JP3300045B2 - ピストン及びピストン用シールリング - Google Patents

ピストン及びピストン用シールリング

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】この発明は、ピストンに関
し、液体アルミニウム或いは液体真鍮であるのが好まし
い液体金属をダイカストプレス用の鋳造シリンダから押
し出すためのピストンであって、軸方向に向いているキ
ャップの閉塞された部分の内側面が取り付け片の前端面
に面するよう前記取り付け片に取り外し可能に取り付け
られる中空円筒状前閉塞キャップを有するピストン及び
ピストン用シールリングに関する。
【０００２】液体アルミニウムまたは液体真鍮であるの
が好ましい液体金属を、ダイカストプレス用の鋳造シリ
ンダから押出すためのピストンであって、前記キャップ
の内側面が取り付け片の前端面に面するよう前記取り付
け片に取り付けられるキャップを有するピストンは、ヨ
ーロッパ特許公開公報Ａ２−４２３４１３号に開示され
ている。前記キャップは、その内周面に設けられた雌ネ
ジが、前記取り付け片の外周に設けられた雄ネジに対し
て、加熱されながら螺着される。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の従来の
ピストンにあっては、キャップを取り付け片に容易且つ
迅速に着脱できず、着脱を行う際にはピストンを使用し
た機械の作動を、長い時間停止しなければならなかっ
た。この発明は上述の点に鑑みてなされたもので、キャ
ップを取り付け片に対して容易且つ迅速に着脱でき、ピ
ストンを使用した機械の可動停止時間を大幅に減少でき
るようにしたピストンを提供するものである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明に係るピストンは、ダイカストプレス用の
鋳造シリンダから液体アルミニウム又は液体真鍮である
のが好ましい液体金属を押出すためのピストンであっ
て、該ピストンは、前部が閉塞された中空円筒状のキャ
ップと、該キャップに対して取外し可能に取り付けられ
る取り付け片とを有し、前記キャップの閉塞された部分
の内側面と、前記取り付け片の前端面とを対面させるよ
うにしたピストンにおいて、前記キャップの開放後端面
に近接した位置の内周面に、前記取り付け片の外周面か
ら半径方向に延びる複数の差込み突起を取り外し可能に
受け入れる複数のノッチ部が形成されており、前記キャ
ップの内側面及び前記取り付け片の前端面は、前記キャ
ップを冷却するための冷却剤ダクトを形成しており、前
記差込み突起を受け入れる前記ノッチ部の軸方向寸法
は、前記差込み突起の軸方向寸法より幾分大きくなって
いることにより、前記キャップの前記内側面と前記取り
付け片の前記前端面との間に、前記冷却剤ダクト内の冷
却剤を軸方向に送るための遊びが形成される、ことを特
徴とするものである。差込み突起とノッチ部との係脱に
よって、キャップを迅速に着脱でき、もって機械の可動
停止時間を減少できる。
【０００５】
【作用】この発明の実施に当たっては、前記キャップを
前記取り付け片に対して１／８回転するだけで、前記キ
ャップを前記取り付け片に対して着脱できるよう、前記
取り付け片には、同等角度で相互離隔しており、前記キ
ャップの４つの挿入切欠き部に対応した４つの差込み突
起が設けられているのが好ましい。
【０００６】この発明のピストンにおいては、前記差込
み突起を収容している前記ノッチ部の軸方向の寸法が、
前記キャップの内周面と前記取り付け片の内方端面との
間における軸方向への遊びを許容できるよう、前記差込
み突起の軸方向の寸法より幾分大きく、好ましくは０．
１〜０．２ｍｍ大きくなっている。
【０００７】さらに、前記キャップを前記取り付け片に
容易に固着できるよう、前記キャップの開放端縁に、前
記取り付け片に螺合されるネジの頭部を収容する少なく
とも１つの円い切欠き部が設けられているのが好まし
い。
【０００８】更に、本発明においては、前記キャップの
前方周囲に、ヨーロッパ特許公開公報Ａ２−４２３４１
３号に基本的な構成が開示されているようなシールリン
グが取り付けられているのが好ましい。キャップとシー
ルリングとの間のシーリング効果は、常に十分ではなか
った。シーリング効果を上げるために、本発明において
は、ダイカストプレス用の鋳造シリンダから液体アルミ
ニウム又は液体真鍮であるのが好ましい液体金属を押出
すためのピストンであって、該ピストンは、前部が閉塞
された中空円筒状のキャップと、該キャップに対して取
外し可能に取り付けられる取り付け片とを有し、前記キ
ャップの閉塞された部分の内側面と、前記取り付け片の
