JP3296234B2 - クラッタ抑圧装置およびクラッタ抑圧方法 - Google Patents

クラッタ抑圧装置およびクラッタ抑圧方法

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JP3296234B2 JP04899097A JP4899097A JP3296234B2 JP 3296234 B2 JP3296234 B2 JP 3296234B2 JP 04899097 A JP04899097 A JP 04899097A JP 4899097 A JP4899097 A JP 4899097A JP 3296234 B2 JP3296234 B2 JP 3296234B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、レーダのクラッ
タ抑圧装置に関し、特にHF帯の表面波を用いて海上を
捜索する短波レーダにおいて、受信された信号のうち目
標信号以外のクラッタなどによる反射エコーを除去する
クラッタ抑圧装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、HF帯のレーダにより受信される
クラッタなど目標信号からの反射エコー以外の不要な信
号を除去するためのクラッタ抑圧装置として、例えば特
開平7−43452号公報に示されたクラッタ抑圧装置
がある。図13は、同公報に示された従来のクラッタ抑
圧装置の構成を示す構成図である。図において、4a,
4bは中心周波数推定手段、14a,14bはメジアン
フィルタ、21a,21bは帯域幅推定手段、22a,
22bはノッチフィルタ選択手段、23a,23bはフ
ィルタ荷重調整手段、24はフィルタ処理部、25は低
周波数域通過フィルタ(以下、LPFと記す)、26は
高周波数域通過フィルタ(以下、HPFと記す)である
【0003】次に、図13のクラッタ抑圧装置の動作に
ついて説明する。まず、受信信号は分岐されて各々HP
F26、LPF25に転送される。これらのフィルタで
は、正の周波数領域の存在するクラッタ、負の周波数領
域に存在するクラッタが各々抽出される。次に、抽出さ
れた正負それぞれのクラッタ信号について、中心周波数
推定手段4a,4bにより各々の中心周波数が推定され
る。ここで用いている方法は、burgの方法に基づ
き、ラティス反射係数を用いてクラッタの中心周波数を
推定する方法である。
【0004】次にこれらの中心周波数は、メジアンフィ
ルタ14a,bに入力され、メジアンが算出される。ま
た、同時に帯域幅推定手段21a,21bにより、入力
信号中のクラッタのスペクトル帯域幅が推定され、その
結果がノッチフィルタ選択手段22a,22bに入力さ
れる。ノッチフィルタ選択手段22a,22bでは、予
め用意した数種のノッチフィルタの中から、クラッタの
帯域幅にあわせた最適な除去帯域幅を有するノッチフィ
ルタを選択し、さらにフィルタ荷重調整手段23a,b
において、クラッタの中心周波数にノッチの中心を移動
するためのフィルタ荷重調整を行い、フィルタ処理部2
4において、受信信号の不要信号除去を行う。
【0005】次に、海上を捜索するためのHF帯の表面
波を用いる短波レーダにおいる海面からの反射エコーの
ドップラ周波数特性について説明する。ここで、図14
は海面からの反射エコーを示す周波数スペクトル図であ
る。2つのピーク31a,31bはブラッグライン(B
ragg line)と呼ばれる。他と著しく異なる海
面からの反射を模式的に示したもので、海流などによる
ドップラ周波数のわずかなシフトを除いて考えると、ブ
ラッグラインの現れるドップラ周波数fBは、次の
(1)式で表せることが知られている。
【0006】
【数1】
【0007】ただし、上記(1)式において、gは重力
の加速度、f0は送信中心周波数、Cは光速である。ブ
ラッグラインのピーク強度及び帯域幅は、海面の状況に
よって著しく変化し、ブラッグラインの形状も必ずしも
対照とはならず、海面の状況により変化する。また、ブ
ラッグラインは目標からの反射エコーに比べて20dB
程度以上も大きい場合も多い。また、31cはコンティ
ニアムと呼ばれる海面からの多重反射によるもので、正
負のブラッグライン間に出現する。HF帯の表面波レー
ダでは、このような海面からの信号がクラッタとなり、
目標検出を阻害する要因となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来のH
F帯の表面波を用いる短波レーダにおけるクラッタ抑圧
装置は、予め用意した数種のノッチフィルタの中から、
クラッタの帯域幅にあわせた最適な除去帯域幅を有する
ノッチフィルタを選択するようにしていたので、実際の
クラッタに合わせてクラッタを除去することが困難であ
った。また、図13に示したように時間領域のノッチフ
ィルタで構成されていたので、左右対称のノッチしか構
成できなかった。特にブラッグラインについては、形状
の不均一性から、クラッタの形状に合わせたフィルタを
選択することが困難であった。以上のような理由によ
り、フィルタの阻止帯域幅を広くしすぎると、クラッタ
以外の目標まで消去してしまい、逆に阻止帯域幅を狭く
しすぎると、クラッタの消え残りが生じ、目標を誤って
検出してしまうなどの問題点があった。また、クラッタ
強度にあわせたフィルタを選択することも困難であり、
ノッチの深さが浅すぎるとクラッタの消え残りが生じ、
逆にノッチの深さが深すぎるとエッジによって目標を誤
って検出する可能性があるなどの問題があった。
【0009】この発明は、かかる問題点を解決するため
になされたもので、現実に得られた周波数スペクトルに
より現状に則した推定クラッタスペクトルを得て、精度
良くクラッタの抑圧を行うことを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明にかかるクラッ
タ抑圧装置は、目標物の検出を行うため、レーダが受信
した受信信号に含まれる不要な信号成分を除去するクラ
ッタ抑圧装置であって、上記受信信号から複数のレンジ
に対応した複数の周波数スペクトルを得るフィルタと、
上記フィルタによって得られた複数の周波数スペクトル
の中の一部の周波数スペクトルを選択し、当該選択した
周波数スペクトルを基に推定スペクトルを生成する推定
