JP3293823B2 - 肝細胞成長因子(hgf)レセプターの部分切除形態 - Google Patents

肝細胞成長因子(hgf)レセプターの部分切除形態

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、肝細胞成長因子(HGF)レセプターの部分
切除形態、その調製及びそれを含む薬学的組成物に関す
る。
METガン原遺伝子(Cooper et al.,Nature 311,29−3
3,1984;Dean et al.,Nature 318,385−388,1985;Park e
t al.,PNAS USA 84,6379−6383,1987)は、2つのジス
ルフィド結合された鎖、50kDa(p50α)と145kDa(p145
β)から成るヘテロダイマーであり、独自の特徴を有す
る膜貫通糖タンパク質(p190MET又はMetレセプター)を
コードする(Giordano et al.,Mol.Cell.Biol.,3510
−3517,1988;Giordano et al.,Nature 339,155−156,19
89)。両方の鎖は、共に細胞表面に露出している。β鎖
は、疎水性アミノ酸ストレッチを伴って原形質膜に広が
り、細胞内チロシンキナーゼドメインを有する(Dean e
t al.,1985;Gonzatti−Haces et al.,PNAS USA 85,21−
25,1988;Tempest et al.,FEBS Lett.209,357−361,198
6)。レセプターは、170kDaの前駆体として合成され、
それがグリコシル化され、酵素で開裂されて、成熟ヘテ
ロダイマーとなる(Giordano et al.,Oncogene,,1383
−1388,1989;Tempest et al.,Br.J.Cancer 58,3−7,198
8)。
最近、Metレセプターに対するリガンドとして、肝細
胞成長因子(HGF)が提案されてきた(Bottaro et al.,
Science 251,803−804,1991;Naldini et al.,Oncogene
,501−504,1991;Naldini et al.,1991,EMBO J.,10,28
67−2878)。ヘパトポエチン−A(Miyazawa et al.,Bi
ochem.Biophys.Res.Commun.163,967−973(1989);Naka
mura et al.,Nature 342,440−443,1989;Zarnegar et a
l.,Cancer Res.49,3314,1989)としても知られているHG
Fは、一次培養中のラット及びヒト肝細胞にとって最も
効力のあるマイトジェン(分裂促進剤)として、及びヒ
ト及びげっ歯類の両方における肝臓のインビボ再生に関
与するヘパトトロフィック(hepatotrophic;肝栄養性)
因子として記載されてきた(総説として、Michalopoulo
s,FASEB J.,176−187,1990を参照のこと)。ラット及
びウサギにおいては、HGFは、すい臓、だ液腺、十二指
腸、甲状腺及び中枢神経系の選択された領域においても
検出されている(Tashiro et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.
USA 87,3200−3204,1990;Zarnegar et al.,Proc.Natl.A
cad.Sci.USA 87,1252−1256,1990)。
METガン遺伝子は、当初、化学的発ガン物質で処理さ
れたヒトのセルラインからのDNAを用いてトランスフェ
クションによって同定された(Cooper et al.,Nature 3
11,29−33,1984)。このセルラインにおいて、MET遺伝
子は染色体再配置(リアレンジメント)によって活性化
された〔Park et al.,Cell 45,895(1985)〕。METは、
ヒトの胃ガンセルライン(Giordano et al.,Mol.Cell.B
iol.,,3510,1988)及び自然発生的に形質転換された
マウスの線維芽細胞(Cooper et al.,EMBO J.,,2623,
1986)において増幅され、活性化されることもわかって
いる。
ここで我々は、細胞外ドメインに特異的なモノクロー
ナル抗体を開発し、複数のヒトセルラインをスクリーニ
ングするのにこれらの抗体を用いた。既知のp190MET
加えて、これらの抗体は一貫してその他の2つのMetヘ
テロダイマー、すなわち細胞表面に局在する140kDaの複
合体及び培地中に放出された130kDaの複合体を認識し
た。両方の複合体は、p50αと区別できないα鎖と、C
末端が部分切除されたβ鎖(それぞれp85β及びp75β
とから成り、細胞質キナーゼドメインを欠いている。こ
れらの部分切除Met形態は、翻訳後のタンパク分解的プ
ロセシングによってインビボで生成される。タンパク質
キナーゼC活性化は、培地中へのp130METの放出を上向
き調節する(上昇させる)。
成長因子レセプターの部分切除形態は、いくつかの細
胞、組織培養上清及び生物学的流体において記載されて
きた(Beguin et al.,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.
A.,85,637−640;DiStefano et al.,1988,Proc.Natl.Aca
d.Sci.U.S.A.85,270−274;Johnson et al.,1990,Mol.Ce
ll.Biol.,10,4728−4736;Mosley et al.,1989,Cell 59,
335−348;Zabrescky et al.,1991,J.Biol.Chem.266,171
6−1720)。最近になって、C末端部分切除レセプター
の可溶性形態が、リガンド結合に関して無傷の(インタ
クト)レセプターと競合でき、不活性ヘテロダイマーを
形成することによってリガンドによるチロシンキナーゼ
活性の刺激に干渉することができるということが報告さ
れた(Basu et al.,1989,Mol.Cell.Biol.,,671−677;
Kashles et al.,1991,Mol.Cell.Biol.,11,1454−1463;U
eno et al.,1991,Science,252,844−848)。
従って、本発明は、それぞれ50kDa、及び75又は85kDa
の2つのジスルフィド結合された鎖で構成され、この50
kDaの鎖がMETガン原遺伝子によりコードされるチロシン
キナーゼのα鎖であり、75又は85kDaの鎖が該チロシン
キナーゼのβ鎖のC末端部分切除形態であるタンパク質
を提供する。
本発明に基づく2つのC末端部分切除Metタンパク質
は、140kDaの膜貫通形態(p140MET)及び培地中に放出
される130kDaの可溶性タンパク質(p130MET)である。
これらの部分切除形態は、MET遺伝子が増幅され、過剰
発現されるGTL−16ヒト胃ガンセルライン(Giordano et
al.,1988)、ならびに正常レベルのMET発現を伴うその
他のガン腫セルランインにおいて検出可能である。
部分切除Metタンパク質は、2つのジスルフィド結合
