JP3299845B2 - トリスアゾ染料およびこれらを含有する水性インキ組成物 - Google Patents

トリスアゾ染料およびこれらを含有する水性インキ組成物

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JP3299845B2 JP23112294A JP23112294A JP3299845B2 JP 3299845 B2 JP3299845 B2 JP 3299845B2 JP 23112294 A JP23112294 A JP 23112294A JP 23112294 A JP23112294 A JP 23112294A JP 3299845 B2 JP3299845 B2 JP 3299845B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なトリスアゾ染料に
関し、特に、これら染料を含有する黒色水性インキ組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術】筆記具用またはインクジェット記録用の
水性インキ組成物等に用いる染料には、水性媒体に対し
て良好な溶解性を示すこと、優れた色濃度を示すこと、
およびインキ組成物に経時安定性、記録画像の滲みや退
色の防止の為の充分な染着力、耐水性および耐光性等を
付与する化学的性質が一般に要求される。
【0003】従来よりこのような要求を満足させるため
種々の試みが続けられてきた。すなわち、種々のアゾ系
染料を含有する水性インキ組成物が提案され、また、使
用されてきた。
【0004】特に黒色インク用の水溶性染料としては、
ポリアゾ系の染料が主に提案され、使用されてきた。ポ
リアゾ染料には、直接性のものが多いので紙などの被記
録材への染色が簡便であり、堅牢性も比較的良好であ
る。このような利点を有するポリアゾ染料は産業界で極
めて広汎に用いられている。
【0005】しかしながら、このようなポリアゾ染料に
も解決すべき課題が存在する。まず第1に筆記具用イン
キ、インクジェット記録用インキに用いる場合には、染
料の安定した溶解性が重要である。黒色直接染料は一般
に分子量が大きく水に対する溶解安定性が悪い。第2に
染色性、染着力(カラーバリュー)である。染料の溶解性
を上げるためのスルホン酸基などにより記録画像の耐水
性に劣り、また印字濃度が低い。第3に安全性が挙げら
れる。近年では、化学物質の安全性が重要なテーマとな
っており、人体に悪影響を及ぼさない安全性に優れた染
料が求められているからである。
【0006】溶解性および堅牢性に劣る欠点を改良した
染料としては、例えば黒色系のポリアゾ染料(例えば、
C.I.ダイレクトブラック19、C.I.ダイレクトブラック15
4、C.I.ダイレクトブラック168)等が上記用途の染料と
して広汎に用いられてきた。しかしながら、これらの染
料は、エームズテストの結果が疑陽性もしくは陽性なの
で、人体に対する安全性に問題がある。
【0007】他方、人体に対する安全性の配慮された染
料としては、例えばフードブラック(Food Black)2のよ
うな食品用色素、それを記録剤として用いた記録液、ま
たは、スチルベン系のポリアゾ染料が提案され用いられ
ている。しかしながら、これらの染料を用いた水性イン
キは印字の耐水性および耐光性など十分でなく、染着性
および堅牢性に劣る。
【0008】このように、上記のすべての要求を満足す
る黒色アゾ染料および水性インキ組成物は報告例がな
い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の問
題を解決するものであり、その目的とするところは、水
性媒体に対して良好な溶解性を示し、水性インキ組成物
に経時安定性、充分な印字濃度、耐水性および耐光性を
付与し、さらには人体に対する安全性の配慮されたトリ
スアゾ染料を提供することにある。
【0010】尚、本明細書において「水性媒体」という用
語は、水、アルコールおよびグリコールのような水混和
性媒体、およびこれらの混合物を指していう。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の式で示
す構造を有するトリスアゾ染料を提供するものであり、
そのことにより上記目的が達成される:
【0012】
【化2】
【0013】式中、Aは、式 −PO(OM)2、 −PO(OM)OX、または −COOM [式中、Mは水素、アルカリ金属、アンモニウム、炭素
数1〜6、好ましくは1〜4のアルキルアンモニウムま
たは炭素数1〜6、好ましくは1〜4のアルカノールア
ンモニウムであり、Xはメチル基およびエチル基のよう
な炭素数1〜4のアルキル基である。]で示す基であ
り、Mは上記と同意義であり、Zはメトキシ基またはエ
トキシ基であり、Yは水素原子;塩素、臭素およびフッ
素のようなハロゲン原子;メチル基およびエチル基のよ
うな炭素数1〜4のアルキル基;メトキシ基およびエト
キシ基のような炭素数1〜4のアルコキシ基;アセチル
アミノ基およびプロピオニルアミノ基のような炭素数1
〜4のアシルアミノ基であり、Bは水素原子;メチル
