JP3301497B2 - 熱可塑性ポリウレタン - Google Patents

熱可塑性ポリウレタン

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JP3301497B2 JP03995093A JP3995093A JP3301497B2 JP 3301497 B2 JP3301497 B2 JP 3301497B2 JP 03995093 A JP03995093 A JP 03995093A JP 3995093 A JP3995093 A JP 3995093A JP 3301497 B2 JP3301497 B2 JP 3301497B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微粒子状磁性粒子の分
散性に優れ、且つ高密度充填が可能な磁気記録媒体用結
合剤等に有用な熱可塑性ポリウレタンに関する。
【0002】
【従来の技術】従来磁気記録媒体用結合剤としては、エ
チルセルローズ、ニトロセルローズ、ポリ塩化ビニリデ
ン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−
ブタジエン共重合体、ポリメタアクリル酸メチル樹脂、
塩化ビニリデン−メタアクリル酸メチル共重合体、ポリ
ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などが
使用されてきた。
【0003】しかしコンピューター用データーテープ、
フロッピーディスクおよびビデオテープのような高性能
を要求される用途には性能的には十分なものとはいえな
いのが現状である。特に近年、ビデオテープ用途におい
てはハイグレード化が加速しており、鮮明な音、画像を
記録再生するため高密度記録が可能な磁気記録媒体が要
望されている。
【0004】高密度化の方策として、磁性粉の微粒子
化、高磁力化が図られるとともに、磁性層中における磁
性粉の充填密度を増大させる傾向が強くなってきてい
る。ところが、前途のような磁性粉の微粒子化による比
表面積の増大や高磁力化による凝集力の増大に伴い、前
途のような従来の結合剤では、磁性粉の分散機能が十分
でなく、その分散機能をリン酸化合物等の分散剤に委ね
られていたが、結合剤に分散剤を配合した系では、長期
使用の場合にブリードの発生等、磁性層の耐久性に悪影
響が表れる。
【0005】上述した問題点を解決するために、結合剤
にスルホン酸基、水酸基、カルボキシル基、リン酸基等
の親水性極性基を導入し、磁性粉との親和化を向上させ
た高い分散機能を有する結合剤が提案されている。(特
公昭58−41565号公報、特開昭57−92422
号公報、同59−30235号公報、同59−1546
33号公報、同60−15473号公報、同60−20
315号公報、同62−1110号公報等)これらの
内、スルホン酸基を含有する結合剤が最も磁性粉の分散
性が優れており、有望である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
スルホン酸基を含有する結合剤は高価であり、また一般
的には公知の有機溶剤を反応媒体とした溶液重合によっ
て製造される。そのためその製品形状は液体状(ワニス
状)であり、有効成分である固形分は製品の一部にすぎ
ない。そのため製品を輸送する場合、その輸送コストは
高くなり、また可燃性の有機溶剤を共存したかたちで輸
送するため安全上の問題もある。また実質上、溶液重合
に用いた反応媒体が磁性塗料の溶剤となるため、磁気記
録媒体製造時の溶剤回収装置に適応した溶剤を反応媒体
に使用しなければならず、個々の装置ごとに溶媒を変更
して結合剤を製造することは困難である。
【0007】以上の理由により、固体状の磁気記録媒体
用の結合剤が望まれており、特公昭58−8053号公
報、同61−231050号公報、特公平3−1364
8号公報等に提案されているが、磁性粉の均一分散性、
高充填性、即ち低い空隙率、塗膜時の高い表面平滑性を
満足する固体状の磁気記録媒体用結合剤は得られていな
い。本発明者等はある特定の熱可塑性ポリウレタンが固
体状の磁気記録媒体用結合剤として有望であることを見
出だし、本発明に至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、数平均分
子量が500〜5000であり、酸成分における芳香族
ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸の割合がモル比率で
(芳香族ジカルボン酸)/(脂肪族ジカルボン酸)=5
/95〜90/10であるポリエステルポリオールと、
分子量が500未満の低分子ジオール及び有機ジイソシ
アネートを反応せしめて得られる熱可塑性ポリウレタン
であって、該ポリウレタンがスルホン酸金属塩基を該ポ
リマー当り10〜1000当量/106g有し、且つ、ウ
レタン基濃度が該ポリマー当り1200〜3000当量
/106gであることを特徴とする熱可塑性ポリウレタン
である。
【0009】本発明における熱可塑性ポリウレタンの原
料であるポリエステルポリオールの数平均分子量は50
0〜5000でなければならない。数平均分子量が50
0未満の場合、熱可塑性ポリウレタン樹脂の柔軟性がな
くなり実用的でない。また数平均分子量が2000を越
えるとポリエステルポリオール自身の溶融粘度が高くな
り流動性が低下し、製造が困難になるばかりか熱可塑性
ポリウレタンのソフトセグメントを形成するポリエステ
ルポリオールの結晶性が高くなり溶剤に対する溶解性が
低下する。これらの点から、特に好ましいポリエステル
ポリオールの数平均分子量は500〜2000である。
【0010】また本発明におけるポリエステルポリオー
ルはその構成成分である酸成分における芳香族ジカルボ
ン酸と脂肪族ジカルボン酸の割合がモル比率で(芳香族
ジカルボン酸)/(脂肪族ジカルボン酸)=5/95〜
90/10好ましくは、30/70〜70/30でなけ
ればならない。上記比率を5/95未満にすると得られ
た熱可塑性ポリウレタン樹脂は柔らかくなり例えばペレ
ット状の場合、ペレット同士が粘着するいわゆる“ブロ
ッキング”が起こり、製造上及び製品の取り扱い上実用
的でない。また、このブロッキングを防止するために熱
可塑性ポリウレタンのウレタン基濃度を高め熱可塑性ポ
リウレタン樹脂自身を硬くするとブロッキングは防止で
きるが逆に溶剤溶解性が低下するか、もしくは溶剤に溶
解しても併用される他の樹脂例えば塩化ビニル樹脂など
との相溶性が低下し、結果として磁性粉の高分散、高充
填を実現できない。
【0011】一方、上記比率が90/10を越えるとポ
リエステルポリオール自身の剛直性が増し、高軟化点、
