JP3301794B2 - 全開時及び全閉時を保持できる蝶番 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は扉を全開した状態及び全
閉した状態を保持できるようにした蝶番に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】扉の開閉用として使用する蝶番におい
て、扉が全開した状態あるいは全閉した状態さらには任
意の開度で扉を保持する場合、図８に示すように蝶番軸
を嵌挿支持する軸支持筒の一部に切欠きを設け、この切
欠きに常にばね圧下に支持された合成樹脂性のストッパ
−Ｓ叉はボールを嵌合して停止状態を保持するものがあ
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】蝶番軸を嵌挿支持する
軸支持筒の一部に切欠きを設ける方式では使用時におい
て切欠き周辺部の摩耗によりストッパーとしての作用が
緩くなり、ストッパーとしての作用ができなくなる。ま
た、このばね圧下にて摺動自在に支持するストッパ−Ｓ
のため、蝶番片１．２の幅Ｗを小さくするにも限度があ
り、さらに２つの蝶番片ほ折り畳んだ時の蝶番の厚さに
も限度があり、小型化されにくい欠点がある。

【０００４】本発明は小型化されると共に組立が簡易
で、しかも確実なストッパーの作用をして扉の開閉保持
を行なわしめることを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するためになしたもので、一端縁に軸支持筒を互いに噛
み合うようにし、これに１本の軸を挿通して２つの蝶番
片を枢着するようにした蝶番において、一方の蝶番片の
最外側の軸支持筒外端面に中心を通る直線上に対向して
切欠きを形成するとともに、その軸端に嵌合され、コ字
形状のばねをばね係止溝に係止することにより、該ばね
と相対的に回転することなく挟持され、そのばね圧にて
軸支持筒側に押圧されるキャップに前記切欠きと予め定
めた位置にて嵌合係止する突起を設け、前記コ字形状の
ばねを他方の蝶番片の軸支持筒を有する側縁を除いた他
の三側縁に沿って配設してばね押えにて係止してなるこ
とを特徴とする。

【０００６】

【作用】軸にて枢着された２つの蝶番片に、その一方の
軸支持筒端面に中心を通る直線上位置に対向して２つの
切欠きを設け、この軸端に嵌合され、常に固定されるキ
ャップに突条を設け、切欠きにばね圧を介して嵌合係止
される。このため、２つの蝶番片を全開したときと全閉
したとき、突条が切欠きに嵌合係止されて扉の開または
閉状態がキャップを押圧するばね圧にて保持される。そ
してこのばね圧に抗して蝶番片を動かすとこの突起が切
欠きより外れ、自由に開閉できる。

【０００７】

【実施例】以下本発明全開時及び全閉時を保持できる蝶
番を図示の実施例にもとづいて説明する。図において
１，２は蝶番片で、これは平板状の本体の一端縁に櫛歯
状に突出した軸支持筒１１，２１を突設し、この両蝶番
片１，２を互いに突き合わせるとき、この軸支持筒１１
と２１が図示のように互いに噛み合い、１本の筒状とな
るようにして設ける。

【０００８】この軸支持筒１１，２１はその内に１本の
軸３を貫通するように所要径を有し、一般には蝶番片の
本体の一部を巻収して形成されるとともに許容耐荷重に
対応してその板厚及び軸支持筒１１，２１の数が定めら
れ、図示のものでは蝶番片１には上部と下部に計２つの
軸支持筒１１，１１を、他方の蝶番片２には中央部に１
つの軸支持筒２１を設け、この上下の軸支持筒１１，１
１間に他方の軸支持筒２１を挿入し互いに噛み合うよう
になす。

【０００９】そしてこの上下に重なる軸支持筒１１，２
１間には金属または合成樹脂製の座金４，４を挿入し、
軸支持筒１１，２１間に貫通される軸３はこの座金４を
も貫通し、これにより両蝶番片１，２の軸３を中心とし
た揺動が円滑に行えるようになす。

【００１０】そして両端部の軸支持筒１１，１１の外側
端面には夫々２つの切欠き１１ａ，１１ａを軸支持筒の
中心線を通る直線上に対向して設け、この位置は２つの
蝶番片１，２が一枚状になったとき及び２つ重ね状にな
ったとき、キャップの突起を嵌合係止するようにして定
める。

【００１１】この最外側の軸支持筒１１，１１の外側端
面は蝶番片の本体１の側端面より内方にあって、これに
位置決めキャップ５を当接する。この位置決めキャップ
５は内側に軸３の端部を嵌合する有底状の軸孔５Ｈを穿
設するとともに軸孔開口側の端面に、中心を通す直線上
に配列される突起５１，５２を突設し、この突起５１，
５２と反対側端にばね係止溝５３を設けて成る。