基、エチル基、iso-プロピル基およびsec-ブチル基のよ
うな置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、
またはフェニル基、ベンジル基、3-カルボキシフェニル
基および3-カルボキシベンジル基のようなカルボキシル
基で置換されていてもよいフェニル基もしくはベンジル
基である。
【0014】本発明のトリスアゾ染料は、常法により、
染料などの原料または中間体として使用されているジア
ゾ成分とカップリング成分との3回のジアゾ化カップリ
ング反応によって合成される。すなわち、まず、式
(a):
【0015】
【化3】
【0016】[式中、Aは上記と同意義である。]で示さ
れるアミノベンゼンホスホン酸、アミノベンゼンホスホ
ン酸モノエステル、またはアミノベンゼンカルボン酸を
水系中で鉱酸の存在下でジアゾ化して、第1カップラー
であるm−アミノベンゼンカルボン酸(m−アミノ安息
香酸)に酸性カップリングする。ついで、得られたモノ
アゾ化合物を上記と同様にジアゾ化し、下記式(b):
【0017】
【化4】
【0018】[式中ZおよびYは上記と同意義である。]
で示される第2カップラーに酸性カップリンする。得ら
れたジスアゾ化合物を上記と同様にジアゾ化し、下記式
(c):
【0019】
【化5】
【0020】[式中、BおよびMは上記と同意義であ
る。]で示される第3カップラーにカップリングして得
られる。
【0021】式(a)で示されるジアゾ成分の具体例とし
ては、m−アミノベンゼンホスホン酸、p−アミノベン
ゼンホスホン酸、m−アミノベンゼンカルボン酸(m−
アミノ安息香酸)およびp−アミノベンゼンカルボン酸
(p−アミノ安息香酸)等が挙げられる。
【0022】式(b)で示される第2カップラーの具体例
としては、2-メトキシアニリン(o-アニシジン)、2-エト
キシアニリン(o-フェネチジン)、2,5-ジメトキシアニリ
ン、2,5-ジエトキシアニリン、2-メトキシ-5-アセチル
アミノアニリン、2-メトキシ-5-クロロアニリン、2-メ
トキシ-5-メチルアニリン(p-クレシジン)、2-メトキシ-
5-エチルアニリンおよび2-エトキシ-5-アセチルアミノ
アニリンのようなアニリン誘導体が挙げられる。
【0023】式(c)で示される第3カップラーの具体例
としては、1-ヒドロキシ-7-アミノ-3-ナフチルスルホン
酸(γ酸)、1-ヒドロキシ-7-ベンジルアミノ-3-ナフチル
スルホン酸、1-ヒドロキシ-7-カルボキシベンジルアミ
ノ-3-ナフチルスルホン酸、1-ヒドロキシ-7-フェニルア
ミノ-3-ナフチルスルホン酸および1-ヒドロキシ-7-カル
ボキシフェニルアミノ-3-ナフチルスルホン酸等が挙げ
られる。
【0024】得られた本発明のトリスアゾ染料は、当業
者に周知の手法を用いて水溶性トリスアゾ染料とするこ
とができ、これらを含有する本発明の水性インキ組成物
が提供される。
【0025】トリスアゾ染料を水溶性にするための操作
の例は、例えば、上述の3回のジアゾ化・カップリング
反応の後に、酸析によりトリスアゾ化合物を結晶として
取り出す。ついで、その結晶を水若しくは水性媒体中に
加え、ここにアルカリ金属の水酸化物(例えば水酸化リ
チウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム等)、
アンモニア水(NH4OH)、炭素数1〜6のアルキルアミン
(例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルア
ミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n-プロピル
アミンおよびイソプロピルアミン等)および炭素数1〜
6のアルカノールアミン(例えば、モノエタノールアミ
ン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよび
プロパノールアミン等)のような塩基性化合物を過剰に
添加することにより結晶を溶解させる手法が一般的であ
る。
【0026】本発明のトリスアゾ染料を用いた水性イン
キの組成比はインキの用途により異なり限定的ではな
い。染料の含有量は、一般にボールペン用としては、水
性インキ組成物の全重量に対して5〜30重量%、マーキ
ングペン用としては5〜15重量%、そしてインクジェッ
ト記録用としては1〜10重量%である。
【0027】本発明のトリスアゾ染料を適量の水性媒体
に溶解させることにより。本発明の水性インキ組成物が
得られる。本発明の水性インキ組成物で用いる水性媒体
は水を主成分とするが、水と相溶性を有する有機溶媒を
も含みうる。
【0028】好適に用いうる水と相溶性を有する有機溶
剤としては1価アルコール(例えばメタノール、エタノ
ールおよびイソプロパノール、イソブタノール等の低級
アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、
ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレング
リコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモ
ノメチルエーテルおよびプロピレングリコールモノエチ
ルエーテルのようなジオールのモノアルキルエーテル;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートおよ
びエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートの
ようなモノアルキルエーテルアセテート;ベンジルアル
コール;ジアセトンアルコール;およびシクロヘキサノ
ール)、2価のアルコール(例えばエチレングリコール、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよび
プロピレングリコールのようなアルキレングリコー
ル)、3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチ
ロールプロパンおよび1,2,6-ヘキサントリオール)、N-
メチル-2-ピロリドン、ジオキサン、乳酸エステルおよ
びγ-ブチロラクトン等が例示される。
【0029】本発明の水性インキ組成物には上記の配合
成分の他に本発明の所期の目的の範囲内において、各種
の常套の添加剤(例えば界面活性剤、表面張力調製剤、
湿潤剤、粘度調製剤、pH調製剤、防腐剤、防錆剤等)を
適宜配合してもよい。
【0030】上記の界面活性剤としてはアニオン系、カ
チオン系およびノニオン系のいずれの界面活性剤も使用
できる。例えばフッ素系界面活性剤[ユニダインDS-401
(ダイキン工業株式会社製)、メガファックF-1420(大日
本インキ化学株式会社製)]、シリコーン系界面活性剤
[シリコーンL-7607(日本ユニカー株式会社製)等]および
燐酸エステル系界面活性剤等が挙げられる。
【0031】上記の表面張力調製剤としてはポリエチレ
ングリコールエーテル硫酸塩若しくはそのエステル塩、
ポリ(2-ビニル)ピリジン誘導体、ポリオキシエチレンア
ルキルエーテルおよびポリオキシエチレンアルキルエス
テル等が例示される。
【0032】上記の湿潤剤としてはポリアルキレングリ
コール(例えばポリエチレングリコールおよびポリプロ
ピレングリコール等)、アルキレングリコール(例えばエ
チレングリコール、プロピレングリコールおよびブチレ
ングリコール等)、ジアルキレングリコール低級アルキ
ルエーテル(例えばジエチレングリコールモノエーチル
エーテルおよびジプロピレングリコールモノメチルエー
テル等)、セロソルブ(例えばエチレングリコールモノメ
チルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル
およびプロピレングリコールモノメチルエーテル等)、
およびグリセリン等が例示される。
【0033】上記の粘度調節剤としてはポリビニルアル
コール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセル
ロース、水性アクリル樹脂、水性アルキッド樹脂および
アルコール可溶性樹脂等が例示される。
【0034】上記のpH調製剤としてはアルカリ金属水
酸化物(例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウムおよ
び水酸化カリウム等)、低級アルカノールアミン(例えば
モノエタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリ
エタノールアミン等)、アンモニア水等が例示される。
【0035】上記の防腐剤としてはフェノールおよび安
息香酸ナトリウム等が例示される。また、上記の防錆剤
としてはベンゾトリアゾールおよびエチレンジアミン四
酢酸塩等が例示される。
【0036】
【作用】本発明のトリスアゾ化合物(染料)は、分子構造
内に2または3種類の解離度の異なる水溶性基(カルボ
キシル基、ホスホン酸基およびスルホン酸基)がバラン
スよく配置されたことにより、広範な組成の水性媒体に
対する溶解安定性が維持できる。本発明のトリスアゾ染
料の水性媒体に対する溶解性は4〜10重量%以上であ
り、インキの用途に合わせた染料濃度の調節を容易に行
い得る。
【0037】更に、本発明のトリスアゾ染料はエームス
テストの結果が陰性であり、安全性が向上している。こ
の利点は、安全性に問題となる染料中間体および副生成
物を含まないか、それらの除去が容易であることに起因
していると考えられる。
【0038】さらにまた、精密ろ過や限外濾過または逆
浸透膜のような当業者に周知の精製法を用いて、本発明
のトリスアゾ染料の合成工程中または合成後の染料液か
ら無機塩のような不純物を取除くことにより、水性イン
キ組成物の色相や経時安定性等がさらに向上させ得る。
【0039】
【実施例】以下の実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、これらは例示にすぎず、本発明を限定するもの
ではない。
【0040】
【実施例1〜10】実施例1〜10では本発明のトリス
アゾ化合物の製造を説明する。
