JP3483556B2 - 細胞接着阻害抗体およびこれを利用する細胞接着阻害剤 - Google Patents

細胞接着阻害抗体およびこれを利用する細胞接着阻害剤

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俊博 中西
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、細胞表面に発現されることにより、ヒトの
癌細胞に接着活性を付与するペプチドに対するモノクロ
ーナル抗体およびこれを利用する細胞接着阻害剤に関す
る。
背景技術 癌胎児性抗原(Carcinoembryonic antigen;以下「CE
A」と略す)は1965年、ゴールド(Gold)とフリードマ
ン(Freedman)により、ヒト結腸癌と2〜6ケ月齢胎児
消化器に共通に存在する抗原として発見された分子量18
〜20万の糖蛋白質(Gold,P&Freedman,S.O.J.Exp.Med.,
121,439,1965.)で、現在では、癌の臨床におけるその
有用性が広く認められ、最もよく用いられている腫瘍マ
ーカーである。
一方、その後の研究により、ヒト正常組織にもCEAと
よく似た物質、すなわちCEA関連抗原が存在することが
明らかになった。
このCEA関連抗原とは蛋白化学的にも免疫学的にもCEA
に極めて類似した抗原群の総称であり、代表的なCEA関
連抗原としては、正常人の肺や脾臓中に見出された分子
量約9万の糖蛋白質である非特異的交差抗原(von Klei
st,S.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,69,2492,1972.)(n
onspecific cross−reacting antigen;以下、「NCA」と
略称する)や、胎児の便中に見出されたNCA−2(Burti
n,P.ら、J.Immunol.,111,1926,1973.)、正常成人の便
中に発見されたNFA(normal fecal antigen)(Kuroki,
M.ら、Cancer Res.41,713,1981.)などが知られてい
る。
しかしながら、これらの詳細な分子構造やその違いな
どは、現在の所不明な点が多い。
近年、日本人の食生活の変化に伴ない、大腸癌患者が
増加しているが、大腸癌はその約80%が肝臓に転移し、
また肺等の他の臓器にも転移すると言われている。更に
最近、大腸癌の肝転移にCEAの細胞接着活性が関与する
可能性が報告されている(Jessup,J.M.ら,Cancer and M
etastasis Reviews,8,263,1989)。
最近、分子生物学的な手法を用いて、CEA(Oikawa,S.
ら、B.B.R.C.,142,511,1987.および特開昭63−177794
号)、NCA(Tawaragi,Y.ら、B.B.R.C.,150,89,198
8.)、BGPI(Hinoda,Y.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,8
5,6959,1988.)、W272(CGM6)(Arakawa,F.ら、B.B.R.
C.,166,1063,1990.)のペプチドの一次構造が明らかに
された。
cDNAからの解析結果では、CEAペプチドは、例えば、
特開昭63−177794号の図3に示すように668個のアミノ
酸により構成されている。
そして、この図から明らかなように、CEAペプチド
は、N端から108番目のアミノ酸までのドメインN(1
−108)、お互いに非常に相同性の高い、繰り返し構造
をもったそれぞれ178個のアミノ酸よりなるドメインI
(109−286)、ドメインII(287−464)、ドメインIII
(465−642)とC端26個の主として疎水性アミノ酸より
なるドメインM(643−668)の5つのドメインに分けら
れる。さらにドメインI、II、IIIは、それぞれ92個と8
6個のアミノ酸残基よりなるサブドメイン(ドメインと
いうこともある)に分けられることがあり、それぞれの
サブドメインを1A、1B、2A、2B、3A、3Bということもあ
る。
これら各ドメインおよびこれから構成されるCEAペプ
チドは、模式的に特願平3−222379号の図1の1番目に
示されている。
ドメインMは当初、細胞膜にアンカーしていると考え
られたが、現在では翻訳後、プロセシングされ、代わり
にPI−G(phosphatidylinositol glycan)が付加し
て、細胞膜にアンカーしていることが判明している(He
fta,S.A.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,85,4648,1998.;
Takami,N.ら、J.Biol.Chem.,263,12716,1988.)。