【００１２】また他方の蝶番片２は軸支持筒２１と反対
側端にばね押え２２を設け、蝶番片２の軸支持筒２１を
有する側縁を除いた他の三側縁に沿って本体の内側面に
沿うように配設されるコ字形状のばね６をばね押え２２
にて係止し、かつこのピアノ線を屈曲して成るばね６の
端部を軸端に被冠したキャップ５のばね係止溝５３に嵌
合係止する。

【００１３】これによりコ字形のばね６の両端は夫々軸
端に被冠したキャップ５のばね係止溝５３に係止され、
キャップ５はこのばね圧にて軸支持筒１１側へ常に押圧
されて係着される。

【００１４】上述の如く構成した蝶番を開閉扉に取り付
けて扉を開閉させるとき、この扉の開閉に追随して蝶番
片１，２は軸３にて揺動する。図１、図２に示すように
扉が閉じているとき、キャップ５の突起５１はばね圧に
て軸支持筒１１の切欠き１１ａに嵌合され、閉鎖状態を
保持している。扉を開くとき、キャップを押圧するばね
圧以上に扉を強く動かすとキャップ５の突起５１はばね
圧に抗してキャップを外側方へ移動させて切欠き１１ａ
より外れる。これにより扉は自由にすなわち蝶番片１，
２は自由に揺動する。

【００１５】そして扉を完全に開いた状態では蝶番片
１，２は図３のように嵩低く重なる。この蝶番片１，２
が揺動する際、キャップはばねに係止されて停止状態で
あるが蝶番片１が軸３を中心にして回動するため、突起
５１は蝶番片１が１８０度旋回した位置で再び軸支持筒
１１の切欠き１１ａと一致し、ばね圧にてキャップは押
圧されているので、切欠き１１ａ内に突起５１が嵌合係
止され、扉は保持される。このようにして扉は１８０度
旋回した位置で、すなわち全開または全閉時で停止状態
が保持される。

【００１６】また図６、図７に示すものはキャップ５を
押圧するばねの異なった参考例で、これは蝶番片１の両
側端面に夫々軸端面位置に支持片１２，１２を突設し、
この支持片１２と軸支持筒１１との間の空間にキャップ
５を挿入し、軸端を嵌合するようになすとともにこのキ
ャップ５と支持片１２間にコイルばね７を嵌挿し、キャ
ップ５を軸支持筒１１側に押圧する。そしてこの蝶番片
１，２、軸３、キャップ５等の構成はばねの形状及び取
付位置が変わるだけで、図１の実施例と同じであり、さ
らに作用も同じである。

【００１７】

【発明の効果】本発明の全開時及び全閉時を保持できる
蝶番は、最外側の軸支持筒外端面に中心を通る直線上に
対向して切欠きを形成し、軸端に嵌合され、ばね圧にて
軸支持筒側に押圧されるキャップに切欠きと予め定めた
位置にて嵌合係止する突起を設けているため、蝶番片の
幅を小さくすることができ、しかも２つの蝶番片を折り
畳んだ場合にも嵩低くする事ができるので小型化を図
れ、扉に取り付けた場合のデザインも良くなると共に、
簡易な構成で扉を開または閉の状態で保持でき、しかも
設定トルク以上で扉を動かすとき容易に扉を開閉できる
利点を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明全開時及び全閉時を保持できる蝶番の開
いた状態を示す正面図である。

【図２】同側面図である。

【図３】同閉じた状態を示す側面図である。

【図４】キャップの説明図である。

【図５】軸支持筒の説明図である。

【図６】異なる参考例の一部破断した正面図である。

【図７】図６の側面図である。

【図８】公知例の説明図である。

【符号の説明】

１，２ 蝶番片 １１，２１ 軸支持筒 １１ａ 切欠き ３ 軸 ４ 座金 ５ キャップ ５１ 突起 ６，７ ばね

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一端縁に軸支持筒を互いに噛み合うよう
   にし、これに１本の軸を挿通して２つの蝶番片を枢着す
   るようにした蝶番において、一方の蝶番片の最外側の軸
   支持筒外端面に中心を通る直線上に対向して切欠きを形
   成するとともに、その軸端に嵌合され、コ字形状のばね
   をばね係止溝に係止することにより、該ばねと相対的に
   回転することなく挟持され、そのばね圧にて軸支持筒側
   に押圧されるキャップに前記切欠きと予め定めた位置に
   て嵌合係止する突起を設け、前記コ字形状のばねを他方
   の蝶番片の軸支持筒を有する側縁を除いた他の三側縁に
   沿って配設してばね押えにて係止してなることを特徴と
   する全開時及び全閉時を保持できる蝶番。