【0041】実施例1 m-アミノベンゼンホスホン酸87.0g(0.50mol)を水5
00mlに撹拌しながら懸濁した。これに35%塩酸10
1.3g(1.0mol)を加え0℃に冷却した。この溶液に液
温が5℃を越えないように徐々に、36%亜硝酸ナトリウ
ム水溶液105.4g(0.55mol)を滴下し、50分間撹拌
することによりm-アミノベンゼンホスホン酸をジアゾ化
した。その後、得られた水溶液にチオ尿素を加え、過剰
な亜硝酸を除去してジアゾ成分含有液を得た。一方、3-
アミノ安息香酸68.6g(0.50mol)をメタノール800
mlに分散させ、55℃に加熱して溶解させ、カップリン
グ成分含有溶液を得た。ここで、カップリング成分含有
溶液を0℃に冷却し、これに、液温が5℃を越えないよ
うに上記ジアゾ成分含有溶液を滴下した。3〜5℃で1
8時間撹拌後、生成した沈殿を濾取、水洗して、モノア
ゾ化合物(中間体);m-(2-カルボキシ-4-アミノ-フェニ
ルアゾ)ベンゼンホスホン酸約125.3g(収率約78%)
を得た。
【0042】得られたモノアゾ化合物64.2g(約0.20
mol)を水700mlに分散し、45%水酸化ナトリウム水溶
液35.6g(0.40mol)を加えて溶解させた。この液に36
%亜硝酸ナトリウム水溶液42.2g(0.22mol)を加え
て、5℃の冷却して、更に20%塩酸127.6g(0.70mo
l)を10℃を越えないように徐々に加えた後、10℃以
下で80分間撹拌することにより、モノアゾ化合物をジ
アゾ化した。その後、得られた水溶液にスルファミン酸
を加えて、過剰な亜硝酸を除去してジアゾ成分含有溶液
を得た。一方2,5-ジメトキシアニリン30.6g(0.20mo
l)をメタノール600mlに溶解させてカップリング成分
含有溶液を得た。ここで、カップリング成分含有溶液を
0℃以下に冷却し、これに、液温が5℃を越えないよう
に注意しながら徐々に、上記ジアゾ成分含有溶液を滴下
し、5〜8℃18時間撹拌した。析出物を濾取、水洗し
て、ジスアゾ化合物(中間体);m−(2-カルボキシ-4-(2,
5-ジメトキシ-4-アミノフェニルアゾ)フェニルアゾ)ベ
ンゼンホスホン酸約82.6g(収率約90%)を得た。
【0043】得られたジスアゾ化合物72.8g(約0.15
mol)を水700mlに分散し、45%水酸化ナトリウム水溶
液を加えて溶解させた。この液に36%亜硝酸ナトリウム
水溶液32.6g(0.17mol)を加えて、5℃に冷却した。
これに20%塩酸82.0g(0.45mol)を液温が10℃を越
えないように徐々に滴下し、10℃以下で90分間撹拌
することによりジスアゾ中間体をジアゾ化した。その
後、得られた水溶液にスルファミン酸を加えて、過剰な
亜硝酸を除去してジアゾ成分含有溶液を得た。一方ガン
マー酸(1-ヒドロキシ-7-アミノ-3-ナフチルスルホン酸)
35.9g(0.15mol)を水600mlに加え、45%水酸化
ナトリウム水溶液30.0g(0.34mol)で溶解し、3℃に
冷却してカップラー溶液を調製した。これに先に用意し
たジアゾ成分含有液を反応温度が8℃を越えないよう且
つ20%水酸化ナトリウム水溶液の添加により反応pHを
8.5以上に保つようにしながら滴下した後、8℃で4
時間撹拌した。塩・酸析により結晶を析出させて、濾
取、水洗および乾燥の操作により、式
【0044】
【化6】
【0045】で示す黒色のトリスアゾ染料(1)約67.0
gを得た。
【0046】ついで、得られたトリスアゾ染料の溶解性
(%)を測定した。まず、実施例で得られたトリスアゾ染
料を4g採り、20mlの水に溶解・懸濁した後、10分
間ソニケーションした。その試験液を20℃で一晩イン
キュベーションした。その後試験液を遠心分離にかけ、
分離後の上澄み液を1g精秤して水−アセトン溶媒(1:
1)で2000倍に希釈した。希釈液の吸光度を測定し
た。この吸光度の強度を同化合物における一定濃度の既
知の吸光度の強度を基準に比較計算して、同化合物の飽
和濃度を算出した。溶解性の評価は以下の基準で行った
下記の基準で評価した。
【0047】 評価 飽和濃度 ◎ : 10%以上 ○ : 5〜10%未満 △ : 3〜5%未満 × : 3%未満
【0048】トリスアゾ染料(1)の飽和濃度は9.3%で
あり、評価は「○」であった。可視吸収スペクトルを測定
したところ、最大吸収波長(λmax)584nm(水:アセト
ン=1:1溶媒中)の結果を得た。可視吸収スペクトルを図
1に示す。また、この(精製)トリスアゾ染料について、
菌株TA98およびTA100を用いてエームステスト
の評価を行ったところ、結果は陰性であった。
【0049】実施例2 p-アミノ安息香酸54.8g(0.40mol)を水500mlに撹拌
しながら懸濁した。これに35%塩酸101.3g(1.0mo
l)を加え0℃に冷却した。この溶液に液温が5℃を越えな
いように徐々に、36%亜硝酸ナトリウム水溶液84.3
g(0.44mol)を滴下し、50分間撹拌することによりp-
アミノ安息香酸をジアゾ化した。その後、得られた水溶
液にチオ尿素を加え、過剰な亜硝酸を除去してジアゾ成
分含有液を得た。一方、m-アミノ安息香酸54.8g(0.