スペクトル生成手段と、上記複数の周波数スペクトルの
中の処理対象となる周波数スペクトルと上記推定スペク
トルとの差分を取る差分算出手段と、を有し、上記一部
の周波数スペクトルは、上記処理対象となる周波数スペ
クトルとは異なったレンジの周波数スペクトルとした
のである。
【0011】
【0012】さらに、上記推定スペクトル生成手段は、
上記処理対称となる周波数スペクトルに対して所定のレ
ンジ以上離れた周波数スペクトルを上記一部の周波数ス
ペクトルとして選択するものである。
【0013】さらにまた、上記推定スペクトル生成手段
は、上記処理対象となる周波数スペクトルの特性を検出
し、当該検出結果に応じて上記選択した周波数スペクト
ルの特性を補正することにより推定スペクトルを生成す
るものである。
【0014】また、上記推定スペクトル生成手段は、上
記一部の周波数スペクトルを構成する複数の周波数スペ
クトルの特性を検出し、この検出結果に応じて推定スペ
クトルを生成するものである。
【0015】さらに、上記特性とは、ピーク周波数であ
ることを特徴とするものである。
【0016】さらにまた、上記特性とは、周波数スペク
トルの強度であることを特徴とするものである。
【0017】また、上記推定スペクトル生成手段は、上
記一部の周波数スペクトルを構成する複数の周波数スペ
クトルを基にピーク周波数のレンジ方向の変化を検出
し、この検出結果を基に推定スペクトルを生成すること
を特徴とするものである。
【0018】この発明におけるクラッタ抑方法は、目
標物の検出を行うため、レーダによって受信した受信信
号に含まれる不要な信号成分を除去するクラッタ抑圧方
法であって、上記レーダから送信した電波の反射波を受
信する受信ステップと、上記受信ステップにおいて得ら
れた受信信号から複数のレンジに対応した複数の周波数
スペクトルを得る周波数スペクトル生成ステップと、上
記周波数スペクトル生成ステップにおいて得られた複数
の周波数スペクトルの中の一部の周波数スペクトルを選
択する選択ステップと、上記選択ステップにおいて選択
した周波数スペクトルを基に推定スペクトルを生成する
推定スペクトル生成ステップと、上記複数の周波数スペ
クトルの中の処理対象となる周波数スペクトルと上記推
定スペクトル生成ステップにおいて生成した推定スペク
トルとの差分を取る差分算出ステップと、を有し、上記
選択ステップで選択した上記一部の周波数スペクトル
は、上記処理対象となる周波数スペクトルとは異なった
レンジの周波数スペクトルであることを特徴とするもの
である。
【0019】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.この実施の形態におけるクラッタ抑圧装
置は、受信信号のドップラフィルタにより全レンジビン
のスペクトルを算出した後、近距離でのクラッタの典型
的なスペクトルを定期的に更新して参照スペクトルと
し、該参照スペクトルのピーク周波数及びピーク強度を
各処理レンジビンのスペクトルに合致するように補正し
た後、処理レンジビンのスペクトルから周波数補正及び
強度補正後の参照スペクトルを除去するようにしたもの
である。
【0020】以下、この実施の形態を図について説明す
る。図1は、この実施の形態におけるクラッタ抑圧装置
のブロック図である。図において、1は送信した電波の
反射波を受信し、その反射波から所定パルス数の受信信
号を得る受信部であり、2は受信部1の出力側に設けら
れたドップラフィルタであり、3はドップラフィルタ2
の出力側に設けられた参照スベクトル格納部であり、4
はドップラフィルタ2の出力側に設けられたピーク周波
数検出部であり、ピーク周波数検出部4は参照スペクト
ル格納部3と並列的に接続される。
【0021】5は参照スペクトル格納部3およびピーク
周波数検出部4の出力側に設けられた周波数補正部であ
り、6はピーク周波数検出部4の出力側に設けられたピ
ーク強度検出部であり、7はピーク強度検出部6および
周波数補正部5の出力側に設けられた強度補正部であ
り、8はピーク強度検出部6および強度補正部7の出力
側に設けられたクラッタ除去処理部であり、9はクラッ
タ除去処理部8の出力側に設けられた目標検出部であ
る。
【0022】次に、この実施の形態におけるクラッタ抑
圧装置の動作について説明する。受信部1は、送信した
電波の反射波を受信して、その反射波から得た所定パル
ス数の受信信号を出力する。受信部1から出力される所
定のパルス数の受信信号は、ドップラフィルタ2に入力
され、各レンジビン毎に所定の周波数成分に分離され
る。ドップラフィルタ2は、例えばFFT処理回路によ
り構成される。ドップラフィルタ2をFFT処理回路に
よって処理した場合の概念を図2に示す。
【0023】図2において、2は、FFT処理回路によ
って構成されたドップラフィルタである。(a)は、受
信部1から出力されFFT処理回路に入力される受信信
号であり、レンジとはクラッタ抑圧装置からの距離を示
しており、ヒットは受信したパルスを示している。
(b)は、ドップラフィルタ2によって得られた周波数
スペクトルを示している。図2(b)に示された周波数
スペクトルは、各レンジビンに対するスペクトルを示し
ている。そして、(b)の内、31a,31bはブラッ
グラインと呼ばれる海面からの反射によって現れる周波
数スペクトルである。このブラッグラインのピーク周波
数は海流の影響で、距離、時刻によって変動する特性を
もつ。また、ブラッグラインの強度および帯域幅につい
ても、海面の状況や時刻により著しく変動する。このよ
うなブラッグラインと呼ばれる海面からの反射スペクト
ルがクラッタとなる。また、(b)の内、32は目標か
らの反射エコー、即ち、目標物からの反射波によって得
られるスペクトルである。
【0024】図2(b)に示す周波数スペクトルの中か
ら、目標からの反射スペクトルだけを取り出すことによ
って、クラッタの影響を受けずに精度良い目標物の検出
を行うために、この実施の形態では、次のような処理を
行う。
【0025】まず、このようにして得られた各レンジビ
ン毎のスペクトル波形の内、目標からの反射エコーが存
在せず、かつ近距離でクラッタ信号レベル対雑音比(C
/N比)の大きいスペクトル波形を、参照スペクトルと
して参照スペクトル格納部3に入力し、更新していく。
