JP3300586B2 - 車両の被固定物用固定装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、車両の被固定物用
固定装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】キャブオーバ型トラック等の車両の場
合、図９〜図１２に示される如く、車室内における運転
席側のシート（図示せず）と助手席側のシート１との間
に、上方へ膨出するように、被固定物としてのエンジン
フード２が着脱自在に設置されるものがある。

【０００３】前記エンジンフード２は、車室前方に設置
されたフロントアーチ３と、車室後方に設置されたリア
フード４との間に掛け渡すように固定されたセンタフー
ド５の両側に配設され、図９〜図１２には助手席側のエ
ンジンフード２を図示してある。

【０００４】前記エンジンフード２のフロアパネル６に
対する固定の仕方について説明すると、エンジンフード
２の前側は、フロアパネル６の側面に固定された支持ブ
ラケット７’に、硬質ゴム等からなるラッチバンド８’
の基端部をピン９’により回動自在に取り付け、該ラッ
チバンド８’の先端側に設けたピン１０’を、エンジン
フード２の前側所要箇所に固定されたフックブラケット
１１’に対して、前記ラッチバンド８’を引張った状態
で係合させることにより、固定するようになっており、
又、エンジンフード２の後側は、フロアパネル６の一段
高くなっている部分にシート１がシートレッグ１２を介
して設置される関係上、シート１とエンジンフード２と
の間におけるフロアパネル６上に支持ブラケット７を取
り付け、該支持ブラケット７に、長尺の棒状体を縦長の
矩形形状に屈曲形成してなるヒンジピン９の基端部を回
動自在に支持せしめ、該ヒンジピン９の先端部に、硬質
ゴム等からなるラッチバンド８の基端部を回動自在に取
り付け、該ラッチバンド８の先端側に設けたピン１０
を、エンジンフード２の後側所要箇所に固定されたフッ
クブラケット１１に対して、前記ラッチバンド８を引張
った状態で係合させることにより、固定するようになっ
ている。

【０００５】尚、図示していない運転席側のエンジンフ
ードのフロアパネル６に対する固定の仕方は、前述の助
手席側のエンジンフード２の場合と同様になっており、
又、センタフードに対するエンジンフード２の固定装置
については、図示を省略してある。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
如きエンジンフード２の固定装置における後側の支持ブ
ラケット７は、図９〜図１２に示される如く、断面略Ｕ
字状で且つ互いに対峙する立上がり部７ａにヒンジピン
９の支持孔７ｂが穿設されているだけであり、ラッチバ
ンド８は、ヒンジピン９を介して車両の左右方向にしか
回動できないため、図１２中実線で示されるように、ラ
ッチバンド８のピン１０をフックブラケット１１に係合
させた状態から、図１２中仮想線で示されるように、ラ
ッチバンド８のピン１０をフックブラケット１１から離
脱させた後、エンジンフード２を取り外そうとした場
合、前記ラッチバンド８及びヒンジピン９の動きはシー
ト１によって制約を受け、エンジンフード２との間隔を
充分に取ることができず、エンジンフード２がラッチバ
ンド８やヒンジピン９と干渉してしまい、取り外すこと
ができなくなる虞れがあった。

【０００７】又、エンジンフード２の装着時において
も、前述と同様に、ラッチバンド８やヒンジピン９との
干渉により、エンジンフード２の取り付けができなくな
る虞れがあった。

【０００８】本発明は、斯かる実情に鑑み、エンジンフ
ード等の被固定物の装脱時におけるラッチバンドやヒン
ジピンとの干渉を回避し得、被固定物の装脱を円滑に行
い得る車両の被固定物用固定装置を提供しようとするも
のである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、断面略Ｕ字状
で且つ互いに対峙する立上がり部に支持孔が穿設され、
車両のシート近傍におけるフロアパネル上に取り付けら
れる支持ブラケットと、該支持ブラケットの立上がり部
に穿設された支持孔に対し、基端部が回動軸を中心とし
て回動自在となるよう支持されるヒンジピンと、該ヒン
ジピンの先端部に取り付けられ、且つ被固定物を固定す
るためにフックブラケットに対し係合離脱可能なラッチ
バンドとを有する車両の被固定物用固定装置であって、
支持ブラケットの互いに対峙する立上がり部に穿設され
る支持孔のうち少なくとも一方を、ラッチバンドのフッ
クブラケットへの係合時にはヒンジピンの支持ブラケッ
トに対する回動軸が孔縁に係合し、ラッチバンドのフッ
クブラケットからの離脱時にはヒンジピンの支持ブラケ
ットに対する回動軸が係合位置から下方へ傾動自在とな
る形状としたことを特徴とする車両の被固定物用固定装
置にかかるものである。

