JP3292122B2 - 継目無鋼管製造用工具 - Google Patents

継目無鋼管製造用工具

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JP3292122B2
JP3292122B2 JP35128097A JP35128097A JP3292122B2 JP 3292122 B2 JP3292122 B2 JP 3292122B2 JP 35128097 A JP35128097 A JP 35128097A JP 35128097 A JP35128097 A JP 35128097A JP 3292122 B2 JP3292122 B2 JP 3292122B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特にマンネスマン
・プラグミル圧延で製造する高合金鋼管の製造用工具
(穿孔プラグあるいは拡管プラグ)に係り、鋼管の内表
面の品質の向上と製造コストの低減を目的とした、耐用
度の良好な継目無鋼管製造用工具に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、石油・ガスの採掘において、より
深度の深く、腐食性ガスの多い井戸での採掘が増加し、
これらの油井管用継目無管などに使用されるAISI4
20相当の13Cr鋼などの生産量が増加している。こ
れまで熱間で継目無鋼管を製造する方法の中で、マンネ
スマン・プラグミル法は高生産性から広く実施されてい
るが、この方法では、所定温度に加熱・均熱された丸鋼
片を先ず第一穿孔機であるピアサー圧延機で中空素管と
したのち、この中空素管を第二穿孔機であるエロンゲー
ター圧延機とプラグミル圧延機で延伸する。それぞれで
使用されるプラグはスケール付け熱処理を施して、被圧
延材との焼き付きを防止しているものの、高Cr鋼では
圧延前加熱時更に圧延中での被圧延材の表面のスケール
生成量が炭素鋼の場合に比べ少ないこととまた炭素鋼に
比べ高Cr鋼の熱間での変形抵抗が高く、プラグ表面の
スケールが容易に磨耗・損傷し有効にプラグと被圧延材
との焼き付きを防止することが困難になる。
【0003】特に、ピアサープラグでは、丸鋼片を穿孔
して中空素管になすときにプラグ先端部は約1100℃
の高温に加熱されることから、プラグの先端部では高温
強度が必要である。特に、高合金鋼などの変形抵抗の高
い鋼管を製造する場合には、プラグの強度が不足し、プ
ラグ先端部での変形が生じることによって、プラグ表面
のスケールを維持することが困難となり、プラグと被圧
延材との焼き付きが顕著に生じる。
【0004】上述したごとく、穿孔プラグ(ピアサープ
ラグ)と拡管プラグ(エロンゲータープラグ)の材料に
求められる特性として、プラグ材料の高温強度と耐磨耗
性と耐剥離性を有したスケールを生成する成分からなる
材料であることである。
【0005】このような観点から、高合金鋼圧延時の穿
孔用プラグおよび拡管用プラグの寿命を上げる手段とし
て、例えばピアサープラグでは特開平7−060314
号公報に開示されているように0.25%C−3%Cr
−1%Niをべース成分として、表面スケールの繊密化
を図るためNiを更に添加し、また脱炭によるプラグ表
層部の軟化を抑制するためMnを増量添加し、さらに圧
延後の急冷時に生じるおそれのある焼き割れを防止すべ
くMo,Wの添加量を制限することが開示されている。
また、特開昭60−208458号公報に開示されてい
るようにスケール層の厚さと高温強度の確保の観点から
Ni/Crの比を制限し、Cu,Ti,Zrの添加によ
り高温強度の確保を図っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように化学成分を限定した材料を用いた穿孔プラグと拡
管プラグであっても、13Cr鋼などの高合金鋼を圧延
する場合には、それらのプラグの十分な寿命は得られて
いない。
【0007】即ち、鋳造後に熱間鍛造などの熱間加工な
どを行わずに使用するプラグにおいては、鋳造時の引け
巣がプラグの高温強度とより低い温度での強度に影響
し、引け巣の量が多い場合には使用時にプラグの割損が
生じること、また高温強度を上げるべく成分を調整した
のみでは、常温でのプラグの強度は増加するものの一般
にマルテンサイト組織を有するプラグの靭性が低下し、
プラグの割損を生じることが明らかになった。さらに、
Ni,Crの含有量を調整することによってスケールの
緻密性を高める方法ではプラグの寿命を高める上で十分
な効果が得られないことが明らかになった。本発明の目