12個存在するシステイン残基はドメインI、II、III
に各4個ずつ存在し、各ドメイン内でのその位置は完全
に同一部位にあり、1番目と2番目のシステインの間に
47個、3番目と4番目のシステインの間に39個のアミノ
酸よりなる2つのループが形成され、CEA全体では6つ
のループを保持した形になっているものと思われる。
一方、NCAにはアミノ酸108個のドメインNとアミノ酸
178個のドメインIが存在する。しかし、CEAのドメイン
IIとIIIに相当する部分が欠如し、ドメインIに続き24
個の主として疎水性アミノ酸よりなるドメインMが存在
する。NCAのドメインIの構造はCEAのドメインIとアミ
ノ酸レベルで90%弱の相同性を示し、4個含まれるシス
テイン残基の位置も全く同じである。BGPIは胆汁中に見
出されたCEA関連抗原(Svenberg,T.ら、Int.J.Cancer,1
7,588,1976.)で、cDNAの解析より、ドメインN、ドメ
インIの後にBGPIに特異的なドメインA'、細胞膜貫通ド
メイン、細胞質ドメインを有する。
W272は、ヒト白血球(顆粒球)より、単離されたCEA
関連抗原でそのドメイン構造はNCAと類似している。
CEAファミリーの生物学的活性は依然として不明であ
ったが、最近、CEA、NCAが細胞接着活性を有することが
明らかにされた(Oikawa,S.ら、B.B.R.C.,164,39,198
9.;Benchimol,S.ら、Cell,57,327,1989.)。つまり、CE
A、NCAをそれぞれ細胞表面に発現している細胞同志、及
びCEAを発現している細胞とNCAを発現している細胞は強
く接着するようになることが判明したのである。
しかしながら、細胞接着活性がCEA、NCAのどの領域に
存在するのかは解明されておらず、CEAの細胞接着活性
を阻害するモノクローナル抗CEA抗体を効率よく調製し
ようとする場合の隘路となっていた。
すなわち、CEA分子全体に対するモノクローナル抗体
では、CEAの細胞接着活性を担う領域(ドメイン)以外
のペプチドをエピトープとする抗体が多く含まれてしま
うので、CEAの細胞接着活性を阻害するモノクローナル
抗体を効率的に製造するためにはCEAの細胞接着活性を
担う領域及びその最小ペプチド単位を同定することが必
要であった。
発明の開示 本発明者らは、CEA分子上の細胞接着に関与する部位
が判明すれば、その領域のアミノ酸配列に相当するペプ
チドを合成し、細胞接着を阻害する抗体を得たり、公知
の技術を用い、大腸菌や、動物細胞を用いて細胞接着を
阻害する抗体を大量に生産することも可能であるとの知
見に達した。
また、上記ペプチドを用いて調製される抗CEA細胞接
着モノクローナル抗体は、例えば、癌転移阻害剤等の細
胞接着阻害剤の有効成分となしうるとの知見に達した。
本発明者らは、これらの知見に基づき、分子生物学的
手法を用いて、CEAの欠失抗原、NCAとのキメラ抗原、及
びCEA関連抗原であるBGPI、W272を発現する細胞株を樹
立し、種々の組み合せの細胞接着活性を調べることによ
り、接着ドメインを同定しようと鋭意研究を行った。
そしてその結果、少なくともヒトの癌胎児性抗原糖蛋
白質におけるNドメインのペプチド配列およびドメイン
IIIの一部または全部のペプチド配列もしくはこれと相
同性を有する配列を有するペプチドが細胞接着活性に関
与するものであり、当該ペプチドを抗原として用いれば
細胞接着活性阻害抗体が得られることを見出し、本発明
を完成した。
本明細書中において、相同性を有するペプチド配列と
は、配列の一部にアミノ酸の置換、欠失、付加等があ
り、元のペプチド配列と同一ではないが、大部分の配列
は同じであり、しかも元のペプチドとほとんど同一の機
能を有するものをいう。
図面の簡単な説明 第1図は、CEAの接着活性に対する本発明のモノクロ
ーナル抗体の効果を示す図面である。
第2図は、本発明のモノクローナル抗体のCEAに対す
る接着阻害率を示す図面である。
発明を実施するための最良の態様 本発明の細胞接着活性阻害抗体を調製するために、抗
原として用いるペプチドは、例えば、CEA発現ベクター
からNドメインのペプチド配列をコードする塩基配列お
よびドメインIIIの一部または全部のペプチドをコード
する塩基配列を切出し、これを結合した後、更に適当な
発現ベクターに組み込み、適当な細胞中で発現させれば
良い。
具体的には、まずCEA発現ベクターを適当な制限酵素
で消化し、CEAのIおよびIIドメインをコードするDNA断
片を除去するか、CEA発現ベクターを適当な制限酵素で
消化して各ドメインをコードする遺伝子に分離した後、
NドメインをコードするDNA断片とドメインIIIの一部ま
たは全部をコードするDNA断片とをリガーゼを用いて結
合する。