ここで、近距離という条件を付けている理由は、一般的
に距離が近い程C/Nが大きく、従ってクラッタの性質
がスペクトル形状によく現れているからである。
【0026】尚、この参照スペクトル格納部3への更新
は、定期的におこなう。このように定期的に参照スペク
トルを更新するのは、クラッタのスペクトルが、海面の
状況により時間的に変動するため、常に現状に即した参
照スペクトルと所持するためである。
【0027】次に、参照スペクトル格納部3では、参照
スペクトルとして入力したスペクトル波形のピーク周波
数及びピーク周波数での強度の検出を行い、その検出結
果を保持する。また、ドップラフィルタ2から出力され
る各レンジビンのスペクトル波形は、ピーク周波数検出
部4に入力されて、各レンジビンごとにブラッグライン
のピーク周波数が検出される。
【0028】このブラッグラインのピーク周波数の検出
方法を更に詳細に説明する。海流のないときのブラッグ
ラインのピーク周波数は、(1)式で示したように送信
電波の周波数により一意に決定できる。また、海流のあ
る場合のスペクトル波形は、海流によって生じるドップ
ラ周波数分、海流の無い場合のスペクトル波形が左右に
シフトする。そのため、通常考えうる最大の海流速度か
ら海流による最大ドップラシフト量を見積もり、送信周
波数から算出されるブラッグラインのドップラ周波数を
中心として、海流による最大ドップラシフト量の範囲内
でピークを検出することにより、クラッタのピーク周波
数を求めることができる。
【0029】周波数補正部5では、ピーク周波数検出部
4で検出された各処理レンジビンのブラッグラインのピ
ーク周波数に対して、参照スペクトルのピーク周波数が
合致するように、参照スペクトルを周波数方向にシフト
させる。次に、ピーク強度検出部6は、各処理レンジビ
ンにおけるブラッグラインのピーク周波数での強度を検
出する。強度補正部7は、ピーク強度検出部6によって
検出された各処理レンジビンのブラッグラインのピーク
周波数での強度に対して参照スペクトルのピーク周波数
の強度が合致するように参照スペクトルの強度を補正す
る。
【0030】周波数補正部5及び強度補正部7で補正さ
れた参照スペクトルは、処理レンジビンのクラッタスペ
クトルの推定結果となる。以降、この推定結果を推定ク
ラッタスペクトルと記す。そして、クラッタ除去処理部
8は、このようにして得られた処理レンジビンの推定ク
ラッタスペクトルを各処理レンジピンのスペクトルから
除去することにより、クラッタなどの不要信号を除去す
る。不要信号が除去されたスペクトルは、目標検出部9
に入力されて、以降の目標検出が行われる。
【0031】図3は、実施の形態1の周波数補正部5、
強度補正部7及びクラッタ除去処理部8での一連の処理
の流れを補足説明するための周波数スペクトル図であ
る。図3において、31a,31bはブラッグラインの
スペクトル、32は目標のスペクトル、41は処理レン
ジビンのスペクトル、42は参照スペクトル、45は元
の参照スペクトル、46は周波数補正後のスペクトル、
47は強度補正後の参照スペクトル、48はクラッタ除
去後のスペクトルを示している。
【0032】このように実施の形態1によれば、典型的
なクラッタの参照スペクトルを周波数及び強度補正を行
うことにより推定クラッタスペクトルを作成して周波数
領域で除去するようにしたので、クラッタ近傍の目標信
号の保存性を確保したまま、クラッタなどの不要信号を
除去し、目標検出を容易にすることができる。
【0033】また、推定クラッタスペクトルを作成する
基の参照スペクトルとして、実際の海面からの反射によ
って得られたスペクトルを採用しているので、より現状
に則した推定クラッタスペクトルを得ることができる。
さらに、処理レンジビンと同じ時刻に受信した受信信号
から得られるスペクトルを参照スペクトルとして採用す
ることにより、時刻によって刻々と変化するクラッタが
存在しても、精度良い目標検出が可能となる。
【0034】尚、ドップラフィルタ2としてFFT回路
を用いた場合について説明したが、その他の回路を用い
るようにしてもよい。この明細書においてドップラフィ
ルタ2とは、時間領域から周波数領域に変換する処理を
行うものをいう。また尚、ドップラフィルタ2は、上記
受信信号から複数のレンジに対応した複数の周波数スペ
クトルを得るフィルタの一例であり、周波数補正部5及
び強度補正部7はフィルタによって得られた複数の周波
数スペクトルの中の一部の周波数スペクトルを選択し、
当該選択した周波数スペクトルを基に推定スペクトルを
生成する推定スペクトル生成手段の一例であり、クラッ
タ除去処理部8は、複数の周波数スペクトルの中の処理
対象となる周波数スペクトルと上記推定スペクトルとの
差分を取る差分算出手段の一例である。
【0035】実施の形態2.上記実施の形態1では各処
理レンジビンのスペクトルのピーク周波数と参照スペク
トルのピーク周波数をそれぞれ個別に検出し、それらの
ピーク周波数の差を用いて周波数補正を行うようにして
いたが、処理レンジビンのスペクトルと参照スペクトル
の相互相関関数を用いて周波数補正を行うこともでき
る。
【0036】図4は、この実施の形態におけるクラッタ
抑圧装置の機能ブロック図である。図4において、相当
部分は図1と同一符号を付してその説明を省略する。図
において、10はドップラフィルタ2の出力側に設けら
れた相互相関関数である。
【0037】次に動作について説明する。受信部1から
出力される受信信号がドップラフィルタ2により所定の
周波数成分に分離され、参照スペクトル格納部3で参照
スペクトルを更新する過程は、実施の形態1で説明した
のと同様であるので説明は省略する。
【0038】各処理レンジビンのスペクトルと参照スペ
クトルは、相互相関演算部10に入力され、相互相関関
数が算出される。今、処理レンジビンのスペクトルをx
(f)、参照スペクトルをy(f)とすると、相互相関
関数は、式(2)で表される。
【0039】
【数2】 この相互相関関数R(τ)が最大となる時の周波数シフ
ト量τが処理レンジビンと参照スペクトルとの周波数の
ずれを表している。相互相関演算部10では、式(2)
から周波数シフト量τを得る。
【0040】周波数補正部5は、相互相関演算部10に
よって得られた周波数シフト量τ分だけ参照スペクトル