された鎖から成り、無傷のp190METと同じヘテロダイマ
ー構造を有する。部分切除形態のα鎖は、p190METのα
鎖と区別不可能であり、一方、そのβ鎖はより低い分子
量を有する。p140METのβ鎖は約85kDa(p85β)である
が、一方p130METのβ鎖は約75kDa(p75β)である。
p85β及びp75βは、両方共そのC末端が一部切り取ら
れている。これらは、MET配列から予想されるC末端ノ
ナデカペプチドに対して向けられた抗体により認識され
ない。これらは、インビボ又はインビトロでチロシン上
でリン酸化されないという事実によって示されるよう
に、主要なインビトロリン酸化部位であるTyr1235を含
む細胞質チロシンキナーゼドメインが欠如している。p8
5β及びp75βは、それら全てが4つの異なるエピトープ
を規定するモノクローナル抗体により認識され、同じ細
胞外トリプシンペプチドを有することから、p145βとN
末端ドメインを共有している。
p85β鎖は、その細胞質ドメインの大部分を喪失した
膜貫通糖タンパク質であると考えられている。予想され
るアミノ酸配列に基づくと、C末端の最後の435アミノ
酸の切断は、分子量を約50kDaだけ減少させることにな
る。この値は、無傷β鎖対部分切除β鎖の電気泳動によ
る移動の観察上の差異と一致している。p75βは、培養
上清中に放出され、細胞膜と結びつかないことから、細
胞質ドメイン及び膜貫通セグメントが欠如している。そ
の上、これは、膜にまたがるp85β鎖と比較して10kDaの
減少を示す。このサイズ減少は、膜貫通ドメインを含む
セグメントの喪失と相容性がある。
本発明のタンパク質は、MET遺伝子を発現するセルラ
インの培養から得ることができる。標準的には、そのセ
ルラインはガンセルラインである。従って、本発明は、
β鎖のC末端部分切除形態が75kDaの鎖である本発明の
タンパク質の調製方法において、 (i)MET遺伝子を発現する細胞を、その細胞用の培地
中で培養する工程; (ii)結果として得られたコンディションド培地(馴化
培地)を、MET遺伝子によってコードされるチロシンキ
ナーゼのβ鎖の細胞外ドメインに特異的な抗体と接触さ
せる工程;及び (iii)結果として得られた免疫複合体から、前記タン
パク質を放出させる工程、 を含む方法を提供する。
MET遺伝子を発現する細胞は、適切なあらゆるセルラ
インの細胞であってよい。好適な細胞は、胃ガン腫、肺
腺ガン、口腔ガン腫及び結腸ガン腫のセルラインであ
る。好ましくは、MET遺伝子を過剰発現する細胞が使用
される。培地は、同化可能な炭素源、同化可能な窒素
源、及び望ましい場合には無機塩を含むあらゆる培地で
あってよい。RPMI1640培地(場合によりウシ胎児血清を
添加したもの)は、有用な培地である。
MET遺伝子によりコードされるチロシンキナーゼのβ
鎖の細胞外ドメインに特異的な抗体は、従来の方法で産
生させることができる。抗体は、標準的にはモノクロー
ナル抗体である(Kohler及びMilstein,Nature 256,495
−497,1975)。モノクローナル抗体を産生するハイブリ
ドーマ細胞は、腫瘍細胞と免疫された動物からの脾細胞
とを融合させることによって調製できる。免疫される哺
乳動物は、ラット又はマウスであってよい。哺乳動物
は、MET遺伝子を発現する全細胞又は細胞の抽出物を用
いて免疫し得る。好ましくは、細胞はMET遺伝子を過剰
発現する。ハイブリドーマによって産生された抗体を、
Metタンパク質産生セルラインから抽出したMetタンパク
質を免疫沈降させるその能力を評価することによってス
クリーニングする。ハイブリドーマは、培養にて成育さ
せてもよいし、あるいは同種(異型)宿主又は免疫互譲
性(immunocompromised)宿主の血流中へ又は腹水形成
させるため腹腔内に注入してもよい。
免疫沈降物は、馴化培地中に存在するp130METと抗体
との間で形成される。免疫沈降物は、例えば特異的抗Me
t抗体を結合・架橋させたプロテインA−セファロース
(商標)カラムのようなカラムで収集する。p130
METは、低pH又は高塩濃度での処理により免疫複合体か
ら放出させる。
β鎖のC末端部分切除形態が85kDaの形態である本発
明のタンパク質は、次の工程を含む本発明の方法によっ
て調製される: (i)MET遺伝子を発現する細胞を、界面活性剤を用い
て抽出する工程; (ii)該抽出物を、MET遺伝子によってコードされるチ
ロシンキナーゼのβ鎖の細胞外ドメインに特異的な抗体
と接触させる工程;及び (iii)結果として得られた免疫複合体から、前記タン
パク質を放出させる工程。
MET遺伝子を発現する細胞及びそれらを成長させた培
地は、上述のとおりである。細胞は、界面活性剤、標準
的にはトリトンX100又はCHAPS(3−[(3−コラミド
プロピル)ジメチルアンモニオ−1−プロパンスルホネ
ート])のような非イオン性界面活性剤を用いて抽出す
る。CHAPSはFlukaから市販されており、Naldini et a
l.,Mol.Cell.Boil.Vol.11,No.4(Apr.1991),p.1793−1
803に記載されているようにHEPS緩衝液中の1%溶液と
して用いられる。標準的には、細胞は、緩衝液中で抽出
する。ペプスタチン、ロイペプチン、アプロチニン、及
びトリプシン阻害剤のようなプロテアーゼ阻害剤を、付
加的に存在させてもよい。結果として得られた抽出物
を、MET遺伝子によりコードされるチロシンキナーゼの
β鎖に特異的な抗体と接触させ、上述のとおり、結果と
して得られた免疫沈降物からp140METを放出させる。
本発明のタンパク質は、単離し、精製することが可能
である。このタンパク質は、MET遺伝子によりコードさ
れる完全なチロシンキナーゼを実質的に含まない状態
で、そして事実MET遺伝子を発現する細胞のその他の成
分を実質的に含まない状態で提供されうる。本タンパク
質は、HGFのアンタゴニスト(拮抗薬)として利用する
ことができる。本タンパク質はHGFに結合する能力を維
持しているが、チロシンキナーゼドメインが欠如してい
ることから、細胞内マイトジェンシグナルを伝達するこ
とができない。従って、このタンパク質は、胃腸管、肝
臓、甲状腺及び脳の腫瘍を含む新生物疾病の治療におい
て用いることができる。実際に、これらの腫瘍のうち高
い割合のものがHGFレセプターを発現し、成長するため
にHGFを必要とする。これは、肝臓の過形成又は腺腫症
の治療のための肝再生抑制剤としても使用できる。
本発明のタンパク質は、あらゆる適切な非経口経路に
よって患者に投与することができる。皮下、静脈内又は
筋肉のいずれの投与を採用するか、用量、及び投与頻度
の選択は、さまざまな要因によって左右される。これら
の要因は、投与の目的、治療を受ける患者の年齢及び体
重、そして患者の状態などが含まれる。治療学的に有効
な量が与えられる。しかしながら、標準的には、本タン
パク質は、各投与経路について10〜1,000μg/用量、よ
り好ましくは50〜500μg/用量の量で投与される。
本タンパク質は、薬学的組成物の形に処方してもよ
い。この薬学的組成物は、薬学的に許容可能な担体又は
希釈剤をも含んでいる。投与経路に応じて、適当なあら
ゆる担体又は希釈剤を利用することができる。
以下の例により、本発明を説明する。添付図面中: 図1は、Metタンパク質の部分切除形態が、細胞外ド