的は、上記の問題点を解決するために、特にマンネスマ
ン・プラグミル圧延で製造する高合金鋼管の内表面の品
質の向上と製造コストの低減を可能にする、耐用度の良
好な継目無鋼管製造用工具を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決し目的を
達成するために、本発明は以下に示す手段を用いてい
る。 (1)本発明の工具は、鋼を溶解し、プラグ形状の鋳型
に鋳造した後スケール付け熱処理を施してなる継目無鋼
管製造用工具であって、該鋼は、重量%で、C:0.1
〜0.4%と、Si:0.1〜3%と、Mn:0.2〜
2%と、Cu:0.05〜1%と、Ni:0.5〜10
%と、Cr:0.5〜5%と、Mo:0.5〜5%と、
W:0.5〜5%と、Co:0.5〜5%と、Ti:
0.015〜1%と、sol.Al:0.01〜0.1
%とを含有し、かつ下記(1)式を満足する残部がFe
および不可避的不純物からなることを特徴とする、継目
無鋼管製造用工具である。 0≦Co%×7−C%×10−Ni%≦18 …(1) (2)本発明の工具は、鋼成分として、さらにP、S、
Nの各不可避的不純物元素を、重量%で、P:0.05
%以下、S:0.06%以下、N:0.2%以下に規制
することを特徴とする、上記(1)に記載の継目無鋼管
製造用工具である。 (3)本発明の工具は、鋼成分として、重量%でさら
に、V:0.05〜2%、Zr:0.05〜2%、B:
0.005〜0.02%、及びNb:0.05〜2%の
群から選択された1種または2種以上を含有することを
特徴とする、上記(1)または(2)に記載の継目無鋼
管製造用工具である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明者らは、上記の課題を解決
すべく鋭意検討した結果、以下の知見を得るに至った。
CoとCuはプラグとスケールとの界面を凹凸にし、ス
ケールの耐剥離性を顕著に高める元素であって、さらに
Coはスケール中の緻密性を高めることによってスケー
ルの耐磨耗性も高める。しかしながら、Coの添加は、
鋼の変態点(Ac1 ,Ac3 )を高める元素であって、
単純にCoを添加した場合にはスケール付け熱処理温度
でも完全にオーステナイトに変態しないためにスケール
付け熱処理での冷却時にマルテンサイト組織に変態せ
ず、プラグの常温強度が不足する。なお、スケール付け
熱処理温度を高めた場合、スケール中の空隙の生成量が
増加し、スケールの耐剥離性が劣化することから、完全
なオーステナイト組織を得るために、スケール付け熱処
理温度を高めることには限度がある。またマルテンサイ
ト主体の組織であるプラグの常温強度には適正値が存在
し、その強度が低い場合にはプラグの変形が生じ、また
その強度が高い場合にはプラグの靭性が不足し、使用時
にプラグ割損が生じる。このためCoを添加する場合に
は材料の変態点とプラグの常温強度を調整するために
C,Niの含有量の調整が必要になる。なお、Cuは鋼
の変態点に影響を余り与えないもののCuの過剰な添加
はスケール付け熱処理時に、スケール近傍のプラグ表面
のオーステナイト粒界を脆弱にし、このためプラグの靭
性を損なうこととなる。このため、Cuの含有量の上限
値を見いだした。
【0010】鋳造後に熱間鍛造などの熱間加工などを行
わずに使用するプラグにおいては、プラグの割損を防止
する上で、鋳造ままの状態で鋳造時の引け巣が少ないこ
とが望まれる。引け巣は溶鋼中のガス成分であるNが凝
固時に十分に浮上せず溶鋼中に残存し発生するものであ
ることから、引け巣の生成量の低減にはN含有量の少な
い溶解原料の使用あるいは押湯の配置とその容量の適正
化あるいはRH脱ガス装置などの溶鋼の二次精錬の適用
がもっとも望ましい。しかしながら、これらの手段によ
っては、プラグの製作費用を高めることになる。従っ
て、引け巣の生成量を低減する簡便な方法を検討した結
果、Tiの添加が有効であることが明らかになった。さ
らにこのTiの添加は溶鋼中あるいは凝固直後にTiN
あるいはTiCとして析出し、プラグの高温強度を高め
る効果を有する。
【0011】以上の知見に基づき、本発明者らは、プラ
グ材料の高温強度と耐摩耗性と耐剥離性を有したスケー
ルを生成するため、Co,Cu,Tiを一定量添加し、
さらにC,Niの含有量をCoの添加量に応じて調整す
るようにして、耐用度の良好な継目無鋼管製造用工具を
見出し、本発明を完成させた。
【0012】すなわち、本発明は、鋼組成を下記範囲に
限定することにより、特にマンネスマン・プラグミル圧
延で製造する高合金鋼管の内表面の品質の向上と製造コ