を周波数方向にシフトする。即ち、処理レンジビンのス
ペクトル波形と参照スペクトル波形とが最も似た傾向を
示すように、参照スペクトルを周波数方向にシフトする
のである。
【0041】次に、当該処理レンジビンのピーク強度を
ピーク強度検出部6で検出し、強度補正部7において参
照スペクトルの強度補正を行うことによって推定クラッ
タスペクトルを作成する。そして、クラッタ除去処理部
8は、このようにして得られた処理レンジビンの推定ク
ラッタスペクトルを各処理レンジピンのスペクトルから
除去することにより、クラッタなどの不要信号を除去す
る。不要信号が除去されたスペクトルは、目標検出部9
に入力されて、以降の目標検出が行われる。
【0042】一般に、風雨などにより海面の状況がしけ
状態の時にはブラッグラインの帯域幅は広がり、かつ左
右の対称性が損なわれることが知られている。また、レ
ーダからの距離によりピーク周波数、帯域幅、形状の変
化が大きくなる。このような場合には、参照スペクトル
のピーク周波数シフトによる周波数補正では精度良い推
定クラッタスペクトルを得ることが困難になる。しか
し、相互相関関数を用いた場合には、クラッタのピーク
だけでなく、ピーク周辺の多次エコーによる影響やコン
ティニアム等を含め、クラッタスペクトル全体の形状を
比較して処理レンジビンと参照スペクトルとの周波数シ
フト量を求めることになるので、精度良い推定クラッタ
スペクトルを得ることができる点で有効である。
【0043】実施の形態3.上記実施の形態1、2では
処理レンジビンの推定スペクトルの元となる参照スペク
トルを1種に固定し、適宜更新していたが、処理レンジ
ビン近傍のクラッタ参照領域のスペクトル波形を元に、
当該レンジビンのクラッタスペクトル推定を行い、クラ
ッタ除去を行うこともできる。
【0044】図5は、この実施の形態におけるクラッタ
抑圧装置の機能ブロック図であり、相当部分は図1と同
一符号を付してその説明を省略する。11はピーク周波
数検出部4の出力側および周波数補正部5の入力側に設
けられたピーク周波数平均処理部であり、12は周波数
補正部5の出力側およびクラッタ除去処理部8の入力側
に設けられた平均強度推定部である。
【0045】次に、動作について説明する。受信部1か
ら出力される受信信号がドップラフィルタ2により所定
の周波数成分に分離されるまでは、実施の形態1で説明
したのと同様である。ピーク周波数検出部4において
は、全レンジビンのクラッタピーク周波数を検出する
が、検出方法は実施の形態1で説明したように、ブラッ
グラインの周波数付近からピークを検出すればよい。
【0046】ピーク周波数検出部4によって検出された
全レンジビンのクラッタピーク周波数の内、クラッタ参
照領域内に位置する複数のレンジビンのクラッタピーク
周波数がピーク周波数平均処理部11に入力される。こ
こで、クラッタ参照領域内に位置するレンジビンとは、
処理レンジビンから1乃至数レンジビンのガードを隔て
て前後に存在するレンジビンを意味する。尚、上記ガー
ドの大きさは、パルス幅を考慮して決定したり、FMC
W方式のレーダの場合にはレンジビン生成時のFFTで
使用するウェイティング関数により生じるメインローブ
幅を考慮して決定する。
【0047】そして、ピーク周波数平均処理部11で
は、クラッタ参照領域内に位置する複数のレンジビンの
クラッタピーク周波数の平均値を算出する。このように
して算出されたクラッタピーク周波数の平均値を平均ピ
ーク周波数と記す。さらに、周波数補正部5は、クラッ
タ参照領域内の各レンジビンのスペクトル波形のピーク
が前記平均ピーク周波数に合致するように周波数方向に
シフトする。このようにして周波数補正されたクラッタ
参照領域内の各レンジビンのスペクトル波形は、平均強
度推定部12に入力される。そして平均強度推定部12
は、周波数補正されたクラッタ参照領域内の各レンジビ
ンのスペクトル波形の各ドップラ成分毎にクラッタ参照
領域内での平均値を算出することにより、推定クラッタ
スペクトルを得る。
【0048】そして、クラッタ除去処理部8は、このよ
うにして得られた処理レンジビンの推定クラッタスペク
トルを各処理レンジピンのスペクトルから除去すること
により、クラッタなどの不要信号を除去する。不要信号
が除去されたスペクトルは、目標検出部9に入力され
て、以降の目標検出が行われる。
【0049】図6は、実施の形態3におけるピーク周波
数平均処理部11、周波数補正部5、平均強度推定部1
2及びクラッタ除去処理部8での一連の処理の流れを補
足説明するための周波数スペクトル図である。図におい
て、31a,31bはブラッグラインのスペクトル、3
2は目標のスペクトル、41は処理レンジビン、43
a,43bはガード領域、44a,44bはクラッタ参
照領域、45は元のスペクトル、46は周波数補正後の
スペクトル、47は強度補正後のスペクトル、48はク
ラッタ除去後のスペクトル、49は推定クラッタスペク
トルを示している。
【0050】即ち、処理レンジビン41に対してガード
領域43a,43b分隔てたクラッタ参照領域44a,
44b内の複数のレンジビンについて、ピーク周波数を
処理レンジビン41のピーク周波数に補正する。この周
波数補正によって周波数補正後のスペクトル46が得ら
れる。そして、周波数補正した後のクラッタ参照領域4
4a,44b内の複数のレンジビンの強度の平均値を取
ることによって推定クラッタスペクトル49を得る。処
理レンジビン41から推定クラッタスペクトル49を除
去することによって目標のエコーを取り出す。
【0051】このように、実施の形態3によれば、処理
レンジビンの近傍のレンジビンのスペクトルのピーク周
波数の平均値及びスペクトル強度の平均値を元に、当該
処理レンジビンのクラッタスペクトルを推定し、処理レ
ンジビンのスペクトルから推定クラッタスペクトルを周
波数領域で除去するようにしたので、海流などの影響に
よりピーク周波数及び帯域幅がレーダからの距離に応じ
て直線的に変動するようなクラッタが存在していても、
近傍の目標信号の保存性を確保した目標検出を容易に行
うことができる。
【0052】尚、この実施の形態におけるピーク周波数
平均処理部11、周波数補正部5および平均強度推定部
12は、推定スペクトル生成手段の一例である。