次いで、得られた遺伝子を常法に従い、宿主細胞で発
現することのできるプラスミドに組み込み、宿主細胞
(大腸菌、酵母、動物細胞)を形質転換し、これを培養
すれば良い。
また、CEAのNドメインおよびドメインIIIのペプチド
配列(またはドメイン3Aおよび3B)はいずれも知られて
いるので、上記の方法に換えて合成法で本発明のペプチ
ドまたはこれと相同性を有するペプチドを作製しても良
い。
得られた細胞接着活性を担うペプチド(以下、抗原ペ
プチド」ということがある)を用いて、本発明のモノク
ローナル抗体を製造するには、常法にしたがって抗原ペ
プチドで哺乳動物を免疫した後、脾臓を摘出して脾細胞
を得、これを継代細胞と融合させ、その融合細胞を適当
な方法でスクリーニングし、目的の抗体を産生している
融合細胞を単離し、適当な培地中で培養すれば良い。
上記スクリーニングは、例えば、HAT培地での選択培
養後、その培養上清についてELISA法等で抗原との反応
を確認することにより、更に必要ならドメインIII欠失
抗原との反応する工程を組み合わせることにより行なわ
れる。
得られたモノクローナル抗体が細胞接着を阻害するか
どうかの確認は、例えば次に示すようなモデル実験によ
って確認することができる。すなわち、常法に従いCEA
を動物細胞で発現できるプラスミドを作製し、そのプラ
スミドをCHO(Chinese hamster ovary)細胞に導入し、
細胞表面にCEA抗原を発現する細胞株を樹立する。つい
で、モノクローナル抗体の存在下においてCEA発現細胞
株の細胞接着活性を調べ、この結果をモノクローナル抗
体非存在の結果と比較すればよい。
細胞接着活性は公知の適当な方法で測定することがで
きるが、例えば、24穴のプレートにある細胞株を生育さ
せておき、これに蛍光物質や放射能で標識した別の細胞
株を加え、一定時間インキュベートしたのち、数回、バ
ッファーで洗って接着しない細胞を除き、しかるのち、
接着した細胞を例えばトリプシンで遊離させるかあるい
は1%NP−40のような界面活性剤で溶解し、適応した測
定機器を用いて蛍光や放射能の強度を測定することによ
り行なわれる。
以上のようにして得られる本発明のモノクローナル抗
体は、大腸癌の転移に関与するとされるCEAの細胞接着
活性を阻害し、本モノクローナル抗体を含有する医薬は
癌転移阻害剤等の細胞接着阻害剤として利用することが
できる。
また、本発明マウスモノクローナル抗体から、公知の
技術によりマウス−ヒトキメラ抗体およびヒト化抗体を
作製することが可能となる(Nature 312,643−646(198
4)およびNature 332,323−327(1988)参照)。これら
の抗体の利用により、連続投与による抗原性の問題、体
内半減期の問題などが解決されるであろう。このような
マウス−ヒトキメラ抗体およびヒト化抗体も当然本発明
に含まれる。
具体的に、キメラ抗体を作製する場合は、細胞接着阻
害活性を有するマウスのH鎖、L鎖の可変領域とヒトの
定常領域を連結し、適当な発現ベクターに組み込めばよ
く、動物細胞で大量生産できる。
また、ヒト化抗体を作製する場合は、マウスのH鎖、
L鎖可変領域のうち、抗原結合部位である超可変領域
(CDR1、2および3)のみをヒト抗体に移植し、以下、
キメラ抗体の場合と同様に処理すればよく、同様に大量
生産が可能となる。
本発明の細胞接着阻害剤の製造は、必要に応じた適当
量のモノクローナル抗体を常法により製剤化することに
よりおこなうことができる。
細胞接着阻害剤の投与経路としては、注射剤、点滴添
加剤、坐剤等を用いる非経口投与が好ましいが、場合に
よっては、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ
剤等用いる経口投与を採用することもでき、各製剤の調
製に当っては、公知の液体もしくは固体の希釈剤または
担体を使用することができる。例えば、注射用製剤を調
製する場合、本発明抗体を注射用生理食塩水に溶解し、
更に生理的浸透圧と等張になるように慣用の塩類および
賦形剤、例えば塩化ナトリウム、マンニトール、アミノ
酢酸などを添加、調製すればよい。
より具体的な製剤の例としては、注射用蒸留水1mlに
本発明抗体20mgを溶解し、前記塩類等で等張とした注射
用製剤が挙げられる。
細胞接着阻害剤における本発明モノクローナル抗体の
使用量は特に限定されるものではないが、当該抗体の毒
性も低く、安全性も高いので、非経口投与の場合、一般
には1〜1000mg程度使用すれば良い。
以下、本発明を参考例および実施例をもってさらに詳
しく説明する。
参考例 1 N−III発現ベクターの作製および抗原(CEA N−III)
の発現: CEA抗原N−III発現ベクターは以下の通り作製した。
CEA発現ベクターpdKCR−dhfr−CEA(Oikawa,S.ら、B.