高粘度となり熱可塑性ポリウレタン樹脂の製造が困難に
なるばかりか得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂の溶剤
溶解性、他樹脂との相溶性が低下し、やはり磁性粉の高
分散、高充填を実現できない。
【0012】本発明に用いられるポリエステルポリオー
ルを構成する芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタル
酸などが用いられる。またp−オキシ安臭香酸、p−
(ヒドロキシエトキシ)安臭香酸などの芳香族オキシカ
ルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などのトリ
及びテトラ芳香族カルボン酸も併用できる。一方、脂肪
族ジカルボン酸としてはコハク酸、アジピン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸などが用い
られる。また、後述するようにスルホン酸金属塩基を有
する芳香族または脂肪族ジカルボン酸も使用できる。
【0013】グリコール成分としては、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオー
ル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−
ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレ
ングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−
トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−シク
ロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレン
オキシド付加物およびプロピレンオキシド付加物、水素
化ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物およびプ
ロピレンオキシド付加物などがある。またトリメチロー
ルエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペン
タエリスリトールなどのトリおよびテトラオールを併用
してもよい。
【0014】本発明に用いられる低分子ジオールとして
はエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,
6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、1,3
−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオ
ペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジ
オール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエ
チレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−
シクロヘキサンジメタノール、1,4−ビス(2−ヒド
ロキシエトキシ)ベンゼンなどが挙げられる。これらの
低分子ジオールは1種もしくは2種以上併用して用いて
もよい。
【0015】本発明の熱可塑性ポリウレタン樹脂に使用
される有機ジイソシアネートとしては、2,4−トリレ
ンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネー
ト、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタ
ンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレン
ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−
ビフェニレンジイソシアネート、2,4−ナフタレンジ
イソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4−ビフェ
ニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニレンジイ
ソシアネート、4、4’−ジイソシアネート−ジフェニ
ルエーテル、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p
−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシア
ネート、1,3−ジイソシアネートメチルシクロヘキサ
ン、1,4−ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、
4,4’−ジイソシアネートジシクロヘキサン、4,
4’−ジイソシアネートジシクロヘキシルメタン、イソ
ホロンジイソシアネート等が挙げられるが、これらは1
種もしくは2種以上で併用して用いてよい。
【0016】本発明における熱可塑性ポリウレタン樹脂
はポリマー当りスルホン酸金属塩基を10〜1000当
量/106g含有すればよい。ポリマー当りのスルホン酸
金属塩基が10当量/106g未満であると磁性粒子の分
散が悪くなり、高い充填性を得ることができない。また
ポリマー当りのスルホン酸金属塩基が1000当量/1
6gを越えると熱可塑性ポリウレタン樹脂の溶剤溶解性
が不良となり、実用性に欠けたものとなる。
【0017】本発明における熱可塑性ポリウレタン樹脂
はポリエステルポリオール、低分子ジオールおよび有機
ジイソシアネートとの反応によって得られるものであ
り、いずれの成分がスルホン酸金属塩基を含有してもよ
いが、好ましくはポリエステルポリオールの一部あるい
は全部がスルホン酸金属塩基を有するものがよい。
【0018】スルホン酸金属塩基を有するポリエステル
ポリオールは、その酸成分の一部がスルホン酸金属塩基
を有するジカルボン酸であることが望ましい。また該ス
ルホン酸金属塩基を有するジカルボン酸は芳香族ジカル
ボン酸、脂肪族ジカルボン酸のいずれであっても構わな
い。
【0019】スルホン酸金属塩基を含有するジカルボン
酸成分としては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、
5−カリウムスルホイソフタル酸、2−ナトリウムスル
ホテレフタル酸、2−カリウムスルホテレフタル酸など
がある。これらのスルホン酸金属塩基を含有するジカル
ボン酸成分の共重合量は全カルボン酸成分に対して0.