【0053】実施の形態4.上記実施の形態3において
は、処理レンジビン近傍のクラッタ参照領域内のスペク
トルのピーク周波数の平均値及びスペクトル強度の平均
値を元に、当該レンジビンのクラッタスペクトルを推定
し、処理レンジビンのスペクトルから推定クラッタスペ
クトルを周波数領域で除去するようにしたが、クラッタ
参照領域内のスペクトルのピーク周波数の平均値及びス
ペクトル強度のメジアンを基に同様の処理を行うことも
できる。
【0054】図7は、この実施の形態におけるクラッタ
抑圧装置の機能ブロック図であり、相当部分は図5と同
一符号を付してその説明を省略する。図において、13
は周波数補正部5の出力側およびクラッタ除去処理部8
の入力側に設けられたメジアン強度推定部である。
【0055】次に動作について説明する。受信部1から
ドップラフィルタ2、ピーク周波数検出部4、ピーク周
波数平均処理部11、周波数補正部5までの一連の処理
の流れは、実施の形態3で説明したのと同様であるので
説明は省略する。周波数補正されたクラッタ参照領域内
の各レンジビンのスペクトルは、メジアン強度推定部1
3に入力される。そして、メジアン強度推定部13は、
各ドップラ成分毎にクラッタ参照領域内での強度のメジ
アンを算出し、これを処理レンジビンに対する推定クラ
ッタスペクトルとする。尚、上述の強度のメジアンの算
出方法は、従来例と同様であるので説明は省略する。
【0056】この後、クラッタ除去処理部8で、処理レ
ンジビンのスペクトル波形からこの推定クラッタスペク
トルを除去することにより、処理レンジビンにおけるク
ラッタ抑圧を行い、除去後のスペクトルを目標検出部9
に出力する。
【0057】このように、推定クラッタスペクトルを求
める際に、クラッタ参照領域内の強度のメジアンを用い
ることにより、クラッタ参照領域内に目標が存在する場
合でも、目標によって強度推定値が上昇してクラッタ強
度推定誤差が増加するようなことはなく、クラッタ推定
をより正確に行うことができる。
【0058】クラッタ参照領域内の平均強度を用いる場
合、仮にクラッタ参照領域内に目標が存在すると、目標
信号により平均値が大きく影響を受け、指定クラッタ強
度が大きく推定されてしまう恐れがあるが、メジアンを
用いることによってその恐れを低減できるため有効であ
る。
【0059】尚、この実施の形態におけるピーク周波数
平均処理部11、周波数補正部5およびメジアン強度推
定部13は、推定スペクトル生成手段の一例である。
【0060】実施の形態5.上記実施の形態3では処理
レンジビン近傍のクラッタ参照領域内のスペクトルのピ
ーク周波数の平均値及びスペクトル強度の平均値を基
に、当該レンジビンのクラッタスペクトルを推定し、処
理レンジビンのスペクトルからクラッタ推定スぺクトル
を周波数領域で除去するようにしたが、クラッタ参照領
域内のスペクトルのピーク周波数のメジアン及びスペク
トル強度の平均値を基に、同様の処理を行うこともでき
る。
【0061】図8は、この実施の形態におけるクラッタ
抑圧装置の機能ブロック図であり、相当部分は図5と同
一符号を付してその説明を省略する。図において、14
はピーク周波数検出部4の出力側および周波数補正部5
の入力側に設けられたメジアン周波数推定部である。
【0062】次に動作について説明する。受信部1から
ドップラフィルタ2、ピーク周波数検出部4までの一連
の処理の流れは、実施の形態3で説明したのと同様であ
るので説明は省略する。クラッタ参照領域内に存在する
レンジビンのクラッタピーク周波数がピーク周波数検出
部4によって検出され、検出結果がメジアン周波数推定
部14に入力される。メジアン周波数推定部14は、ク
ラッタ参照領域内に存在するレンジビンのクラッタピー
ク周波数のメジアンを算出する。さらに、周波数補正部
5は、クラッタ参照領域内の各レンジビンのスペクトル
波形のピークがメジアン周波数推定部14によって算出
したクラッタピーク周波数のメジアンに合致するよう周
波数方向にシフトする。以後の平均強度推定部12、ク
ラッタ除去処理部8での処理を行い、目標検出部9に出
力する。
【0063】このように、推定クラッタスペクトルを求
める際に、クラッタ参照領域内のクラッタピーク周波数
のメジアンを用いることにより、クラッタ参照領域内の
ブラッグライン付近にクラッタよりも強度の大きい目標
が存在する場合でも、当該目標によって周波数推定値が
変動してクラッタ周波数推定誤差が増加することなく、
クラッタ推定をより正確に行うことができる。従って、
海流などの影響によりピーク周波数及び帯域幅がレーダ
からの距離により直線的に変動するようなクラッタが存
在していても、近傍の目標信号の保存性を確保した目標
検出を容易に行うことができる。
【0064】尚、この実施の形態におけるメジアン周波
数推定部14、周波数補正部5および平均強度推定部1
2は、推定スペクトル生成手段の一例である。
【0065】実施の形態6.上記実施の形態5では、処
理レンジビン近傍のクラッタ参照領域内のスペクトルの
ピーク周波数のメジアン及びスペクトル強度の平均値を
元に、当該レンジビンのクラッタスペクトルを推定し、
処理レンジビンのスペクトルから推定クラッタスペクト
ルを周波数領域で除去するようにしたが、クラッタ参照
領域内のスペクトルのピーク周波数のメジアン及びスペ
クトル強度のメジアンを元に、同様の処理を行うことも
できる。
【0066】図9は、この実施の形態におけるクラッタ
抑圧装置を示す機能ブロック図であり、相当部分は図8
と同一符号を付してその説明を省略する。図において、
13は周波数補正部5の出力側およびクラッタ除去処理
部8の入力側に設けられたメジアン強度推定部である。
【0067】次に動作について説明する。受信部1から
ドップラフィルタ2、ピーク周波数検出部4、メジアン
周波数推定部14、周波数補正部5までの一連の処理の
流れは、実施の形態5で説明したのと同様であるので説
明は省略する。周波数補正部5により周波数補正された
クラッタ参照領域内の各レンジビンのスペクトルは、メ
ジアン強度推定部13に入力される。メジアン強度推定
部13は、入力された各レンジビンのスペクトルの各ド
ップラ成分毎に強度のメジアンを算出し、これを処理レ
ンジビンにおける推定クラッタスペクトルとする。この
後、クラッタ除去処理部8で、処理レンジビンのスペク