40mol)をメタノール700mlに懸濁させ、55℃に加熱
して溶解させ、カップリング成分含有溶液を得た。ここ
で、カップリング成分含有溶液を0℃に冷却し、これ
に、液温が5℃を越えないように上記ジアゾ成分含有溶
液を滴下した。3〜5℃で18時間撹拌後、生成した沈
殿を濾取、水洗して、モノアゾ化合物(中間体);p-(2-
カルボキシ-4-アミノ-フェニルアゾ)安息香酸約82.1
g(収率約78%)を得た。
【0050】得られたモノアゾ化合物57.0g(約0.20
mol)を水600mlに分散し、45%水酸化ナトリウム水溶
液35.6g(0.40mol)を加えて溶解させた。この液に36
%亜硝酸ナトリウム水溶液42.2g(0.22mol)を加え
て、5℃の冷却して、更に20%塩酸127.6g(0.70mo
l)を10℃を越えないように徐々に加えた後、10℃以
下で80分間撹拌することにより、モノアゾ中間体をジ
アゾ化した。その後、得られた水溶液にスルファミン酸
を加えて、過剰な亜硝酸を除去してジアゾ成分含有溶液
を得た。一方2,5-ジメトキシアニリン30.6g(0.20mo
l)をメタノール600mlに溶解させてカップリング成分
含有溶液を得た。ここで、カップリング成分含有溶液を
0℃以下に冷却し、これに、液温が8℃を越えないよう
に注意しながら徐々に、上記ジアゾ成分含有溶液を滴下
し、5〜8℃で18時間撹拌した。析出物を濾取、水洗
して、ジスアゾ化合物(中間体);p−(2-カルボキシ-4-
(2,5-ジメトキシ-4-アミノフェニルアゾ)フェニルアゾ)
安息香酸約79g(収率約88%)を得た。
【0051】得られたジスアゾ化合物44.9g(約0.10
mol)を水450mlに分散し、45%水酸化ナトリウム水溶
液を加えて溶解させた。この液に36%亜硝酸ナトリウム
水溶液32.6g(0.17mol)を加えて、5℃に冷却した。
これに20%塩酸82.0g(0.45mol)を液温が10℃を越
えないように徐々に滴下した、10℃以下で140分間
撹拌することによりジスアゾ中間体をジアゾ化した。そ
の後、得られた水溶液にスルファミン酸を加えて、過剰
な亜硝酸を除去してジアゾ成分含有溶液を得た。一方ガ
ンマー酸23.9g(0.10mol)を水600mlに加え、45
%水酸化ナトリウム水溶液30.0g(0.34mol)で溶解
し、3℃に冷却してカップラー溶液を調製した。これに
先に用意したジアゾ成分含有液を反応温度が8℃を越え
ないよう且つ反応液pHを9.5以上に20%水酸化ナト
リウム水溶液を添加することにより保ちながら徐々に加
え、最終的にpH8.6として5℃で6時間撹拌した。
塩・酸析により結晶を析出させて、濾取、水洗および乾
燥の操作により、式
【0052】
【化7】
【0053】で示す黒色のトリスアゾ染料(2)約51.8
g(収率約74%)を得た。
【0054】実施例1と同様にして得られたトリスアゾ
ジスアゾ染料の水に対する溶解性および可視吸トルを測
定したところ、それぞれ、7.8%(評価「○」)、最大吸
収波長574nm(水:アセトン=1:1溶媒中)の結果を得
た。可視吸収スペクトルを図2に示す。ついで、この
(精製)トリスアゾ染料についてエームステストの評価を
行ったところ、結果は陰性であった。
【0055】実施例3〜13 種々の異なるジアゾ成分およびカップリング成分を用い
ること以外は実施例1または実施例2と同様にして、ト
リスアゾ染料(3)〜(13)を合成した。トリスアゾ染料(5)
の可視吸収スペクトルを図3に示す。
【0056】実施例1と同様にして、得られたトリスア
ゾ染料の水に対する溶解性および可視吸収スペクトル
(水:アセトン=1:1溶媒中)測定を行った。結果を構造
式と共に以下に示す。
【0057】本発明の種々のトリスアゾ染料の特性およ
び構造 トリスアゾ染料(3) 飽和濃度:7.6%(評価「○」) 色:黄味黒色 最大吸
収波長:586nm
【0058】
【化8】
【0059】トリスアゾ染料(4) 飽和濃度:8.3%(評価「○」) 色:青味黒色 最大吸
収波長:586nm
【0060】
【化9】
【0061】トリスアゾ染料(5) 飽和濃度:7.8%(評価「○」) 色:赤味黒色 最大吸
収波長:578nm
【0062】
【化10】
【0063】トリスアゾ染料(6) 飽和濃度:8.8%(評価「○」) 色:赤味黒色 最大吸
収波長:554nm
【0064】
【化11】
【0065】トリスアゾ染料(7) 飽和濃度:5.8%(評価「○」) 色:青味黒色 最大吸
収波長:578nm
【0066】
【化12】
【0067】トリスアゾ染料(8) 飽和濃度:8.9%(評価「○」) 色:赤味黒色 最大吸
収波長:570nm
【0068】
【化13】
【0069】トリスアゾ染料(9) 飽和濃度:5.8%(評価「○」) 色:黒色 最大吸
収波長:586nm
【0070】
【化14】
【0071】トリスアゾ染料(10) 飽和濃度:4.7%(評価「○」) 色:青味黒色 最大吸
収波長:598nm
【0072】
