JPH0137834Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 開示技術はシールドノズルの内壁面やチツプ外
周面に付着したスパツタを同時に除去するための
溶接トーチの構造の技術分野に属する。

而して、この考案は先端部に溶接ワイヤを突出
自在にしたチツプを螺着したワイヤガイドを軸に
してブツシユを端部に付設した中空ピストンがケ
ーシング内にて該ガイドに沿つて進退動自在にさ
れ、且つ、チツプ先端部と併設されているシール
ドノズルの内壁面と該チツプの外周面を摺動可能
にされることにより、該チツプ外周面や該シール
ドノズル内壁面に付着したスパツタを機械的に同
時に掻取除去するための溶接トーチに関する考案
であり、特に、上記ブツシユが中空ピストンの端
部に周方向拘束係合部を介して不回動裡に嵌着さ
れ、又、中空ピストンの端部とブツシユとに周方
向の止めリングが環止されており、該中空ピスト
ンをワイヤガイドを軸としてシールドノズル内を
所定ストロークで摺動させることにより、チツプ
外周面や該シールドノズルの内壁面に付着したス
パツタを同時に確実に除去して、健全な溶接をす
るための溶接トーチに係る考案である。

〈従来技術〉 周知の如く、わが国の粗鋼生産量の増加に伴つ
て、鉄鋼、造船等の産業分野においては溶接する
ために溶接トーチが盛んに用いられている。

而して、従来、第１図に示す様に、これまでの
溶接トーチ１にあつては、ケーシング２を介して
基部のコンジツト取付部３と先端部のシールドノ
ズル４とが一体的に形成され、該コンジツト取付
部３の中央には中空部５を有した溶接ワイヤ７の
ガイド６が基部にて図示しないワイヤ送給装置に
接続され、一方、先部側にて先端部に溶接ワイヤ
７を突出したチツプ８が螺着されて外側のシール
ドノズル４と同心状に併設されている。

又、上記ガイド６を軸として、シールドノズル
４の内壁面とチツプ８の外周面に対して進退摺動
するブツシユ９を端部で皿ネジ１０を介して螺嵌
した中空ピストン１１がケーシング２内を所定ス
トロークＬで進退摺動するようにされている。

更に、コンジツト取付部３の側部には中空ピス
トン１１のＡ方向進出駆動用のエア供給口１２が
突設され、又、ケーシング２の中央には、該中空
ピストン１１のＢ方向後退駆動用のエア供給口１
３と、その先方にはシールドガスの供給口１４が
突設されており、中空ピストン１１の基部の内外
の凹部にはエア漏れを阻止し駆動推力の減衰を防
止するためのＯリング１５，１６が嵌挿され、一
方、ケーシング２の中央内側の凹部にはエアとシ
ールドガスを分離するＯリング１７が嵌挿されて
いる。

〈考案が解決しようとする課題〉 而して、エア供給を一方のエア供給口１２に切
換えて、中空ピストン１１がケーシング２内でＡ
方向に所定ストロークＬを前進摺動する場合に、
シールドノズル４の内壁面やチツプ８の外周面に
付着したスパツタ１８を同時にブツシユ９で機械
的に掻取り除去していたが、第２ａ，２ｂ図に示
す様に、該ブツシユ９は皿ネジ１０でピストン１
１に螺嵌されているため、スパツタの反復除去時
等の振動により該皿ネジ１０が緩んで、該ブツシ
ユ９がピストン１１に対して緩嵌状態になりガタ
つきを生じたりして、充分に本来的な機能をする
ことが出来ないという欠点があつた。

又、シールドノズル４の内壁面にブツシユ９の
端部やエツジが食い込んだり、脱落したりすると
いう不具合があつた。

更に、ブツシユ９の取付けや、取外しの工程が
煩瑣となる不都合さもあつた。

而して、例えば、実開昭51−156023号公報や実
公昭51−20250号公報記載の考案に示されている
如く、スパツタ除去装置を有する溶接１〜４もあ
るが、かかる態様技術ではシールドノズル内壁面
のスパツタのみの除去機能を有しているだけでチ
ツプ外周面のスパツタを除去出来ない欠点があつ
た。