前端面とを対面させるようにしたピストンにおいて、前
記キャップの前方外側周辺部には、該キャップのシール
リングが設けられており、該シールリングはその内周面
に形成された環状溝を有し、前記内周面は前記キャップ
の軸方向に連続した２つの円筒状の外周部を一定距離離
隔して包囲し、前方の前記外周部が後方の前記外周部よ
り大きい直径を有することを特徴とするピストンが提供
される。キャップの後方の円筒状の外周面及びシールリ
ングの円筒状の内周面は、固化した液体金属を保持する
ための切り欠き部を形成する。この保持用の切り欠き部
内で固化した金属は、前記シールリングを押圧し、これ
により、シールリング効果を高める。
【０００９】前記シールリングは、前記キャップの大径
部によって強く保持される。この場合、前記大径部の前
方境界面は、前記シールリングのためのストッパ面とし
ての機能を有する。つまり、該シールリングに軸方向の
圧力が掛かっても、シールリングは前記大径部の前方境
界面によって支持される。前記キャップは、前記シール
リングの後方の境界面から短い距離離隔した箇所に、前
方に突出した環状の肩部を有するのが好ましい。
【００１０】さらに、液体金属が前記シールリングの外
周面に沿って軸方向に流動できるよう、前記シールリン
グの後方に、格納領域が形成される。この格納領域は、
前記キャップの小外径部と前記鋳造シリンダの内周面と
の間に形成される。金属が前記格納領域に進入した場
合、ユーザは、前記シールリングがもはや完全なシーリ
ング機能を果たしておらず、交換が必要である、という
ことを知ることができる。更に、本発明は、ダイカスト
プレス用の鋳造シリンダ内において軸方向に変位可能で
あり、かつ、取り付け片と、該取り付け片の前端部に取
外し可能に取り付けられるとともに、リング状大径部を
有するキャップと、から成るピストンとともに使用する
ためのシールリングに関する。ピストンは、本発明の実
施例或いはヨーロッパ特許公開公報Ａ２−４２３４１３
号に記載されているような従来のピストンで構成しても
よい。キャップとシールリングとのシール特性を向上さ
せるために、本発明のシールリングは、前記キャップの
リング状大径部を支持すべく作用する半径方向内方環状
溝を有しており、前記環状溝の前方境界面はシール面と
して形成されているとともに、前記シールリングの前記
環状溝の後方境界面より半径方向において、幅広であ
り、かつ、作用時に、前記環状溝の前方境界面におい
て、前記シールリングに加わる軸方向圧力は、前記キャ
ップのリング状大径部によって支持される。シールリン
グの前方境界面は、シール面を形成する。つまり、シー
ルリングの軸方向への圧力は、キャップのリング状大径
部によって支持されるため、シールを密にして、液体金
属が環状溝に進入したり、シールリングの後方に流れる
ことを防ぐ。
【００１１】
【実施例】以下、添付図面を参照してこの発明を詳細に
説明する。この発明の一実施例に係るピストンは、取り
付け片２に固着され、実質的なピストンとして機能する
中空円筒状前閉塞キャップ４を備えるものである。この
キャップ４は、前方部分が閉塞され、後方部分が開放さ
れた中空円筒形状をしている。前記キャップ４の閉塞さ
れた部分の内側面６は、取り付け片２の前端面８に対面
している。キャップ４の前記開放部分側である開放端縁
部に近接した箇所の内周面１０には、前記取り付け片２
の外周１８に形成された４つの差込み突起１６を取外し
可能に受け入れるため、同等の角度間隔で４つのノッチ
部１４が形成されている。図１及び図２から明らかなよ
うに、差込み突起１６を受け止めるノッチ部１４におけ
るキャップ４の軸方向の寸法が、差込み突起１における
取り付け片２の軸方向の寸法より幾分大きくなってい
る。このことにより、キャップ４の前記内側面６と取り
付け片２の前端面８との間において、前記キャップ４
は、軸方向の遊び（自由度）ができるようになってお
り、且つ、加熱により伸張できるようになっている。
【００１２】さらに、キャップ４を取り付け片２に固定
的に取り付けるため、前記キャップ４の開放後端面１２
には、前記取り付け片２に螺合されるネジ２４の頭部２
２を受け入れるための円い切り欠き部２０が形成されて
いる。前記取り付け片２は、ピストンロッド（図示せ
ず）の外周に設けられた雄ネジに螺着される雌ネジを２
６を備えている。この螺着を容易に行えるよう、前記取
り付け片２の外面には、Ｕ字状のキーと係合可能なカラ
ー２８が設けられている。
【００１３】前記取り付け片２には、該取り付け片の前
端面８部分に形成された端部開口３２と連通する管３０
が、軸方向に貫通している。この管３０により、取り付