【化15】
【0073】トリスアゾ染料(11) 飽和濃度:5.9%(評価「○」) 色:青味黒色 最大吸
収波長:602nm
【0074】
【化16】
【0075】トリスアゾ染料(12) 飽和濃度:6.6%(評価「○」) 色:青味黒色 最大吸
収波長:590nm
【0076】
【化17】
【0077】トリスアゾ染料(13) 飽和濃度:4.5%(評価「○」) 色:赤味黒色 最大吸
収波長:588nm
【0078】
【化18】
【0079】
【実施例14〜26】実施例14〜26では実施例1〜
13で得られたトリスアゾ染料を用いて調製した本発明
の水性インキ組成物について説明する。
【0080】実施例14 以下の表1に示す成分を充分に撹拌しながら溶解させ
た。
【0081】
【表1】 トリスアゾ染料(1)(NH4塩) 3.0g N-メチル-2-ピロリドン 5.0g エタノール 5.0g 純水 87.0g
【0082】この液を孔径1μmのメンブランフィルタ
ー(アドバンテック製のニトロセルロースフィルター)で
吸引濾過した後脱気することにより、青味黒色のインキ
組成物を調製した。以下に示す操作により得られた水性
インキ組成物の経時安定性を評価した。
【0083】ついで、得られた水性インキ組成物液を、
インクジェットプリンター(セイコーエプソン製の「HG51
30」)に充填し、市販の中性紙(ゼロックス社製の「XEROX
P」)に印字した。その結果、小滴形成の安定性の低下が
なく、またオリフィスを目詰まりさせることなくスムー
ズに印字可能という良好な記録性能を示した。以下に示
す操作により得られたインキ組成物および印字物につい
て、色相や印字濃度および耐水性を評価した。また、評
価結果を表2に示す。
【0084】評価試験方法 (1)インキ組成物の経時安定性 インキ組成物を耐熱性のガラス瓶に100ml入れて、密栓
したものを60℃の恒温槽に1月間放置保存する。その
後、前記のインキの調製に用いたものと同様のメンブラ
ンフィルターを用いてろ過をした。フィルター上に残渣
が残るかどうかを評価した。
【0085】 評価 ○ : (濾過)残渣がなし × : (濾過)残渣があり
【0086】(2)色相 上記の処方で印字したベタ印字部分の色相を、太陽光の
下で目視により判定した。
【0087】(3)印字濃度 マクベス反射濃度計(TR927 Macbeth社製)を用いて、印
字物のベタ印字部分の光学濃度を測定し、下記の基準で
評価した。
【0088】 評価 光学濃度 ◎ : 1.40以上 ○ : 1.35〜1.40未満 △ : 1.20〜1.30未満 × : 1.20未満
【0089】(4)耐水性 ビーカーの中に水道水を入れ、印字後24時間経過した印
字紙を流水条件下において、60秒間浸漬した。印字紙を
乾燥後、前記の印字濃度測定方法に従い光学濃度を測定
した。そして、式 光学濃度残存率(%)=浸漬後の光学濃度÷浸漬前の光学
濃度×100 により光学濃度残存率を算出して以下の標準で評価し
た。
【0090】 評価 光学濃度残存率 ◎ : 95%以上 ○ : 90〜95% △ : 80〜90% × : 80%未満
【0091】(5)耐光性 印字紙を1ケ月間太陽光に暴露した後、前記の印字濃度
測定方法に従い光学濃度を測定した。光学濃度残存率を
求め、耐水性試験と同様に評価した。
【0092】実施例15〜26 以下の表2および3に示すトリスアゾ染料(NH4塩)およ
び配合をそれぞれ用いること以外は実施例14と同様に
して、インキ組成物を調製し、評価した。結果は、表2
および3に示すように良好であった。
【0093】
【表2】実施例No. 14 15 16 17 18 19 20 21 トリスアゾ染料No. (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (配合量) 3.0 3.0 3.0 3.0 3.0 3.0 3.0 3.0 N-メチル-2-ヒ゜ロリト゛ン 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0 エタノール 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0水 87.0 87.0 87.0 87.0 87.0 87.0 87.0 87.0 経時安定性 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 色相 青味黒 赤味黒 黄味黒 青味黒 赤味黒 赤味黒 青味黒 赤味黒 印字濃度 ◎ ◎ ○ ◎ ○ ○ ○ ◎ 耐水性 ◎ ◎ ○ ○ ○ ◎ ◎ ◎耐光性 ◎ ◎ ○ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎
【0094】