メインに対するモノクローナル抗体によって同定される
ことを示している。パネルA及びB:ラクトペルオキシダ
ーゼの存在下で125Iで表面標識されたGTL−16細胞。細
胞タンパク質を、トリトンX−100で可溶化し、Metタン
パク質の細胞外ドメイン(DO−24、DN−30、DN−31、レ
ーン2、3、4)又はC末端ペプチド(DR−6、レーン
1)のいずれかに対して向けられた異なるMAbsで免疫沈
降させた。免疫沈降されたタンパク質を、非還元条件下
で(パネルA)又は2β−メルカプトエタノールでの還
元処理の後(パネルB)、ドデシル硫酸ナトリウム−ポ
リアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)により分
離した。パネルC:DO−24MAbsでの免疫沈降の後に得られ
たp140MET(レーン1)及びp190MET複合体(レーン2)
を、SDS−PAGEから切り出し、Laemmili緩衝液中に溶出
し、2β−メルカプトエタノールにより還元し、還元条
件下でSDS−PAGEで分析した。ゲルを乾燥し、オートラ
ジオグラフィのため3日間露出した。
図2は、無傷の又は部分切除のMetレセプターから単
離されたβ鎖の細胞外ドメインの2次元トリプシンペプ
チド地図を示している。p145β(パネルA)、p85
β(パネルB)及びp75β(パネルC)は、抗細胞外ド
メインMAbsによる、125Iで表面標識されたGTL−16細胞
又は125I標識されたGTL−16細胞の上清のいずれかから
の免疫沈降に続いて、SDS−PAGEで分離した。タンパク
質を、電気泳動によりImmobilon P膜にトランスファー
で、消耗性(exhaustive)トリプシン消化に付した。約
3,000cpmの各消化物を、陽極に対応する右下隅にスポッ
トし、pH1.9での電気泳動、及びピリジン−酢酸−ブタ
ノール−水中の上昇クロマトグラフィに付した。Metタ
ンパク質のα鎖から得られた主要トリプシンペプチド
(矢印)を、比較のために示す(パネルD)。地図を、
増感スクリーンを用いて、−70℃で2週間露出した。原
点は丸で囲まれている。
図3は、p140METがインビトロでリン酸化されないこ
とを示している。非イオン性界面活性剤でGTL−16細胞
から可溶化されたタンパク質を、抗Metタンパク質細胞
外ドメインMAbsを用いて(DL−21、DO−24、DN−30、DN
−31、レーン1、2、3、4)、又は非関連タンパク質
に対するMAbsを用いて(レーン15)、免疫沈降させた。
洗浄した免疫複合体を[γ−32P]ATPの存在下でリン酸
化し、標識されたタンパク質を、非還元条件下(パネル
A)又は還元条件下(2β−メルカプトエタノールの存
在下、パネルB)で、SDS−PAGEにより分離した。ゲル
を乾燥し、オートラジオグラフィのため2日間露出させ
た。無傷のp190MET、又は無傷のp145β鎖及びMet前駆対
Pr170のみが標識されている。
図4は、ヒトMETcDNAでのトランスフェクションを受
けたマウスの線維芽細胞が、無傷のp190METならびに部
分切除形態を発現することを示している。9kbの主要mRN
Aから誘導された全長METcDNAでのトランスフェクション
を受けたNIH3T3細胞(レーン1、2)又はその馴化培地
(レーン3及び4)からのタンパク質を、沸とうLaemml
i緩衝液中で可溶化し、還元条件下でウエスタンブロッ
ト法により分析した。レーン:1及び4、Metタンパク質
のC末端ペプチドに対するMAbs;2及び3、Met細胞外ド
メインに対して向けられたMAb(DO−24)。強化された
ケミルミネッセンスシステム(ECLTM、Amersham)によ
り、特異的結合を検出した。バンドA〜Dは、170kDaの
Met前駆対(A)、無傷のp140β(B)、部分切除p85β
(C)及び可溶性p75β(D)と一致するサイズを有す
る。
図5は、p190MET及びp140METの不均等な細胞局在を示
している。GTL−16細胞を、[3H]グルコサミンで18時
間標識した。生きた細胞を、MAbsと共に氷上で2時間イ
ンキュベートし、その後界面活性剤で溶解させた(レー
ン1、3、5)。そうでない場合には、細胞をまず最初
に溶解させ、次にMAbsと共にインキュベートした(レー
ン2、4、6)。両方の場合において、免疫複合体をプ
ロテインA−セファロースで回収し、放射能標識された
タンパク質を還元条件下でSDS−PAGEで分析した。以下
の抗体を使用した:Metタンパク質の細胞外ドメイン(DO
−24、レーン1及び2)に対して又はC末端ペプチド
(DR−6、レーン5及び6)に対して向けられたMAbs、
及びEGFに対するレセプターの細胞外ドメインに対するM
Abs(レーン3及び4)。ゲルを乾燥し、オートラジオ
グラフィのために4日間露出した。
図6は、生理学的条件下での異なるヒトセルラインに
おけるp140METの発現を示す(ウエスタンブロット)。
細胞タンパク質を、沸とうLaemmli緩衝液中で可溶化
し、非還元条件下でSDS−PAGE上で分離して、ニトロセ
ルロースシートにトランスファーし、DL−21MAbs及び[
125I]−ヒツジα−マウスIgを順次用いて装飾した。各
レーンに、300μgの細胞タンパク質をロードした;GTL
−16レーンには、100μgをロードした。セルラインは
以下のとおりである;レーン1:A549、肺ガン腫、レーン
2:GTL−16、胃ガン腫;レーン3:SK−BR3、乳ガン腫;レ
ーン4:HT−29、結腸ガン腫;レーン5:KB、口腔ガン腫。
図7は、Metタンパク質の可溶性部分切除形態が、細
胞外ドメインに対するモノクローナル抗体によって同定
されることを示している。GTL−16(パネルA、C)又
はA549細胞(パネルB)を、[35S]メチオニンで一晩
標識し(100μCi/m)、洗浄して、非イオン性界面活
性剤で抽出した。清澄にした細胞抽出物(レーン1)及
び馴化培地(レーン2、3)を、Metタンパク質の細胞
外ドメイン(DO−24、レーン1及び3)に対して又はC
末端ペプチド(DR−6、レーン2)に対して向けられた
MAbsを用いて沈降させた。免疫沈降されたタンパク質
を、非還元条件下で(パネルA、B)又は2β−メルカ
プトエタノールでの還元処理の後(パネルC)、SDS−P
AGEで分離した。ゲルをフルオログラフィに付し、乾燥
して、オートグラフィのため3日間露出した。
図8は、可溶性p130METが、細胞表面に露出されたMet
タンパク質のタンパク分解により生成されることを示し
ている。GTL−16細胞を、ラクトペルオキシダーゼの存
在下で125Iで表面標識した。4時間インキュベートした
後、標識されたタンパク質を、培養上清(レーン1、
2)又は細胞抽出物(レーン3、4)から単離し、細胞
外ドメイン(DO−24、レーン2及び3)に対して又はMe
tタンパク質のC末端ペプチド(DR−6、レーン1及び
4)に対して向けられたMAbsを用いて免疫沈降させた。
免疫沈降させたタンパク質を、還元条件下でSDS−PAGE
上で分離した。ゲルを乾燥し、オートラジオグラフィの
ために18時間露出した。
図9は、タンパク質キナーゼC活性化による、細胞表
面からのp130METの放出の上向きの調節を示す。GTL−16