ストの低減を可能にする、耐用度の良好な継目無鋼管製
造用工具を提供することができる。
【0013】以下、本発明の成分添加理由、成分限定理
由について説明する。 (1)成分組成範囲 C:0.1〜0.4% Cは、プラグの常温強度と高温強度を高めるために必須
の元素であり、0.1%以上のCを含有せしめる必要が
ある。一方、0.4%を越える添加では、常温強度が過
度に上昇するために靭性が低下し、プラグの割損を招く
ことになる。従って、その含有量は0.1〜0.4%で
ある。
【0014】Si:0.1〜3% Siは、脱酸元素であり、0.1%未満ではその効果が
少なく、またその含有量が3%を超えると、プラグ表面
の酸化スケール厚さが減少し、プラグの寿命を低下させ
る。従って、その含有量は0.1〜3%である。
【0015】Mn:0.2〜2% Mnは高温強度を高めるために添加されるが0.2%未
満ではその効果が少なく、2%を越えるとプラグ表面の
酸化スケール厚さが減少し、プラグの寿命を低下させ
る。従って、その含有量は0.2〜2%である。
【0016】Cu:0.05〜1% Cuはスケールの密着性を高める有効な元素であって、
0.05%未満ではその効果は少なく、1%を越えると
スケール付け熱処理時に、スケール近傍のプラグ表面の
オーステナイト粒界を脆弱にし、このためプラグの靭性
を損なうこととなる。従って、その含有量は0.05〜
1%である。
【0017】Ni:0.5〜10% Niは、固溶強化元素であるとともにオーステナイト安
定化元素であって、0.5%未満ではその効果が小さ
く、10%を越えるとスケールの生成量が低下しプラグ
の寿命が著しく低下する。従って、その含有量は0.5
〜10%である。
【0018】Cr:0.5〜5% Crは炭化物となって著しくプラグの強度を高める元素
であって、0.5%未満では十分なCr炭化物の析出量
が得られず、プラグの常温強度と高温強度が不足する。
5%を越えると、プラグ表面のスケールの生成量が低下
し、プラグと被圧延材の焼き付けを防止することができ
ないためプラグの寿命が低下する。従って、その含有量
は0.5〜5%である。
【0019】Mo:0.5〜5% Moは鋼中に固溶することあるいはMo炭化物として析
出することによって高温強度を高める元素である。ま
た、常温あるいは焼き戻し温度での鋼の靭性を高める元
素である。Moの添加量が0.5%未満では、所望の効
果が得られない。一方、5%を超えると、常温強度が過
度に高くなり、靭性の低下を招くことになる。従って、
その含有量は0.5〜5%である。
【0020】W:0.5〜5% Wは炭化物となって著しくプラグの強度を高める元素で
あって、0.5%未満では十分な炭化物の析出量が得ら
れず、プラグの常温強度と高温強度が不足する。5%を
越えると、靭性の低下を招くことになる。従って、その
含有量は0.5〜5%である。
【0021】Co:0.5〜5%,0≦Co%×7−C
%×10−Ni%≦18 Coは本発明に置いて重要な元素である。即ち、Coの
添加により、高温強度を高めるとともに、スケールの耐
磨耗性と耐剥離性を顕著に向上させる上で有効な元素で
ある。Coが0.5%未満では上述したような効果が十
分に得られず、一方5%以上の添加ではプラグの製造コ
ストを高めるとともに、鋼の変態点が上昇し、マルテン
サイト組織が主体の組織のプラグを得ることが困難とな
り、プラグの常温強度が低下しプラグの変形が生じやす
くなる。
【0022】また、適正な強度と靭性を有したマルテン
サイト主体の組織を得るために、C含有量とNi含有量
およびCo含有量は次式に示す関係式を満足する必要が
ある。
【0023】 0≦Co%×7−C%×10−Ni%≦18 即ち、図1に示すように、Co%×7−C%×10−N
i%の値が0未満である場合には、プラグの常温強度が
高くなり、靭性が低下し、プラグの割損が生じることに
なる。
【0024】一方Co%×7−C%×10−Ni%の値
が18を越える場合にはプラグの常温強度が不足し、プ
ラグの変形が生じて、プラグの寿命が劣化することとな
る。 Ti:0.015〜1% Tiは溶鋼中あるいは凝固時にTiNあるいはTiCと
して析出することにより、固溶N量を低減し、鋳造まま
の鋼片の引け巣の生成量を低減するための有効な元素で
ある。0.015%未満ではこの効果が得られず、また
Tiを1%を越えて添加すると、鋼中に存在するTi
C,TiNが割れの起点となって、プラグの割れを助長
し、その寿命を阻害することとなる。このため、Tiの
含有量は0.015〜1%である。 sol.Al:0.01〜0.1% sol.Al:Alは脱酸元素であり、鋼の延性と靭性