【００１０】上記手段によれば、以下のような作用が得
られる。

【００１１】ラッチバンドをフックブラケットに係合さ
せた状態から、ラッチバンドをフックブラケットから離
脱させた後、ヒンジピンの支持ブラケットに対する回動
軸を支持孔に沿って傾動させると、ヒンジピンとラッチ
バンドとをシートをかわす位置に移動させることがで
き、この状態から、前記ラッチバンドとヒンジピンを反
被固定物側に回動させれば、被固定物とシートとの間に
スペースが確保される。

【００１２】この結果、被固定物を取り外そうとした場
合、該被固定物がラッチバンドやヒンジピンと干渉する
ことがなくなり、被固定物の取り外しが円滑に行われる
こととなる。

【００１３】又、被固定物の装着時においても、前述と
同様に、被固定物がラッチバンドやヒンジピンと干渉す
ることはなく、被固定物の取り付けが円滑に行われる。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図示
例と共に説明する。

【００１５】図１〜図４は本発明を実施する形態の一例
であって、図中、図９〜図１２と同一の符号を付した部
分は同一物を表わしており、基本的な構成は図９〜図１
２に示す従来のものと同様であるが、本図示例の特徴と
するところは、図１〜図４に示す如く、支持ブラケット
７の互いに対峙する立上がり部７ａに穿設される支持孔
７ｂのうち車両後方側の支持孔７ｂを、上方から下方へ
向け所要の傾斜角度θでシート１側へ近づく方向へ延び
る長孔とすることにより、ヒンジピン９の支持ブラケッ
ト７に対する回動軸が前記長孔に沿って車両後方側へ傾
動自在となるよう構成した点にある。

【００１６】次に、上記図示例の作動を説明する。

【００１７】図１中仮想線で示すように、ラッチバンド
８のピン１０をフックブラケット１１に係合させた状態
（Ａ状態）から、図１中実線で示すように、ラッチバン
ド８のピン１０をフックブラケット１１から離脱させた
後（Ｂ状態）、ヒンジピン９の支持ブラケット７に対す
る回動軸を前記長孔とした支持孔７ｂに沿って傾動させ
ると、図１中仮想線で示すように、ヒンジピン９と一緒
にラッチバンド８が車両後方側へ傾き（Ｃ状態）、図２
中仮想線で示すように、ヒンジピン９とラッチバンド８
とがシート１をかわす位置に移動するため、この状態か
ら、前記ラッチバンド８とヒンジピン９を反エンジンフ
ード２側（図２の手前側）に回動させることが可能とな
り、エンジンフード２とシート１との間にスペースが確
保される。

【００１８】この結果、エンジンフード２を取り外そう
とした場合、該エンジンフード２がラッチバンド８やヒ
ンジピン９と干渉することがなくなり、エンジンフード
２の取り外しが円滑に行われることとなる。

【００１９】又、エンジンフード２の装着時において
も、前述と同様に、エンジンフード２がラッチバンド８
やヒンジピン９と干渉することはなく、エンジンフード
２の取り付けが円滑に行われる。

【００２０】こうして、エンジンフード２の装脱時にお
けるラッチバンド８やヒンジピン９との干渉を回避し
得、エンジンフード２の装脱を円滑に行い得る。

【００２１】図５は支持ブラケット７の変形例であっ
て、支持ブラケット７の互いに対峙する立上がり部７ａ
に穿設される支持孔７ｂの両方を、上方から下方へ向け
所要の傾斜角度でシート１側へ近づく方向へ延びる長孔
とすることにより、ヒンジピン９の支持ブラケット７に
対する回動軸が前記長孔に沿って、車両後方側或いは車
両前方側へ傾動自在となるよう構成したものである。

【００２２】このようにすれば、ラッチバンド８とヒン
ジピン９を車両後方側だけでなく車両前方側へも傾かせ
ることが可能となり、更に自由度が増して、エンジンフ
ード２の形状やシート１の位置が異なるような場合にも
有効に対応することができるようになる。

【００２３】尚、前記長孔は、上方から下方へ向け所要
の傾斜角度でシート１側へ近づく方向へ延びるよう形成
する代りに、傾斜させずに単に上方から下方へ略垂直に
延びるように形成してもよい。