この考案の目的は上述従来技術に基ずく溶接ト
ーチのスパツタ除去の問題点を解決すべき技術的
課題として、ブツシユを中空ピストンの端部に周
方向に拘束して不回動に嵌着し、更に、止めリン
グにより固定することにより、シールドノズル内
壁面のみならず、チツプ外周面のスパツタをも共
に機械的に同時に除去することが出来るようにし
て機械製造産業における溶接技術利用分野に益す
る優れた溶接トーチを提供せんとするものであ
る。

〈課題を解決するための手段・作用〉 上述目的に沿い先述実用新案登録請求の範囲を
要旨とするこの考案の構成は前述課題を解決する
ために、先端部に溶接ワイヤを突出自在にしたチ
ツプを螺着したワイヤガイドを軸にして該チツプ
の外周面、及び、シールドノズルの内壁面に対し
摺動自在にされたブツシユを端部に付設した中空
ピストンがシールドノズル内を所定ストロークで
進退摺動自在にされた溶接トーチであつて、上記
ブツシユが上記中空ピストンの端部に周方向に拘
束されて不回動裡に嵌着され、該中空ピストンの
端部と該ブツシユとの両者に周方向の止めリング
が１つ環止されている溶接トーチとしたものであ
る。

〈作用〉 而して、ブツシユが中空ピストンの端部にて周
方向拘束されて不回動裡に嵌着され、且つ、該中
空ピストンの端部の同方向溝とブツシユの同方向
の溝とに止めリングを嵌合して固定させ、該中空
ピストンがワイヤガイドを軸としてシールドノズ
ル内を所定ストロークで進退摺動することによ
り、或いは、スパツタ等が付着しない材質により
ブツシユを形成させて摺動することによりチツプ
外周面やシールドノズルの内壁面に付着したスパ
ツタを確実に同時に機械的にガタつき良く掻取り
除去することが出来るようにし、ブツシユの脱落
やガタつきが生ぜず、取り扱いも容易であるよう
にした技術的手段を講じたものである。

〈実施例〉 次にこの考案の実施例を図面に基づいて説明す
れば以下の通りである。尚、同一態様部分は同一
符号で示すものとする。

第３ａ，乃至４図に示す実施例に於て、この考
案の要旨を成す溶接トーチの中空ピストン１１の
端部に結合されるシールドノズル４の内壁面とチ
ツプ８の外周面に対して進退摺動するブツシユ
９′と中空ピストン１１′の端部とに止めリング１
９が環止され、該溶接トーチは第１図の従来態様
の溶接トーチと比べてブツシユ９′より図上上部
が実質的に同一であり、該ブツシユ９′には一対
のノツチ状の切欠き２０，２０が軸方向に沿い、
且つ、該中空ピストン１１′に対向して穿設され、
又、止めリング１９環止用の溝２１が周刻されて
いる。

而して、中空ピストン１１′の端部２２にはブ
ツシユ９′の各切欠き２０に同寸法で嵌合される
一対の凸状突片２３，２３が設けられ、該各凸状
突片２３にもブツシユ９′の溝２１と止めリング
１９が嵌合した時に、該止めリング１９が同じ位
置に来る溝２１′が周方向に刻設されており、中
空ピストン１１′の端部２２に上記ブツシユ９′が
挿入されるようにされている。

上述構成において、一対の凹状切欠２０，２０
を有したブツシユ９′が中空ピストン１１′の端部
２２と一対の凸状突片２３，２３に切欠２０，２
０が係合して嵌着されることによつて周方向に拘
束され、、回動することは不可能に成り、而して、
ブツシユ９′の溝２１と突片２３上の溝２１′内に
止めリング１９を嵌装させることにより、軸方向
も完全に拘束され確実に中空ピストン１１′にブ
ツシユ９′が嵌合固定される。