【表3】実施例No. 22 23 24 25 26 トリスアゾ染料No. (9) (10) (11) (12) (13) (配合量) 3.0 3.0 3.0 3.0 3.0 N-メチル-2-ヒ゜ロリト゛ン 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0 エタノール 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0水 87.0 87.0 87.0 87.0 87.0 経時安定性 ○ ○ ○ ○ ○ 色相 黒 青味黒 赤味黒 青味黒 赤味黒 印字濃度 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 耐水性 ○ ◎ ◎ ◎ ◎耐光性 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎
【0095】
【比較例1〜5】比較例1〜5では、以下の種々の比較
ポリアゾ染料を用いて調製した水性インキ組成物につい
て説明する。
【0096】比較トリスアゾ染料(1) 飽和濃度:12.4%(評価「◎」) 色:青味黒色 最
大吸収波長:588nm
【0097】
【化19】
【0098】比較ジスアゾ染料(2) 飽和濃度:11.1%(評価「◎」) 色:緑味黒色 最
大吸収波長:594nm
【0099】
【化20】
【0100】比較トリスアゾ染料(3) 飽和濃度:14.9%(評価「◎」) 色:青味黒色 最
大吸収波長:600nm
【0101】
【化21】
【0102】比較トリスアゾ染料(4) 飽和濃度:21.5%(評価「◎」) 色:緑味黒色 最
大吸収波長:596nm
【0103】
【化22】
【0104】比較ジアゾ染料(5) 飽和濃度:20.1%(評価「◎」) 色:青味黒色 最
大吸収波長:586nm
【0105】
【化23】
【0106】比較例1
【0107】
【表4】 比較トリスアゾ染料(1)(Na塩) 3.0g N-メチル-2-ピロリドン 5.0g エタノール 5.0g 純水 87.0g
【0108】上記の配合を用いること以外は実施例14と
同様にして水性インキ組成物に調製し、評価した。結果
を表5に示す。
【0109】比較例2〜5 比較トリスアゾ染料(1)の代わりに比較ポリアゾ染料(2)
〜(5)を用いること以外は比較例1と同様にして、水性
インキ組成物を調製し、評価した。結果を表5に示す。
【0110】
【表5】比較例No. 1 2 3 4 5 比較ポリアゾ染料No. (1) (2) (3) (4) (5) (配合量) 3.0 3.0 3.0 3.0 3.0 N-メチル-2-ヒ゜ロリト゛ン 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0 エタノール 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0水 87.0 87.0 87.0 87.0 87.0 経時安定性 ○ ○ ○ ○ ○ 色相 青味黒 緑味黒 青味黒 緑味黒 青味黒 印字濃度 ◎ △ ○ △ ◎耐水性 × △ △ ○ ×
【0111】
【実施例27および28】実施例27および28では、異
なる配合の水性インキ組成物について説明する。
【0112】実施例27
【0113】
【表6】 トリスアゾ染料(1) (Na塩) 3.5g ジエチレングリコール 5.0g エタノール 5.0g 純水 86.5g 安息香酸ナトリウム 0.1g
【0114】上記の配合を用いること以外は実施例14
と同様して水性インキ組成物を調製して、印字した。記
録性能については、小滴形成の安定性の低下がなく、オ
リフィスを目詰まりさせることなくスムーズに印字でき
た。他の結果は表8に示すように良好であった。
【0115】実施例28
【0116】
【表7】 トリスアゾ染料(2)(K塩) 3.0g N-メチル-2-ピロリドン 5.0g イソプロパノール 5.0g 純水 85.0g ポリビニルピロリドン 2.0g
【0117】上記の配合を用いること以外は実施例14
と同様して水性インキ組成物を調製して、印字した。記
録性能については、小滴形成の安定性の低下がなく、オ
リフィスを目詰まりさせることなくスムーズに印字でき
た他の結果は表8に示すように良好であった。
【0118】
【表8】実施例No. 27 28 経時安定性 ○ ○ 色相 青味黒 赤味黒 印字濃度 ◎ ◎ 耐水性 ○ ◎耐光性 ◎ ◎
【0119】
【実施例29および30】実施例29および30では、ボー
ルペン用水性インキ組成物について説明する。
【0120】実施例29
【0121】
【表9】 トリスアゾ染料(5)(Li塩) 8.0g プロピレングリコール 15.0g 純水 77.0g 界面活性剤(ユニダインDS-401) 1.0g フェノール 0.1g
【0122】上記の配合を用いること以外は実施例14と
同様して水性インキ組成物を調製した。ボールペンに充
填して筆記性能を試験したところ、長期間スームズに筆
記できた。また、インキの経時安定性および筆記物の耐
水性は良好であった。
【0123】実施例30
【0124】