細胞を、一晩[35S]メチオニン(100μCi/m)で標識
し、ジメチルスルホキシド中に溶解した160nMTPA(レー
ンT)又はジメチルスルホキシド単独(レーンC)で2
時間処理し、非イオン性界面活性剤で抽出した。馴化培
地(A)及び清澄にした細胞抽出物(B)を、Met細胞
外ドメインに対して向けられたMAbs(DO−24)で沈降さ
せた。プロテインA−セファロースで収集した免疫複合
体を、還元条件下でのSDS−PAGEで分析した。ゲルをフ
ルオログラフィに付し、乾燥して、オートラジオグラフ
ィのため6時間露出した。パネルC:GTL−16細胞を、上
述のとおりTPA(レーンT)又はジメチルスルホキシド
(レーンC)で処理し、ラクトペルオキシダーゼにより
125Iで標識し、非イオン性界面活性剤で抽出した。MAbs
DO−24での免疫沈降のため清澄にした細胞抽出物を処理
し、上述のとおり免疫複合体を分析した。
図10は、可溶性p130METによる125I−HGFの結合を示
す。Metタンパク質の細胞外ドメインに対して向けられ
たMAbDN−30を、PVCマイクロタイターウェル上にコーテ
ィングし、異なる濃度のp130MET又はp130METを除いた馴
化培地(−)のためのキャッチャーとして用いた。次
に、例2の「材料と方法」の下に記載されているよう
に、125I−HGFを添加した。4℃で一晩プレートをイン
キュベートし、3回洗浄し、結合した放射能を1%のSD
Sで溶出させてγ−カウンターで測定した。
図11は、可溶性p130METによるHGFレセプター(p145β
サブユニット)のインビボチロシンリン酸化の阻害を示
している。例2の「材料と方法」の下に記載されている
ように、レンチル(レンズ豆)レクチン上のアフィニテ
ィクロマトグラフィにより部分的に精製したp130MET
共に、GTL−16細胞をインキュベートした。p145βに存
在するホスホチロシンの相対量は、P−Tyr抗体をプロ
ーブとしたウエスタンブロットのラジオグラムで観察さ
れる相当するバンドの光学密度を測定することによって
見積た。示した値は、代表的実験からのものである。A:
p130METを枯渇させた馴化培地を用いてインキュベート
した細胞、B:レンチルレクチンで精製したp130METを用
いてインキュベートした細胞。
図12は、可溶性p130METによるMet/HGFレセプター(p1
45βサブユニット)のインビトロチロシンキナーゼ活性
の阻害を示す。レセプターを、ポリクローナル抗−Met
血清を用いて沈降させ、p130METを枯渇させた馴化培地
(A)又は部分的に精製したp130MET(B)の異なる希
釈の溶液60μを用いて、室温で5分間インキュベート
した。キナーゼ反応を、100μMの[γ−32P]ATP及び5
mMのMgCl2の存在下で氷上で2分間行なった。SDS−PAGE
及びオートラジオグラフィの後、32Pで標識されたバン
ドの光学密度をレーザーデンシトメーターで測定するこ
とによって、キナーゼ活性を定量した。示した値は、代
表的実験からのものである。
図13は、組織培養培地中のGTL−16細胞から放出され
た可溶性p130Metの放射能標識免疫測定による検出を例
示している。白丸:GTL−16上清;黒丸:PRMI培地(陰性
対照)。
例1 材料と方法 細胞 使用した全てのセルラインはヒト由来のものである。
GTL−16細胞は、分化程度の低い胃ガン腫から誘導され
たクローン株である(Giordano et al.,Mol.Cell.Biol.
,3510−3517,1988)。A549肺線ガン細胞、KB口腔ガン
腫細胞、HT−29結腸ガン腫細胞及びSK−BR−3乳ガン腫
細胞は、American Type Culture Collectionから購入し
た。細胞は、5%CO2を含む水飽和大気中で、10%ウシ
胎児血清(Flow Laboratories,Inc.McLean,Va)を加え
たPRMI1640培地中で成長させた。
抗体 Kohler及びMilstein(Nature 256,495−497,1975)の
手順に従って、Metタンパク質を過剰に発現する生きたG
TL−16細胞全体を用いて免疫した後、Metタンパク質の
細胞外ドメインに対するMAbsを得た。免疫された脾細胞
をAg8.653骨髄腫細胞と融合させ、ハイブリッド上清
を、GTL−16細胞に対するその示差結合について免疫酵
素検定においてスクリーニングした(Prat et al.,Canc
er Detection and Prevention,10,293−301,1987)。固
相免疫酵素検定(Prat et al.,1985)においてMetタン
パク質を過剰発現する細胞に対し選択的に結合する能力
について、ハイブリッド上清をスクリーニングした。免
疫沈降試験については、細胞を35S−メチオニンで18時
間標識し、充分に洗浄して、前述のとおり非イオン性界
面活性剤トリトンX100を用いて溶解させた(Prat et a
l.,Cancer Research,45,5799−5807,1985)。試料を8
%のSDS−PAGE上で分析し、Amersham Hyperfilmを用い
て、−70℃で1日、オートラジオグラフィに付した。
これらの研究のためには、4つの異なるMAbs(DL−2
1、DN−30、DN−31、DO−24)を選択した。MAbsは、相
互交叉競合に基づくと、β−鎖の異なるエピトープと反
応する。異なるMAbsで同一の結果が得られたため、単純
化を期してこのパネルを抗細胞外ドメインMAbsと呼ぶ。
MET配列(EMBLデータバンク照会番号X54559)の19個の
C末端アミノ酸(Ser1372〜Ser1390)に相当するペプチ
ドに対するモノクローナル抗体(DR−6)も、作成し
た。上皮細胞成長因子(EGF)レセプターの細胞外ドメ
インに対するモノクローナル抗体は、Honegger et al.,
EMBO J.(10),3053−3060,1988により記載されたも
のである。陰性対照として、非関連MAbsを使用した。
細胞表面ヨウ素化、代謝的ラベリング(標識)及び免疫
沈降 ラクトペルオキシダーゼ−H2O2で触媒された細胞表面
125I標識は、前述のとおりに行なった(Giordano et a
l.,1988)。パルスチェイス実験のためには、細胞を、
メチオニンを含まない培地を用いて30分間前処理し、40
0μCi/mの[35S]−メチオニンを用いて15分間パルス
し、完全培地で2回洗浄し、次いで異なる時間だけチェ
イスした。細胞を、100μCi/mの[3H]−グルコサミ
ン又は[35S]−メチオニンのいずれかを用いて、18時
間標識した。放射性同位元素は、全てAmersham(Amersh
am Corp.,Arlington Heights,I11)から購入した。標識
した後、10mM PIPES、pH7.6、100mMNaCl、5mMMgCl2、30
0mMシュクロース、5mMEGTA(DIM緩衝液)、1%トリト
ンX−100及びプロテアーゼ阻害剤(ペプスタチン、50
μg/m;ロイペプチン、500μg/m;アプロチニン、
1μg/m;2mMPMSF、Sigma;大豆トリプシン阻害剤、500
μg/m、Boehringer)を含む氷冷した緩衝液を用い
て、細胞を抽出した。超遠心分離した組織培養上清又は
