッション性を付与するために樹脂を発泡させ、内装
材に積層された。
【0003】内装材の発泡層を付与する方法として、押
出機内に樹脂と発泡剤を含有する組成物を投入して押出
した時、あるいは押出した後に樹脂を加熱し発泡させ、
その後エンボスを施す方法(特開平6−270314)
または、樹脂と膨張材を混入したエマルジョンを塗布
し、加熱発泡させて発泡層を形成する方法(特開平6−
47875)が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】押出し発泡によって発
泡層を形成する場合、発泡するまで温度を上げなければ
ならないので、押出しのスピードを上げることが難し
く、製造効率が低かった。また、発泡層を形成する樹脂
を巾を広く均一に押し出すことも困難であった。一方、
樹脂と膨張材を混入したエマルジョンを塗布、発泡させ
て発泡層を形成する場合には、溶媒が水系であるときに
はこの溶媒を蒸発させるために多大なエネルギーが必要
となり、エネルギーコストが高騰し、生産速度も速くす
ることができなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、効果的に得ら
れ、かつ意匠性の高い成分中に塩素を含まない樹脂によ
って構成される内装材およびその製造法を提供すること
を目的とし、基材上に、成分中に塩素を含まない樹脂粉
体と発泡剤を含有する非水組成物の樹脂層を加熱形成す
る工程、ロール間に通して表面平滑にする工程、模様を
形成する工程、加熱発泡させる工程、の順で各工程で処
理する内装材等の製造方法、及び前記製造方法により得
られる内装材、を要旨とする。尚、本発明において内装
材とは建築用床材、及び壁装材をいう。
【0006】
【発明の実態の形態】以下、図面によって本願内装材お
よびその製造方法を説明する。「図1」は、本願内装材
製造工程図である。不燃紙、合成樹脂シート、ガラス繊
維の織布または不織布基材上1に成分中に塩素原子を含
まない樹脂、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体(以
下EVAと記す)、ポリアクリル酸エステル、ポリメタ
クリル酸エステル、ポリオレフィン等の発泡性粉体をロ
ータリーフィーダー3から0.5〜10mm厚で塗布
し、プレヒートオーブン4にてプレヒートを行ない、フ
ラットロール5,5’で表面を平滑にした後、転写ロー
ル6で樹脂層表面に転写により模様形成し、メインオー
ブン7にて120〜250℃で加熱発泡を行なう。発泡
倍率は1.3〜20倍である。その後、エンボスロール
8にてエンボスを付与し、本願内装材9が形成される。
【0007】「図2」は本願内装材の他の製造工程図で
ある。上記組成物の発泡性粉体をロータリースクリーン
10,10’等のステンシル装置で基材上に模様状に塗
布し、プレヒートオーブン4、フラットロール5,
5’、メインオーブン7を通り、加熱発泡され、本願内
装材9’が形成される。なお、基材1を剥離可能な剥離
シートやコンベアベルトと交換し、最終段階で上層を剥
離し、基材のない床材を製造することも可能である。ま
た、耐久性、耐汚れ性を付与するためにアクリル、エバ
ール、ポリプロピレン、ポリエチレンのフィルムを表面
層として積層しても良い。
【0008】上記製造工程にて、ロータリーフィーダー
またはロータリースクリーン等のステンシル装置を用い
て基材上に塗布される発泡性粉体に含有されている塩素
原子を含まない樹脂として最も好ましいのはEVA(M
FRが5−50g/10min(好ましくは、MFRが
10−40g/10min)、酢酸ビニル(VAc)量
5−40wt%)である。また、発泡体の改質のため、
EVA樹脂にポリプロピレン、ポリエチレン等の粉体を
1〜50wt%加えてもよい。また、発泡剤としてはジ
ニトロソペンタメチレンテトラミン、ベンゼンスルホニ
ルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、
p、p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジ
ド)、3、3’−ジスルホンヒドラジドジフェニルスル
ホン、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボンア
ミド等が例示され、発泡促進材として尿素エタノールア
ミン、亜鉛華、炭酸鉛、ステアリン酸鉛、グリコール等
が例示される。さらに充填材として水酸化アルミニウ
ム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、クレ
ー、タルク等が例示される。なお、MFRは樹脂の流動
性を示す値であって、数字の大きい程流動性が高いこと
を示す。(ASTM D−1238改)
【0009】この発泡性粉体の成分構成は、EVA10
0PHRに対し、発泡剤1〜10PHR、発泡促進剤
0.1〜5PHR、顔料1〜20PHR、充填剤1〜1
00PHRが好ましい。
【0010】「図3」は上記製造工程にて製造された本
願内装材の断面図である。上記製造工程によって下から
基材1、発泡層11、転写による模様層12が順に積層
されて内装材13が得られる。
【0011】「図4」は本願内装材の他の断面図であ