を確保する上で必要な元素であり、0.01%未満では
所望の効果が得られず、一方0.1%を超えて含有させ
ても、その効果が飽和し、あるいは逆に延性と靭性の低
下を招くことになる。このため、Alの含有量は0.0
1〜0.1%である。
【0025】P:0.05%以下 Pは不可避的不純物元素であり、かつオーステナイト加
熱時に粒界に偏析して、粒界強度を低下させ、顕著にプ
ラグ強度を劣化させる。このため、その上限値は0.0
5%である。
【0026】S:0.06%以下 Sは不可避的不純物元素であり、かつオーステナイト加
熱時に粒界に偏析して、粒界強度を低下させ、顕著にプ
ラグ強度を劣化させる。このため、その上限値は0.0
6%である。
【0027】N:0.2%以下 Nは不可避的不純物であり、その含有量が0.2%を越
える場合にはプラグ中に鋳造時の引け巣が生じることに
よりプラグの強度を低下させて、プラグの割損を招くこ
とがある。従って、その上限値は0.2%である。
【0028】さらに、本発明では、下記のような各含有
量のV,Zr,B,Nbを1種または2種以上含有させ
ることにより、本発明の目的であるピアサープラグある
いはエロンゲータープラグの寿命を向上させることがで
きる。
【0029】V:0.05〜2% Vは高温強度を高めるために添加されるが0.05%未
満ではその効果が得られず、2%を越える場合には靭性
の低下を招き、プラグの割損を生じる。従ってその含有
量は0.05〜2%である。
【0030】Zr:0.05〜2% Zrは窒化物となって、高温強度を高める元素であっ
て、0.05%未満ではその効果が得られず、2%を越
える場合には靭性の劣化を招き、プラグの割損を生じ
る。従って、その含有量は0.05〜2%である。
【0031】B:0.005〜0.02% Bは窒化物となって、高温強度を高める元素であって、
0.005%未満ではその効果が得られず、0.02%
を越える場合には靭性の劣化を招き、プラグの割損を生
じる。従って、その含有量は0.005〜0.02%で
ある。
【0032】Nb:0.05〜2% NbはNbCとして析出することによって、室温と高温
の強度を高める元素であって、0.05%未満では、所
定の強度の上昇が得られない。一方2%を越える添加で
は、靭性の低下を招くことになって、プラグの割れが生
じることになる。従って、その含有量は0.05〜2%
である。
【0033】なお、製造条件については、本発明では特
に限定されない。すなわち、プラグ製造時の鋼の溶解方
法、鋳造方法、及びスケール付け熱処理方法は、通常採
用される条件であればよい。以下に本発明の実施例を挙
げ、本発明の効果を立証する。
【0034】
【実施例】表1に示す化学組成の500kgf鋼を大気
溶解し、最大径105mmのピアサープラグの形状に鋳
造した。鋳造プラグは被圧延材と接触する部分を機械研
削により仕上げたのち、水蒸気酸化雰囲気中でスケール
付け熱処理を実施し、それぞれの鋼のプラグミルプラグ
をそれぞれ19個ずつ製作し、その中の18個を13C
r継目無鋼管の圧延に使用した。残りの1個について
は、ビッカース硬さを測定し、表面スケールの厚さを光
学顕微鏡により測定した。なお、プラグ表面のスケール
は内層スケールと外層スケールからなり、この内の内層
スケールがプラグと被圧延材の焼き付けを防止すること
から、内層スケールの厚さを測定した。
【0035】さらに、10mm径×15mm高の試験片
を採取し、1100℃の試験温度で歪み速度が10/秒
での圧縮試験を行い、その際の歪み0.1のときの平均
変形抵抗を測定し、それぞれの鋼の高温強度を把握し
た。
【0036】なお、水蒸気酸化熱処理は、900〜10
00℃で約5時間保持した後、500℃の温度まで徐冷
したのち、熱処理炉から搬出し、大気中で放冷した。1
3Cr鋼圧延は、直径170mmの長さ3280mmの
丸鋼片を第一穿孔機(ピアサー)で穿孔し174mm径
×30mm厚×5700mm長さの中空素管にした。プ
ラグの寿命は、1パス毎のプラグ頭部あるいは胴部の変
形の有無と焼付きによるプラグ表層部の損傷の有無ある
いはプラグ割損によって、使用することができなくなっ
た時のパス数で評価した。
【0037】表1において、No.1〜4は本発明鋼で
あり、No.5〜18は比較鋼である。表2に、それぞ
れの化学成分のピアサープラグのビッカース硬さ、内層
スケール厚さ、1100℃での平均変形抵抗、及び13
Cr継目無鋼管を圧延した際のピアサープラグの寿命
(パス数)の平均値を示す。表2から明らかなように、
本発明鋼No.1〜4は、常温および高温でのプラグ強