R.R.C.,164,39,1989.)をPst I(宝)消化することによ
り得られる6122bpと2293bpのフラグメントをT4 DNAリガ
ーゼを用いて結合させ、N−III発現ベクターpdKCR−dh
fr−CEA N−IIIを作製した。
発現ベクターの細胞への導入、発現細胞の樹立は全て
公知の技術(Oikawa,S.ら、B.B.R.C.,164,39,1989.)で
行い、CEA N−IIIを抗原として得た。
このものは、NドメインとしてCEAの1〜108のアミノ
酸配列と、IIIドメインとしてCEAの465〜642のアミノ酸
配列を有していた。
参考例 2 可溶CEA N−III画分の作製: pdKCR−dhfr−CEA N−IIIを導入したCHO細胞を下記と
同様にしてPI−PLC処理し、CEA N−IIIを抗原として得
た。
(PI−PLC処理) 1.75×108個のCHO N−III細胞を0.125%トリプシンと
0.01%EDTA含有PBSで処理し、浮遊化した。これらの細
胞を5mlのPBSに懸濁し、最終濃度0.2単位/mlのPI−PLC
(フナコシ株式会社、東京)を加えて、37℃で2時間反
応させることによりおこなった。
実施例 1 ハイブリドーマの作製: ハイブリドーマの作製は、ミルシュタインらの方法
(Nature,256,495,(1975))に従って行なう。すなわ
ち、CEA N−III発現ベクターを導入したCHO/N−III細胞
もしくは同細胞より調製された可溶N−III画分をフロ
インドの完全アジュバント中に懸濁し、マウス(BALB/
c)の腹腔内7〜10日毎に3回注射し、マウスを免疫す
る。最終免疫の3日後にマウスの脾臓を取り出し、その
細胞(脾細胞)とマウスミエローマ細胞とポリエチレン
グリコールを用いて融合させ、常法に従いHAT培地(10
%血清加RPMI 1640培地にヒポキサンチン、アミノプテ
リンおよびチミジンを加えたもの)による融合細胞(ハ
イブリドーマ)の選択的培養を行なう。その後、培養上
清についてELISA法により精製CEAに対する反応から第1
次スクリーニングを行なった。
第1次スクリーニングで陽性と判定されたハイブリド
ーマを、更に限界希釈法によるサブクローニングに付
し、モノクローンとした。モノクローン化されたハイブ
リドーマの産生する抗体(MoAb)のサブクラスは、市販
のマウスグロブリン同定キットを用いて同定した。
上記のようにして細胞接着阻害活性を有する抗体を産
生する7個のハイブリドーマクローンC249、E55、F28
7、F361、G125、G213およびG292を得た。なお、本明細
書中においては、ハイブリドーマおよびそのハイブリド
ーマによって生産されたモノクローナル抗体の表示を同
じ記号によって行なう。
上記7個のハイブリドーマクローンのうち、代表的な
抗体を産生するハイブリドーマG125については、平成4
年2月14日付けで工業技術院微生物工業技術研究所に微
工研条寄第3750号(FERM BP−3750)として寄託した。
実施例 2 モノクローナル抗体の調製: 実施例1で得られたハイブリドーマをBALB/cマウスの
腹腔内に接種し、腹水を回収した。得られた腹水20mlを
遠心分離して清澄化した後、35mlのプロテインA−セフ
ァロースCL−4Bカラム(ファルマシア LKB社製)に通
し、このカラムを3M塩化ナトリウムを含有する1.5Mグリ
シン緩衝液(pH8.9)で洗浄した後、カラムに吸着した
モノクローナル抗体を0.1Mクエン酸緩衝液(pH4.0)に
より溶出した。
このようにして得られた7種類のモノクローナル抗体
C249、E55、F287、F361、G125、G213およびG292はそれ
ぞれ下表に示すイムノグロブリンサブクラスに属するも
のであった。
実施例 3 Fab画分の調製: 実施例2によって得られる各モノクローナル抗体をパ
パイン結合ビーズ(市販品)と共に、22℃にて8時間イ
ンキュベートして消化をおこなった。この上清を回収
後、プロテインA−セファロースCL−4Bカラムに通し、
素通し画分をFab画分として得た。
実施例 4 細胞接着阻害活性の測定: 細胞接着阻害活性の測定は公知の技術である細胞接着
アッセイ法(Oikawa,S.ら、B.B.R.C.,164,39,1989.)に
準じて行った。すなわち、1×107個のCEAを発現するCH
O細胞株(CHO/CEA)をPKH2(ザイナチシス社製)にて蛍