る。製造工程中にロータリースクリーン等のステンシル
装置を複数台配置することによって、基材1上に模様状
の発泡層11’、11”、11”’を有する内装材を得
ることができる。このようにして得られた内装材は、床
材、壁装材として有用なものであった。
【0012】
【実施例】以下に実施例を示す。
【実施例1】80g/m2の壁紙用裏打紙の基材上に
「表1」配合で混合した発泡性粉体をロータリーフィー
ダーで厚さ約2mmになる様に散布し、プレヒートオー
ブンにて加熱後、フラットロールで表面を平滑にし、そ
の後メインオーブン(200℃)で加熱発泡し、最後に
エンボスロールで型押しして厚さ6mmの発泡壁紙を得
た。
【0013】
【表1】 (単位:PHR) EVA 100 (MFR15g/10min、VAc20%、42メッシュアンダー粉砕物) アゾジカーボンアミド系発泡剤 8.0 微細亜鉛化 2.0 着色剤 7.0 水酸化アルミニウム 20
【0014】
【実施例2】80g/m2の壁紙用裏打紙の基材上にこ
の上に「表2」配合で混合した発泡性粉体をロータリー
スクリーンで厚さ約2mmになる様に散布し、プレヒー
トオーブンにて加熱後、フラットロールで表面を平滑に
し、その後メインオーブン(200℃)で加熱発泡し、
最後にエンボスロールで型押しして厚さ4mmの発泡壁
紙を得た。
【0015】
【表2】 (単位:PHR) EVA 100 (MFR15g/10min、VAc33%、60メッシュアンダー粉砕物) アゾジカーボンアミド系発泡剤 5.0 ステアリン酸亜鉛 3.0 着色剤 5.0 水酸化アルミニウム 30
【0016】実施例1、2で得られた発泡壁紙は環境保
護の面で優れ、エンボスの付与またはロータリースクリ
ーンによる表面形成によって意匠性も向上した。また、
製造時の発泡加工も効率がよく、エネルギーコストも低
いものであった。
【0017】
【発明の効果】 成分中に塩素原子を含まない樹脂、その他材料を用い
ているので、環境保護の面で優れている。 高速度で粉体樹脂の発泡ができ、押し出し加工より高
い能率で成形加工ができた。 早い立上りで加工できるので、広巾加工でも均一な厚
さが得られた。 エマルジョン系の発泡性樹脂は、水分を蒸発させてゲ
ル化するまで多量のエネルギーを必要とするが、本願発
明では、加熱直後に発泡体が得られるのでエネルギーコ
ストは低かった。 強度は塩化ビニルを用いた内装材と同等もしくはそれ
以上であった。 エンボスロールによるエンボスの付与やロータリース
クリーンによる変化に富んだ表面の形成によって意匠性
が向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願内装材の製造工程図
【図2】 本願内装材の他の製造工程図
【図3】 本願内装材の断面図
【図4】 本願内装材の他の断面図
【符号の説明】
1.基材 2.発泡性粉体 3.ロータリーフィーダー 4.プレヒートオーブン 5、5’.フラットロール 6.転写ロール 7.メインオーブン 8.エンボスロール 9、9’.本願内装材 10、10’.ロータリースクリーン 11.発泡層 11’、11”、11”’.ロータリースクリーンによ
る発泡層 12.模様層 13.本願内装材

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材上に、成分中に塩素を含まない樹脂粉
    体と発泡剤を含有する非水組成物の樹脂層を加熱形成す
    る工程、ロール間に通して表面平滑にする工程、模様を
    形成する工程、加熱発泡させる工程、の順で各工程で処
    理する内装材の製造方法。
  2. 【請求項2】基材上に、成分中に塩素を含まない樹脂粉
    体と発泡剤を含有する非水組成物の樹脂層に模様を形成
    する工程、前記模様を形成した樹脂層を加熱する工程、
    ロール間に通して表面平滑にする工程、加熱発泡させる
    工程、の順で各工程で処理する内装材の製造方法。
  3. 【請求項3】基材上に、成分中に塩素を含まない樹脂粉
    体と発泡剤を含有する非水組成物の樹脂層を加熱形成す
    る工程が、ステンシル装置により着色発泡性樹脂粉体層
    を形成する請求項1、又は2の内装材の製造方法。
  4. 【請求項4】基材上に、成分中に塩素を含まない樹脂粉
    体と発泡剤を含有する非水組成物の樹脂層を加熱形成す
    る工程、ロール間に通して表面平滑にする工程、模様を
    形成する工程、加熱発泡させる工程、の順で各工程で処
    理することにより成形された内装材。
  5. 【請求項5】基材上に、成分中に塩素を含まない樹脂粉
    体と発泡剤を含有する非水組成物の樹脂層に模様を形成
    する工程、前記模様を形成した樹脂層を加熱する工程、
    ロール間に通して表面平滑にする工程、加熱発泡させる
    工程、の順で各工程で処理することにより成形された内
    装材。
  6. 【請求項6】発泡層上に転写模様が形成された請求項
    4、又は5の内装材。
  7. 【請求項7】基材上にステンシル装置により模様状に形
    成された発泡層を有する請求項4、又は5の内装材。
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