5モル%以上、望ましくは1〜50モル%であるが、こ
の際における芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸
とのモル比率は(芳香族ジカルボン酸)/(脂肪族ジカ
ルボン酸)=5/95〜90/10でなければならな
い。
【0020】上記スルホン酸金属塩基を含有するポリエ
ステルポリオールは1種または2種以上であってもよ
い。またスルホン酸金属塩基を有しないポリエステルポ
リオールと併用してもよい。しかしこの際においても全
ポリエステルポリオールの酸成分における芳香族ジカル
ボン酸と脂肪族ジカルボン酸とのモル比率は(芳香族ジ
カルボン酸)/(脂肪族ジカルボン酸)=5/95〜9
0/10でなければならない。
【0021】本発明における熱可塑性ポリウレタンのウ
レタン基濃度はポリマー当り1500〜3000当量/
106gでなければならない。尚、ウレタン基濃度は例え
ば、有機ジイソシアネートとして4,4’−ジフェニル
メタンジイソシアネート(以後、MDIと略す)を用い
た場合、次式で表される。 ウレタン基濃度={(MDI仕込量)/(全原料仕込
量)}÷125×106 (当量/106g)
【0022】ウレタン基濃度が1200当量/106g未
満の場合は得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂が柔らか
くなり、ペレット同士のブロッキングが著しく、製造上
および取り扱い上実用的でない。また、3000当量/
106gを越えるとブロッキングはなくなるが、樹脂の溶
剤溶解性及び他樹脂との相溶性が低下し、結果として磁
性粉の高分散、高充填が実現できない。
【0023】本発明における熱可塑性ポリウレタン樹脂
の製造方法は、公知の方法例えば、全原料を急速混合
し、混合物をコンベアーベルト状で加熱、重合を行なう
塊状重合法、単軸あるいは多軸抽出機により混練りしな
がら重合する溶融重合法等を用いることができる。また
この際の望ましい配合率は有機ジイソシアネートのNC
O基/ポリエステルポリオールと低分子ジオールの全O
H基=0.5〜1.5、好ましくは0.8〜1.2であ
る。
【0024】また、本発明における熱可塑性ポリウレタ
ン樹脂の製造において、必要に応じて触媒を使用でき
る。触媒としては例えば、トリエチルアミン、トリエチ
レンジアミン等の含窒素化合物、ジブチル錫ジラウリレ
ート、オクチル酸錫等の有機金属化合物等が挙げられ
る。
【0025】また、本発明における熱可塑性ポリウレタ
ン樹脂はペレツト状、フレーク状、シート状等所望の形
状で使用できるが、塗料製造工程おける溶剤への溶解性
を考慮すると、樹脂の比表面積が広く、溶解が容易なペ
レット状が望ましい。
【0026】本発明における熱可塑性ポリウレタン樹脂
は必要に応じてジブチルフタレート、トリフェニルホス
フェートのような可塑剤、ジオクチルスルホ−ナトリウ
ムサクシエート、t−ブチルフェノール−ポリエチレン
エーテル、エチルナフタレン−スルホン酸ソーダジラウ
リルサクシネートステアリン酸亜鉛、大豆油レシチン、
シリコーンオイル等の潤滑剤や種々の帯電防止剤、置換
ベンゾトリアソール類等の紫外線吸収剤、フェノール誘
導体等の酸化防止剤、およびカルボジイミド類等の加水
分解防止剤、ステアリン酸金属塩等の滑剤等を添加する
こともできる。
【0027】本発明に係る磁気記録媒体の結合剤とし
て、本発明の熱可塑性ポリウレタン樹脂とともに、通常
用いられている他のポリウレタン樹脂や、塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合体、エチルセルローズ、ニトロセルロ
ーズ等の繊維素系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹
脂、フェノキシ樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共
重合体等の熱硬化性樹脂または反応型樹脂および不飽和
プレポリマー、例えばウレタンアクリルタイプ、ポリエ
ステルアクリルタイプ、または多官能モノマーとして、
ウレタンアクリルタイプ、リン酸エステルアクリルタイ
プ、アリールタイプ等の電子線または紫外線硬化型樹脂
を併用することができる。