トル波形からこの推定クラッタスペクトルを除去するこ
とにより、処理レンジビンにおけるクラッタ抑圧を行
い、目標検出部9に出力する。
【0068】このように、推定クラッタスペクトルを求
める際に、クラッタ参照領域内の強度のメジアンを用い
ることにより、クラッタ参照領域内に目標が存在する場
合でも、目標によって強度推定値が上昇してクラッタ強
度の推定誤差が増加するようなことなく、クラッタ推定
をより正確に行うことができる。従って、海流などの影
響によりピーク周波数及び帯域幅がレーダからの距離に
より直線的に変動するようなクラッタが存在していて
も、近傍の目標信号の保存性を確保した目標検出を容易
に行うことができる。
【0069】尚、この実施の形態におけるメジアン周波
数推定部14、周波数補正部5およびメジアン強度推定
部13は、推定スペクトル生成手段の一例である。
【0070】実施の形態7.上記実施の形態5では、処
理レンジビン近傍のクラッタ参照領域内のスペクトルの
ピーク周波数のメジアン及びスぺクトル強度の平均値を
元に、当該レンジビンのクラッタスペクトルを推定し、
処理レンジビンのスペクトルから推定クラッタスペクト
ルを周波数領域で除去するようにしたが、クラッタ参照
領域内のスペクトルのピーク周波数対距離の近似曲線か
ら推定周波数を求め、スペクトル強度の平均値から推定
強度を求めて、同様の処理を行うこともできる。
【0071】図10は、この実施の形態におけるクラッ
タ抑圧装置の機能ブロック図であり、相当部分は図8と
同一符号を付してその説明を省略する。図において、1
5はピーク周波数検出部4の出力側および周波数補正部
5の入力側に設けられた近似周波数推定部である。
【0072】次に動作について説明する。受信部1から
ドップラフィルタ2、ピーク周波数検出部4までの一連
の処理の流れは、実施の形態5で説明したのと同様であ
る。近似周波数推定部15は、クラッタ参照領域内のレ
ンジビンのクラッタピーク周波数の距離に対する変化を
示す近似曲線を求める。この近似曲線は、各レンジビン
のピーク周波数とのずれが最小となるように最小二乗法
などを用いて求められる。また、この近似曲線は、処理
レンジごとに求められる。
【0073】スペクトルのピーク周波数対距離の近似曲
線とは、例えば図11に示す曲線である。この近似曲線
は、各処理レンジの距離と、その処理レンジでのピーク
周波数との関係を線で結ぶことによって得られる。この
近似曲線を得ることによってレンジ方向のピーク周波数
の変化を検出していることになる。そしてこの近似曲線
により各処理レンジビンに対するピーク周波数の推定値
を得ることができる。近似周波数推定部15は、近似曲
線から処理レンジビンに対するクラッタピーク周波数の
推定値を得る。
【0074】さらに、周波数補正部5は、クラッタ参照
領域内の各レンジビンのスペクトル波形のピークが近似
周波数推定部15によって得た推定値と合致するよう周
波数方向にシフトする。以後の平均強度推定部12、ク
ラッタ除去処理部8での処理行い、目標検出部9に出力
する。
【0075】このように推定クラッタスペクトルを求め
る際に、クラッタ参照領域内のクラッタピーク周波数の
近似曲線を用いることにより、潮流などによりブラッグ
ラインが距離方向にうねりを生じるような場合でも、ク
ラッタ周波数推定誤差が増加することなく、クラッタ推
定をより正確に行うことができる。従って、海流などの
影響によりピーク周波数及び帯域幅がレーダからの距離
により曲線的に変動するようなクラッタが存在していて
も、近傍の目標信号の保存性を確保した目標検出を容易
に行うことができる。
【0076】尚、この実施の形態における近似周波数平
均処理部15、周波数補正部5および平均強度推定部1
2は、推定スペクトル生成手段の一例である。
【0077】実施の形態8.上記実施の形態7では、処
理レンジビン近傍のクラッタ参照領域内のスペクトルの
ピーク周波数の近似曲線による近似値及びスペクトル強
度の平均値を元に、当該レンジビンのクラッタスペクト
ルを推定し、処理レンジビンのスペクトルから推定クラ
ッタスペクトルを周波数領域で除去するようにしたが、
クラッタ参照領域内のスペクトルのピーク周波数の近似
値及びスペクトル強度のメジアンを元に、同様の処理を
行うこともできる。
【0078】図12は、この実施の形態におけるクラッ
タ抑圧装置の機能ブロック図であり、相当部分は同一符
号を付してその説明を省略する。図において、13は周
波数補正部5の出力側およびクラッタ除去処理部8の入
力側に設けられたメジアン強度推定部である。
【0079】次に動作について説明する。受信部1から
ドップラフィルタ2、ピーク周波数検出部4、近似周波
数推定部15、周波数補正部5までの一連の処理の流れ
は、実施の形態7で説明したのと同様であるので説明は
省略する。周波数補正部5により周波数補正されたクラ
ッタ参照領域内の各レンジビンのスペクトルは、メジア
ン強度推定部13に入力される。メジアン強度推定部1
3は、入力された各レンジビンのスペクトルの各ドップ
ラ成分毎に強度のメジアンを算出し、これを処理レンジ
ビンにおける推定クラッタスペクトルとする。この後、
クラッタ除去処理部8で、処理レンジビンのスペクトル
波形からこの推定クラッタスペクトルを除去することに
より、処理レンジビンにおけるクラッタ抑圧を行い、目
標検出部9に出力する。
【0080】このように、推定クラッタスペクトルを求
める際に、クラッタ参照領域内の強度のメジアンを用い
ることにより、クラッタ参照領域内に目標が存在する場
合でも、目標によって強度推定値が上昇してクラッタ強
度推定誤差が増加するようなことはなく、クラッタ推定
をより正確に行うことができる。従って、海流などの影
響によりピーク周波数及び帯域幅がレーダからの距離に
より曲線的に変動するようなクラッタが存在していて
も、近傍の目標信号の保存性を確保した目標検出を容易
に行うことができる。
【0081】尚、この実施の形態における近似周波数推
定部15、周波数補正部5およびメジアン強度推定部1
3は、推定スペクトル生成手段の一例である。
【0082】
【発明の効果】この発明は、以上に説明したように構成
されているので、以下に記載されるような効果を奏す
る。
【0083】この発明にかかるクラッタ抑圧装置は、目