【００２４】又、前記支持ブラケット７の立上がり部７
ａに穿設される支持孔７ｂの形状は、前述のような長孔
に限らず、要は、ヒンジピン９の支持ブラケット７に対
する回動軸が所望の方向へ傾動自在となる形状であれ
ば、図６に示す如く、台形のような形状としたり、或い
は、その他の形状とすることも可能である。

【００２５】上述の例においては、被固定物がエンジン
フード２である場合の固定装置を示したが、図７及び図
８に示す如く、被固定物としての工具袋１３をシート１
とバックパネル１４との間の狭隘な場所に対して装脱自
在に固定する場合に、上述の例の場合と同様な支持孔７
ｂが立上がり部７ａに形成された支持ブラケット７に、
ヒンジピン９を介してゴム製のラッチバンド８を取り付
け、該ラッチバンド８の先端部に、引掛けピン１５を取
り付け、該引掛けピン１５をフロアパネル６上に固定さ
れたフックブラケット１１に係合離脱可能として、工具
袋１３の固定装置を構成することもできる。

【００２６】図７及び図８に示す例の場合、工具袋１３
の装脱時には、ヒンジピン９の支持ブラケット７に対す
る回動軸を支持孔７ｂに沿って傾動させ、ヒンジピン９
とラッチバンド８とをシート１をかわす位置に移動させ
た状態から、前記ラッチバンド８とヒンジピン９を反工
具袋１３側に回動さることができるため、工具袋１３の
取り付けや取り外しを、ラッチバンド８やヒンジピン９
との干渉なしに円滑に行うことが可能となる。

【００２７】尚、本発明の車両の被固定物用固定装置
は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発
明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得
ることは勿論である。

【００２８】

【発明の効果】以上、説明したように本発明の車両の被
固定物用固定装置によれば、エンジンフードや工具袋等
の被固定物の装脱時におけるラッチバンドやヒンジピン
との干渉を回避し得、被固定物の装脱を円滑に行い得る
という優れた効果を奏し得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を実施する形態の一例の斜視図である。

【図２】本発明を実施する形態の一例の側面図である。

【図３】本発明を実施する形態の一例における支持ブラ
ケットの斜視図である。

【図４】本発明を実施する形態の一例における支持ブラ
ケットの側面図である。

【図５】支持ブラケットの変形例を表わす斜視図であ
る。

【図６】支持ブラケットの他の変形例を表わす側面図で
ある。

【図７】本発明を実施する形態の他の例の側面図であ
る。

【図８】本発明を実施する形態の他の例の平面図であ
る。

【図９】従来の車両の被固定物用固定装置の一例を表わ
す全体概要斜視図である。

【図１０】従来の車両の被固定物用固定装置の一例を表
わす全体概要側面図である。

【図１１】図１０のＸＩ−ＸＩ矢視図である。

【図１２】図１０のＸＩＩ−ＸＩＩ断面図である。

【符号の説明】

１ シート ２ エンジンフード（被固定物） ６ フロアパネル ７ 支持ブラケット ７ａ 立上がり部 ７ｂ 支持孔 ８ ラッチバンド ９ ヒンジピン １１ フックブラケット １３ 工具袋（被固定物）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 平６−32208（ＪＰ，Ｕ) 実開 平１−70974（ＪＰ，Ｕ) 実開 平３−112481（ＪＰ，Ｕ) 実公 昭30−98（ＪＰ，Ｙ１) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) E05C 21/00 B60R 11/00

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 断面略Ｕ字状で且つ互いに対峙する立上
   がり部に支持孔が穿設され、車両のシート近傍における
   フロアパネル上に取り付けられる支持ブラケットと、 該支持ブラケットの立上がり部に穿設された支持孔に対
   し、基端部が回動軸を中心として回動自在となるよう支
   持されるヒンジピンと、 該ヒンジピンの先端部に取り付けられ、且つ被固定物を
   固定するためにフックブラケットに対し係合離脱可能な
   ラッチバンドと を有する車両の被固定物用固定装置であって、 支持ブラケットの互いに対峙する立上がり部に穿設され
   る支持孔のうち少なくとも一方を、ラッチバンドのフッ
   クブラケットへの係合時にはヒンジピンの支持ブラケッ
   トに対する回動軸が孔縁に係合し、ラッチバンドのフッ
   クブラケットからの離脱時にはヒンジピンの支持ブラケ
   ットに対する回動軸が係合位置から下方へ傾動自在とな
   る形状としたことを特徴とする車両の被固定物用固定装
   置。