【0028】本発明において使用される微粉末磁性粒子
としては、スピネル構造を有するγ−Fe2 3 、Cr
2 、コバルトフェライト(CoO,Fe2 3 )、コ
バルト吸着酸化鉄、強磁性Fe−Co−Ni系合金等が
挙げることができる。
【0029】本発明に係る熱可塑性ポリウレタン樹脂
は、磁気記録媒体用結合剤以外に塗料、接着剤、シーリ
ング剤、防水剤、床材、人工皮革、繊維処理剤、弾性繊
維、クッション材、シート、ベルト、フィルム、ロー
ル、ギアー、ソレッドタイヤ、防振材、チューブ、パッ
キング材、靴底等に利用することができる。
【0030】
【実施例】以下、実施例および比較例によって本発明を
具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限られる
ものではない。尚、実施例および比較例における「部」
は特に断りのない限り「重量部」である。また熱可塑性
ポリウレタン樹脂の還元粘度はフェノール/テトラクロ
ロエタン(6:4重量比)混合溶媒で、30℃で測定し
た。
【0031】(1) スルホン酸金属塩基含有ポリエステル
ポリオールの合成例 温度計、攪拌機、溜出用コンデンサーを具備した反応容
器中に、テレフタル酸を43500部、イソフタル酸を
39300部、アジピン酸を114600部、5−ナト
リウムスルホイソフタル酸を7400部、エチレングリ
コールを42600部、ネオペンチルグリコールを87
900部、1,4−シクロヘキサンジメタノールを62
100部、テトラブチルチタネート6.0部を仕込み、
180〜230℃で5時間エステル化反応を実施し、次
いで反応系を30分かけて5mmHgまで減圧し、この
間240℃まで昇温した。さらに0.3mmHg、24
0℃で重縮合反応を10分間行なった。得られたポリエ
ステルの0H価は79.3mgKOH/g で数平均分子量は1
414であった。NMR分析等からその組成は次のとお
りであった。テレフタル酸20モル%、イソフタル酸1
8モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸2モル
%、アジピン酸60モル%、エチレングリコール35モ
ル%、ネオペンチルグリコール35モル%、1,4−シ
クロヘキサンジメタノール30モル%。
【0032】同様の製造方法により表1に示したポリエ
ステルポリオール(B)〜(E)を得た。
【表1】 表1におけるISNな5−ナトリウムスルホイソフタル
酸を示す。
【0033】 (2) 磁性粉の分散性評価 熱可塑性ポリウレタン樹脂 12部 ビニライトVAGH(UCC社製) 18部 Co含有γ−Fe2 3 120部 メチルエチルケトン 135部 トルエン 135部
【0034】上記組成の混合物を、ペイントシェーカー
を用いて5時間混練りした後、更にコロネート−L(日
本ポリウレタン製)を12部添加し、更に30分混合し
た。得られた磁性塗料を厚さ50μmのポリエチレンテ
レフタレートフィルム上に50μmのギャップのドクタ
ーブレードを用いて塗布し、溶剤を乾燥除去した。得ら
れた磁性塗膜の磁性粉の均一分散性、充填率、及び表面
平滑性を以下のように評価した。
【0035】均一分散性:磁性塗膜の表面光沢を光沢計
で測定した。 充填率 :磁性塗膜をシリコンオイル中に浸せきさ
せ、シリコンオイルの含浸量より磁性塗膜の空隙率を求
め評価した。 表面平滑性:触針計で磁性塗膜の表面粗さを測定し、評
価した。
【0036】実施例1 表1におけるポリエステルポリオール(A)、MDI、
及びプロピレングリコールをそれぞれ100℃、50
℃、25℃で貯蔵した貯槽よりギアーポンプを用いて以
下の送液量で送液し、スクリュー径30mmの二軸抽出機
(L/D=40)内へ投入し、最終樹脂温度で230℃
となる温度条件で混練りしながら熱可塑性ポリウレタン
を連続的に溶融重合した。 ポリエステルポリオール(A):108.7部/分 プロピレングリコール : 5.8部/分 MDI : 36.0部/分
【0037】溶融状態の熱可塑性ポリウレタン樹脂を二
軸抽出機のダイ部よりストライド状で吐出させクーリン
グバスで水冷し、ストランドカッターによりペレット化
した後60℃、窒素気流下で30時間、乾燥、キュアー
し、ペレット状の熱可塑性ポリウレタン樹脂を得た。得
られた熱可塑性ポリウレタン樹脂のスルホン酸金属塩基