け片２の前端面８部分に形成された半径方向のダクト３
４に冷却剤を送り込むことができる。この冷却剤は、そ
の後、取り付け片２の前方環状支持面３８（図５参照）
に形成された軸方向の切り欠き部３６（図５参照）を通
って逆流し、さらに、環状溝４０および斜方向の穴４２
を通って、取り付け片２の前記雌ネジ２６部分 に連通す
るよう形成された環状空間部４４中に流入して、取り付
け片２から排出される。この冷却構造については、ヨー
ロッパ特許公開公報Ａ２４２３４１３号に詳細に開示さ
れている。
【００１４】図１，図２および図５において、シールリ
ング４６は、前記キャップ４の前端部の外周面に取り付
けられている。
【００１５】図６は、シールリング１０８を有する実質
的にピストンとして機能するキャップ５０の前部分を詳
細に示した図であり、図１〜図５に示した取り付け片２
を省略して描かれている。
【００１６】前記キャップ５０は、その小外径部１１８
の前端面１００の前方に該小外径部１１８の径よりも小
さい径を有する円筒突部１０２を一体的に備えている。
該円筒突部１０２はその外周方向に突出するリング状大
径部１０４を有している。このリング状大径部１０４
は、シールリング１０８に形成された半径方向内方環状
溝１０６中に係止されている。前記円筒突部１０２に
は、シールリング１０８の半径方向内方に突出するリン
グ状突出部１０９を収容する環状切欠き部１０３が形成
されている。
【００１７】前記シールリング１０８は、その前方に内
周面となる境界面１２８を有している。前記キャップ５
０の円筒突部１０２は、その外周面に境界面１３０を有
している。前記シールリング１０８の境界面１２８と、
円筒突部１０２の境界面１３０とは、離隔するよう平行
に対面している。円筒突部１０２によって半径方向に形
成された、キャップ５０の前記前端面１００の環状肩部
１３２は、シールリング１０８の後方境界面１４０に近
接して対面している。該後方境界面１４０は、上方斜面
１３６を介して、シールリング１０８の外周面１４２に
連続している。
【００１８】環状溝１０６の前方において、シールリン
グ１０８は円筒状の内周面１１０を有している。該内周
面１１０は、前記境界面１２８の一部を形成しており、
キャップ５０の軸方向に延びた直径の異なる２つの円筒
状外周部１１２，１１４を所定間隔で包囲している。前
方に位置する円筒状外周部１１４は、後方に位置する円
筒状外周部１１２より大きな直径を有する。このように
して前記円筒状外周部１１２は、この明細書の導入部で
先に述べた保持用の切欠き部を形成している。
【００１９】シールリング１０８の後方において、前記
キャップ５０は、格納領域１１６を形成している小外径
部１１８を有する。液体金属が、シールリング１０８と
キャップ５０との間の隙間に軸方向に沿って流動する方
向、および、シールリング１０８の外周面１４２に沿っ
て軸方向に流動する方向は、矢印ＡおよびＢによって示
されている。符号１２０は鋳造シリンダの内周面であ
る。該シリンダの内周面１２０の内部においてピストン
が変位する。
【００２０】キャップ５０とシールリング１０８とのシ
ール特性を向上させるために、本実施例のシールリング
１０８は、前記キャップ５０のリング状大径部１０４を
支持すべく作用する半径方向内方環状溝１０６を有して
いる。該環状溝１０６の前方境界面は、シール面として
形成されているとともに、前記シールリング１０８の前
記環状溝１０６の後方境界面より半径方向において、幅
広であり、かつ、作用時に、前記環状溝１０６の前方境
界面において、前記シールリング１０８に加わる軸方向
圧力は、前記キャップ５０のリング状大径部１０４によ
って支持される。このようにシールリング１０８に形成
された前記環状溝１０６の前方境界面は、シール面を形
成して、軸方向圧力をキャップ５０のリング状大径部に
よって支持するため、シールを密にして、液体金属が前
記環状溝１０６に進入したり、シールリング１０８の後
方に流れることを防ぐ。
【００２１】
【発明の効果】以上のような構成により、この発明は、
キャップを取り付け片に対して容易且つ迅速に着脱で
き、ピストンを使用した機械の可動停止時間を大幅に減
少できる、という優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図１】取り付け片に取り付けられたキャップを示す図
であって、取り付け片がキャップ対して前進した状態を
示す断面図。
【図２】図１に対応した図であって、取り付け片がキャ
ップに対して退却した状態を示す断面図。
【図３】図１のＩＩＩ−ＩＩＩ線断面図であって、キャ
ップがロックされていない状態を示す図。
【図４】図３に対応した図であって、キャップがロック