細胞抽出物を、プロテインA−セファロース上で予備清
浄化し、異なる抗体で免疫沈降させた。細胞表面に露出
された分子の免疫沈降を、界面活性剤での溶解に先立っ
て、MAbsと共に無傷GTL−16細胞をインキュベートする
ことによって行なった。アフィニティ精製されたヤギ抗
マウスIg抗体(GαM1g)と予め反応させたプロテイン
A−セファロース上で、免疫複合体を、収集し、洗浄
し、2β−メルカプトエタノールを含む又は含まないLa
emmli緩衝液(Nature 230,680−685,1970)中に溶出さ
せた。[35S]メチオニンで18時間標識したGTL−16細胞
に関して、テトラデカノイルホルボールアセテート(TP
A)処理を行なった。細胞を、新鮮なRPMI培地で洗浄
し、さらに160nMのTPA(Sigma)を含む又は含まない
(対照)ジメチルスルホキシドと共に2時間インキュベ
ートした。細胞表面に露出されたMetタンパク質に対す
るTPAの影響を分析するため、GTL−16細胞を、上述のと
おりTPAで処理し、次にラクトペルオキシダーゼによ
り、125Iで標識した。両方の場合において、界面活性剤
で可溶化された細胞タンパク質又は上清を、上述のとお
りに沈降させた。タンパク質を、SDS−PAGEにかけ、固
定し必要ならばフルオログラフィに付し、乾燥し、オー
トラジオグラフィのためAmersham Hyperfilmに露出し
た。
免疫複合体キナーゼ検定 1%トリトンX100を含むDIM緩衝液中でGTL−16細胞か
らタンパク質を抽出し、上述のとおり沈降させた。プロ
テインA−セファロース−GαM1gで収集した免疫複合
体を、2.5μCiの[γ−32P]ATP(比活性、7,000Ci/Mm;
Amersham)の存在下で、同じ緩衝液20μ中で、30℃で
5分間リン酸化した。反応は、5mMEDTAを含む氷冷した
リン酸緩衝生理食塩溶液、pH7.2を1m添加することに
よって停止させた。試料を遠心分離し、2β−メルカプ
トエタノールを含む又は含まない沸とうLaemmli緩衝液
によって溶出させた。SDS−PAGEの後、ゲルを乾燥し、
オートラジオグラフィのため増感用スクリーンを用いて
Amersham Hyperfilmに露出した。
ペプチドマッピング 125Iで表面標識したGTL−16細胞から誘導されたMetβ
鎖を、SDS−PAGEにより分画し、電気泳動によりImmobil
on P膜にトランスファーした(Millipore,Towbin et a
l.,PNAS USA 76,4350−4353,1979)。放射性β鎖を含む
膜フラグメントを、37℃で30分間、100mM酢酸中、0.5%
ポリビニルピロリドンの中に浸漬し、水で簡単に洗浄
し、次いで新たに調整した0.05M NH4HCO3で洗浄した。
固定化したタンパク質のトリプシン消化を、10μgのTR
CK処理されたトリプシン(Worthington)を用いて37℃
で16時間行ない、次にさらに37℃で2時間、新鮮な酵素
10μgを追加して行なった(Hunter et al.,PNAS USA 7
7,1311−1315,1980)。消化物を、セルロース薄層プレ
ート(13255セルロース、コダック)上の陽極に対応す
るコーナーにロードし、pH1.9で1,200ボルトアワー、電
気泳動(2.5%蟻酸、7%氷酢酸)に付した。次に、プ
レートを上昇クロマトグラフィに付した(n−ブタノー
ル:ピリジン:酢酸:水、20:30:6:24v/v)。増感用ス
クリーンを用いたAmersham Hyperfilm上でのオートラジ
オグラフィにより、ペプチドを視覚化した。
ウエスタンブロット法 還元剤2β−メルカプトエタノールを含む又は含まな
い沸とうLaemmli緩衝液中で、細胞を可溶化した。等量
のタンパク質(300μg)を各レーンにロードした。Tow
bin et al.,1979により記載されているとおりに、ウエ
スタンブロット法により試料を分析した。ブロットを、
DL−21Mabを含むハイブリドーマ上清、次に125I−標識
したヒツジα−M1g(Amersham)で、プローブ(探査)
した。2〜3日間、増感用スクリーンを用いてオートラ
ジオグラムを露出した。タンパク質のサイズは、マーカ
ーとして、[14C]メチル化により予め標識された、ミ
オシン(200kDa)、ホスホリラーゼb(92.5kDa)、ウ
シ血清アルブミン(69kDa)、卵アルブミン(43kDa)及
び炭酸脱水酵素(30kDa)を用いて(Amersham)、見積
った。
NIH3T3細胞におけるMETcDNAのトランスフェクション これらの研究に用いた発現ベクターは、主要後期アデ
ノウイルスプロモーターを含む、プラスミドpMT2に基づ
くものであった。この発現プラスミドは、METコーディ
ング配列全体を包含する4.3kbのcDNAを用いて構築され
た(Giordano et al.,1989,Nature 399 155−156)。こ
のプラスミドは、選択可能なマーカーを全く含んでいな
いため、細胞を、ネオマイシン耐性遺伝子を担持するpS
V2neoと同時トランスフェクションした。リポフェクシ
ョン(lipofection)手順により、プラスミドを、NIH3T
3細胞へと同時トランスフェクションした。トランスフ
ェクションの2日後、耐性クローンを選択するため、ネ
オマイシン類縁体G418を培地に添加した。ウエスタンブ
ロット分析によりMetレセプターを合成する能力につい
て検定を行なうことによって、Metレセプターを発現す
る安定なトランスフェクタント(形質転換体)を同定し
た。
結果 部分切除p140METは細胞表面にp190METと共存する GTL−16細胞の表面に露出されたタンパク質を、ラク
トペルオキシダーゼにより125Iで標識した。1%トリト
ンで細胞を抽出し、可溶化された分子をMetタンパク質
のC末端ペプチドに対するMAb、又は細胞外ドメインの
異なるエピトープを認識するMAbsを用いて沈降させた。
免疫沈降物を、非還元条件又は還元条件下のSDS−PAGE
で分析した。C末端ペプチドに対する抗体はp190MET
テロダイマーを沈降させ(図1A、レーン1)、このヘテ
ロダイマーは還元条件下でp50α及びp145β鎖に解離し
た(図1B、レーン1)。細胞外ドメインに対して作成さ
れたMAbsは、p190METと共に、140kDaの見かけの分子量
で移動するもう1つの分子を沈降させた(p140MET;図1
A、レーン2、3、4)。これらの免疫沈降物は、還元
条件下で、それぞれ145、85及び50kDa(図1B、レーン
2、3、4)の3つの鎖へと解離し、このことはp140
METがp85及びp50のヘテロダイマーであることを示唆し
ている。図1Cに示す実験は、p140のヘテロダイマー構造
のこの解釈を正式に立証している。パネルAから切り出
された140kDaのバンドを、還元条件下で再度泳動したと
ころ、p85及びp50が生じた(図1C、レーン1)。後者
は、p190METαβ複合体から解離されたp50αと共に同時
移動した(図1C、レーン2)。p190MET対p140METの比率
は、1:1〜2:1の間で変化した。その他のセルラインから
の表面ヨウ素化されたタンパク質を検査すると、同一の
結果が得られた。
表面ヨウ素化されたp145β鎖及びp85βの二次元トリ