【表10】 トリスアゾ染料(7) (Na塩) 8.0g ジエチレングリコール 5.0g 純水 77.0g 界面活性剤(ユニダインDS-401) 1.0g 安息香酸ナトリウム 0.2g
【0125】上記の配合を用いること以外は実施例14と
同様して水性インキ組成物を調製した。ボールペンに充
填して筆記性能を試験したところ、長期間スームズに筆
記できた。また、インキの経時安定性および筆記物の耐
水性は良好であった。
【0126】実施例31 マーキングペン用水性インキ組成物について説明する。
【0127】
【表11】 トリスアゾ染料(10)(トリエタノ―ルアミン塩) 9.0g エチレングリコール 10.0g ジエチレングリコール 5.0g 純水 75.0g フェノール 0.2g
【0128】上記の配合を用いること以外は実施例14
と同様して水性インキ組成物を調製した。マーキングペ
ンに充填して筆記性能を試験したところ、長期間スーム
ズに筆記できた。また、インキの経時安定性および筆記
物の耐水性は良好であった。
【0129】
【発明の効果】本発明の水性インキ組成物は表1および
表3に示すように、色相や印字濃度に優れ、比較例に比
べて、特に耐水性と耐光性および経時安定性が飛躍的に
優れている。
【0130】すなわち本発明のトリスアゾ化合物(染料)
は、インキの液媒体に良好な溶解性を示し、インキの粘
度をほど良く調製ができる。このため経時的にインキの
増粘がなく、化合物(染料)自体の析出が見られないため
に、水性インキ組成物の経時安定性が飛躍的に優るので
ある。また、スムーズに印字ができ、吐出口での目詰ま
りがない。
【0131】また、本発明のトリスアゾ染料は構造内に
スルホン酸基の数を1個に制限して、かつホスホン酸基
および/またはカルボキシル基を含む。そのため印字物
の耐水性が飛躍的に向上される。また印字の滲みがなく
鮮明な印字が可能である。
【0132】最近の筆記具や記録分野では安全性の高い
インキは必須条件になっている。本発明に係るトリスア
ゾ染料は、安全性の観点から問題となる変異原性物質が
除去されているためエームステストの結果は陰性であ
り、安全性が高い。このことは業界の要望に最適であ
る。
【0133】すなわち本発明の水性インキ組成物は筆記
や情報記録等に際し、特にインクジェット記録用および
ボールペン用水性インキとして、充分な筆記記録特性
(画像定着性や潤滑性等)を満たし、特に優れた耐水性と
経時安定性に優れた上に、安全性の高い黒色水性インキ
組成物である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得られたトリスアゾ染料(1)の可
視吸収スペクトルである。
【図2】 実施例2で得られたトリスアゾ染料(2)の可
視吸収スペクトルである。
【図3】 実施例5で得られたトリスアゾ染料(5)の可
視吸収スペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹原 工二 大阪府寝屋川市讃良東町8番1号 オリ ヱント化学工業株式会社研究所内 (56)参考文献 特開 平6−234944(JP,A) 特開 平2−233782(JP,A) 特開 平3−79681(JP,A) 特開 昭63−220203(JP,A) 特開 昭62−250063(JP,A) 特開 昭62−253661(JP,A) 特開 昭61−285275(JP,A) 特開 平1−319576(JP,A) 特開 平2−36279(JP,A) 特公 昭32−6280(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09B 31/22 C09D 11/00 C09D 11/16 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の式で示す構造を有するトリスアゾ
    染料: 【化1】 式中、Aは、式 −PO(OM)2、 −PO(OM)OX、または −COOM [式中、Mは水素、アルカリ金属、アンモニウム、炭素
    数1〜6のアルキルアンモニウムまたは炭素数1〜6の
    アルカノールアンモニウムであり、Xは炭素数1〜4の
    アルキル基である。]で示す基であり、Mは上記と同意
    義であり、Zはメトキシ基またはエトキシ基であり、Y
    は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル
    基、炭素数1〜4のアルコキシ基または炭素数1〜4の
    アシルアミノ基であり、Bは水素、置換されていてもよ
    い炭素数1〜4のアルキル基、またはカルボキシル基で
    置換されていてもよいフェニル基もしくはベンジル基で
    ある。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のトリスアゾ染料を含有す
    る水性インキ組成物。
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