そのようにして、ブツシユ９′を結合した中空
ピストン１１′はエア供給口１３よりエアを供給
する場合にはワイヤガイド６を軸として溶接トー
チ１のケーシング２内の上昇方向に進退摺動し、
一方、エア供給口１２にエアの供給を切換えた場
合には中空ピストン１１′は所定のストロークＬ
だけ前進して下降方向に摺動し始め、この時に、
シールドノズル４の内壁面やチツプ８の外周面に
付着したスパツタ１８を同時に機械的に掻取り除
去する。

尚、この考案の実施態様は上述実施例に限るも
のでないことは勿論であり、例えば、第５図の実
施例に示す様に、中空ピストン１１″のＴ字型ノ
ツチ２１に係合するＬ字形状のストツパを一体
に有する止めリングで結合された中空ピストン１
１″とブツシユ９″を環止するようにされ、又、別
の実施例である第６ａ図で示す様なブツシユ９
に於て、該ブツシユ９の材質を含油メタルやセ
ラミツク等にし、該ブツシユ９のネジ穴２４で
中空ピストンの端部にネジで係合させることによ
つて、該ブツシユ９にスパツタ１８が付着せ
ず、硬度が高いことにより変形も少なく、しか
も、耐熱性にすぐれ安価で入手が可能であるよう
にする等の種々の態様が採用可能である。

〈考案の効果〉 以上、この考案によれば、溶接トーチにおい
て、ブツシユに凹状の切欠きを、そして、中空ピ
ストン側に於いてはその端部に凸状突片を設けて
嵌合させ、両者に共通の同方向の溝内に止めリン
グを環止させた溶接トーチの構造にすることによ
り、該中空ピストン進退摺動時等の振動で該ブツ
シユの中空ピストンに対する係合部が緩嵌状態に
なることが無くなり、スパツタ除去の機能を充分
に果すことが出来、健全な溶接が得られるという
優れた効果が奏される。

又、ブツシユと中空ピストンに止めリングが環
装されているため、該ブツシユが中空ピストンの
端部より外れることが解消され、且つ、そのエツ
ヂ部分がシールドノズルの内壁面に食込んでシー
ルドノズルを損傷することも無くなり、耐久性が
向上するという利点がある。

更に、ブツシユの取付け、取外しの工程が止め
リングでワンタツチ的に簡単に行えるという良さ
もある。

【図面の簡単な説明】

第１，２ａ，２ｂ図はそれぞれ従来技術を示す
ものであり、第１図は溶接トーチの全体縦断面
図、第２ａ図はブツシユ係合部の拡大縦断面図、
第２ｂ図は第２ａ図−横断面図である。そし
て、第３ａ図から第５図まではこの考案の実施例
を示すものであり、第３ａ図は１実施例のブツシ
ユ係合部の拡大縦断面図、第３ｂ図は第３ａ図の
−横断面説明図、第４図はブツシユ係合部の
分解斜視図、第５図は他の実施例のブツシユ係合
部の分解斜視図である。又、第６図以下にはブツ
シユの別の実施例を示すものであり、第６ａ図は
ブツシユの部分切截断面図、第６ｂ図は第６ａ図
の−断面図である。 １……溶接トーチ、４……シールドノズル、６
……ワイヤガイド、７……溶接ワイヤ、８……チ
ツプ、９，９′，９″，９…ブツシユ、１１……
中空ピストン、２２……中空ピストンの端部、２
０，２２，２３……係合部、１９，１９′……止
めリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 先端部に溶接ワイヤを突出自在にしたチツプを
   螺着したワイヤガイドを軸にして該チツプの外周
   面、及び、シールドノズルの内壁面に対し摺動自
   在にされたブツシユを端部に付設した中空ピスト
   ンがシールドノズル内を所定ストロークで進退摺
   動自在にされた溶接トーチにおいて、上記ブツシ
   ユが上記中空ピストンの端部に周方向拘束係合部
   を介して不回動裡に嵌着され、該中空ピストンの
   端部と該ブツシユとの両者に周方向の止めリング
   が１つ環止されていることを特徴とする溶接トー
   チ。