プシン地図は、Metタンパク質の無傷の及び部分切除β
鎖の細胞外ドメインが、同じペプチドを含んでいること
を示している(図2A、2B)。結論として、p140METは、p
50αと、p145βのC末端部分切除に由来する85kDaのβ
鎖(p85β)とのヘテロダイマーである。
部分切除p140METはチロシン上でリン酸化されない p190METのC末端ペプチドに特異的な抗体を用いて、
このタンパク質がそのβサブユニット上でインビトロで
リン酸化されうるということが、以前に示されている
(Giordano et al.,Mol.Cell.Biol.,3510−3517,198
8)。[γ−32P]ATPの存在下での、Met細胞外ドメイン
に対して向けられた4つのMAbsを用いて得られた免疫沈
降物のインキュベーションは、p190METの標識化という
結果をもたらすが、p140METの標識化はもたらさない
(図3A)。還元条件下で、p145βのみが標識された(図
3B)。その上、GTL−16タンパク質のウエスタンブロッ
トにおいて、p140METは、抗ホスホチロシン抗体により
決して装飾されなかったが、一方、p190METは一貫して
視覚化された(Giordano et al.,1988)。これらのデー
タは、Metタンパク質の部分切除形態には、インビトロ
又はインビボでリン酸化されうるチロシン残基が欠如し
ていることを示唆する。
部分切除p140MET及びp130METはp190METのプロセシング
によって生じる p140METは、Metタンパク質の細胞外及び膜貫通ドメイ
ンのみをコードする交互にスプライシングされたmRNAの
翻訳から生じる可能性もあるし、又は無傷分子の翻訳後
プロセシングの結果として生じる可能性もある。実際、
4つの異なるMETトランスクリプトがGTL−16細胞に検出
されるが(Giordano et al.,Nature 399,155−156,198
9:Park et al.,Cell 45,895−904,1986)、そのいずれ
にも、細胞質ドメインをコードする領域は欠如していな
い。
C末端部分切除Metタンパク質の起源を調査するた
め、全長ヒトMETcDNAとpSV2neoを用いて、NIH3T3細胞を
同時トランスフェクションした。G418を用いて安定した
形質転換体を選択し、Met発現について分析した。陽性
細胞のノーザン(RNA)ブロット分析では、予想された
サイズ(約4.3kb)の単一mRNAが検出された。沸とうLae
mmli緩衝液中で細胞を可溶化し、ウエスタンブロットに
より還元条件下でタンパク質を検査した。MetC末端ペプ
チドに対する抗体により、170kDaのMet前駆体及びp145
β鎖が検出された(図4、レーン1)。さらに、Met細
胞外ドメインに対して向けられた抗体により、部分切除
p85βのものと一致する抗原特性及び分子量を有する分
子が検出された。さらに、トランスフェクションを受け
た細胞の上清中に、これらの抗体により、可溶性p75β
に匹敵する分子が検出された(図4、レーン3)。トラ
ンスフェクションを受けたNIH3T3細胞においては、部分
切除Metβ鎖対無傷Metβ鎖の比率は、ヒトの細胞におけ
るよりも高いものであった。これらのデータは、Met部
分切除形態が全長トランスクリプトに由来することを示
している。
p190MET及びp140METの不均等な細胞分布 全細胞及び細胞表面におけるp190MET及びp140METの相
対量を定量するため、GTL−16細胞を[3H]−グルコサ
ミンで標識した。グリコシル化には共通の細胞外ドメイ
ンのみが関与することから、この同位元素を用いると、
2つの分子種は同様の効率で標識されるはずである。細
胞表面に露出された分子の選択的免疫沈降を行なった
(「方法」の項参照)。回収されたタンパク質の量を、
全細胞抽出物から免疫沈降されたものと比較した。図5
は、細胞表面においては、p145β対p85βの比率が約2:1
であることを示している(図5、レーン1)。逆に、全
細胞抽出物においては、p85βはp145βの1/10以下であ
った(図5、レーン2)。抗C末端MAbsによって、細胞
抽出物からのみp145βが沈降された(図5、レーン5、
6)。従って、部分切除Met形態は細胞表面に優先的に
局在しているという結論を下すことができる。
表面から又は全細胞抽出物からMetタンパク質を沈降
させるのに同じ溶解手順を用いたことから、この実験
は、さらに、界面活性剤により誘発される潜在的タンパ
ク分解活性は、p85βの生成において重要な役割を果た
していないことを表わしている。
p140METは実験的に誘発されたタンパク分解の結果では
ない p190METのタンパク分解的切断は、細胞抽出の間の内
在性プロテアーゼの活性化により誘発される可能性があ
る。溶解後のタンパク分解についての内部対照として、
我々は、細胞外ドメインに対して特異的な抗体を用い
て、上皮細胞成長因子レセプターを免疫沈降させた。こ
のレセプターは、GTL−16細胞において発現されており
(Gilordano et al.,1988)、タンパク分解を受けうる
ということがわかっている(Basu et al.,Nature 311,4
77−480,1984)。図5は、部分切除p140METが観察され
た条件下で、表面及び全細胞ライセートの両方から、無
傷の175kDa EGFレセプター分子のみが沈降されたことを
示している。
さらに、Metタンパク質の部分切除形態が、抽出又は
免疫沈降手順の間に導入されたタンパク分解的崩壊の結
果であったということを除外するため、その存在を、異
なるヒトセルラインのウエスタンブロットにおいて直接
分析した。これらの実験においては、プロテアーゼ活性
を遮断するため、生きた細胞を沸とうLaemmli緩衝液で
可溶化した。総タンパク質を、非還元条件下のSDS−PAG
Eで分離し、細胞外ドメインに対して向けられたMAbsで
装飾した。MET遺伝子を発現する4つのガン腫セルライ
ンにおいて、p190MET及びp140METの両方の形態が観察さ
れた(図6)。これらのデータは、Metタンパク質の部
分切除形態が、生きた細胞において生理学的条件下で存
在することを示唆している。
部分切除可溶性p130METは培地中に放出される GTL−16細胞を、35S−メチオニンで代謝的に標識し、
超遠心分離により清澄にした馴化培地を抗細胞外ドメイ
ンMAbsを用いて沈降させ、SDS−PAGEで分析した。非還
元条件下で、130kDaの見かけの分子量をもつ分子(p130
MET)が観察された(図7A、レーン3)、還元される
と、この分子はそれぞれ50kDa(p50α)と75kDa(p7
5α)の2つのサブユニットに解離した(図7C、レーン
3)。MetC−末端ペプチドに対するMAbsによっては、同
じ培地からいかなるタンパク質も沈降されなかった(図
7A及び7C、レーン2)。肺ガン腫セルラインA549から集
めた上清を用いて、類似の結果が得られた(図7B、レー
ン3)。
p75β鎖に関して、トリプシンペプチド地図も作製し
た。これらの実験のための出発物質としては、125Iで表
面標識された細胞から培地中に放出されたp130METの免
疫沈降物を用いた。還元条件下で実施したSDS−PAGEゲ
ルから、p75βを溶出した。図3Cは、標識されたトリプ