標物の検出を行うため、レーダが受信した受信信号に含
まれる不要な信号成分を除去するクラッタ抑圧装置であ
って、上記受信信号から複数のレンジに対応した複数の
周波数スペクトルを得るフィルタと、上記フィルタによ
って得られた複数の周波数スペクトルの中の一部の周波
数スペクトルを選択し、当該選択した周波数スペクトル
を基に推定スペクトルを生成する推定スペクトル生成手
段と、上記複数の周波数スペクトルの中の処理対象とな
る周波数スペクトルと上記推定スペクトルとの差分を取
る差分算出手段と、を有するため、現実に得られた周波
数スペクトルにより現状に則した推定クラッタスペクト
ルを得ることができ、精度良くクラッタの抑圧を行うこ
とができる。
【0084】また、上記一部の周波数スペクトルは、上
記処理対象となる周波数スペクトルとは異なったレンジ
の周波数スペクトルであるため、処理対象となる周波数
スペクトル内の目標信号までも抑圧することを防止する
ことができる。
【0085】さらに、上記推定スペクトル生成手段は、
上記処理対象となる周波数スペクトルに対して所定のレ
ンジ以上離れた周波数スペクトルを上記一部の周波数ス
ペクトルとして選択するため、処理対象となる周波数ス
ペクトル内の目標信号までも抑圧することを防止するこ
とができる。
【0086】さらにまた、上記推定スペクトル生成手段
は、上記処理対象となる周波数スペクトルの特性を検出
し、当該検出結果に応じて上記選択した周波数スペクト
ルの特性を補正することにより推定スペクトルを生成す
るため、処理対象の周波数スペクトルの傾向に則した推
定スペクトルを得ることができ、精度良くクラッタの抑
圧を行うことができる。
【0087】また、上記推定スペクトル生成手段は、上
記一部の周波数スペクトルを構成する複数の周波数スペ
クトルの特性を検出し、この検出結果に応じて推定スペ
クトルを生成するため、複数の周波数スペクトルの特性
を加味することによりより処理対象となる周波数スペク
トルに近い推定スペクトルを得ることができる。
【0088】さらに、上記特性とは、ピーク周波数であ
るため、処理対象となる周波数スペクトルのピーク周波
数に合った推定スペクトルを得ることができる。
【0089】さらにまた、上記特性とは、周波数スペク
トルの強度であるため、処理対象となる周波数スペクト
ルの強度に合った推定スペクトルを得ることができる。
【0090】また、上記推定スペクトル生成手段は、上
記一部の周波数スペクトルを構成する複数の周波数スペ
クトルを基にピーク周波数のレンジ方向の変化を検出
し、この検出結果を基に推定スペクトルを生成するた
め、海流などの影響によりピーク周波数及び帯域幅がレ
ンジによって変動するようなクラッタが存在していても
より適正な推定スペクトルを得ることができる。
【0091】この発明におけるクラッタ抑方法は、目
標物の検出を行うため、レーダによって受信した受信信
号に含まれる不要な信号成分を除去するクラッタ抑圧方
法であって、上記レーダから送信した電波の反射波を受
信する受信ステップと、上記受信ステップにおいて得ら
れた受信信号から複数のレンジに対応した複数の周波数
スペクトルを得る周波数スペクトル生成ステップと、上
記周波数スペクトル生成ステップにおいて得られた複数
の周波数スペクトルの中の一部の周波数スペクトルを選
択する選択ステップと、上記選択ステップにおいて選択
した周波数スペクトルを基に推定スペクトルを生成する
推定スペクトル生成ステップと、上記複数の周波数スペ
クトルの中の処理対象となる周波数スペクトルと上記推
定スペクトル生成ステップにおいて生成した推定スペク
トルとの差分を取る差分算出ステップと、を有し、上記
選択ステップで選択した上記一部の周波数スペクトル
は、上記処理対象となる周波数スペクトルとは異なった
レンジの周波数スペクトルであることを特徴とするた
め、現実に得られた周波数スペクトルにより現状に則し
た推定クラッタスペクトルを得ることができ、精度良く
クラッタの抑圧を行うことができ、また、処理対象とな
る周波数スペクトル内の目標信号までも抑圧することを
防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1におけるクラッタ抑圧装置の内
部構成図である。
【図2】 実施の形態1におけるクラッタ抑圧装置の処
理過程を示す概念図である。
【図3】 実施の形態1におけるクラッタ抑圧装置の処
理過程を示す周波数スペクトル図である。
【図4】 実施の形態2におけるクラッタ抑圧装置の内
部構成図である。
【図5】 実施の形態3におけるクラッタ抑圧装置の内
部構成図である。
【図6】 実施の形態3におけるクラッタ抑圧装置の処
理過程を示す周波数スペクトル図である。
【図7】 実施の形態4におけるクラッタ抑圧装置の内
部構成図である。
【図8】 実施の形態5におけるクラッタ抑圧装置の内
部構成図である。
【図9】 実施の形態6におけるクラッタ抑圧装置の内
部構成図である。
【図10】 実施の形態7におけるクラッタ抑圧装置の
内部構成図である。
【図11】 近似周波数推定部15によって求められる
近似曲線を示す図である。
【図12】 実施の形態8におけるクラッタ抑圧装置の
内部構成図である。
【図13】 従来のクラッタ抑圧装置の内部構成図であ
る。
【図14】 海面からの反射エコーを示す周波数スペク
トル図である。
【符号の説明】
1 受信部、2 ドップラフィルタ、3 参照スペクト
ル格納部、4 ピーク周波数検出部、5 周波数補正
部、6 ピーク強度検出部、7 強度補正部、8クラッ
タ除去処理部、9 目標検出部、10 相互相関演算
部、11 ピーク周波数平均処理部、12 平均強度推
定部、13 メジアン強度推定部、14メジアン周波数
推定部、15 近似周波数推定部。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01S 7/00 - 7/42 G01S 13/00 - 13/95

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 目標物の検出を行うため、レーダが受信
    した受信信号に含まれる不要な信号成分を除去するクラ
    ッタ抑圧装置であって、 上記受信信号から複数のレンジに対応した複数の周波数