されている状態を示す図。
【図５】キャップおよび取り付け片を示す分解図。
【図６】シールリングを有するキャップの前部を示す一
部省略側面図。
【符号の説明】
２ 取り付け片 ４ キャップ ５０ キャップ ６ 内側面 ８ 前端面 １２ 開放後端面 １６ 差込み突起 １４ ノッチ部 １０８ シールリング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭62−197749（ＪＰ，Ｕ) 欧州特許出願公開423413（ＥＰ，Ａ １) 米国特許5048592（ＵＳ，Ａ) 米国特許5233912（ＵＳ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) F16J 1/04 F16J 15/16 B22D 17/20

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 ダイカストプレス用の鋳造シリンダ内に
    おいて軸方向に変位可能であり、かつ、取り付け片(2)
    と、前記取り付け片(2)の前端部に取り外し可能に取り
    付けられるとともに、軸方向に連続した直径の異なる２
    つの外周部(112,114)と前記外周部(112)の後方に且つ前
    方円周部にリング状大径部(104)とを有するキャップ(5
    0)と、から成り、前方の前記外周部(114)は円筒状であ
    り、後方の前記外周部(112)よりも大きい直径を有し、
    前記後方の外周部(112)はダイカスト素材を固化するた
    めの格納切り欠き部を形成するピストンとともに使用す
    るためのシールリングにおいて、 前記シールリング(108)は、作用時に前記キャップ(50)
    の円筒状の前記前方の外周部(114)を包囲する円筒状内
    周面(110)を有し、且つ前記キャップのリング状大径部
    (104)を支持すべく作用する半径方向内方環状溝(106)を
    前記円筒状内周面の後方に有しており、前記環状溝(10
    6)の前方境界面は、シール面として形成されているとと
    もに、作用時に、前記シールリング(108)に軸方向に加
    わる圧力は前記キャップ(50)の前記リング状大径部(10
    4)によって支持されることを特徴とするシールリング。
  2. 【請求項２】 ダイカストプレス用の鋳造シリンダから
    液体アルミニウム又は液体真鍮であるのが好ましい液体
    金属を押出すためのピストンであって、該ピストンは、
    前部が閉塞された中空円筒状のキャップ(50)と、該キャ
    ップ(50)に対して取外し可能に取り付けられる取り付け
    片(2)とを有し、前記キャップ(50)の閉塞された部分の
    内側面(6)と、前記取り付け片(2)の前端面(8)とを対面
    させるようにしたピストンにおいて、前記キャップ(50)は、軸方向に連続した直径の異なる２
    つの外周部(112,114)と、前記外周部(112)の後方に且つ
    前方円周部にリング状大径部(104)とを有し、前方の前
    記外周部(114)は円筒状であり、後方の前記外周部(112)
    よりも大きい直径を有し、前記後方の外周部(112)はダ
    イカスト素材を固化するための格納切り欠き部を形成
    し、前記キャップ(50)にはシールリング(108)が設けら
    れており、 前記シールリング(108)の半径方向内方環状
    溝(106)は、前記キャップ(50)のリング状大径部(106)を
    支持し、前記シールリング(108)の円筒状の内周面(110)
    は、前記キャップ(50)の円筒状の前記前方の外周部(11
    4)を一定距離離隔して包囲し、前記環状溝(106)の前方
    境界面は、シール面として形成されているとともに、作
    用時に、前記シールリング(108)に軸方向に加わる圧力
    は前記キャップ(50)の前記リング状大径部(104)によっ
    て支持される ことを特徴とするピストン。
  3. 【請求項３】 前記キャップ(50)が、前記シールリング
    (108)の後方境界面(140)から短い距離離隔した箇所に、
    前方に突出した環状の肩部(132)を有する請求項２に記
    載のピストン。
  4. 【請求項４】 前記キャップ(50)は、前記シールリング
    (108)の後方に、格納領域(116)を形成している小外径部
    (118)を有する請求項２又は３に記載のピストン。
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