シンペプチドが、p145β及びp85βから得られたものと
区別不可能であったことを示している。
可溶性p130METには、インビトロで免疫複合体キナー
ゼ検定によって評価されるようなキナーゼ活性が欠如し
ている。これらのデータは、培地中に放出されたMet形
態がp145βの細胞質及び膜貫通ドメインを欠いたαβ複
合体であること、及びこの分子の生成はGTL−16細胞に
制限されないことを示している。
p130METはタンパク分解プロセスによって生成される 可溶性p130METが膜結合Metタンパク質から由来するこ
とを立証するため、以下の実験を行なった。組織培養プ
レートに付着するGTL−16細胞を、ラクトペルオキシダ
ーゼ法により、125Iで表面標識し、さらに4時間培養し
た。培地を集め、抗細胞外ドメインMAbsを用いて免疫沈
降させた。還元条件下のSDS−PAGEで分析された免疫沈
降物は、可溶性p130METの予想されるサブユニットであ
るp75β及びp50αを生じた(図8、レーン2)。同じMA
bsで処理した対応する細胞抽出物は、p145β、p85β
びp50αを生じた(図8、レーン3)。MetC末端ペプチ
ドに対して向けられたMAbsを、対照として使用した。こ
れらの抗体は、培地からはいかなるタンパク質も沈降さ
せず(図8、レーン1)、細胞抽出物からは無傷のp145
β鎖及びp50αのみを沈降させた(図8、レーン4)。
これらの結果は、膜結合Metタンパク質のタンパク分解
的切断により、培地中に可溶性Metタンパク質が放出さ
れることを実証している。
p130METの放出はTPA処理により上向き調節される p130METの放出が生きた細胞内で調整されうるか否か
を調査するため、タンパク質キナーゼCをTPA処理によ
って活性化した。[35S]メチオニンで代謝的に標識し
たGTL−16細胞を、160nMTPAにより2時間刺激した。次
に、細胞抽出物及び上清を採取し、超遠心分離し、Met
細胞外ドメインに対するMAbsを用いて沈降させた。還元
条件下でのSDS−PAGEにより免疫沈降物を分析した。TPA
処理の後、組織培養上清中に検出されたp75βの量は、
対照レベルと比較して著しく増加した(図9A)。総細胞
p145β及びp85βの量は、見かけ上影響を受けなかった
(図9B)。細胞表面に露出されたMetタンパク質に対す
るTPAの効果を分析するため、GTL−16細胞をTPAで処理
し、次に、免疫沈降に先立ってラクトペルオキシダーゼ
により125Iで標識した。表面標識されたMetタンパク質
のみを考慮した場合、p85βの量は、TPA処理の後に著し
く減少した。p145βは、p85βほど影響を受けなかった
(図9C)。従って、タンパク質キナーゼC活性化が、膜
に結合したp140MET及びp190MET形態のタンパク分解的プ
ロセシングを刺激することにより、細胞外p130METの放
出を上向き調節するという結論が下される。
例2 材料と方法 試薬 [γ−32P]ATP(比活性:7,000Ci mmol-1)及び[125
I]プロテインAは、Amershamから入手した。125I−HGF
は、Naldini et al.(1991,EMBO J.,10,2867−2878)に
より記載されているように調製した。簡単に言うと、担
体無しのNa125I(2mCi)及びヨードゲン(Pierce)を用
いて、純HGF(1μg)を放射能標識した。クロロホル
ム中、100μg/mのヨードゲン200μを、窒素流の下
で、ポリプロピレンのバイアル中で乾燥した。次に、0.
25Mリン酸緩衝液、pH=7.4中のHGF及び125Iを添加し
た。4℃で15分間反応を進行させ、その後、別のバイア
ルへ混合物を移し、10分間氷上に置いた。担体BSAを、p
H7.4に緩衝された0.4M NaCl、0.1%CHAPS、20mMPO4中、
0.1%の最終濃度まで添加し、同じ緩衝液で予め平衡化
した1mのヘパリン−セファロースカラム(Pierce)上
でのアフィニティクロマトグラフィにより、標識された
リガンドを、遊離Na125Iから分画した。充分に洗浄した
後、同じ緩衝液中の1.3M NaClを用いてカラムを溶出
し、0.5mの画分を収集した。TCAで沈降可能な放射能
を含む画分をプールして、20kdの膜カットオフのCentri
sart(Sartorius)ダイアフィルトレーション装置を用
いて濃縮し、4℃で保存した。トレーサーの比活性は約
8×107CPM/μg(5,700Ci/mmole)であり、これはI/HG
Fモル比が約3/1であることに相当する。従って、この調
製物は、有意な量の標識されていない分子を含んでいな
かった。
レンチルレクチンセファロース及びセファロースプロ
テインAは、Pharmaciaからのものであった。トリトン
X−100はFlukaからのものであった。
細胞 使用したセルラインは、例1に記されているとおりGT
L−16セルラインであった。細胞は、10%ウシ胎児血清
(Flow)を含むRPMI1640培地(Flow)中で培養し、5%
CO2を含む加湿された大気中、37℃で維持した。
抗体 ホスホチロシン抗体は、p−アミノ−ベンゼン−ホス
ホネートに対して産生させ、前述のとおりアフィニティ
精製した(Comoglio et al.,1984,EMBO J.,,483−48
9)。ポリクローナル抗体Met血清は、予測されたMET遺
伝子産物のC末端におけるアミノ酸配列に相当する合成
ペプチドVDTRPASFWETSに対して免疫したウサギにおいて
産生させた。Metタンパク質の細胞外ドメインに対する
モノクローナル抗体DN−30、DN−31及びDO−24は、生き
たGTL−16細胞全体で免疫した後のマウスにおいて得ら
れた。
モノクローナル抗体は、硫酸アンモニウム沈降及びプ
ロテインA−セファロース4B(Pharmacia,Uppsala,スウ
ェーデン)上でのアフィニティクロマトグラフィによ
り、腹水から精製した。精製したDO−24MAbを、クロラ
ミンT手順により2〜4mCi/mgタンパク質の比活性で125
I標識した。
p130METの部分的精製 GTL−16集密的(コンフルエント)培養から血清を含
まない馴化培地を回収し、50,000×gで超遠心分離し、
Amiconフィルター(100K)で10倍濃縮した(原液)。精
製は、レンチルレクチンセファロースカラム上でのアフ
ィニティクロマトグラフィにより行なった。4℃で2時
間後、カラムをRPMI培地で数回洗浄し、糖タンパク質
を、0.2M α−メチル−D−マンノシド(Fluka)を含む
RPMIで溶出した。RPMIに対し一晩透析した後、アフィニ
ティクロマトグラフィで精製した材料の一部分から、セ
ファロース−プロテインA上に不溶化されたMAbDN−31
上での完全吸着により、p130METを枯渇させた。この材
料を、陰性対照として用いた。部分的に精製されたp130
METを、0.4O.D.単位(280nm)を含むタンパク質濃度で
標準化した。糖タンパク質を、−20℃で保存した。
二重抗原決定基免疫検定(DDIA) DN−30Mabでコーティングし、BSAで飽和させた96ウェ
ルELISAプレート(Titertek Immuno Assay−Plate,Flow
Laboratories、オランダ)を、異なる濃度の部分的に
精製されたp130MET及び放射能標識されたHGFを用いて4