    スペクトルを得るフィルタと、 上記フィルタによって得られた複数の周波数スペクトル
    の中の一部の周波数スペクトルを選択し、当該選択した
    周波数スペクトルを基に推定スペクトルを生成する推定
    スペクトル生成手段と、 上記複数の周波数スペクトルの中の処理対象となる周波
    数スペクトルと上記推定スペクトルとの差分を取る差分
    算出手段と、 を有し、上記一部の周波数スペクトルは、上記処理対象
    となる周波数スペクトルとは異なったレンジの周波数ス
    ペクトルであることを特徴とするクラッタ抑圧装置。
  2. 【請求項2】 目標物の検出を行うため、レーダが受信
    した受信信号に含まれる不要な信号成分を除去するクラ
    ッタ抑圧装置であって、 上記受信信号から複数のレンジに対応した複数の周波数
    スペクトルを得るフィルタと、 上記フィルタによって得られた複数の周波数スペクトル
    の中の一部の周波数スペクトルを選択し、当該選択した
    周波数スペクトルを基に推定スペクトルを生成する推定
    スペクトル生成手段と、 上記複数の周波数スペクトルの中の処理対象となる周波
    数スペクトルと上記推定スペクトルとの差分を取る差分
    算出手段と、 を有し、上記推定スペクトル生成手段は、上記処理対称
    となる周波数スペクトルに対して所定のレンジ以上離れ
    た周波数スペクトルを上記一部の周波数スペクトルとし
    て選択することを特徴とするクラッタ抑圧装置。
  3. 【請求項3】 目標物の検出を行うため、レーダが受信
    した受信信号に含まれる不要な信号成分を除去するクラ
    ッタ抑圧装置であって、 上記受信信号から複数のレンジに対応した複数の周波数
    スペクトルを得るフィルタと、 上記フィルタによって得られた複数の周波数スペクトル
    の中の一部の周波数スペクトルを選択し、当該選択した
    周波数スペクトルを基に推定スペクトルを生成する推定
    スペクトル生成手段と、 上記複数の周波数スペクトルの中の処理対象となる周波
    数スペクトルと上記推定スペクトルとの差分を取る差分
    算出手段と、 を有し、上記推定スペクトル生成手段は、上記処理対象
    となる周波数スペクトルの特性を検出し、当該検出結果
    に応じて上記選択した周波数スペクトルの特性を補正す
    ることにより推定スペクトルを生成することを特徴とす
    るクラッタ抑圧装置。
  4. 【請求項4】 目標物の検出を行うため、レーダが受信
    した受信信号に含まれる不要な信号成分を除去するクラ
    ッタ抑圧装置であって、 上記受信信号から複数のレンジに対応した複数の周波数
    スペクトルを得るフィルタと、 上記フィルタによって得られた複数の周波数スペクトル
    の中の一部の周波数スペクトルを選択し、当該選択した
    周波数スペクトルを基に推定スペクトルを生成する推定
    スペクトル生成手段と、 上記複数の周波数スペクトルの中の処理対象となる周波
    数スペクトルと上記推定スペクトルとの差分を取る差分
    算出手段と、 を有し、上記推定スペクトル生成手段は、上記一部の周
    波数スペクトルを構成する複数の周波数スペクトルの特
    性を検出し、この検出結果に応じて推定スペクトルを生
    成することを特徴とするクラッタ抑圧装置。
  5. 【請求項5】 上記特性とは、ピーク周波数であること
    を特徴とする請求項3又は請求項4記載のクラッタ抑圧
    装置。
  6. 【請求項6】 上記特性とは、周波数スペクトルの強度
    であることを特徴とする請求項3又は請求項4記載のク
    ラッタ抑圧装置。
  7. 【請求項7】 目標物の検出を行うため、レーダが受信
    した受信信号に含まれる不要な信号成分を除去するクラ
    ッタ抑圧装置であって、 上記受信信号から複数のレンジに対応した複数の周波数
    スペクトルを得るフィルタと、 上記フィルタによって得られた複数の周波数スペクトル
    の中の一部の周波数スペクトルを選択し、当該選択した
    周波数スペクトルを基に推定スペクトルを生成する推定
    スペクトル生成手段と、 上記複数の周波数スペクトルの中の処理対象となる周波
    数スペクトルと上記推定スペクトルとの差分を取る差分
    算出手段と、 を有し、上記推定スペクトル生成手段は、上記一部の周
    波数スペクトルを構成する複数の周波数スペクトルを基
    にピーク周波数のレンジ方向の変化を検出し、この検出
    結果を基に推定スペクトルを生成することを特徴とする
    クラッタ抑圧装置。
  8. 【請求項8】 目標物の検出を行うため、レーダによっ
    て受信した受信信号に含まれる不要な信号成分を除去す
    るクラッタ抑圧方法であって、 上記レーダから送信した電波の反射波を受信する受信ス
    テップと、 上記受信ステップにおいて得られた受信信号から複数の
    レンジに対応した複数の周波数スペクトルを得る周波数
    スペクトル生成ステップと、 上記周波数スペクトル生成ステップにおいて得られた複
    数の周波数スペクトルの中の一部の周波数スペクトルを
    選択する選択ステップと、 上記選択ステップにおいて選択した周波数スペクトルを
    基に推定スペクトルを生成する推定スペクトル生成ステ
    ップと、 上記複数の周波数スペクトルの中の処理対象となる周波
    数スペクトルと上記推定スペクトル生成ステップにおい
    て生成した推定スペクトルとの差分を取る差分算出ステ
    ップと、 を有し、上記選択ステップで選択した上記一部の周波数
    スペクトルは、上記処理対象となる周波数スペクトルと
    は異なったレンジの周波数スペクトルであることを特徴
    とするクラッタ抑圧方法。
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JPH05203733A (ja) * 1992-01-27 1993-08-10 Mitsubishi Electric Corp レーダ装置

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