光標識した後、3mlの培地に懸濁させる。そのうちの0.1
mlを24穴のプレートに予め単層培養している非標識CHO/
CEA細胞株に加え、5%CO2インキュベータ中、37℃で30
分間インキュベートした。PBSで2回洗ったのち、接着
した細胞を0.1%トリプシンにて遊離させ、蛍光強度を
蛍光強度測定機で測定する。標識CHO/CEA細胞のCEA非発
現CHO細胞に対する接着をブランクとした。
実施例 5 モノクローナル抗体によるCEAの細胞接着の阻害: 各抗体より調製したFab画分を用い、細胞接着アッセ
イ法(37℃、30分)を行なった。すなわち、27μg/mlの
Fab画分存在下で、どの程度CEAのホモ接着活性が阻害さ
れるかを調べた。なお、ノーン(None)は抗体非存在下
での細胞接着活性を示す。この結果を図1に示す。図1
より下式に従い接着阻害率を算出した。
A1:Fab画分存在下でのCEAホモ接着活性 A2:Fab画分非存在下でのCEAホモ接着活性(ノーン) B :ブランクの接着活性 この結果の1例を図2に示すが、図2の結果が明らか
なように、各抗体(Fab画分)による接着阻害活性には
エピトープの違いによる差が認められた。すなわち、ド
メインN認識の抗体はドメインIII認識の抗体に比べ、
比較的強い阻害活性を示した。特にG125(グループ2)
は100%の強い活性を有していた。また、C249、E55およ
びF287(グループ1)は51.8〜82.1%の中程度の阻害を
示した。
実施例 6 モノクローナル抗体による肝転移の阻害: 2×106個のCHO/CEA細胞を50μgのモノクローナル抗
体(Fab画分)の存在下で、4℃にて1時間インキュベ
ートした。ヌードマウスを麻酔下で開腹し、脾臓内に上
記の細胞浮遊液を移植した。17日後に、転移能の指標と
して肝臓の重量、転移巣の有無及び転移結節数を評価し
た。この結果を第2表に、それぞれ肝重量および転移形
成率ならびに転移結節数として示す。
第2表から明らかなように、C249及びG125の前処理に
より、CHO/CEA細胞の肝転移が抑制された。比較として
は正常マウスのIgG画分より調製したFab画分を用いた。
第2表に示すように、この比較群において転移の抑制は
全く認められなかった。これらの結果は、CEAの細胞接
着活性を阻害するモノクローナル抗体が、癌転移阻害剤
として有用であることを示している。
産業上の利用可能性 従来、癌の他臓器への転移を有効に防御することがで
きなかったが、本発明のモノクローナル抗体を投与すれ
ば、当該抗体が癌細胞の接着活性を阻害し、この結果と
して癌細胞が他臓器へ転移することを防止できるので、
癌転移阻害剤等の細胞接着阻害剤として有効である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中里 紘 大阪府三島郡島本町若山台1丁目1番1 号 サントリー株式会社生物医学研究所 内 (72)発明者 中西 俊博 大阪府三島郡島本町若山台1丁目1番1 号 サントリー株式会社生物医学研究所 内 (56)参考文献 特開 昭59−5120(JP,A) Cancer Letters,1991 年,Vol.60,pp.143−152 札幌医学雑誌(Sapporo Me dical Journal),1989 年,Vol.58,No.5,pp.295 −305 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 39/395 C12P 21/00 - 21/08 BIOSIS/WPI(DIALOG)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒトの癌胎児性抗原糖蛋白質におけるNド
    メインのペプチド配列およびドメインIIIの一部または
    全部のペプチド配列よりなるペプチドに対するモノクロ
    ーナル抗体で、ヒトの癌胎児性抗原糖蛋白質におけるN
    ドメインおよび/またはヒトの非特異的交差抗原糖蛋白
    質におけるNドメインを認識するものを有効成分として
    含有する癌転移阻害剤。
  2. 【請求項2】大腸癌が肝臓に転移するのを阻害するため
    のものである請求項第1項記載の癌転移阻害剤。
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