℃で一晩インキュベートした。p130METの量を評価する
よう開発されたDDIAにおいては、Metタンパク質の細胞
外ドメインの異なるエピトープに対して向けられた2つ
のMabsを使用した。精製されたDN−30Mabsを、96ウェル
ELISAプレート上に吸着させ、次にプレートを飽和さ
せ、GTL−16細胞培養から回収した異なる濃度の粗上清
を添加した。トレーサーとして利用した放射能標識され
たDO−24MAbにより、結合を明らかにした。次に、プレ
ートを充分に洗浄し、結合した放射能を沸とうさせた1
%SDSで溶出して、ガンマカウンター(Auto−gamma,Pac
kard)でカウントした。
免疫沈降及びインビトロ自己リン酸化検定 GTL−16細胞を氷冷したPBSで2回洗浄し、DIM緩衝液
(10mM Pipes、pH6.8、100mMNaCl、5mMMgCl2、300mMシ
ョ糖、5mMEGTA)に1%トリトンX−100及びプロテアー
ゼ阻害剤の混合物を加えたものの中で溶解させた。細胞
ライセートを、4℃で30分間、10,000rpmで遠心分離
し、セファロース−プロテインAにカップリングさせた
抗−MET血清を用いてインキュベートした。結合したタ
ンパク質を、DIM緩衝液で数回洗浄し、p130METを枯渇さ
せた又は枯渇させていないGTL−16上清のレンチルレク
チン溶出物の異なる希釈溶液60μを用いて、室温で5
分間インキュベートした。キナーゼ反応は、氷上で2分
間行なった。1試料当り10μCiの[γ−32P]ATPを、最
終濃度100μMの標識されていないATPで希釈した。10mM
EDTA及び100μM Na3VO4を含むトリス緩衝生理食塩溶液1
mを用いて、キナーゼ反応を停止した。短い遠心分離
の後、タンパク質を、沸とうLaemmli緩衝液中に溶出さ
せ、8%のSDS−PAGEに付し、続いて増感用スクリーン
を用いて−80℃で12時間オートラジオグラフィに付し
た。p145METβ−サブユニットに取り込まれたリン酸の
相対量は、レーザーデンシトメーター(Pharmacia LKB
2202 Ultroscan)を用いて相当するオートラジオグラフ
ィバンドの光学密度を測定することによって見積った。
ウエスタンブロット法 GTL−16細胞の細胞単層を、氷冷したリン酸緩衝生理
食塩溶液で2回洗浄し、細胞を沸とうLaemmli緩衝液(L
aemmli,U.K.,1970,Nature 230,680−685)中で可溶化し
た。300μg/ウェルのタンパク質濃度に試料を調整し、
8%のSDS−PAGEを実施し、ニトロセルロースシート上
にトランスファーした。別途に詳しく記されているよう
に(Di Renzo et al.,1986,Eur.J.Biochem.,158,383−3
91)、ブロットを、まず10μg m-1の精製されたP−T
yr抗体、次に[125I]で標識されたプロテインAで探査
した。フィルターを、増感用スクリーンを用いて−70℃
で24時間オートラジオグラフィに付した。レーザーデン
シトメーターで相当するオートラジオグラフィバンドの
光学密度を測定することにより、p145METβサブユニッ
トに取り込まれたホスホチロシンの相対量を見積った。
結果 HGFはp130METに結合する 図10は、特異的抗体でコーティングされたマイクロタ
イターウェル上に不溶化された増大する量の可溶性部分
切除p130METが、放射能標識されたHGFに結合することを
示している。この結合は、可飽和性で、かつ用量依存性
である。
p130METによるMET/HGFレセプターのインビボチロシンリ
ン酸化の阻害 GTL−16細胞は、インビボで構成的にチロシン上でリ
ン酸化されるβサブユニット(p145)をもつHGFレセプ
ターを大量に発現する。このことは、イオン性界面活性
剤で可溶化され、SDS−PAGEで分析され、P−Tyr抗体で
探査された総細胞タンパク質のウエスタンブロットによ
って評価することができる(図11、A)。レンチル−レ
クチンで精製されたp130METで10分間これらの細胞を処
理することにより、HGF/SFレセプターのチロシンリン酸
化の30%減少が誘発された(図11、B)。
p130METによるMet/HGFレセプターのインビトロでのチロ
シンキナーゼ活性の阻害 HGFレセプターを、該タンパク質のC末端配列から誘
導された合成ペプチドに対して向けられた抗血清を用い
て、GTL−16細胞から免疫沈降させた。キナーゼ検定に
先立って免疫複合体を用いてインキュベートされたp130
METは、無傷のレセプターβサブユニットの自己リン酸
化を、用量依存的に阻害した(p145MET;図12、B)。p1
30METを枯渇させた同濃度のレンチル−レクチン溶出物
では、わずかな阻害効果しか測定されなかった(図12、
A)。
DDIAによる可溶性p130METの定量 異なるエピトープを認識するMAbsのタンデムを用いる
固相二重抗原決定基免疫検定により、p130METを定量的
に評価することができる。図13は、GTL−16細胞から組
織培養培地中に放出されたp130METを用いて得られた標
準的な結合曲線を示す。この結合は、可飽和性、用量依
存性であり、特異的である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 プラット,マリア イタリア国、10100 トリノ、ヴィア・ カメラーナ、10 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07K 14/71 C12P 21/02 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】それぞれ50kDaと75又は85kDaの2つのジス
    ルフィド結合された鎖で構成されるタンパク質であっ
    て、該50kDaの鎖がMETガン原遺伝子によってコードされ
    るチロシンキナーゼのα鎖であり、該75又は85kDa鎖が
    該チロシンキナーゼのβ鎖のC末端部分切除形態である
    タンパク質。
  2. 【請求項2】β鎖のC末端部分切除形態が75kDaの鎖で
    ある、請求の範囲第1項に記載のタンパク質の調製方法
    において、 (i)MET遺伝子を発現する細胞を、その細胞用の培地
    中で培養する工程; (ii)結果として得られた馴化培地を、MET遺伝子によ
    ってコードされるチロシンキナーゼのβ鎖の細胞外ドメ
    インに特異的な抗体と接触させる工程;及び (iii)結果として得られた免疫複合体から、前記タン
    パク質を放出させる工程、を含む方法。
  3. 【請求項3】β鎖のC末端部分切除形態が85kDaの鎖で
    ある、請求の範囲第1項に記載のタンパク質の調製方法
    において、 (i)MET遺伝子を発現する細胞を、界面活性剤を用い
    て抽出する工程、 (ii)該抽出物を、MET遺伝子によってコードされるチ
    ロシンキナーゼのβ鎖の細胞外ドメインに特異的な抗体
    と接触させる工程;及び (iii)結果として得られた免疫複合体から、前記タン
    パク質を放出させる工程、を含む方法。
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