度が得られるとともに所望のスケール厚さが得られるこ
とから、良好なプラグ寿命(19〜29パス)が得られ
ている。
【0038】一方、比較鋼No.5〜18の鋼からなる
プラグの寿命は、本発明鋼No.1〜4の鋼からなるプ
ラグの寿命に比べ小さい値(1〜14パス)になってい
る。比較鋼No.5〜8は、それぞれの元素の含有量は
本発明による請求範囲にあるもののCo,C,Niの含
有量から計算したCo%×7−C%×10−Ni%の値
が本発明の請求範囲外の値であるため、プラグ耐用度が
劣化している。
【0039】比較鋼No.9,10,12,13,1
4,15はC,Mn,Cr,Mo,W,Tiの添加量が
高いことから、プラグの常温強度が過度に高く、靭性が
低下することによって、使用時にプラグの割れが生じ、
耐用度が劣化している。また比較鋼No.11はCuの
含有量が高いことから、プラグ表層部での脆化が起こる
ことによって使用時にプラグの割れが生じてプラグの耐
用度が低下している。比較鋼No.16とl7では、S
iとNiの含有量が高いことから、プラグ表面のスケー
ル厚さが不足し、使用時のスケールの消失が早期に生じ
耐用度が低下している。比較鋼No.18はCo含有量
が高いことから、鋼の変態点が上昇し、スケール付け加
熱温度で完全なオーステナイト組織を得ることができな
いことから、プラグの常温強度が低下し、耐用度が低下
している。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【発明の効果】上記した如く、本発明によれば、鋼組成
を特定することにより、特にマンネスマン・プラグミル
圧延で製造する高合金鋼管の内表面の品質の向上と製造
コストの低減を可能にする、耐用度の良好な継目無鋼管
製造用工具を提供することができる。従って、継目無鋼
管製造のためのピアサープラグとエロンゲータープラグ
の寿命を向上することができるなど、産業上の利用価値
は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るCo,C,Ni含有
量とプラグ寿命の関係を示す図。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C21D 9/00 C21D 9/00 M (72)発明者 山崎 基晴 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平9−195002(JP,A) 特開 平4−147706(JP,A) 特開 昭63−282241(JP,A) 特開 平4−270003(JP,A) 特開 昭56−130457(JP,A) 特開 昭60−208458(JP,A) 特開 昭59−153871(JP,A) 特開 昭59−9154(JP,A) 特開 昭61−264163(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 25/00 C22C 38/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼を溶解し、プラグ形状の鋳型に鋳造し
    た後スケール付け熱処理を施してなる継目無鋼管製造用
    工具であって、 該鋼は、重量%で、C:0.1〜0.4%と、Si:
    0.1〜3%と、Mn:0.2〜2%と、Cu:0.0
    5〜1%と、Ni:0.5〜10%と、Cr:0.5〜
    5%と、Mo:0.5〜5%と、W:0.5〜5%と、
    Co:0.5〜5%と、Ti:0.015〜1%と、s
    ol.Al:0.01〜0.1%とを含有し、かつ下記
    (1)式を満足する残部がFeおよび不可避的不純物か
    らなることを特徴とする、継目無鋼管製造用工具。 0≦Co%×7−C%×10−Ni%≦18 …(1)
  2. 【請求項2】 鋼成分として、さらにP、S、Nの各不
    可避的不純物元素を、重量%で、P:0.05%以下、
    S:0.06%以下、N:0.2%以下に規制すること
    を特徴とする、請求項1に記載の継目無鋼管製造用工
    具。
  3. 【請求項3】 鋼成分として、重量%でさらに、V:
    0.05〜2%、Zr:0.05〜2%、B:0.00
    5〜0.02%、及びNb:0.05〜2%の群から選
    択された1種または2種以上を含有することを特徴とす
    る、請求項1または2に記載の継目無鋼管製造用工具。
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