の含有量は65当量/106g、ウレタン基濃度は190
0当量/106gであり、還元粘度(ηSP/c)は1.0
6であった。またこの得られた熱可塑性ポリウレタン樹
脂のブロッキングはなかった。
【0038】この樹脂を用いた磁性塗膜の表面光沢、空
隙率及び表面粗さは第2表に示すごとくそれぞれ91、
21.0%、0.023μmと良好な値を得た。
【0039】実施例2〜5 原料の組成及びウレタン基濃度を表2ごとく変更した他
は実施例1と同様な方法で熱可塑性ポリウレタン樹脂を
得た。得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂はブロッキン
グしていなく、これらの樹脂を用いた磁性塗膜の表面光
沢、空隙率及び表面粗さは表2に示すごとくいずれも良
好な値を得た。
【表2】 表2においてPGはプロピレングリコール、MPGは2
−メチル−1,3−プロパンジオール、MPDは3−メ
チル1,5−ペンタンジオールを示す。
【0040】比較例1 実施例1と同様の組成で組成比のみをウレタン基濃度が
1190当量/106gとなるように変更し、実施例1と
同様な方法を用いて熱可塑性ポリウレタン樹脂を得た。
この樹脂を用いた磁性塗膜の表面光沢、空隙率及び表面
粗さは表2に示すごとく良好であるが、得られた熱可塑
性ポリウレタン樹脂のペレットは著しくブロッキングし
ており、取り扱いが困難であった。
【0041】比較例2 実施例1と同様の組成で組成比のみをウレタン基濃度が
3200当量/106gとなるように変更し、実施例1と
同様な方法を用いて熱可塑性ポリウレタン樹脂を得た。
得られた熱可塑性ポリウレタン樹脂は磁性塗料の溶媒で
あるメチルエチルケトン/トルエン(1/1重量比)混
合溶媒に不溶であった。
【0042】比較例3 ポリエステルポリオールとして表1の(D)(酸成分の
芳香族/脂肪族のモル比率が2/98)、鎖延長剤とし
て、3−メチル−1,5−ペンタンジオールを用い、ウ
レタン基濃度が2820当量/106gとなる組成比で実
施例1と同様の方法で熱可塑性ポリウレタン樹脂を得
た。この樹脂を用いた磁性塗膜の表面光沢、空隙率及び
表面粗さは表2のごとく良好な値を得たが、得られた熱
可塑性ポリウレタン樹脂ペレットはブロッキングが著し
く取り扱いが困難であった。
【0043】比較例4 ポリエステルポリオールとして表1の(E)(スルホン
酸金属塩基を含まない)を用いた他は実施例1と同様の
方法で熱可塑性ポリウレタン樹脂を得た。この樹脂を用
いた磁性塗膜の表面光沢、空隙率及び表面粗さは表2に
示すごとく不良であった。
【0044】
【発明の効果】本発明における熱可塑性ポリウレタン樹
脂を使用することにより、低コストで磁性粒子の分散性
に優れた磁気記録媒体用結合剤を得ることが可能とな
り、その結果、低コストで高密度磁気記録媒体を得るこ
とができ、産業に寄与するところ大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−206910(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 18/00 - 18/87 C09D 5/23 C09D 175/04 - 175/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 数平均分子量が500〜5000であ
    り、酸成分における芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカル
    ボン酸の割合がモル比率で(芳香族ジカルボン酸)/
    (脂肪族ジカルボン酸)=5/95〜90/10である
    ポリエステルポリオールと、分子量が500未満の低分
    子ジオール及び有機ジイソシアネートを反応せしめて得
    られる熱可塑性ポリウレタンであって、該ポリウレタン
    がスルホン酸金属塩基を該ポリマー当り10〜1000
    当量/106g有し、且つ、ウレタン基濃度が該ポリマー
    当り1200〜3000当量/106gであることを特徴
    とする熱可塑性ポリウレタン。
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